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JP2010112321A - 車両用冷却システムの異常診断装置 - Google Patents

車両用冷却システムの異常診断装置 Download PDF

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JP2010112321A JP2008287343A JP2008287343A JP2010112321A JP 2010112321 A JP2010112321 A JP 2010112321A JP 2008287343 A JP2008287343 A JP 2008287343A JP 2008287343 A JP2008287343 A JP 2008287343A JP 2010112321 A JP2010112321 A JP 2010112321A
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Abstract

【課題】エンジン冷却水循環回路に設けたサーモスタットの異常検出精度を向上させる。
【解決手段】冷却水温が未暖機水温領域であるにも拘らずサーモスタット19が閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常が発生すると、冷却水温センサ20で検出した冷却水温検出値の変化量と車速との間に、車速が速くなるほど冷却水温検出値の変化量が小さくなる(上昇量が減少する又は低下量が増加する)という関係が成り立つ。このような特性に着目して、未暖機水温領域で冷却水温検出値の変化量と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断を実行する。更に、冷却水温検出値と冷却水温推定値とを用いてサーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断を実行し、第1及び第2の異常診断の異常診断結果が一致した場合に、その異常診断結果を最終的な異常診断結果として確定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関とラジエータとの間で冷却水を循環させる冷却水循環回路の途中にサーモスタットを設けた車両用冷却システムの異常診断装置に関する発明である。
一般に、車両に搭載されるエンジン(内燃機関)の冷却システムは、エンジンとラジエータとの間で冷却水を循環させる冷却水循環回路の途中にサーモスタット(サーモスタットバルブ)を設け、冷却水温が所定温度(例えば暖機完了に相当する温度)よりも低いときに、サーモスタットが閉じてエンジンとラジエータとの間の冷却水の循環を停止することで、エンジン側の冷却水温を速やかに上昇させてエンジンの暖機を促進し、その後、冷却水温が所定温度以上になったときに、サーモスタットが開いてエンジンとラジエータとの間で冷却水を循環させることで、ラジエータの放熱作用により冷却水温を適正な暖機温度範囲内に調節してエンジンのオーバーヒートを防止するようにしている。
ところで、サーモスタットが閉じる未暖機水温領域であるにも拘らずサーモスタットが閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常が発生すると、暖機途中のエンジン内部の冷却水がラジエータに循環して放熱されてしまうため、エンジン内部の冷却水温を速やかに上昇させることができず、エンジンの暖機が遅れて排気エミッションの増加や燃費の悪化等の不具合を招いてしまう。従って、もし、サーモスタットの開異常が発生した場合には、それを早期に検出して運転者に警告することが望ましい。
そこで、特許文献1(特許第3407572号公報)に記載されているように、エンジン始動後の所定期間に冷却水温センサで検出した冷却水温の変化量を判定値と比較してサーモスタットの開異常の有無を判定するようにしたものがある。
また、特許文献2(特許第3956663号公報)に記載されているように、エンジンの発熱によって生じる冷却水温上昇分と、走行風やラジエータファンの冷却風による放熱によって生じる冷却水温降下分とから冷却水温を推定し、この冷却水温推定値と冷却水温センサで検出した冷却水温検出値とを比較してサーモスタットの異常の有無を判定するようにしたものもある。
特許第3407572号公報 特許第3956663号公報
上記従来の異常診断技術は、いずれも冷却水温センサで検出した冷却水温やその変化量を冷却水温推定値や判定値と比較することで、冷却水温がサーモスタット正常時の挙動を示しているか否かを判定して、サーモスタットの異常診断を行う技術であるが、異常診断精度を高めるために、冷却水温の推定精度や判定値の精度を高めるには、エンジンの発熱量と放熱量を実際の車両を用いて様々な運転条件・走行条件で計測して冷却水温の推定方法や判定値を精度良く適合する必要があり、その適合作業に多くの工数を要するという欠点があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、サーモスタットの異常診断のための適合工数削減とサーモスタットの異常診断精度向上とを両立させることができる車両用冷却システムの異常診断装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関とラジエータとの間で冷却水を循環させる冷却水循環回路の途中にサーモスタットを設け、所定の未暖機水温領域でサーモスタットが閉じて内燃機関とラジエータとの間の冷却水の循環を停止する車両用冷却システムの異常診断装置において、ラジエータの放熱量又はこれに関連性のある情報(以下これらを「ラジエータ放熱量情報」と総称する)を取得するラジエータ放熱量情報取得手段と、未暖機水温領域でラジエータ放熱量情報と車速との間に所定のサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することで、未暖機水温領域でサーモスタットが閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常の有無を判定する異常診断手段とを備えた構成としたものである。
サーモスタットの正常時には、未暖機水温領域でサーモスタットが閉じて内燃機関とラジエータとの間の冷却水の循環が停止されるため、ラジエータには冷えた冷却水(例えば外気温とほぼ同じ温度の冷却水)が滞留する。このため、車速が高くなってラジエータに当たる走行風の風量が増加しても、ラジエータの放熱量があまり変化しない。
一方、未暖機水温領域であるにも拘らずサーモスタットが閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常が発生すると、暖機途中の内燃機関内部の冷却水がラジエータに循環して放熱されるため、車速が速くなってラジエータに当たる走行風の風量が増加すると、それに伴ってラジエータの放熱量が増加する。つまり、サーモスタットの開異常が発生すると、未暖機水温領域で車速が速くなるほどラジエータの放熱量が増加するという関係が成立する。
このような特性に着目して、本発明は、未暖機水温領域でラジエータ放熱量情報と車速との間に所定のサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定するようにしたものであり、これにより、サーモスタット異常時の相関関係を用いてサーモスタットの開異常を精度良く検出することができると共に、サーモスタットの異常診断のための適合工数の削減も可能となり、サーモスタットの異常診断のための適合工数削減とサーモスタットの異常診断精度向上とを両立させることができる。
この場合、請求項2のように、冷却水循環回路のうちのサーモスタットよりも内燃機関側の冷却水温を検出する冷却水温センサを備えたシステムでは、冷却水温センサで検出した冷却水温検出値の変化量をラジエータ放熱量情報として取得するようにしても良い。サーモスタットの開異常が発生すると、未暖機水温領域で内燃機関とラジエータとの間で冷却水が循環して、ラジエータの放熱量に応じて冷却水温センサの冷却水温検出値(サーモスタットよりも内燃機関側の冷却水温)が変化するためである。
或は、請求項3のように、冷却水温センサで検出した冷却水温検出値の変化量と内燃機関からの受熱による冷却水温の変化量とラジエータ以外の放熱による冷却水温の変化量とに基づいてラジエータの放熱による冷却水温の変化量を推定し、該ラジエータの放熱による冷却水温の変化量をラジエータ放熱量情報として用いるようにしても良い。このようにすれば、ラジエータの放熱による冷却水温の変化量を精度良く算出することができ、この精度良く算出したラジエータの放熱による冷却水温の変化量をラジエータ放熱量情報として用いることで、サーモスタットの異常検出精度を更に高めることができる。
前述したように、サーモスタットの開異常が発生すると、未暖機水温領域で車速が速くなるほどラジエータの放熱量が増加するため、請求項4のように、サーモスタット異常時の相関関係は、車速が速くなるほどラジエータ放熱量情報がラジエータの放熱量増加方向に変化する関係とすると良い。つまり、サーモスタット異常時の相関関係は、車速が速くなるほど冷却水温検出値の上昇量が減少する(又は低下量が増加する)関係、或は、車速が速くなるほどラジエータの放熱による冷却水温の低下量が増加する関係とすると良い。
具体的な異常診断方法としては、請求項5のように、サーモスタット異常時の相関関係を用いて車速に応じた異常時のラジエータ放熱量情報を算出して、該異常時のラジエータ放熱量情報とラジエータ放熱量情報との差を相関値として算出し、該相関値を評価してラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定するようにしても良い。ラジエータ放熱量情報と車速との関係がサーモスタット異常時の相関関係に近くなるほど、異常時のラジエータ放熱量情報とラジエータ放熱量情報との差が小さくなるため、異常時のラジエータ放熱量情報とラジエータ放熱量情報との差(相関値)を評価すれば、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
或は、請求項6のように、ラジエータ放熱量情報と車速との比を相関値として算出し、該相関値を評価してラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定するようにしても良い。ラジエータ放熱量情報と車速との関係がサーモスタット異常時の相関関係に近くなるほど、ラジエータ放熱量情報と車速との比が所定値(サーモスタット異常時のラジエータ放熱量情報と車速との比)に近くなるため、ラジエータ放熱量情報と車速との比(相関値)を評価すれば、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
また、請求項7のように、ラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を判定するための相関値を複数回算出して複数の相関値の積算値又は平均値を用いてラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定するようにしても良い。このようにすれば、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
更に、請求項8のように、相関値の算出回数、車速の積算値、車速の平均値の少なくとも1つを用いて、その値が所定値を越えるまでサーモスタット開異常の有無を判定する処理を禁止するようにしても良い。このようにすれば、相関値の算出回数や車速の積算値や車速の平均値が所定値を越えて、ラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を精度良く判定できる条件を満たすようになってから、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かの判定結果に基づいてサーモスタット開異常の有無を精度良く判定することができる。
また、車速が同じ(つまり走行風の風量が同じ)でも、冷却水温と外気温との差によってラジエータの放熱量が変化するため、請求項9のように、ラジエータ放熱量情報を冷却水温と外気温との差に応じて補正するようにしても良い。或は、請求項10のように、異常時のラジエータ放熱量情報を冷却水温と外気温との差に応じて補正するようにしても良い。このようにすれば、外気温の影響も考慮してラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を判定することができる。
ところで、サーモスタットの開異常が発生して、未暖機水温領域で内燃機関とラジエータとの間で冷却水が循環していても、車速が低くてラジエータに当たる走行風の風量が少ないと、ラジエータの放熱量が少なくなって、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定できない可能性がある。
そこで、請求項11のように、ラジエータの冷却風を発生させるラジエータファンを備えたシステムの場合には、異常診断期間中にラジエータファンを強制的に駆動すると共に、ラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を判定する際に用いる車速をラジエータファンの駆動状態に応じて補正するようにしても良い。このようにすれば、ラジエータファンによる冷却風によってラジエータに当る風量を確実に増加させることができると共に、ラジエータファンの駆動状態に応じて車速を補正することでラジエータファンによる冷却風の影響を車速に反映させることができ、車速が低くてラジエータに当たる走行風の風量が少ない場合でも、ラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
この場合、異常診断期間中に常にラジエータファンを強制的に駆動するようにしても良いが、請求項12のように、異常診断期間中に車速が所定条件を満たさない場合にラジエータファンを強制的に駆動するようにしても良い。このようにすれば、車速が低くてラジエータに当たる走行風の風量が少ない場合にラジエータファンを強制的に駆動するようにできる。
また、請求項13のように、冷却水温を冷却水温センサで検出すると共に、冷却水温を冷却水温推定手段により推定し、未暖機水温領域でラジエータ放熱量情報と車速との間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断と、未暖機水温領域で冷却水温センサで検出した冷却水温検出値と冷却水温推定手段で推定した冷却水温推定値とを用いてサーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断とを実行するようにしても良い。このようにすれば、第1の異常診断と第2の異常診断とを組み合わせてサーモスタット開異常の有無を精度良く判定することができる。
この場合、例えば、請求項14のように、第1の異常診断と第2の異常診断のうち、先に診断処理が完了した方の異常診断結果を採用するようにしても良い。このようにすれば、サーモスタットの異常診断結果を早期に確定することができる。
或は、請求項15のように、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用するようにしても良い。このようにすれば、サーモスタットの異常診断精度を更に向上させることができる。
また、請求項16のように、第1の異常診断でラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を判定するために算出した相関値に応じて、第2の異常診断でサーモスタット開異常の有無を判定する際の判定条件を変更するようにしても良い。このようにすれば、第1の異常診断で算出した相関値(ラジエータ放熱量情報と車速との間の相関の度合)に応じて第2の異常診断の判定条件(例えば判定値)を適正に変更して第2の異常診断の異常診断精度を更に向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図8に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン冷却システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の冷却水通路(ウォータジャケット)の入口付近には、ウォータポンプ12が設けられている。このウォータポンプ12は、エンジン11の動力で駆動される機械式のウォータポンプ又はモータで駆動される電動式のウォータポンプである。エンジン11の冷却水通路の出口とラジエータ13の入口とが冷却水循環パイプ14によって接続され、ラジエータ13の出口とウォータポンプ12の吸入口とが冷却水循環パイプ15によって接続されている。これにより、エンジン11の冷却水通路→冷却水循環パイプ14→ラジエータ13→冷却水循環パイプ15→ウォータポンプ12→エンジン11の冷却水通路の経路で冷却水が循環する冷却水循環回路16が構成されている。この冷却水循環回路16には、暖房用の温水回路17がエンジン11に対して並列に接続され、この温水回路17の途中に、暖房用のヒータコア18が設けられている。
更に、冷却水循環回路16の途中(例えばラジエータ13下流側の冷却水循環パイプ15と温水回路17との接続部)には、冷却水温に応じて開閉動作するサーモスタット19が設けられ、冷却水温が所定温度(例えば暖機完了に相当する温度)よりも低い未暖機水温領域では、サーモスタット19が閉じてエンジン11とラジエータ13との間の冷却水の循環を停止すると共に、温水回路17の冷却水の循環も停止する。これにより、エンジン11内部の冷却水温を速やかに上昇させてエンジン11の暖機を促進する。その後、冷却水温が所定温度以上になったときに、サーモスタット19が開いてエンジン11とラジエータ13との間で冷却水を循環させて、ラジエータ13の放熱作用により冷却水温を適正な暖機温度範囲内に調節してエンジン11のオーバーヒートを防止する。尚、車室内を暖房しないときは、温水回路17の冷却水の循環を停止した状態に維持される。
また、冷却水循環回路16のうちのエンジン11の冷却水通路の入口付近には、該入口付近の冷却水温(サーモスタット19よりもエンジン11側の冷却水温)を検出する冷却水温センサ20が配置されている。更に、ラジエータ13の近傍には、冷却風を発生させる電動式のラジエータファン21が配置されている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、クランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ22が取り付けられ、このクランク角センサ22の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。また、エアフローメータ等の吸入空気量センサ23によって吸入空気量が検出されると共に、外気温センサ24によって外気温が検出され、車速センサ25によって車速が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)26に入力される。このECU26は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁(図示せず)の燃料噴射量や点火プラグ(図示せず)の点火時期を制御する。
ところで、サーモスタット19の正常時には、冷却水温が所定温度(例えば暖機完了に相当する温度)よりも低い未暖機水温領域でサーモスタット19が閉じてエンジン11とラジエータ13との間の冷却水の循環を停止するため、ラジエータ13には冷えた冷却水(例えば外気温とほぼ同じ温度の冷却水)が滞留する。このため、車速が速くなってラジエータ13に当たる走行風の風量が増加しても、ラジエータ13の放熱量があまり変化しない。
一方、未暖機水温領域であるにも拘らずサーモスタット19が閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常が発生すると、暖機途中のエンジン11内の冷却水がラジエータ13に循環して放熱されるため、車速が速くなってラジエータ13に当たる走行風の風量が増加すると、それに伴ってラジエータ13の放熱量が増加し、更に、そのラジエータ13の放熱量に応じて冷却水温センサ20の冷却水温検出値(サーモスタット19よりもエンジン11側の冷却水温)が変化する。
従って、サーモスタット19の開異常が発生すると、図2に示すように、未暖機水温領域で冷却水温検出値の変化量Δthw(ラジエータ放熱量情報)と車速Vとの間に、車速Vが速くなるほど、冷却水温検出値の変化量Δthwが小さくなる(冷却水温検出値の上昇量が減少する又は低下量が増加する)という関係が成り立つ。
このような特性に着目して、本実施例1では、ECU26によって後述する図3乃至図8の異常診断用の各ルーチンを実行することで、冷却水温が所定温度よりも低い未暖機水温領域で、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間に所定のサーモスタット異常時の相関関係(図2参照)が有るか否かを判定することで未暖機水温領域でサーモスタット19が閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断を実行する。
具体的には、サーモスタット異常時の相関関係(図2参照)を用いて車速Vに応じた異常時の冷却水温の変化量cfを算出して、該異常時の冷却水温の変化量cfと実際の冷却水温検出値の変化量Δthwとの差(cf−Δthw)を相関値として算出し、該相関値を評価して冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定する。冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの関係がサーモスタット異常時の相関関係に近くなるほど、異常時の冷却水温の変化量cfと実際の冷却水温検出値の変化量Δthwとの差(cf−Δthw)が小さくなるため、異常時の冷却水温の変化量cfと実際の冷却水温検出値の変化量Δthwとの差(cf−Δthw)を相関値としてを評価すれば、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
更に、本実施例1では、冷却水温が所定温度よりも低い未暖機水温領域で、エンジン11の発熱によって生じる冷却水温上昇分と、ラジエータ13やヒータコア18等の放熱によって生じる冷却水温降下分とから冷却水温を推定し、冷却水温センサ20の冷却水温検出値と冷却水温推定値とを用いてサーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断を実行する。そして、第1の異常診断(サーモスタット異常時の相関関係を用いる異常診断)の異常診断結果と第2の異常診断(冷却水温推定値を用いる異常診断)の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用する。
ところで、サーモスタット開異常が発生して、暖機途中のエンジン11内の冷却水がラジエータ13に循環していても、車速が低くてラジエータ13に当たる走行風の風量が少ないと、ラジエータ13の放熱量が少ないため、第1の異常診断で冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定できない可能性がある。
そこで、本実施例1では、第1の異常診断期間中に車速Vが所定条件を満たさない場合にラジエータファン21を強制的に駆動すると共に、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間の相関関係を判定する際に用いる車速Vをラジエータファン21の駆動状態に応じて補正する。
以上説明した本実施例1のサーモスタット19の異常診断は、ECU26によって図3乃至図8の異常診断用の各ルーチンに従って実行される。以下、これらの各ルーチンの処理内容を説明する。
[異常診断メインルーチン]
図3に示す異常診断メインルーチンは、ECU26の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、所定の異常診断実行条件が成立しているか否かを、例えば、冷却水温センサ20が正常であること、冷却水温が所定温度よりも低い未暖機水温領域であること等の条件を全て満たすか否かによって判定する。その結果、異常診断実行条件が成立していないと判定されれば、ステップ102以降の異常診断に関する処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ101で、異常診断実行条件が成立していると判定されれば、ステップ102以降の異常診断に関する処理を次のようにして実行する。まず、ステップ102で、後述する図4の相関判定ルーチンを実行することで、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係(図2参照)が有るか否かを判定する。
この後、ステップ103に進み、後述する図5の冷却水温推定ルーチンを実行することで、エンジン11の発熱によって生じる冷却水温上昇分と、ラジエータ13やヒータコア18等の放熱によって生じる冷却水温降下分とから冷却水温を推定する。
この後、ステップ104に進み、所定の判定許可条件が成立しているか否かを、例えば、異常診断実行条件が成立してからの車速の積算値が所定値を越えたか否かによって判定する。尚、判定許可条件が成立しているか否かを、相関値の算出回数が所定値を越えたか否か、或は、車速の平均値が所定値を越えたか否か等によって判定しても良い。
このステップ104で、判定許可条件が成立していると判定された時点で、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間の相関関係を精度良く判定できる条件を満たしたと判断して、ステップ105に進み、後述する図6の正常・異常判定処理ルーチンを実行することで、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定してサーモスタット開異常の有無を判定する。具体的には、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断異常の異常診断結果と、冷却水温検出値と冷却水温推定値とを用いてサーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用する。
[相関判定ルーチン]
図4に示す相関判定ルーチンは、前記図3の異常診断メインルーチンのステップ102で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、冷却水温センサ20で検出した今回の冷却水温検出値thw(i) と前回の冷却水温検出値thw(i-1) との差を算出することで、所定時間当り(例えば本ルーチンの演算周期当り)の冷却水温検出値の変化量Δthwを求める。
Δthw=thw(i) −thw(i-1)
このステップ201の処理がラジエータ放熱量情報取得手段としての役割を果たす。
この後、ステップ202に進み、サーモスタット異常時の相関関係(図2参照)を規定するマップ又は数式等を用いて現在の車速V(後述する図8の車速補正ルーチンで補正した車速V)に応じた異常時の冷却水温の変化量cfを算出する。ここで、車速Vは、所定時間当り(例えば本ルーチンの演算周期当り)の平均車速とする。また、サーモスタット異常時の相関関係を規定するマップ又は数式等は、車両毎に予め設計データや試験データ等に基づいて作成され、ECU26のROMに記憶されている。尚、サーモスタット異常時の相関関係を規定するマップ又は数式等をエンジン運転条件毎に作成して記憶しておき、現在のエンジン運転条件に応じたマップ又は数式等を用いて異常時の冷却水温の変化量cfを算出するようにしても良い。
この後、ステップ203に進み、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて異常時の冷却水温の変化量cfを補正する。この場合、例えば、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)が大きくなるほど異常時の冷却水温の変化量cfが小さくなる(上昇量が減少する又は低下量が増加する)ように補正する。
この後、ステップ204に進み、異常時の冷却水温の変化量cfと実際の冷却水温検出値の変化量Δthwとの差(cf−Δthw)を相関値として求め、この相関値(cf−Δthw)を前回までの積算相関値ΣCに加算して積算相関値ΣCを更新する。
ΣC=ΣC+(cf−Δthw)
この後、ステップ205に進み、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいか否かを判定する。その結果、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいと判定された場合には、ステップ206に進み、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有ると判定して、相関フラグXCを「1」にセットする。この場合、前記判定許可条件が成立していれば、第1の異常診断ではサーモスタット19の開異常有りと判定する。
一方、上記ステップ205で、積算相関値ΣCが所定値K以上であると判定された場合には、ステップ207に進み、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が無いと判定して、相関フラグXCを「0」にリセットする。この場合、前記判定許可条件が成立していれば、第1の異常診断ではサーモスタット19の開異常無しと判定する。
[冷却水温推定ルーチン]
図5に示す冷却水温推定ルーチンは、前記図3の異常診断メインルーチンのステップ103で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう冷却水温推定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、現在のエンジン運転状態(例えば、エンジン回転速度、エンジン負荷等)に基づいてエンジン11の発熱によって生じる冷却水温上昇分ΔTupをマップ又は数式等により算出する。
この後、ステップ302に進み、現在の車速、冷却水温、外気温等に基づいてラジエータ13やヒータコア18等の放熱によって生じる冷却水温降下分ΔTdownをマップ又は数式等により算出する。
この後、ステップ303に進み、冷却水温上昇分ΔTupと冷却水温降下分ΔTdownとの差(ΔTup−ΔTdown)を前回の冷却水温推定値Tに加算して今回の冷却水温推定値Tを求める。
T=T+(ΔTup−ΔTdown)
[正常・異常判定処理ルーチン]
図6に示す正常・異常判定処理ルーチンは、前記図3の異常診断メインルーチンのステップ105で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、冷却水温検出値thwが判定温度A(例えば始動時の水温と暖機完了に相当する水温との中間に設定された温度)よりも低いか否かを判定し、次のステップ402で、冷却水温推定値Tが判定温度B(例えば判定温度Aよりも少し高い温度)よりも低いか否かを判定する。
上記ステップ401で冷却水温検出値thwが判定温度A以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇しているため、第2の異常診断ではサーモスタット19の開異常無しと判断して、ステップ403に進み、相関フラグXC=0であるか否かによって第1の異常診断でもサーモスタット19の開異常無しと判定したか否かを判定する。
このステップ403で、相関フラグXC=0と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常無しと判定された場合)には、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致するため、ステップ404に進み、両者の異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用して最終的にサーモスタット19の開異常無し(正常)と決定して、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ403で、相関フラグXC=1と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常有りと判定された場合)には、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致しないため、ステップ407に進み、最終的にサーモスタット19の開異常の有無を決定することなく、異常診断を終了する。
一方、上記ステップ401で冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いと判定されたにも拘らず、上記ステップ402で冷却水温推定値Tが判定温度B以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇していないため、第2の異常診断ではサーモスタット19の開異常有りと判断して、ステップ405に進み、相関フラグXC=1であるか否かによって第1の異常診断でもサーモスタット19の開異常有りと判定されたか否かを判定する。
このステップ405で、相関フラグXC=1と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常有りと判定された場合)には、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致するため、ステップ406に進み、両者の異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用して最終的にサーモスタット19の開異常有りと決定する。この場合、異常フラグをONにセットし、運転席のインストルメントパネルに設けられた警告ランプ27を点灯したり、或は、運転席のインストルメントパネルの警告表示部(図示せず)に警告表示して運転者に警告すると共に、その異常情報(異常コード等)をECU26のバックアップRAM(図示せず)等の書き換え可能な不揮発性メモリ(ECU26の電源オフ中でも記憶データを保持する書き換え可能なメモリ)に記憶して、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ405で、相関フラグXC=0と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常無しと判定された場合)には、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致しないため、ステップ407に進み、最終的にサーモスタット19の開異常の有無を決定することなく、異常診断を終了する。
[ラジエータファン強制駆動ルーチン]
図7に示すラジエータファン強制駆動ルーチンは、ECU26の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、前記図3のステップ101と同じ異常診断実行条件が成立しているか否か判定する。その結果、異常診断実行条件が不成立であると判定されれば、ステップ505に進み、ラジエータファン21を停止状態に維持する。
一方、上記ステップ501で、異常診断実行条件が成立していると判定された場合には、サーモスタット19の異常診断期間中と判断して、ステップ502に進み、車速センサ25で検出した今回の車速Vを前回までの車速積算値ΣVに加算して車速積算値ΣCを更新する。
ΣV=ΣV+V
この後、ステップ503に進み、異常診断期間中に車速Vの積算を開始してから所定時間以内に車速積算値ΣCが所定値Fを越えたか否かを判定し、所定時間以内に車速積算値ΣCが所定値Fを越えなかったと判定された場合には、異常診断期間中に車速が低くてラジエータ13に当たる走行風の風量が少ないと判断して、ステップ504に進み、ラジエータファン21を強制的に駆動する。これにより、ラジエータファン21による冷却風によってラジエータ13に当る風量を確実に増加させる。
一方、上記ステップ503で、所定時間以内に車速積算値ΣCが所定値Fを越えたと判定された場合には、異常診断期間中に車速が十分に高くなってラジエータ13に当たる走行風の風量が十分に多いと判断して、ステップ505に進み、ラジエータファン21を停止状態に維持する。
[車速補正ルーチン]
図8に示す車速補正ルーチンは、ECU26の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ601で、ラジエータファン21の強制駆動中であるか否かを判定し、ラジエータファン21の強制駆動中であると判定された場合には、ステップ602に進み、車速センサ25で検出した車速Vに補正値Rを加算することで車速Vを補正し、この補正後の車速Vを異常診断用の車速として用いる(前述した図4のルーチンで用いる)。
V=V+R
ここで、補正値Rは、ラジエータファン21による冷却風と同じ風量の走行風を発生させるのに必要な車速に相当する値であり、ラジエータファン21の駆動状態(例えば、回転速度、駆動電圧等)に応じて設定されている。尚、ラジエータファン21の強制駆動時のラジエータファン21の駆動状態が毎回一定の場合には、補正値Rを予め設定した固定値としても良い。
一方、上記ステップ601で、ラジエータファン21の強制駆動中ではないと判定された場合には、ステップ603に進み、車速センサ25で検出した車速Vを補正せずに、そのまま異常診断用の車速として用いる。
以上説明した本実施例1では、冷却水温が所定温度よりも低い未暖機水温領域で、サーモスタット異常時の相関関係を用いて車速Vに応じた異常時の冷却水温の変化量cfを算出して、該異常時の冷却水温の変化量cfと実際の冷却水温検出値の変化量Δthwとの差(cf−Δthw)を相関値として算出し、該相関値(cf−Δthw)を評価して冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定するようにしたので、サーモスタット異常時の相関関係を用いてサーモスタット19の開異常を精度良く検出することができる。
更に、本実施例1では、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて異常時の冷却水温の変化量cfを補正するようにしたので、外気温の影響も考慮して冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間の相関関係を精度良く判定することができる。
また、本実施例1では、異常診断期間中に所定時間以内に車速積算値ΣCが所定値Fを越えなかった場合に、車速が低くてラジエータ13に当たる走行風の風量が少ないと判断して、ラジエータファン21を強制的に駆動するようにしたので、ラジエータファン21による冷却風によってラジエータ13に当る風量を確実に増加させることができ、更に、ラジエータファン21の駆動状態に応じて車速を補正するようにしたので、ラジエータファン21による冷却風の影響を車速に反映させることができる。これにより、車速が低くてラジエータ13に当たる走行風の風量が少ない場合でも、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
また、本実施例1では、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断と、冷却水温検出値Δthwと冷却水温推定値Tとを用いてサーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断を実行し、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用するようにしたので、サーモスタット19の異常診断精度を更に向上させることができる。
尚、上記実施例1では、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて異常時の冷却水温の変化量cfを補正するようにしたが、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて冷却水温検出値の変化量Δthwを補正するようにしても良い。
次に、図9を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例2では、ECU26によって後述する図9の相関判定ルーチンを実行することで、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの比(Δthw/V)を相関値として算出し、該相関値を評価して冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定する。冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの関係がサーモスタット異常時の相関関係に近くなるほど、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの比(Δthw/V)が所定値(サーモスタット異常時の冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの比)に近くなるため、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの比(Δthw/V)を相関値として評価すれば、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを精度良く判定することができる。
図9に示す相関判定ルーチンでは、まず、ステップ701で、冷却水温検出値の変化量Δthwを算出する。尚、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて冷却水温検出値の変化量Δthwを補正するようにしても良い。
この後、ステップ702に進み、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの比(Δthw/V)を相関値として求め、この相関値(Δthw/V)を前回までの積算相関値ΣCに加算して積算相関値ΣCを更新する。
ΣC=ΣC+(Δthw/V)
この後、ステップ703に進み、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいか否かを判定する。その結果、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいと判定された場合には、ステップ704に進み、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有ると判定して、相関フラグXCを「1」にセットする。
一方、上記ステップ703で、積算相関値ΣCが所定値K以上であると判定された場合には、ステップ705に進み、冷却水温検出値の変化量Δthwと車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が無いと判定して、相関フラグXCを「0」にリセットする。
以上説明した本実施例2においても、前記実施例1とほぼ同じ効果を得ることができる。
次に、図10を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
冷却水温センサ20の冷却水温検出値の変化量Δthwは、エンジン11からの受熱による冷却水温の変化量Δthw1と、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と、ヒータコア18の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw3)と、ラジエータ13やヒータコア18以外(冷却水循環パイプ等)の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw4)とを用いて、次の(1)式により求めることができる。
Δthw=Δthw1−Δthw2−Δthw3−Δthw4……(1)
上記(1)式をラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)について解くことで、次の(2)式を得ることができる。
−Δthw2=Δthw−Δthw1−(−Δthw3−Δthw4)……(2)
上記(2)式によりラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を求めることができる。
また、サーモスタット19の開異常が発生すると、図2に示すように、未暖機水温領域でラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間に、車速が速くなるほどラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量が小さくなる(低下量が増加する)という関係が成り立つ。
そこで、本実施例3では、ECU26によって後述する図10の相関判定ルーチンを実行することで、上記(2)式によりラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)をラジエータ放熱量情報として算出し、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間に所定のサーモスタット異常時の相関関係(図2参照)が有るか否かを判定することでサーモスタット開異常の有無を判定する。
図10に示す相関判定ルーチンでは、まず、ステップ801で、冷却水温センサ20の冷却水温検出値の変化量Δthwと、エンジン11からの受熱による冷却水温の変化量Δthw1と、ヒータコア18の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw3)と、ラジエータ13やヒータコア18以外(冷却水循環パイプ等)の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw4)とを用いて、上記(2)式によりラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を求める。
この後、ステップ802に進み、サーモスタット異常時の相関関係(図2参照)を規定するマップ又は数式等を用いて、現在の車速Vに応じた異常時のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量cfを算出した後、ステップ803に進み、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて、異常時のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量cfを補正する。
この後、ステップ804に進み、異常時のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量cfと、実際のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)との差{cf−(−Δthw2)}を相関値として求め、この相関値{cf−(−Δthw2)}を前回までの積算相関値ΣCに加算して積算相関値ΣCを更新する。
ΣC=ΣC+{cf−(−Δthw2)}
この後、ステップ805に進み、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいか否かを判定する。その結果、積算相関値ΣCが所定値Kよりも小さいと判定された場合には、ステップ806に進み、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有ると判定して、相関フラグXCを「1」にセットする。
一方、上記ステップ805で、積算相関値ΣCが所定値K以上であると判定された場合には、ステップ807に進み、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が無いと判定して、相関フラグXCを「0」にリセットする。
以上説明した本実施例3では、冷却水温センサ20の冷却水温検出値の変化量Δthwと、エンジン11からの受熱による冷却水温の変化量Δthw1と、ヒータコア18の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw3)と、ラジエータ13やヒータコア18以外(冷却水通路等)の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw4)とを用いて、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を算出するようにしたので、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を精度良く算出することができ、この精度良く算出したラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を用いて、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することで、サーモスタット19の異常検出精度を更に高めることができる。
尚、上記実施例3では、異常時のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量cfと、実際のラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)との差{cf−(−Δthw2)}を相関値として算出し、この相関値{cf−(−Δthw2)を評価してラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定するようにしたが、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの比(−Δthw2/V)を相関値として算出し、この相関値(−Δthw2/V)を評価してラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)と車速Vとの間にサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定するようにしても良い。
また、冷却水温thwと外気温thaとの差(thw−tha)に応じて、ラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量(−Δthw2)を補正するようにしても良い。
次に、図11を用いて本発明の実施例4を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
前記各実施例1〜3では、第1の異常診断の異常診断結果と第2の異常診断の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用するようにしたが、本実施例4では、ECU26によって後述する図11の正常・異常判定処理ルーチンを実行することで、第1の異常診断と第2の異常診断のうち診断処理が先に完了した方の異常診断結果を採用するようにしている。また、図11の正常・異常判定処理ルーチンでは、図3の異常診断メインルーチンのステップ104の処理が省略されている。
図11に示す正常・異常判定処理ルーチンでは、まず、ステップ901で、冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いか否かを判定し、次のステップ902で、冷却水温推定値Tが判定温度Bよりも低いか否かを判定する。
上記ステップ901で冷却水温検出値thwが判定温度A以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇しているため、第2の異常診断によりサーモスタット19の開異常無しと判断して、ステップ905に進み、最終的にサーモスタット19の開異常無し(正常)と決定する。
これに対して、上記ステップ901で冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いと判定されたにも拘らず、上記ステップ902で冷却水温推定値Tが判定温度B以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇していないため、第2の異常診断によりサーモスタット19の開異常有りと判断して、ステップ906に進み、最終的にサーモスタット19の開異常有りと決定する。
また、上記ステップ901で冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いと判定され、且つ、上記ステップ902で冷却水温推定値Tが判定温度Bよりも低いと判定された場合には、まだ第2の異常診断が完了していないと判断して、ステップ903に進み、所定の相関判定条件が成立しているか否かを、例えば、異常診断実行条件が成立してからの車速の積算値が所定値を越えたか否かによって判定する。尚、相関判定条件が成立しているか否かを、相関値の算出回数が所定値を越えたか否か、或は、車速の平均値が所定値を越えたか否か等によって判定しても良い。
このステップ903で、相関判定条件が成立していると判定された時点で、ラジエータ放熱量情報(冷却水温検出値の変化量又はラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量)と車速との間の相関関係を精度良く判定できる条件を満たしたと判断して、ステップ904に進み、相関フラグXC=1であるか否かによって第1の異常診断によりサーモスタット19の開異常有りと判定したか否かを判定する。
このステップ904で、相関フラグXC=0と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常無しと判定された場合)には、ステップ905に進み、最終的にサーモスタット19の開異常無し(正常)と決定する。
これに対して、上記ステップ904で、相関フラグXC=1と判定された場合(第1の異常診断でサーモスタット19の開異常有りと判定された場合)には、ステップ906に進み、最終的にサーモスタット19の開異常有りと決定する。
以上の処理により、第1の異常診断と第2の異常診断のうち先に診断処理が完了した方の異常診断結果を採用するようにしたので、サーモスタット19の異常診断結果を早期に確定させることができる。
次に、図12を用いて本発明の実施例5を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例5では、ECU26によって後述する図12の第2の異常診断ルーチンを実行することで、第1の異常診断でラジエータ放熱量情報(冷却水温検出値の変化量又はラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量)と車速との間の相関関係を判定するために算出した積算相関値ΣCに応じて、第2の異常診断でサーモスタット開異常の有無を判定する際の判定条件(例えば判定値)を変更するようにしている。
図12に示す第2の異常診断ルーチンでは、まず、ステップ1001で、第1の異常診断で算出した積算相関値ΣCに応じて、冷却水温検出値thwの判定温度Aをマップ又は数式等により算出する。この判定温度Aのマップ又は数式等は、積算相関値ΣCが大きくなるほど(つまりラジエータ放熱量情報と車速との関係がサーモスタット異常時の相関関係から離れるほど)判定温度Aが高くなるように設定されている。
この後、ステップ1002に進み、第1の異常診断で算出した積算相関値ΣCに応じて、冷却水温推定値Tの判定温度Bをマップ又は数式等により算出する。この判定温度Bのマップ又は数式等は、積算相関値ΣCが大きくなるほど判定温度Aが高くなるように設定されている。
この後、ステップ1003で、冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いか否かを判定し、次のステップ1004で、冷却水温推定値Tが判定温度Bよりも低いか否かを判定する。
上記ステップ1003で冷却水温検出値thwが判定温度A以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇しているため、ステップ1005に進み、サーモスタット19の開異常無し(正常)と判定する。
これに対して、上記ステップ1003で冷却水温検出値thwが判定温度Aよりも低いと判定されたにも拘らず、上記ステップ1004で冷却水温推定値Tが判定温度B以上であると判定された場合には、冷却水温検出値thwが正常に上昇していないため、ステップ1006に進み、サーモスタット19の開異常有りと判定する。
以上説明した本実施例5では、第1の異常診断でラジエータ放熱量情報と車速との間の相関関係を判定するために算出した積算相関値ΣCに応じて、第2の異常診断でサーモスタット開異常の有無を判定する際の判定温度を変更するようにしたので、第1の異常診断で算出した積算相関値ΣC(ラジエータ放熱量情報と車速との間の相関の度合)に応じて第2の異常診断の判定温度を適正に変更して第2の異常診断の異常診断精度を向上させることができる。
尚、上記実施例5では、積算相関値ΣCに応じて第2の異常診断の判定温度を変更するようにしたが、積算相関値ΣCに応じて第2の異常診断の冷却水温検出値thwや冷却水温推定値Tを補正するようにしても良い。
また、上記各実施例1〜5では、第1の異常診断でラジエータ放熱量情報(冷却水温検出値の変化量又はラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量)と車速との間の相関関係を判定するための判定パラメータとして積算相関値(相関値の積算値)を用いるようにしたが、これに限定されず、判定パラメータとして平均相関値(相関値の平均値)や相関値を用いるようにしても良い。
また、上記各実施例1〜5では、異常診断期間中に所定時間以内に車速積算値ΣCが所定値Fを越えなかった場合に、ラジエータファン21を強制的に駆動するようにしたが、異常診断期間中に常にラジエータファン21を強制的に駆動するようにしても良い。
また、上記各実施例1〜5では、ラジエータ放熱量情報として、冷却水温検出値の変化量又はラジエータ13の放熱による冷却水温の変化量を用いるようにしたが、これに限定されず、例えばラジエータ13の放熱量を用いるようにしても良い。
また、上記各実施例1〜5では、第1の異常診断(サーモスタット異常時の相関関係を用いる異常診断)と第2の異常診断(冷却水温推定値を用いる異常診断)を両方とも実行するようにしたが、第1の異常診断のみを実行するようにしても良い。
その他、本発明は、冷却水循環回路16中に設けるサーモスタット19の位置を変更したり、エンジン冷却システムの構成を適宜変更しても良い。要するに、本発明は、エンジンとラジエータとの間で冷却水を循環させる冷却水循環回路の途中にサーモスタットを設けたエンジン冷却システムであれば、その具体的構成の相違を問わず、広く適用して実施できる。
本発明の実施例1におけるエンジン冷却システム全体の概略構成図である。 サーモスタット異常時の冷却水温検出値の変化量と車速との相関関係を説明する図である。 実施例1の異常診断メインルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の相関判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の冷却水温推定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の正常・異常判定処理ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1のラジエータファン強制駆動ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例1の車速補正ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例2の相関判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例3の相関判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例4の正常・異常判定処理ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例5の第2の異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、13…ラジエータ、16…冷却水循環回路、17…温水回路、18…ヒータコア、19…サーモスタット、20…冷却水温センサ、21…ラジエータファン、24…外気温センサ、25…車速センサ、26…ECU(ラジエータ放熱量情報取得手段,異常診断手段,冷却水温推定手段)

Claims (16)

  1. 内燃機関とラジエータとの間で冷却水を循環させる冷却水循環回路の途中にサーモスタットを設け、所定の未暖機水温領域で前記サーモスタットが閉じて前記内燃機関と前記ラジエータとの間の冷却水の循環を停止する車両用冷却システムの異常診断装置において、 前記ラジエータの放熱量又はこれに関連性のある情報(以下これらを「ラジエータ放熱量情報」と総称する)を取得するラジエータ放熱量情報取得手段と、
    前記未暖機水温領域で前記ラジエータ放熱量情報と車速との間に所定のサーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することで前記未暖機水温領域で前記サーモスタットが閉じずに開き放しになるサーモスタット開異常の有無を判定する異常診断手段と
    を備えていることを特徴とする車両用冷却システムの異常診断装置。
  2. 前記冷却水循環回路のうちの前記サーモスタットよりも前記内燃機関側の冷却水温を検出する冷却水温センサを備え、
    前記ラジエータ放熱量情報取得手段は、前記冷却水温センサで検出した冷却水温検出値の変化量を前記ラジエータ放熱量情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  3. 前記冷却水循環回路のうちの前記サーモスタットよりも前記内燃機関側の冷却水温を検出する冷却水温センサを備え、
    前記ラジエータ放熱量情報取得手段は、前記冷却水温センサで検出した冷却水温検出値の変化量と前記内燃機関からの受熱による冷却水温の変化量と前記ラジエータ以外の放熱による冷却水温の変化量とに基づいて前記ラジエータの放熱による冷却水温の変化量を推定する手段を有し、該ラジエータの放熱による冷却水温の変化量を前記ラジエータ放熱量情報として用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  4. 前記サーモスタット異常時の相関関係は、前記車速が速くなるほど前記ラジエータ放熱量情報が前記ラジエータの放熱量増加方向に変化する関係であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  5. 前記異常診断手段は、前記サーモスタット異常時の相関関係を用いて前記車速に応じた異常時のラジエータ放熱量情報を算出する手段と、該異常時のラジエータ放熱量情報と前記ラジエータ放熱量情報との差を相関値として算出する手段とを有し、該相関値を評価して前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間に前記サーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  6. 前記異常診断手段は、前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との比を相関値として算出する手段を有し、該相関値を評価して前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間に前記サーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  7. 前記異常診断手段は、前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間の相関関係を判定するための相関値を複数回算出し、その複数の相関値の積算値又は平均値を用いて前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間に前記サーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  8. 前記異常診断手段は、前記相関値の算出回数、前記車速の積算値、前記車速の平均値の少なくとも1つを用いて、その値が所定値を越えるまで前記サーモスタット開異常の有無を判定する処理を禁止する手段を有することを特徴とする請求項7に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  9. 前記異常診断手段は、前記ラジエータ放熱量情報を冷却水温と外気温との差に応じて補正する手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかにに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  10. 前記異常診断手段は、前記異常時のラジエータ放熱量情報を冷却水温と外気温との差に応じて補正する手段を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  11. 前記ラジエータの冷却風を発生させるラジエータファンを備え、
    前記異常診断手段は、所定の異常診断期間中に前記ラジエータファンを強制的に駆動すると共に、前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間の相関関係を判定する際に用いる車速を前記ラジエータファンの駆動状態に応じて補正する手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  12. 前記異常診断手段は、前記異常診断期間中に前記車速が所定条件を満たさない場合に前記ラジエータファンを強制的に駆動することを特徴とする請求項11に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  13. 冷却水温を検出する冷却水温センサと、
    冷却水温を推定する冷却水温推定手段とを備え、
    前記異常診断手段は、前記未暖機水温領域で前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間に前記サーモスタット異常時の相関関係が有るか否かを判定することで前記サーモスタット開異常の有無を判定する第1の異常診断と、前記未暖機水温領域で前記冷却水温センサで検出した冷却水温検出値と前記冷却水温推定手段で推定した冷却水温推定値とを用いて前記サーモスタット開異常の有無を判定する第2の異常診断とを実行することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  14. 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断と前記第2の異常診断のうち、先に診断処理が完了した方の異常診断結果を採用することを特徴とする請求項13に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  15. 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断の異常診断結果と前記第2の異常診断の異常診断結果とが一致した場合に該異常診断結果を最終的な異常診断結果として採用することを特徴とする請求項13に記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
  16. 前記異常診断手段は、前記第1の異常診断で前記ラジエータ放熱量情報と前記車速との間の相関関係を判定するために算出した相関値に応じて、前記第2の異常診断で前記サーモスタット開異常の有無を判定する際の判定条件を変更することを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の車両用冷却システムの異常診断装置。
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