WO2023181996A1

WO2023181996A1 - 投与装置

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Publication number: WO2023181996A1
Application number: PCT/JP2023/009313
Authority: WO
Inventors: 拓心密岡; 陽一郎岩瀬; 学有延
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2022-03-25
Filing date: 2023-03-10
Publication date: 2023-09-28

Abstract

【課題】生体内に留置された状態で被投与物を非電気的に間欠投与すること。【解決手段】投与装置１００Ａは、生体内に放出される被投与物Ｘが収容可能な内腔１１Ａを有し、先端に被投与物Ｘの放出口１２Ａが形成される本体部１０Ａと、内腔１１Ａ内を液密に摺動可能な栓体４０Ａと、内腔１１Ａにおいて栓体４０Ａより上流側に配置され、非電気的に連続駆動して栓体４０Ａを下流側に押圧する押圧部３０Ａと、本体部１０Ａの先端側に配置され、内腔１１Ａの内圧が所定の放出圧力に達すると、放出口１２Ａを開放して被投与物Ｘの放出を許容し、一定量の被投与物Ｘを放出して内腔１１Ａの内圧が放出圧力を下回ると、放出口１２Ａを閉塞して被投与物Ｘの放出を制限する開閉制御部５０Ａと、を備える。

Description

投与装置

　本発明は、生体内に留置した状態で薬液などの被投与物を間欠的に投与する投与装置に関する。

　特許文献１には、生体内に埋め込まれた状態で被投与物である薬物を長期間に亘って持続的に長期徐放する持続投与装置である浸透圧式送達装置について開示されている。

　特許文献１の装置は、中空の容器（本体部）と、容器内で摺動可能に保持されるピストン（栓体）と、ピストンを押圧するための駆動源となる浸透圧エンジン（押圧部）と、容器の基端側に配置され体液（細胞外液）中の液体成分を浸透圧エンジンに透過させる半透膜（液体透過部）と、容器の先端側に配置されピストンで押圧された薬物を放出する送達オリフィス（放出部）と、で概略構成される。容器は、ピストンによって２つの空間に区画され、ピストンを境に容器の先端側に位置する薬物収容空間（第２空間）と、ピストンを境に第２空間と反対側となる容器の基端側に位置する浸透圧剤収容空間（第１空間）と、を有し、浸透圧の原理を利用して半透膜を透過した体液中の液体成分による第１空間の内圧上昇に伴ってピストンを先端側に摺動させ、第２空間内に収容された薬物を生体内に放出可能に構成される。

特開２０１７－５７２１２号公報

　ところで、被投与物の中には、例えば核酸医薬のように連続投与ではなく投与期間中に少量を間欠投与（投与と投与停止を繰り返す投与方式）した方が適切なものもある。しかし、特許文献１の装置を含む従来の持続投与装置では、被投与物を所定期間に連続して投与（徐放）することを目的としたデバイスであるため間欠投与に対応することはできない。

　被投与物の間欠投与を実現するため、従来の持続投与装置を改良し、小型モーターなどの電気的な駆動機構により栓体を間欠駆動させる構成も想定し得る。しかし、数センチ程度と小型な持続投与装置内に収容可能なサイズで間欠投与用の電動機構を製造・搭載するのは、製造上の観点から実現性に乏しい。

　本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、生体内に留置された状態で被投与物を非電気的に間欠投与することができる投与装置を提供することにある。

　本実施形態に係る投与装置は、生体内に放出される被投与物が収容可能な内腔を有し、先端に前記被投与物の放出口が形成される本体部と、前記内腔内を液密に摺動可能な栓体と、前記内腔において前記栓体より上流側に配置され、非電気的に連続駆動して前記栓体を下流側に押圧する押圧部と、前記本体部の先端側に配置され、前記内腔の内圧が所定の放出圧力に達すると、前記放出口を開放して前記被投与物の放出を許容し、一定量の前記被投与物を放出して前記内腔の内圧が前記放出圧力を下回ると、前記放出口を閉塞して前記被投与物の放出を制限する開閉制御部と、を備える。

　本発明の少なくとも一実施形態によれば、生体内に留置された状態で被投与物を非電気的に間欠投与することができる。そのため、電気的な駆動機構を搭載することなく、間欠投与が好ましい被投与物を適切な投与間隔で間欠投与することができる。

第１実施形態に係る投与装置の概略断面図である。第１実施形態に係る投与装置の先端部近傍の概略断面図である。第１実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第１実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第１実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第２実施形態に係る投与装置の概略断面図である。第２実施形態に係る投与装置の先端部近傍の概略断面図である。第２実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第２実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第２実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第３実施形態に係る投与装置の概略断面図である。第３実施形態に係る投与装置の先端部近傍の概略断面図である。第３実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第３実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第３実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第４実施形態に係る投与装置の概略断面図である。第４実施形態に係る投与装置の先端部近傍の概略断面図である。第４実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第４実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。第４実施形態に係る投与装置の動作を示す概念図である。

　以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

　さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。

　また、以下の説明において、「第１」、「第２」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。

　以下に説明する第１～第４実施形態に係る投与装置において、「先端側（下流側）」とは、本体部の軸方向において開閉制御部が配置される側（被投与物が投与される側）であり、「基端側（上流側）」とは、先端側と反対側であって液体透過部が配置される側（生体内の液体が本体部内に進入する側）とする。例えば、図１において、先端側は図中右側となり、基端側は図中左側となる。

　［第１実施形態］
　第１実施形態に係る投与装置１００Ａについて説明する。投与装置１００Ａは、生体内に留置され、非電気的に連続駆動しつつ所定の投与条件に基づき被投与物Ｘの間欠投与を可能とする。

　投与装置１００Ａは、生体内に被投与物Ｘを間欠投与するため、所定の投与条件（投与期間、投与タイミング、投与量などの投与に関する諸条件）で被投与物Ｘを生体内に放出（投与）することができる。投与装置１００Ａは、長期間（少なくとも数週間～数か月、さらには数年間）に亘って間欠投与することができる。

　投与装置１００Ａから投与する被投与物Ｘは、投与対象となる生体に投与して所定の効果発現が得られ、かつ間欠的に装置から放出可能な流体組成物である。被投与物Ｘは、一例として、所定の疾患の治療を目的とする薬剤（液剤）である。薬剤は、薬物を含む。薬物は、任意の生理学的にまたは薬理学的に活性な物質であり、特にヒトまたは動物の体に送達されることが知られるものであり得る。薬物は、末梢神経、アドレナリン受容体、コリン作動性受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血管系、シナプス（ｓｙｎｏｐｔｉｃ）部位、神経交換器接合部位、内分泌およびホルモン系、免疫系、生殖器系、骨格系、局所ホルモン系、消化器および排泄系、ヒスタミン系、または中枢神経系に作用する薬物を含むが、これらに限定されない。また、薬物は、感染症、慢性痛、糖尿病、自己免疫疾患、内分泌疾患、代謝異常、およびリウマチ性疾患の治療に用いられる薬物を含むが、これらに限定されない。さらに、薬物は、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド（例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン）、核酸、オリゴヌクレオチド、ウィルス、ウィルスベクター、プラスミド、核タンパク質、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、細胞、ステロイド、鎮痛薬、局所麻酔薬、抗生物質製剤、抗炎症性コルチコステロイド、眼薬、製薬学的用途の他の小分子、またはこれらの種の合成アナログ、およびこれらの混合物などを含むが、これらに限定されない。

　投与装置１００Ａは、図１に示すように、概説すると、本体部１０Ａと、液体透過部２０Ａと、押圧部３０Ａと、栓体４０Ａと、開閉制御部５０Ａと、を備える。

　本体部１０Ａは、内腔１１Ａを有し、投与装置１００Ａの筐体を構成する中空の筒状部材で構成される。本体部１０Ａの先端には、被投与物Ｘを放出する放出口１２Ａが形成されている。液体透過部２０Ａ、押圧部３０Ａ、栓体４０Ａ、および開閉制御部５０Ａは、本体部１０Ａの基端から先端に向かって順に配置される。

　本体部１０Ａは、栓体４０Ａを境に第１空間Ｙ１と、第２空間Ｙ２と、を有する。第１空間Ｙ１は、液体透過部２０Ａと栓体４０Ａにより区画される空間（本体部１０Ａにおける液体透過部２０Ａの装着端から栓体４０Ａの基端との間の空間）であり、押圧部３０Ａが収容される空間である。第２空間Ｙ２は、栓体４０Ａと開閉制御部５０Ａにより区画される空間（栓体４０Ａの基端と開閉制御部５０Ａの基端との間の空間）であり、栓体４０Ａおよび被投与物Ｘが収容される空間である。また、第２空間Ｙ２は、栓体４０Ａの摺動領域を構成する。

　第１空間Ｙ１と第２空間Ｙ２は、投与装置１００Ａの駆動前後において、栓体４０Ａの摺動に伴い空間が拡大または縮小する。すなわち、第１空間Ｙ１は、投与装置１００Ａが駆動を開始すると、押圧部３０Ａによって栓体４０Ａが下流側へ摺動して徐々に空間が拡大する。また、第２空間Ｙ２は、投与装置１００Ａが駆動を開始すると、押圧部３０Ａによって栓体４０Ａが下流側へ摺動して徐々に空間が縮小する。

　本体部１０Ａは、栓体４０Ａの摺動により被投与物Ｘの放出精度を維持するため、少なくとも栓体４０Ａの摺動領域の内腔１１Ａが座屈などにより潰れて内腔１１Ａの形状（軸方向と交差する断面形状）が変形して栓体４０Ａの摺動が阻害されるのを防止する必要がある。本体部１０Ａの構成材料としては、生体に対して非侵襲若しくは低侵襲であって医療分野において公知の樹脂材料（アクリロニトリルポリマー類、ハロゲン化ポリマー類、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル－アクリル酸共重合体、ポリカーボネート－アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン、およびポリスチレンなど）、金属材料（ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、バナジウム、白金、タンタル、金、およびこれらの合金、並びに、金めっき合金鉄、白金めっき合金鉄、コバルトクロム合金、および窒化チタン被覆ステンレス鋼など）などが適用可能である。

　液体透過部２０Ａは、本体部１０Ａの基端側に配置され、生体と投与装置１００Ａの内部とを隔離すると共に、生体内の体液に含まれる液体成分のみを透過させる。液体透過部２０Ａは、体液中の水分のみを透過させることが可能な固液分離機能を有する部材で構成される。

　液体透過部２０Ａは、一例として、可塑化されたセルロース系材料、ヒドロキシルエチルメタクリレート（ＨＥＭＡ）のような強化ポリメチルメタクリレート類（ＰＭＭＡ）、並びに、ポリウレタン類およびポリアミド類、ポリエーテル－ポリアミド共重合体類、熱可塑性コポリエステル類のようなエラストマー材料などの材料、若しくはその混合物で構成される半透膜を適用することができる。

　押圧部３０Ａは、本体部１０Ａ内において液体透過部２０Ａよりも下流側に位置し、浸透圧の原理を利用して液体透過部２０Ａを透過した水分により膨潤して拡張する浸透圧エンジンを用いた非電気的な連続駆動により栓体４０Ａを下流側に押圧する。押圧部３０Ａは、液体透過部２０Ａを透過した水分によって徐々に膨潤し、この膨潤に伴う第１空間Ｙ１内の内圧上昇に起因する押圧作用により栓体４０Ａを下流側に摺動させる。

　押圧部３０Ａは、被投与物Ｘの投与条件に応じた栓体４０Ａの押圧速度（すなわち、押圧部３０Ａの膨潤速度）となるように、構成材料やサイズなどを適宜決定することができる。投与装置１００Ａは、押圧部３０Ａを構成する浸透圧エンジンの組成や液体透過部２０Ａを構成する半透膜の形状などによって、間欠投与による投与間隔や投与量などが調整可能である。

　押圧部３０Ａは、少なくとも非電気的に連続駆動して栓体４０Ａを下流側へ押圧可能な構成であれば、浸透圧エンジンに限らず、他の構成を採用してもよい。

　栓体４０Ａは、本体部１０Ａの長手方向に延びる柱状の基部４１Ａと、基部４１Ａの径方向外周に突設されている環状凸条の突出部４２Ａと、を有する。栓体４０Ａは、押圧部３０Ａにより押圧されて下流側へ移動し、第２空間Ｙ２内に収容される被投与物Ｘを開閉制御部５０Ａ側へ押し出す。栓体４０Ａは、本体部１０Ａ内において押圧部３０Ａよりも下流側に位置し、その外周面が本体部１０Ａの内腔１１Ａの内周面に液密に接すると共に、内腔１１Ａ内に摺動可能に配置されている。

　突出部４２Ａは、基部４１Ａの外面に複数設けられ、最も外側に突出した頂点部は、本体部１０Ａの内腔１１Ａの内周面と当接する。突出部４２Ａは、被投与物Ｘが栓体４０Ａよりも上流側に漏出しないように内腔１１Ａの内周面との間をシールする。

　なお、突出部４２Ａは、その配置数や配置位置は特に限定されない。また、栓体４０Ａは、突出部４２Ａを備えていない構成、すなわち基部４１Ａの外周面が内腔１１Ａの内周面に直に接触して液密とする構成でもよい。

　栓体４０Ａの構成材料としては、本体部１０Ａの内腔１１Ａの内周面との密着性（液密性）を保持し、可撓性を有する材料で構成される。可撓性材料は弾性材料であることが好ましく、弾性材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル－ブタジエンゴム、スチレン－ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどの各種ゴム材料（特に、加硫処理したもの）や、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマー、およびこれらスチレン系エラストマーにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α－オレフィン共重合体などのポリオレフィンや、流動パラフィン、プロセスオイルなどのオイルやタルク、キャスト、マイカなどの粉体無機物を混合したものが挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや、それら混合物が構成材料として使用できる。構成材料としては、特に、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌が可能などの観点からジエン系ゴム、スチレン系エラストマーなどを適用することができる。なお、栓体４０Ａは、内腔１１Ａ内を液密に摺動可能な構成を有すればよい。そのため、栓体４０Ａは、基部４１Ａおよび突出部４２Ａを可撓性材料或いは弾性材料で構成してもよいし、例えば内腔１１Ａと当接する突出部４２Ａのみを弾性材料で構成して基部４１Ａは弾性を有さない硬質材料で構成してもよい。

　開閉制御部５０Ａは、図２に示すように、本体部１０Ａの先端側に配置され、放出口１２Ａを開放および閉塞閉可能な弁体５１Ａと、弁体５１Ａを保持する保持部５２Ａと、を備えて構成される。開閉制御部５０Ａは、圧力応答性を有し、内腔１１Ａ内の内圧が所定の放出圧力に達したか否かに応じて放出口１２Ａを開放または閉塞する。開閉制御部５０Ａは、圧力応答式の一方向弁であるアンブレラ弁と同等の機能を有して構成することができる。

　弁体５１Ａは、放出口１２Ａの軸方向に延在する軸部５１１Ａと、軸部５１１Ａの先端側の周囲に形成され、放出口１２Ａを覆うように閉塞する傘状の閉塞部５１２Ａと、を含んで構成される。

　弁体５１Ａは、弾性部材で構成され、栓体４０Ａの移動により内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力に達すると、閉塞部５１２Ａの一部が放出口１２Ａから離隔して放出口１２Ａを開放する（図３Ｂを参照）。また、弁体５１Ａは、一定量の被投与物Ｘの放出が終了して内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力を下回ると、閉塞部５１２Ａの離隔部分が元の姿勢（形状）に戻って放出口１２Ａを閉塞する（図３Ｃを参照）。なお、図３Ｂ、図３Ｃの白抜き矢印は、内腔１１Ａ内の内圧を示しており、図３Ｂでは内圧が放出圧力に達し、図３Ｃでは内圧が放出圧力を下回っていることを矢印の大小で表現している。

　「放出圧力」は、押圧部３０Ａに押圧された栓体４０Ａが下流側に移動した際、所定の投与間隔で被投与物Ｘを所定量だけ間欠的に放出するための圧力値である。開閉制御部５０Ａの弁体５１Ａは、内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力に達すると、少なくとも一部が可動して放出口１２Ａを開放するように設計されている。そのため、開閉制御部５０Ａは、内腔１１Ａの内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ａの少なくとも一部が放出口１２Ａを開放して被投与物Ｘを放出することができる。なお、放出圧力は、使用する被投与物Ｘの投与条件に応じて適宜設定することができる。

　保持部５２Ａは、内腔１１Ａに固定され、弁体５１Ａの軸部５１１Ａを保持する。保持部５２Ａは、被投与物Ｘが通過可能な貫通孔５２１Ａが１つ以上設けられている。貫通孔５２１Ａの形状や個数については、被投与物Ｘの１回あたりの投与量や被投与物Ｘの粘性などを考慮して適宜設定することができる。

　保持部５２Ａは、図２に示すように、内腔１１Ａの一部を溝状に切削し、この溝状部位に嵌合させて固定することができる。保持部５２Ａは、内腔１１Ａに対し、接着剤などを用いて接着固定させてもよい。

　上述した第１実施形態に係る投与装置１００Ａは、投与対象に対する被投与物Ｘを充填した後、生体管腔に対し経皮的に導入される。図３Ａは、投与装置１００Ａを生体内に留置した直後の状態を示している。

　投与装置１００Ａは、図３Ｂに示すように、栓体４０Ａの移動により内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ａは内腔１１Ａ内の被投与物Ｘや空気に押されて一部が離隔し、放出口１２Ａを開放する。このとき、被投与物Ｘは、開放された放出口１２Ａから生体内に一定量だけ投与される。

　そして、投与装置１００Ａは、図３Ｃに示すように、一定量の被投与物Ｘの投与が終了して内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力を下回ると、弁体５１Ａに対する押圧力が弱まり、弁体５１Ａが元の姿勢に戻って放出口１２Ａを閉塞する。投与装置１００Ａは、内腔１１Ａ内の内圧が再び放出圧力に達するまで被投与物Ｘの投与は停止される。投与装置１００Ａは、上述した一連の動作を繰り返し行うことで、生体内に留置された状態で被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　［第２実施形態］
　次に、第２実施形態に係る投与装置１００Ｂについて図４～図６を適宜参照しながら説明する。

　なお、第２実施形態に係る投与装置１００Ｂにおいて、前述した第１実施形態と同等の機能を有する構成要件については同一または関連する符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した第１実施形態と同様のものとしてよい。

　投与装置１００Ｂは、図４に示すように、本体部１０Ｂと、液体透過部２０Ｂと、押圧部３０Ｂと、栓体４０Ｂと、開閉制御部５０Ｂと、を備える。

　第２実施形態に係る投与装置１００Ｂは、図４や図５に示すように、開閉制御部５０Ｂの構成が第１実施形態の開閉制御部５０Ａの構成と相違する。また、第２実施形態の投与装置１００Ｂについても、第１実施形態の投与装置１００Ａと同様、押圧部３０Ｂが非電気的に連続駆動して栓体４０Ｂを押圧するが、生体内に留置したまま所定の投与条件に基づき被投与物Ｘの間欠的投与が可能な装置構成を有している。

　開閉制御部５０Ｂは、図５に示すように、本体部１０Ｂの先端側に配置され、放出口１２Ｂを開放および閉塞閉可能な弁体５１Ｂと、弁体５１Ｂが設けられ内腔１１Ｂに固定される基部５２Ｂと、弁体５１Ｂの先端に設けられたスリット５３Ｂと、被投与物Ｘが流入する側に設けられた通液口５４Ｂと、通液口５４Ｂをスリット５３Ｂに接続する流路５５Ｂと、を備えて構成される。開閉制御部５０Ｂは、圧力応答性を有し、内腔１１Ｂ内の内圧が所定の放出圧力に達したか否かに応じて放出口１２Ｂを開放または閉塞する。開閉制御部５０Ｂは、圧力応答式の一方向弁であるダックビル弁と同等の機能を有して構成することができる。

　弁体５１Ｂは、弾性部材で構成され、先端に向かって徐々に軸中心で収束するように傾斜して放出口１２Ｂの軸方向に延在する一対の弁部材で構成される。弁体５１Ｂの基端は、基部５２Ｂに接続される。弁体５１Ｂの先端は、他方の弁体５１の先端と対向して配置され、接近・離隔可能に構成される。スリット５３Ｂは、弁体５１Ｂの先端部で構成される。

　弁体５１Ｂは、栓体４０Ｂの移動により内腔１１Ｂ内の内圧が放出圧力に達すると、変形してスリット５３Ｂが開いて放出口１２Ｂを開放する（図６Ｂを参照）。また、弁体５１Ｂは、一定量の被投与物Ｘの放出が終了して内腔１１Ｂ内の内圧が放出圧力を下回ると、弁体５１Ｂの先端が変形前の元の姿勢（形状）に戻ってスリット５３Ｂを閉じて放出口１２Ｂを閉塞する（図６Ｃを参照）。なお、図６Ｂ、図６Ｃの白抜き矢印は、内腔１１Ｂ内の内圧を示しており、図６Ｂでは内圧が放出圧力に達し、図６Ｃでは内圧が放出圧力を下回っていることを矢印の大小で表現している。

　基部５２Ｂは、内腔１１Ｂに固定され、弁体５１Ｂの基端が接続される。基部５２Ｂには、被投与物Ｘが通過可能な通液口５４Ｂが設けられる。通液口５４Ｂは、弁体５１Ｂの内方に形成された流路５５Ｂを介してスリット５３Ｂと接続される。通液口５４Ｂの形状や個数については、被投与物Ｘの１回あたりの投与量や被投与物Ｘの粘性などを考慮して適宜設定することができる。

　基部５２Ｂは、図５に示すように、内腔１１Ｂの一部を溝状に切削し、この溝状部位に嵌合させて固定することができる。基部５２Ｂは、内腔１１Ｂに対し、接着剤などを用いて接着固定させてもよい。

　上述した第２実施形態に係る投与装置１００Ｂは、第１実施形態と同様に、投与対象に対する被投与物Ｘを充填した後、生体管腔に対し経皮的に導入される。図６Ａは、投与装置１００Ｂを生体内に留置した直後の状態を示している。

　投与装置１００Ｂは、図６Ｂに示すように、栓体４０Ｂの移動により内腔１１Ｂ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｂは内腔１１Ｂ内の被投与物Ｘや空気に押されて変形して先端部分が離隔し、放出口１２Ｂを開放する。このとき、被投与物Ｘは、開放された放出口１２Ｂから生体内に一定量だけ投与される。

　そして、投与装置１００Ｂは、図６Ｃに示すように、一定量の被投与物Ｘの投与が終了して内腔１１Ｂ内の内圧が放出圧力を下回ると、内腔１１Ｂ内の空気の押圧力が弱まり、弁体５１Ｂが元の姿勢に戻って弁体５１Ｂの先端部分が閉じることで、放出口１２Ｂを閉塞する。投与装置１００Ｂは、内腔１１Ｂ内の内圧が再び放出圧力に達するまで被投与物Ｘの投与は停止される。投与装置１００Ｂは、上述した一連の動作を繰り返し行うことで、生体内に留置された状態で被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　［第３実施形態］
　次に、第３実施形態に係る投与装置１００Ｃについて図７～図９を適宜参照しながら説明する。

　なお、第３実施形態に係る投与装置１００Ｃにおいて、前述した第１実施形態や第２実施形態と同等の機能を有する構成要件については同一または関連する符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した第１実施形態と同様のものとしてよい。

　投与装置１００Ｃは、図７に示すように、本体部１０Ｃと、液体透過部２０Ｃと、押圧部３０Ｃと、栓体４０Ｃと、開閉制御部５０Ｃと、を備える。

　投与装置１００Ｃは、開閉制御部５０Ｃの構成が第１実施形態の開閉制御部５０Ａや第２実施形態の開閉制御部５０Ｂの構成と相違する。また、第３実施形態の投与装置１００Ｃについても、第１、第２実施形態の投与装置１００Ａ、１００Ｂと同様、押圧部３０Ｃが非電気的に連続駆動して栓体４０Ｃを押圧するが、生体内に留置したまま所定の投与条件に基づき被投与物Ｘの間欠的投与が可能な装置構成を有している。

　開閉制御部５０Ｃは、図８に示すように、本体部１０Ｃの先端側に配置され、放出口１２Ｃを開放および閉塞閉可能な弁体５１Ｃと、被投与物Ｘの通液口５３Ｃが設けられる基部５２Ｃと、一端が弁体５１Ｃに接続され、他端が基部５２Ｃに接続され、放出圧力よりも弱い引張力で弁体５１Ｃを放出口１２Ｃ側に引張する引張部５４Ｃと、備えて構成される。開閉制御部５０Ｃは、内腔１１Ｃ内の内圧が所定の放出圧力に達したか否かに応じて放出口１２Ｃを開放または閉塞する。

　弁体５１Ｃは、放出口１２Ｃを覆って閉塞する板状部材で構成される。弁体５１Ｃは、引張部５４Ｃと接続され、放出圧力よりも弱い引張力で放出口１２Ｃ側に引張される。弁体５１Ｃは、内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力に達していない状態では引張部５４Ｃの引張作用により放出口１２Ｃを覆って閉塞した状態を維持する。弁体５１Ｃは、閉塞時に内腔１１Ｃと外部との連通を遮断できる性状を有していれば、形状や構成材料は特に限定されない。

　弁体５１Ｃは、内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力に達すると、引張部５４Ｃの引張力に抗して放出口１２Ｃから離隔する方向へ移動して放出口１２Ｃを開放する（図９Ｂを参照）。また、弁体５１Ｃは、一定量の被投与物Ｘの放出が終了して内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力を下回ると、引張部５４Ｃの引張作用により弁体５１Ｃが引張されて放出口１２Ｃを閉塞する（図９Ｃを参照）。なお、図９Ｂ、図９Ｃの白抜き矢印は、内腔１１Ｃ内の内圧を示しており、図９Ｂでは内圧が放出圧力に達し、図９Ｃでは内圧が放出圧力を下回っていることを矢印の大小で表現している。

　基部５２Ｃは、内腔１１Ｃに固定され、引張部５４Ｃを介して弁体５１Ｃと接続される。基部５２Ｃには、栓体４０Ｃに押された被投与物Ｘが通過可能な通液口５３Ｃが設けられる。通液口５３Ｃの形状や個数については、被投与物Ｘの１回あたりの投与量や被投与物Ｘの粘性などを考慮して適宜設定することができる。

　基部５２Ｃは、図８に示すように、内腔１１Ｃの一部を溝状に切削し、この溝状部位に嵌合させて固定することができる。基部５２Ｃは、内腔１１Ｃに対し、接着剤などを用いて接着固定させてもよい。

　引張部５４Ｃは、一端が弁体５１Ｃと接続され、他端が基部５２Ｃと接続され、ねじりコイルバネのように弾性収縮可能な弾性部材で構成される。引張部５４Ｃは、放出圧力による押圧力よりも弱い引張力（弾性収縮力）で弁体５１Ｃを放出口１２Ｃ側に引張する。引張部５４Ｃに引張される弁体５１Ｃは、内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力に達すると、放出口１２Ｃから離隔する方向に押圧されて放出口１２Ｃを開放し、内腔１１Ｃの内圧が放出圧力を下回ると、引張部５４Ｃの引張力により放出口１２Ｃ側に引張されて放出口１２Ｃを閉塞する。

　上述した第３実施形態に係る投与装置１００Ｃは、第１、第２実施形態と同様に、投与対象に対する被投与物Ｘを充填した後、生体管腔に対し経皮的に導入される。図９Ａは、投与装置１００Ｃを生体内に留置した直後の状態を示している。

　投与装置１００Ｃは、図９Ｂに示すように、栓体４０Ｃの移動により内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｃは内腔１１Ｃ内の被投与物Ｘや空気に押され、引張部５４Ｃの引張力に抗して放出口１２Ｃから離隔する方向に移動して放出口１２Ｃを開放する。このとき、被投与物Ｘは、開放された放出口１２Ｃから生体内に一定量だけ投与される。

　そして、投与装置１００Ｃは、図９Ｃに示すように、一定量の被投与物Ｘの投与が終了して内腔１１Ｃ内の内圧が放出圧力を下回ると、内腔１１Ｃ内の空気の押圧力が弱まるため、引張部５４Ｃの引張作用により弁体５１Ｃが放出口１２Ｃ側に引張されて放出口１２Ｃを閉塞する。投与装置１００Ｃは、内腔１１Ｃ内の内圧が再び放出圧力に達するまで被投与物Ｘの投与は停止される。投与装置１００Ｃは、上述した一連の動作を繰り返し行うことで、生体内に留置された状態で被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　［第４実施形態］
　次に、第４実施形態に係る投与装置１００Ｄについて図１０～図１２を適宜参照しながら説明する。

　第４実施形態に係る投与装置１００Ｄは、前述した第３実施形態の変形例であり、間欠投与時の動作態様は同様となる。したがって、第３実施形態と同等の機能を有する構成要件については同一または関連する符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した第３実施形態と同様のものとしてよい。

　投与装置１００Ｄは、図１０に示すように、本体部１０Ｄと、液体透過部２０Ｄと、押圧部３０Ｄと、栓体４０Ｄと、開閉制御部５０Ｄと、を備える。

　投与装置１００Ｄは、開閉制御部５０Ｄの構成が第３実施形態の開閉制御部５０Ｃの構成と相違する。また、第４実施形態の投与装置１００Ｄについても、第１～第３実施形態の投与装置１００Ａ～１００Ｃと同様、押圧部３０Ｄが非電気的に連続駆動して栓体４０Ｄを押圧するが、生体内に留置したまま所定の投与条件に基づき被投与物Ｘの間欠的投与が可能な装置構成を有している。

　開閉制御部５０Ｄは、図１１に示すように、本体部１０Ｄの先端側に配置され、放出口１２Ｄを開放および閉塞閉可能な弁体５１Ｄと、被投与物Ｘの通液口５３Ｄが設けられる基部５２Ｄと、一端が弁体５１Ｄに接続され、他端が基部５２Ｄに接続され、放出圧力よりも弱い引張力で弁体５１Ｄを放出口１２Ｄ側に引張する引張部５４Ｄと、備えて構成される。開閉制御部５０Ｄは、内腔１１Ｄ内の内圧が所定の放出圧力に達したか否かに応じて放出口１２Ｄを開放または閉塞する。

　弁体５１Ｄは、放出口１２Ｄを覆って閉塞する板状部材で構成される。弁体５１Ｄは、引張部５４Ｄと接続され、放出圧力よりも弱い引張力で放出口１２Ｄ側に引張される。弁体５１Ｄは、内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力に達していない状態では引張部５４Ｄの引張作用により放出口１２Ｄを覆って閉塞した状態を維持する。弁体５１Ｄは、弁体５１Ｃと同様、閉塞時に内腔１１Ｄと外部との連通を遮断できる性状を有していれば、形状や構成材料は特に限定されない。

　弁体５１Ｄは、内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力に達すると、引張部５４Ｄの引張力に抗して放出口１２Ｄから離隔する方向へ移動して放出口１２Ｄを開放する（図１２Ｂを参照）。また、弁体５１Ｄは、一定量の被投与物Ｘの放出が終了して内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力を下回ると、引張部５４Ｄの引張作用により弁体５１Ｄが引張されて放出口１２Ｄを閉塞する（図１２Ｃを参照）。なお、図１２Ｂ、図１２Ｃの白抜き矢印は、内腔１１Ｄ内の内圧を示しており、図１２Ｂでは内圧が放出圧力に達し、図１２Ｃでは内圧が放出圧力を下回っていることを矢印の大小で表現している。

　基部５２Ｄは、内腔１１Ｄに固定され、引張部５４Ｄを介して弁体５１Ｄと接続される。基部５２Ｄには、栓体４０Ｄに押された被投与物Ｘが通過可能な通液口５３Ｄが設けられる。通液口５３Ｄの形状や個数については、被投与物Ｘの１回あたりの投与量や被投与物Ｘの粘性などを考慮して適宜設定することができる。

　基部５２Ｄは、図１１に示すように、内腔１１Ｄの一部を溝状に切削し、この溝状部位に嵌合させて固定することができる。基部５２Ｄは、内腔１１Ｄに対し、接着剤などを用いて接着固定させてもよい。

　引張部５４Ｄは、弁体５１Ｄに接続される第１磁性体５４１Ｄと、基部５２Ｄとで構成される。基部５２は、第２磁性体５４２Ｄとして機能する。第１磁性体５４１Ｄは、基部５２Ｄから先端側に延在する非磁性体の支持部５２１Ｄと嵌合し、内腔１１Ｄの軸方向に沿って相対移動可能に配置される。第１磁性体５４１Ｄと第２磁性体５４２Ｄは、互いに異なる磁極（Ｎ極またはＳ極）を有しており、放出圧力よりも弱い引張力（磁気的吸引力）を発生する。引張部５４Ｄに引張される弁体５１Ｄは、内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力に達すると、放出口１２Ｄから離隔する方向に押圧されて放出口１２Ｄを開放し、内腔１１Ｄの内圧が放出圧力を下回ると、引張部５４Ｄの引張力により放出口１２Ｄ側に引張されて放出口１２Ｄを閉塞する。

　上述した第４実施形態に係る投与装置１００Ｄは、第１～第３実施形態と同様に、投与対象に対する被投与物Ｘを充填した後、生体管腔に対し経皮的に導入される。図１２Ａは、投与装置１００Ｄを生体内に留置した直後の状態を示している。

　投与装置１００Ｄは、図１２Ｂに示すように、栓体４０Ｄの移動により内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｄは内腔１１Ｄ内の被投与物Ｘや空気に押され、引張部５４Ｄの引張力に抗して放出口１２Ｄから離隔する方向に移動して放出口１２Ｄを開放する。このとき、被投与物Ｘは、開放された放出口１２Ｄから生体内に一定量だけ投与される。

　そして、投与装置１００Ｄは、図１２Ｃ示すように、一定量の被投与物Ｘの投与が終了して内腔１１Ｄ内の内圧が放出圧力を下回ると、内腔１１Ｄ内の空気の押圧力が弱まるため、引張部５４Ｄの引張作用により弁体５１Ｄが放出口１２Ｄ側に引張されて放出口１２Ｄを閉塞する。投与装置１００Ｄは、内腔１１Ｄ内の内圧が再び放出圧力に達するまで被投与物Ｘの投与は停止される。投与装置１００Ｄは、上述した一連の動作を繰り返し行うことで、生体内に留置された状態で被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　［作用効果］
　以上説明したように、本実施形態に係る投与装置１００Ａ～１００Ｄは、生体内に放出される被投与物Ｘが収容可能な内腔１１Ａ～１１Ｄを有し、先端に被投与物Ｘの放出口１２Ａ～１２Ｄが形成される本体部１０Ａ～１０Ｄと、内腔１１Ａ～１１Ｄ内を液密に摺動可能な栓体４０Ａ～４０Ｄと、内腔１１Ａ～１１Ｄにおいて栓体４０Ａ～４０Ｄより上流側に配置され、非電気的に連続駆動して栓体４０Ａ～４０Ｄを下流側に押圧する押圧部３０Ａ～３０Ｄと、本体部１０Ａ～１０Ｄの先端側に配置され、内腔１１Ａ～１１Ｄの内圧が所定の放出圧力に達すると、放出口１２Ａ～１２Ｄを開放して被投与物Ｘの放出を許容し、一定量の被投与物Ｘを放出して内腔１１Ａ～１１Ｄの内圧が放出圧力を下回ると、放出口１２Ａ～１２Ｄを閉塞して被投与物Ｘの放出を制限する開閉制御部５０Ａ～５０Ｄとを備える。

　投与装置１００Ａ～１００Ｄは、従来の持続投与装置の構成を利用し、放出部の代わりに開閉制御部５０Ａ～５０Ｄを本体部１０Ａ～１０Ｄの先端側に配置した構成を有する。投与装置１００Ａ～１００Ｄの押圧部３０Ａ～３０Ｄは、非電気的に連続駆動する構成であり、開閉制御部５０Ａ～５０Ｄは、圧力応答性を有し、内腔１１Ａ～１１Ｄ内の内圧が被投与物Ｘの投与条件に合わせて設定された放出圧力に達したときに作動し、被投与物Ｘを生体内に間欠的に放出することができる。そのため、投与装置１００Ａ～１００Ｄは、電気的な駆動機構を搭載することなく、間欠投与が好ましい被投与物を適切な投与間隔で間欠投与することができる。また、投与装置１００Ａ～１００Ｄは、従来の装置構成を活かして先端部分を一部変更するだけでよいため、製造上の観点からも有効である。

　また、本実施形態に係る投与装置１００Ａにおいて、開閉制御部５０Ａは、放出口１２Ａの軸方向に延在する軸部５１１Ａと、軸部５１１Ａの先端側の周囲に形成され、放出口１２Ａを覆うように閉塞する閉塞部５１２Ａと、を含み、内腔１１Ａの内圧が放出圧力に達すると、閉塞部５１２Ａの一部が放出口１２Ａから離隔して放出口１２Ａを開放し、被投与物Ｘの放出により内腔１１Ａの内圧が放出圧力を下回ると、閉塞部５１２Ａの一部が放出口１２Ａに接近して放出口１２Ａを閉塞するように構成してもよい。

　このような構成により、投与装置１００Ａは、内腔１１Ａ内の内圧が放出圧力に達すると、閉塞部５１２Ａの一部が放出口１２Ａを開放して被投与物Ｘの放出を許容し、内圧が放出圧力を下回ると、閉塞部５１２Ａの離隔部分が放出口１２Ａを閉塞して被投与物Ｘの放出を制限することができる。そのため、投与装置１００Ａは、非電気的に連続駆動する構成となるが、生体内に留置したまま被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　また、本実施形態に係る投与装置１００Ｂにおいて、開閉制御部５０Ｂは、先端に向かって徐々に軸中心で収束するように傾斜して延在する一対の弁体５１Ｂと、弁体５１Ｂの先端が接することにより形成される開閉可能なスリット５３Ｂと、被投与物Ｘが流入する側に設けられた通液口５４Ｂと、通液口５４Ｂをスリット５３Ｂに接続する流路５５Ｂと、を含み、内腔１１Ｂの内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｂの変形によりスリット５３Ｂが開いて放出口１２Ｂを開放し、被投与物Ｘの放出により内腔１１Ｂの内圧が放出圧力を下回ると、弁体５１Ｂが変形前の形状に戻ってスリット５３Ｂが閉じて放出口１２Ｂを閉塞する構成にしてもよい。

　このような構成により、投与装置１００Ｂは、内腔１１Ｂ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｂの先端部分が離隔してスリット５３Ｂが開き、放出口１２Ｂを開放して被投与物Ｘの放出を許容し、内圧が放出圧力を下回ると、弁体５１Ｂの先端部分が変形前の形状に戻ってスリット５３Ｂが閉じ、放出口１２Ｂを閉塞して被投与物Ｘの放出を制限することができる。そのため、投与装置１００Ｂは、非電気的に連続駆動する構成となるが、生体内に留置したまま被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　また、本実施形態に係る投与装置１００Ｃ、１００Ｄにおいて、開閉制御部５０Ｃ、５０Ｄは、放出口１２Ｃ、１２Ｄを覆うように閉塞する弁体５１Ｃ、５１Ｄと、被投与物Ｘの通液口５３Ｃ、５３Ｄが設けられる基部５２Ｃ、５２Ｄと、一端が弁体５１Ｃ、５１Ｄに接続され、他端が基部５２Ｃ、５２Ｄに接続され、放出圧力よりも弱い引張力で弁体５１Ｃ、５１Ｄを放出口１２Ｃ、１２Ｄ側に引張する引張部５４Ｃ、５４Ｄと、を含み、内腔１１Ｃ、１１Ｄの内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｃ、５１Ｄが放出口１２Ｃ、１２Ｄから離隔して放出口１２Ｃ、１２Ｄを開放し、被投与物Ｘの放出により内腔１１Ｃ、１１Ｄの内圧が放出圧力を下回ると、弁体５１Ｃ、５１Ｄが放出口１２Ｃ、１２Ｄに接近して放出口１２Ｃ、１２Ｄを閉塞する構成にしてもよい。

　このような構成により、投与装置１００Ｃ、１００Ｄは、内腔１１Ｃ、１１Ｄ内の内圧が放出圧力に達すると、弁体５１Ｃ、５１Ｄが放出口１２Ａから離隔して被投与物Ｘの放出を許容し、内圧が放出圧力を下回ると、引張部５４Ｃ、５４Ｄの引張作用により弁体５１Ｃ、５１Ｄで放出口１２Ｃ、１２Ｄを閉塞して被投与物Ｘの放出を制限することができる。そのため、投与装置１００Ｃ、１００Ｄは、非電気的に連続駆動する構成となるが、生体内に留置したまま被投与物Ｘを間欠投与することができる。

　本出願は、２０２２年３月２５日に出願された日本国特許出願第２０２２－０４９２８５号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

　１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ、１０Ｄ　本体部
　１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃ、１１Ｄ　内腔、
　１２Ａ、１２Ｂ、１２Ｃ、１２Ｄ　放出口、
　２０Ａ、２０Ｂ、２０Ｃ、２０Ｄ　液体透過部、
　３０Ａ、３０Ｂ、３０Ｃ、３０Ｄ　押圧部、
　４０Ａ、４０Ｂ、４０Ｃ、４０Ｄ　栓体、
　５０Ａ、５０Ｂ、５０Ｃ、５０Ｄ　開閉制御部、
　５１Ａ、５１Ｂ、５１Ｃ、５１Ｄ　弁体、
　５２Ｃ、５２Ｄ　基部、
　５３Ｂ　スリット、
　５４Ｂ、５３Ｃ、５３Ｄ　通液口、
　５４Ｃ、５４Ｄ　引張部、
　５５Ｂ　流路、
　Ｘ　被投与物、
　Ｙ１　第１空間、
　Ｙ２　第２空間。

Claims

　生体内に放出される被投与物が収容可能な内腔を有し、先端に前記被投与物の放出口が形成される本体部と、
　前記内腔内を液密に摺動可能な栓体と、
　前記内腔において前記栓体より上流側に配置され、非電気的に連続駆動して前記栓体を下流側に押圧する押圧部と、
　前記本体部の先端側に配置され、前記内腔の内圧が所定の放出圧力に達すると、前記放出口を開放して前記被投与物の放出を許容し、一定量の前記被投与物を放出して前記内腔の内圧が前記放出圧力を下回ると、前記放出口を閉塞して前記被投与物の放出を制限する開閉制御部と、
　を備える、投与装置。
　前記開閉制御部は、
　前記放出口の軸方向に延在する軸部と、
　前記軸部の先端側の周囲に形成され、前記放出口を覆うように閉塞する閉塞部と、
　を含み、
　前記内腔の内圧が前記放出圧力に達すると、前記閉塞部の一部が前記放出口から離隔して前記放出口を開放し、
　前記被投与物の放出により前記内腔の内圧が前記放出圧力を下回ると、前記閉塞部の離隔部分が前記放出口に接近して前記放出口を閉塞する、請求項１に記載の投与装置。
　前記開閉制御部は、
　先端に向かって徐々に軸中心で収束するように傾斜して延在する一対の弁体と、
　前記弁体の先端が接することにより形成される開閉可能なスリットと、
　前記被投与物が流入する側に設けられた通液口と、
　前記通液口を前記スリットに接続する流路と、を含み、
　前記内腔の内圧が前記放出圧力に達すると、前記弁体の変形により前記スリットが開いて前記放出口を開放し、
　前記被投与物の放出により前記内腔の内圧が前記放出圧力を下回ると、前記弁体が変形前の形状に戻って前記スリットが閉じて前記放出口を閉塞する、請求項１に記載の投与装置。
　前記開閉制御部は、
　前記放出口を覆うように閉塞する弁体と、
　前記被投与物の通液口が設けられる基部と、
　一端が前記基部に接続され、他端が前記弁体に接続され、前記放出圧力よりも弱い引張力で前記弁体を前記放出口側に引張する引張部と、を含み、
　前記内腔の内圧が前記放出圧力に達すると、前記弁体が前記放出口から離隔して前記放出口を開放し、
　前記被投与物の放出により前記内腔の内圧が前記放出圧力を下回ると、前記弁体が前記放出口に接近して前記放出口を閉塞する、請求項１に記載の投与装置。