JP2004344053A - コンバイン - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構造からなる刈取装置のオープン構造を備えたコンバインを提供すること。
【解決手段】刈取装置6を先端に設けた刈取支持フレーム22の基部に横伝動筒24を連結し、該横伝動筒24の左右端部を懸架する左懸架メタル25aと右懸架メタル25bを支持させ、縦軸32に左懸架メタル25aを回動自在に、かつ同軸状に設け、右懸架メタル25bは横伝動筒24を取り外し自在に設け,左懸架メタル25aには刈取支持フレーム22を上下させる刈取昇降用シリンダ26を設け、縦軸32を中心に刈取装置6を機体の側方にオープンする。
【選択図】 図3
【解決手段】刈取装置6を先端に設けた刈取支持フレーム22の基部に横伝動筒24を連結し、該横伝動筒24の左右端部を懸架する左懸架メタル25aと右懸架メタル25bを支持させ、縦軸32に左懸架メタル25aを回動自在に、かつ同軸状に設け、右懸架メタル25bは横伝動筒24を取り外し自在に設け,左懸架メタル25aには刈取支持フレーム22を上下させる刈取昇降用シリンダ26を設け、縦軸32を中心に刈取装置6を機体の側方にオープンする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圃場において穀類の収穫作業を行う農業用のコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインは、車体フレームの下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラを有する走行装置を配設し、車体フレームの前端側に分草具と、引起しケースと、植立穀稈を刈り取る刈刃と、該刈刃にて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する刈取前処理装置と、穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節装置と、供給搬送装置などからなる刈取装置が設けられている。
【0003】
車体フレームの上方には、刈取装置の供給搬送装置から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェーンを有する脱穀装置と、該脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンクが載置されている。
【0004】
脱穀装置は、それぞれ回転する扱胴、二番処理胴、および排塵処理胴をもち、扱胴の扱歯により穀稈から穀粒を脱穀し、二番処理胴で枝梗を分離し、排塵処理胴で塵埃を分離し、扱胴の下部に設けた揺動棚、唐箕送風機、シーブなどの作用により穀粒の選別を行い、選別された穀粒を一番穀粒揚送筒によりグレンタンクに揚送する。
【0005】
脱穀装置の後方には、藁屑および塵埃を脱穀装置内から吸引して圃場に放出する横断流ファンを設け、かつ脱穀後の排藁は排藁チェーンで搬送して、そのまま直接に圃場に放出するか、カッターで切断してから圃場に放出する。脱穀装置の最後部に排藁を圃場に直接放出するか、カッターで切断後に放出するかを切り替えるドロッパーカバーを設けている。
【0006】
グレンタンクの後部に縦オーガと横オーガとからなる排出オーガを設けており、グレンタンク内に一時貯留してある穀粒をコンバインの外部に排出できる構成としている。
【0007】
コンバインの走行、刈取、脱穀、穀粒排出運転などは、コンバインの運転席に搭乗するオペレータが運転席の操作装置を手動操作により操作するほか、操作装置に組み込まれた自動制御装置により自動操作して行う。
【0008】
上記コンバインにおいて、分草稈、引起し装置、刈刃などからなる刈取装置および刈取前処理装置、扱深さ調節装置及び供給搬送装置などのメンテナンスにはこれらの装置をコンバインの機体から取り外して、作業を行う必要があった。しかし、刈取用の前記各種装置は比較的複雑な部品の組み合せでできており、コンバインの機体からの取り外し作業に大きな労力を必要としているため、前記作業を容易に行えるような構成に対する要請がある。
【0009】
そのために刈取装置を機体から分離しないで、機体の側方に開いて刈取装置および刈取前処理装置のメンテナンスを容易にする刈取装置のオープン構造についての提案が多く成されている。
【0010】
【特許文献1】
実開平2−55528号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の刈取装置のオープン構造は刈取装置の昇降シリンダの基部が穀稈引起し装置8に付属しているため、強度的に不十分であり、また穀稈引起し装置8による刈取装置の昇降シリンダの受け部の強度も十分ではない。
そこで、本発明の課題は比較的簡単な構造からなる刈取装置のオープン構造を備えたコンバインを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成により解決される。
請求項1記載の発明は、原動機と、該原動機により駆動する走行装置3と、走行装置3上に設けられた機体の基部を構成する走行フレーム2と、植立穀稈刈取用の刈取装置6と、該刈取装置6を機体の側方にオープンするための走行フレーム2上に設けた縦軸32と、刈取装置6を先端に設けた刈取支持フレーム22と、該刈取支持フレーム22の基部を連結した横伝動筒24と、該横伝動筒24の左右端部を懸架する一対の懸架メタル25a、25bと、該左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方を前記縦軸32に回動自在に、かつ同軸状に設け、他方は横伝動筒24に取り外し自在に設け、前記縦軸32に回動自在に設けた懸架メタル25a又は25bと刈取支持フレーム22との間に設けた刈取昇降用シリンダ26とを備えたコンバインである。
【0013】
請求項2記載の発明は、原動機からの駆動力を刈取装置6に伝達させる走行ギアボックス31を設け、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結した構成を備えた請求項1記載のコンバインである。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記横伝動筒24を走行フレーム2上に設けた縦軸32より機体前進方向である前側に設けた請求項1又は2記載のコンバインである。
【0015】
請求項4記載の発明は、走行フレーム2上には走行用変速装置を内蔵したギアボックス31を設け、前記横伝動筒24に取り外し自在に設けられた懸架メタル25a又は25bはギアボックス(支持プレート)31aに支持させた請求項1ないし3のいずれかに記載のコンバインである。
【0016】
請求項5記載の発明は、走行フレーム2上に設けた縦軸32と走行ギアボックス31aとを連結する構成を備えた請求項1ないし4のいずれかに記載のコンバインである。
【0017】
請求項1記載の発明によれば、走行フレーム2上に設けた縦軸32で懸架メタル25a又は25bを支え、縦軸32に回動自在に設けた懸架メタル25a又は25bは同軸として、懸架メタル25a又は25bと刈取支持フレーム22との間に刈取昇降用シリンダ26を設けたので刈取装置6のオープン機構が比較的簡単な構造となり、刈取装置6のオープン時は刈取昇降用シリンダ26を外さなくてもよい。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用に加えて、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結したので、前記懸架メタル25a又は25bは、縦軸32に挿入して配置される懸架メタル25b又は25aに対してギアボックス31aの側面への位置決めで調節ができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明の作用に加えて、刈取装置6のオープンスペースが広くとれる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、刈取装置6のオープン時の支持部材を強硬なギアボックス31で支持できる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ギアボックス31aは縦軸32の上方と連結ロッド29で連結しているので、刈取装置6のオープン時にはギアボックス31aによっても縦軸32の支持の補強をすることができる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、刈取装置6のオープン時の支点回動軸である縦軸32と開放支点側の懸架メタル25a又は25bを同軸とすることで構成が簡略化して低コスト化できる。また、刈取装置6のオープン時は刈取昇降用シリンダ26を外さなくてもよいのでメンテナンスが容易になり、横伝動筒24と刈取支持フレーム22の強度を刈取昇降用シリンダ26の取り付けで補強できる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結したので、縦軸32に挿入して配置される懸架メタル25b又は25aに対してギアボックス31aの側面への前記左右懸架メタル25a又は25bの取付け位置の調節ができ、寸法精度の補正が容易となる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、刈取装置6のオープン時は、刈取装置6のメンテナンス用のスペースが比較的広くなり、メンテナンス性が従来より向上する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、刈取装置6のオープン時の支点部の強度が従来に比べて向上する。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、元来強度と剛性が高いギアボックス31aと縦軸32の上部を連結することにより、刈取装置6のオープン時に縦軸32が刈取装置6の重みで機体左前方に傾くことを防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2は図1のコンバインの正面図を示す。図3は刈取装置部分を中心とするコンバインの要部斜視図、図4は刈取装置を機体の側方に約90度オープンした状態を示すコンバインの要部斜視図である。図5は図4の懸架メタル部分の一部拡大図である。
本明細書においてコンバインの前進方向を前、後進方向を後とし、前進方向に向かってそれぞれ左、右側を左、右とする。
【0028】
図1ないし図4に示すコンバイン1は走行フレーム2の下部に、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン(図示せず)ならび脱穀装置15、操縦席20およびグレンタンク30を搭載する。
【0029】
刈取装置6は、刈取昇降用シリンダ26の伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取ることができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具(分草稈)7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置8を、その後方底部には刈刃(図示せず)を配置している。刈刃と脱穀装置15のフィードチェーン14の始端部との間に、前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0030】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して操作レバー(HSTやベルコン用)をコンバイン1が前進するように操作し、刈取脱穀クラッチを入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具(分草稈)7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、図示しない穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置及び供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0031】
刈取装置6から扱深さを調節されて送られる穀稈は、脱穀装置15の内部で脱穀され、穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)を分離して、得られた穀粒は一番揚穀筒16を経てグレンタンク30へ搬送される。グレンタンク30に内に貯留された穀粒は縦オーガ18および横オーガ19からなる排出オーガからコンバイン1の外部に排出される。
【0032】
刈取装置6は刈取支持フレーム22の先端に接続した刈取フレーム(図示せず)と刈取支持フレーム22の基部に接続した横伝動筒24に連結しており、横伝動筒24を走行フレーム2側に設けた一対の支持架台25(25a、25b)に回動自在に取付ける。
【0033】
また、横伝動筒24の中央部には刈取装置6の支持と駆動力の伝達機構を兼ねた刈取支持フレーム22が固着されている。横伝動筒24の一端部は左懸架メタル25aの上端の挿入穴に通されて支持され、横伝動筒24の他端部は、回動可能に右懸架メタル25bに支持され、該右懸架メタル25bは走行用変速装置を内蔵したギアボックス31の一部のボックス(支持プレート)31aに固定支持されている。右側懸架メタル25bをギアボックス(支持プレート)31aの側面に取付けることにより、走行フレーム2に立設された縦軸32に挿入して配置される左懸架メタル25aに対し、相対的な同芯寸法をギアボックス31aの側面からの位置決めで調節ができ、寸法精度の補正が容易となる。
【0034】
従来の懸架メタルは走行フレーム2に取付けていて、走行フレーム2の構成が複雑で重かったが、図3に示す構成にしたことで、刈取装置6の開閉機構が軽量化でき、さらに寸法精度が確保しやすくなり、刈取オープン機構がスムーズに行える。
【0035】
また、左懸架メタル25aは縦軸(回動支点部)32に回動自在に支持され、右懸架メタル25bはギアボックス31のボックス31aに固定されている。左懸架メタル25aには刈取昇降用シリンダ26が一体的に設けられており、該刈取昇降用シリンダ26の伸縮で刈取支持フレーム22が上下動をして刈取装置6を上下に動かすことができる。また、右懸架メタル25bは図4に示すように上下に分離できる2つのメタル片からできており、右懸架メタル25bを開いて、縦軸(回動支点部)32の回りに横伝動筒24とともに左懸架メタル25aを回転させることで、刈取装置6をオープンさせることができる。また、左懸架メタル25aには刈取昇降用シリンダ26が一体的に設けられているので、刈取装置6のオープン時にも刈取装置6を昇降させることができる。
【0036】
ギアボックス31aは縦軸32の上方を連結ロッド29で連結しているので、刈取装置6のオープン時にはギアボックス31aによっても縦軸32の支持の補強をすることができる。元来強度と剛性が高いギアボックス31aと縦軸32の上部を連結することにより、刈取装置6のオープン時に縦軸32が刈取装置6の重みで機体左前方に傾くことを防止できる。
【0037】
右懸架メタル25bには刈取装置6のオープンロックレバー33を設けておく。また、該レバー33に連動する右懸架メタル25bの上側のメタル片を外すと、リンク機構により、上メタル片を付勢するスプリング34の付勢力で上メタル片が横伝動筒24を開放する方向に作動する。
【0038】
また、コンバインの機体側面視で縦軸32より前方に横伝動筒24を設けているので、刈取装置6を機体側方にオープンした時に縦軸32より、より左側方に刈取支持フレーム22が位置することになり、刈取装置6の全体がより機体側方に変位し、メンテナンス空間部が広くとれる。なお、刈取支持フレーム22内部にはエンジンからの動力を刈取装置6に伝達する機構が内蔵されている。
【0039】
コンバインの正面図を図2に、平面図を図6に示すが、右クローラの右端に対して分草稈7の先端を右端の鉛直線上に配置されるようにし、それより内側の間に移動可能な構成とする。
【0040】
これは、クローラ4の前方で左右端に分草稈7を有する刈取装置6を配置し、左側分草稈7は左クローラ4の端部よりL1だけ機体左側に位置させ、右側分草稈7は右側クローラ4の端部に対して同一鉛直線上とその左側(機体内側)に位置する状態とに切換可能とするためである。
【0041】
コンバインは左回りを行いながら直立穀稈の刈取を行う。そのため左側クローラ4の外端の鉛直ラインより左側分草稈7の先端を外側に出して分草稈7の左クローラ4による踏み倒しを防止している。一方、右側の分草稈7は、初回の回り刈時、又は中割時に右クローラ4の右端と同一鉛直ラインの位置に右側分草稈7の先端が位置すれば右クローラ4による稈の踏み倒しが無く、完全に全面刈取りができる。
【0042】
また、必要以上に分草稈7を右へ出すと刈取装置6の掻入性能が低下し、刈取装置6への詰まりの原因となる。また、一方、通常の回り刈時は分草稈7を右クローラより左側(機体の内側)に位置させると、切断藁を引っかけず作業ができる。
【0043】
右端分草稈7の先端を右クローラ4の右端の鉛直線上に配置されるようにし、それより内側の間に移動可能な構成は図7の要部斜視図に示すように操縦席20のレバー35の操作でワイヤ36が作動して右端の分草稈7が矢印のように作動する構成である。
【0044】
コンバイン1の刈取装置6の左側面には図1と図6の平面図に示すようにナローガイド37を設けているが、このナローガイド37は中央部までは後傾した形状をしており、その後傾部分に傾斜面を有する傾斜板38を設けている。該傾斜板38の作用面で倒伏稈をすくい上げることができるので、次工程での刈取作業を容易に行うことができる。
【0045】
本発明の他の実施の形態を図面とともに説明する。図8は前記他の実施の形態のコンバインの側面図であり、図9は図8のコンバインの正面図であり、図10は図8のコンバインの刈取装置を上げた場合の側面図である。
【0046】
本実施の形態のコンバインは図1、図2、図6で説明した構成と同一部材は同一番号を付してその説明は省略する。図8〜図10には刈取装置6と脱穀装置15の間にある扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41を図示している。また操縦席20には主変速レバー42が設けられ、刈取装置6の上部には各引起し装置8を連結支持するためのアーチ(門構え)45を設けているが、従来はこのアーチ45が図8、図10の点線で示すように引起し装置8の平面と平行な平面方向に設けられていた。
【0047】
しかし、その場合には刈取装置6を図10に示すように上昇させると主変速レバー42に近づくような位置に移動してしまい、主変速レバー42を操作し難くなり、運転者は圧迫感を感じていた。また、通常時でもアーチ45が運転者の前方視界を妨げていた。
【0048】
そこで、本実施の形態では図8〜図10に示すように、アーチ45を前方に折り曲げた形状にして主変速レバー42の操作時に圧迫感がないようにした。さらにこのアーチ45はデザイン性に優れ、前方視界が従来品より向上する。また、アーチ45を前方に折り曲げた形状にした分、従来に比べて刈取装置6をより高く上げることができるので、扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41が見易くなり、作業精度が向上する。
【0049】
本発明の他の実施の形態を図面とともに説明する。図11は前記他の実施の形態のコンバインの平面図であり、図12は図11のコンバインの正面図である。本実施の形態のコンバインも、コンバインは図1、図2で説明した構成と同一部材は同一番号を付してその説明は省略する。図11と図12には刈取装置6の右端の穀稈引起し装置8の右側面からさらに右側に伸びた手動注油レバー47を設けている。この注油レバー47は刈取装置6を構成する刈刃、前部搬送装置をはじめとする機械部品、扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41等の注油をするための注油ポンプ52の作動用レバー47である。
【0050】
手動注油レバー47は操作パネル48の略中央前方に位置させたので、注油レバー47は操作パネル48の回転計50とパワステレバー51の間に配置したことになり、また右側から主変速レバー42、回転計50、注油レバー47の順番でこれらの機器が配置されるため、運転者が座席20に着座した状態でレバー操作をしてもパワステレバー51と干渉することなく、又、回転計50を視認できるという効果がある。
さらに、注油レバー47の先端と右端の分草稈7の先端が略同一鉛直線上にあるので、注油レバー47の先端を前方未刈稈のマーカとしても使用できる。
【0051】
現行のコンバインの注油レバーは機体の左側に位置しているため操作性が悪く、注油レバーを操作するためには、運転者が操縦席に立った状態で左傾め前にかがみこむ必要があった。そのため注油レバーを安全に操作するためには運転者はコンバインから降りて左側に移動する必要があった。
【0052】
これに対して、上記図11と図12に示す構成では、運転者はコンバインに乗った状態で注油ができ、注油レバー47の操作性が現行のコンバインに比べて格段に向上する。
【0053】
また、注油レバー47により手動式の注油ポンプ52を作動させるため、そのレバー47の操作荷重が大きいが、注油レバー47の配置位置が操縦席20の運転者にとって、力が入る所であるため、レバー47の操作荷重を重く感じないで操作ができる。さらに、操縦席20の運転者から見て前方下方にある注油レバー47がよく見え、しかもそれが突出しているので、一目で注油レバー47であると理解できるため、試運転時にも、注油レバー47の説明が不要である。
【0054】
また、現行機では刈取装置6の刈取高さに関係なく、注油レバー47が操作されると注油がされ、特に刈刃、刈取装置内のチェン類は刈取装置6を下げた状態で注油すると、刈刃やチェン類の傾斜角が圃場面に対して比較的きついので注油後に即座に流れ落ち、注油オイルが注油目的箇所の細部にいきわたらず、地面を汚していた。
【0055】
そこで本実施の形態では刈刃が略水平状態の時しか注油できないような注油装置にしておき、オイルが細部までいきわたりやすいようにすることができた。
【0056】
また、汎用されている刈高ポジションセンサで刈取装置6の上昇高さをピックアップし、設定範囲の高さに刈取装置6がある時にのみ注油レバー47で作動する自動注油スイッチ(図示せず)を押して注油できるようにした。例えば、刈刃面が略水平位置である刈取装置6の上昇高さを予め求めておき、該刈取装置6がその高さになったとき、例えばそれを知らせるランプが点灯する構成にしておき、前記ランプの点灯と自動注油スイッチのオンで初めて、刈刃などに注油が開始される構成にしておく。
【0057】
こうして、注油オイルの節約ができ、また、注油オイルが細部までいきわたるため、これらの機械部品の摩耗防止ができる。
【0058】
また、刈取装置6や脱穀装置15が駆動状態にあるとき、一定時間継続して刈取装置6が最上げ状態にあると、自動的に注油される構成にしても良い。また前記一定時間の設定はダイヤルなどで可変できるようにすることが望ましい。
【0059】
前記自動注油の開始条件は、
▲1▼脱穀スイッチがオンで、かつ刈取スイッチがオンであること(作業中の判定)。
▲2▼刈取装置6の刈取高さポジションセンサが刈取装置6の最上げ付近を検出することとして、設定時間のみ刈取注油モータが駆動する(設定時間はダイヤルにて可変できる構成)。また、刈取装置6を下げ、実刈状態になると注油がストップする。
なお、藁が刈取装置6内にある場合や、後進時は前記完全自動注油は作動しないようにする。
【0060】
従来は、作業前に注油し、作業途中でチェン音などがして注油が必要になったことに気が付いた場合には作業を中断して注油をする必要があったが、上記構成にすると作業旋回時に自動注油できるため、各部の摩耗が防止できる。
【0061】
こうして、作業前の注油時間が不要になり作業能率が向上する。また、注油忘れを防止することができ、各部の耐摩耗性が従来に比べて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のコンバインの側面図である。
【図2】図1のコンバインの正面図である。
【図3】図1のコンバインの刈取装置のオープン機構の斜視図である。
【図4】図1のコンバインの刈取装置がオープンしたときの斜視図である。
【図5】図4の懸架メタル部分の一部拡大図である。
【図6】図1のコンバインの平面図である。
【図7】図1のコンバインの右端分草稈の作動機構を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態のコンバインの側面図である。
【図9】図8のコンバインの正面図である。
【図10】図8のコンバインの側面図である。
【図11】本発明の実施の形態のコンバインの平面図である。
【図12】図11のコンバインの正面図である。
【符号の説明】
1 コンバイン 2 走行フレーム
3 走行装置 4 クローラ
6 刈取装置 7 分草具(分草稈)
8 穀稈引起し装置 14 フィードチェーン
15 脱穀装置 16 一番揚穀筒
18 縦オーガ 19 横オーガ
20 操縦席 22 刈取支持フレーム
24 横伝動筒 25 支持架台
25a 左懸架メタル 25b 右懸架メタル
26 刈取昇降用シリンダ 29 連結ロッド
30 グレンタンク 31 ギアボックス
31a ギアボックス(支持プレート)
32 縦軸 33 オープンロックレバー
34 スプリング 35 レバー
36 ワイヤ 37 ナローガイド
38 傾斜板 40 扱深さ調節装置
41 穀稈供給搬送装置 42 主変速レバー
45 アーチ(門構え) 47 手動注油レバー
48 操作パネル 50 回転計
51 パワステレバー 52 注油ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、圃場において穀類の収穫作業を行う農業用のコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインは、車体フレームの下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラを有する走行装置を配設し、車体フレームの前端側に分草具と、引起しケースと、植立穀稈を刈り取る刈刃と、該刈刃にて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する刈取前処理装置と、穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節装置と、供給搬送装置などからなる刈取装置が設けられている。
【0003】
車体フレームの上方には、刈取装置の供給搬送装置から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェーンを有する脱穀装置と、該脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンクが載置されている。
【0004】
脱穀装置は、それぞれ回転する扱胴、二番処理胴、および排塵処理胴をもち、扱胴の扱歯により穀稈から穀粒を脱穀し、二番処理胴で枝梗を分離し、排塵処理胴で塵埃を分離し、扱胴の下部に設けた揺動棚、唐箕送風機、シーブなどの作用により穀粒の選別を行い、選別された穀粒を一番穀粒揚送筒によりグレンタンクに揚送する。
【0005】
脱穀装置の後方には、藁屑および塵埃を脱穀装置内から吸引して圃場に放出する横断流ファンを設け、かつ脱穀後の排藁は排藁チェーンで搬送して、そのまま直接に圃場に放出するか、カッターで切断してから圃場に放出する。脱穀装置の最後部に排藁を圃場に直接放出するか、カッターで切断後に放出するかを切り替えるドロッパーカバーを設けている。
【0006】
グレンタンクの後部に縦オーガと横オーガとからなる排出オーガを設けており、グレンタンク内に一時貯留してある穀粒をコンバインの外部に排出できる構成としている。
【0007】
コンバインの走行、刈取、脱穀、穀粒排出運転などは、コンバインの運転席に搭乗するオペレータが運転席の操作装置を手動操作により操作するほか、操作装置に組み込まれた自動制御装置により自動操作して行う。
【0008】
上記コンバインにおいて、分草稈、引起し装置、刈刃などからなる刈取装置および刈取前処理装置、扱深さ調節装置及び供給搬送装置などのメンテナンスにはこれらの装置をコンバインの機体から取り外して、作業を行う必要があった。しかし、刈取用の前記各種装置は比較的複雑な部品の組み合せでできており、コンバインの機体からの取り外し作業に大きな労力を必要としているため、前記作業を容易に行えるような構成に対する要請がある。
【0009】
そのために刈取装置を機体から分離しないで、機体の側方に開いて刈取装置および刈取前処理装置のメンテナンスを容易にする刈取装置のオープン構造についての提案が多く成されている。
【0010】
【特許文献1】
実開平2−55528号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の刈取装置のオープン構造は刈取装置の昇降シリンダの基部が穀稈引起し装置8に付属しているため、強度的に不十分であり、また穀稈引起し装置8による刈取装置の昇降シリンダの受け部の強度も十分ではない。
そこで、本発明の課題は比較的簡単な構造からなる刈取装置のオープン構造を備えたコンバインを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成により解決される。
請求項1記載の発明は、原動機と、該原動機により駆動する走行装置3と、走行装置3上に設けられた機体の基部を構成する走行フレーム2と、植立穀稈刈取用の刈取装置6と、該刈取装置6を機体の側方にオープンするための走行フレーム2上に設けた縦軸32と、刈取装置6を先端に設けた刈取支持フレーム22と、該刈取支持フレーム22の基部を連結した横伝動筒24と、該横伝動筒24の左右端部を懸架する一対の懸架メタル25a、25bと、該左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方を前記縦軸32に回動自在に、かつ同軸状に設け、他方は横伝動筒24に取り外し自在に設け、前記縦軸32に回動自在に設けた懸架メタル25a又は25bと刈取支持フレーム22との間に設けた刈取昇降用シリンダ26とを備えたコンバインである。
【0013】
請求項2記載の発明は、原動機からの駆動力を刈取装置6に伝達させる走行ギアボックス31を設け、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結した構成を備えた請求項1記載のコンバインである。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記横伝動筒24を走行フレーム2上に設けた縦軸32より機体前進方向である前側に設けた請求項1又は2記載のコンバインである。
【0015】
請求項4記載の発明は、走行フレーム2上には走行用変速装置を内蔵したギアボックス31を設け、前記横伝動筒24に取り外し自在に設けられた懸架メタル25a又は25bはギアボックス(支持プレート)31aに支持させた請求項1ないし3のいずれかに記載のコンバインである。
【0016】
請求項5記載の発明は、走行フレーム2上に設けた縦軸32と走行ギアボックス31aとを連結する構成を備えた請求項1ないし4のいずれかに記載のコンバインである。
【0017】
請求項1記載の発明によれば、走行フレーム2上に設けた縦軸32で懸架メタル25a又は25bを支え、縦軸32に回動自在に設けた懸架メタル25a又は25bは同軸として、懸架メタル25a又は25bと刈取支持フレーム22との間に刈取昇降用シリンダ26を設けたので刈取装置6のオープン機構が比較的簡単な構造となり、刈取装置6のオープン時は刈取昇降用シリンダ26を外さなくてもよい。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用に加えて、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結したので、前記懸架メタル25a又は25bは、縦軸32に挿入して配置される懸架メタル25b又は25aに対してギアボックス31aの側面への位置決めで調節ができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1、2記載の発明の作用に加えて、刈取装置6のオープンスペースが広くとれる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、刈取装置6のオープン時の支持部材を強硬なギアボックス31で支持できる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の作用に加えて、ギアボックス31aは縦軸32の上方と連結ロッド29で連結しているので、刈取装置6のオープン時にはギアボックス31aによっても縦軸32の支持の補強をすることができる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、刈取装置6のオープン時の支点回動軸である縦軸32と開放支点側の懸架メタル25a又は25bを同軸とすることで構成が簡略化して低コスト化できる。また、刈取装置6のオープン時は刈取昇降用シリンダ26を外さなくてもよいのでメンテナンスが容易になり、横伝動筒24と刈取支持フレーム22の強度を刈取昇降用シリンダ26の取り付けで補強できる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結したので、縦軸32に挿入して配置される懸架メタル25b又は25aに対してギアボックス31aの側面への前記左右懸架メタル25a又は25bの取付け位置の調節ができ、寸法精度の補正が容易となる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、刈取装置6のオープン時は、刈取装置6のメンテナンス用のスペースが比較的広くなり、メンテナンス性が従来より向上する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、刈取装置6のオープン時の支点部の強度が従来に比べて向上する。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、元来強度と剛性が高いギアボックス31aと縦軸32の上部を連結することにより、刈取装置6のオープン時に縦軸32が刈取装置6の重みで機体左前方に傾くことを防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図2は図1のコンバインの正面図を示す。図3は刈取装置部分を中心とするコンバインの要部斜視図、図4は刈取装置を機体の側方に約90度オープンした状態を示すコンバインの要部斜視図である。図5は図4の懸架メタル部分の一部拡大図である。
本明細書においてコンバインの前進方向を前、後進方向を後とし、前進方向に向かってそれぞれ左、右側を左、右とする。
【0028】
図1ないし図4に示すコンバイン1は走行フレーム2の下部に、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン(図示せず)ならび脱穀装置15、操縦席20およびグレンタンク30を搭載する。
【0029】
刈取装置6は、刈取昇降用シリンダ26の伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取ることができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具(分草稈)7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置8を、その後方底部には刈刃(図示せず)を配置している。刈刃と脱穀装置15のフィードチェーン14の始端部との間に、前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0030】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して操作レバー(HSTやベルコン用)をコンバイン1が前進するように操作し、刈取脱穀クラッチを入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具(分草稈)7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、図示しない穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置及び供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0031】
刈取装置6から扱深さを調節されて送られる穀稈は、脱穀装置15の内部で脱穀され、穀稈から分離された被処理物(穀粒や藁くず)を分離して、得られた穀粒は一番揚穀筒16を経てグレンタンク30へ搬送される。グレンタンク30に内に貯留された穀粒は縦オーガ18および横オーガ19からなる排出オーガからコンバイン1の外部に排出される。
【0032】
刈取装置6は刈取支持フレーム22の先端に接続した刈取フレーム(図示せず)と刈取支持フレーム22の基部に接続した横伝動筒24に連結しており、横伝動筒24を走行フレーム2側に設けた一対の支持架台25(25a、25b)に回動自在に取付ける。
【0033】
また、横伝動筒24の中央部には刈取装置6の支持と駆動力の伝達機構を兼ねた刈取支持フレーム22が固着されている。横伝動筒24の一端部は左懸架メタル25aの上端の挿入穴に通されて支持され、横伝動筒24の他端部は、回動可能に右懸架メタル25bに支持され、該右懸架メタル25bは走行用変速装置を内蔵したギアボックス31の一部のボックス(支持プレート)31aに固定支持されている。右側懸架メタル25bをギアボックス(支持プレート)31aの側面に取付けることにより、走行フレーム2に立設された縦軸32に挿入して配置される左懸架メタル25aに対し、相対的な同芯寸法をギアボックス31aの側面からの位置決めで調節ができ、寸法精度の補正が容易となる。
【0034】
従来の懸架メタルは走行フレーム2に取付けていて、走行フレーム2の構成が複雑で重かったが、図3に示す構成にしたことで、刈取装置6の開閉機構が軽量化でき、さらに寸法精度が確保しやすくなり、刈取オープン機構がスムーズに行える。
【0035】
また、左懸架メタル25aは縦軸(回動支点部)32に回動自在に支持され、右懸架メタル25bはギアボックス31のボックス31aに固定されている。左懸架メタル25aには刈取昇降用シリンダ26が一体的に設けられており、該刈取昇降用シリンダ26の伸縮で刈取支持フレーム22が上下動をして刈取装置6を上下に動かすことができる。また、右懸架メタル25bは図4に示すように上下に分離できる2つのメタル片からできており、右懸架メタル25bを開いて、縦軸(回動支点部)32の回りに横伝動筒24とともに左懸架メタル25aを回転させることで、刈取装置6をオープンさせることができる。また、左懸架メタル25aには刈取昇降用シリンダ26が一体的に設けられているので、刈取装置6のオープン時にも刈取装置6を昇降させることができる。
【0036】
ギアボックス31aは縦軸32の上方を連結ロッド29で連結しているので、刈取装置6のオープン時にはギアボックス31aによっても縦軸32の支持の補強をすることができる。元来強度と剛性が高いギアボックス31aと縦軸32の上部を連結することにより、刈取装置6のオープン時に縦軸32が刈取装置6の重みで機体左前方に傾くことを防止できる。
【0037】
右懸架メタル25bには刈取装置6のオープンロックレバー33を設けておく。また、該レバー33に連動する右懸架メタル25bの上側のメタル片を外すと、リンク機構により、上メタル片を付勢するスプリング34の付勢力で上メタル片が横伝動筒24を開放する方向に作動する。
【0038】
また、コンバインの機体側面視で縦軸32より前方に横伝動筒24を設けているので、刈取装置6を機体側方にオープンした時に縦軸32より、より左側方に刈取支持フレーム22が位置することになり、刈取装置6の全体がより機体側方に変位し、メンテナンス空間部が広くとれる。なお、刈取支持フレーム22内部にはエンジンからの動力を刈取装置6に伝達する機構が内蔵されている。
【0039】
コンバインの正面図を図2に、平面図を図6に示すが、右クローラの右端に対して分草稈7の先端を右端の鉛直線上に配置されるようにし、それより内側の間に移動可能な構成とする。
【0040】
これは、クローラ4の前方で左右端に分草稈7を有する刈取装置6を配置し、左側分草稈7は左クローラ4の端部よりL1だけ機体左側に位置させ、右側分草稈7は右側クローラ4の端部に対して同一鉛直線上とその左側(機体内側)に位置する状態とに切換可能とするためである。
【0041】
コンバインは左回りを行いながら直立穀稈の刈取を行う。そのため左側クローラ4の外端の鉛直ラインより左側分草稈7の先端を外側に出して分草稈7の左クローラ4による踏み倒しを防止している。一方、右側の分草稈7は、初回の回り刈時、又は中割時に右クローラ4の右端と同一鉛直ラインの位置に右側分草稈7の先端が位置すれば右クローラ4による稈の踏み倒しが無く、完全に全面刈取りができる。
【0042】
また、必要以上に分草稈7を右へ出すと刈取装置6の掻入性能が低下し、刈取装置6への詰まりの原因となる。また、一方、通常の回り刈時は分草稈7を右クローラより左側(機体の内側)に位置させると、切断藁を引っかけず作業ができる。
【0043】
右端分草稈7の先端を右クローラ4の右端の鉛直線上に配置されるようにし、それより内側の間に移動可能な構成は図7の要部斜視図に示すように操縦席20のレバー35の操作でワイヤ36が作動して右端の分草稈7が矢印のように作動する構成である。
【0044】
コンバイン1の刈取装置6の左側面には図1と図6の平面図に示すようにナローガイド37を設けているが、このナローガイド37は中央部までは後傾した形状をしており、その後傾部分に傾斜面を有する傾斜板38を設けている。該傾斜板38の作用面で倒伏稈をすくい上げることができるので、次工程での刈取作業を容易に行うことができる。
【0045】
本発明の他の実施の形態を図面とともに説明する。図8は前記他の実施の形態のコンバインの側面図であり、図9は図8のコンバインの正面図であり、図10は図8のコンバインの刈取装置を上げた場合の側面図である。
【0046】
本実施の形態のコンバインは図1、図2、図6で説明した構成と同一部材は同一番号を付してその説明は省略する。図8〜図10には刈取装置6と脱穀装置15の間にある扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41を図示している。また操縦席20には主変速レバー42が設けられ、刈取装置6の上部には各引起し装置8を連結支持するためのアーチ(門構え)45を設けているが、従来はこのアーチ45が図8、図10の点線で示すように引起し装置8の平面と平行な平面方向に設けられていた。
【0047】
しかし、その場合には刈取装置6を図10に示すように上昇させると主変速レバー42に近づくような位置に移動してしまい、主変速レバー42を操作し難くなり、運転者は圧迫感を感じていた。また、通常時でもアーチ45が運転者の前方視界を妨げていた。
【0048】
そこで、本実施の形態では図8〜図10に示すように、アーチ45を前方に折り曲げた形状にして主変速レバー42の操作時に圧迫感がないようにした。さらにこのアーチ45はデザイン性に優れ、前方視界が従来品より向上する。また、アーチ45を前方に折り曲げた形状にした分、従来に比べて刈取装置6をより高く上げることができるので、扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41が見易くなり、作業精度が向上する。
【0049】
本発明の他の実施の形態を図面とともに説明する。図11は前記他の実施の形態のコンバインの平面図であり、図12は図11のコンバインの正面図である。本実施の形態のコンバインも、コンバインは図1、図2で説明した構成と同一部材は同一番号を付してその説明は省略する。図11と図12には刈取装置6の右端の穀稈引起し装置8の右側面からさらに右側に伸びた手動注油レバー47を設けている。この注油レバー47は刈取装置6を構成する刈刃、前部搬送装置をはじめとする機械部品、扱深さ調節装置40と穀稈供給搬送装置41等の注油をするための注油ポンプ52の作動用レバー47である。
【0050】
手動注油レバー47は操作パネル48の略中央前方に位置させたので、注油レバー47は操作パネル48の回転計50とパワステレバー51の間に配置したことになり、また右側から主変速レバー42、回転計50、注油レバー47の順番でこれらの機器が配置されるため、運転者が座席20に着座した状態でレバー操作をしてもパワステレバー51と干渉することなく、又、回転計50を視認できるという効果がある。
さらに、注油レバー47の先端と右端の分草稈7の先端が略同一鉛直線上にあるので、注油レバー47の先端を前方未刈稈のマーカとしても使用できる。
【0051】
現行のコンバインの注油レバーは機体の左側に位置しているため操作性が悪く、注油レバーを操作するためには、運転者が操縦席に立った状態で左傾め前にかがみこむ必要があった。そのため注油レバーを安全に操作するためには運転者はコンバインから降りて左側に移動する必要があった。
【0052】
これに対して、上記図11と図12に示す構成では、運転者はコンバインに乗った状態で注油ができ、注油レバー47の操作性が現行のコンバインに比べて格段に向上する。
【0053】
また、注油レバー47により手動式の注油ポンプ52を作動させるため、そのレバー47の操作荷重が大きいが、注油レバー47の配置位置が操縦席20の運転者にとって、力が入る所であるため、レバー47の操作荷重を重く感じないで操作ができる。さらに、操縦席20の運転者から見て前方下方にある注油レバー47がよく見え、しかもそれが突出しているので、一目で注油レバー47であると理解できるため、試運転時にも、注油レバー47の説明が不要である。
【0054】
また、現行機では刈取装置6の刈取高さに関係なく、注油レバー47が操作されると注油がされ、特に刈刃、刈取装置内のチェン類は刈取装置6を下げた状態で注油すると、刈刃やチェン類の傾斜角が圃場面に対して比較的きついので注油後に即座に流れ落ち、注油オイルが注油目的箇所の細部にいきわたらず、地面を汚していた。
【0055】
そこで本実施の形態では刈刃が略水平状態の時しか注油できないような注油装置にしておき、オイルが細部までいきわたりやすいようにすることができた。
【0056】
また、汎用されている刈高ポジションセンサで刈取装置6の上昇高さをピックアップし、設定範囲の高さに刈取装置6がある時にのみ注油レバー47で作動する自動注油スイッチ(図示せず)を押して注油できるようにした。例えば、刈刃面が略水平位置である刈取装置6の上昇高さを予め求めておき、該刈取装置6がその高さになったとき、例えばそれを知らせるランプが点灯する構成にしておき、前記ランプの点灯と自動注油スイッチのオンで初めて、刈刃などに注油が開始される構成にしておく。
【0057】
こうして、注油オイルの節約ができ、また、注油オイルが細部までいきわたるため、これらの機械部品の摩耗防止ができる。
【0058】
また、刈取装置6や脱穀装置15が駆動状態にあるとき、一定時間継続して刈取装置6が最上げ状態にあると、自動的に注油される構成にしても良い。また前記一定時間の設定はダイヤルなどで可変できるようにすることが望ましい。
【0059】
前記自動注油の開始条件は、
▲1▼脱穀スイッチがオンで、かつ刈取スイッチがオンであること(作業中の判定)。
▲2▼刈取装置6の刈取高さポジションセンサが刈取装置6の最上げ付近を検出することとして、設定時間のみ刈取注油モータが駆動する(設定時間はダイヤルにて可変できる構成)。また、刈取装置6を下げ、実刈状態になると注油がストップする。
なお、藁が刈取装置6内にある場合や、後進時は前記完全自動注油は作動しないようにする。
【0060】
従来は、作業前に注油し、作業途中でチェン音などがして注油が必要になったことに気が付いた場合には作業を中断して注油をする必要があったが、上記構成にすると作業旋回時に自動注油できるため、各部の摩耗が防止できる。
【0061】
こうして、作業前の注油時間が不要になり作業能率が向上する。また、注油忘れを防止することができ、各部の耐摩耗性が従来に比べて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のコンバインの側面図である。
【図2】図1のコンバインの正面図である。
【図3】図1のコンバインの刈取装置のオープン機構の斜視図である。
【図4】図1のコンバインの刈取装置がオープンしたときの斜視図である。
【図5】図4の懸架メタル部分の一部拡大図である。
【図6】図1のコンバインの平面図である。
【図7】図1のコンバインの右端分草稈の作動機構を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態のコンバインの側面図である。
【図9】図8のコンバインの正面図である。
【図10】図8のコンバインの側面図である。
【図11】本発明の実施の形態のコンバインの平面図である。
【図12】図11のコンバインの正面図である。
【符号の説明】
1 コンバイン 2 走行フレーム
3 走行装置 4 クローラ
6 刈取装置 7 分草具(分草稈)
8 穀稈引起し装置 14 フィードチェーン
15 脱穀装置 16 一番揚穀筒
18 縦オーガ 19 横オーガ
20 操縦席 22 刈取支持フレーム
24 横伝動筒 25 支持架台
25a 左懸架メタル 25b 右懸架メタル
26 刈取昇降用シリンダ 29 連結ロッド
30 グレンタンク 31 ギアボックス
31a ギアボックス(支持プレート)
32 縦軸 33 オープンロックレバー
34 スプリング 35 レバー
36 ワイヤ 37 ナローガイド
38 傾斜板 40 扱深さ調節装置
41 穀稈供給搬送装置 42 主変速レバー
45 アーチ(門構え) 47 手動注油レバー
48 操作パネル 50 回転計
51 パワステレバー 52 注油ポンプ
Claims (5)
- 原動機と、該原動機により駆動する走行装置3と、走行装置3上に設けられた機体の基部を構成する走行フレーム2と、植立穀稈刈取用の刈取装置6と、該刈取装置6を機体の側方にオープンするための走行フレーム2上に設けた縦軸32と、刈取装置6を先端に設けた刈取支持フレーム22と、該刈取支持フレーム22の基部を連結した横伝動筒24と、該横伝動筒24の左右端部を懸架する一対の懸架メタル25a、25bと、該左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方を前記縦軸32に回動自在に、かつ同軸状に設け、他方は横伝動筒24に取り外し自在に設け、前記縦軸32に回動自在に設けた懸架メタル25a又は25bと刈取支持フレーム22との間に設けた刈取昇降用シリンダ26とを備えたことを特徴とするコンバイン。
- 原動機からの駆動力を刈取装置6に伝達させる走行ギアボックス31を設け、横伝動筒24を取り外し自在に設けた左右懸架メタル25a、25bのいずれか一方をギアボックス31に連結した構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
- 前記横伝動筒24を走行フレーム2上に設けた縦軸32より機体前進方向である前側に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバイン。
- 走行フレーム2上には走行用変速装置を内蔵したギアボックス31を設け、前記横伝動筒24に取り外し自在に設けられた懸架メタル25a又は25bはギアボックス31aに支持させたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコンバイン。
- 走行フレーム2上に設けた縦軸32と走行ギアボックス31aとを連結する構成を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコンバイン。
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2003
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