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JPH0736019B2 - 新規な抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体によるヒトトロンボモジュリンおよびその分解産物の定量方法 - Google Patents

新規な抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体によるヒトトロンボモジュリンおよびその分解産物の定量方法

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JPH0736019B2
JPH0736019B2 JP1336367A JP33636789A JPH0736019B2 JP H0736019 B2 JPH0736019 B2 JP H0736019B2 JP 1336367 A JP1336367 A JP 1336367A JP 33636789 A JP33636789 A JP 33636789A JP H0736019 B2 JPH0736019 B2 JP H0736019B2
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thrombomodulin
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antibody
human thrombomodulin
human
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永貢子 内島
修嗣 小玉
美佐子 永井
恭子 三河谷
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富士薬品工業株式会社
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔従来分野〕 本発明は、新規なヒトトロンボモジュリンモノクローナ
ル抗体およびそのモノローナル抗体を用いた酵素免疫学
的測定方法に関し、血中に存在するヒトトロンボモジュ
リンおよびその分解産物を定量することによって、血管
内皮障害を診断することに関する。
〔背景技術〕
血管内皮細胞は、血管内腔を一層で覆い、血液と直接に
接している細胞であり、極めて多くの生理活性物質を産
生し、抗血栓性、物質の選択的透過性、血管緊張の維持
などを司っており、血管内皮に障害が加わると、生体の
恒常性が失われ、種々の病的状態が生ずることが明らか
にされてきている(長沢俊彦、第85回 日本医学会シン
ポジウム 予稿集、2(1989))。
動脈硬化の発症は、血管内皮の障害に端を発すると言わ
れている。この動脈硬化に基づく脳や心臓の虚血性疾患
は、欧米における死因の上位を占めており、わが国でも
増加の一途をたどっている。また、糖尿病性腎症、糖尿
病性網膜症といった血管障害に基づく糖尿病の合併症
は、糖尿病患者の余命を左右する大きな因子であると考
えられている。さらに、全身性エリテマトーデス(SL
E)、慢性関節リウマチ、強皮症などの種々の膠原病
は、その原因が未だ明らかにされていないが、それらは
いずれも自己免疫現象などの免疫異常の関与が示唆さ
れ、また、炎症の場が血管結合組織であることから血管
障害を呈することが知られている。
従来、各種の膠原病を診断する手段のひとつとしてリウ
マトイド因子および抗核抗体の存在、ならびに血清補体
価の増減などの免疫異常の有無を調べる方法があるが、
膠原病における血管障害の程度を示すパラメーターは、
現在までのところ報告されていない。
その他、溶血性尿毒症性症候群、妊娠腎、川崎病、腎移
植の拒絶反応制御にシクロスポリンを大量使用したとき
の腎機能障害など、病態形成に血管内皮障害が関与して
いると考えられる疾患は極めて多い。
そこで、血管内皮障害の程度を、簡便かつ定量的に検出
する方法があれば、血管内皮障害が関与していると考え
られている疾患の発症因子、病態形成の機序、予防法、
治療法の探索などに重要な役割を果たすと考えられる。
血管は、血液と直接に接している血管内皮細胞とそれら
を被う筋繊維や結合組織から成っており、上記のことを
解決するために、血管障害に起因する血液に流出した血
管内皮細胞由来成分の測定が、有効と考えられる。しか
し、血管内皮障害は、従来の凝固系の血液検査では、検
出することが不可能であり、また、近年、血管内皮細胞
の培養系を用い、障害モデルを作成する研究や、血管内
皮由来の様々な物質に関する研究が進展し、注目されて
いるが、血管内皮障害の程度を的確に判断するための方
法は、まだ確立されていない。
血管内皮由来の物質の中で、最近特に注目されている物
質として、トロンボモジュリンがあげられる。
血管内皮細胞膜タンパク質であるヒトトロンボモジュリ
ンは、分子量約78,000ダルトンの1本鎖糖タンパク質
で、cDNA構造に基づくと成熟タンパク質は557アミノ酸
から成り、合成直後の未熟タンパク質には18アミノ酸か
ら成るシグナルペプチドが存在する。成熟タンパク質
は、NH2末端側を細胞外に、COOH末端側を細胞質に向け
て配列され、細胞外領域にはNH2末端ドメイン、連続的
な6個の成長因子様構造から成りトロンビンの結合する
部位である上皮成長因子(EGF)様ドメイン、さらに、
糖鎖結合ドメインが存在する。トロンボモジュリンは、
トロンビンと1:1で結合し、トロンビンによるプロテイ
ンCの活性化を2,000倍程度高めるコファクターとして
機能し、プロテインC凝固制御系に関与している。また
トロンボモジュリンは、トロンビンの向凝固作用(フィ
ブリノーゲン凝固活性、血小板活性化、V因子活性化な
ど)を阻害する。従って、トロンボモジュリンは、ヒロ
ンビンの機能を向凝固から抗凝固へと転換する血管内皮
上の重要な凝固制御因子であり、脳以外のほとんど全て
の組織の動脈、静脈、毛細血管、リンパ管の内腔や胎盤
の合胞体栄養細胞表面に存在し、体液の凝固阻止に深く
関与していると考えられている。
トロンボモジュリンは、血中や尿中にも存在することが
明らかにされている(Ishii H.and Majerus P.W.,J.Cli
n.Invest.,76,2178−2181(1985))。血中に存在する
トロンボモジュリンとは、分子量の不均一な血液溶解性
のタンパク質であり、その由来は、血管内皮細胞からの
分泌反応によって遊離したものではなく、血管内皮細胞
の破壊の過程でプロテアーゼによって分解され、血中に
遊離したものと考えられている。従って、血中に存在す
るこれらのトロンボモジュリンおよびその分解産物(以
下、血中トロンボモジュリンと略記する)を定量できれ
ば、その定量値は、血管内皮障害の程度を示す指標とな
り得ることから、感度、精度および簡便性に優れた測定
法の開発が、強く望まれている。
血中トロンボモジュリンを定量する方法としては、従
来、抗トロンボモジュリンポリクローナル抗体を用いる
ラジオイムノアッセイ(IshiiH.and Majerus P.W.,J.Cl
in.Invest.,76,2178−2181(1985))、抗トロンボモジ
ュリンモノクローナル抗体を用いるエンザイムイムノア
ッセイ(石井ら、臨床病理、37、266−271(1989)、Ki
mura S. et al.,J.Biochem.,105,478−483(1989))な
どが報告されているが、測定系によって絶対値が異なっ
ており、また、いずれの測定系においても各測定値を疾
患群別に分けた場合、バラツキが大きく、血管内皮障害
の程度を如実に反映しているとはいえない。
〔発明の開示〕
ラジオイムノアッセイやエンザイムイムノアッセイのよ
うな免疫学的測定法においては、用いる抗体の特異性、
結合部位、安定性等によって、その感度や精度が左右さ
れる。特に血中トロンボモジュリンは、分子量的に均一
なタンパク質でないので、安定したデータを得るために
は、適切な抗体の作成が非常に重要である。そこで本発
明者は、この点を踏まえて種々検討した結果、ヒトトロ
ンボモジュリンの生理活性に影響を及ぼす抗ヒトトロン
ボモジュリンモノクローナル抗体中、トロンビンによる
プロテインCの活性化を促進するトロンボモジュリンの
作用を阻害する作用(以下、プロテインC活性化障害作
用という)を持つ抗ヒトモノクローナル抗体を用いて、
酵素免疫測定を行うことにより、血中トロンボモジュリ
ンのうち、前記モノクローナル抗体と結合する物質を定
量し、その定量値を健常人血中の定量値と比較すること
に基づいて、血管内皮障害を、迅速で、簡便かつ定量的
に診断する方法を提供するとに成功した。
特に、前記の方法に用いるモノクローナル抗体として、
トロンビンのトロンボモジュリンに対する結合を阻害す
る作用(以下、トロンビン結合阻害作用という)を持つ
モノクローナル抗体と、トロンビン結合阻害作用は持た
ないが、プロテインC活性化阻害作用を持つ抗ヒトモノ
クローナル抗体の二種類のモノクローナル抗体を使用し
て、サンドイッチ法に基づく酵素免疫測定を行った場
合、血管内皮障害診断方法として、精度および感度に優
れ、また、患者血中の定量値を経時的に測定することに
より、病態の経過観察に有用であることがみいだされ
た。
本発明は、(A)トロンビンのトロンボモジユリンに対
する結合を阻害する作用を持たず、かつ、トロンビンに
よるプロテインC活性化を促進するトロンボモジユリン
の作用を阻害する作用を持つ抗ヒトトロンボモジユリン
モノクローナル抗体と(B)トロンビンのトロンボモジ
ユリンに対する結合を阻害する作用を持つ抗ヒトトロン
ボモジユリンモノクローナル抗体との異なった2種のモ
ノクローナル抗体を用いて、血中に存在するヒトトロン
ボモジユリンおよびその分解産物をサンドイツチ法に基
づく酵素免疫測定法により定量することを特徴とする血
中のヒトトロンボモジユリンおよびその分解産物の定量
方法を提供するものである。本発明は、プロテインC活
性化阻害作用を持つ抗ヒトトロンボモジュリンモノクロ
ーナル抗体を用いて、酵素免疫測定を行うことにより、
血中トロンボモジュリンのうち、前記のモノクローナル
抗体と結合する物質を定量し、その定量値を、健常人血
中の定量値と比較することに基づいて、血管内皮障害を
診断する方法を提供するものであり、さらに、前記の方
法に用いるモノクローナル抗体として、二種類のモノク
ローナル抗体を使用し、その一種類が、トロンビン結合
阻害作用を持つ抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナ
ル抗体であり、他の一種類が、トロンビン結合阻害作用
は持たないが、プロテインC活性化阻害作用を持つ抗ヒ
トトロンボモジュリンモノクローナル抗体である血管内
皮障害を診断する方を、提供するものである。
以下に本発明の実施例をあげ、本発明をさらに詳細に説
明する。尚、本実施例はひとつの例示であって、例え
ば、酵素免疫測定法としては、第一抗体固相法、二抗体
法、エミット法(Enzyme multiplied immunoassay tech
nique;EMIT)、エンザイムチャンネリングイムノアッセ
イ法、酵素活性修飾物質標識イムノアッセイ法およびリ
ポゾーム膜−酵素イムノアッセイ法などの競合法や、サ
ンドイッチ法、イムノエンザイムメトリックアッセイ
法、酵素活性増強イムノアッセイ法およびプロキシマー
ルリンケージイムノアッセイ法などの非競合法などがあ
り、任意に選択、使用できる。
さらに、上記の測定法においては、固相担体として、抗
原や抗体を受動的に良く吸着するポリスチレン製、ポリ
カーボネイト製、ポリプロピレン製、あるいはポリビニ
ール製のボール、マイクロプレート、スティック、試験
管などの種々の材料および使用形態を適宜、使用でき
る。
また、標識用酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカ
リフォスファターゼあるいはβ−D−ガラクトシダーゼ
などがあり、また、それらの酵素活性の測定方法として
は、比色法、螢光法、生物発光法あるいは光学発光法な
どがあり、これらの酵素および酵素活性測定法を、適宜
組み合わせて用いることができる。一方、酵素標識を付
与する抗体としては、抗体含有物を硫安分画した後、DE
AE−セファセルのごとき陰イオン交換ゲルにより精製し
たIgG分画、さらには、ペプシン消化後、還元して得ら
れる特異的結合部分Fab′を用いることもできる。
また、測定対象試料としては、血清、血漿等、いずれも
使用することができる。
実施例1 抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体の作製 (a)抗原−ヒトトロンボモジュリンの調製 ヒト胎盤を材料として、J.Biol.Chem.,259,12246−1225
1(1984)に記載のSalemらの方法に従って、界面活性剤
を用いてヒトトロンボモジュリンを抽出および可溶化し
た。
次に、Biochim.Biophys.Acta,882,343−352(1986)に
記載のSuzukiらのウシ肺からトロンボモジュリンを精製
する方法と同様に、アフィニティ−クロマトグラフィ−
およびゲル過法を用いて、このトロンボモジュリンを含
有する溶液からトロンボモジュリンを精製した。すなわ
ち、ジイソプロピルフルオロリン酸により不活化したト
ロンビンをアガロースに固相化したDIP−トロンビン−
アガロースを用いてアフィニティ−クロマトグラフィー
を2回行った後、ウルトロゲルAcA44カラム(LKB)を用
いたゲルろ過を行い単離、精製した。
精製したヒトトロンボモジュリンは、J.Cell.Biol.,17,
835−851(1975)に記載のBlobell&Dobbersteinの方法
に従い、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて調べたところ、
非還元状態では、分子量約78,000ダルトンの1本のバン
ドを示し、還元状態では、105,000ダルトンの単一なバ
ンドを示した。
(b)抗体産生細胞の調製 6週令のBalb/c雌マスウ2匹をまずフロインド完全アジ
ュバンド中で、前記(a)で精製したヒトトロンボモジ
ュリンで初回免疫した。すなわち、それぞれのマウスに
50μgのヒトトロンボモジュリンを0.5mlの溶液として
腹腔内投与した。その後、15日目に62.5mM塩化ナトリウ
ムおよび0.031%ルブロール含有12.5mMトリス−塩酸緩
衝液(pH7.5)に溶解した50μgにヒトトロンボモジュ
リンを追加免疫した。さらに、最終免疫として、49日目
に、腹腔内投与(50μg/450μl;100mM塩化ナトリウムお
よび0.05%ルブロール含有20mMトリス−塩酸緩衝液,pH
7.5に溶解)により補助免疫し、3日後にマウス脾臓を
取り出し、脾細胞を調製した。
(c)細胞融合 (1)以下の材料および方法を用いた。
RPMI1640培地:RPMI No.1640(Flow Lab.,Inc.)に、重
炭酸ナトリウム(24mM)、ピルビン酸ナトリウム(1m
M)、ペニシリンGカリウム(50U/ml)、硫酸ストレプ
トマイシン(50μg/ml)および硫酸アミカシン(100μg
/ml)を加え、ドライアイスでpHを7.2に調整し、0.2μ
m東洋メンブレンフィルターで除菌ろ過した。
NS−1培地:上記RPMI1640培地に除菌ろ過した仔牛胎児
血清(M.A.Bioproducts)を、15%(v/v)の濃度に加え
た。
PEG4,000溶液:RPMI1640培地のポリエリレングリコール
4,000(PEG4,000、Merck&Co.,Inc.)50%(w/w)無血
清溶液を調製した。
8−アザグアニン耐性ミエローマ細胞NS−1(P3−NS1
−1)との融合は、Seleced Methodin Cellular Immuno
logy(ed.B.B.Mishell and S.M.Shiigi)、W.H.Freeman
and Company(1980)、351−372に記載のoiらの方法を
若干改変して行った。
(2)前記(b)で調製した有核脾細胞(生細胞率100
%)とミエローマ細胞(生細胞率100%)とを5:1の割合
で融合した。脾臓細胞とミエローマ細胞とを別に前記の
RPMI1640培地で洗浄した。次に同じ培地に懸濁し、融合
させるため上記の割合で混合した。容量50mlの円錐形ス
チロール樹脂製試験管(Iwaki Glass)を用いて、40ml
のRPMI1640培地中、400×g、10分間遠心分離し、上清
を完全に吸出した。沈殿細胞に、37℃加温PEG4,000溶液
2.1mlを穏やかに撹拌しながら1分間で滴下し、さらに
1分間撹拌し、細胞を再懸濁、分散させる。次に、37℃
加温RPMI1640培地2.1mlを1分間で滴下した。この操作
をさらに1回繰り返した後、同培地14.7mlを2〜3分間
で常に撹拌しながら滴下し、細胞を分散させた。これを
400×g、10分間遠心分離し、上清を完全に吸引除去し
た。
次にこの沈殿細胞に、37℃加温NS−1培地21mlをすみや
かに加え、細胞の大きい塊を、10mlのピペットを用いて
注意深くピペッティングして分散した。さらに同培地42
mlを加えて希釈し、ポリスチレン製96穴マイクロウエル
(Iwaki Glass)に、1ウエル当たり、6.0×105個/0.1m
lの細胞を加えた。なお、この時使用した96穴マイクロ
ウエルは、前処理として0.2mのNS−1培地を加え、炭酸
ガス培養器中(37℃)で一晩保温し、使用時に培地を吸
引除去した。細胞を加えた上記のマイクロウエルを7%
炭酸ガス/93%空気中で温度37℃、湿度100%下に培養に
付した。
(d)選択培地によるハイブリドーマの選択的増殖 (1)使用した培地は下記のとおりである。HAT培地:
前記(c)で述べたNS−1培地にさらにヒポキサンチン
(100μM)、アミノプテリン(0.4μM)およびチミジ
ン(16μM)を加えた。
HT培地:アミノプテンを除去した以外は、上記HAT培地
と同一組成のものである。
(2)前記(c)の培養開始後翌日(1日目)、細胞に
パスツールピペットでHAT培地2滴(約0.1ml)を加え
た。2、3、5、8、11日目に培地の半分(0.1ml)新
しいHAT培地で置き換え、14日目に培地の半分を新しいH
T培地で置き換えた。以降3〜4日毎に培地の半分を新
しいHT培地で置き換えた。通常2〜3週間で充分なハイ
ブリドーマの生育が観察される。ハイブリドーマ生育ウ
エルについて、次項(e)に記載の固相−抗体結合テス
ト(ELISA)法により陽性ウエルをチェックした。次に
フィーダーとして10′個のマウス胸腺細胞を含むHT培地
1mlをポリスチレン製24セルウエル(Iwaki Glass)に加
えたものを用い、上記で検出された各陽性ハイブリドー
マの全内容物を移した。これを、前記(c)におけると
同様に7%炭酸ガス存在下、37℃で約1週間培養に付し
た。その間1〜2回、各ウエルの上清0.5mlを新しいHT
培地0.5mlと交換した。ハイブリドーマの充分生育した
時点でELISA法により陽性を再確認し、それぞれについ
て、後記(f)項に記載の限界希釈法によるクローニン
グを行った。なお、クローニングに使用後の残液を、ポ
リスチレン製25cm2組織培養フラスコ(Iwaki Glass)に
移し、凍結保存用試料を調製した。
(e)固相−抗体結合テスト(ELISA)による抗ヒトト
ロンボモジュリン抗体産生ハイブリドーマの検索 Anal.Biochem.104,205−214(1980)に記載のRennardら
の方法を若干改変した方法を用いた。この方法は、ハイ
ブリドーマ抗体の検出に適している。96穴ミクロタイト
レーションプレート(Flow Lab.,Inc.)を50ngのヒトト
ロンボモジュリンでコートし、次に、未コート部分を1
%牛血清アルブミン(BSA)でブロックした。これに前
記(d)で得られたハイブリドーマ生育ウエルの上清の
一部を加えて室温で約1時間インキュベートした。2次
抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウ
スイムノグロブリン(Cappel Lab.)を加え、さらに室
温で約1時間インキュベートした。次に基質である過酸
化水素とo−フェニレンジアミンを加え、生成した褐色
の程度を肉眼で定性的に判定するか、あるいはマイクロ
プレートリーダー(MPR−A4、東ソー株式会社)を用い
て492nmの吸光度を測定した。
(f)クローニング 前記(d)の操作後、各ウエル中には2種以上のハイブ
リドーマが生育している可能性があるので、限界希釈法
によりクローニングを行い、モノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマを取得した。NS−1培地1ml当たりフィー
ダーとして107個のマウス胸腺細胞を含むクローニング
培地を調製し、96穴マイクロウエルの36ウエル、36ウエ
ルおよび24ウエルにウエル当たり5個、1個および0.5
個のハイブリドーマを加えた。5日目、12日目に全ウエ
ルに各々約0.1mlのNS−1培地を追加した。クローニン
グ開始後14〜15日で充分なハイブリドーマの生育が認め
られ、コロニー形成陰性ウエルが50%以上である群につ
いてELISAを行った。テストした全ウエルが陽性でない
場合、抗体陽性ウエル中のコロニー数を確認し、ウエル
中に1コロニーが確認されたウエルを4〜6個選び再ク
ローニングした。最終的にヒトトロンボモジュリンに対
するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ6株が得ら
れた。
(g)モノクローナル抗体の生体外増殖および生体内増
殖 モノクローナル抗体の増殖は、常法に従った。すなわ
ち、得られた各ハイブリドーマをNS−1培地などの適当
な培養液で培養(生体外増殖)し、その培養上清から10
〜100μg/mlの濃度のモノクローナル抗体を得ることが
できた。一方、大量に抗体を得るために、脾細胞とミエ
ローマ細胞の由来動物と同系の動物(Balb/cマウス)
に、1匹当たり0.5mlの腫瘍形成促進剤プリスタン(2,
6,10,14−テトラメチルペンタデカン、Aldrich Chemica
l)を腹腔内投与した。1〜3週間後に、各ハイブリド
ーマ1×107個を同じく腹腔内投与し、さらにその1〜
2週間後に生体内で生産された4〜7mg/mlのモクローナ
ル抗体を含む腹水を得ることができた。
(h)モノクローナル抗体のアイソタイプ 前述したELISA法に従って、ヒトトロンボモジュリンを
コートしたミクロタイトレーションプレートに前記
(g)で得られた各々の腹水を加えた。0.15M塩化ナト
リウム含有リン酸緩衝液(pH7.1)(PBS)により洗浄し
た後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIgG抗体(Zym
ed Lab.Inc.)を加えた。PBSによる洗浄後、西洋わさび
ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体
を加え、基質として、過酸化水素および2,2′−アジノ
ージ(3−エチルベンゾチアゾリン硫酸)を用いて検出
した。その結果をまとめて後掲の第1表に示した。得ら
れた抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体のう
ち、5個が免疫グロブリン鎖γ1/κを、また、1個がγ
2a/κを有していた。
(i)モノクローナル抗体の精製 前記(g)で得られた各腹水を、アフィゲルプロテイン
A MAPS−IIキット(Bio−Rad)を用いて精製した。
(j)ヒトトロンボモジュリンに対するモノクローナル
抗体の親和定数 前記(i)で得られた各モノクローナル抗体のヒトトロ
ンボモジュリンに対する親和定数を、5mMCaCl2存在下に
おいて、ELISA法を用いて求めた。すなわち、先述のELI
SA法に従って、ミクロタイトレーションプレートにヒト
トロンボモジュリンをコートし、1%BSAでブロックし
た。次に、前記(i)で得られた各モノクローナル抗体
を、5mMCaCl2含有の緩衝液に溶解し、500ng/mlに調製し
たものを段階希釈し、その各々100μlを前記で調製し
たミクロタイトレーションプレートの各ウエルに添加
し、室温で約1時間インキュベートした。以下、二次抗
体反応と発色反応を、前記(e)のELISA法に従って行
い、得られた測定値から常法に従って親和定数(Kd)を
求めた。その結果を、第2表に示した。
実施例2 血中トロンボモジュリンの定量に用いる抗体の選択 (a)プロテインC活性化阻害作用の検討 トロンボモジュリン溶液と、抗体溶液を混和した溶液
を、各々調製し、これらを、プロテインC活性測定に用
いることにより、トロンボモジュリンのプロテインC活
性化促進作用に対する各モノクローナル抗体の影響を検
討した。
すなわち、J.Biol.Chem.,262,2206−2212,(1987)に記
載のKurosawaらの方法に従って、エラスターゼ処理によ
って、分子量50,000のトロンボモジュリン フラグメン
ト(エラスターゼ フラグメント)を調製した。このエ
ラスターゼ フラグメントは、トロンボモジュリンのプ
ロテインC活性化促進作用を有し、水に可溶性である。
このエラスターゼ フラグメントを、0.1Mリン酸緩衝液
(pH7.5)に溶解した(500ng/ml)。このエラスターゼ
フラグメント溶液と、実施例1(j)で調製した各モ
ノクローナル抗体の緩衝溶液(0〜12μg/ml)を用い
て、トロンボモジュリンに対する抗体のモル比が、0,1/
4,1/2,1/1,2/1および4/1となるように、それぞれに混合
液を調製した。この混合溶液を10mlずつ用いて、臨床病
理,61(特集),63(1985)に記載の鈴木らの方法に従っ
て、プロテインC(活性測定を行った。その結果、1gG
(クローン21−3H1)、IgG(クローン 21−4G3)、IgG
(クローン 21−6F7)およびIgG(クローン 21−9H1
2)が、トロンボモジュリンのプロテインC活性化促進
作用を、低下させることが分かった(第3表)。
(b)トロンビン結合阻害作用の検討 固相化したトロンボモジュリン フラグメントを抗体溶
液で処理した後、トロンビンを作用させることにより、
トロンビンのトロンボモジュリンに対する結合における
各モノクローナル抗体の影響を検討した。
すなわち、実施例2(a)で調製したエラスターゼ フ
ラグメント溶液(500ng/ml)で、96 ウエルミクロタイ
トレーションプレート(Flow L−ab.Inc.)をコートし
た後、未コート部分を1%BSAでブロックした。次に実
施例1(i)で得られた各モノクローナル抗体の濃度が
0,0.25,0.5,1,2および10μg/mlとなるように調製したリ
ン酸緩衝溶液(pH7.5)50μlを、それぞれ、コートし
たプレートの各ウエルに加え、37℃で6時間反応させ
た。次に、抗体溶液を除去し、プレートを、0.1%BSA含
有トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で2回洗浄した後、ト
ロンビン溶液(500ng/ml生理食塩水)50μlをプレート
の各ウエルに加え、37℃で30分間反応させた。トロンビ
ン溶液を除去し、0.1%BSA含有トリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)で2回洗浄した後、発色性合成基質を用いるトロ
ンビン測定法(櫻川信男,Medical Technology,13,704−
713(1985))により、トロンビン活性を測定した。
すなわち、Kabi社製の試薬により調製した基質−ポリブ
レン溶液(S−2238:0.8mM)を、プレートの各ウエルに
100μlずつ加え、37℃で5分間反応させた後、50%酢
酸溶液50μlを加えて反応を停止させた。反応停止後、
前記マイクロプレート リーダーを用いて、405nmの吸
光度を測定した。この吸光度は、プレートにコートされ
たトロンボモジュリンのエラスターゼ フラグメントに
結合したトロンビンの量に比例している。この測定結果
より、IgG(クローン 21−3H1)とIgG(クローン 21
−4G3)は、トロンビンのトロンボモジュリンに対する
結合を強く阻害することが認められた(第3表)。
(a)および(b)の結果から、IgG(クローン21−3H
1)、IgG(クローン 21−4G3)、IgG(クローン 21−
6F7)およびIgG(クローン 21−9H12)は、ヒトトロン
ボモジュリンの生理活性に影響を及ぼす抗ヒトトロンボ
モジュリンモノクローナル抗体であり、プロテインC活
性化阻害作用を持つことがわかった。さらに、IgG(ク
ローン 21−3H1)およびIgG(クローン 21−4G3)
は、強いトロンビン結合阻害作用を持つことがわかっ
た。また、トロンボモジュリンのエラスターゼ フラグ
メントに対するこれらのモノクローナル抗体の結合性
を、イムノブロッティング法を用いて調べた結果、IgG
(クローン 21−3H1)、IgG(クローン21−4G3)、IgG
(クローン21−6F7)およびIgG(クローン21−9H12)
は、いずれも、このエラスターゼフラグメントに対する
結合性を持っていることがわかった。
実施例3 ヒト血中トロンボモジュリンの定量 (a)酵素標識モノクローナル抗体の調製 (1)Fab′画分の調製 実施例1(i)で得られた各精製モノクローナル抗体
(IgG)を0.1M塩化ナトリウム含有0.1M酢酸緩衝液(pH
4.2)に溶解し、その溶液を以下述べるようにしてペプ
シンで消化した。すなわち、前記画分中のIgGに対して
2%(w/w)のペプシンを加え、37℃、24時間消化し
た。さらにその消化物に、2Mトリス溶液を加えてpHを7.
0に調整することによって反応を停止せしめ、0.1Mリン
酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したウルトロゲルAcA 44カ
ラムを用いたゲルろ過により、F(ab′)2画分を分取
した。
次に、このF(ab′)2画分を5mMエチレンジアミン四酢
酸(EDTA)含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)中で透析
し、最終濃度10mMとなるようにアミノエタンチオール
(MEA)を加え37℃で1.5時間還元した後、5mM EDTA含有
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した、ウルトロゲ
ルAcA 44カラムを用いてゲルろ過し、Fab′画分を分取
した。
(2)マレイミド標識西洋わさびペルオキシダーゼ(PO
D)画分の調製 上記(1)の操作とは別に、以下に述べるようにしてPO
Dにマレイミドを標識した。すなわち、PODを10mg/mlの
濃度で、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、そのPOD
に対して、25倍モル量のN−(ε−マレイミドカプロイ
ルオキシ)コハク酸イミド(EMCS)をジメチルホルムア
ミド溶液として加え、30℃、30分間反応させた。これを
0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデック
ス G−50カラムでゲルろ過し、マレイミド標識POD画
分を分取した。
(3)Fab′−POD複合体画分の調製 前記(1)で調製した画分中のFab′に対して、上記
(2)で得られた画分中のマレイミド標識PODとして等
モルになるように両画分を混合し、さらにFab′および
マレイミド標識PODの最終濃度が100μMとなるように、
5mM EDTA含有0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)で希釈した。
この混合液を4℃、20時間反応後、Fab′の10倍モル量
のN−エチルマレイミドで未反応のチオール基をブロッ
クした。これを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化し
たウルトロゲルAcA 44カラムを用いてゲルろ過し、Fa
b′−POD複合体画分を分取後、0.1%BSAおよび0.001%
クロルヘキシジンを添加し、4℃で保存した。
(b)1段階サンドイッチ法によるヒト血中トロンボモ
ジュリンの定量 ヒトトロンボモジュリンの生理活性に影響を及ぼす抗ヒ
トトロンボモジュリンモノクローナル抗体のうち、プロ
テインC活性化阻害作用を持つモノクローナル抗体と、
トロンビン結合阻害作用を持つモノクローナル抗体との
組み合わせを用いて行った。
すなわち、J.Immunoassay,4,209−327(1983)に記載の
石川らの方法に従って、実施例1(i)で得られた精製
モノクローナル抗体を、それぞれ0.1%アジ化ナトリウ
ム含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解して、その濃
度を0.1mg/mlに調整した。この抗体溶液に、固相担体と
してのポリスチレンボール(径6.5mm,Percision Plasti
c Ball)を浸漬し、ポリスチレンボールに抗体をコート
した。次に、抗体浸漬液を回収し、ポリスチレンボール
を0.1%BSA、0.1M塩化ナトリウムおよび0.001%クロル
ヘキシジン含有10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、
4℃にて保存した。
標識試料として、抗ヒトトロンボモジュリンモノクロー
ナル抗体(クローン21−4G3)結合セファロース 4Bカ
ラム(以下、抗TM抗体カラムという)によるアフィニテ
ィ−クロマトグラフィーを用いて、ヒト胎盤から精製し
たトロンボモジュリンを用いた。すなわち、実施例1
(i)で得られた抗ヒトトロンボモジュリンモノクロー
ナル抗体(クローン 21−4G3)を、CNBr活性化セファ
ロース 4B(ファルマシア)1ml当たり、5mgの割合で固
定化した。これをカラム(1×5cm)に充填し、抗TM抗
体カラムを得た。一方、実施例1(a)の方法にしたが
って、界面活性剤を用いてヒトトロンボモジュリンを抽
出および可溶化した後、この溶液を0.5%Triton−Xを
含む0.1M塩化ナトリウム含有20mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)(TBS)で平衡化した抗TM抗体カラムにかけ、0.5
%Triton−X含有TBSで、非結合タンパク質を充分に洗
浄除去後、カラムに結合したヒトトロンボモジュリンを
8M尿素溶液で溶出した。この溶出液を集め、0.01%ルブ
ロール含有TBSで平衡化したウルトロゲルAcA 44カラム
(1.5×100cm;168ml)を用いてゲルろ過し、A280におけ
る吸光度が高いフラクションを分取し、濃縮してヒトト
ロンボモジュリンを精製した。この精製ヒトトロンボモ
ジュリンは、実施例1(a)に記したSDS−PAGEで調べ
たところ、実施例1(a)で得られた精製ヒトトロンボ
モジュリンと同様の泳動パターンを示した。この精製ヒ
トトロンボモジュリンを、0.1M塩化ナトリウムおよび1
%BSA含有10mMトリス緩衝液(pH7.0)を用いて、64ng/m
lの溶液を調製し、これを段階希釈した溶液を各々50μ
lずつとり、標準試料とした。
一方、検体試料としては、健常人血清および膠原病患者
血清を各々50μl用いた。
上記の試料をそれぞれ試験管にとり、(a)で調製した
Fab′−POD複合体画分(300〜1000ng/ml)、1%BSA、
0.1M塩化ナトリウムおよび10mMEDTA含有30mMリン酸緩衝
液(pH7.0)300μlに溶解した。次にこれらの各々の試
験管に、前記にて調製したモノクローナル抗体結合ポリ
スチレンボールを1個ずつ添加して、室温で1時間静置
した後、50mM塩化ナトリウム含有5mMリン酸緩衝液(pH
7.0)にて洗浄した。次に、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に
溶解したPOD基質、すなわち、0.025%テトラメチルベン
チジン(TMBZ)を300μlずつ加え、さらに0.0075%過
酸化水素水を300μlずつ加え、室温で30分間静置した
後、1.75N硫酸800μlを添加することにより反応を停止
させた。島津マイクロフロー紫外可視分光光度計(UV−
730)で反応混合液の波長450nmの吸光度を測定し、標準
試料より作成した検量線より、検体試料の吸光度に相当
するヒトトロンボモジュリン濃度(以下、TM濃度と略
す)を読み取った。
ヒトトロンボモジュリンの生理活性に影響をおよぼす抗
ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体であるIgG
(クローン21−3H1)、IgG(クローン21−4G3)、IgG
(クローン21−6F7)およびIgG(クローン21−9H12)
は、いずれも本実施例における固相担体として用いるこ
とができた。ただし、IgG(クローン21−3H1)を固相用
抗体とし、IgG(クローン21−4G3)を標識用抗体として
用いた場合、およびIgG(クローン21−4G3)を固相用抗
体とし、IgG(クローン21−3H1)を標識用抗体として用
いた場合は、測定が不可能であった。IgG(クローン21
−4G3)を固相用抗体とし、IgG(クローン21−9H12)を
標識用抗体として用いて得られた標準曲線を第1図に示
す。第1図に示すように、ヒトトロンボモジュリン標準
試料の濃度の上昇に伴って、A450は増加し、定量感度
は、試料1ml当たり1ngであった。
(c)膠原病患者における血中トロンボモジュリンの定
量 上記(b)において示した酵素免疫測定法により、健常
人および5種類の膠原病患者における血中トロンボモジ
ュリンを定量した。すなわち、検体試料として健常人血
清(79検体)および膠原病患者血清(54検体)を各々50
μlずつ用いて、TM濃度を測定した。その結果、第4表
の1〜3にみられるように、健常人血清中のTM濃度(平
均±S.D.)は、2.96±0.71ng/mlであった。一方、膠原
病患者では、SLE患者血清26検体中、混合性結合織病患
者血清5検体中、慢性関節リウマチ患者血清9検体中、
進行性全身性硬化症患者血清5検体中およびシェグレン
症候群患者血清9検体中のTM濃度(平均±S.D.)はそれ
ぞれ6.98±4.55ng/ml、5.98±3.53ng/ml、7.86±4.95ng
/ml、6.04±4.63ng/ml、7.57±6.14ng/mlであった。こ
れらの値はいずれも、健常人血清中のTM濃度(2.96±0.
71ng/ml)に比し有意に高かった。
次に、膠原病患者の病態経過におけるTM濃度の変動を上
記(b)において示した酵素免疫測定法を用いて観察し
た結果の一例を第2図に示す。なお、第2図に示された
患者は、SLE患者であり、従来よりこの病態の経過観察
に用いられている、免疫異常を代表する血清中の補体価
(補体第3成分のペプチド断片:C3cおよび補体第4成
分:C4)の測定を同時に行った。第2図中の(○)はTM
濃度を、(△)はC3c量を、また、(□)は、C4量を示
す。図2にみられるように、患者血清中のTM濃度と患者
血清中の補体価を示すC3c量やC4量との間には、逆相関
性が認められた。ここに示されたように、膠原病患者の
治療における病態観察においては、従来より用いられて
きた免疫異常を示すパラメーターの他に、血中トロンボ
モジュリンを定量することによって、病変の場である血
管の障害の程度を知ることができ、治療効果の向上をも
たらすことが期待される。
(d)腎臓病患者における血中トロンボモジュリンの定
量 前記(b)において示した酵素免疫測定法を用いて、4
種類の腎臓病患者における血中トロンボモジュリンを定
量した。すなわち、検体試料として腎臓病患者血清(34
検体)を各々50μlずつ用いてTM濃度を測定し、上記
(c)で得られた健常人血清中のTM濃度と比較した。そ
の結果、第4表の1および第5表に示すように、健常人
血清中のTM濃度2.96±0.71ng/ml(平均±S.D.)に比
し、腎臓病患者においては、糖尿病性腎症患者血清10検
体中、膜性腎症患者血清11検体中、ネフローゼ症候群患
者血清10検体中およびアミロイドーシス患者血清3検体
中のTM濃度(平均±S.D.)は、それぞれ7.06±7.19ng/m
l、6.37±2.39ng/ml、9.24±5.39ng/ml、8.83±1.17ng/
mlと、有意に高かった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例3(b)で得られた標準曲線、すなわ
ち、IgG(クローン21−4G3)を固相用抗体とし、IgG
(クローン21−9H12)を標識用抗体として用いた1段階
サンドイッチ法における、ヒトトロンボモジュリンの標
準曲線を示す図であり、第2図は、実施例3(c)で得
られた膠原病患者の病態経過における血清中のTM濃度お
よび補体価の変動の一例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 美佐子 富山県高岡市神田新町40番地 雇用促進住 宅1棟206号 (72)発明者 三河谷 恭子 東京都杉並区高井戸1丁目29番10号 (56)参考文献 特開 昭64−47391(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)トロンビンのトロンボモジユリンに
    対する結合を阻害する作用を持たず、かつ、トロンビン
    によるプロテインC活性化を促進するトロンボモジユリ
    ンの作用を阻害する作用を持つ抗ヒトトロンボモジユリ
    ンモノクローナル抗体と(B)トロンビンのトロンボモ
    ジユリンに対する結合を阻害する作用を持つ抗ヒトトロ
    ンボモジユリンモノクローナル抗体との異なった2種の
    モノクローナル抗体を用いて、血中に存在するヒトトロ
    ンボモジユリンおよびその分解産物をサンドイツチ法に
    基づく酵素免疫測定法により定量することを特徴とする
    血中のヒトトロンボモジユリンおよびその分解産物の定
    量方法。
JP1336367A 1989-12-27 1989-12-27 新規な抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル抗体によるヒトトロンボモジュリンおよびその分解産物の定量方法 Expired - Fee Related JPH0736019B2 (ja)

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