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JP2010132181A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2010132181A JP2008311296A JP2008311296A JP2010132181A JP 2010132181 A JP2010132181 A JP 2010132181A JP 2008311296 A JP2008311296 A JP 2008311296A JP 2008311296 A JP2008311296 A JP 2008311296A JP 2010132181 A JP2010132181 A JP 2010132181A
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Abstract

【課題】ショルダー陸部のヒールアンドトウ摩耗を抑制する。
【解決手段】トレッド部2に、最も接地端e側を周方向にのびる一対のショルダー周方向溝3が形成される。ショルダー周方向溝3と接地端eとの間のショルダー陸部5に、ショルダー周方向溝3から軸方向外側にのび接地端eの手前で途切れる内側ラグ溝8と、少なくとも接地端eから軸方向内側にのびる外側ラグ溝9と、内側ラグ溝8と外側ラグ溝9との間をタイヤ軸方向にのびる中間スロット10とが形成される。中間スロット10は、タイヤ軸方向の内端が内側ラグ溝8のタイヤ軸方向の外端よりも内側かつショルダー周方向溝3の手前で途切れ、かつ、軸方向の外端が外側ラグ溝9の軸方向の内端よりも外側でかつ接地端eに達することなく途切れる。ショルダー陸部5は周方向に連続する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水性能を維持しつつショルダー陸部のヒールアンドトウ摩耗を抑制してノイズ性能をも向上しうる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤ、中でも乗用車用タイヤには優れた静粛性が求められる。一般に、タイヤ走行中のノイズの原因の一つに、トレッド陸部のヒールアンドトウ摩耗が挙げられる。ヒールアンドトウ摩耗は、駆動時及び制動時にトレッド陸部に作用するせん断力により、トレッド陸部の踏み込み側(ヒール)又は蹴り出し側(トウ側)が大きく摩耗する偏摩耗の一種である。
タイヤのパターン剛性は、バリアブルピッチ配列や製造上の不可避的な非真円性によって周方向に均一ではない。このため、ヒールアンドトウ摩耗は、タイヤ周方向の局所的な位置で成長が助長される傾向がある。そして、このような局所的な摩耗は、そこを起点とするタイヤ周方向の荷重変動を生じ、局所的な摩耗をさらに大きく成長させ(異常摩耗)、大きな走行ノイズを発生させる。従って、タイヤの静粛性を向上させるためには、異常摩耗の原因となるヒールアンドトウ摩耗を長期に亘って抑制することが重要である。
従来、ヒールアンドトウ摩耗を抑制するために、タイヤ周方向に連続する周方向溝のみが設けられたリブパターンが提案されている。しかしながら、リブパターンの空気入りタイヤは、十分な排水性能を維持できず、かつ、路面摩擦係数が小さい氷路やウエット路での駆動力及び制動力の低下が著しいという欠点がある。
上記欠点を改善するために、トレッド部のクラウン陸部をリブとする一方、ショルダー陸部にラグ溝を設けたリブラグパターンが提案されている。このようなリブラグパターンでは、クラウンリブで走行ノイズを抑えるとともに、ラグ溝を有するショルダー陸部で駆動ないし制動力を発揮できる。
関連する技術としては、次のものがある。
特開平6−55913号公報
発明者らは、ショルダー陸部にラグ溝を形成するに際して、さらなる研究を重ねたところ、該ショルダー陸部に、内側ラグ溝、外側ラグ溝及び中間スロットを組み合わせて形成することにより、排水性能を維持しつつショルダー陸部のヒールアンドトウ摩耗を長期に亘って抑制し、ノイズ性能を向上しうることを知見した。
以上のように、本発明は、排水性能を維持しつつショルダー陸部のヒールアンドトウ摩耗を長期に亘って抑制し、ひいてはノイズ性能を向上しうる空気入りタイヤ、とりわけ乗用車用空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、最も接地端側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー周方向溝を具えた空気入りタイヤであって、前記ショルダー周方向溝と接地端との間に形成されるショルダー陸部に、ショルダー周方向溝からタイヤ軸方向外側にのび接地端の手前で途切れる内側ラグ溝と、少なくとも接地端からタイヤ軸方向内側にのび内側ラグ溝と交わることなくショルダー周方向溝の手前で途切れる外側ラグ溝と、内側ラグ溝と外側ラグ溝との間をタイヤ軸方向にのびる中間スロットとが形成され、前記中間スロットは、タイヤ軸方向の内端が内側ラグ溝のタイヤ軸方向の外端よりも内側かつショルダー周方向溝に達することなく途切れ、かつ、タイヤ軸方向の外端が外側ラグ溝のタイヤ軸方向の内端よりもタイヤ軸方向外側でかつ接地端に達することなく途切れることにより、ショルダー陸部が途切れることなくタイヤ周方向に連続することを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wsは、トレッド接地幅TWの15〜26%である請求項1記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記内側ラグ溝と前記中間スロットとのタイヤ軸方向の重なり長さ、及び前記中間スロットと前記外側ラグ溝とのタイヤ軸方向の重なり長さは、いずれもショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wsの1.0〜20.0%である請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されるとともに正規荷重を負荷して平面に接地させた接地面において、タイヤ赤道上のタイヤ周方向の接地長さCLと、タイヤ赤道からトレッド接地幅の40%の距離を隔てるショルダー位置でのタイヤ周方向の接地長さSLとの比CL/SLである接地形状ファクターが1.05〜1.35である請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記中間スロットは、その長さ方向に沿ったトレッド踏面と垂直な断面において、外端から溝底に向かう外の傾斜面と、内端から溝底に向かう内の傾斜面とを含み、中間スロットの外端からタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面の法線に対する外の傾斜面の角度θoは、中間スロットの内端からタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面の法線に対する内の傾斜面の角度θiよりも大きい請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項6記載の発明は、前記トレッド部は、ショルダー周方向溝の内側に一対のクラウン周方向溝を具え、該一対のクラウン周方向溝の間にタイヤ周方向に連続するクラウンリブが形成されるとともに、クラウン周方向溝とショルダー周方向溝との間にタイヤ周方向に連続するミドルリブが形成される請求項1ないし5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項7記載の発明は、回転方向が指定された方向性タイヤであり、かつ、前記内側ラグ溝の外端位置において、内側ラグ溝と、それに最も近い後着側の中間スロットとのタイヤ周方向の距離は、中間スロットのタイヤ周方向の配設ピッチの25〜40%である請求項1ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項8記載の発明は、前記内側ラグ溝、外側ラグ溝及び中間スロットは、いずれもタイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜する請求項1ないし7のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤは、ショルダー陸部に、ショルダー周方向溝からタイヤ軸方向外側にのび接地端の手前で途切れる内側ラグ溝と、少なくとも接地端からタイヤ軸方向内側にのび内側ラグ溝と交わることなくショルダー周方向溝の手前で途切れる外側ラグ溝と、内側ラグ溝と外側ラグ溝との間をタイヤ軸方向にのびる中間スロットとが形成される。このように、ショルダー陸部に、タイヤ軸方向の位置を異ならせて内側ラグ溝、外側ラグ溝及び中間スロットを分散配置することにより、ショルダー陸部での駆動力ないし制動力を高めるとともに、排水性能の低下を防止できる。
また、中間スロットは、タイヤ軸方向の内端が内側ラグ溝のタイヤ軸方向の外端よりも内側かつショルダー周方向溝に達することなく途切れ、かつ、タイヤ軸方向の外端が外側ラグ溝のタイヤ軸方向の内端よりもタイヤ軸方向外側でかつ接地端に達することなく途切れることにより、ショルダー陸部は、途切れることなくタイヤ周方向に連続する。このようなショルダー陸部は、排水性能を損ねることなくタイヤ周方向剛性が高く維持される。特に、各ラグ溝間又は中間スロット間で挟まれる陸部分は、相互にタイヤ軸方向に連結されているので、タイヤ周方向剛性も高く、ひいてはヒールアンドトウ摩耗が生じにくい。従って、本発明の空気入りタイヤは、長期に亘ってヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズ性能や乗り心地を向上しうる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は本実施形態の空気入りタイヤ(全体不図示)のトレッド部2の展開図、図2はその部分断面図をそれぞれ示す。
本実施形態では、空気入りタイヤとして、回転方向Rが指定された方向性タイヤが示される。この回転方向Rは、サイドウォール部などに文字又はマーク等によって明示される(図示省略)。また、本実施形態の空気入りタイヤは、乗用車用のラジアルタイヤとして構成されている。
前記トレッド部2には、最も接地端e側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー周方向溝3と、ショルダー周方向溝3の内側にタイヤ周方向に連続してのびる一対のクラウン周方向溝4とが形成される。これにより、トレッド部2には、ショルダー周方向溝3と接地端eとの間のショルダー陸部5と、一対のクラウン周方向溝4、4の間のクラウン陸部6と、クラウン周方向溝4とショルダー周方向溝3との間のミドル陸部7とが区分される。
ここで、前記「接地端」eは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧が充填された正規状態のタイヤに正規荷重を負荷し、キャンバー角0度でトレッド部2を平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 又はETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
さらに、前記「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" とするが、タイヤが乗用車用である場合には前記各荷重の88%に相当する荷重とされる。
本実施形態において、ショルダー周方向溝3及びクラウン周方向溝4は、排水抵抗を小さくするためにタイヤ周方向に沿った直線溝として形成される。ただし、各周方向溝3及び4は、タイヤ周方向に連続してのびるものであれば、ジグザグ状や波状など非直線状であっても構わない。
前記各周方向溝3及び4の溝幅については、タイヤサイズ等に応じて適宜定めることができるが、大き過ぎるとトレッド部2の剛性を低下させる傾向があり、逆に小さ過ぎると排水性が悪化する傾向がある。排水性を十分に確保しつつトレッド剛性の著しい低下を防止するために、各周方向溝3及び4の溝幅GW1、GW2は、好ましくはトレッド接地幅TWの3%以上、より好ましくは4%以上が望ましく、また、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下が望ましい。
本実施形態では、ショルダー周方向溝3の溝幅GW1は、クラウン周方向溝4の溝幅GW2よりも大きく形成されている。より好ましくは、溝幅GW1は、溝幅GW2の1.3〜1.6倍程度に形成される。これは、接地端e側での排水性を高めるのに役立つ。
なお、タイヤの各部の寸法は、特に断りがない限り、前記無負荷の正規状態において測定された値とする。また、溝幅については、溝の長手方向と直角方向に測定される。
本実施形態の空気入りタイヤは、前記クラウン陸部6及びミドル陸部7が、それぞれタイヤ周方向に連続してのびるリブとして形成される。各陸部6、7には、リブ剛性を調整するためのラグ状の小溝12や周方向細溝13が形成されるが、タイヤ軸方向に分断されることなく周方向に連続する。このようなクラウン陸部6及びミドル陸部7は、ヒールアンドトウ摩耗のおそれがなく、かつ、走行中のノイズの発生を抑制しうる点で特に好ましい。なお、小溝12とクラウン周方向溝4とがなす鋭角側のエッジには、エッジ端に向かって下降するテーパ面14を設けてゴム欠けなどを防止するのが望ましい。
ショルダー陸部5には、内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10が形成される。また、本実施形態のショルダー陸部5には、上記ラグ溝8、9及び中間スロット10以外には、他の周方向溝や横溝などは設けられていない。
図3に部分的に拡大されるように、前記内側ラグ溝8は、ショルダー周方向溝3からタイヤ軸方向外側にのび、かつ、タイヤ軸方向の外端8oが接地端eに連通することなくその手前で途切れている。該内側ラグ溝8は、ほぼ一定の配設ピッチPiでタイヤ周方向に隔設される。なお、「ほぼ一定」であるから、ピッチバリエーションの範囲内で配設ピッチPiが変化しても良いのは言うまでもない。
前記外側ラグ溝9は、少なくとも接地端eからタイヤ軸方向内側にのび、かつ、そのタイヤ軸方向の内端9iは、ショルダー周方向溝3に連通することなくその手前で途切れている。また、本実施形態の外側ラグ溝9は、タイヤ周方向に隔設されるが、その配設ピッチPoは、内側ラグ溝8の配設ピッチPiと実質的に同一である。
さらに、外側ラグ溝9は、内側ラグ溝8と交わることなく設けられる。つまり、外側ラグ溝9と内側ラグ溝8とは、タイヤ周方向の異なる位置に(即ち、タイヤ周方向に位相をずらせて)設けられている。
また、外側ラグ溝9は、本実施形態のように、接地端eのタイヤ軸方向のさらに外側からタイヤ軸方向内側にのびるものが望ましい。旋回時には、接地端eのタイヤ軸方向外側の領域も接地するので、接地端eのタイヤ軸方向外側にもラグ溝を延在させておくのが、旋回時の排水性を向上させる点で有利である。
前記中間スロット10は、内側ラグ溝8と外側ラグ溝9との間をタイヤ軸方向にのびている。中間スロット10のタイヤ軸方向の内端10iは、内側ラグ溝8の外端8oよりも内側でかつショルダー周方向溝3に達することなく途切れる。従って、内側ラグ溝8と中間スロット10とは、タイヤ軸方向の重なり長さL1を有する。
また、中間スロット10のタイヤ軸方向の外端10oは、外側ラグ溝9の内端9iよりもタイヤ軸方向外側でかつ接地端eに達することなく途切れる。従って、中間スロット10と外側ラグ溝9とは、タイヤ軸方向の重なり長さL2を有する。
さらに、中間スロット10は、タイヤ周方向に隔設されるが、その配設ピッチPcは、外側ラグ溝9及び内側ラグ溝8と実質的に同一とされている。また、中間スロット10は、両ラグ溝8及び9と交わることなく(連通することなく)設けられる。つまり、中間スロット10は、外側ラグ溝9及び内側ラグ溝8とは、タイヤ周方向の異なる位置に位相をずらせて設けられる。このようなラグ溝8、9及び中間スロット10は、ショルダー陸部5を途切れさせることなくタイヤ周方向に連続させる。
このように、ショルダー陸部5に、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向の位置を異ならせて内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10を分散して設けることにより、駆動力ないし制動力を高めるとともに、ショルダー陸部5での排水性能の低下や、駆動力及び制動力の低下を防止できる。
また、ショルダー陸部5は、タイヤ周方向に連続するので、その剛性が高く維持されるとともに、内側ラグ溝8、8間、外側ラグ溝9、9間又は中間スロット10、10間の各陸部分は、互いにタイヤ軸方向に連結されるので、各々のタイヤ周方向剛性も高く、ひいてはヒールアンドトウ摩耗が生じにくい。従って、本発明の空気入りタイヤは、長期に亘ってヒールアンドトウ摩耗を抑制し、ノイズ性能や乗り心地を向上しうる。
なお、ショルダー陸部5には、その剛性に実質的な影響を与えないような細溝で分断されることは差し支えない。このような細溝としては、例えば溝幅及び溝深さがともに1.5mm以下のトレッドパターン装飾用細溝(図示せす)などが含まれ得る。
前記ショルダー陸部5のタイヤ軸方向の幅Wsは、好ましくはトレッド接地幅TWの15%以上、より好ましくは20%以上が望ましく、また、好ましくは26%以下、より好ましくは25%以下が望ましい。ショルダー陸部5の幅Wsがトレッド接地幅TWの15%未満の場合、クラウン陸部6及びミドル陸部7で低下しがちな駆動力及び制動力を十分に確保することができない傾向がある。また、旋回時の横剛性も低下するおそれがある。逆に、ショルダー陸部5の幅Wsがトレッド接地幅TWの26%を超えると、クラウン陸部6やミドル陸部7の幅が減少し、これらの横剛性が低下してセンター摩耗が生じやすくなるため好ましくない。
また、内側ラグ溝8と中間スロット10とのタイヤ軸方向の重なり長さL1、及び中間スロット10と外側ラグ溝9とのタイヤ軸方向の重なり長さL2は、いずれもショルダー陸部5の前記幅Wsの1.0%以上、より好ましくは5.0%以上が望ましく、また、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下が望ましい。各重なり長さL1、L2が、ショルダー陸部5の幅Wsの1.0%未満になると、排水性が低下し、雨天時の操縦安定性が低下する傾向があり、逆に20.0%を超えると、ショルダー部のパターン剛性が低下し、ドライ路面での操縦安定性が低下する傾向がある。
また、ショルダー陸部5をのびる内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10のタイヤ軸方向の長さGL1、GL2及びGL3は、特に限定されるものではなく、種々定めることができるが、ショルダー陸部5の剛性バランスを保つために、各溝長さGL1ないしGL3は、好ましくはショルダー陸部5の幅Wsの45%以上、より好ましくは48%以上が望ましく、また、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下が望ましい。
また、内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10の溝深さGD1(図2に示す)は、好ましくはショルダー周方向溝3の溝深さGD2の0.7〜1.2倍程度が望ましい。前記ラグ溝等の溝深さGD1が、ショルダー周方向溝3の溝深さGD2の0.7倍未満になると、ラグ溝等が摩耗によって早期に消失し、駆動ないし制動力の低下が生じるおそれがあり、逆に1.2倍を超えると、ショルダー陸部5の剛性が低くなってヒールアンドトウ摩耗が生じやすくなる他、燃費性能の悪化を招くおそれがある。
また、ショルダー陸部5をのびる内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10の溝幅GW3(図1に示す)は、特に限定されるものではないが、小さすぎると、排水性能が悪化しやすく、逆に大きすぎると、ショルダー陸部5のパターン剛性が低下し、操縦安定性の低下やヒールアンドトウ摩耗を早めるおそれがある。このような観点より、前記ラグ溝等の溝幅GW3は、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上が望ましく、また、好ましくは7mm以下、より好ましくは6mm以下が望ましい。とりわけ、前記溝幅GW3は、前記ラグ溝の配設ピッチPiの9〜11%程度となるように定められるのが良い。
さらに、図3に示されるように、ショルダー陸部5をのびる内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10は、タイヤ軸方向に対して20度以下の角度θaとするのが望ましい。前記角度θaが20度を超えると、該ラグ溝8、9及びスロット10での車両外側への排水性が悪化する傾向がある。他方、ラグ溝8、9及びスロット10がタイヤ軸方向と平行にのびていると、ノイズ性能が悪化するおそれがある。このような観点より、前記角度θaは、好ましくは、タイヤ軸方向に対して0度よりも大、より好ましくは5度以上20度以下が望ましい。なお、ラグ溝8及び9、中間スロット10の各角度θaは、図3に示されるように、溝中心線の両端を結ぶ直線と、タイヤ軸方向とのなす角度で特定される。
また、本実施形態では、内側ラグ溝8、外側ラグ溝9及び中間スロット10は、いずれもタイヤ軸方向に対して同じ向き(即ち、図1において右上がり)に傾斜している。そして、例えば図1の左側のショルダー陸部5では、ラグ溝等8〜10は、いずれもタイヤ軸方向内側から外側に順次接地する。このため、タイヤの回転に伴う圧力により、路面上の水膜を接地端側へと効果的に排出し、排水性を高めることができる。一方、図1の右側のショルダー陸部5では、ラグ溝等8〜10がタイヤ軸方向外側から内側に向かって順次接地する。このため、タイヤの回転に伴う圧力により、路面上の水膜を溝幅が大きいショルダー周方向溝3へと導いて排水させることができる。
上述の作用を効果的に発揮させるためには、図3に示されるように、内側ラグ溝8のタイヤ軸方向の外端8oの位置において、内側ラグ溝8と、それに最も近い後着側の中間スロット10とのタイヤ周方向の距離X1(溝中心線間の距離とする)は、中間スロット10のタイヤ周方向の配設ピッチPcの25〜40%、より好ましくは30〜36%であるのが望ましい。
前記距離X1が、中間スロット10のタイヤ周方向の配設ピッチPcの25%未満になると、これらの溝間に剛性の低い部分に偏摩耗が集中するおそれがあり、逆に、40%を超える場合、排水性能が低下するおそれがある。同様の観点より、中間スロット10のタイヤ軸方向の外端10oの位置において、該中間スロット10と、それに最も近い後着側の外側ラグ溝9とのタイヤ周方向の距離(溝中心線間の距離とする)X2は、中間スロット10の配設ピッチPcの25〜40%、より好ましくは30〜36%とするのが望ましい。
このように、内側ラグ溝8、中間スロット10及び外側ラグ溝9をほぼ等ピッチでタイヤ周方向に隔設するとともに、それらのずれ量を上述のように規制した場合には、内側ラグ溝8、中間スロット10及び外側ラグ溝9をこの順番でほぼ均等に繰り返し接地させることができる。従って、ショルダー陸部5の全域でバランスよく排水性能が発揮されるとともに、該ショルダー陸部5が均一に摩耗するのに役立つ。
図4に示されるように、両側のショルダー陸部5において、ラグ溝等8〜10がタイヤ軸方向内側から順次接地するようタイヤ赤道Cに関して対称となる向きに傾斜させても良い。
また、図5に示されるように、正規状態から正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させた接地面FPにおいて、接地形状ファクターが1.05〜1.35であるのが望ましい。ここで、接地形状ファクターは、前記接地面FPにおいて、タイヤ赤道C上のタイヤ周方向の接地長さCLと、タイヤ赤道Cからトレッド接地幅の40%の距離0.4TWを隔てるショルダー位置Sでのタイヤ周方向の接地長さSLとの比CL/SLで表される。なお、このショルダー位置Sは、ショルダー陸部5を通り、経験則上、ヒールアンドトウ摩耗が発生しやすいショルダー部の代表的な位置を表している。
発明者らの種々の実験の結果、ノイズの原因となるヒールアンドトウ摩耗の多くは直進走行時の駆動及び制動時のせん断力、とりわけ制動時のせん断力の寄与が大きいことが判明している。従って、ショルダー陸部5のヒールアンドトウ摩耗をより効果的に抑制するためには、直進走行時の接地面FPにおいて、タイヤ赤道C上での接地長さCLと、ショルダー位置での接地長さSLとの関係を最適化し、制動時にショルダー陸部5のすべりを小さくするが有効である。このために、本実施形態の空気入りタイヤでは、接地形状ファクターが上述の範囲に設定される。
即ち、接地形状ファクターが1.05未満の場合、走行時のショルダー陸部5の接地圧が過度に上昇してヒールアンドトウ摩耗やショルダー摩耗等を招くおそれがあるため好ましくない。逆に、接地形状ファクターが1.35を超えると、タイヤ赤道位置とショルダー位置Sとの外径差が大きくなり、制動時にショルダー陸部5に引きずりが生じ、ヒールアンドトウ摩耗が発生しやすくなる。このような観点より、接地形状ファクターは、より好ましくは1.10以上、さらに好ましくは1.15以上が望ましく、また、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.20以下が望ましい。なお、タイヤ赤道Cの両側のショルダー位置が、上記接地形状ファクターの規定を満たすことが望ましい。なお、接地形状ファクターは、トレッド部2のタイヤ赤道Cの位置及びショルダー位置Sでの外径及びトレッドプロファイルの調節により所望の値に調節できる。
図6には、図3のB−B断面、即ち中間スロット10の長さ方向に沿ったトレッド踏面2aと垂直な断面を示す。図6から明らかなように、本実施形態の中間スロット10は、外端10oから溝底10bに向かう外の傾斜面11oと、内端10iから溝底10bに向かう内の傾斜面11iとを含んで構成される。
本実施形態では、中間スロット10の外端10oからタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面2aの法線N1に対する外の傾斜面11oの角度θoは、中間スロット10の内端10iからタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面2aの法線N2に対する内の傾斜面11iの角度θiよりも大きく設定される。このような外の傾斜面11oは、中間スロット10に満たされた水分を接地端側へ容易に排水させるのに役立つ。ただし、前記角度θoが過度に大きくなると、中間スロット10の溝容積の低下や摩耗による早期消失のおそれがあるので、該角度θoは、好ましくは20度以上、より好ましくは30度以上が望ましく、また、好ましくは45度以下、より好ましくは40度以下が望ましい。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形して実施することができる。
本発明の効果を確認するために、表1の仕様に基づきタイヤサイズ225/50R17の乗用車用ラジアルタイヤが試作された。そして、それらについて各種の性能がテストされた。テスト方法は、次の通りである。
<ヒールアンドトウ摩耗量>
以下の条件で各テストタイヤを車両の右側前輪に装着してテストコースを走行し、ショルダー陸部の内側ラグ溝間の陸部分及び外側ラグ溝間の陸部分において、トウ側とヒール側の摩耗量の差(ヒールアンドトウ摩耗量)が測定され、その平均値が計算された。数値が小さいほど良好である。
リム:17×7.5J
空気圧:230kPa
車両:排気量3000ccの国産FR乗用車
テストコース路面:乾燥アスファルト
走行距離:7000km
<ノイズ性能>
上記と同一条件の車両を用い、スムース路面を速度50km/hで走行させ、ドライバーのフィーリングにより、パターンノイズの大きさが評価された。結果は、比較例1を100とする評点とし、数値が大きいほどパターンノイズが小さく良好であることを示す。
<排水性能>
半径100mのアスファルト路面に、水深5mm、長さ20mの水たまりを設けたコース上を、速度を段階的に増加させながら前記車両を進入させ、横加速度(横G)を計測し、50〜80km/hの速度における前輪の平均横Gを算出した。結果は、比較例1の平均横Gを100とする指数で表示した。数値が大きい程良好である。
<操縦安定性>
上記車両を使用し、ドライアスファルト路面のテストコースをドライバー1名乗車で走行し、ハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性をドライバーの官能評価により評価した。結果は、比較例1を100とする評点で表示している。数値が大きいほど良好である。
テストの結果等を表1に示す。
Figure 2010132181
Figure 2010132181
テストの結果より、実施例のタイヤは、比較例に比べて、排水性能を維持しつつショルダー陸部のヒールアンドトウ摩耗を抑制してノイズ性能をも向上していることが確認できた。
本実施形態のトレッド部の展開図である。 その部分断面図である。 図1のショルダー陸部の要部拡大図である。 本発明の他の実施形態を示すトレッド部の展開図である。 図1のパターンの接地面を示す線図である。 図3のB−B断面図である。 比較例の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 比較例の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。
符号の説明
2 トレッド部
3 ショルダー周方向溝
4 クラウン周方向溝
5 ショルダー陸部
6 クラウン陸部
7 ミドル陸部
8 内側ラグ溝
9 外側ラグ溝
10 中間スロット

Claims (8)

  1. トレッド部に、最も接地端側をタイヤ周方向に連続してのびる一対のショルダー周方向溝を具えた空気入りタイヤであって、
    前記ショルダー周方向溝と接地端との間に形成されるショルダー陸部に、
    ショルダー周方向溝からタイヤ軸方向外側にのび接地端の手前で途切れる内側ラグ溝と、
    少なくとも接地端からタイヤ軸方向内側にのび内側ラグ溝と交わることなくショルダー周方向溝の手前で途切れる外側ラグ溝と、
    内側ラグ溝と外側ラグ溝との間をタイヤ軸方向にのびる中間スロットとが形成され、
    前記中間スロットは、タイヤ軸方向の内端が内側ラグ溝のタイヤ軸方向の外端よりも内側かつショルダー周方向溝に達することなく途切れ、かつ、タイヤ軸方向の外端が外側ラグ溝のタイヤ軸方向の内端よりもタイヤ軸方向外側でかつ接地端に達することなく途切れることにより、ショルダー陸部が途切れることなくタイヤ周方向に連続することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wsは、トレッド接地幅TWの15〜26%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記内側ラグ溝と前記中間スロットとのタイヤ軸方向の重なり長さ、及び前記中間スロットと前記外側ラグ溝とのタイヤ軸方向の重なり長さは、いずれもショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Wsの1.0〜20.0%である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されるとともに正規荷重を負荷して平面に接地させた接地面において、タイヤ赤道上のタイヤ周方向の接地長さCLと、タイヤ赤道からトレッド接地幅の40%の距離を隔てるショルダー位置でのタイヤ周方向の接地長さSLとの比CL/SLである接地形状ファクターが1.05〜1.35である請求項1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記中間スロットは、その長さ方向に沿ったトレッド踏面と垂直な断面において、外端から溝底に向かう外の傾斜面と、内端から溝底に向かう内の傾斜面とを含み、
    中間スロットの外端からタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面の法線に対する外の傾斜面の角度θoは、中間スロットの内端からタイヤ幅方向内側にのびるトレッド踏面の法線に対する内の傾斜面の角度θiよりも大きい請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記トレッド部は、ショルダー周方向溝の内側に一対のクラウン周方向溝を具え、
    該一対のクラウン周方向溝の間にタイヤ周方向に連続するクラウンリブが形成されるとともに、クラウン周方向溝とショルダー周方向溝との間にタイヤ周方向に連続するミドルリブが形成される請求項1ないし5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 回転方向が指定された方向性タイヤであり、かつ、
    前記内側ラグ溝の外端位置において、内側ラグ溝と、それに最も近い後着側の中間スロットとのタイヤ周方向の距離は、中間スロットのタイヤ周方向の配設ピッチの25〜40%である請求項1ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記内側ラグ溝、外側ラグ溝及び中間スロットは、いずれもタイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜する請求項1ないし7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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