JP7365796B2 - セルロース繊維の成形体及びその製造方法 - Google Patents
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したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、適度な引張弾性率と脱水性を兼ね備えることができるセルロース繊維の成形体、又は適度な引張弾性率と脱水性を現実に兼ね備えたセルロース繊維の成形体、及びその製造方法を提供することにある。
セルロース繊維を主成分とし、
前記セルロース繊維として、第1セルロースナノファイバーと第2セルロースナノファイバーを含み、
前記第1セルロースナノファイバーは、リグニンを含有する機械パルプが解繊されて得られたものであり、
前記第2セルロースナノファイバーは、化学パルプが解繊されて得られたものである、 ことを特徴とするセルロース繊維の成形体。
第1の態様に加え、
前記セルロース繊維に占める、前記第1セルロースナノファイバーと前記第2セルロースナノファイバーとの合計含有率が80質量%以上である、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
前記第2セルロースナノファイバー100質量部に対する前記第1セルロースナノファイバーが1~9900質量部である、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
リグニンの含有量が5~30質量%である、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
セルロース繊維の成形体の引張弾性率が5~25GPaである、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
前記第1セルロースナノファイバー及び前記第2セルロースナノファイバーの少なくともいずれか一方の平均繊維径が10~500nmである、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
請求項1のセルロース繊維の成形体を200℃、2MPaで5分間、加圧加熱処理して得られた処理生成物の引張弾性率が、請求項1のセルロース繊維の成形体の引張弾性率以上である、
態様を挙げることができる。
前記第1セルロースナノファイバー及び前記第2セルロースナノファイバーの少なくともいずれか一方の保水度が100%以上である、
態様を挙げることができる。
第1の態様に加え、
前記化学パルプは、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ、溶解パルプの中から1種又は2種以上選択したパルプである、
態様を挙げることができる。
第1セルロースナノファイバーと第2セルロースナノファイバーとを使用してセルロース繊維のスラリーを調成し、このセルロース繊維のスラリーから湿紙を形成し、この湿紙を脱水及び加圧加熱して成形体を作製し、
前記第1セルロースナノファイバーは、リグニンを含有する機械パルプを解繊して得たものであり、
前記第2セルロースナノファイバーは、化学パルプを解繊して得られたものである、
ことを特徴とするセルロース繊維成形体の製造方法。
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維の水素結合点を増やし、もって成形体の強度を向上する役割を有する。セルロースナノファイバーは、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができる。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
本形態においてはセルロース繊維に、セルロースナノファイバーの他に、パルプを含めてもよいし、含めなくてもよい。パルプは、セルロース繊維スラリーの脱水性を向上する役割を有する。ただし、パルプは、セルロース繊維スラリーの保水度及び脱水性が所定の範囲内になるように含ませるのが好ましい。このような限定を加えることで、セルロース繊維スラリーから成形体等を製造した場合において、当該成形体等の強度を担保することができる。なお、保水度及び脱水性の詳細については、後述する。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%のパルプの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて100倍~1000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
本形態の成形体は、リグニンを含有する。本形態においてリグニンは、セルロース繊維スラリーの脱水性を向上させる役割を有する。この観点から、セルロース繊維の成形体におけるリグニンの含有量(率)は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは6~29質量%、特に好ましくは7~28質量%である。リグニンの含有量が5質量%を下回ると、セルロース繊維スラリーの脱水性が十分に向上しないおそれがある。この点、セルロースナノファイバーは180℃(特に200℃)程度の高い温度領域下で加圧を受けると引張物性が低下する。しかしながら、リグニンを含有すると、当該リグニンの熱可塑性により、高温度に晒されてリグニンが成形体中に均一に拡がるため、引張物性が向上するものと考えられる。他方、リグニンの含有量が30質量%を上回ると、セルロースナノファイバー相互の水素結合を阻害し、例えば、成形体等の物性等を低下させるおそれがある。
図1に示すように、第1セルロースナノファイバーC1及び第2セルロースナノファイバーC2は、所定の割合で混合し、もってセルロース繊維のスラリーSを調成する(スラリー調成工程10)。第1セルロースナノファイバーC1及び第2セルロースナノファイバーC2は、それぞれを分散液の状態で混合することもできる。
以上のようにして得たスラリーは、適宜、湿紙形成20、脱水30及び加圧加熱40等することで中間体としての成形体X、あるいは最終製品としての成形体Xを得ることができる。スラリーSから成形体Xを製造する方法は様々存在するが、例えば、特開2018-62727号公報(セルロースナノファイバー成形体)に記載の方法によると好適である。なお、湿紙の形成方法について、前述したのは好適な例であり、本形態の製造方法をこれに限定する趣旨ではない。
セルロース繊維のスラリーSには、必要により、例えば、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、分散剤、消泡剤、スライムコントロール剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。
(1)まず、セルロース繊維としてセルロースナノファイバー及びパルプを含むセルロース繊維のスラリーを作製し、脱水性及び引張弾性率を調べる試験を行った。セルロースナノファイバーの原料パルプとしては、紙パルプであるLBKP及びBTMPを使用した。セルロースナノファイバーは、LBKP(水分率98質量%)及びBTMP(水分率98質量%)のそれぞれをリファイナーで予備叩解し、次いで高圧ホモジナイザーで解繊して得た。これらのセルロースナノファイバーのそれぞれは、濃度2質量%の水分散液であった。LBKPを用いて得られたセルロースナノファイバーは、平均繊維径30nm、保水度348%、結晶化度75%であった。BTMPを用いて得られたセルロースナノファイバーは、平均繊維径60nm、保水度270%、結晶化度66%であった。LBKPを用いて得られたセルロースナノファイバー及びBTMPを用いて得られたセルロースナノファイバーは、表1中に示す配合割合(乾燥重量)で混合して混合物を得た。
上記(2)で得られたスラリーを水で希釈し2質量%になるようにメスアップした。メスアップされたスラリーを8500rpm、15℃、10分の条件で遠心分離した。遠心分離後、上澄み液を捨て、残分の固形物濃度(脱水性)(%)を測定し、脱水性の評価とした。
脱水性について、比較例1に示すようにセルロース繊維の成形体に第2セルロースナノファイバー(一例として、LBKPCNF)のほか、パルプが含まれていると、脱水性を有する。実施例1では、同成形体にLBKPCNFのほか、第1セルロースナノファイバー(一例として、BTMPCNF)が含まれ、比較例1に近似する脱水性を有することがわかった。
遠心分離機は、HITATHI冷却遠心分離機CR22Nを使用した。
20 湿紙形成工程
30 脱水工程
40 加圧加熱工程
C1 第1セルロースナノファイバー
C2 第2セルロースナノファイバー
W 水等の媒体
X 成形体
Claims (9)
- セルロース繊維を主成分とする成形体であり、
前記セルロース繊維として、第1セルロースナノファイバーと第2セルロースナノファイバーを含み、
前記第1セルロースナノファイバーは、リグニンを含有する機械パルプが解繊されて得られたものであり、
前記第2セルロースナノファイバーは、化学パルプが解繊されて得られたものであり、
前記成形体の引張弾性率が5~25GPaである、
ことを特徴とするセルロース繊維の成形体。 - 前記セルロース繊維に占める、前記第1セルロースナノファイバーと前記第2セルロースナノファイバーとの合計含有率が80質量%以上である、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 前記第2セルロースナノファイバー100質量部に対する前記第1セルロースナノファイバーが1~9900質量部である、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - リグニンの含有量が5~30質量%である、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 前記第1セルロースナノファイバー及び前記第2セルロースナノファイバーの少なくともいずれか一方の平均繊維径が10~500nmである、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 請求項1のセルロース繊維の成形体を200℃、2MPaで5分間、加圧加熱処理して得られた処理生成物の引張弾性率が、請求項1のセルロース繊維の成形体の引張弾性率以上である、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 前記第1セルロースナノファイバー及び前記第2セルロースナノファイバーの少なくともいずれか一方の保水度が100%以上である、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 前記化学パルプは、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ、溶解パルプの中から1種又は2種以上選択されたパルプである、
請求項1に記載のセルロース繊維の成形体。 - 第1セルロースナノファイバーと第2セルロースナノファイバーとを使用してセルロース繊維のスラリーを調成し、このセルロース繊維のスラリーから湿紙を形成し、この湿紙を脱水及び加圧加熱して成形体を作製し、
前記第1セルロースナノファイバーは、リグニンを含有する機械パルプを解繊して得られたものであり、
前記第2セルロースナノファイバーは、化学パルプを解繊して得られたものであり、
前記成形体の引張弾性率が5~25GPaである、
ことを特徴とするセルロース繊維成形体の製造方法。
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JP2019120697A JP7365796B2 (ja) | 2019-06-28 | 2019-06-28 | セルロース繊維の成形体及びその製造方法 |
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JP2009019200A (ja) | 2007-06-11 | 2009-01-29 | Kyoto Univ | リグニン含有ミクロフィブリル化植物繊維及びその製造方法 |
WO2017199157A1 (en) | 2016-05-20 | 2017-11-23 | Stora Enso Oyj | A uv blocking film and composition comprising microfibrillated cellulose, a method for producing said film and use of the composition |
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2019
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