JP2014025133A - 冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.005〜2.0%、Mn:2.1〜4.0%、P:0.0004〜0.1%、S:0.0029%以下、sol.Al:0.0002〜2.0%以下、N:0.0080%以下、Ti:0.03%超0.30%以下およびB:0.0005〜0.0100%を含有し、面積%で、フェライトを5%超95%以下、ならびにマルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトからなる超硬質相群の1種以上を合計で3.0〜20%含有するとともに、前記フェライトの平均粒径が5.0μm以下、前記超硬質相群の平均粒径が2.0μm以下、超硬質相平均間隔が2.0μm以下、および円相当直径1μm以上のTi−B系析出物の数密度が500個/mm2以下、鋼板表面の深さ3μm以上のクラックの数密度が150個/mm以下。
【選択図】 なし
Description
その結果、TiとBを多量添加するという高強度化に安価な強化手法を使用しつつも、鋼板内部のTi−B系の析出物や鋼組織を適正化することによって、780MPa以上の高い引張強度を有しながら、良好な延性、穴拡げ性および曲げ性をも備えた冷延鋼板を得ることができるという新たな知見を得た。
(1)質量%で、C:0.03%以上0.20%以下、Si:0.005%以上2.0%以下、Mn:2.1%以上4.0%以下、P:0.0004%以上0.1%以下、S:0.0029%以下、sol.Al:0.0002%以上2.0%以下、N:0.0080%以下、Ti:0.03%超0.30%以下およびB:0.0005%以上0.0100%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成と、面積%で、フェライトを5%超95%以下、ならびにマルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトからなる超硬質相群から選択される1種または2種以上を合計で3.0%以上20%以下含有するとともに、前記フェライトの平均粒径が5.0μm以下、前記超硬質相群の平均粒径が2.0μm以下、前記超硬質相群の最近接距離の平均値である超硬質相平均間隔が2.0μm以下、および円相当直径1μm以上のTi−B系析出物の数密度が500個/mm2以下である鋼組織と、鋼板の表面における深さ3μm以上のクラックの数密度が150個/mm以下である表面性状と、引張強さ:780MPa以上、全伸び:10%以上、穴拡げ率:30%以上、および曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値:板厚の3.5倍以下である機械特性とを有することを特徴とする冷延鋼板。
(a)請求項1〜請求項5のいずれかに記載の化学組成を有する溶鋼を、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.2℃/秒以上として鋳造する鋳造工程;
(b)前記鋳造工程で得られた鋳片を、1150℃以上の温度域に2.0時間以上加熱して熱間圧延を施し、熱間圧延完了後、2℃/秒以上の平均冷却速度で冷却して、前記加熱の終了から10分間以内に750℃以下の温度域で巻取り、その後、2℃/時以上の冷却速度で150℃以下の温度域まで冷却して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(c)前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に下記式(i)を満足する条件下で酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
酸濃度(質量%)×酸温度(℃)×酸浸漬時間(秒)≦1800000 ・・・ (i)
(d)前記酸洗工程で得られた酸洗鋼板に30%以上の圧下率の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(e)前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板を750℃以上1000℃以下の温度域に5秒間以上1000秒間以下保持したのち、2℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で580℃以下200℃以上の温度域まで冷却する連続焼鈍工程。
[C:0.03%以上0.20%以下]
Cは、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトなどの硬質相を生成させ、鋼板の強度を向上させる作用を有する。C含有量が0.03%未満では780MPa以上の引張強度を確保することが困難である。したがって、C含有量は0.03%以上とする。980MPa以上の引張強度を得るには、C含有量を0.04%以上とすることが望ましい。一方、C含有量が0.20%超では溶接性の低下が著しくなる。したがって、C含有量は0.20%以下とする。
Siは、固溶強化によって鋼板の強度を高める作用を有する。Si含有量が0.005%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Si含有量は0.005%以上とする。一方、Si含有量が2.0%超では、化成処理性が悪化して、塗装前に一般に実施される化成処理の後の耐食性の劣化が著しくなる。したがって、Siの含有量は2.0%以下とする。化成処理性をさらに向上させるにはSi含有量を1.0%以下とするのが望ましい。
Mnは、鋼の焼入性を高めることにより鋼板の強度を高める作用を有する。Mn含有量が2.1%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Mn含有量は2.1%以上とする。好ましくは2.3%以上である。一方、Mn含有量が4.0%超では、焼入性が過剰に高まって、マルテンサイトの面積率が過大となり、曲げ性の低下が著しくなる。したがって、Mn含有量は4.0%以下とする。好ましくは3.0%以下である。
Pは、固溶強化により鋼板の強度を高める作用を有する。P含有量が0.004%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、P含有量は0.0004%以上とする。一方、Pは偏析し易い元素であるため、Pを多量に含有すると溶接性の低下を招く。P含有量が0.1%超では偏析による溶接性の低下が著しくなる。したがって、P含有量は0.1%以下とする。
Sは、不純物として含有され、鋼中に硫化物を形成して曲げ性を低下させる作用を有する。S含有量が0.0029%超では穴拡げ性や曲げ性の低下が著しくなる。したがって、S含有量は0.0029%以下とする。好ましくは0.0020%以下である。S含有量は低ければ低いほど好ましいので、S含有量の下限は規定する必要はないが、製鋼コストの観点からは0.0002%以上とすることが好ましい。
Alは、鋼を脱酸して鋼板を健全化する作用を有する。sol.Al含有量が0.0002%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、sol.Al含有量は0.0002%以上とする。一方、sol.Al含有量が2.0%超では、粗大なアルミナ系介在物が増加して、曲げ性および耐疲労特性の低下が著しくなる。したがって、sol.Al含有量は2.0%以下とする。
Nは、不純物として含有され、鋼中に窒化物を形成して曲げ性を低下させる作用を有する。N含有量が0.0080%超では曲げ性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.0080%以下とする。N含有量は低ければ低いほど好ましいので、N含有量の下限は規定する必要はないが、製鋼コストの観点からは0.0002%以上とすることが好ましい。
Tiは本発明で重要な元素である。TiCによる析出強化に加えて、フェライト粒径を微細化させる作用を有し、これにより効果的に高強度化を図ることができる。加えて、マルテンサイト、残留オーステナイト、ベイナイト、パーライトおよびセメンタイト等の硬質相を微細に分散させ、穴拡げ性や曲げ性を向上させる作用を有する。Ti含有量が0.03%以下では上記作用による効果を十分に得ることができない場合がある。したがって、Ti含有量は0.03%超とする。好ましくは0.10%以上である。Ti含有量を0.16%以上とすれば上記作用による効果が一層顕著となるため、Ti含有量は0.16%以上とすることがより好ましい。一方、Ti含有量が0.30%超では、粗大な晶出系TiN粒子が多く形成されてしまうため、却って曲げ性が劣化する場合がある。したがって、Ti含有量は0.30%以下とする。好ましくは0.25%以下である。
Bは、Tiと同様に本発明で重要な元素である。少量の含有によりフェライトの成長を抑えることができ、フェライトの微細化による高強度化が図ることができる。B含有量が0.0005%未満では、上記作用による効果を十分にえることができない場合がある。したがって、Bの含有量は0.0005%以上とする。B含有量を0.0021%以上とすれば上記作用による効果が一層顕著となるため、B含有量は0.0021%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0100%超では粗大なB析出物が多く形成されてしまい、却って、穴拡げ性や曲げ性が劣化する。したがって、B含有量は0.0100%以下とする。
Biは、凝固の接種核となり、凝固時のデンドライトアーム間隔を小さくし、凝固組織を細かくする作用を有する。その結果、MnやTi等の偏析が生じ易い元素の偏析を抑制し、鋼板の局所的な強度差を低減し、穴拡げ性や曲げ性を向上させる作用を有する。したがって、Biを含有させることが好ましい。しかし、Biは曲げ加工時の割れの起点となる酸化物を鋼中に形成するため、Biの含有量が0.5%を超えると、穴拡げ性や曲げ性が却って劣化する。したがって、Bi含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.03%以下である。上記作用による効果をより確実に得るにはBi含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。
Nb、V、W、Cr、Mo、CuおよびNiは、Mnと同様に鋼の焼入性を高めることによって鋼板の強度を高める作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、Nb、V、W、Cr、Mo、CuおよびNiについてそれぞれ含有量が1.0%を超えると、焼入性が過剰に高まって、マルテンサイトの面積率が過大となり、穴拡げ性や曲げ性の低下が著しくなる。したがって、Nb、V、W、Cr、Mo、Cu、Niの含有量はそれぞれ上記のとおりとする。上記作用による効果をより確実に得るには、Nb、V、W、Cr、Mo、CuおよびNiのいずれかの元素を0.005%以上とすることが好ましい。
REM(希土類元素)、Mg、CaおよびZrは、鋼中に形成される酸化物や硫化物を微細に球状化させて曲げ性を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、REMについては含有量が0.1%超えると、Mg、CaおよびZrについてはそれぞれ含有量が0.05%を超えると、鋼中に形成される酸化物や硫化物の数が過剰となり、却って曲げ性を劣化させる。したがって、REM(希土類元素)、Mg、CaおよびZrの含有量はそれぞれ上記のとおりとする。上記作用による効果をより確実に得るには、REM、Mg、CaおよびZrのいずれかの含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。
本発明に係る冷延鋼板は、面積%で、フェライトを5%超95%以下、ならびにマルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトからなる超硬質相群から選択される1種または2種以上を合計で3.0%以上20%以下含有するとともに、前記フェライトの平均粒径が5.0μm以下、前記超硬質相群の平均粒径が2.0μm以下、前記超硬質相群の最近接距離の平均値である超硬質相平均間隔が2.0μm以下、および円相当直径1μm以上のTi−B系析出物の数密度が500個/mm2以下である鋼組織を有する。
フェライト面積率が5%以下では、10%以上の全伸びを確保することが困難となる。したがって、フェライト面積率は5%超とする。フェライト面積率は、好ましくは10%以上である。一方、フェライト面積率が95%超では、780MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、フェライト面積率は95%以下とする。フェライト面積率は好ましくは75%以下である。
マルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトからなる超硬質相群の合計面積率が3.0%未満では、780MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、超硬質相群の合計面積率は3.0%以上とする。一方、超硬質相群の合計面積率が20%超では、超硬質相の量が過剰となり、フェライトと超硬質相の界面から発生した亀裂が早期に連結してしまう。その結果、穴拡げ性や曲げ性が低下し、穴拡げ率を30%以上とし、曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値を板厚の3.5倍以下とすることが困難となる。したがって、超硬質相の合計面積率は20%以下とする。
フェライト平均粒径が5.0μm超では、穴拡げ加工時や曲げ加工時におけるフェライトへの歪の集中が著しくなるため、フェライトと超硬質相との界面から亀裂が早期に発生してしまう。その結果、穴拡げ性や曲げ性が低下し、穴拡げ率を30%以上とし、曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値を板厚の3.5倍以下とすることが困難となる。したがって、フェライト平均粒径は5.0μm以下とする。好ましくは2.5μm以下である。フェライト平均粒径の下限は特に規定しないが、フェライトの平均粒径が0.3μm以下になると、YPが極度に高くなり、部材加工時の形状凍結性が悪くなる。したがって、フェライト平均粒径は0.3μm以上とすることが好ましい。
超硬質相群(マルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイト)の平均粒径が2.0μm超では、超硬質相が過大であるため、フェライトと超硬質相との界面から亀裂が早期に発生してしまい、穴拡げ性や曲げ性が低下し、穴拡げ率を30%以上とし、曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値を板厚の3.5倍以下とすることが困難となる。したがって、超硬質相群の平均粒径は2.0μm以下とする。好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。
超硬質相群(マルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイト)の最近接距離の平均値である超硬質相平均間隔が2.0μm超では、穴拡げ加工時や曲げ加工時において、超硬質相間に存在するフェライトへの歪の集中が著しくなるため、フェライトと超硬質相との界面から亀裂が早期に発生してしまい、穴拡げ性や曲げ性を低下させ、穴拡げ率を30%以上とし、曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値を板厚の3.5倍以下とすることが困難となる。したがって、超硬質相平均間隔は2.0μm以下とする。
引張強さ:780MPa以上、全伸び:10%以上、穴拡げ率:30%以上、曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値:板厚の3.5倍以下である機械特性を具備させるために、本発明においては、析出強化と鋼組織の細粒化強化とを積極的に利用する。このため、0.03%超のTiとともに0.0005%以上のBを含有させる。
本発明に係る冷延鋼板は、鋼板表面における深さ3μm以上のクラックの数密度が150個/mm以下である表面性状を有する。
本発明の冷延鋼板は、順に、(a)鋳造工程、(b)熱間圧延工程、(c)酸洗工程、(d)冷間圧延工程;および(e)連続焼鈍工程を有する方法により製造される。
上述した化学組成を有する溶鋼を、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.2℃/秒以上として鋳造し、鋳片を得る。
上記鋳造工程で得られた鋳片を、1150℃以上の温度域に2.0時間以上加熱して熱間圧延を施し、熱間圧延完了後、2℃/秒以上の平均冷却速度で冷却して、前記加熱の終了から10分間以内に750℃以下の温度域で巻取り、その後、2℃/時以上の冷却速度で150℃以下の温度域まで冷却して熱延鋼板とする。
上記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に下記式(i)を満足する条件下で酸洗処理を施して酸洗鋼板とする:
酸濃度(質量%)×酸温度(℃)×酸浸漬時間(秒)≦1800000 ・・・ (i)
鋼板表面のクラックは、酸洗処理によって鋼組織の粒界部が選択酸化されることにより形成される。酸濃度(質量%)×酸温度(℃)×酸浸漬時間(秒)の値が1800000超となる酸洗条件では、鋼組織の粒界部の選択酸化の進行が著しくなり、クラック数密度を安定的に150個/mm以下とすることが困難となる。したがって、酸洗条件は上記式(i)を満足するものとする。酸洗に用いる酸の種類は特に限定されるものでなく、塩酸や硫酸が例示される。
上記酸洗工程にで得られた酸洗鋼板に30%以上の圧下率の冷間圧延を施して冷延鋼板とする。
前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板に、750℃以上1000℃以下の温度域に5秒間以上1000秒間以下保持したのち、2℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で580℃以下200℃以上の温度域まで冷却する連続焼鈍を施す。
本発明に係る冷延鋼板は、耐食性を付与するためにめっきを施し、めっき鋼板として使用することもできる。めっき種およびめっき方法は特に制限されないが、典型的にはめっき種が亜鉛または亜鉛合金である亜鉛系めっきであり、めっき方法は電気めっきまたは溶融めっきである。また、めっき後に化成処理(例、シリケート系のノンクロム化成処理)を施してもよい。
供試材冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面について、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトの面積率を、画像処理により求めた。超硬質相群を構成するマルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトの面積率の総和を超硬質相面積率とした。また、JIS G 0552に準拠してフェライト平均粒径を測定した。超硬質相群の粒子の平均粒径および平均間隔も画像処理により求めた。超硬質相平均間隔は、個々の超硬質相について最近接距離を測定し、その算術計算の平均値とした。
Ti―B系析出物の円相当直径および数密度は、得られた冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面を走査型電子顕微鏡にて、5000倍の倍率で、200視野を撮影し、その画像処理にて円相当直径1μm以上のTi―B系析出物を特定して計数し、その数密度を算出した。Ti―B系析出物は析出物についてEDXまたはEPMA等を用い、その成分素性を調査し、B値が母材成分値よりも多く検出されることで特定することができる。
鋼板の表面のクラック数密度は、鋼板の圧延方向に平行な断面について、走査型電子顕微鏡を用いて2000倍の倍率で表面近傍を100視野観察し、単位長さ当たりの個数に換算して求めた。具体的には、鋼板の断面観察を行い、深さが3μm以上であるクラックを特定した。観察視野において特定されたこれらのクラックの本数を計数した。観察像で線状に観察される鋼板の表面を直線近似し、その直線の観察視野における長さで計数されたクラック本数を除して、クラック数密度とした。
得られた供試材の冷延鋼板に対して、引張試験、穴拡げ性、限界曲げ試験を実施した。
各鋼板の圧延直角方向からJIS 5号引張試験を採取した。試験方法はJIS Z2241に準じた。降伏点(YP)、引張強さ(TS)、全伸び(El)を測定した。
穴拡げ試験は、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996に準拠して、穴径10mm、クリアランス12%で打ち抜きを行った試験片について、頂点角60°のポンチにて穴を押し上げ、亀裂が板厚を貫通したところの穴径d1から
穴拡げ率(%)=(d1−10)/10×100
にて穴拡げ率を求めた。
各鋼板から、圧延直角方向を長手方向とする幅40mm長さ200mmの試験片を採取した。試験形状ならびに試験方法はJIS Z2248に準じた。曲げ内側半径は、密着から板厚の0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍にて実施し、その割れが発生しない板厚に対する内側半径を限界曲げ半径とした。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.03%以上0.20%以下、Si:0.005%以上2.0%以下、Mn:2.1%以上4.0%以下、P:0.0004%以上0.1%以下、S:0.0029%以下、sol.Al:0.0002%以上2.0%以下、N:0.0080%以下、Ti:0.03%超0.30%以下およびB:0.0005%以上0.0100%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成と、
面積%で、フェライトを5%超95%以下、ならびにマルテンサイト、残留オーステナイトおよびセメンタイトからなる超硬質相群から選択される1種または2種以上を合計で3.0%以上20%以下含有するとともに、前記フェライトの平均粒径が5.0μm以下、前記超硬質相群の平均粒径が2.0μm以下、前記超硬質相群の最近接距離の平均値である超硬質相平均間隔が2.0μm以下、および円相当直径1μm以上のTi−B系析出物の数密度が500個/mm2以下である鋼組織と、
鋼板の表面における深さ3μm以上のクラックの数密度が150個/mm以下である表面性状と、
引張強さ:780MPa以上、全伸び:10%以上、穴拡げ率:30%以上、および曲げ角度180°の曲げ試験において割れが発生しない内側半径の最小値:板厚の3.5倍以下である機械特性と、
を有することを特徴とする冷延鋼板。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Bi:0.5質量%以下を含有し、前記鋼組織において円相当直径1μm以上のTi−B系析出物の数密度が50個/mm2以下である請求項1に記載の冷延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Nb:1.0%以下、V:1.0%以下、W:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下およびZr:0.05%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する請求項1から請求項3までのいずれかに記載の冷延鋼板。
- 質量%で、Ti:0.16%以上0.30%以下、かつ、B:0.0021%以上0.0100%以下を含有する請求項1から請求項4までのいずれかに記載の冷延鋼板。
- 下記工程(a)〜(e)を有することを特徴とする冷延鋼板の製造方法:
(a)請求項1〜請求項5のいずれかに記載の化学組成を有する溶鋼を、溶鋼の液相線温度から固相線温度までの温度範囲における鋼塊の鋳込み方向に垂直な断面の平均冷却速度を0.2℃/秒以上として鋳造する鋳造工程;
(b)前記鋳造工程で得られた鋳片を、1150℃以上の温度域に2.0時間以上加熱して熱間圧延を施し、熱間圧延完了後、2℃/秒以上の平均冷却速度で冷却して、前記加熱の終了から10分間以内に750℃以下の温度域で巻取り、その後、2℃/時以上の冷却速度で150℃以下の温度域まで冷却して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(c)前記熱間圧延工程で得られた熱延鋼板に下記式(i)を満足する条件下で酸洗処理を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
酸濃度(質量%)×酸温度(℃)×酸浸漬時間(秒)≦1800000 ・・・ (i)
(d)前記酸洗工程で得られた酸洗鋼板に30%以上の圧下率の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(e)前記冷間圧延工程で得られた冷延鋼板を750℃以上1000℃以下の温度域に5秒間以上1000秒間以下保持したのち、2℃/秒以上100℃/秒以下の平均冷却速度で580℃以下200℃以上の温度域まで冷却する連続焼鈍工程。
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