JP3722553B2 - スリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反発性能、飛行性能、耐久性、打撃時フィーリングに優れたスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術においては、主として2種類のゴルフボールがある。一方は、中実のツーピースボールやスリーピースボール等のソリッドゴルフボールであり、一体成形されたゴム製部材から成るコアおよび該コア上に被覆したアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂カバーから構成される。また、他方は糸巻きゴルフボールであり、中心の固体または液体の芯部を、ゴム糸で巻き付け、次いで1〜2mm厚のアイオノマー樹脂やバラタ等によるカバーで被覆したものである。ソリッドゴルフボールの中で、主として市販されているのは、製造の容易性等の理由から、コアとカバーのみから成るツーピースソリッドゴルフボールである。ツーピースソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフボールと比較すると、耐久性、および打撃時のボール速度が大きいことから飛距離が大きく、飛行特性に優れ、特にアマチュアゴルファーを中心に多くのゴルファーに使用されている。その反面、ツーピースソリッドゴルフボールは、打球感が硬く、また、スピン量が少ないため、アプローチのコントロール性に欠ける。そのため、ツーピースソリッドゴルフボールは、打撃時フィーリングやコントロール性を重視するプロゴルファーや上級ゴルファーは敬遠しがちである。
【0003】
ツーピースソリッドゴルフボールの欠点を解決する試みとして、ソリッドコアを2層構造にしてスリーピースソリッドゴルフボールの構造を採用することが提案されている。コアを2層構造にするものとしては、特開昭60-241464号公報、特開昭62-181069号公報、特開昭64-80377号公報等があるが、これらに共通する構造的な特徴として、内層コアに比較して外層コアの硬度を高く設定していることである。つまり、コアの外側を硬くし内側へいくほど軟らかくすることによりボールの変形量を大きくでき、ソフトな打球感を得るのである。しかしながら、この場合、ボールの耐久性は満足のいくものではない。
【0004】
また、特開平6-23069号公報には、同じくスリーピース構造をとり、内層コアより外層コアが硬度が低くすることが提案されている。しかしながら、この構造では内層コアの硬度分布は外側が硬く内側へいくほど軟らかくなっており、内層コアの反発性能が悪く、飛距離が短いという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のソリッドゴルフボールの有する問題点を解決し、反発性能、飛行性能、耐久性、打撃時フィーリングに優れたスリーピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、コア(a)と該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コア(a)が内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するゴルフボールにおいて、コアの比重、内層コア(1)の直径、硬度および硬度分布、外層コア(2)の硬度、およびカバー(3)の硬度を特定範囲に設定することにより、打球感、反発性能を損なわず、飛行性能および耐久性を向上させ得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、コア(a)と該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、該内層コア(1)が直径31〜36mmおよびJIS‐C硬度60〜85を有し、該外層コア(2)のJIS‐C硬度が該内層コアより5〜25低く、該内層コア ( 1 ) および外層コア ( 2 ) が共に、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物および充填材を含有するゴム組成物の加硫生成物から成り、該内層コア ( 1 ) のJIS‐C硬度がその中心部硬度に対して±7%以内の範囲であり、少なくとも
( 内層コア中心部硬度 ) ≧ ( 内層コア表面硬度 )
を満足することを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボールに関する。更に本発明をより好適に実施するには、カバー(3)がショアーD硬度55〜75を有することが望ましい。
【0008】
以下、本発明について更に詳述する。本発明に用いられる内層コア(1)は、直径31〜36mmを有することが好ましい。31mm未満ではボールコンプレッションが軟らかくなり過ぎて反発性能が劣り、36mmを越えると外層コアの部分が薄くなり過ぎて外層部分の存在意味がなくなる。また、内層コア(1)は、JIS-C硬度60〜85を有することが好ましい。60未満では反発性能が悪く、85mmを越えると打球感が硬くなり過ぎる。上記内層コア(1)のJIS-C硬度がその中心部硬度に対して±7%以内の範囲で均一であり、少なくとも
(内層コア中心部硬度)≧(内層コア表面硬度)
であることが望ましい。内層コア(1)のJIS-C硬度が±7%以内の範囲外では、中心部から表面にかけての硬度が不均一となり反発性能が低下する。また、表面硬度が中心部硬度を越えるとフィーリングが悪くなり、耐久性が低下する。
【0009】
更に、外層コア(2)JIS-C硬度が内層コア(1)より5〜25低いことが好ましい。5未満では打球感が悪く、25を越えると外層コア硬度が低くなり過ぎ、反発性能が悪くなる。
【0010】
外層コア(2)の厚さは、コア(a)の直径が通常38.0〜40.0mmであることから、1〜5mm、好ましくは1.5〜4.0mmとなる。外層コアの厚さが1mmより小さいと、外層コアの存在意味がなくなり、フィーリングが硬くなる。5mmより大きいと、反発性能が悪く、飛行性能が悪くなる。
【0011】
コア比重は、ボール重量の関係で、全体として1.0〜1.3、かつボールの慣性モーメントを上げるため外層コアは内層コア以上で、外層コア1.1〜1.3、内層コア1.0〜1.2が好ましい。
【0012】
また本発明に用いられる内層コア(1)および外層コア(2)は、基本的にはソリッドゴルフボールのコアに用いられるゴム組成物の加硫成形することにより得られる。ゴム組成物は通常、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物、充填材等を含有する。基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴムおよび/または合成ゴムが用いられ、特にシス-1,4-結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、所望により、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、EPDM等を配合してもよい。
【0013】
不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤として作用し、特にアクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β-不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩が挙げられるが、高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は基材ゴム100重量部に対して、内層では18〜35重量部、外層では15〜30重量部が好ましい。内層では35重量部、外層では30重量部より多いと硬くなり過ぎ、フィーリングが悪くなり、内層では18重量部、外層では15重量部より少ないと反発が悪くなり飛距離が低下する。
【0014】
有機過酸化物は架橋剤または硬化剤として作用し、例えばジクミルパーオキサイドまたはt-ブチルパーオキサイドが挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して、内層では0.5〜1.5重量部、外層では0.5〜2.5重量部であることが好ましい。内層では0.5重量部、外層では0.5重量部未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下する。内層では1.5重量部、外層では2.5重量部を越えると硬くなり過ぎ、フィーリングが悪くなる。
【0015】
充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
更に本発明のゴルフボールのコアには、老化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。
【0017】
本発明では、内層コア(1)上に外層コア(2)が形成される。内層コアと外層コアの硬度の差は、ゴム組成物の配合や加硫条件を変更することにより行う。
【0018】
次いで、上記コア上にはカバー(3)を被覆する。
カバーはソリッドゴルフボールのカバー材として通常使用されるアイオノマー樹脂やバラタで形成することができ、少量の他の樹脂を加えてもよい。また、上記カバー用組成物には、硫酸バリウム等の充填材や着色のために二酸化チタン等の添加物や、その他の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよい。
【0019】
本発明のカバー層は、ゴルフボールのカバーの形成に使用されている一般に公知の方法、例えば射出成形、プレス成形等により形成される。本発明のゴルフボールのカバーはショアーD硬度55〜75を有することが好ましく、55未満では反発低下を招き、75を越えると打球感が硬くなる。カバー層厚さは1〜4mmが好ましく、1mm未満ではボール全体の硬度が小さくなって反発係数が小さくなり、4mmを越えるとボール全体の硬度が大きくなってコントロール性とフィーリングが悪くなる。また、カバー層はショアーD硬度55〜75、より好ましくは60〜75を有することが好ましく、55未満では反発が悪くなり、75を越えると打球感が硬くなってしまう。被覆する際に通常、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。本発明のゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイントで被覆され、市場に投入される。
【0020】
本発明では、打球感、反発性能を損なわず、優れた飛行性能および耐久性を向上させたソリッドゴルフボールを提供する。
【0021】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8および比較例1〜3)
内層コア
表1に示した配合の内層コア用組成物を混練し、表1に示すような比重、直径および加硫条件の球状内層コアをプレスして作製した。
【表1】
【0022】
外層コア
上記内層コア上に同中心的に、表2に示した配合の外層コア用組成物を被覆し、150℃×20分間加硫し、直径39mmを有する、表2に示すような比重の球状コアを得た。
【表2】
【0023】
カバー
得られたソリッドコア上に表3に示したカバー配合を被覆し、金型合わせ目上のバリを切削し、ペイントを塗布して、直径42.7mmのソリッドゴルフボールを得た。
【表3】
【0024】
1)日本合成ゴム社製ポリブタジエン
2)吉富製薬製ヨシノックス425
3)エクソン(Exxon)製アイオノマー樹脂 (ショアD硬度* 61)
4)エクソン(Exxon)製アイオノマー樹脂 (ショアD硬度* 57)
5)三井デュポンポリケミカル社製アイオノマー樹脂(ショアD硬度* 66)
6)三井デュポンポリケミカル社製アイオノマー樹脂(ショアD硬度* 67)
* ASTM D 2240
【0025】
得られたソリッドゴルフボールについて、内層コアの直径および硬度、外層コアの硬度、カバーの硬度と共に、打出角、スピン、飛距離(キャリー)、並びに耐久性指数および打撃時のフィーリングを表4(実施例)および表5(比較例)に示した。試験方法は後記の通り行った。
(試験方法)
▲1▼打出角、飛距離およびスピン
ツルーテンパー社製スイングロボットにドライバー(w#1)を取付け、ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃し、落下点までの距離(キャリー)を飛距離として測定し、打出角を測定し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピンを求めた。
▲2▼耐久性指数
ツルーテンパー社製スイングロボットにドライバー(w#1)を取付け、ゴルフボールをヘッドスピード45m/秒で打撃し、破壊が生じるまでの耐衝撃回数(打撃回数)を測定し、実施例1を100とした指数で示した。
▲3▼打撃時フィーリング
プロゴルファー10人によりドライバーで実打して評価した。評価基準は以下の通りである。
評価基準
◎ … 非常に良好
〇 … 良好
△ … 普通
× … 軟らかすぎる
【0026】
(試験結果)
【表4】
【表5】
【0027】
以上の結果より、本発明の実施例1〜8は、比較例1〜3と比較して、飛距離、耐久性、フィーリングにおいて良好であることがわかる。
【0028】
【発明の効果】
コアと該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有する本発明のゴルフボールにおいて、内層コア(1)の直径、硬度および硬度分布、外層コア(2)の硬度、およびカバー(3)の硬度を特定範囲に設定することにより、打撃時フィーリングを損なわず、飛行性能および耐久性を向上させ得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの断面概略図である。
【符号の説明】
1 … 内層コア
2 … 外層コア
3 … カバー
Claims (2)
- コア(a)と該コア上に形成されたカバー(3)から成り、該コアが内層コア(1)と外層コア(2)の2層構造を有するスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、該内層コア(1)が直径31〜36mmおよびJIS‐C硬度60〜85を有し、該外層コア(2)のJIS‐C硬度が該内層コアより5〜25低く、該内層コア ( 1 ) および外層コア ( 2 ) が共に、基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物および充填材を含有するゴム組成物の加硫生成物から成り、該内層コア ( 1 ) のJIS‐C硬度がその中心部硬度に対して±7%以内の範囲であり、少なくとも
( 内層コア中心部硬度 ) ≧ ( 内層コア表面硬度 )
を満足することを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボール。 - 該カバー(3)が、ショアーD硬度55〜75を有する請求項1記載のゴルフボール。
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