JP2004082516A - シリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗装板表面のRaが0.15μm以下で、かつ少なくとも外面側の塗膜層として、アクリル系樹脂を基材としかつ0.1μm以下の平均粒径のコロイダルシリカを乾燥塗膜重量の1〜10%含有する塗膜層が形成されていることを特徴とするシリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板。また前記塗膜層は、アルコキシ基を含有する平均重合度が3〜50のシリコーン化合物を乾燥塗膜重量の0.1〜5%含有しても良く、さらに1種又は2種以上の顔料または染料を乾燥塗膜重量の0.1〜40%含有しても良い。
【選択図】 なし
Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、防汚性能が必要な自動車等輸送機器の外板、建材、家電製品等に用いられるプレコート金属塗装板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
良く知られているように、自動車の外板や建材等は、土砂、埃、煤塵、排ガス中の粒子状物質などが付着して汚れが生じやすい。例えば自動車の側面外装板には、筋状の黒い汚れが付着しやすいが、このような筋状の黒い汚れは除去しにくいのが通常である。この筋状の汚れは、大気中に浮遊する土砂、埃、煤塵、排ガス中の粒子状物質などが外装板の塗膜表面に付着・堆積し、降雨によって筋状に流れて、一部残留したものが、乾燥後、黒い筋として見えるものであり、このような筋状の汚れの除去にはかなりの時間と手間を必要とすることが多い。
【0003】
上述のような汚れの付着対策としては、例えば自動車の外板については、従来は撥水性ワックスを予め塗膜表面に塗布しておくことが一般的である。しかしながら撥水性ワックスを塗布しても、撥水性能が必ずしも充分でないため、塗膜表面に形成された汚れ成分を含む水滴が転がり落ちず、乾燥後汚れが残存してしまい、充分な対策とはならないことが多かったのが実情である。
【0004】
そこで自動車の外板等に使用される塗装板における塗膜自体について、汚れが付着・堆積しにくい性能、すなわち防汚性を向上させることが望まれている。
【0005】
塗膜の防汚性の向上のための方法としては、例えば特開2000−346586の「アルミニウム材の表面処理方法及び熱交換器の製造方法」に示されるような、高親水性、抗菌性、抗黴性、防臭性、防汚性に優れた性能を発揮するアルミニウム表面処理方法が提案されている。
【0006】
しかしながらこの提案は、熱交換器を製造した後に塗装するいわゆるポストコートタイプの塗装板について考慮されたものであり、次に述べるようなプレコート金属塗装板における成形時の塗膜割れに対しての検討がなされていない、という根本的な問題を有している。
【0007】
すなわち自動車の外板や建材等については、成形加工後の塗装作業の負担を軽減して、生産性を向上させるため、最近では成形加工を施していない状態の金属板(通常はコイル状態のままの金属板)の表面に、予め樹脂を基材とする塗膜を形成して、いわゆるプレコート金属塗装板としておき、そのプレコート金属塗装板に対して成形加工を施して自動車の外板等に適用することが多くなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなプレコート金属塗装板の場合、塗膜基材の樹脂に対して、防汚性能を初めとする塗膜性能向上のために種々の成分を添加することが多いが、このような添加成分のために塗装後の成形時に割れを生じることがある。しかるに前記提案の方法では、前述のようにポストコートタイプを想定しているため、成形時における塗膜の割れについては特に配慮されていなかったのである。
【0009】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、防汚性能を初めとする塗膜性能とプレコート板状態での成形加工性(成形時の塗膜割れの有無)とを両立させたプレコート金属塗装板を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上述のような課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アクリル系樹脂を基材とする塗膜を形成したプレコート金属塗装板について、その表面粗さを適切に調整するとともに、塗膜の添加成分、添加量を適切に調整することによって、前述の課題を解決し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
【0011】
具体的には、請求項1の発明は、成形加工前の状態で予め金属板表面に塗膜が形成されてなるプレコート金属塗装板において、塗装板表面の中心線平均粗さRaが0.15μm以下であり、かつ前記塗膜として、少なくとも外表面側に、アクリル系樹脂を基材としかつ0.1μm以下の平均粒径のコロイダルシリカを乾燥塗膜重量の1〜10%含有するシリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、請求項1に記載のシリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板において、前記シリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が、さらにアルコキシ基を含有する平均重合度が3〜50のシリコーン化合物を乾燥塗膜層重量の0.1〜5%含有することを特徴とするものである。
【0013】
さらに請求項3の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載のシリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板において、前記シリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が、さらに1種または2種以上の顔料もしくは染料を乾燥塗膜層重量の0.1〜40%含有することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
金属塗装板表面の汚れには金属塗装板表面の凹凸が大きく影響する。例えば表面の凹凸が深ければ、土砂、埃、煤塵、排ガス中の粒子状物質等が付着して堆積しやすくなり、拭いても除去しにくくなる。また表面の凹凸が深ければ、これらの粒子状物質等が付着した後に雨水等がかかった時、雨水が溜まって乾きにくくなる。したがって、汚れが付着しにくくしかも落としやすくするためには、金属塗装板表面の凹凸すなわち表面粗さを小さくすることが必要である。本発明者等の実験によれば、上述のような防汚の目的を達成し、かつ高い光沢度を得るためには、塗装板表面の中心線平均粗さRaを0.15μm以下とする必要があることを見出しており、したがってこの発明では塗装板表面の中心線平均粗さRaを0.15μm以下と規定した。
【0015】
なお、塗装板表面の粗度(塗膜表面の粗度)は、塗膜の下地である金属板表面の粗度の影響を受ける。そこでこの発明で用いる金属板表面の粗度は、中心線平均粗さRaで0.4μm以下とすることが好ましい。すなわち、塗膜としてシリカ含有アクリル系樹脂を塗布する場合、後述するように塗膜厚さ等にも影響されるが、金属板表面のRaを0.4μm以下とすることによって塗装板表面のRaを0.15μm以下とすることが容易となる。
【0016】
なおまた下地の金属板は、アルミニウム合金板、銅板、鋼鈑、チタン板、マグネシウム板等、塗装が可能な材料であれば特に限定されるものではなく、用途に応じて選択すれば良い。
【0017】
この発明において、塗膜の基材である樹脂としては、アクリル系樹脂を用いる。ここでアクリル系樹脂とは、アクリル樹脂を主体とするものである。アクリル樹脂は総合的に塗膜性能が良好で比較的に安価なことから一般的に塗料に多く使用されており、特に塗膜表面の光沢を比較的高くすることができ、また比較的硬い塗膜を形成させることができることから、自動車外板や建材等に最適である。
【0018】
なおアクリル樹脂は、アクリル酸、およびメタクリル酸等とそれらのエステルの共重合物であるが、このようなアクリル樹脂に、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等が少量混合されていても特に支障はない。
【0019】
この発明では、上述のようなアクリル系樹脂を基材とする塗膜には、親水性付与のためにコロイダルシリカを添加して、シリカ含有アクリル系樹脂塗膜とする。すなわち、コロイダルシリカはシラノールを形成して親水性をもたらすことができる。そしてコロイダルシリカの添加により塗膜に親水性を付与しておくことによって、塗膜表面にかかった雨水等が円滑に流れて溜まりにくくなり、付着した汚れを落としやすくすることができる。
【0020】
ここで塗装板表面の粗度、すなわち塗膜表面の粗度は、塗膜中に含まれるコロイダルシリカの粒径の影響を受け、コロイダルシリカの粒径が大きければ塗装板表面の粗度Raを0.15μm以下に調整することが困難となる。そこでこの発明ではシリカ含有アクリル系樹脂塗膜に含有されるコロイダルシリカの平均粒径を0.1μm以下と規定した。また塗膜に含まれるコロイダルシリカの粒径は、成形性にも大きく影響する。すなわちプレコート金属塗装板に対して成形加工を行なう際に、コロイダルシリカの粒径が大きければ、そのコロイダルシリカが塗膜の割れの起点となってしまう。したがってこの点からもコロイダルシリカの粒径を0.1μm以下とする必要がある。なお後述するようにコロイダルシリカの粒径は親水性にも影響を与え、コロイダルシリカが微細であるほど親水性は良好となり、その点からも、コロイダルシリカの粒径は0.1μm以下が好ましい。
【0021】
さらに、塗膜に含まれるコロイダルシリカの含有量は、親水性の程度に影響を与える。親水性は通常は水との接触角で評価されるが、自動車外板や建材等のプレコート金属塗装板としては、塗装板表面の水との初期接触角を50°以下とすることが望ましい。50°を越える接触角を有する場合、すなわち親水性が低い場合には、付着した雨水等が溜まりやすくなって、汚れを流し落とすことが阻害されてしまう。このように50°以下の接触角となるような親水性を確保するためには、シリカ含有アクリル系樹脂塗膜中のコロイダルシリカの量を、乾燥塗膜重量の1%以上とする必要がある。1%未満では親水性の効果が充分に得られず、一方10%を越えれば親水性のそれ以上の向上がなく、コストアップとなるだけである。
【0022】
なおシリカ含有アクリル系樹脂塗膜中のコロイダルシリカの量は、後に改めて説明するように、塗膜の硬さ、成形加工時の割れの生じやすさに影響を与えるが、塗膜乾燥重量の1〜10%の範囲内であれば、塗膜として柔らか過ぎず、かつ硬過ぎず(したがって割れが発生しにくく)、良好な加工性能を有する塗膜とすることができる。
【0023】
なおまた、コロイダルシリカの粒径も親水性に影響を与え、0.1μm以下の微細なものとすることによって塗膜表面にシラノールを微細に存在させて、水濡れをより良好にすることできる。
【0024】
なお、親水性をより向上させたい場合には、コロイダルシリカのほか、アルコキシ基を含有するシリコーン化合物を塗膜に乾燥塗膜重量の0.1〜5%添加することが好ましい。ここで、アルコキシ基を含有するシリコーン化合物としては、平均重合度が3〜50のものを用いることが望ましい。重合度が3より低ければ、加水分解され難いため親水性を向上させる効果が得られず、一方重合度が50より高ければゲル化しやすくなって塗膜として成り立たなくなる。
【0025】
さらに、シリカ含有アクリル系樹脂塗膜中に含まれるコロイダルシリカの粒径、含有量が塗膜の硬さおよび成形時の塗膜割れの発生に与える影響について説明する。
【0026】
土砂、埃、煤塵、排ガス中の粒子状物質等は、塗膜表面が軟らかければ塗膜中に埋没しやすく、除去しにくい汚れとなる。したがって防汚性の観点からは塗膜は硬い方がよい。しかしながら、プレコート金属塗装板に対しては成形加工が行われるから、塗膜が硬ければ成形時に塗膜割れが発生しやすくなってしまう。すなわち、塗膜の硬さに関しては、防汚性からの要求と成形性からの要求とが相反する。このような相反する性能を満足させるためには、硬化剤・焼付条件だけでは制御が難しく、そこでこの発明では、塗膜中のコロイダルシリカの粒径と添加量を適切に調整することによってこれらの相反する性能を満足させている。
【0027】
すなわち、硬質なコロイダルシリカを塗膜に添加することによって、塗膜を硬くする一方、コロイダルシリカの粒径を0.1μm以下に規制することによって成形時の割れの起点となってしまうことを防止している。またコロイダルシリカの添加量も重要であり、コロイダルシリカの添加量が1%未満であれば、コロイダルシリカの粒子数も少なくなるため、成形時の割れの起点が少なくなって割れが生じにくくなるが、塗膜が柔らか過ぎて成形時や使用時に傷付きやすくなる。一方コロイダルシリカの添加量が10%を越えれば塗膜は硬くなるが、塗膜割れの起点が多くなって、成形時に割れが発生しやすくなる。
【0028】
そしてまた、前記両性能の兼ね合いから、塗膜表面の硬さは、鉛筆硬度で3H〜5Hの範囲内とすることが好ましい。3H未満であれば成形しやすい反面、汚れやすくなり、一方5Hを越えれば汚れにくくなる反面、成形しにくくなってしまう。
【0029】
この発明のプレコート金属塗装板における塗膜は、後述するように単層構造でも2層構造でも良いが、その全体の厚さは、合計厚さで10〜30μmの範囲内とすることが好ましい。塗膜の厚さが10μm未満では、下地である金属板の表面粗度の影響を受けて塗装板表面(塗膜表面)にも凹凸が生じ、塗装板表面粗さRaを0.15μm以下に調整することが困難となりやすく、また塗膜の耐食性も低下する。しかしながら、合計塗膜厚さが30μmを越えてもそれ以上の特性の向上が得られないのが通常である。
【0030】
塗膜の構成としては、前述のようなコロイダルシリカを添加したアクリル系樹脂を基材とする塗膜(シリカ含有アクリル樹脂系塗膜)だけの単層構造でも良いが、場合によっては2層構造としても良い。2層構造とする場合、少なくとも外面側のトップコート層として前述のようなシリカ含有アクリル系樹脂塗膜層を形成すれば良い。一方基材金属板側のベースコート(アンダーコート)層としては、一般に良く使用されている高分子ポリエステル樹脂、あるいはエポキシ樹脂を用いれば良いが、トップコートや下地金属との塗膜密着性が満足できれば特に限定されるものではない。
【0031】
トップコート層の塗膜厚さはベースコート層との兼ね合いで決まる。すなわちベースコート層が厚ければトップコート層は薄くて良く、一方ベースコート層を省略した単層構造とする場合はトップコート層の塗膜層厚さがそのまま全塗膜厚さになる。
【0032】
2層構造とした場合のトップコート層の厚さは2〜20μmの範囲内が好ましい。ベースコート層有りの場合、トップコート層の厚さが2μm以下では、前述のような諸性能を発揮することが困難となり、一方トップコート層の厚さが20μmを越えても、それ以上の効果は期待できず、コストアップを招くだけである。そしてまたベースコート層を省略して単層構造とする場合には、トップコート層だけで10μm以上にする必要がある。
【0033】
さらに、シリカ含有アクリル樹脂系塗膜には、アクリル系樹脂に必要に応じて種々の顔料あるいは染料を添加して、所望の塗膜色を得ることができる。例えば顔料としては、白色の塗膜色を得たい場合は主として酸化チタンを添加し、黒色の塗膜色を得たい場合は主としてカーボンブラックを添加すれば良く、また染料の例としては、青色の塗膜を得たい場合フタロシアニンブルーを添加すれば良い。このような顔料もしくは染料の1種または2種以上を添加する場合、これらの量は乾燥塗膜重量の0.1〜40%とすることが好ましい。そのほか、耐候性をさらに向上させるために、塗膜に紫外線吸収剤、光安定剤を含有させても良い。
【0034】
【実施例】
下地の金属板(素板)として、JIS5052合金H34材からなる厚さ0.7mmのアルミニウム合金板を用い、リン酸ソーダ系の脱脂剤で脱脂した後、リン酸クロメートによる化成処理皮膜を形成した。その後必要に応じて高分子ポリエステル樹脂からなるアンダーコート塗膜層を形成した後、トップコート層として、アクリル系樹脂にコロイダルシリカを添加しかつ必要に応じてアルコキシ基シリコーン化合物、顔料、塗料を添加した塗膜層を形成して、塗装板を製造した。詳細な条件を表1中に示す。なおトップコート層としてのアクリル系樹脂塗膜層の焼付条件は、260℃×60秒とし、高分子ポリエステル樹脂を用いたアンダーコート塗膜層の焼付条件は、210℃×60秒とした。なおまたアルコキシ基を含有するシリコーン化合物としては、平均重合度が10のものを用いた。
【0035】
【表1】
【0036】
製造した塗装板について、次のようにして諸性能を評価し、その結果を表2に示した。
【0037】
耐汚染性:
赤マジックインク除去性およびカーボンブラック除去性によって評価した。そのうち赤マジックインク除去性は、市販のサクラネーム(登録商標)赤マジックインクで3cm×5cmの線を描き、24時間放置した後、エタノールを浸したキムワイプで20回擦った後の塗膜表面に残存した赤マジックを、目視によって評価した。またカーボンブラック除去性は、5%カーボンブラック水溶液をスプレーで吹き付け、80℃×2時間乾燥して冷却した後、ブラシにて水洗し、塗膜表面に残存したカーボンブラックを、目視により評価した。いずれも完全に除去されたものを○、少し残ったものを△、相当量残ったものを×とし、中間レベルのものは両方のマークを付した。評価基準としては、○、○△、△を合格、△×、×を不合格とした。
【0038】
曲げ加工性:
3Tあるいは4Tの180度曲げを施して、曲げ部の塗膜の割れ状況を目視観察した。塗膜割れ無しの場合を○、塗膜割れが少ない場合を△、塗膜割れが多い場合を×とし、中間レベルのものは両方のマークを付した。評価基準としては、○、○△、△を合格、△×、×を不合格とした。
【0039】
塗膜硬さ:
塗膜硬さを、いずれの硬さの鉛筆芯で引っ掻いて傷が入らないかにより評価した。評価基準は、2Hまでを不合格、3Hより硬い場合を合格とした。
【0040】
親水性:
塗膜表面の親水性を水接触角で評価した。評価基準は、角度が小さい方が良好で、50度以下を合格、50度を越えた場合を不合格とした。
【0041】
大気暴露試験:
工業地帯において6ケ月間、12ケ月間の大気暴露試験を行ない、6ケ月後、12ケ月後の汚れ外観、および汚れの除去性によって評価した。汚れ外観については、汚れが全く無い場合を○、汚れがややある場合を△、汚れが相当ある場合を×とし、中間レベルの場合は両方のマークを付した。また汚れの除去性については、水で拭いた後の塗装表面で汚れが完全に除去された場合を○、汚れがやや残った場合を△、汚れが相当残った場合を×とし、中間レベルの場合は両方のマークを付した。いずれも評価基準としては、○、○△、△を合格、△×、×を不合格とした。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すように、比較例1は金属素板表面の中心線平均粗さRaが0.4μmよりも大きいため、塗装板表面(塗膜表面)の中心線粗さRaが0.15μm以下にならず、大気暴露での汚れ外観、汚れの除去性が劣ってしまった。
【0044】
比較例2はコロイダルシリカの平均粒経が0.3μmと大きいため、塗装板表面のRaが0.15μm以下にならず、またコロイダルシリカの含有量が多いために曲げ加工性が劣り、大気暴露での汚れ外観、汚れの除去性が劣ってしまった。
【0045】
比較例3はコロイダルシリカを添加していないため、耐汚染性が劣り、親水性、鉛筆硬さも劣り、大気暴露での汚れ外観、汚れの除去性が劣ってしまった。
【0046】
比較例4はコロイダルシリカの添加量が少ないため、耐汚染性が劣り、親水性が劣り、大気暴露での汚れ外観、汚れの除去性が劣ってしまった。
【0047】
比較例5は塗装板表面のRaが0.19μmと比較的大きく、そのため耐汚染性が若干劣り、大気暴露での汚れ外観、汚れの除去性がやや劣ってしまった。
【0048】
一方発明例4は、アルコキシ基を含有するシリコ−ン化合物を添加していないために、その他の発明例と比較すれば耐汚染性が僅かに劣り、親水性も僅かに劣っているが、いずれも各比較例よりは良好で、実用レベルに達していた。
【0049】
その他の発明例では、評価した結果は全項目が良好であった。
【0050】
また表には示していないが、そのほかの塗膜性能である密着性、沸水試験後の外観及び塗膜密着性、耐食性についても、全ての発明例で良好であった。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明のプレコート金属塗装板によれば、防汚性を初めとする塗膜性能とプレコート板としての加工性とを両立させることができ、これらの特性を必要とする自動車等輸送機器の外板、建材、家電製品等に好適に用いることができる。
Claims (3)
- 成形加工前の状態で予め金属板表面に塗膜が形成されてなるプレコート金属塗装板において、塗装板表面の中心線平均粗さRaが0.15μm以下であり、かつ前記塗膜として、少なくとも外表面側に、アクリル系樹脂を基材としかつ0.1μm以下の平均粒径のコロイダルシリカを乾燥塗膜重量の1〜10%含有するシリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が形成されていることを特徴とする、シリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板。
- 請求項1に記載のシリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板において、
前記シリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が、さらにアルコキシ基を含有する平均重合度が3〜50のシリコーン化合物を乾燥塗膜層重量の0.1〜5%含有することを特徴とする、シリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板。 - 請求項1もしくは請求項2に記載のシリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板において、
前記シリカ含有アクリル系樹脂塗膜層が、さらに1種または2種以上の顔料もしくは染料を乾燥塗膜層重量の0.1〜40%含有することを特徴とする、シリカ含有アクリル系樹脂プレコート金属塗装板。
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