JP4057330B2 - 梨地調アルミニウム材料、そのための塗料組成物および塗装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム基材上の金属梨地調塗装膜を形成する方法、特に自動車用アルミニウムホイール基材に対して金属梨地調塗装膜を形成してその意匠性を向上させるのに適した方法並びに当該方法により塗装が施されたアルミニウム基材、特に自動車用アルミニウムホイール基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカ微粒子を含有させた塗料は、金属表面のつや消し用の塗料として広く知られている。しかしながら、シリカ微粒子を含有させた塗料は、塗装条件により乾燥膜のつや消し品質が大きく変わり、不安定である。また、シリカ顔料では、白ボケになりやすく、また隠蔽力が強すぎるためか透明感がでにくく、指で触ると艶が出てしまうことがある。また、「つや消し」というだけでは、金属表面の意匠性を向上させるには不十分なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗装条件の変化に対して安定したつや消し性を保ち、かつ、金属表面の外観を調整し、その意匠性を向上させるのに適した塗装方法及び当該塗装方法により塗装された塗装物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、アルミニウム基材上に、平均粒径(中央値d50)10〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料を塗付するか、光輝性塗膜をアルミニウム基材上に形成してからその上に同クリヤー塗料を塗付するか、或いは、同クリヤー塗料に光輝性塗膜を予め含有させて光輝性塗料としたものをアルミニウム基材上に塗付して塗膜を形成することにより、自動車用アルミニウムホイール等のアルミニウム基材上に効果的に梨地調の塗膜を形成することができ、当該アルミニウム基材の意匠性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0006】
(1)アルミニウム基材上に、光輝性顔料を含有する塗料からなる光輝性塗膜と、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料からなる、乾燥塗膜厚10〜50μmの塗装膜とが順次形成されていることを特徴とする梨地調アルミニウム材料。
【0007】
(2)金属光沢を有するアルミニウム基材上に、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料からなる、乾燥塗膜厚10〜50μmの塗装膜が形成されていることを特徴とする梨地調アルミニウム材料。
【0008】
(3)アルミニウム基材上に、光輝性顔料と、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子と、を含有する光輝性塗料であって、当該光輝性塗料は、前記真球状樹脂微粒子が塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有されているものであり、当該光輝性塗料によって乾燥塗膜厚10〜50μmの塗装膜が形成されていることを特徴とする梨地調アルミニウム材料。
【0009】
(4)前記アルミニウム基材が、自動車用ホイールである(1)〜(3)のいずれかに記載の梨地調アルミニウム材料。
【0010】
(5)化成処理されたアルミニウム基材上に、光輝性顔料を含有する塗料を塗装、焼付し、さらにその上に、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料を乾燥塗膜厚10〜50μmとなるように塗装、焼付して、梨地調塗装膜を形成することを特徴とするアルミニウム基材の塗装方法。
【0011】
(6)化成処理された金属光沢を有するアルミニウム基材上に、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料を乾燥塗膜厚10〜50μmとなるように塗装、焼付して、梨地調塗装膜を形成することを特徴とするアルミニウム基材の塗装方法。
【0012】
(7)化成処理されたアルミニウム基材上に、光輝性顔料と、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子とを含有する光輝性塗料であって、前記真球状樹脂微粒子が塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有されている塗料を、乾燥塗膜厚10〜50μmとなるように塗装、焼付して、梨地調塗装膜を形成することを特徴とするアルミニウム基材の塗装方法。
【0013】
(8)化成処理されたアルミニウム基材をプライマー処理した後に、前記各塗料を塗装、焼付することを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の塗装方法。
【0014】
(9)前記光輝性顔料を含有する塗料中に着色顔料を添加して塗装するか、または、前記光輝性顔料を含有する塗料によって形成される塗膜の下に、着色顔料を含有する塗料を塗装、焼付することを特徴とする(5)〜(8)のいずれかに記載の塗装方法。
【0015】
(10)前記アルミニウム基材が、自動車用ホイールである(5)〜(9)に記載の塗装方法。
【0016】
(11)平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を、塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有する、アルミニウム上における梨地調塗装膜形成用の塗料組成物。
【0017】
(12)光輝性顔料をさらに含有することを特徴とする(11)記載の塗料組成物。
【0018】
(13)平均塗膜厚がtである塗膜に対して、平均粒径d50が0.4t以上の真球状樹脂粒子を含んでいることを特徴とするアルミニウム上における梨地調塗装膜。
【0019】
(14)平均塗膜厚がtである塗膜に対して、平均粒径d50が0.4t〜3tの間にある真球状樹脂粒子を含んでいることを特徴とするアルミニウム上における梨地調塗装膜。
【0020】
本発明の塗装膜は、真球状の樹脂微粒子を用いると、表面凹凸の形状が最適化され、更に優れた意匠性が得られる。
【0021】
本発明の塗装膜は、その平均厚さが10〜50μmであると、下地の影響を十分に防ぐことができ、かつ、塗料を無駄にすることもなく、更に、塗膜の耐久性も高い。
【0022】
本発明の塗装膜は、その膜中若しくは膜下に着色顔料を含有することができる。膜中に含有するには、あらかじめ着色顔料を塗料に混合することで達成できる。また、着色顔料を含有した塗料により塗装膜(下地膜)を形成し、その上に微粒子を含む塗装膜(本膜)を形成することにより膜下に着色顔料を含有する塗装膜を形成することができる。このような構成にすると、表面に表れる塗装膜にある色合いをつけることができる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、より詳しく説明する。なお、図及び図の説明は生じた事象から推定したメカニズムであり、必ずしも真実とは限らないが、定性的に本発明の推定メカニズムを述べるには理解しやすいと考える。従って、この推定メカニズムが真実と異なっていたとしても、本発明は実験から得られた結果であり、その内容の真実性には何ら影響を与えない。
【0024】
本発明の塗料組成物において、粒径(中央値)、10〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固定分100質量部に対して5〜60質量部、より望ましくは、10〜50質量部含有するようにしたのは、この粒子により塗装表面に凹凸をつけるためである。一般に、大きな粒径では大きな凹凸がつきやすく、小さな粒径では小さな凹凸になりやすい。粒径(中央値)が10μm未満の微粒子では、凹凸が小さすぎて梨地を形成できず、粒径(中央値)が50μmを越えた場合は凹凸が大きくなりすぎ却って意匠性を損なうからである。また、塗膜強度が低下しすぎるおそれもあるからである。特に、粒径(中央値)が10μm以上になると表面凹凸がより明瞭に現れ梨地感が顕著に増し、粒径(中央値)が50μm以下では表面凹凸の状態が程よくなり、意匠性が顕著に良くなる。ここで、微粒子の径は中央値をもって評価したが、粒径のバラツキは少ないほうが好ましい。大粒子同士の間に小粒子が入り込むこと等により、微粒子による表面凹凸形成能力が低下するおそれがあるからである。
【0025】
樹脂固形分に対し上記真球状樹脂を5〜60質量部加えることとしたのは、5質量部より少ないと梨地を形成するに十分な微粒子がないためであり、60質量部より多いと梨地が均一に形成されにくいからである。真球樹脂が10質量部以上になると、梨地を均一に形成するに十分な微粒子が含まれ、一方、50質量部以下になると、微粒子の樹脂塗料への分散がより均一になりやすく、結果として生成膜の梨地が均一に形成されやすくなるからである。
【0026】
上述のことを模式的に説明すると次のようになると考えられる。図2に塗膜の模式図を示す。ベースとなるのが塗料用の樹脂32に相当し、丸いものが樹脂微粒子34に相当する。この図では、樹脂32は、微粒子34の半径よりやや低い位置まであり(厚さt1)、粒子間に大きな隙間があり谷部が狭くないためある程度の凹凸(h1)があっても影を作りにくく、梨地になりにくいと考える。一方、図3では、粒子間が詰まっており、谷部は狭いが凹凸(h2)が浅くなりやすく影を作りにくく梨地になりにくいのではないかと考えられる。即ち、これらの状態の中間程度の塗装膜を形成するものが塗料組成物として望ましいと考えられる。
【0027】
真球状樹脂微粒子が好ましいのは、この方が梨地を形成する表面凹凸を作りやすいからである。真球状とは、球の表面がでこぼこして真球からずれるというよりは、球が押しつぶされて卵型になることが少ないことをいう。図4にあるように、卵形につぶれた粒子36と38では、36のように塗膜表面に厚さt3の塗料樹脂中に寝るように存在しやすいと考える。この方が重力を考慮にいれるとより安定であると考えられるからである。図中の凹凸を示すh3とh4を比べれば明らかにh4の方が大きいが、このような卵型の粒子では、36のように寝やすいので、真球より凹凸が小さくなりがちである。このため、真球であることが望ましいと考える。真球状微粒子としては、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ等があげられる。
【0028】
本発明の塗料組成物の塗料用樹脂は、(A)ビヒクル樹脂及び(B)架橋剤からなる。(A)ビヒクル樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂等及びこれらの変性樹脂等があげられる。特にアクリル樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく、メラミン樹脂などのアミノ樹脂やブロックポリイソシアネート化合物等の架橋剤を混合して使用する。
【0029】
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体、及び(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の少なくとも1種を通常の方法により重合することにより得ることができる。なお(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。さらに共重合可能な(メタ)アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸アミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等を配合してもよい。アクリル樹脂の数平均分子量は1,800〜100,000とするのが好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。
【0030】
ポリエステル樹脂は(1)多価アルコールと(2)多塩基酸又はその無水物とを重縮合(エステル化)して得られる。ポリエステル樹脂の数平均分子量は200〜10,000であるのが好ましく、300〜6,000がより好ましい。
【0031】
(1)多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等が好ましく、これらの多価アルコールを2種以上組み合わせて用いることがより好ましい。
【0032】
(2)多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸等が好ましく、これらを2種以上組み合わせて用いることがより好ましい。
【0033】
(B)架橋剤としては、(1)アミノ樹脂、(2)ブロックポリイソシアネート化合物等が挙げられる。また常温乾燥により硬化することができる2液型ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等も使用することができる。
【0034】
(1)アミノ樹脂としては、例えばメラミン、尿素、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物の1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒドと反応させた縮合物、及びその縮合物にメタノール、ブタノール等の低級アルコールを反応させたアルキルエーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。このようなアルキルエーテル化メラミン樹脂の数平均分子量は400〜2,000であるのが好ましい。
【0035】
(2)ブロックポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族多官能イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族多官能イソシアネート、及びジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(MDI)や水添MDI等の芳香族多官能イソシアネート化合物の官能基を部分的又は完全にブロックしたものが挙げられる。
【0036】
塗料用樹脂中の(A)ビヒクル樹脂及び(B)架橋剤の配合割合は、固形分換算でビヒクル樹脂が90〜50質量%、好ましくは85〜60質量%であり、架橋剤が10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%である。ビヒクル樹脂が90質量%を超えると(架橋剤が10質量%未満では)、塗膜の架橋が十分でない。一方ビヒクル樹脂が50質量%未満では(架橋剤が50質量%を超えると)、塗料の貯蔵安定性が低下するとともに、硬化速度が大きくなるため塗膜外観が悪くなる。
【0037】
光輝性顔料としては、リーフィング型又はノンリーフィング型のアルミニウムフレーク、金属チタンフレーク、ステンレススティールフレーク、板状酸化鉄、フタロシアニンフレーク、グラファイト、二酸化チタン被覆マイカ、着色マイカ、金属めっきマイカ、金属めっきガラスフレーク、二酸化チタン被覆アルミニウムフレーク、二酸化チタン被覆酸化珪素フレーク、硫化コバルト、硫化マンガン、硫化チタン等が挙げられる。このうちアルミニウムフレーク等の金属フレークを含有する塗料はメタリック塗料と呼ばれ、またマイカ顔料を含有する塗料はマイカ塗料と呼ばれる。
【0038】
上記の光輝性顔料に加えて、着色顔料を本発明の塗料組成物に加えることもできる。着色顔料としては、カーボンブラック、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料、及び黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
【0039】
光輝性顔料とともに着色顔料を使用する場合には、(光輝性顔料+着色顔料)/樹脂固形分の質量比は、0.01/1〜1/1であるのが好ましく、0.03/1〜0.9/1であるのがより好ましい。光輝性顔料+着色顔料の添加量は、塗膜が光輝性を保持する限り色相に合わせて任意に設定できる。
【0040】
本発明の塗料組成物の溶剤としては、塗料用樹脂を溶解するものであれば水又は有機溶剤のいずれでもよい。有機溶剤としては例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、セロソルブ類、ケトン系溶剤等を挙げることができる。溶剤の好ましい添加量は塗料用樹脂100質量部に対して100〜400質量部である。
【0041】
上記成分の他に、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコーンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤等を適宜添加することができる。これらの添加剤の配合量は、塗料全体を100 質量部として5質量部以下とする。
【0042】
本発明の塗装膜は、その膜厚や樹脂微粒子の粒径との関係で梨地形成能力が左右される。仮にその塗装膜厚がtである場合は、平均粒径が0.4×t以上であれば、良好な表面凹凸が形成される。これを図2及び図5を参照しつつ模式的に説明する。図2において平均粒径は、樹脂層の厚さt1より少しだけ大きいものと考えられ、表面凹凸は、樹脂表面から粒子の頂上部までの高さh1である。このh1は梨地を作るに十分と考える。一方、樹脂が多く、樹脂層の厚さがt4と厚い図5の場合は、表面凹凸はh5であり、この高さは梨地を形成するのに十分とはいえないおそれがある。このような模式的な説明では、膜厚と粒径の関係は、粒径が膜厚の同程度必要に見えるが、実際には、粒子の下に厚い樹脂が存在することや、図6のように粒子が重なることにより表面凹凸(例えば凹凸h6、樹脂層t5)を形成する場合もあり、実験によって確認することが望ましい。本発明の場合は、実験によりこの粒子径と膜厚の関係が膜厚をtとすると、粒子径が0.4×t以上であることが判明した。具体的には、膜厚が25μmであれば、粒径は10μm以上である。この膜厚と粒子径の関係は、より望ましくは、膜厚tで粒径1×t以上である。この方が、表面凹凸がより良好に形成されるからである。一方、3×tを越える粒径になると、塗料樹脂が十分に粒子を保持できない場合があり、あまり好ましくないと考える。
【0043】
光輝性塗膜は、上述の塗料用樹脂と光輝性顔料を含む光輝性塗料を塗布することにより形成することができる。光輝性塗膜は、所望の厚さに梨地塗装膜の下に形成し、梨地塗装膜によりその光輝を若干低下させ、梨地の独特な金属感を得ることができる。
【0044】
本発明の塗装膜の平均厚さを10〜50μm、より望ましくは、20〜40μmとするのは、基材等の被覆性として十分であり、所望の意匠性が得られるからである。厚さが10μmより小さいと基材等が十分被覆されない部分が生じることもあり、50μmより大きいと塗料が無駄になるだけでなく、表面凹凸のかげんで梨地が所望の意匠性を保てないおそれがあるからである。厚さが20〜40μmとなると、被覆性や意匠性は格段によくなる。
【0045】
アルミニウム基材は、まずアルカリ脱脂を行い、次に、化成処理が行われるのが一般的である。アルカリ脱脂は、水酸化ナトリウムのような強塩基と、ケイ酸、炭酸、リン酸等のアルカリ塩からなるアルカリビルダーと、界面活性剤とを主成分にしたアルカリ脱脂剤で金属表面の防錆油、切削油、圧延油等の油脂性の汚れを除去し、清浄にすることをいう。化成処理とは、金属表面、本件ではアルミニウムホィール表面に化学的に非金属の化成皮膜を形成することの総称をいう。化成処理は、クロム系処理剤、ジルコニウム系処理剤等の処理剤を制限がなく用いることができる。
【0046】
次に、化成処理したアルミニウム基材には、プライマー塗膜を形成することが好ましい。プライマー塗膜では、溶剤プライマー系を用いてもよいし、粉体プライマー系を用いてもよいし、ゾル系を用いてもよい。溶剤プライマー系では、10乃至30μmの膜厚にするのが好ましい。そして、焼付けした後かウェットオンウエット(W/W)で中塗り塗装か、或いは、中塗り塗装を省略してカラーベース塗装を行うのが好ましい。
【0047】
一方、粉体プライマー系は、ほとんどが不揮発分の粉末状塗料を被塗面上に分布させ、これを粉体の融点以上の温度で焼き付け、溶融、流展、硬化させて連続塗膜を形成させる方法をいう。粉体塗装では、高度な塗膜性能が期待でき、防食性が強い。粉体塗装としては、例えば、流動浸漬法、静電粉体塗装法、静電流動浸漬法等が挙げられ、本発明では何れを用いてもよい。
【0048】
本発明の塗料組成物の塗装方法は特に限定されないが、スプレー法、浸漬法、静電塗装法等をもちいることができる。焼き付け条件は塗料樹脂の種類により異なるが、一般に被塗物表面温度120〜160℃にて、キープ時間を15〜40分とするのが好ましい。また、下に光輝性塗装膜がある場合は、ベークオンウェット(B/W)法又はウェットオンウェット(W/W)法によって本発明の塗料組成物からなるトップクリヤーを塗装することができる。
【0049】
【実施例】
以下本発明を実施例や比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。ただし、各実施例や比較例に使用する塗料等は下記の方法により調製し、塗装した。
【0050】
本発明の第1の実施例である塗料組成物を説明する。
【0051】
(1)真球状樹脂微粒子
真球上樹脂微粒子として、大日精化工業株式会社製の3種類のラブコロール010(X)ホワイトを用いた。比較例として富士シリシア化学(株)製のシリカ系微粒子サイリシアと併せ、表1にそれらの平均粒径を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
(2)塗料用樹脂
塗料用樹脂として日本ペイント(株)製のアクリル/メラミン樹脂系クリヤー塗料であるスーパーラック5000 AW-10 クリヤーを用いた。上記微粒子とこのクリヤー塗料を混合して第1の実施例のトップクリヤー用塗料組成物とした。この混合比率(樹脂固形分100部に対する質量部)を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
本発明の第2の実施例であるアルミニウム基材上の塗装膜を説明する。図1にその模式図を示す。通常の化成皮膜処理を施したアルミニウム基材10上に、日本ペイント(株)製のアクリル粉体塗料であるパウダックスA−400クリヤーにより80μmの焼付被膜12を形成することで、プライマー処理を行った。その上に日本ペイント(株)製のアクリルメラミン系塗料であるスーパーラック5000AS−70ベースブラックを25μm焼付けカラーベース14とした。その上に日本ペイント(株)製の蒸着アルミ粉入り特殊ベースであるスーパーラック5000スウォードシルバーを0.5μm焼付けメッキベース16とした。更にその上に本発明の第1の実施例であるトップクリヤー用塗料組成物を用いてトップクリヤー膜18をそれぞれ所定の乾燥膜厚だけ、140℃にて20分の条件で焼付けた。これらの被膜の外観評価結果を表3にまとめる。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
以上説明をしたように、本発明に係る塗装方法によれば、本発明に係る塗料組成物に含有されている真球状の樹脂微粒子がほど良く塗膜上に現出し、シリカによる単なる艶消しでは得られない梨地の独特な金属感を備える梨地調の塗膜を、アルミニウム材の上に効果的に形成することができる。そして、本発明に係る梨地調の塗膜が形成されたアルミホイールは、意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第2の実施例を模式的に示した図である。
【図2】 塗膜の第1形態を模式的に示した図である。
【図3】 塗膜の第2形態を模式的に示した図である。
【図4】 球状樹脂の変形を模式的に示した図である。
【図5】 塗膜の第3形態を模式的に示した図である。
【図6】 塗膜の第4形態を模式的に示した図である。
【符号の説明】
10 アルミニウム基材
12 プライマー
14 カラーベース
16 メッキベース
18 トップクリヤー
32 樹脂
34、36、38 粒子
Claims (2)
- 化成処理された、自動車用ホイールであるアルミニウム基材をプライマー処理した後に、着色顔料を含有する塗料を塗装、焼付けし、さらに光輝性顔料を含有する塗料を塗装、焼付し、さらにその上に、平均粒径d50が10μm〜50μmの真球状樹脂微粒子を塗膜形成用樹脂固形分100質量部に対して5〜60質量部含有するクリヤー塗料を乾燥塗膜厚10〜50μmとなるように塗装、焼付して、平均塗膜厚がtである塗膜に対して、前記真球状樹脂微粒子の平均粒径d50が1×t〜3×tの間である梨地調塗装膜を形成することを特徴とするアルミニウム基材の塗装方法。
- 前記光輝性顔料を含有する塗料中に着色顔料を添加することを特徴とする請求項1記載の塗装方法。
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