しかしながら、従来の仕分け処理装置では、様々な貨幣の発行国や発行組織(例えば、EU)により発行された貨幣が受入口に混合状態で載置されたときには、とりわけ特定の発行国や発行組織の貨幣が他の通貨種類の貨幣よりも多い場合に、仕分け処理装置による仕分け作業に時間がかかるという問題があった。すなわち、様々な貨幣の発行国や発行組織により発行された貨幣を一括して一つの仕分け処理装置で処理する場合、従来の仕分け処理装置では各排出口に対して貨幣の各発行国等を予め割り当てておくが、特定の発行国等により発行された貨幣の含まれる割合が大きい場合でも、この貨幣に対応する排出口を増やしたり変更したりすることができないため、貨幣の仕分け作業が非効率となる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、様々な貨幣の発行国等により発行された貨幣が受入口に混合状態で載置された場合において、貨幣の仕分け作業を効率的に行うことができる貨幣処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、通貨種類の異なる複数種類の貨幣を受け取り、受け取った貨幣を装置本体内に取り込む受入口と、複数の排出口と、前記受入口により前記装置本体内に取り込まれた貨幣を1枚ずつ前記各排出口へ搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、通貨種類の異なる貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部による貨幣の識別結果に基づいて前記搬送部から前記各排出口への貨幣の振り分けを行うよう、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記識別部により識別された貨幣の通貨種類が前記複数の排出口の何れかに割り当てられているか否かを判定し、割り当てられている場合にはその排出口へ当該貨幣を搬送し、前記識別部により識別された貨幣の通貨種類が前記複数の排出口の何れにも割り当てられておらず、かつ通貨種類が割り当てられていない排出口があれば、当該排出口に前記通貨種類を割り当てるとともにその排出口へ当該貨幣を搬送するよう制御を行うことを特徴とする貨幣処理装置である。
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部は、前記貨幣処理装置において前記各排出口へ振り分けられた貨幣について2回目の計数処理を行う際に、通貨種類毎に、前記各排出口へ貨幣を金種別に分類するよう制御を行うようになっていてもよい。
この際に、前記制御部は、2回目の計数処理における貨幣の計数結果が1回目の計数処理における貨幣の計数結果と一致している場合には、貨幣の入金額を自動的に確定するようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記貨幣処理装置において2回目の計数処理を行う際に、前記識別部において貨幣の真偽判定を行わせないようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記貨幣処理装置において2回目の計数処理を行う際に、各々の通貨種類について、1回目の計数処理における前記識別部による貨幣の計数結果において枚数の多い金種の貨幣から順に貨幣の金種を前記各排出口に自動的に割り当てるようになっていてもよい。
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部は、前記貨幣処理装置における1回目の計数処理が終了した後、確定指令が当該制御部に与えられることにより通貨種類毎に貨幣の入金額を確定するようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記識別部によりリジェクト貨幣が検出されると、このリジェクト貨幣の通貨種類および金種が手動で当該制御部に入力され得るようになっていてもよい。
この際に、表示部を更に備え、前記制御部は、前記識別部によりリジェクト貨幣が検出されたときにこのリジェクト貨幣の通貨種類が前記識別部により判別されている場合には、前記貨幣処理装置における貨幣の処理を一旦停止させ、このリジェクト貨幣に係る情報を前記表示部に表示させるようになっていてもよい。
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部は、前記識別部により最初に識別された貨幣の通貨種類を複数の前記排出口に割り当てるようになっていてもよい。
本発明は、通貨種類の異なる複数種類の貨幣を受け取り、受け取った貨幣を装置本体内に取り込む受入口と、複数の排出口と、前記受入口により前記装置本体内に取り込まれた貨幣を1枚ずつ前記各排出口へ搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、通貨種類の異なる貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部による貨幣の識別結果に基づいて前記搬送部から前記各排出口への貨幣の振り分けを行うよう、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部において、予め指定された通貨種類が特定の排出口に対して予め割り当てられており、当該制御部は、予め指定された通貨種類の貨幣が前記識別部により最初に識別されたときに、その貨幣の金種を前記特定の排出口に割り当てるようになっており、前記制御部は、前記識別部により識別された貨幣の通貨種類および金種の両方が前記複数の排出口の何れかに割り当てられているか否かを判定し、貨幣の通貨種類および金種の両方が割り当てられている場合にはその排出口へ当該貨幣を搬送するよう制御を行うことを特徴とする貨幣処理装置である。
本発明の貨幣処理装置においては、予め指定された通貨種類が複数の前記特定の排出口に対して予め割り当てられるようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記識別部により識別された貨幣の通貨種類が前記予め指定された通貨種類ではない場合に、通貨種類が割り当てられていない排出口があれば当該排出口に前記通貨種類を割り当てるとともにその排出口へ当該貨幣を搬送し、割り当てられている場合にはその排出口へ当該貨幣を搬送するよう制御を行うようになっていてもよい。
本発明は、通貨種類の異なる複数種類の貨幣を受け取り、受け取った貨幣を装置本体内に取り込む受入口と、複数の排出口と、前記受入口により前記装置本体内に取り込まれた貨幣を1枚ずつ前記各排出口へ搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、通貨種類の異なる貨幣の識別を行う識別部と、前記識別部による貨幣の識別結果に基づいて前記搬送部から前記各排出口への貨幣の振り分けを行うよう、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部において、予め指定された分類種別が特定の排出口に対して予め割り当てられており、当該制御部は、予め指定された分類種別の貨幣が前記識別部により最初に識別されたときに、その貨幣の通貨種類を前記特定の排出口に割り当てるようになっており、前記制御部は、前記識別部により識別された貨幣の通貨種類および分類種別の両方が前記複数の排出口の何れかに割り当てられているか否かを判定し、貨幣の通貨種類および分類種別の両方が割り当てられている場合にはその排出口へ当該貨幣を搬送するよう制御を行うことを特徴とする貨幣処理装置である。
本発明の貨幣処理装置においては、前記制御部は、前記特定の排出口に対して通貨種類が割り当てられた後、他の通貨種類の貨幣が前記識別部により識別されたときに、当該他の通貨種類を前記特定の排出口以外の排出口に割り当てるようになっていてもよい。
また、前記分類種別は、3以上の貨幣の正券/損券レベルであってもよい。
また、前記制御部は、前記識別部により最初に識別された貨幣の通貨種類を3以上の前記排出口に割り当て、このうち2つの排出口には前記予め指定された一の分類種別の各々が割り当てられるようになっていてもよい。
上述のような貨幣処理装置においては、表示部を更に備え、前記制御部は、各々の通貨種類の貨幣の合計金額、ならびに/あるいは、金種毎の枚数または金額を、通貨種類毎に切り換え方式により択一的に前記表示部に表示させるようになっていてもよい。
この場合、前記制御部は、各々の通貨種類の貨幣の合計金額を前記表示部に表示させる際に、各々の通貨種類の貨幣の合計金額を特定の通貨種類に換算して表示させるようになっていてもよい。
また、上述のような貨幣処理装置においては、表示部を更に備え、前記制御部は、各排出口に割り当てられた通貨種類を前記表示部に表示させるようになっていてもよい。
また、前記通貨種類は、貨幣の発行国を含む発行組織により定められるものであってもよい。
あるいは、前記通貨種類は、貨幣の発行国を含む発行組織により定められるものに加え、通貨代用媒体の種類も含むようになっていてもよい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態において、本発明の貨幣処理装置として紙幣を処理する紙幣処理装置を用いた場合について説明を行っている。
まず、図1乃至図3により、本実施の形態の紙幣処理装置の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態における紙幣処理装置10の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す紙幣処理装置10の内部構成の概略を示す概略構成図である。図1に示すように、紙幣処理装置10は、略直方体形状の筐体11と、複数の紙幣を受け取り、受け取った紙幣を筐体11内に取り込む受入口21と、第1のスタッカ(第1の排出口)23と、第2のスタッカ(第2の排出口)24と、第3のスタッカ(第3の排出口)25と、リジェクト部22とを備えている。
より具体的に説明すると、操作者によって複数の紙幣が積層状態で受入口21に載置されるようになっている。また、図2に示すように、受入口21には繰出機構21aが設けられており、受入口21に載置された紙幣は繰出機構21aにより1枚ずつ筐体11内に取り込まれるようになっている。
また、図2に示すように、紙幣処理装置10の筐体11内には搬送部31が設けられており、この搬送部31により、繰出機構21aにより筐体11内に取り込まれた紙幣が筐体11内で1枚ずつ順次搬送されるようになっている。
図2に示すように、搬送部31には識別部32が設けられている。この識別部32は、搬送部31により搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。識別部32による紙幣の識別結果は後述する制御部40に送られるようになっている。
図2に示すように、第1のスタッカ23、第2のスタッカ24および第3のスタッカ25はそれぞれ搬送部31に接続されており、識別部32による紙幣の識別結果に基づいて、搬送部31から3つのスタッカ23、24、25のうちいずれか一つのスタッカに紙幣が送られるようになっている。そして、各スタッカ23、24、25において紙幣が集積状態で集積されるようになっている。また、図1に示すように、各スタッカ23、24、25には筐体11の外部から操作者がアクセスすることができるようになっている。このことにより、各スタッカ23、24、25に紙幣が集積されると、操作者はこれらのスタッカ23、24、25から紙幣の束を取り出すことができるようになる。また、図2に示すように、各スタッカ23、24、25にはそれぞれ羽根車23a、24a、25aが設けられている。各羽根車23a、24a、25aは、搬送部31から各スタッカ23、24、25内に向かって放出される紙幣を、隣り合う羽根部分の間のスペースに受け入れ、紙幣の向きや位置が整えられた状態でこの紙幣を各スタッカ23、24、25に集積させる機能を有している。
また、リジェクト部22も搬送部31に接続されており、識別部32による紙幣の識別結果に基づいて、具体的には例えば識別部32によりリジェクト紙幣であると識別された紙幣や識別部32により識別することができなかった紙幣、あるいは識別部32により搬送異常が検出された紙幣は、搬送部31からリジェクト部22に送られるようになっている。
また、図1に示すように、紙幣処理装置10の筐体11の前面には操作表示部41が設けられている。操作表示部41には複数の操作キーが設けられており、操作者がこれらの操作キーを押下することにより後述する制御部40に対して様々な指令が送られるようになっている。また、操作表示部41にはモニタが設けられており、紙幣処理装置10における紙幣の処理状況、具体的には例えば各スタッカ23、24、25に集積された紙幣の枚数や金額等が表示されるようになっている。操作表示部41のモニタにおける表示内容の詳細については後述する。
また、図1に示すように、紙幣処理装置10の筐体11の前面において、各スタッカ23、24、25に対応して3つの表示部43、44、45がそれぞれ設けられている。これらの表示部43、44、45における表示内容の詳細については後述する。
また、図3に示すように、紙幣処理装置10には制御部40が設けられており、この制御部40により紙幣処理装置10の各構成要素の制御が行われるようになっている。具体的には、制御部40には繰出機構21a、搬送部31、識別部32、各羽根車23a、24a、25aがそれぞれ接続されており、識別部32による紙幣の識別結果が制御部40に送られるとともに、制御部40から繰出機構21a、搬送部31および各羽根車23a、24a、25aに制御信号が送られることによりこれらの構成要素が制御部40により制御されるようになっている。また、図3に示すように、制御部40には操作表示部41や各表示部43、44、45がそれぞれ接続されており、これらの操作表示部41や各表示部43、44、45における表示内容が制御部40により制御されるようになっている。また、前述のように、操作表示部41により操作者が制御部40に対して様々な指令を送ることができるようになっている。
また、図3に示すように、紙幣処理装置10には記憶部46が設けられており、この記憶部46は制御部40に接続されるようになっている。また、紙幣処理装置10にはインターフェース48が設けられており、このインターフェース48は制御部40に接続されるようになっている。制御部40は、インターフェース48を介して、紙幣処理装置10の外部に設けられた上位装置等と信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣処理装置10の動作について説明する。より詳細には、通貨種類の異なる複数種類の紙幣を紙幣処理装置10により処理する際の紙幣処理装置10の動作について以下に説明する。ここで、通貨種類とは、紙幣の発行国を含む発行組織により定められるものである。具体的には、通貨種類として、例えば日本円、アメリカドル、ユーロ、トルコリラ等が挙げられる。なお、以下に示すような紙幣処理装置10の動作は、制御部40が紙幣処理装置10の各構成要素を制御することにより行われるようになっている。
紙幣処理装置10の動作の第1の態様において、初期状態ではどのスタッカ23、24、25にも通貨種類が割り当てられていない。言い換えると、各スタッカ23、24、25の設定は「通貨種類オート」となっている(図5における「1回目の計数処理」参照)。
まず、図4に示すように、各々の通貨種類の紙幣の束が複数積み重ねられる。具体的には、ある通貨種類の紙幣の束の上に、他の通貨種類の紙幣の束が積み重ねられるようにして、複数の紙幣の束が形成される。より詳細には、例えば、アメリカドルの紙幣の束の上にユーロ紙幣の束が積み重ねられ、このユーロ紙幣の束の上にトルコリラの紙幣の束が更に積み重ねられる。この際に、アメリカドルの紙幣の束、ユーロ紙幣の束およびトルコリラの紙幣の束はそれぞれ金種混合状態となっている。
次に、図4に示すような複数の紙幣の束について、1回目の計数処理を行う。具体的には、図4に示すような複数の紙幣の束を一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置する。そして、受入口21に載置された紙幣は、1枚ずつ繰出機構21aにより筐体11内に取り込まれるようになる。筐体11内に取り込まれた紙幣は識別部32により識別が行われる(図6のSTEP1)。
本実施の形態の紙幣処理装置10においては、1回目の計数処理において、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定するようになっている(図6のSTEP2)。そして、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられている場合には(図6のSTEP2の「YES」)、そのスタッカに紙幣を搬送する(図6のSTEP3)。一方、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れにも割り当てられていない場合は(図6のSTEP2の「NO」)、制御部40は、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在するか否かを判定する(図6のSTEP4)。そして、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在する場合には(図6のSTEP4の「YES」)、識別部32により識別された紙幣の通貨種類をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する(図6のSTEP5)。一方、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在しない場合には(図6のSTEP4の「NO」)、識別部32により識別された紙幣をリジェクト部22に搬送する(図6のSTEP6)。
なお、識別部32により識別された紙幣が偽券等の正常な紙幣ではない場合や、識別部32により紙幣を識別することができなかった場合、ならびに紙幣に搬送異常が検出された場合は、この紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部22に搬送されるようになっている。
上述のような図6のSTEP1〜6に示すような動作は、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれるまで行われる(図6のSTEP7の「NO」)。そして、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれると(図6のSTEP7の「YES」)、1回目の計数処理が終了する。
次に、図6のフローチャートに示すような紙幣の1回目の計数処理について、図4に示すような複数の通貨種類の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置された場合の具体例を以下に説明する。
図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置されると、まずアメリカドルの紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別されると、初期状態ではどのスタッカ23、24、25にも通貨種類が割り当てられていないため(図6のSTEP2の「NO」およびSTEP4の「YES」)、3つのスタッカのうち例えば第1のスタッカ23に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣はこの第1のスタッカ23に送られる。そして、2枚目以降のアメリカドルの紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられているため(図6のSTEP2の「YES」)、アメリカドルの紙幣は全て第1のスタッカ23に送られる。このようにして、第1のスタッカ23にはアメリカドルの紙幣が金種混合状態で集積される(図5参照)。
次に、アメリカドルの紙幣に引き続いてユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のユーロ紙幣が識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられており他のスタッカ24、25には通貨種類が割り当てられていないため(図6のSTEP2の「NO」およびSTEP4の「YES」)、通貨種類が割り当てられていない2つのスタッカのうち例えば第2のスタッカ24に通貨種類としてユーロが割り当てられる。そして、1枚目のユーロ紙幣はこの第2のスタッカ24に送られる。そして、2枚目以降のユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第2のスタッカ24に通貨種類としてユーロが割り当てられているため(図6のSTEP2の「YES」)、ユーロ紙幣は全て第2のスタッカ24に送られる。このようにして、第2のスタッカ24にはユーロ紙幣が金種混合状態で集積される(図5参照)。
次に、ユーロ紙幣に引き続いてトルコリラの紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のトルコリラの紙幣が識別部32により識別されると、第1、第2のスタッカ23、24に通貨種類としてアメリカドル、ユーロがそれぞれ割り当てられており第3のスタッカ25には通貨種類が割り当てられていないため(図6のSTEP2の「NO」およびSTEP4の「YES」)、通貨種類が割り当てられていない第3のスタッカ25に通貨種類としてトルコリラが割り当てられる。そして、1枚目のトルコリラの紙幣はこの第3のスタッカ25に送られる。そして、2枚目以降のトルコリラの紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第3のスタッカ25に通貨種類としてトルコリラが割り当てられているため(図6のSTEP2の「YES」)、トルコリラの紙幣は全て第3のスタッカ25に送られる。このようにして、第3のスタッカ25にはトルコリラの紙幣が金種混合状態で集積される(図5参照)。
なお、3つのスタッカ23、24、25に通貨種類としてアメリカドル、ユーロ、トルコリラがそれぞれ割り当てられた後、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が、上述のようなアメリカドル、ユーロ、トルコリラ以外のものである場合には(具体的には、例えば日本円の紙幣である場合には)、この紙幣はリジェクト部22に搬送される(図5参照)。
図6のフローチャートに示すような紙幣の1回目の計数処理が終了した後、各スタッカ23、24、25に対応する各表示部43、44、45には、対応するスタッカにどの通貨種類の紙幣が集積されているかが表示されるようになる。具体的には、第1の表示部43には「アメリカドル」と表示され、第2の表示部44には「ユーロ」と表示され、第3の表示部45には「トルコリラ」と表示される。なお、紙幣の1回目の計数処理が終了した後に各表示部43、44、45に各通貨種類が表示される代わりに、図6のSTEP5に示すように各スタッカ23、24、25に紙幣の通貨種類が割り当てられたときに、各表示部43、44、45に通貨種類が表示されるようになっていてもよい。また、各スタッカ23、24、25にどの通貨種類が割り当てられたかという情報は、各表示部43、44、45に表示される代わりに操作表示部41のモニタに表示されるようになっていてもよい。
また、紙幣の1回目の計数処理が終了した後、操作表示部41によって操作者により確定指令が制御部40に与えられることにより、通貨種類毎に紙幣の入金額を確定するようになっている。具体的には、操作表示部41のモニタには、各スタッカ23、24、25に集積されたアメリカドルの紙幣、ユーロ紙幣、トルコリラの紙幣の合計金額が切り換え方式により択一的に表示される。すなわち、操作表示部41のモニタにはまず第1のスタッカ23に集積されたアメリカドルの紙幣の合計金額が表示され、操作者が操作表示部41の切換キーを押下すると次に第2のスタッカ24に集積されたユーロ紙幣の合計金額が表示され、操作者が操作表示部41の切換キーを更に押下すると次に第3のスタッカ25に集積されたトルコリラの紙幣の合計金額が表示され、操作者が操作表示部41の切換キーを更に押下すると操作表示部41のモニタにおける表示が第1のスタッカ23に集積されたアメリカドルの紙幣の合計金額に戻る。そして、操作表示部41のモニタに各々の通貨種類の紙幣の合計金額が表示されているときに、操作者が操作表示部41の確定キーを押下すると、その通貨種類に係る紙幣の入金額が確定されるようになる。
なお、各々の通貨種類の紙幣の合計金額を操作表示部41に表示させる際に、各々の通貨種類の紙幣の合計金額を特定の通貨種類(例えば、アメリカドル)に換算して表示させるようになっていてもよい。この場合には、例えばユーロ紙幣の合計金額やトルコリラの紙幣の合計金額がそれぞれアメリカドルに換算されて操作表示部41に表示されるようになる。
また、操作表示部41には、アメリカドルの紙幣、ユーロ紙幣、トルコリラの紙幣の合計金額が切り換え方式により択一的に表示される代わりに、アメリカドルの紙幣、ユーロ紙幣、トルコリラの紙幣の金種毎の枚数または金額が切り換え方式により択一的に表示されるようになっていてもよい。
なお、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、上述のような1回目の計数処理において識別部32によりリジェクト紙幣が検出されると、操作者はこのリジェクト紙幣の通貨種類および金種を操作表示部41により手動で制御部40に入力することができるようになっていてもよい。また、制御部40は、識別部32によりリジェクト紙幣が検出されたときにこのリジェクト紙幣の通貨種類が識別部32により判別されている場合には、紙幣処理装置10における紙幣の処理を一旦停止させ、このリジェクト紙幣に係る情報を操作表示部41のモニタに表示させるようになっていてもよい。この場合には、操作者が操作表示部41により手動で制御部40にリジェクト紙幣の情報の入力を行う際に、操作表示部41のモニタに表示されたリジェクト紙幣に係る情報、具体的には例えばリジェクト紙幣の通貨種類等を目視にて確認しながら入力を行うことができるようになる。
そして、上述のような紙幣の1回目の計数処理が終了した後、各スタッカ23、24、25に通貨種類毎に振り分けられた紙幣についてそれぞれ紙幣の2回目の計数処理を行う。具体的には、各スタッカ23、24、25から紙幣の束をそれぞれ取り出し、取り出された3つの通貨種類別の紙幣の束についてそれぞれ紙幣の2回目の計数処理を行う。ここで、紙幣の2回目の計数処理において、通貨種類毎に、各スタッカ23、24、25へ紙幣を金種別に分類するようになっている。なお、紙幣の2回目の計数処理を行うにあたり、初期状態ではどのスタッカ23、24、25にも金種が割り当てられていない。言い換えると、各スタッカ23、24、25の設定は「金種オート」となっている(図5における「2回目の計数処理」参照)。
紙幣の2回目の計数処理について図7に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。まず、第1のスタッカ23から取り出された紙幣の束を紙幣処理装置10の受入口21に載置する。ここで、第1のスタッカ23から取り出された紙幣の束は、アメリカドルの紙幣が金種混合状態で集積されたものである。そして、受入口21に載置された紙幣は、1枚ずつ繰出機構21aにより筐体11内に取り込まれるようになる。筐体11内に取り込まれた紙幣は識別部32により識別が行われる(図7のSTEP11)。なお、紙幣の2回目の計数処理において、識別部32において紙幣の真偽判定を行わせないようになっていてもよい。なぜならば、紙幣の1回目の計数処理において紙幣の真偽判定は既に行われているため、紙幣の2回目の計数処理において紙幣の真偽判定を行わなくとも、偽券が各スタッカ23、24、25に送られることはないからである。
本実施の形態の紙幣処理装置10においては、2回目の計数処理において、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の金種が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定するようになっている(図7のSTEP12)。そして、識別部32により識別された紙幣の金種が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられている場合には(図7のSTEP12の「YES」)、そのスタッカに紙幣を搬送する(図7のSTEP13)。一方、識別部32により識別された紙幣の金種が3つのスタッカ23、24、25の何れにも割り当てられていない場合は(図7のSTEP12の「NO」)、制御部40は、金種が割り当てられていないスタッカが存在するか否かを判定する(図7のSTEP14)。そして、金種が割り当てられていないスタッカが存在する場合には(図7のSTEP14の「YES」)、識別部32により識別された紙幣の金種をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する(図7のSTEP15)。なお、識別部32により識別された紙幣の金種が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられている場合でも、金種が割り当てられているスタッカが満杯であり、かつ金種が割り当てられていないスタッカが存在する場合には、識別部32により識別された紙幣の金種をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する。一方、金種が割り当てられていないスタッカが存在しない場合には(図7のSTEP14の「NO」)、識別部32により識別された紙幣をリジェクト部22に搬送する(図7のSTEP16)。
上述のような図7のSTEP11〜16に示すような動作は、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれるまで行われる(図7のSTEP17の「NO」)。そして、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれると(図7のSTEP17の「YES」)、2回目の計数処理が終了する。なお、上述のような紙幣の2回目の計数処理は、通貨種類の各々について行われる。すなわち、アメリカドルの紙幣、ユーロ紙幣およびトルコリラの紙幣の各々について、図7のフローチャートに示すような紙幣の2回目の計数処理が行われる。
次に、上述のような紙幣の2回目の計数処理について、第1のスタッカ23から取り出されたアメリカドルの紙幣の束を紙幣処理装置10の受入口21に載置した場合の具体例を以下に説明する。
第1のスタッカ23から取り出されたアメリカドルの紙幣の束が紙幣処理装置10の受入口21に載置されると、アメリカドルの紙幣が筐体11内に1枚ずつ取り込まれる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別され、この紙幣の金種が例えば100ドル紙幣であった場合には、初期状態ではどのスタッカ23、24、25にも金種が割り当てられていないため(図7のSTEP12の「NO」およびSTEP14の「YES」)、3つのスタッカのうち例えば第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられる。そして、この100ドル紙幣は第1のスタッカ23に送られる。その後、2枚目以降の100ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられているため(図7のSTEP12の「YES」)、この100ドル紙幣は全て第1のスタッカ23に送られる。
一方、100ドル紙幣以外の金種の紙幣、具体的には例えば20ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられており他のスタッカ24、25には金種が割り当てられていないため(図7のSTEP12の「NO」およびSTEP14の「YES」)、金種が割り当てられていない2つのスタッカのうち例えば第2のスタッカ24に金種として20ドルが割り当てられる。そして、この20ドル紙幣は第2のスタッカ24に送られる。その後、2枚目以降の20ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第2のスタッカ24に金種として20ドルが割り当てられているため(図7のSTEP12の「YES」)、この20ドル紙幣は全て第2のスタッカ24に送られる。
また、第2のスタッカ24に金種として20ドルが割り当てられた後、100ドル紙幣や20ドル以外の金種の紙幣、具体的には例えば10ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1、第2のスタッカ23、24に金種として100ドル、20ドルがそれぞれ割り当てられており第3のスタッカ25には金種が割り当てられていないため(図7のSTEP12の「NO」およびSTEP14の「YES」)、金種が割り当てられていない第3のスタッカ25に金種として10ドルが割り当てられる。そして、この10ドル紙幣は第3のスタッカ25に送られる。その後、2枚目以降の10ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第3のスタッカ25に金種として10ドルが割り当てられているため(図7のSTEP12の「YES」)、この10ドル紙幣は全て第3のスタッカ25に送られる。
なお、紙幣の2回目の計数処理において、識別部32により識別された紙幣において搬送異常等が検出された場合にはこの紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部22に搬送される。また、3つのスタッカ23、24、25に金種として100ドル、20ドル、10ドルがそれぞれ割り当てられた後、識別部32により識別された紙幣の金種が、上述のような100ドル、20ドル、10ドル以外のものである場合には(具体的には、例えば5ドル紙幣である場合には)、この紙幣はリジェクト部22に搬送される(図5参照)。また、アメリカドルの紙幣以外の通貨種類の紙幣が識別部32により識別された場合も、この紙幣はリジェクト部22に搬送される(図5参照)。
図7のフローチャートに示すような紙幣の2回目の計数処理が終了した後、各スタッカ23、24、25に対応する各表示部43、44、45には、対応するスタッカにどの金種の紙幣が集積されているかが表示されるようになる。具体的には、第1の表示部43には「100ドル」と表示され、第2の表示部44には「20ドル」と表示され、第3の表示部45には「10ドル」と表示される。なお、紙幣の2回目の計数処理が終了した後に各表示部43、44、45に各金種が表示される代わりに、図7のSTEP15に示すように各スタッカ23、24、25に紙幣の金種が割り当てられたときに、各表示部43、44、45に金種が表示されるようになっていてもよい。
また、アメリカドルの紙幣について2回目の計数処理が終了した後、操作表示部41のモニタには、各スタッカ23、24、25に集積されたアメリカドルの紙幣の金種別の枚数や合計金額、および/または全金種の合計金額が表示される。そして、操作者が操作表示部41の確定キーを押下すると、アメリカドルの紙幣の入金額が確定されるようになる。
アメリカドルの紙幣に関して2回目の計数処理が終了すると、次に、ユーロ紙幣、トルコリラの紙幣について、上述のようなアメリカドルの紙幣の2回目の計数処理と同様に、2回目の計数処理がそれぞれ行われる。そして、アメリカドルの紙幣、ユーロ紙幣、トルコリラの紙幣の各々について2回目の計数処理を行うと、本実施の形態による紙幣処理装置10の動作が完了する。
なお、図6および図7に示すような紙幣の1回目および2回目の計数処理において、2回目の計数処理における紙幣の計数結果が1回目の計数処理における紙幣の計数結果と一致している場合には、操作者が操作表示部41により手動で紙幣の入金額の確定を行わなくても、制御部40が紙幣の入金額を自動的に確定するようになっていてもよい。この場合は、操作者にとって紙幣の2回目の計数処理の終了後に入金額の確定を手動で行うという手間を省くことができるようになる。
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、紙幣の1回目の計数処理において、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が複数のスタッカ(排出口)23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定し(図6のSTEP2)、割り当てられている場合にはそのスタッカへ当該紙幣を搬送し(図6のSTEP3)、一方、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が複数のスタッカ23、24、25の何れにも割り当てられておらず、かつ通貨種類が割り当てられていないスタッカがあれば(図6のSTEP4の「YES」)、このスタッカに前述の通貨種類を割り当てるとともにそのスタッカへ紙幣を搬送するようになっている(図6のSTEP5)。このような紙幣処理装置10によれば、様々な発行国等により発行された紙幣が受入口21に混合状態で載置された場合において、紙幣の仕分け作業を効率的に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、各スタッカ23、24、25へ振り分けられた紙幣について2回目の計数処理を行う際に、図5に示すように、通貨種類毎に、各スタッカ23、24、25へ紙幣を金種別に分類するようになっている。
なお、本実施の形態による紙幣処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、紙幣の2回目の計数処理は、図7に示すフローチャートによる動作に限定されることはない。他の例として、制御部40は、紙幣の2回目の計数処理を行う際に、各々の通貨種類について、1回目の計数処理における識別部32による紙幣の計数結果において枚数の多い金種の紙幣から順に紙幣の金種を各スタッカ23、24、25に自動的に割り当てるようになっていてもよい。具体的には、紙幣の1回目の計数処理が行われた後、例えば第1のスタッカ23に集積されたアメリカドルの紙幣について、5ドル紙幣、10ドル紙幣、20ドル紙幣、100ドル紙幣の順に集積された枚数が多い場合には、制御部40は、紙幣の2回目の計数処理を行う際に、第1のスタッカ23に紙幣の金種として5ドルを、第2のスタッカ24に紙幣の金種として10ドルを、第3のスタッカ25に紙幣の金種として20ドルをそれぞれ自動的に予め割り当てるようになる。
また、制御部40は、紙幣の1回目の計数処理において、識別部32により最初に識別された紙幣の通貨種類を複数のスタッカに割り当てるようになっていてもよい。具体的には、例えば、紙幣の1回目の計数処理において、識別部32により最初に識別された紙幣の通貨種類がアメリカドルである場合には、制御部40は、第1のスタッカ23および第2のスタッカ24にそれぞれ通貨種類としてアメリカドルを割り当てるようになっていてもよい。この場合、次にユーロ紙幣が識別部32により識別されたときには、第3のスタッカ25に通貨種類としてユーロが割り当てられ、その後、トルコリラの紙幣が識別部32により識別されたときには、このトルコリラの紙幣はリジェクト部22に搬送されるようになる。このような紙幣の計数処理の方法は、とりわけ、紙幣処理装置10により処理されるべき紙幣について、特定の発行国等により発行された紙幣(具体的には、例えばアメリカドルの紙幣)の含まれる割合が大きい場合において、この紙幣に対応するスタッカを増やすことにより、紙幣の仕分け作業をより効率的なものすることができる。
また、上述のような紙幣処理装置10の動作の第1の態様において、紙幣の1回目の計数処理を行う際に、初期状態ではどのスタッカ23、24、25にも通貨種類が割り当てられていないが、紙幣処理装置10の動作の他の態様において、紙幣の1回目の計数処理を行う際に、少なくともいずれか一つのスタッカにおいて特定の通貨種類が予め割り当てられるようになっていてもよい。
以下に示すような紙幣処理装置10の動作の第2の態様においては、予め指定された通貨種類が特定のスタッカに対して予め割り当てられている。具体的には、図8に示すように、第1、第2のスタッカ23、24において通貨種類として例えばアメリカドルがそれぞれ予め割り当てられている。言い換えると、第1、第2のスタッカ23、24の設定は、それぞれ「アメリカドル・金種オート」となっている。一方、第3のスタッカ25には通貨種類が割り当てられていない。言い換えると、第3のスタッカ25の設定は「通貨種類オート」となっている。
次に、図4に示すような複数の紙幣の束について、1回目の計数処理を行う。具体的には、図4に示すような複数の紙幣の束を一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置する。そして、受入口21に載置された紙幣は、1枚ずつ繰出機構21aにより筐体11内に取り込まれるようになる。筐体11内に取り込まれた紙幣は識別部32により識別が行われる(図9のSTEP21)。
本実施の形態の紙幣処理装置10においては、1回目の計数処理において、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が、予め指定された通貨種類(具体的には、アメリカドル)であるか否かを判定するようになっている(図9のSTEP22)。そして、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が、予め指定された通貨種類(アメリカドル)である場合には(図9のSTEP22の「YES」)、制御部40は、識別された紙幣の金種が、予め指定された通貨種類に関するスタッカ(具体的には、第1、第2のスタッカ23、24)に割り当てられているか否かを判定する(図9のSTEP23)。そして、識別部32により識別された紙幣の金種が、予め指定された通貨種類に関するスタッカに割り当てられている場合には(図9のSTEP23の「YES」)、そのスタッカに紙幣を搬送する(図9のSTEP24)。一方、識別部32により識別された紙幣の金種が、予め指定された通貨種類に関するスタッカの何れにも割り当てられていない場合は(図9のSTEP23の「NO」)、制御部40は、予め指定された通貨種類に関するスタッカのうち、金種が割り当てられていないスタッカが存在するか否かを判定する(図9のSTEP25)。そして、金種が割り当てられていないスタッカが存在する場合には(図9のSTEP25の「YES」)、識別部32により識別された紙幣の金種をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する(図9のSTEP26)。一方、予め指定された通貨種類に関するスタッカのうち、金種が割り当てられていないスタッカが存在しない場合には(図9のSTEP25の「NO」)、識別部32により識別された紙幣をリジェクト部22に搬送する(図9のSTEP27)。
また、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が、予め指定された通貨種類(アメリカドル)ではない場合には(図9のSTEP22の「NO」)、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定するようになっている(図9のSTEP28)。そして、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられている場合には(図9のSTEP28の「YES」)、そのスタッカに紙幣を搬送する(図9のSTEP29)。一方、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れにも割り当てられていない場合は(図9のSTEP28の「NO」)、制御部40は、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在するか否かを判定する(図9のSTEP30)。そして、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在する場合には(図9のSTEP30の「YES」)、識別部32により識別された紙幣の通貨種類をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する(図9のSTEP31)。一方、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在しない場合には(図9のSTEP30の「NO」)、識別部32により識別された紙幣をリジェクト部22に搬送する(図9のSTEP32)。
なお、識別部32により識別された紙幣が偽券等の正常な紙幣ではない場合や、識別部32により紙幣を識別することができなかった場合、ならびに紙幣の搬送異常が検出された場合は、この紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部22に搬送されるようになっている。
上述のような図9のSTEP21〜32に示すような動作は、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれるまで行われる(図9のSTEP33の「NO」)。そして、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれると(図9のSTEP33の「YES」)、紙幣の1回目の計数処理が終了する。
次に、図9のフローチャートに示すような紙幣の1回目の計数処理について、図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置された場合の具体例を以下に説明する。
図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置されると、まずアメリカドルの紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別されると、この紙幣の通貨種類は、予め指定された通貨種類(すなわち、第1、第2のスタッカ23、24に予め割り当てられた紙幣の通貨種類)に該当するため(図9のSTEP22の「YES」)、第1、第2のスタッカ23、24のうちいずれか一方のスタッカに、この1枚目のアメリカドルの紙幣の金種が割り当てられる。具体的には、1枚目のアメリカドルの紙幣の金種が例えば100ドル紙幣である場合には、初期状態では第1、第2のスタッカ23、24の何れにも金種が割り当てられていないため(図9のSTEP23の「NO」およびSTEP25の「YES」)、第1、第2のスタッカ23、24のうち例えば第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられる。そして、この100ドル紙幣は第1のスタッカ23に送られる。その後、2枚目以降の100ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられているため(図9のSTEP23の「YES」)、この100ドル紙幣は全て第1のスタッカ23に送られる(図8参照)。
一方、100ドル紙幣以外の金種の紙幣、具体的には例えば20ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第1のスタッカ23に金種として100ドルが割り当てられており第2のスタッカ24には金種が割り当てられていないため(図9のSTEP23の「NO」およびSTEP25の「YES」)、この第2のスタッカ24に金種として20ドルが割り当てられる。そして、この20ドル紙幣は第2のスタッカ24に送られる。その後、2枚目以降の20ドル紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第2のスタッカ24に金種として20ドルが割り当てられているため(図9のSTEP23の「YES」)、この20ドル紙幣は全て第2のスタッカ24に送られる(図8参照)。なお、第1、第2のスタッカ23、24に金種として100ドル、20ドルがそれぞれ割り当てられた後、識別部32により識別された紙幣の金種が、上述のような100ドル、20ドル以外のアメリカドルの紙幣である場合には(具体的には、例えば10ドル紙幣である場合には)、この紙幣はリジェクト部22に搬送される(図9のSTEP27)。
次に、アメリカドルの紙幣に引き続いてユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のユーロ紙幣が識別部32により識別されると、第1、第2のスタッカ23、24に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられており第3のスタッカ25には通貨種類が割り当てられていないため(図9のSTEP28の「NO」およびSTEP30の「YES」)、第3のスタッカ25に通貨種類としてユーロが割り当てられる。そして、1枚目のユーロ紙幣はこの第3のスタッカ25に送られる。その後、2枚目以降のユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第3のスタッカ25に通貨種類としてユーロが割り当てられているため(図9のSTEP28の「YES」)、ユーロ紙幣は全て第3のスタッカ25に送られる。このようにして、第3のスタッカ25にはユーロ紙幣が金種混合状態で集積される(図8参照)。
次に、ユーロ紙幣に引き続いてトルコリラの紙幣が筐体11内に取り込まれるが、各スタッカ23、24、25に通貨種類としてアメリカドルまたはユーロが既に割り当てられているため、トルコリラの紙幣はリジェクト部22に搬送される(図9のSTEP32)。
このようにして、紙幣の1回目の計数処理が終了すると、第1のスタッカ23にはアメリカドルの100ドル紙幣が集積され、第2のスタッカ24にはアメリカドルの20ドル紙幣が集積され、第3のスタッカ25にはユーロ紙幣が金種混合状態で集積されるようになる。一方、リジェクト部22には、リジェクト紙幣に加えて、100ドル、20ドル以外のアメリカドルの紙幣や、アメリカドル、ユーロ以外の通貨種類の紙幣(例えば、トルコリラの紙幣)が集積されるようになる。なお、第3のスタッカ25に集積されたユーロ紙幣については、図7のフローチャートに示すような2回目の計数処理を行ってもよい。
以上のように、図8および図9に示すような紙幣処理装置10の動作の第2の態様においては、予め指定された通貨種類が特定のスタッカに対して予め割り当てられており(具体的には、アメリカドルが第1、第2のスタッカ23、24に対して予め割り当てられており)、予め指定された通貨種類の紙幣が識別部32により最初に識別されたときに、その紙幣の金種が特定のスタッカ(具体的には、例えば第1のスタッカ23)に割り当てられるようになっている。そして、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および金種の両方が複数のスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定し(図9のSTEP22およびSTEP23)、紙幣の通貨種類および金種の両方が割り当てられている場合には(図9のSTEP23の「YES」)、そのスタッカへ当該紙幣を搬送するよう制御を行うようになっている。このような紙幣処理装置10の動作の第2の態様によれば、予め指定された通貨種類の紙幣について、紙幣の1回目の計数処理において通貨種類および金種の両方の仕分けを一度に行うことができるので、紙幣の仕分け作業をより一層効率的に行うことができるようになる。
なお、上述のような紙幣処理装置10の動作の第2の態様においては、図8に示すように、予め指定された通貨種類が複数のスタッカ(具体的には、第1、第2のスタッカ23、24)に対して予め割り当てられるようになっている。
また、上述のような紙幣処理装置10の動作の第2の態様においては、識別部32により識別された紙幣の通貨種類が予め指定された通貨種類ではない場合に(図9のSTEP22の「NO」)、通貨種類が割り当てられていないスタッカがあれば当該スタッカに上述の通貨種類を割り当てるとともにそのスタッカへ当該紙幣を搬送し(図9のSTEP31)、通貨種類が割り当てられている場合にはそのスタッカへ当該紙幣を搬送する(図9のSTEP29)ようになっている。
また、紙幣処理装置10の動作の更に他の態様において、紙幣の1回目の計数処理を行う際に、予め指定された通貨種類の代わりに、予め指定された分類種別が1または複数の特定のスタッカに対して予め割り当てられていてもよい。ここで、分類種別とは、紙幣の正券/損券や、表券/裏券、あるいは紙幣の向き等のことをいう。具体的には、一のスタッカに例えば正券が予め割り当てられるとともに他のスタッカに例えば損券が予め割り当てられる。あるいは、一のスタッカに例えば表券が予め割り当てられるとともに他のスタッカに例えば裏券が予め割り当てられる。
以下に示すような紙幣処理装置10の動作の第3の態様においては、予め指定された分類種別として正券/損券が特定の2つのスタッカに対して予め割り当てられている。具体的には、図10に示すように、第1のスタッカ23に分類種別として正券が予め割り当てられるとともに第2のスタッカ24に分類種別として損券が予め割り当てられている。なお、これらの第1、第2のスタッカ23、24には通貨種類は割り当てられていない。言い換えると、第1、第2のスタッカ23、24の設定は、それぞれ「通貨種類オート・正券」「通貨種類オート・損券」となっている。一方、第3のスタッカ25には通貨種類や分類種別は何ら割り当てられていない。言い換えると、第3のスタッカ25の設定は「通貨種類オート」となっている。
次に、図4に示すような複数の紙幣の束について、1回目の計数処理を行う。具体的には、図4に示すような複数の紙幣の束を一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置する。そして、受入口21に載置された紙幣は、1枚ずつ繰出機構21aにより筐体11内に取り込まれるようになる。筐体11内に取り込まれた紙幣は識別部により識別が行われる(図11のSTEP41)。
本実施の形態の紙幣処理装置10においては、1回目の計数処理において、特定のスタッカ(第1、第2のスタッカ23、24)に通貨種類が割り当てられておらず、かつ識別された紙幣が予め設定された分類種別(正券または損券)である場合には(図11のSTEP42の「YES」)、特定のスタッカ全てに、識別された紙幣の通貨種類を割り当て、特定のスタッカのうち分類種別が一致するスタッカに紙幣を搬送するようになっている(図11のSTEP43)。一方、特定のスタッカ(第1、第2のスタッカ23、24)に通貨種類が既に割り当てられている場合や、特定のスタッカに通貨種類が割り当てられていないが識別された紙幣が予め設定された分類種別ではない場合には(図11のSTEP42の「NO」)、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および分類種別の両方、または紙幣の通貨種類(スタッカに分類種別が割り当てられていない場合)が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられた内容と一致するか否かを判定するようになっている(図11のSTEP44)。そして、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および分類種別の両方、または紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられた内容と一致する場合には(図11のSTEP44の「YES」)、そのスタッカに紙幣を搬送する(図11のSTEP45)。一方、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および分類種別の両方、または紙幣の通貨種類が3つのスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられた内容と一致しない場合は(図11のSTEP44の「NO」)、制御部40は、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在するか否かを判定する(図11のSTEP46)。そして、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在する場合には(図11のSTEP46の「YES」)、識別部32により識別された紙幣の通貨種類をそのスタッカに割り当てるとともに、そのスタッカに当該紙幣を搬送する(図11のSTEP47)。一方、通貨種類が割り当てられていないスタッカが存在しない場合には(図11のSTEP46の「NO」)、識別部32により識別された紙幣をリジェクト部22に搬送する(図11のSTEP48)。
なお、識別部32により識別された紙幣が偽券等の正常な紙幣ではない場合や、識別部32により紙幣を識別することができなかった場合、ならびに紙幣の搬送異常が検出された場合は、この紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部22に搬送されるようになっている。
上述のような図11のSTEP41〜48に示すような動作は、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれるまで行われる(図11のSTEP49の「NO」)。そして、受入口21から筐体11内に紙幣が全て取り込まれると(図11のSTEP49の「YES」)、1回目の計数処理が終了する。
次に、図11のフローチャートに示すような紙幣の1回目の計数処理について、図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置された場合の具体例を以下に説明する。
図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置されると、まずアメリカドルの紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別され、この1枚目のアメリカドルの紙幣が正券であると識別部32により識別されると、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別された時点で特定のスタッカである第1、第2のスタッカ23、24には通貨種類が割り当てられていないので(図11のSTEP42の「YES」)、これらの第1、第2のスタッカ23、24に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられるようになる(図11のSTEP43)。また、識別部32により識別された1枚目のアメリカドルの紙幣は、分類種別として正券が割り当てられている第1のスタッカ23に搬送される。
その後、2枚目以降のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別されると、特定のスタッカである第1、第2のスタッカ23、24に通貨種類が既に割り当てられているため(図11のSTEP42の「NO」)、この識別されたアメリカドルの紙幣が正券である場合には、当該紙幣は分類種別として正券が割り当てられている第1のスタッカ23に搬送され、一方、識別されたアメリカドルの紙幣が損券である場合には、当該紙幣は分類種別として損券が割り当てられている第2のスタッカ24に搬送される(図11のSTEP45)。このようにして、第1、第2のスタッカ23、24には、それぞれアメリカドルの紙幣の正券および損券がそれぞれ金種混合状態で集積されるようになる(図10参照)。
次に、アメリカドルの紙幣に引き続いてユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のユーロ紙幣が識別部32により識別されると、第1および第2のスタッカ23、24に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられており第3のスタッカ25には通貨種類が割り当てられていないため(図11のSTEP44の「NO」およびSTEP46の「YES」)、第3のスタッカ25に通貨種類としてユーロが割り当てられる。そして、1枚目のユーロ紙幣はこの第3のスタッカ25に送られる。そして、2枚目以降のユーロ紙幣が筐体11内に取り込まれ、識別部32により識別されると、第3のスタッカ25に通貨種類としてユーロが割り当てられているため(図11のSTEP44の「YES」)、ユーロ紙幣は全て第3のスタッカ25に送られる。このようにして、第3のスタッカ25にはユーロ紙幣が金種混合状態で集積される(図10参照)。
次に、ユーロ紙幣に引き続いてトルコリラの紙幣が筐体11内に取り込まれるが、各スタッカ23、24、25に通貨種類としてアメリカドルまたはユーロが既に割り当てられているため、トルコリラの紙幣はリジェクト部22に搬送される(図11のSTEP48)。
このようにして、紙幣の1回目の計数処理が終了すると、第1のスタッカ23にはアメリカドルの紙幣の正券が金種混合状態で集積され、第2のスタッカ24にはアメリカドルの紙幣の損券が金種混合状態で集積され、第3のスタッカ25にはユーロ紙幣が金種混合状態で集積されるようになる。一方、リジェクト部22には、リジェクト紙幣に加えて、アメリカドル、ユーロ以外の通貨種類の紙幣(例えば、トルコリラの紙幣)が集積されるようになる。なお、第3のスタッカ25に集積されたユーロ紙幣については、図7のフローチャートに示すような2回目の計数処理を行ってもよい。
以上のように、図10および図11に示すような紙幣処理装置10の動作の第3の態様においては、予め指定された分類種別が特定のスタッカに対して予め割り当てられており、(具体的には、予め指定された分類種別として正券、損券が第1、第2のスタッカ23、24に対してそれぞれ予め割り当てられており)、予め指定された分類種別の紙幣が識別部32により最初に識別されたときに、その紙幣の通貨種類が特定のスタッカ(具体的には、第1、第2のスタッカ23、24)に割り当てられるようになっている。そして、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および分類種別の両方が複数のスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定し(図11のSTEP44)、紙幣の通貨種類および分類種別の両方が割り当てられている場合には(図11のSTEP44の「YES」)、そのスタッカへ当該紙幣を搬送するよう制御を行うようになっている。このような紙幣処理装置10の動作の第3の態様によれば、予め指定された分類種別について、紙幣の1回目の計数処理において通貨種類および分類種別の両方の仕分けを一度に行うことができるので、紙幣の仕分け作業をより一層効率的に行うことができるようになる。
また、上述のような紙幣処理装置10の動作の第3の態様においては、特定のスタッカ(第1、第2のスタッカ23、24)に対して通貨種類(例えば、アメリカドル)が割り当てられた後、他の通貨種類の紙幣(例えば、ユーロ紙幣)が識別部32により識別されたときに、当該他の通貨種類を特定のスタッカ以外のスタッカ(第3のスタッカ25)に割り当てるようになっている。
なお、上述のような紙幣処理装置10の動作の第3の態様においては、制御部40は、識別部32に最初に識別された紙幣の通貨種類を3以上のスタッカに割り当て、このうち2つのスタッカには予め指定された一の分類種別の各々が割り当てられるようになっていてもよい。すなわち、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別されたときに、第1、第2のスタッカ23、24のみならず第3のスタッカ25にも通貨種類としてアメリカドルが割り当てられるようになっていてもよい。この場合には、紙幣処理装置10により処理されるべき紙幣にアメリカドルの紙幣が多く含まれる場合において、第3のスタッカ25を予備のスタッカとして用いることができるようになり、紙幣の処理をより効率的に行うことができるようになる。
また、紙幣処理装置10の動作の更に他の態様において、紙幣の1回目の計数処理を行う際に、3以上の紙幣の正券/損券レベルである分類種別が1または複数の特定のスタッカに対して予め割り当てられていてもよい。ここで、3以上の紙幣の正券/損券レベルとは、例えばATM正券(ATMで用いることができるような、通常の正券よりも新札に近い状態の正券)、通常の正券、および損券のことをいう。具体的には、一のスタッカに例えばATM正券が予め割り当てられるとともに他のスタッカに例えば正券が予め割り当てられており、更に他のスタッカに例えば損券が割り当てられている。
以下に示すような紙幣処理装置10の動作の第4の態様においては、予め指定された分類種別としてATM正券、正券、損券がそれぞれ特定の3つのスタッカに対して予め割り当てられている。具体的には、図12に示すように、第1のスタッカ23に分類種別としてATM正券が予め割り当てられるとともに第2のスタッカ24に分類種別として正券が予め割り当てられており、第3のスタッカ25に分類種別として損券が予め割り当てられている。なお、これらの各スタッカ23、24、25には通貨種類や金種は割り当てられていない。言い換えると、各スタッカ23、24、25の設定は、それぞれ「通貨種類オート・金種オート・ATM正券」「通貨種類オート・金種オート・正券」「通貨種類オート・金種オート・損券」となっている。
紙幣処理装置10の動作の第4の態様においては、図11のフローチャートに示す動作と類似するような動作が行われる。紙幣処理装置10の動作の第4の態様における紙幣の1回目の計数処理について、図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置された場合の具体例を、図11に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
図4に示すような複数の紙幣の束が一括して紙幣処理装置10の受入口21に載置されると、まずアメリカドルの紙幣が筐体11内に取り込まれる。そして、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別され、この1枚目のアメリカドルの紙幣が100ドルのATM正券であると識別部32により識別されると、1枚目のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別された時点で特定のスタッカである各スタッカ23、24、25には通貨種類が割り当てられていないので(図11のSTEP42の「YES」)、これらの各スタッカ23、24、25に通貨種類としてアメリカドルがそれぞれ割り当てられるようになる(図11のSTEP43)。また、紙幣処理装置10の動作の第4の態様では、識別部32により識別された1枚目の紙幣の金種も各スタッカ23、24、25にそれぞれ割り当てられるようになっている。具体的には、各スタッカ23、24、25には金種として1金種目の100ドルが割り当てられる。また、識別部32により識別された1枚目のアメリカドルの紙幣は、分類種別としてATM正券が割り当てられている第1のスタッカ23に搬送される。
その後、2枚目以降のアメリカドルの紙幣が識別部32により識別されると、特定のスタッカである各スタッカ23、24、25に通貨種類が既に割り当てられているため(図11のSTEP42の「NO」)、この識別されたアメリカドルの紙幣が100ドルのATM正券である場合には、当該紙幣は分類種別として100ドルのATM正券が割り当てられている第1のスタッカ23に搬送され、また、識別されたアメリカドルの紙幣が100ドルの正券である場合には、当該紙幣は分類種別として100ドルの正券が割り当てられている第2のスタッカ24に搬送され、また、識別されたアメリカドルの紙幣が100ドルの損券である場合には、当該紙幣は分類種別として100ドルの損券が割り当てられている第3のスタッカ25に搬送される(図11のSTEP45)。このようにして、各スタッカ23、24、25には、それぞれアメリカドルの100ドルの紙幣のATM正券、正券および損券がそれぞれ集積されるようになる(図12参照)。一方、識別部32により識別された紙幣の通貨種類がアメリカドルである場合でも、この紙幣の金種が100ドル以外のものである場合には、当該紙幣はリジェクト部22に搬送される(図12参照)。
次に、アメリカドルの紙幣に引き続いてユーロ紙幣やトルコリラの紙幣が筐体11内に取り込まれる。しかしながら、各スタッカ23、24、25には既に通貨種類としてアメリカドルが割り当てられており、通貨種類が割り当てられていないスタッカは存在しないため(図11のSTEP44の「NO」およびSTEP46の「NO」)、これらのユーロ紙幣やトルコリラの紙幣はリジェクト部22に搬送される(図11のSTEP48)。
このようにして、紙幣の1回目の計数処理が終了すると、第1のスタッカ23にはアメリカドルの100ドル紙幣のATM正券が集積され、第2のスタッカ24にはアメリカドルの100ドル紙幣の正券が集積され、第3のスタッカ25にはアメリカドルの100ドル紙幣の損券が集積されるようになる。一方、リジェクト部22には、リジェクト紙幣に加えて、アメリカドルの2金種目以降の紙幣(すなわち、100ドル以外の金種のアメリカドルの紙幣)、ならびにアメリカドル以外の通貨種類の紙幣(例えば、ユーロ紙幣やトルコリラの紙幣)が集積されるようになる。
以上のように、図12に示すような紙幣処理装置10の動作の第4の態様においては、予め指定された分類種別が特定のスタッカに対して予め割り当てられており(具体的には、予め指定された分類種別としてATM正券、正券、損券が各スタッカ23、24、25に対してそれぞれ予め割り当てられており)、予め指定された分類種別の紙幣が識別部32により最初に識別されたときに、その紙幣の通貨種類が特定のスタッカ(具体的には、各スタッカ23、24、25)に割り当てられるようになっている。そして、制御部40は、識別部32により識別された紙幣の通貨種類および分類種別の両方が複数のスタッカ23、24、25の何れかに割り当てられているか否かを判定し(図11のSTEP44)、紙幣の通貨種類および分類種別の両方が割り当てられている場合には(図11のSTEP44の「YES」)、そのスタッカへ当該紙幣を搬送するよう制御を行うようになっている。このような紙幣処理装置10の動作の第4の態様によれば、予め指定された分類種別について、紙幣の1回目の計数処理において通貨種類および分類種別の両方の仕分けを一度に行うことができるので、紙幣の仕分け作業をより一層効率的に行うことができるようになる。また、紙幣処理装置10の動作の第4の態様によれば、3以上の紙幣の正券/損券レベル(具体的には、例えばATM正券、正券、損券)について、紙幣の分類種別の仕分けを行うことができるようになる。
なお、本発明による貨幣処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、貨幣処理装置として3つのスタッカと1つのリジェクト部とからなるものに限定されるものではなく、スタッカの数が4つ以上であったり、リジェクト部の数が2つ以上であったりしてもよい。この場合、スタッカの数が増えることによって、通貨の種類や分類種別を増やすことができる。また、貨幣処理装置として、紙幣の処理を行う紙幣処理装置の代わりに、硬貨の処理を行う硬貨処理装置を用いてもよい。この場合には、様々な発行国等により発行された硬貨が硬貨処理装置の受入口に混合状態で載置された場合において、本発明の貨幣処理装置の原理を用いることにより、硬貨の仕分け作業を効率的に行うことができる。また、他の変形例として、通貨種類は、貨幣の発行国等により定められるものに加え、バーコードチケットや小切手等の通貨代用媒体の種類を含むようにしてもよい。