JPH0730159A - ジョセフソン接合素子およびその作製方法 - Google Patents
ジョセフソン接合素子およびその作製方法Info
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- JPH0730159A JPH0730159A JP5197945A JP19794593A JPH0730159A JP H0730159 A JPH0730159 A JP H0730159A JP 5197945 A JP5197945 A JP 5197945A JP 19794593 A JP19794593 A JP 19794593A JP H0730159 A JPH0730159 A JP H0730159A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 基板成膜面の加工された部分の影響を受け
ず、また、安価な成膜用基板が使用できる段差型ジョセ
フソン接合素子の製作方法を提供する。 【構成】 成膜面の一部に段差23を有する基板2の成膜
面上に配置された酸化物超電導体と結晶の格子定数が近
い材料の層3と、層3上に配置された酸化物超電導薄膜
1を有するジョセフソン接合素子。酸化物超電導薄膜1
の層3の段差33上の部分13は、その部分だけ結晶方向が
異なるので、層3の水平面31上の部分11および層3の水
平面32上の部分12との間にそれぞれ結晶粒界51および52
が形成され、ジョセフソン接合を構成している。
ず、また、安価な成膜用基板が使用できる段差型ジョセ
フソン接合素子の製作方法を提供する。 【構成】 成膜面の一部に段差23を有する基板2の成膜
面上に配置された酸化物超電導体と結晶の格子定数が近
い材料の層3と、層3上に配置された酸化物超電導薄膜
1を有するジョセフソン接合素子。酸化物超電導薄膜1
の層3の段差33上の部分13は、その部分だけ結晶方向が
異なるので、層3の水平面31上の部分11および層3の水
平面32上の部分12との間にそれぞれ結晶粒界51および52
が形成され、ジョセフソン接合を構成している。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジョセフソン接合素子
およびその作製方法に関する。より詳細には、酸化物超
電導薄膜を使用した、いわゆる段差型のジョセフソン接
合素子の改良および改良された作製方法に関する。
およびその作製方法に関する。より詳細には、酸化物超
電導薄膜を使用した、いわゆる段差型のジョセフソン接
合素子の改良および改良された作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、従来の金属系超電導
体に比較して臨界温度が高く、実用性がより高いと考え
られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電導体
の臨界温度は80K以上であり、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸
化物超電導体およびTl−Ba−Ca−Cu−O系酸化物超電導
体の臨界温度は 100K以上と発表されている。また、酸
化物超電導体は、超電導特性以外にも金属系超電導体に
ない性質を有するので、その性質を利用して微細な加工
を行わずに超電導素子を作製することが研究されてい
る。
体に比較して臨界温度が高く、実用性がより高いと考え
られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電導体
の臨界温度は80K以上であり、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸
化物超電導体およびTl−Ba−Ca−Cu−O系酸化物超電導
体の臨界温度は 100K以上と発表されている。また、酸
化物超電導体は、超電導特性以外にも金属系超電導体に
ない性質を有するので、その性質を利用して微細な加工
を行わずに超電導素子を作製することが研究されてい
る。
【0003】図2に、酸化物超電導体独特の性質を利用
したジョセフソン接合を示す。図1は、いわゆる段差型
のジョセフソン接合素子の断面図である。図2のジョセ
フソン接合素子は、段差23が形成された成膜面を有する
絶縁体基板2上に成膜された酸化物超電導薄膜1で主に
構成されている。酸化物超電導薄膜1の段差23上の部分
13は、その部分だけ結晶方向が異なるので、成膜面21上
の部分11および成膜面22上の部分12との間にそれぞれ結
晶粒界51および52が形成されている。この結晶粒界が、
ジョセフソン接合の弱結合を構成する。
したジョセフソン接合を示す。図1は、いわゆる段差型
のジョセフソン接合素子の断面図である。図2のジョセ
フソン接合素子は、段差23が形成された成膜面を有する
絶縁体基板2上に成膜された酸化物超電導薄膜1で主に
構成されている。酸化物超電導薄膜1の段差23上の部分
13は、その部分だけ結晶方向が異なるので、成膜面21上
の部分11および成膜面22上の部分12との間にそれぞれ結
晶粒界51および52が形成されている。この結晶粒界が、
ジョセフソン接合の弱結合を構成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、上記のジョセフ
ソン接合素子を作製する場合、絶縁体基板2の成膜面を
Arイオンミリングにより加工し、段差23を形成してい
た。しかしながら、成膜面のArイオンミリングでエッチ
ングされた部分は、表面の結晶性が劣化してその上に高
品質の酸化物超電導薄膜を成膜することができないこと
がある。
ソン接合素子を作製する場合、絶縁体基板2の成膜面を
Arイオンミリングにより加工し、段差23を形成してい
た。しかしながら、成膜面のArイオンミリングでエッチ
ングされた部分は、表面の結晶性が劣化してその上に高
品質の酸化物超電導薄膜を成膜することができないこと
がある。
【0005】また、特性の優れたジョセフソン接合素子
を作製しようとすると、絶縁体基板2として、SrTiO3
単結晶基板を使用しなければならなかった。酸化物超電
導薄膜の成膜用基板としては、一般に、SrTiO3単結晶
基板以外に、より安価なMgO単結晶基板、LaAlO2単結
晶基板、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)基板
等が使用される。しかしながら、SrTiO3単結晶基板以
外の基板を使用して上記段差型ジョセフソン接合素子を
作製した場合には、酸化物超電導薄膜の、基板成膜面の
段差上の部分の結晶方向の変化が小さく、急峻な結晶粒
界が形成されない。結晶粒界が急峻でないと、ジョセフ
ソン接合の弱結合の特性は著しく低下したり、また、形
成されない場合もある。
を作製しようとすると、絶縁体基板2として、SrTiO3
単結晶基板を使用しなければならなかった。酸化物超電
導薄膜の成膜用基板としては、一般に、SrTiO3単結晶
基板以外に、より安価なMgO単結晶基板、LaAlO2単結
晶基板、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)基板
等が使用される。しかしながら、SrTiO3単結晶基板以
外の基板を使用して上記段差型ジョセフソン接合素子を
作製した場合には、酸化物超電導薄膜の、基板成膜面の
段差上の部分の結晶方向の変化が小さく、急峻な結晶粒
界が形成されない。結晶粒界が急峻でないと、ジョセフ
ソン接合の弱結合の特性は著しく低下したり、また、形
成されない場合もある。
【0006】そこで本発明の目的は、上記従来技術の問
題点を解決し、基板成膜面の加工された部分の影響を受
けず、また、安価な成膜用基板が使用できる段差型ジョ
セフソン接合素子の作製方法を提供することにある。
題点を解決し、基板成膜面の加工された部分の影響を受
けず、また、安価な成膜用基板が使用できる段差型ジョ
セフソン接合素子の作製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従うと、成膜面
に段差を有する成膜用基板と、該段差を有する成膜面上
に成膜された酸化物超電導薄膜をとを含むジョセフソン
接合素子において、該ジョセフソン接合素子が、さら
に、前記基板の成膜面全体の上に前記酸化物超電導体と
格子定数が近い材料の薄い層を有することを特徴とする
ジョセフソン接合素子が提供される。
に段差を有する成膜用基板と、該段差を有する成膜面上
に成膜された酸化物超電導薄膜をとを含むジョセフソン
接合素子において、該ジョセフソン接合素子が、さら
に、前記基板の成膜面全体の上に前記酸化物超電導体と
格子定数が近い材料の薄い層を有することを特徴とする
ジョセフソン接合素子が提供される。
【0008】本発明のジョセフソン接合素子は、例え
ば、成膜面に段差を有するSrTiO3単結晶基板上にSrTi
O3層を有する構成とすることができる。また、本発明
のジョセフソン接合素子は、成膜面に段差を有するMgO
単結晶基板、LaAlO2単結晶基板またはYSZ(イット
リウム安定化ジルコニア)基板上にSrTiO3層、NdGaO3
層、PrGaO3層またはLaSrGaO4層を有する構成とするこ
ともできる。前者の構成の場合、SrTiO3層は、エッチ
ングで傷んだSrTiO3単結晶基板の成膜面を覆って、SrT
iO3単結晶基板成膜面の不整が酸化物超電導薄膜に悪影
響を与えない効果を有する。一方、後者の場合、さら
に、SrTiO3単結晶基板よりも安価な基板を使用して同
等の特性のジョセフソン接合素子が得られる効果を有す
る。
ば、成膜面に段差を有するSrTiO3単結晶基板上にSrTi
O3層を有する構成とすることができる。また、本発明
のジョセフソン接合素子は、成膜面に段差を有するMgO
単結晶基板、LaAlO2単結晶基板またはYSZ(イット
リウム安定化ジルコニア)基板上にSrTiO3層、NdGaO3
層、PrGaO3層またはLaSrGaO4層を有する構成とするこ
ともできる。前者の構成の場合、SrTiO3層は、エッチ
ングで傷んだSrTiO3単結晶基板の成膜面を覆って、SrT
iO3単結晶基板成膜面の不整が酸化物超電導薄膜に悪影
響を与えない効果を有する。一方、後者の場合、さら
に、SrTiO3単結晶基板よりも安価な基板を使用して同
等の特性のジョセフソン接合素子が得られる効果を有す
る。
【0009】また、本発明においては、成膜用基板の成
膜面に段差を形成する工程と、該段差を形成した成膜面
上に酸化物超電導薄膜を成膜する工程とを含むジョセフ
ソン接合素子の作製方法において、前記基板の成膜面の
一部をエッチングして該成膜面に段差を形成する工程
と、該成膜面上に前記酸化物超電導体と格子定数が近い
材料の薄い層を前記段差を埋めないよう形成する工程
と、該層上に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を含むこ
とを特徴とする方法が提供される。
膜面に段差を形成する工程と、該段差を形成した成膜面
上に酸化物超電導薄膜を成膜する工程とを含むジョセフ
ソン接合素子の作製方法において、前記基板の成膜面の
一部をエッチングして該成膜面に段差を形成する工程
と、該成膜面上に前記酸化物超電導体と格子定数が近い
材料の薄い層を前記段差を埋めないよう形成する工程
と、該層上に酸化物超電導薄膜を成膜する工程を含むこ
とを特徴とする方法が提供される。
【0010】本発明の方法では、前記成膜用基板の成膜
面のエッチングをArイオンミリングで行うことが好まし
く、成膜用基板の成膜面をエッチングした後、エッチン
グにより劣化した基板表面を除去または改善する工程を
含むことが好ましい。
面のエッチングをArイオンミリングで行うことが好まし
く、成膜用基板の成膜面をエッチングした後、エッチン
グにより劣化した基板表面を除去または改善する工程を
含むことが好ましい。
【0011】
【作用】本発明のジョセフソン接合素子は、基板の、段
差を有する成膜面全体の上に、さらに、酸化物超電導体
と格子定数が近い材料の薄い層を有するところにその主
要な特徴がある。本発明のジョセフソン接合素子は、基
板成膜面上に形成されたこの層により、酸化物超電導薄
膜の品質が改善されて優れた特性を有する。すなわち、
本発明のジョセフソン接合素子では、酸化物超電導薄膜
がエッチング等の加工で傷んだ基板成膜面上ではなく、
基板成膜面上に形成された層上に配置される。従って、
酸化物超電導薄膜の結晶性、超電導特性が優れている。
差を有する成膜面全体の上に、さらに、酸化物超電導体
と格子定数が近い材料の薄い層を有するところにその主
要な特徴がある。本発明のジョセフソン接合素子は、基
板成膜面上に形成されたこの層により、酸化物超電導薄
膜の品質が改善されて優れた特性を有する。すなわち、
本発明のジョセフソン接合素子では、酸化物超電導薄膜
がエッチング等の加工で傷んだ基板成膜面上ではなく、
基板成膜面上に形成された層上に配置される。従って、
酸化物超電導薄膜の結晶性、超電導特性が優れている。
【0012】また、基板に、SrTiO3単結晶基板よりも
安価なMgO単結晶基板、LaAlO2単結晶基板またはYS
Z(イットリウム安定化ジルコニア)基板を使用した場
合でも、成膜面上に上記の層が形成されているので、酸
化物超電導薄膜の、基板成膜面の段差上の部分は、明確
に結晶方向が異なり酸化物超電導体結晶で構成され、急
峻な結晶粒界が形成される。従って、この結晶粒界で構
成されるジョセフソン接合の特性は極めて優れたものと
なる。
安価なMgO単結晶基板、LaAlO2単結晶基板またはYS
Z(イットリウム安定化ジルコニア)基板を使用した場
合でも、成膜面上に上記の層が形成されているので、酸
化物超電導薄膜の、基板成膜面の段差上の部分は、明確
に結晶方向が異なり酸化物超電導体結晶で構成され、急
峻な結晶粒界が形成される。従って、この結晶粒界で構
成されるジョセフソン接合の特性は極めて優れたものと
なる。
【0013】本発明のジョセフソン接合素子において、
上記の基板成膜面上に形成される層には、SrTiO3、NdG
aO3、PrGaO3またはLaSrGaO4を使用することが好まし
い。特に、基板がSrTiO3単結晶基板の場合、上記の層
はSrTiO3が好ましいが、MgO単結晶基板、LaAlO2単結
晶基板またはYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)
基板を使用した場合には、SrTiO3、NdGaO3、PrGaO3
およびLaSrGaO4のいずれもが使用可能である。これら
の材料は、基板材料のMgO、LaAlO2およびYSZと比
較して、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電導体、Bi−Sr−Ca
−Cu−O系酸化物超電導体およびTl−Ba−Ca−Cu−O系
酸化物超電導体の結晶の格子定数により近い格子定数を
有するからである。
上記の基板成膜面上に形成される層には、SrTiO3、NdG
aO3、PrGaO3またはLaSrGaO4を使用することが好まし
い。特に、基板がSrTiO3単結晶基板の場合、上記の層
はSrTiO3が好ましいが、MgO単結晶基板、LaAlO2単結
晶基板またはYSZ(イットリウム安定化ジルコニア)
基板を使用した場合には、SrTiO3、NdGaO3、PrGaO3
およびLaSrGaO4のいずれもが使用可能である。これら
の材料は、基板材料のMgO、LaAlO2およびYSZと比
較して、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電導体、Bi−Sr−Ca
−Cu−O系酸化物超電導体およびTl−Ba−Ca−Cu−O系
酸化物超電導体の結晶の格子定数により近い格子定数を
有するからである。
【0014】本発明のジョセフソン接合素子において、
上記の層の厚さは、3〜30nmが好ましい。上記の層が、
3nmよりも薄い場合には、基板成膜面の不整の影響を受
けて基板表面を完全に被覆できないことがある。一方、
上記の層が、30nmよりも厚いと、段差の端部が鈍くな
り、酸化物超電導薄膜に急峻な結晶粒界が形成されな
い。
上記の層の厚さは、3〜30nmが好ましい。上記の層が、
3nmよりも薄い場合には、基板成膜面の不整の影響を受
けて基板表面を完全に被覆できないことがある。一方、
上記の層が、30nmよりも厚いと、段差の端部が鈍くな
り、酸化物超電導薄膜に急峻な結晶粒界が形成されな
い。
【0015】また本発明では、上記のジョセフソン接合
素子を作製する方法も提供される。本発明の方法は、エ
ッチングで段差を形成した基板成膜面上に、酸化物超電
導体と格子定数が極めて近い材料の層を形成して、その
上に酸化物超電導薄膜を成膜するところにその主要な特
徴がある。本発明の方法では、エッチングで傷んだ基板
成膜面上に直接酸化物超電導薄膜を成膜せず、エッチン
グ加工した基板成膜面上に形成した酸化物超電導体と格
子定数が近い材料の層上に酸化物超電導薄膜を成膜する
ので、高品質な酸化物超電導薄膜が成膜できる。
素子を作製する方法も提供される。本発明の方法は、エ
ッチングで段差を形成した基板成膜面上に、酸化物超電
導体と格子定数が極めて近い材料の層を形成して、その
上に酸化物超電導薄膜を成膜するところにその主要な特
徴がある。本発明の方法では、エッチングで傷んだ基板
成膜面上に直接酸化物超電導薄膜を成膜せず、エッチン
グ加工した基板成膜面上に形成した酸化物超電導体と格
子定数が近い材料の層上に酸化物超電導薄膜を成膜する
ので、高品質な酸化物超電導薄膜が成膜できる。
【0016】本発明の方法では、例えば、エッチング加
工を行ったSrTiO3単結晶基板上にSrTiO3層を形成する
ことができる。この場合、SrTiO3層は、ホモエピタキ
シャル成長するので結晶性に優れた層となる。その上に
成膜される酸化物超電導薄膜も良質のものとなる。この
場合、SrTiO3単結晶基板を、Arイオンミリングで加工
して段差を形成し、さらにエッチングで劣化した基板成
膜面の表面部分を除去または改善してからSrTiO3層を
形成することも好ましい。
工を行ったSrTiO3単結晶基板上にSrTiO3層を形成する
ことができる。この場合、SrTiO3層は、ホモエピタキ
シャル成長するので結晶性に優れた層となる。その上に
成膜される酸化物超電導薄膜も良質のものとなる。この
場合、SrTiO3単結晶基板を、Arイオンミリングで加工
して段差を形成し、さらにエッチングで劣化した基板成
膜面の表面部分を除去または改善してからSrTiO3層を
形成することも好ましい。
【0017】本発明の方法では、酸性溶液またはアルカ
リ性溶液を用いてArイオンミリング後の基板をウェット
エッチングして劣化した成膜面の表面部分を除去する工
程、Arイオンミリング後の基板を熱処理して表面の劣化
した部分を再結晶させる工程およびArイオンミリング後
の基板を通常よりも低い加速電圧で再度Arイオンミリン
グして劣化した成膜面の表面部分を除去する工程のいず
れかの工程を含むことが好ましい。また、これらの工程
を複数組み合わせることも好ましい。
リ性溶液を用いてArイオンミリング後の基板をウェット
エッチングして劣化した成膜面の表面部分を除去する工
程、Arイオンミリング後の基板を熱処理して表面の劣化
した部分を再結晶させる工程およびArイオンミリング後
の基板を通常よりも低い加速電圧で再度Arイオンミリン
グして劣化した成膜面の表面部分を除去する工程のいず
れかの工程を含むことが好ましい。また、これらの工程
を複数組み合わせることも好ましい。
【0018】本発明の方法で使用する酸性溶液、アルカ
リ性溶液には、H3PO4溶液、HF溶液、水酸化ナトリ
ウム溶液等を、それぞれ基板材料に合わせて使用するこ
とが好ましい。
リ性溶液には、H3PO4溶液、HF溶液、水酸化ナトリ
ウム溶液等を、それぞれ基板材料に合わせて使用するこ
とが好ましい。
【0019】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
【0020】
【実施例】図1に本発明のジョセフソン接合素子の断面
図を示す。図1のジョセフソン接合素子は、成膜面に段
差23を有する基板2と、成膜面上に配置された酸化物超
電導体と格子定数が近い材料の層3と、層3上に成膜さ
れた酸化物超電導薄膜1で主に構成されている。酸化物
超電導薄膜1の層3の段差33上の部分13は、その部分だ
け結晶方向が異なるので、層3の水平面31上の部分11お
よび層3の水平面32上の部分12との間にそれぞれ結晶粒
界51および52が形成され、ジョセフソン接合を構成して
いる。例えば、本実施例のジョセフソン接合素子では、
酸化物超電導薄膜1の水平面31上の部分11および層3の
水平面32上の部分12が、c軸配向の酸化物超電導体結晶
で構成されていて、段差33上の部分13が、c軸が水平に
配向している酸化物超電導体結晶で構成されている。
図を示す。図1のジョセフソン接合素子は、成膜面に段
差23を有する基板2と、成膜面上に配置された酸化物超
電導体と格子定数が近い材料の層3と、層3上に成膜さ
れた酸化物超電導薄膜1で主に構成されている。酸化物
超電導薄膜1の層3の段差33上の部分13は、その部分だ
け結晶方向が異なるので、層3の水平面31上の部分11お
よび層3の水平面32上の部分12との間にそれぞれ結晶粒
界51および52が形成され、ジョセフソン接合を構成して
いる。例えば、本実施例のジョセフソン接合素子では、
酸化物超電導薄膜1の水平面31上の部分11および層3の
水平面32上の部分12が、c軸配向の酸化物超電導体結晶
で構成されていて、段差33上の部分13が、c軸が水平に
配向している酸化物超電導体結晶で構成されている。
【0021】基板2の段差23は100〜500nmが好ましく、
酸化物超電導薄膜1の厚さは100 nm〜1μmが好まし
い。また、層3の厚さは、上述のように3〜30nmが好ま
しい。酸化物超電導薄膜1の平面形は任意にすることが
できるが、段差上の部分13の幅が狭い形状にするとジョ
セフソン接合の動作がより安定する傾向がある。
酸化物超電導薄膜1の厚さは100 nm〜1μmが好まし
い。また、層3の厚さは、上述のように3〜30nmが好ま
しい。酸化物超電導薄膜1の平面形は任意にすることが
できるが、段差上の部分13の幅が狭い形状にするとジョ
セフソン接合の動作がより安定する傾向がある。
【0022】本発明の方法により上記本発明のジョセフ
ソン接合素子を作製した。まず、SrTiO3(100)基
板、MgO(100)基板、LaAlO2(100)基板、Y
SZ基板それぞれの成膜面の一部をNbによりマスクし
た。このマスクは、真空蒸着法で厚さ約100nm に形成し
た。
ソン接合素子を作製した。まず、SrTiO3(100)基
板、MgO(100)基板、LaAlO2(100)基板、Y
SZ基板それぞれの成膜面の一部をNbによりマスクし
た。このマスクは、真空蒸着法で厚さ約100nm に形成し
た。
【0023】次に、上記のマスクを形成した成膜面の露
出している部分をArイオンミリングで200 nmエッチング
した。エッチング後、NbマスクをCF4プラズマで除去
した。このエッチング後の各基板に対して、それぞれ以
下に示す処理を行った。 SrTiO3基板 加熱した濃H3PO4で数10秒間エ
ッチング SrTiO3基板 濃度10%のHF水溶液で数10秒間
エッチング SrTiO3基板 加熱した濃水酸化ナトリウム溶液
で約10分間エッチング SrTiO3基板 酸素雰囲気中で1100℃以上で10分
間加熱 SrTiO3基板 加速電圧100 ボルトで再度Arイオ
ンミリング MgO基板 濃硫酸により10秒間エッチング LaAlO2基板、YSZ基板は、処理せず 上記の処理を施された各基板の成膜面は、表面の結晶性
が回復し、マスクを構成していたNbの残留もなかった。
出している部分をArイオンミリングで200 nmエッチング
した。エッチング後、NbマスクをCF4プラズマで除去
した。このエッチング後の各基板に対して、それぞれ以
下に示す処理を行った。 SrTiO3基板 加熱した濃H3PO4で数10秒間エ
ッチング SrTiO3基板 濃度10%のHF水溶液で数10秒間
エッチング SrTiO3基板 加熱した濃水酸化ナトリウム溶液
で約10分間エッチング SrTiO3基板 酸素雰囲気中で1100℃以上で10分
間加熱 SrTiO3基板 加速電圧100 ボルトで再度Arイオ
ンミリング MgO基板 濃硫酸により10秒間エッチング LaAlO2基板、YSZ基板は、処理せず 上記の処理を施された各基板の成膜面は、表面の結晶性
が回復し、マスクを構成していたNbの残留もなかった。
【0024】続いて、段差を設けた上記の各基板上にレ
ーザアブレーション法により、以下の表1に示す材料の
層をそれぞれ10nmの厚さに形成した。
ーザアブレーション法により、以下の表1に示す材料の
層をそれぞれ10nmの厚さに形成した。
【表1】 基 板 層材料 SrTiO3 SrTiO3 MgO SrTiO3、NdGaO3 LaAlO2 SrTiO3、LaSrGaO4 YSZ SrTiO3、PrGaO3
【0025】次に、それぞれ成膜面上に上記の材料の層
を形成した基板上にY1Ba2Cu3 O7-X 酸化物超電導薄膜
を成膜した。Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜の成膜方
法としては、各種のスパッタリング法、MBE法、真空
蒸着法、CVD法、レーザアブレーション法等任意の方
法が使用可能である。レーザアブレーション法で成膜を
行う際の主な成膜条件を以下の表2に示す。
を形成した基板上にY1Ba2Cu3 O7-X 酸化物超電導薄膜
を成膜した。Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜の成膜方
法としては、各種のスパッタリング法、MBE法、真空
蒸着法、CVD法、レーザアブレーション法等任意の方
法が使用可能である。レーザアブレーション法で成膜を
行う際の主な成膜条件を以下の表2に示す。
【表2】 基板温度 700℃ O2 雰囲気 圧力 400mTorr レーザ出力 0.8J/パルス 照射間隔 5 Hz エネルギ密度 2J/cm2 膜厚 300nm
【0026】上記の各基板上に成膜されたY1Ba2Cu3O
7-X酸化物超電導薄膜の水平面上の部分は、それぞれ一
様なc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導体結晶で構
成されていた。また、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜
の成膜面の段差上の部分は、結晶のc軸が水平に配向し
ており、急峻な結晶粒界が形成され、ジョセフソン接合
が構成されていた。
7-X酸化物超電導薄膜の水平面上の部分は、それぞれ一
様なc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導体結晶で構
成されていた。また、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜
の成膜面の段差上の部分は、結晶のc軸が水平に配向し
ており、急峻な結晶粒界が形成され、ジョセフソン接合
が構成されていた。
【0027】各ジョセフソン接合素子を液体窒素で冷却
し、その特性の測定を行った。周波数15GHz、出力0.2
mWのマイクロ波を印加したところ、いずれのジョセフ
ソン接合素子も31μVの倍数の電圧点でシャピロステッ
プが観測され、ジョセフソン接合が実現していることが
確認できた。
し、その特性の測定を行った。周波数15GHz、出力0.2
mWのマイクロ波を印加したところ、いずれのジョセフ
ソン接合素子も31μVの倍数の電圧点でシャピロステッ
プが観測され、ジョセフソン接合が実現していることが
確認できた。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えば、
従来よりも優れた特性を有する段差型ジョセフソン接合
素子およびその作製方法が提供される。また、本発明の
ジョセフソン接合素子は、高価なSrTiO3基板を使用し
なくても作製可能であり、従来よりもコストを大幅に低
減できる。
従来よりも優れた特性を有する段差型ジョセフソン接合
素子およびその作製方法が提供される。また、本発明の
ジョセフソン接合素子は、高価なSrTiO3基板を使用し
なくても作製可能であり、従来よりもコストを大幅に低
減できる。
【図1】本発明の段差型のジョセフソン接合素子の断面
図である。
図である。
【図2】従来の段差型のジョセフソン接合素子の断面図
である。
である。
1 酸化物超電導薄膜 2 基板 51、52 結晶粒界
Claims (6)
- 【請求項1】 成膜面に段差を有する成膜用基板と、該
段差を有する成膜面上に成膜された酸化物超電導薄膜を
とを含むジョセフソン接合素子において、該ジョセフソ
ン接合素子が、さらに、前記基板の成膜面全体の上に前
記酸化物超電導体と格子定数が近い材料の薄い層を有す
ることを特徴とするジョセフソン接合素子。 - 【請求項2】 前記基板がSrTiO3単結晶基板であり、
前記酸化物超電導体と格子定数が近い材料が、SrTiO3
であることを特徴とする請求項1に記載のジョセフソン
接合素子。 - 【請求項3】 前記基板が、MgO単結晶基板、LaAlO2
単結晶基板またはYSZ(イットリウム安定化ジルコニ
ア)基板であり、前記酸化物超電導体と格子定数が近い
材料が、SrTiO3、NdGaO3、PrGaO3またはLaSrGaO4で
あることを特徴とする請求項1に記載のジョセフソン接
合素子。 - 【請求項4】 成膜用基板の成膜面に段差を形成する工
程と、該段差を形成した成膜面上に酸化物超電導薄膜を
成膜する工程とを含むジョセフソン接合素子の作製方法
において、前記基板の成膜面の一部をエッチングして該
成膜面に段差を形成する工程と、該成膜面上に前記酸化
物超電導体と格子定数が近い材料の薄い層を前記段差を
埋めないよう形成する工程と、該層上に酸化物超電導薄
膜を成膜する工程を含むことを特徴とする方法。 - 【請求項5】 前記成膜用基板の成膜面のエッチングを
Arイオンミリングで行うことを特徴とする請求項4に記
載の方法。 - 【請求項6】 前記成膜用基板の成膜面をエッチングし
た後、エッチングにより劣化した基板表面を除去または
改善する工程を含むことを特徴とする請求項4または5
に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5197945A JPH0730159A (ja) | 1993-07-15 | 1993-07-15 | ジョセフソン接合素子およびその作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5197945A JPH0730159A (ja) | 1993-07-15 | 1993-07-15 | ジョセフソン接合素子およびその作製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0730159A true JPH0730159A (ja) | 1995-01-31 |
Family
ID=16382918
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5197945A Pending JPH0730159A (ja) | 1993-07-15 | 1993-07-15 | ジョセフソン接合素子およびその作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0730159A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN118201469A (zh) * | 2024-05-20 | 2024-06-14 | 天津大学 | 平面约瑟夫森结及其制备方法、约瑟夫森结阵列 |
-
1993
- 1993-07-15 JP JP5197945A patent/JPH0730159A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN118201469A (zh) * | 2024-05-20 | 2024-06-14 | 天津大学 | 平面约瑟夫森结及其制备方法、约瑟夫森结阵列 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020423 |