JP2003171703A - 多孔質焼結体およびその製造方法 - Google Patents
多孔質焼結体およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】溶湯の含浸性に優れた多孔質焼結体を提供す
る。 【解決手段】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末
の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた
溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてな
り、該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞
を備えることを特徴とする多孔質焼結体。溶失性線材を
溶解させることで容易に空洞が形成される。この空洞が
溶湯の湯道となって、溶湯の含浸性が向上する。
る。 【解決手段】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末
の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた
溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてな
り、該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞
を備えることを特徴とする多孔質焼結体。溶失性線材を
溶解させることで容易に空洞が形成される。この空洞が
溶湯の湯道となって、溶湯の含浸性が向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶湯を含浸させる
多孔質焼結体とその製造方法に関するものである。
多孔質焼結体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軽量化、高性能化、リサイクル化等の観
点から、各種部材の材料は、例えば、鉄系材料からアル
ミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属へと移行さ
れつつある。もっとも、全体をそれらの材料で置換する
のではなく、強度、剛性、摺動性、耐久性等の様々な理
由から、複合材料化がなされている。例えば、エンジン
のシリンダブロックの場合、外装部分はアルミニウム合
金としつつも、シリンダボアには鋳鉄ライナが鋳込まれ
ることが多い。ただ、鋳鉄ライナは、重量、熱伝導性等
の点で必ずしも好ましくない。そのため、それに替え
て、セラミック繊維のプリフォームや金属製の多孔質焼
結体を鋳込むことも考えられている。しかし、セラミッ
ク繊維のプリフォームは、剛性や強度等の点で、大きな
荷重や面圧が作用するシリンダライナへの使用には必ず
しも好ましくない。
点から、各種部材の材料は、例えば、鉄系材料からアル
ミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属へと移行さ
れつつある。もっとも、全体をそれらの材料で置換する
のではなく、強度、剛性、摺動性、耐久性等の様々な理
由から、複合材料化がなされている。例えば、エンジン
のシリンダブロックの場合、外装部分はアルミニウム合
金としつつも、シリンダボアには鋳鉄ライナが鋳込まれ
ることが多い。ただ、鋳鉄ライナは、重量、熱伝導性等
の点で必ずしも好ましくない。そのため、それに替え
て、セラミック繊維のプリフォームや金属製の多孔質焼
結体を鋳込むことも考えられている。しかし、セラミッ
ク繊維のプリフォームは、剛性や強度等の点で、大きな
荷重や面圧が作用するシリンダライナへの使用には必ず
しも好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特開平11−
47913号公報等では、鋳型形状を工夫して、セラミ
ック繊維のプリフォームの両側から溶湯を含浸させ、そ
の含浸性を向上させることが開示されている。しかし、
この方法では、金型(鋳型)が複雑で高価となる。ま
た、鋳造後の加工代が大きくなったり、セラミック繊維
のプリフォームの中央部に未含浸部分が集積して鋳巣原
因となったりし得る。なお、このようなことは、シリン
ダライナ用のセラミック繊維のプリフォームに限ったこ
とではないことを断っておく。本発明は、このような事
情に鑑みて為されたものである。つまり、溶湯を迅速か
つ確実に含浸させることができる多孔質焼結体を提供す
ることを目的とする。また、そのような多孔質焼結体を
容易に効率よく生産できる製造方法を提供することを目
的とする。
47913号公報等では、鋳型形状を工夫して、セラミ
ック繊維のプリフォームの両側から溶湯を含浸させ、そ
の含浸性を向上させることが開示されている。しかし、
この方法では、金型(鋳型)が複雑で高価となる。ま
た、鋳造後の加工代が大きくなったり、セラミック繊維
のプリフォームの中央部に未含浸部分が集積して鋳巣原
因となったりし得る。なお、このようなことは、シリン
ダライナ用のセラミック繊維のプリフォームに限ったこ
とではないことを断っておく。本発明は、このような事
情に鑑みて為されたものである。つまり、溶湯を迅速か
つ確実に含浸させることができる多孔質焼結体を提供す
ることを目的とする。また、そのような多孔質焼結体を
容易に効率よく生産できる製造方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はこの課題を解
決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、比較的低
融点の線材を用いて、多孔質焼結体の内部に空洞を形成
することを思い付き、本発明を完成させるに至ったもの
である。 (多孔質焼結体)すなわち、本発明の多孔質焼結体は、
金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以
下の融点をもち該原料粉末中に設けられた溶失性線材と
を共に加熱し該金属粉末を焼結させてなり、該焼結時に
該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを
特徴とする。
決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、比較的低
融点の線材を用いて、多孔質焼結体の内部に空洞を形成
することを思い付き、本発明を完成させるに至ったもの
である。 (多孔質焼結体)すなわち、本発明の多孔質焼結体は、
金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末の焼結温度以
下の融点をもち該原料粉末中に設けられた溶失性線材と
を共に加熱し該金属粉末を焼結させてなり、該焼結時に
該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備えることを
特徴とする。
【0005】本発明の多孔質焼結体は、従来のように、
金属粉末を焼結させた際に形成される気孔を通じての
み、溶湯を含浸させるものではない。その気孔に加え
て、積極的に溶湯を導き、または含浸させるための空洞
を備えるものである。この空洞の存在により、溶湯の含
浸性を著しく向上させることができた。この「空洞」
は、従来の気孔の代替をも為し得るが、それには限られ
ない。むしろ、その空洞の形態を工夫することで、溶湯
を多孔質焼結体の内部へ積極的に導くための湯道ともす
ることができる。ところで、この空洞は、金属粉末の焼
結温度よりも低い温度で溶解する溶失性線材によって形
成される。このため、溶失性線材の配設具合を調整する
ことで、多孔質焼結体の内部まで至る湯道を容易に形成
できる。また、その溶失性線材の配設方法により、含浸
させ得る溶湯の流入側に開口して湯道を形成する空洞を
も容易に形成できる。
金属粉末を焼結させた際に形成される気孔を通じての
み、溶湯を含浸させるものではない。その気孔に加え
て、積極的に溶湯を導き、または含浸させるための空洞
を備えるものである。この空洞の存在により、溶湯の含
浸性を著しく向上させることができた。この「空洞」
は、従来の気孔の代替をも為し得るが、それには限られ
ない。むしろ、その空洞の形態を工夫することで、溶湯
を多孔質焼結体の内部へ積極的に導くための湯道ともす
ることができる。ところで、この空洞は、金属粉末の焼
結温度よりも低い温度で溶解する溶失性線材によって形
成される。このため、溶失性線材の配設具合を調整する
ことで、多孔質焼結体の内部まで至る湯道を容易に形成
できる。また、その溶失性線材の配設方法により、含浸
させ得る溶湯の流入側に開口して湯道を形成する空洞を
も容易に形成できる。
【0006】なお、本発明でいう「多孔質焼結体」は、
金属粉末が焼結して形成された気孔が多くても少なくて
も良い。ただ、その気孔には前記空洞を含め得る。従っ
て、上記気孔量とは別に、本発明に係る「空洞」が多数
存在すれば、十分に「多孔質」である。そして、その空
洞部分も含めて、多孔質焼結体の気孔率を算出可能であ
る。
金属粉末が焼結して形成された気孔が多くても少なくて
も良い。ただ、その気孔には前記空洞を含め得る。従っ
て、上記気孔量とは別に、本発明に係る「空洞」が多数
存在すれば、十分に「多孔質」である。そして、その空
洞部分も含めて、多孔質焼結体の気孔率を算出可能であ
る。
【0007】(多孔質焼結体の製造方法)さらに本発明
は、上述内容を踏まえて、次にような多孔質焼結体の製
造方法としても把握できる。 (1)すなわち、本発明は、金属粉末を主とする原料粉
末を該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材
の配設された成形型へ充填する充填工程と、該成形型の
キャビティに充填された該原料粉末を少なくとも加圧成
形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加
熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、
該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を
備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法として
も良い。この製造方法は、成形型のキャビティに予め溶
失性線材を配設しておき、そこに原料粉末を充填し、成
形、焼結を行うものである。この場合、溶失性線材の配
設自由度が大きいため、形成される空洞の形態を調整し
易い。例えば、空洞を湯道とする場合、湯道の開口を溶
湯の流入側に向けることも容易となる。
は、上述内容を踏まえて、次にような多孔質焼結体の製
造方法としても把握できる。 (1)すなわち、本発明は、金属粉末を主とする原料粉
末を該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材
の配設された成形型へ充填する充填工程と、該成形型の
キャビティに充填された該原料粉末を少なくとも加圧成
形して粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加
熱して焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、
該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を
備えることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法として
も良い。この製造方法は、成形型のキャビティに予め溶
失性線材を配設しておき、そこに原料粉末を充填し、成
形、焼結を行うものである。この場合、溶失性線材の配
設自由度が大きいため、形成される空洞の形態を調整し
易い。例えば、空洞を湯道とする場合、湯道の開口を溶
湯の流入側に向けることも容易となる。
【0008】(2)また、本発明は、金属粉末を主とす
る原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶
失性線材とを混合した混合粉末を成形型へ充填する充填
工程と、該成形型に充填された該混合粉末を加圧成形し
て粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱し
て焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼
結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備え
ることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法としても良
い。この製造方法は、適度な長さの溶失性線材と金属粉
末とを予め混合した混合粉末を成形型に充填し、成形、
焼結を行うものである。この場合、多孔質焼結体の全体
にほぼ均一的な空洞が形成させ得る。このため、溶湯
は、多孔質焼結体の全体へより確実に含浸され易くな
る。
る原料粉末と該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ溶
失性線材とを混合した混合粉末を成形型へ充填する充填
工程と、該成形型に充填された該混合粉末を加圧成形し
て粉末成形体とする成形工程と、該粉末成形体を加熱し
て焼結体とする焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼
結工程で該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備え
ることを特徴とする多孔質焼結体の製造方法としても良
い。この製造方法は、適度な長さの溶失性線材と金属粉
末とを予め混合した混合粉末を成形型に充填し、成形、
焼結を行うものである。この場合、多孔質焼結体の全体
にほぼ均一的な空洞が形成させ得る。このため、溶湯
は、多孔質焼結体の全体へより確実に含浸され易くな
る。
【0009】(3)さらに、本発明は、金属粉末を主と
する原料粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型
に充填された該原料粉末を低圧力で加圧成形して粉末成
形体とする成形工程と、該粉末成形体に該金属粉末の焼
結温度以下の融点をもつ溶失性線材を刺衝する刺衝工程
と、該刺衝工程後の粉末成形体を加熱して焼結体とする
焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失
性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴と
する多孔質焼結体の製造方法としても良い。この製造方
法は、粉末成形体を先ず成形しておき、これに溶失性線
材を刺衝し、焼結させるものである。既成の粉末成形体
に溶失性線材の刺衝するため、溶失性線材の配設自由度
はより一層大きい。例えば、粉末成形体のあらゆる面か
ら湯道を形成することも容易である。なお、「刺衝」に
は、埋設も含まれる。なお、この成形工程において、原
料粉末を加圧成形する際に「低圧力で」としたのは、溶
失性線材の刺衝を容易にするためである。従って、溶失
性線材の粉末成形体への刺衝が可能な限り、その具体的
な加圧力は問題ではない。
する原料粉末を成形型へ充填する充填工程と、該成形型
に充填された該原料粉末を低圧力で加圧成形して粉末成
形体とする成形工程と、該粉末成形体に該金属粉末の焼
結温度以下の融点をもつ溶失性線材を刺衝する刺衝工程
と、該刺衝工程後の粉末成形体を加熱して焼結体とする
焼結工程とからなり、該焼結体は、該焼結工程で該溶失
性線材が溶融して形成された空洞を備えることを特徴と
する多孔質焼結体の製造方法としても良い。この製造方
法は、粉末成形体を先ず成形しておき、これに溶失性線
材を刺衝し、焼結させるものである。既成の粉末成形体
に溶失性線材の刺衝するため、溶失性線材の配設自由度
はより一層大きい。例えば、粉末成形体のあらゆる面か
ら湯道を形成することも容易である。なお、「刺衝」に
は、埋設も含まれる。なお、この成形工程において、原
料粉末を加圧成形する際に「低圧力で」としたのは、溶
失性線材の刺衝を容易にするためである。従って、溶失
性線材の粉末成形体への刺衝が可能な限り、その具体的
な加圧力は問題ではない。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、実施形態を挙げ、本発明を
より詳しく説明する。なお、以下に述べる内容は、本発
明に係る多孔質焼結体およびその製造方法のいずれにも
適宜該当するものである。 (1)溶失性線材 溶失性線材は、金属粉末の焼結温度以下で溶融する線材
であれば足る。従って、金属製、樹脂製等、その材質は
問わないし、その長短、線径(太細)や断面形状等も問
わない。もっとも、溶失性線材の融点は、焼結温度に近
い方が好ましい。金属粉末の焼結温度と溶失性線材の融
点との格差があまり大きいと、溶失性線材が気化して、
焼結工程時に炉体を汚損等するからである。例えば、金
属粉末が鉄系粉末で、その焼結温度を1100℃とする
場合、銅(融点:1083℃)を溶失性線材の材料とす
ると良い。
より詳しく説明する。なお、以下に述べる内容は、本発
明に係る多孔質焼結体およびその製造方法のいずれにも
適宜該当するものである。 (1)溶失性線材 溶失性線材は、金属粉末の焼結温度以下で溶融する線材
であれば足る。従って、金属製、樹脂製等、その材質は
問わないし、その長短、線径(太細)や断面形状等も問
わない。もっとも、溶失性線材の融点は、焼結温度に近
い方が好ましい。金属粉末の焼結温度と溶失性線材の融
点との格差があまり大きいと、溶失性線材が気化して、
焼結工程時に炉体を汚損等するからである。例えば、金
属粉末が鉄系粉末で、その焼結温度を1100℃とする
場合、銅(融点:1083℃)を溶失性線材の材料とす
ると良い。
【0011】また、溶失性線材の材質は、多孔質焼結体
(金属粉末)の主成分元素と合金を形成する合金成分元
素を含むものであると好適である。適切な組み合わせに
より、多孔質焼結体の強度、熱伝導性、摺動性等の向上
を図れる。例えば、前記主成分元素が鉄(Fe)の場
合、前記合金成分元素が銅(Cu)であると、CuがF
eに固溶されて多孔質焼結体の強度を向上させ得る。こ
れ以外に、主成分元素と合金成分元素との組合わせは種
々考えることができ、主成分元素をFeとした場合な
ら、合金成分元素として上記Cu以外に、炭素(C)、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(N
i)、バナジウム(V)等を考えることができる。
(金属粉末)の主成分元素と合金を形成する合金成分元
素を含むものであると好適である。適切な組み合わせに
より、多孔質焼結体の強度、熱伝導性、摺動性等の向上
を図れる。例えば、前記主成分元素が鉄(Fe)の場
合、前記合金成分元素が銅(Cu)であると、CuがF
eに固溶されて多孔質焼結体の強度を向上させ得る。こ
れ以外に、主成分元素と合金成分元素との組合わせは種
々考えることができ、主成分元素をFeとした場合な
ら、合金成分元素として上記Cu以外に、炭素(C)、
クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(N
i)、バナジウム(V)等を考えることができる。
【0012】溶失性線材の長さは、目的により適宜選択
すれば良い。例えば、溶失性線材の長さを、多孔質焼結
体の長さまたは厚さに応じた長さとすれば良い。具体的
には、溶失性線材の溶融により形成された空洞を溶湯の
湯道とする場合、多孔質焼結体の一方から他方にかけて
空洞が貫通またはそれに近い状態となる長さにすると好
ましい。一方、原料粉末に溶失性線材を混合した混合粉
末で粉末成形体を一体成形するような場合なら、その長
さは短い細切れ状または繊維状とすると良い。溶失性線
材の線径も、目的により適宜選択すれば良い。例えば、
前述の湯道を形成する場合なら、太い程好ましい。例え
ば、線径を0.5mm以上、より望ましくは1mm以上
とすれば良い。本発明者がダイカスト鋳造で確認したと
ころ、線径1mm程度の空洞でも、十分に湯道として機
能し得た。溶失性線材の断面形状は、コスト、入手性、
取扱い性等から、円断面であると好ましい。
すれば良い。例えば、溶失性線材の長さを、多孔質焼結
体の長さまたは厚さに応じた長さとすれば良い。具体的
には、溶失性線材の溶融により形成された空洞を溶湯の
湯道とする場合、多孔質焼結体の一方から他方にかけて
空洞が貫通またはそれに近い状態となる長さにすると好
ましい。一方、原料粉末に溶失性線材を混合した混合粉
末で粉末成形体を一体成形するような場合なら、その長
さは短い細切れ状または繊維状とすると良い。溶失性線
材の線径も、目的により適宜選択すれば良い。例えば、
前述の湯道を形成する場合なら、太い程好ましい。例え
ば、線径を0.5mm以上、より望ましくは1mm以上
とすれば良い。本発明者がダイカスト鋳造で確認したと
ころ、線径1mm程度の空洞でも、十分に湯道として機
能し得た。溶失性線材の断面形状は、コスト、入手性、
取扱い性等から、円断面であると好ましい。
【0013】(2)原料粉末
原料粉末は、主に金属粉末からなる。金属粉末は、F
e、Al、Mg等の金属単体からなる純金属粉末でも、
合金粉末でも、それらの混合粉末でも良い。もっとも、
金属粉末がFeを主成分とする鉄系粉末であると、入手
が容易で低コストである。金属粉末は、アトマイズ粉、
還元粉等、なんでも良く、粒形状等は問わない。ただ
し、高気孔率の多孔質焼結体を製造する場合、あまりに
も小さい粒径の微粉は好ましくない。例えば、粒径が5
0〜150μm程度のものを使用すると好ましい。原料
粉末は、このような金属粉末だけからなる場合に限ら
ず、潤滑剤または添加剤等を含んだ混合粉末(混合原料
粉末)でも良い。また、炭素(C)、ホウ素(B)等の
金属以外の各種合金元素粉末またはそれらの含有粉末、
さらにはセラミックス粉末のような各種化合物粉末を含
んでいても良い。
e、Al、Mg等の金属単体からなる純金属粉末でも、
合金粉末でも、それらの混合粉末でも良い。もっとも、
金属粉末がFeを主成分とする鉄系粉末であると、入手
が容易で低コストである。金属粉末は、アトマイズ粉、
還元粉等、なんでも良く、粒形状等は問わない。ただ
し、高気孔率の多孔質焼結体を製造する場合、あまりに
も小さい粒径の微粉は好ましくない。例えば、粒径が5
0〜150μm程度のものを使用すると好ましい。原料
粉末は、このような金属粉末だけからなる場合に限ら
ず、潤滑剤または添加剤等を含んだ混合粉末(混合原料
粉末)でも良い。また、炭素(C)、ホウ素(B)等の
金属以外の各種合金元素粉末またはそれらの含有粉末、
さらにはセラミックス粉末のような各種化合物粉末を含
んでいても良い。
【0014】(3)粉末成形体
粉末成形体中で、前記金属粉末の占める占有体積率(金
属粉末占有体積率)が40〜70体積%であると良い。
40体積%未満では、その取扱性が悪いし、一方、70
体積%を超えると多孔質焼結体の気孔率が低下して好ま
しくない。金属粉末占有体積率は、45〜65体積%、
45〜60体積%、さらには50体積%を目標に45〜
55体積%程度とすると良い。なお、本明細書でいう体
積%とは、金属粉末の真密度に対する粉末成形体の嵩密
度の割合である。ところで、このような金属粉末占有体
積率の低い粉末成形体の形成に好適な新たな方法を、本
発明者は開発している。
属粉末占有体積率)が40〜70体積%であると良い。
40体積%未満では、その取扱性が悪いし、一方、70
体積%を超えると多孔質焼結体の気孔率が低下して好ま
しくない。金属粉末占有体積率は、45〜65体積%、
45〜60体積%、さらには50体積%を目標に45〜
55体積%程度とすると良い。なお、本明細書でいう体
積%とは、金属粉末の真密度に対する粉末成形体の嵩密
度の割合である。ところで、このような金属粉末占有体
積率の低い粉末成形体の形成に好適な新たな方法を、本
発明者は開発している。
【0015】すなわち、前述した本発明の製造方法を前
提に、全体を100質量%としたときに2.5質量%以
上の低温軟化性のバインダを含む混合原料粉末を原料粉
末として使用し、これを成形型に充填し(充填工程)、
その充填された混合原料粉末中のバインダを軟化または
溶融させ該混合原料粉末を加圧成形して粉末成形体とし
(成形工程)、全体を100体積%としたときに前記金
属粉末占有体積率が40〜70体積%となる粉末成形体
を加熱し、該バインダを除去すると共に該金属粉末を焼
結させて多孔質焼結体とする(焼結工程)ものである。
提に、全体を100質量%としたときに2.5質量%以
上の低温軟化性のバインダを含む混合原料粉末を原料粉
末として使用し、これを成形型に充填し(充填工程)、
その充填された混合原料粉末中のバインダを軟化または
溶融させ該混合原料粉末を加圧成形して粉末成形体とし
(成形工程)、全体を100体積%としたときに前記金
属粉末占有体積率が40〜70体積%となる粉末成形体
を加熱し、該バインダを除去すると共に該金属粉末を焼
結させて多孔質焼結体とする(焼結工程)ものである。
【0016】成形工程で加熱された低温軟化性のバイン
ダは、軟化または溶融して金属粉末の構成粒子を被覆
し、各構成粒子同士を付着させ易くする。このため、金
属粉末占有体積率の小さい粉末成形体であっても、取扱
性が良く通常にハンドリングできる。しかも、このバイ
ンダは、焼結工程で容易に除去され、炉体の汚染も抑
制、防止できる。その含有量は、粉末成形体全体を10
0質量%としたときに、2.5質量%以上、好ましくは
3質量%以上であると良い。低温軟化性のバインダとし
て、例えば、ステアリン酸やアマイド系ワックス等の粉
末冶金用潤滑剤を使用できる。これらは安価であり、使
用が容易である。なお、ここでいうバインダの「低温」
とは、成形工程でバインダが軟化または溶融する程度の
温度という意味である。従って、具体的な温度域はバイ
ンダの種類により異なるが、予熱または加熱した成形型
中でバインダが軟化または溶融すれば十分である。この
ように、低温軟化性のバインダを利用することで、取扱
性に優れた、低い金属粉末占有体積率の粉末成形体が得
られ、高気孔率の多孔質焼結体を効率的に量産すること
が可能となった。
ダは、軟化または溶融して金属粉末の構成粒子を被覆
し、各構成粒子同士を付着させ易くする。このため、金
属粉末占有体積率の小さい粉末成形体であっても、取扱
性が良く通常にハンドリングできる。しかも、このバイ
ンダは、焼結工程で容易に除去され、炉体の汚染も抑
制、防止できる。その含有量は、粉末成形体全体を10
0質量%としたときに、2.5質量%以上、好ましくは
3質量%以上であると良い。低温軟化性のバインダとし
て、例えば、ステアリン酸やアマイド系ワックス等の粉
末冶金用潤滑剤を使用できる。これらは安価であり、使
用が容易である。なお、ここでいうバインダの「低温」
とは、成形工程でバインダが軟化または溶融する程度の
温度という意味である。従って、具体的な温度域はバイ
ンダの種類により異なるが、予熱または加熱した成形型
中でバインダが軟化または溶融すれば十分である。この
ように、低温軟化性のバインダを利用することで、取扱
性に優れた、低い金属粉末占有体積率の粉末成形体が得
られ、高気孔率の多孔質焼結体を効率的に量産すること
が可能となった。
【0017】(4)多孔質焼結体
焼結後に得られた多孔質焼結体は、全体を100体積%
としたときに気孔率が30〜60体積%であると好まし
い。溶湯の含浸性に優れるからである。この気孔率に前
記溶失性線材により形成された空洞を含めて考えると、
従来製作が困難であった高気孔率の多孔質焼結体が容易
に得られることになる。ここで、気孔率は、多孔質焼結
体の嵩密度(ρ)とその構成材料の真密度(ρ 0)とを
用いて、{1−(ρ/ρ0)}×100(%)として表
される。
としたときに気孔率が30〜60体積%であると好まし
い。溶湯の含浸性に優れるからである。この気孔率に前
記溶失性線材により形成された空洞を含めて考えると、
従来製作が困難であった高気孔率の多孔質焼結体が容易
に得られることになる。ここで、気孔率は、多孔質焼結
体の嵩密度(ρ)とその構成材料の真密度(ρ 0)とを
用いて、{1−(ρ/ρ0)}×100(%)として表
される。
【0018】ところで、溶失性線材が焼結工程で溶融し
たとしても、その後に凝固して、結局は、その空洞が閉
塞されてしまうのではないかとも思われる。しかし、溶
失性線材が溶融すると、その溶融材料は、周囲に形成さ
れた気孔を通じて、焼結した金属粉末の表面を全体に拡
がっていく。また、溶失性線材の材質によっては気化消
失する場合もある。いずれにしても、溶失性線材の溶融
後、それが再び凝固して空洞を塞ぐことはない。このこ
とを本発明者は、例えば、Fe粉(金属粉末)中に銅線
(溶失性線材)を配設した場合について確認している。
これについては、さらに後述する。
たとしても、その後に凝固して、結局は、その空洞が閉
塞されてしまうのではないかとも思われる。しかし、溶
失性線材が溶融すると、その溶融材料は、周囲に形成さ
れた気孔を通じて、焼結した金属粉末の表面を全体に拡
がっていく。また、溶失性線材の材質によっては気化消
失する場合もある。いずれにしても、溶失性線材の溶融
後、それが再び凝固して空洞を塞ぐことはない。このこ
とを本発明者は、例えば、Fe粉(金属粉末)中に銅線
(溶失性線材)を配設した場合について確認している。
これについては、さらに後述する。
【0019】本発明の多孔質焼結体は、溶湯の含浸性に
優れるため、鋳込み部材として好適である。例えば、シ
リンダブロックに鋳込まれてシリンダライナを形成する
鉄基多孔質焼結体とすると好ましい。このとき、その多
孔質焼結体は溶湯の含浸性に優れるため、溶湯鍛造等を
用いるまでもなく、ダイカストによってもシリンダブロ
ックを生産性よく製造することができる。
優れるため、鋳込み部材として好適である。例えば、シ
リンダブロックに鋳込まれてシリンダライナを形成する
鉄基多孔質焼結体とすると好ましい。このとき、その多
孔質焼結体は溶湯の含浸性に優れるため、溶湯鍛造等を
用いるまでもなく、ダイカストによってもシリンダブロ
ックを生産性よく製造することができる。
【0020】もっとも、このように多孔質焼結体を鋳込
み部材として用いる場合以外に、多孔質焼結体を複合材
料の基材として使用しても良い。例えば、多孔質焼結体
の気孔部分に異種材料である軟質材料や摺動性に優れる
潤滑材料(固体潤滑剤)を含浸または埋込んで軸受等の
摺動部材とすることもできる。さらに、このような基材
として使用する場合の他に、無数に存在する気孔を利用
して多孔質焼結体をフィルター等に利用することもでき
る。
み部材として用いる場合以外に、多孔質焼結体を複合材
料の基材として使用しても良い。例えば、多孔質焼結体
の気孔部分に異種材料である軟質材料や摺動性に優れる
潤滑材料(固体潤滑剤)を含浸または埋込んで軸受等の
摺動部材とすることもできる。さらに、このような基材
として使用する場合の他に、無数に存在する気孔を利用
して多孔質焼結体をフィルター等に利用することもでき
る。
【0021】
【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。 (多孔質焼結体の製造)アルミニウム合金製エンジンブ
ロックのシリンダ部に鋳込むシリンダライナ用多孔質焼
結体を以下のようにして製造した。先ず、原料として、
金属粉末である還元鉄粉(純鉄:川崎製鉄製KIP24
0M)と、グラファイト(C)と、ステアリン酸(融
点:60℃)からなる粉末冶金用潤滑剤(ダイワックス
W−02)とを用意した。これらをFe:96.3質量
%、C:0.7質量%、ステアリン酸:3質量%の割合
で混合した(混合工程)。この混合は、ミリング装置を
用いて1時間行った。
明する。 (多孔質焼結体の製造)アルミニウム合金製エンジンブ
ロックのシリンダ部に鋳込むシリンダライナ用多孔質焼
結体を以下のようにして製造した。先ず、原料として、
金属粉末である還元鉄粉(純鉄:川崎製鉄製KIP24
0M)と、グラファイト(C)と、ステアリン酸(融
点:60℃)からなる粉末冶金用潤滑剤(ダイワックス
W−02)とを用意した。これらをFe:96.3質量
%、C:0.7質量%、ステアリン酸:3質量%の割合
で混合した(混合工程)。この混合は、ミリング装置を
用いて1時間行った。
【0022】次に、この混合原料粉末をを円筒形状のキ
ャビティを有する成形型(金型)に充填した(充填工
程)。このとき、成形型のキャビティには、予め図1に
示すような溶失性線材である直径1mmの銅線を、軸方
向に配設しておいた。図1では、一本の銅線しか示して
いないが、円筒内周側近傍で、周状に16箇所均等配置
した。また、銅線の端部は、粉末成形体の端部から僅か
に突き出るようにしておいた。なお、銅線を配設した成
形型は、混合原料粉末を充填する前に予め80℃に加熱
しておき、前記潤滑剤が溶融可能とした。
ャビティを有する成形型(金型)に充填した(充填工
程)。このとき、成形型のキャビティには、予め図1に
示すような溶失性線材である直径1mmの銅線を、軸方
向に配設しておいた。図1では、一本の銅線しか示して
いないが、円筒内周側近傍で、周状に16箇所均等配置
した。また、銅線の端部は、粉末成形体の端部から僅か
に突き出るようにしておいた。なお、銅線を配設した成
形型は、混合原料粉末を充填する前に予め80℃に加熱
しておき、前記潤滑剤が溶融可能とした。
【0023】次に、成形型に充填した混合原料粉末を、
油圧プレスで上下方向から加圧した(加圧工程)。この
ときの加圧力は100MPaとした。こうして得られた
粉末成形体を成形型から取出した。得られた粉末成形体
は、外径77mm×高さ130mm×板厚3mmであ
り、前記銅線を保持した状態であった。この粉末成形体
は、素手でも十分に取扱える強度を有しており、多少の
振動等で崩壊することはなかった。この粉末成形体の金
属粉末占有体積率を調べたところ、約50体積%であっ
た。次に、前記粉末成形体を電気炉の中に入れて、不活
性または真空雰囲気で1250℃×30時間加熱して焼
結させた(焼結工程)。こうして、前記した粉末成形体
と同形状で気孔率が約50体積%の多孔質焼結体が得ら
れた。
油圧プレスで上下方向から加圧した(加圧工程)。この
ときの加圧力は100MPaとした。こうして得られた
粉末成形体を成形型から取出した。得られた粉末成形体
は、外径77mm×高さ130mm×板厚3mmであ
り、前記銅線を保持した状態であった。この粉末成形体
は、素手でも十分に取扱える強度を有しており、多少の
振動等で崩壊することはなかった。この粉末成形体の金
属粉末占有体積率を調べたところ、約50体積%であっ
た。次に、前記粉末成形体を電気炉の中に入れて、不活
性または真空雰囲気で1250℃×30時間加熱して焼
結させた(焼結工程)。こうして、前記した粉末成形体
と同形状で気孔率が約50体積%の多孔質焼結体が得ら
れた。
【0024】(評価)得られた多孔質焼結体を顕微鏡で
拡大して観察した様子を図2に示す。同図(a)から明
かなように、銅線の存在した部分には、銅線とほぼ同形
状の空洞が形成されていた。本実施例では、溶失性線材
を多孔質焼結体の軸方向一端から他端まで設けていたの
で、形成された空洞は軸方向に延びる直線上の円筒状の
空洞であった。また、図2(a)のA部を拡大した同図
(b)から次のことが明かとなった。すなわち、銅線
は、形成された空洞の内周面や気孔から侵入して焼結し
た鉄粉の表面に薄く(厚さ1μm程度)展着していた。
そして、いずれにしても、溶解後の銅線が空洞を再び閉
塞することはなかった。
拡大して観察した様子を図2に示す。同図(a)から明
かなように、銅線の存在した部分には、銅線とほぼ同形
状の空洞が形成されていた。本実施例では、溶失性線材
を多孔質焼結体の軸方向一端から他端まで設けていたの
で、形成された空洞は軸方向に延びる直線上の円筒状の
空洞であった。また、図2(a)のA部を拡大した同図
(b)から次のことが明かとなった。すなわち、銅線
は、形成された空洞の内周面や気孔から侵入して焼結し
た鉄粉の表面に薄く(厚さ1μm程度)展着していた。
そして、いずれにしても、溶解後の銅線が空洞を再び閉
塞することはなかった。
【0025】次に、この多孔質焼結体をアルミニウム合
金(JIS ADC12)に鋳込んでエンジンブロック
を製作した。このエンジンブロックは、ダイカストによ
り製造した。ダイカストの条件は、溶湯温度680℃、
型温250℃、成形体予熱500℃とした。なお、アル
ミニウム合金溶湯は、多孔質焼結体の端部開口から流入
するようにダイカスト金型および注湯方法を方案した。
金(JIS ADC12)に鋳込んでエンジンブロック
を製作した。このエンジンブロックは、ダイカストによ
り製造した。ダイカストの条件は、溶湯温度680℃、
型温250℃、成形体予熱500℃とした。なお、アル
ミニウム合金溶湯は、多孔質焼結体の端部開口から流入
するようにダイカスト金型および注湯方法を方案した。
【0026】次に、そのエンジンブロックのシリンダボ
ア部分を切断して、アルミニウム合金の多孔質焼結体へ
の含浸性を調べた。採取した試料は、銅線が溶解してで
きた空洞の部分を含むようにしたものである(高さ60
mm×外径φ100mm×内径φ94mm)。この試料
を顕微鏡で観察した写真を図3(a)に示す。また、比
較例として、銅線なしの粉末成形体を焼結させてなる多
孔質焼結体に関し、同様に含浸性を調べた顕微鏡写真を
図3(b)に示す。これらの写真から、アルミニウム合
金が上記空洞を湯道として多孔質焼結体中へ十分に含浸
していることが分る。そして、図3(b)のように、空
洞を設けなかった場合に点在する未含浸部(黒い斑点部
分)が、図3(a)の場合、殆ど存在しないことが解
る。なお、その写真中で、縞模様(ケイ素の析出部分)
のある白い部分がアルミニウム合金部分である。
ア部分を切断して、アルミニウム合金の多孔質焼結体へ
の含浸性を調べた。採取した試料は、銅線が溶解してで
きた空洞の部分を含むようにしたものである(高さ60
mm×外径φ100mm×内径φ94mm)。この試料
を顕微鏡で観察した写真を図3(a)に示す。また、比
較例として、銅線なしの粉末成形体を焼結させてなる多
孔質焼結体に関し、同様に含浸性を調べた顕微鏡写真を
図3(b)に示す。これらの写真から、アルミニウム合
金が上記空洞を湯道として多孔質焼結体中へ十分に含浸
していることが分る。そして、図3(b)のように、空
洞を設けなかった場合に点在する未含浸部(黒い斑点部
分)が、図3(a)の場合、殆ど存在しないことが解
る。なお、その写真中で、縞模様(ケイ素の析出部分)
のある白い部分がアルミニウム合金部分である。
【0027】
【発明の効果】本発明の多孔質焼結体によれば、内部に
形成された空洞により、溶湯の含浸性向上等を容易に図
ることができる。また、本発明の製造方法によれば、そ
のような多孔質焼結体を容易に得ることができる。
形成された空洞により、溶湯の含浸性向上等を容易に図
ることができる。また、本発明の製造方法によれば、そ
のような多孔質焼結体を容易に得ることができる。
【図1】本発明の実施例に係る粉末成形体に銅線を配設
した様子を示す図であり、同図(a)は正面図で同図
(b)は側面図である。
した様子を示す図であり、同図(a)は正面図で同図
(b)は側面図である。
【図2】本実施例に係る多孔質焼結体に形成された空洞
(湯道)を観察した顕微鏡写真であり、同図(a)は顕
微鏡写真であり、同図(b)は同図(a)のA部を拡大
した顕微鏡写真である。
(湯道)を観察した顕微鏡写真であり、同図(a)は顕
微鏡写真であり、同図(b)は同図(a)のA部を拡大
した顕微鏡写真である。
【図3】多孔質焼結体にアルミニウム合金を含浸させた
様子を示す顕微鏡組織写真であり、同図(a)が実施例
のものであり、同図(b)が比較例のものである。
様子を示す顕微鏡組織写真であり、同図(a)が実施例
のものであり、同図(b)が比較例のものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C22C 38/00 304 C22C 38/00 304
38/16 38/16
(72)発明者 馬場 敬明
愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会
社豊田自動織機内
Fターム(参考) 4K018 AA24 BA13 CA00 CA11 DA01
DA19 FA32 HA01 JA32 KA08
Claims (9)
- 【請求項1】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末
の焼結温度以下の融点をもち該原料粉末中に設けられた
溶失性線材とを共に加熱し該金属粉末を焼結させてな
り、 該焼結時に該溶失性線材が溶融して形成された空洞を備
えることを特徴とする多孔質焼結体。 - 【請求項2】前記空洞は、含浸させ得る溶湯の流入側に
開口して湯道を形成するものである請求項1記載の多孔
質焼結体。 - 【請求項3】前記溶失性線材は、前記金属粉末の主成分
元素と合金を形成する合金成分元素を含む請求項1記載
の多孔質焼結体。 - 【請求項4】前記主成分元素は鉄(Fe)であり、前記
合金成分元素は銅(Cu)である請求項3記載の多孔質
焼結体。 - 【請求項5】全体を100体積%としたときに気孔率が
30〜60体積%である請求項1記載の多孔質焼結体。 - 【請求項6】シリンダブロックに鋳込まれてシリンダラ
イナを形成する鉄基多孔質焼結体である請求項5記載の
多孔質焼結体の製造方法。 - 【請求項7】金属粉末を主とする原料粉末を該金属粉末
の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材の配設された成
形型へ充填する充填工程と、 該成形型のキャビティに充填された該原料粉末を少なく
とも加圧成形して粉末成形体とする成形工程と、 該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからな
り、 該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成
された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製
造方法。 - 【請求項8】金属粉末を主とする原料粉末と該金属粉末
の焼結温度以下の融点をもつ溶失性線材とを混合した混
合粉末を成形型へ充填する充填工程と、 該成形型に充填された該混合粉末を加圧成形して粉末成
形体とする成形工程と、 該粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結工程とからな
り、 該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成
された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製
造方法。 - 【請求項9】金属粉末を主とする原料粉末を成形型へ充
填する充填工程と、 該成形型に充填された該原料粉末を低圧力で加圧成形し
て粉末成形体とする成形工程と、 該粉末成形体に該金属粉末の焼結温度以下の融点をもつ
溶失性線材を刺衝する刺衝工程と、 該刺衝工程後の粉末成形体を加熱して焼結体とする焼結
工程とからなり、 該焼結体は、該焼結工程で該溶失性線材が溶融して形成
された空洞を備えることを特徴とする多孔質焼結体の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001368788A JP2003171703A (ja) | 2001-12-03 | 2001-12-03 | 多孔質焼結体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001368788A JP2003171703A (ja) | 2001-12-03 | 2001-12-03 | 多孔質焼結体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003171703A true JP2003171703A (ja) | 2003-06-20 |
Family
ID=19178318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001368788A Withdrawn JP2003171703A (ja) | 2001-12-03 | 2001-12-03 | 多孔質焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003171703A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006059494A1 (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-08 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | 金属複合材 |
WO2008062925A1 (en) * | 2006-11-21 | 2008-05-29 | Hak Sik Joo | Method for manufacturing open cell microporous metal |
JP2010133029A (ja) * | 2010-03-03 | 2010-06-17 | Toyota Industries Corp | 金属複合材およびその製造方法 |
-
2001
- 2001-12-03 JP JP2001368788A patent/JP2003171703A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006059494A1 (ja) * | 2004-12-02 | 2006-06-08 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | 金属複合材 |
WO2008062925A1 (en) * | 2006-11-21 | 2008-05-29 | Hak Sik Joo | Method for manufacturing open cell microporous metal |
JP2010133029A (ja) * | 2010-03-03 | 2010-06-17 | Toyota Industries Corp | 金属複合材およびその製造方法 |
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