<実施形態>
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
まず、図1および図2を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムの概略について説明する。ここで、自動バレー駐車システムとは、白線などといった区画線Lで区画された1以上の駐車領域Rを有する駐車場Pにおいて、以下に説明するような自動駐車および自動出庫を含む自動運転の一例としての自動バレー駐車を実現するための自動運転制御システムである。
図1は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動駐車の概念を説明するための例示的かつ模式的な図であり、図2は、実施形態にかかる自動バレー駐車システムにおける自動出庫の概念を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図1に示されるように、自動駐車とは、駐車場P内の降車領域P1において車両Vから乗員Xが降車した後、当該降車領域P1に停車した車両Vが所定の指示に応じて降車領域P1から空きの駐車領域Rへ自動で移動して駐車する自動運転のことである(矢印C1参照)。
また、図2に示されるように、自動出庫とは、自動駐車が完了した後、駐車領域Rに停車した車両Vが所定の呼び出しに応じて出庫して駐車領域Rから所定の第2領域としての乗車領域P2へ自動で移動して停車する自動運転のことである(矢印C2参照)。
なお、実施形態において、自動駐車の際に実行される所定の指示と、自動出庫の際に実行される所定の呼び出しとは、いずれも、たとえば乗員Xによる端末装置Tの操作によって実現される。また、実施形態において、降車領域P1は、乗車領域として利用することもでき、乗車領域P2は、降車領域として利用することもできる。
ここで、図1および図2に示されるように、実施形態にかかる自動バレー駐車システムは、駐車場Pに設けられた管制装置101と、車両Vに搭載された車両制御システム102と、を有している。管制装置101と車両制御システム102とは、無線通信によって互いに通信可能に構成されている。
管制装置101は、駐車場P内における車両Vの自動運転の管制を行う機能を有している。より具体的に、管制装置101は、駐車場Pに対して予め設定された領域データとしての地図データを管理し、当該地図データを車両V(車両制御システム102)に提供する機能を有している。地図データとは、区画線Lやマーカ(不図示)などといった、駐車場Pの路面に固定的に設置された路面標示に関する正規の標示データを含むデータである。区画線Lに関する正規の標示データからは、区画線Lの先端の位置や区画線Lが延びる方向などを特定することができ、マーカに関する正規の標示データからは、マーカの設置位置やマーカが有する模様などを特定することができる。
また、管制装置101は、駐車場P内の状況を撮像する1以上の監視カメラ103から得られる画像データを含む、駐車場P内に設けられる各種の場内センサ(不図示)から出力されるデータを取得し、取得したデータに基づいて駐車場P内の状況を監視し、監視結果に基づいて、駐車領域Rの空きの管理などを含む、駐車場Pの管理を行う機能を有している。以下では、駐車場P内の状況を監視するために管制装置101が受け取る情報を総称してセンサデータと記載することがある。
さらに、管制装置101は、上記の地図データおよびセンサデータに基づいて、車両Vが自動運転で到達すべき目標位置の候補としての第1の目標位置を特定し、当該第1の目標位置を車両V(車両制御システム102)に提供する機能を有している。目標位置とは、たとえば、自動運転としての自動駐車において駐車領域R内に設定される駐車目標位置や、自動運転としての自動出庫において駐車領域Rの外に設定される出庫目標位置などである。
なお、実施形態において、駐車場Pにおける降車領域P1、乗車領域P2、駐車領域R、および監視カメラ103の数や配置などは、図1および図2に示される例に制限されるものではない。実施形態の技術は、図1および図2に示された駐車場Pとは異なる様々な構成の駐車場に適用可能である。
次に、図3を参照して、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成について説明する。なお、図3に示されるハードウェア構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成は、様々に設定(変更)可能である。
図3は、実施形態にかかる管制装置101のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図3に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のハードウェア構成を有している。
図3に示される例において、管制装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、通信インターフェース(I/F)304と、入出力インターフェース(I/F)305と、SSD(Solid State Drive)306と、を有している。これらのハードウェアは、バス350を介して互いに接続されている。
CPU301は、管制装置101を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU301は、ROM302などに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM302は、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM303は、CPU301の作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
通信インターフェース304は、管制装置101と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース304は、管制装置101と車両V(車両制御システム102)との間の無線通信による信号の送受信を実現する。
入出力インターフェース305は、管制装置101と外部装置との接続を実現するインターフェースである。外部装置としては、たとえば、管制装置101のオペレータが使用する入出力デバイスなどが考えられる。
SSD306は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる管制装置101においては、補助記憶装置として、SSD306に替えて(またはSSD306に加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
次に、図4を参照して、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成について説明する。なお、図4に示されるシステム構成は、あくまで一例であり、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成は、様々に設定(変更)可能である。
図4は、実施形態にかかる車両制御システム102のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図4に示されるように、車両制御システム102は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース(I/F)407と、車載カメラ408と、モニタ装置409と、車両制御装置410と、車載ネットワーク450と、を有している。
制動システム401は、車両Vの減速を制御する。制動システム401は、制動部401aと、制動制御部401bと、制動部センサ401cと、を有している。
制動部401aは、たとえば、ブレーキペダルなどを含んだ、車両Vを減速させるための装置である。
制動制御部401bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部401bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部401aを作動させることで、車両Vの減速度合を制御する。
制動部センサ401cは、制動部401aの状態を検出するための装置である。たとえば、制動部401aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ401cは、制動部401aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ401cは、検出した制動部401aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
加速システム402は、車両Vの加速を制御する。加速システム402は、加速部402aと、加速制御部402bと、加速部センサ402cと、を有している。
加速部402aは、たとえば、アクセルペダルなどを含んだ、車両Vを加速させるための装置である。
加速制御部402bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部402bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部402aを作動させることで、車両Vの加速度合を制御する。
加速部センサ402cは、加速部402aの状態を検出するための装置である。たとえば、加速部402aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ402cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ402cは、検出した加速部402aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
操舵システム403は、車両Vの進行方向を制御する。操舵システム403は、操舵部403aと、操舵制御部403bと、操舵部センサ403cと、を有している。
操舵部403aは、たとえば、ステアリングホイールやハンドルなどを含んだ、車両Vの転舵輪を転舵させる装置である。
操舵制御部403bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部403bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部403aを作動させることで、車両Vの進行方向を制御する。
操舵部センサ403cは、操舵部403aの状態を検出するための装置である。たとえば、操舵部403aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ403cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。なお、操舵部403aがハンドルを含む場合、操舵部センサ403cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ403cは、検出した操舵部403aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
変速システム404は、車両Vの変速比を制御する。変速システム404は、変速部404aと、変速制御部404bと、変速部センサ404cと、を有している。
変速部404aは、たとえば、シフトレバーなどを含んだ、車両Vの変速比を変更するための装置である。
変速制御部404bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。変速制御部404bは、車両制御装置410からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部404aを作動させることで、車両Vの変速比を制御する。
変速部センサ404cは、変速部404aの状態を検出するための装置である。たとえば、変速部404aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ404cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ404cは、検出した変速部404aの状態を車載ネットワーク450に出力する。
障害物センサ405は、車両Vの周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ405は、たとえば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ405は、検出した情報を車載ネットワーク450に出力する。
走行状態センサ406は、車両Vの走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ406は、たとえば、車両Vの車輪速を検出する車輪速センサや、車両Vの前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両Vの旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ406は、検出した走行状態を車載ネットワーク450に出力する。
通信インターフェース407は、車両制御システム102と外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。たとえば、通信インターフェース407は、車両制御システム102と管制装置101との間の無線通信による信号の送受信や、車両制御システム102と端末装置Tとの間の無線通信による信号の送受信などを実現する。
車載カメラ408は、車両Vの周辺の状況を撮像することで車両Vの周辺の状況を検出するセンサである。たとえば、車載カメラ408は、車両Vの前方、後方、および側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ408によって得られた画像データは、車両Vの周辺の状況の監視(障害物の検出も含む)に使用される。車載カメラ408は、得られた画像データを車両制御装置410に出力する。なお、以下では、車両制御システム102に設けられる、車載カメラ408を含む各種の車載センサから得られるデータを総称してセンサデータと記載することがある。
モニタ装置409は、車両Vの車室内のダッシュボードなどに設けられる。モニタ装置409は、表示部409aと、音声出力部409bと、操作入力部409cと、を有している。
表示部409aは、車両制御装置410の指示に応じて画像を表示するための装置である。表示部409aは、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)などによって構成される。
音声出力部409bは、車両制御装置410の指示に応じて音声を出力するための装置である。音声出力部409bは、たとえば、スピーカによって構成される。
操作入力部409cは、車両V内の乗員の入力を受け付けるための装置である。操作入力部409cは、たとえば、表示部409aの表示画面に設けられるタッチパネルや、物理的な操作スイッチなどによって構成される。操作入力部409cは、受け付けた入力を車載ネットワーク450に出力する。
車両制御装置410は、車両制御システム102を統括的に制御するための装置である。詳細は後述するが、車両制御装置410は、車両Vの現在位置を推定する機能と、推定した現在位置を考慮して車両Vの走行制御を実行する機能と、を有しており、これらの機能によって、駐車場P内における自動運転を実現する。
車両制御装置410は、CPU410aと、ROM410bと、RAM410cと、SSD410dと、表示制御部410eと、音声制御部410fと、を有したECUとして構成されている。
CPU410aは、車両制御装置410を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU410aは、ROM410bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。
ROM410bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
RAM410cは、CPU410aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
SSD410dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置410においては、補助記憶装置として、SSD410dに替えて(またはSSD410dに加えて)、HDDが設けられてもよい。
表示制御部410eは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、車載カメラ408から得られた画像データに対する画像処理や、モニタ装置409の表示部409aに出力する画像データの生成などを司る。
音声制御部410fは、車両制御装置410で実行される各種の処理のうち、主として、モニタ装置409の音声出力部409bに出力する音声データの生成などを司る。
車載ネットワーク450は、制動システム401と、加速システム402と、操舵システム403と、変速システム404と、障害物センサ405と、走行状態センサ406と、通信インターフェース407と、モニタ装置409の操作入力部409cと、車両制御装置410と、を通信可能に接続する。
ところで、実施形態にかかる自動バレー駐車システムでは、前述したように、車両Vが自動運転で到達すべき目標位置の候補としての第1の目標位置が、駐車場Pに対して予め設定された領域データとしての地図データに基づいて特定される。しかしながら、地図データで表される駐車場Pの設定上の構造と、現実の世界における駐車場Pの実際の構造との間には、誤差が存在することがある。この場合、管制装置101が地図データに基づいて特定した第1の目標位置のみに基づく自動運転が実行されると、現実の世界において本来到達すべき目標位置に車両Vが到達せず、自動運転の精度が低下することがある。
そこで、実施形態は、管制装置101および車両制御装置410に次の図5に示されるような機能を持たせることで、自動運転の精度の向上を実現する。
図5は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図5に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現される。すなわち、図5に示される例において、管制装置101の機能は、CPU301がROM302などに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現され、車両制御装置410の機能は、CPU410aがROM410bなどに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図5に示される機能の少なくとも一部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
図5に示されるように、実施形態にかかる管制装置101は、通信制御部511と、センサデータ取得部512と、駐車場データ管理部513と、誘導経路生成部514と、目標位置算出部515と、を有している。
通信制御部511は、車両制御装置410との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部511は、車両制御装置410との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に車両制御装置410から出力される所定の完了通知を受信したり、駐車場Pの地図データや後述する誘導経路、第1の目標位置などを、必要に応じて車両制御装置410に送信したりする。
センサデータ取得部512は、駐車場P内に設けられる監視カメラ103を含む各種の場内センサからセンサデータを取得する。センサデータ取得部512により取得されるセンサデータ(特に監視カメラ103から得られる画像データ)は、たとえば、駐車領域Rの空き状況の把握などに利用することができる。
駐車場データ管理部513は、駐車場Pに関するデータ(情報)を管理する。たとえば、駐車場データ管理部513は、駐車場Pの地図データの管理や、駐車領域Rの空き状況の把握、駐車場P内において自動運転を実行している車両Vに関する情報の把握などを行う。
誘導経路生成部514は、自動駐車および自動出庫が行われる際に車両制御装置410に指示する誘導経路を生成する。より具体的に、誘導経路生成部514は、自動駐車が行われる際においては、降車領域P1から空いている1つの駐車領域Rへと至る概略的な経路を誘導経路として生成し、自動出庫が行われる際においては、車両Vが現在駐車している駐車領域Rから乗車領域P2へと至る概略的な経路を誘導経路として生成する。
目標位置算出部515は、駐車場データ管理部513が管理している地図データと、センサデータ取得部512により取得されたセンサデータに基づいて、自動運転において車両Vが到達すべき目標位置の候補としての第1の目標位置を算出する。なお、前述したように、目標位置とは、自動駐車において駐車領域R内に設定される駐車目標位置や、自動出庫において駐車領域Rの外に設定される出庫目標位置などである。
一方、図5に示されるように、実施形態にかかる車両制御装置410は、機能的構成として、通信制御部521と、センサデータ取得部522と、標示データ取得部523と、地図データ取得部524と、位置推定部525と、経路取得部526と、自動運転実行部527と、第1の目標位置取得部528と、第2の目標位置取得部529と、目標位置設定部530と、を有している。なお、図5に示される例では、これらの機能の全てが単一のECUとしての車両制御装置410内に実現されているが、実施形態では、これらの機能が複数のECU内に分散して実現されてもよい。
通信制御部521は、管制装置101との間で実行される無線通信を制御する。たとえば、通信制御部521は、管制装置101との間で所定のデータを送受信することで車両制御装置410の認証を行ったり、自動駐車および自動出庫が完了した際に所定の完了通知を管制装置101に送信したり、駐車場Pの地図データや誘導経路、第1の目標位置などを、必要に応じて管制装置101から受信したりする。
センサデータ取得部522は、車両制御システム102に設けられる各種の車載センサによって得られるセンサデータを取得する。以下、センサデータとして、車載カメラ408によって得られる画像データが使用される場合について主として説明する。画像データは、車両Vの周辺の路面の状況を表す情報を含んでいるものとする。
標示データ取得部523は、センサデータ取得部522により取得される画像データに基づく画像認識処理を実施することで、上述した区画線Lやマーカなどといった、駐車場Pの路面に設置された路面標示に関する(計算上の)標示データを取得する。
地図データ取得部524は、通信制御部521を介して駐車場Pの地図データを管制装置101から取得する。前述したように、この地図データには、路面標示に関する正規の標示データが含まれている。地図データに含まれる正規の標示データは、標示データ取得部523による画像認識処理の結果として得られる標示データと異なり、駐車場Pの設計に応じて決められた不変のデータである。
位置推定部525は、標示データ取得部523により取得された計算上の標示データと、地図データ取得部524により取得された地図データに含まれる正規の標示データと、を照合することで、車両Vの実位置を推定する。
より具体的に、位置推定部525は、まず、センサデータ取得部522により取得されるセンサデータを利用したいわゆるオドメトリと呼ばれる手法により、車両Vの計算上の実位置を推定する。そして、位置推定部525は、標示データ取得部523により取得された計算上の標示データに基づいて、車両Vに対する路面標示の相対位置を算出し、当該相対位置と、オドメトリに基づいて推定される車両Vの計算上の実位置と、に基づいて、路面標示の計算上の絶対位置を算出する。そして、位置推定部525は、路面標示の計算上の絶対位置と、正規の標示データに基づいて特定される路面標示の正規の絶対位置と、を照合し、オドメトリに基づいて推定される車両Vの計算上の実位置を必要に応じて補正することで、車両Vの(正規の)実位置を推定する。
経路取得部526は、車両Vの自動運転で辿るべき走行経路としての誘導経路を、通信制御部521を介して管制装置101から取得する。
自動運転実行部527は、制動システム401や加速システム402、操舵システム403、変速システム404などを介して車両Vの走行状態を制御することで、駐車場P内における自動運転を実行する。たとえば、自動運転実行部527は、自動運転として、降車領域P1からの発進制御や、降車領域P1から駐車領域Rへの走行制御(駐車制御を含む)、駐車領域Rから乗車領域P2への走行制御(出庫制御を含む)、乗車領域P2への停車制御などを実行する。
より具体的に、自動運転実行部527は、経路取得部526により取得された誘導経路と、位置推定部525により推定された車両Vの実位置と、に基づいて車両Vの走行状態を制御することで、誘導経路に基づいた自動運転を実行する。なお、自動運転実行部527は、車載カメラ408によって得られる画像データを含む、車両制御システム102に設けられる各種の車載センサから出力されるデータを、制御に利用することができる。これにより、自動運転実行部527は、自動運転中の状況の変化に応じて誘導経路を調整しながら自動運転を実行することが可能である。
第1の目標位置取得部528は、管制装置101の目標位置算出部515によって算出された第1の目標位置を、通信制御部521を介して取得する。
ここで、実施形態にかかる車両制御装置410は、地図データに基づいて管制装置101により特定された第1の目標位置の他に、センサデータ取得部522により取得されたセンサデータに基づいて目標位置の他の候補としての第2の目標位置を自身で特定し、第1の目標位置および第2の目標位置のいずれか一方を実際の自動運転における目標位置として状況に応じて選択的に利用するように構成されている。
すなわち、実施形態にかかる車両制御装置410において、第2の目標位置取得部529は、センサデータ取得部522により取得されたセンサデータに基づいて第2の目標位置を取得し、目標位置設定部530は、第1の目標位置と第2の目標位置との関係に基づいて、第1の目標位置と第2の目標位置とのうちいずれか一方を、目標位置として選択的に設定する。
以下、第1の目標位置が優先される状況と、第2の目標位置が優先される状況と、について、いくつかの例を挙げて具体的に説明する。
図6は、実施形態において第1の目標位置が優先される状況の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図6に示される例において、点P601は、駐車領域R601内に設定される第1の目標位置を表しており、矢印D601は、点P601への到達時に車両Vが向くべき方向としての第1の目標方向を表している。なお、第1の目標方向は、第1の目標位置とともに、管制装置101によって特定される。
図6に示される例のように、第2の目標位置を特定するための目安となる区画線Lのような表示が何も無い場合、車載センサからのセンサデータに基づいて駐車領域R601を特定することは困難であるので、第2の目標位置を取得することは困難である。したがって、この場合、車両制御装置410は、点P601で表される第1の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
図7は、実施形態において第1の目標位置が優先される状況の他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図7に示される例において、区画線L701と壁W701との間の駐車領域R701に位置する点P701は、第1の目標位置を表しており、矢印D701は、点P701に対応した第1の目標方向を表している。
図7に示される例においても、第2の目標位置を特定するための目安となる区画線Lが区画線L701の1つだけしか存在しないので、車載センサからのセンサデータに基づいて駐車領域R701を特定することは困難である。したがって、この場合も、第2の目標位置を取得することは困難であるので、車両制御装置410は、点P701で表される第1の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
図8は、実施形態において第1の目標位置が優先される状況のさらに他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図8に示される例において、区画線L801およびL802の間の駐車領域R801内に位置する点P801は、第1の目標位置を表しており、矢印D801は、点P801に対応した第1の目標方向を表している。また、区画線L802およびL803の間の駐車領域R802内に位置する点P802は、第2の目標位置を表しており、矢印D802は、点P802への到達時に車両Vが向くべき方向としての第2の目標方向を表している。なお、第2の目標方向は、第2の目標位置とともに、車両制御装置410によって特定される。
図8に示される例においては、図6および図7に示される例と異なり、目標位置の候補が第1の目標位置と第2の目標位置との2つ存在するので、それらのうちいずれを目標位置として設定するかに選択の余地がある。
そこで、実施形態は、第1の目標位置と第2の目標位置との両方が取得された場合、両者のズレの大きさに着目する。第1の目標位置が含みうる誤差は、比較的小さいと考えられるので、基本的には、第1の目標位置の信頼性は高い。したがって、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが比較的大きい場合は、第2の目標位置よりも第1の目標位置の方を信頼するのが妥当である。
これを踏まえて、図8に示される例においては、第1の目標位置を表す点P801と、第2の目標位置を表す点P802とが、それぞれ互いに異なる駐車領域R801およびR802内に位置しており、この状況は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが比較的大きい状況に該当するといえる。したがって、この場合、車両制御装置410は、点P801で表される第1の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
図9は、実施形態において第2の目標位置が優先される状況の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図9に示される例において、区画線L901およびL902の間の駐車領域R901内に位置する点P901およびP902は、それぞれ、第1の目標位置および第2の目標位置を表している。また、矢印D901およびD902は、それぞれ、点P901に対応した第1の目標方向および点P902に対応した第2の目標方向を表している。
図9に示される例においては、第1の目標位置を表す点P901と、第2の目標位置を表す点P902とが、同じ駐車領域R901内に位置している。この状況は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが比較的小さいといえるので、第2の目標位置がある程度精度よく取得することができているといえる。第2の目標位置は、車両Vの周辺の状況をより近い位置から検出することが可能な車載センサの検出結果に基づいて求められるものであるので、第2の目標位置がある程度精度よく取得することができている場合、基本的には、第2の目標位置の信頼性は高いといえる。
したがって、図9に示される例において、車両制御装置410は、基本的には、点P902で表される第2の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
ただし、例外として、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが比較的小さい場合であっても、第2の目標位置を特定するための目安となる区画線Lに関する標示データとしての区画線データの信頼度が低い場合は、第1の目標位置を優先する方が妥当であるといえる。
たとえば、図9に示される例において、2つの区画線L901およびL902のうち一方に関する区画線データしか検出されていない場合や、2つの区画線L901およびL902の両方が検出されていても所定未満の長さしか持たない部分に関する区画線データしか検出されていない場合などは、区画線データの信頼性が低い場合に該当する。したがって、これらの場合、車両制御装置410は、点P901で表される第1の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
一方、図9に示される例において、2つの区画線L901およびL902の両方について所定以上の長さを持った部分に関する区画線データが検出されている場合などは、区画線データの信頼性が高い場合に該当する。したがって、この場合、車両制御装置410は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが比較的小さい場合における前述した基本的な方法に従って、点P902で表される第2の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
図10は、実施形態において第2の目標位置が優先される状況の他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図10に示される例において、区画線L1001およびL1002の間の駐車領域R1001内に位置する点P1001およびP1002は、それぞれ、第1の目標位置および第2の目標位置を表している。また、矢印D1001およびD1002は、それぞれ、点P1001に対応した第1の目標方向および点P1002に対応した第2の目標方向を表している。
図10に示される例においては、区画線L1001に対して駐車領域R1001とは反対側に隣接する領域R1002内に、障害物O1001が存在しており、区画線L1002に対して駐車領域R1001とは反対側に隣接する領域R1003内にも、障害物O1001が存在している。このような状況では、障害物O1001またはO1002との接触を確実に回避するため、障害物O1001またはO1002の状況をより近い位置から検出することが可能な車載センサの検出結果に基づいて求められる第2の目標位置の方を目標位置として選択するのが妥当だといえる。
したがって、図10に示される例において、車両制御装置410は、点P1002で表される第2の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。
このように、実施形態において、目標位置設定部530は、第1の目標位置は取得されたが第2の目標位置は取得されなかったという関係が存在する場合、第1の目標位置を目標位置として設定し、第1の目標位置と第2の目標位置との両方が取得されたという関係が存在する場合、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレの大きさに応じて、第1の目標位置と第2の目標位置とのうちいずれか一方を目標位置として設定する。このような構成によれば、状況に応じて目標位置を適切に設定することができる。
より具体的に、実施形態において、目標位置設定部530は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値以上である場合、第1の目標位置を目標位置として設定し、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満である場合、第2の目標位置を目標位置として設定する。このような構成によれば、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレの大きさに応じて、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかを適切に選択することができる。
また、実施形態において、目標位置設定部530は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満であっても、区画線データが所定レベル未満のレベルでしか検出されていない場合は、第1の目標位置を目標位置として設定し、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満であり、かつ、区画線データが所定レベル以上のレベルで検出されている場合に、第2の目標位置を目標位置として設定する。このような構成によれば、区画線データの検出レベルに応じて、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかを適切に選択することができる。
また、実施形態において、目標位置設定部530は、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満であり、かつ、区画線データが所定以上のレベルで検出されている場合であっても、障害物データが検出されていない場合は、第1の目標位置を目標位置として設定し、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満であり、区画線データが所定以上のレベルで検出され、かつ、障害物データが検出されている場合に、第2の目標位置を目標位置として設定する。このような構成によれば、障害物データの検出の有無に応じて、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかを適切に選択することができる。
なお、実施形態において、第1の目標位置および第2の目標位置は、次に実行される制御を考慮した位置に設定されうる。たとえば、第1の目標位置および第2の目標位置が自動駐車における駐車目標位置の候補として取得される場合、第1の目標位置および第2の目標位置は、次に実行されることが想定される自動出庫を実現しやすい位置に設定されうる。自動出庫を実現しやすい位置とは、たとえば、車載センサが区画線データを検出しやすい位置や、場内センサが車両Vのナンバープレートなどの識別情報を検出しやすい位置などが考えられる。
また、実施形態では、自動出庫を実現しやすい上記のような位置への自動駐車が適切に実現されるように、駐車領域Rに車両Vをフロント側から進入させるかリヤ側から進入させるかを、状況に応じて選択的に切り替える技術が適用されてもよい。
また、実施形態では、第1の目標位置と第2の目標位置との選択のみならず、第1の目標位置への到達時に車両Vが向くべき第1の目標方向と、第2の目標位置への到達時に車両が向くべき第2の目標方向と、の選択も、上記と同様の選択基準に従って実行されてもよい。
次に、図11~図13を参照して、実施形態にかかる自動バレー駐車システムで実行される処理について説明する。
図11は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動駐車の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図11に示される処理シーケンスは、乗員Xが降車領域P1で端末装置Tを操作することで、自動駐車のトリガとなる所定の指示を行った場合に開始する。
図11に示される処理シーケンスでは、まず、S1101において、管制装置101の通信制御部511と、車両制御装置410の通信制御部521と、が通信を確立する。このS1101で通信が確立すると、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動運転を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
また、S1101で通信が確立すると、管制装置101は、S1102において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
そして、管制装置101の駐車場データ管理部513は、S1103において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、駐車領域Rの空きを確認し、空いている1つの駐車領域Rを、車両Vに与える目標駐車領域として指定する。
そして、管制装置101の誘導経路生成部514は、S1104において、自動駐車の際に車両Vが辿るべき、降車領域P1からS1103で指定した目標駐車領域へと至る誘導経路を生成する。
そして、管制装置101は、S1105において、S1104で生成された誘導経路を車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
一方、車両制御装置410の位置推定部525は、S1102で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521を介して受信された後のS1106において、降車領域P1内における初期位置を推定する。初期位置とは、降車領域P1からの発進の起点となる、降車領域P1内における車両Vの現在位置(実位置)である。初期位置の推定には、上述した自動運転中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図11に示される例では、S1106の処理がS1105の処理の前に実行されているが、S1106の処理は、S1105の処理の後に実行されてもよい。
S1106で初期位置が推定され、かつ、S1105で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521を介して受信されると、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1107において、S1106で推定された初期位置などに基づいて、実際の自動駐車の際に辿るべき、誘導経路に基づいた実際の走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1108において、降車領域P1からの発進制御を実行する。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1109において、S1107で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。このS1109の処理は、標示データ取得部523により取得された標示データを利用した前述のような実位置の推定を伴って実行される。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1110において、目標駐車領域への駐車制御を実行する。
そして、S1110における駐車制御が完了すると、車両制御装置410は、S1111において、駐車完了の通知を管制装置101に通信制御部521を介して送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動駐車が実現される。
なお、S1108~S1110の処理は、第1の目標位置と第2の目標位置とに基づく目標位置の設定を伴って実行されうるが、このような目標位置の設定の際に実行される処理の流れの詳細については、後述するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
図12は、実施形態にかかる管制装置101および車両制御装置410が自動出庫の際に実行する処理の流れを示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。この図12に示される処理シーケンスは、乗員Xが乗車領域P2で端末装置Tを操作することで、自動出庫のトリガとなる所定の呼び出しを行った場合に開始する。
図12に示される処理シーケンスでは、まず、S1201において、管制装置101の通信制御部511と、車両制御装置410の通信制御部521と、が通信を確立する。このS1201で通信が確立すると、図11に示されるS1101と同様に、識別情報(ID)の送受信による認証や、管制装置101の監視下での自動運転を実現するための運行権限の譲受などが実行される。
また、S1201で通信が確立すると、管制装置101は、S1202において、駐車場Pの地図データを車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
そして、管制装置101の駐車場データ管理部513は、S1203において、センサデータ取得部512により取得される情報などに基づいて、通信相手の車両制御装置410を搭載した車両Vが現在位置している駐車領域Rを確認する。
そして、管制装置101の誘導経路生成部514は、S1204において、自動出庫の際に車両Vが辿るべき、S1203で確認された駐車領域Rから乗車領域P2へと至る誘導経路を生成する。
そして、管制装置101は、S1205において、S1204で生成された誘導経路を車両制御装置410に通信制御部511を介して送信する。
一方、車両制御装置410の位置推定部525は、S1202で管制装置101から送信された地図データが通信制御部521を介して受信された後のS1206において、車両Vが現在止まっている駐車領域R内における出庫位置を推定する。出庫位置とは、駐車領域Rからの出庫の起点となる、駐車領域R内における車両Vの現在位置(実位置)である。出庫位置の推定には、上述した自動運転中における実位置の推定と同様に、車載カメラ408によって得られる画像データに基づく画像認識処理の結果が利用されうる。なお、図12に示される例では、S1206の処理がS1205の処理の前に実行されているが、S1206の処理は、S1205の処理の後に実行されてもよい。
S1206で出庫位置が推定され、かつ、S1205で管制装置101から送信された誘導経路が通信制御部521を介して受信されると、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1207において、S1206で推定された出庫位置などに基づいて、実際の自動出庫の際に辿るべき、誘導経路に基づいた実際の走行経路を生成する。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1208において、駐車領域Rからの出庫制御を実行する。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1209において、S1207で生成された走行経路に沿った走行制御を実行する。この走行制御も、図11に示されるS1109における走行制御と同様に、標示データ取得部523により取得された標示データを利用した前述のような実位置の推定を伴って実行される。
そして、車両制御装置410の自動運転実行部527は、S1210において、乗車領域P2への停車制御を実行する。
そして、S1210における停車制御が完了すると、車両制御装置410は、S1211において、出庫完了の通知を管制装置101に通信制御部521を介して送信する。
以上のようにして、自動バレー駐車における自動出庫が実現される。
なお、S1208~S1210の処理は、図11に示されるS1108~S1110の処理と同様、第1の目標位置と第2の目標位置とに基づく目標位置の設定を伴って実行されうる。以下、目標位置の設定の際に実行される処理の流れについてより具体的に説明する。
図13は、実施形態にかかる車両制御装置410が自動運転における目標位置を設定するために実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図13に示される処理フローでは、まず、S1301において、車両制御装置410の第1の目標位置取得部528は、管制装置101によって算出された目標位置の候補としての第1の目標位置を、通信制御部521を介して管制装置101から取得する。
そして、S1302において、車両制御装置410のセンサデータ取得部522は、車載カメラ408を含む車載センサの検出結果としてのセンサデータを取得する。ここで取得されるセンサデータは、前述した区画線データおよび障害物データを含んでいる可能性がある。
そして、S1303において、車両制御装置410の第2の目標位置取得部529は、S1302で取得されたセンサデータ、目標位置の他の候補としての第2の目標位置を取得する。S1302で取得されたセンサデータが区画線データを含んでいる場合は、区画線データに基づいて、第2の目標位置を容易に特定することが可能である。
そして、S1304において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1303において第2の目標位置が取得されたか否かを判断する。
S1304において、第2の目標位置が取得されなかったと判断された場合、第1の目標位置を目標位置として設定するしか選択の余地が無い。したがって、この場合、S1305に処理が進み、S1305において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1301で取得された第1の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。そして、処理が終了する。
一方、S1304において、第2の目標位置が取得されたと判断された場合、第1の目標位置だけでなく第2の目標位置も目標位置として設定しうる。したがって、この場合、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかを選択するために、S1306に処理が進む。そして、S1306において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1301で取得された第1の目標位置と、S1303で取得された第2の目標位置と、のズレが閾値未満か否かを判断する。
S1306において、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値以上であると判断された場合、前述したように、第1の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である。したがって、この場合、S1305に処理が進み、S1305において、第1の目標位置が目標位置として設定され、処理が終了する。
一方、S1306において、第1の目標位置と第2の目標位置とのズレが閾値未満であると判断された場合、前述したように、第2の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である可能性がある。したがって、この場合、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかをより詳細に選択するために、S1307に処理が進む。そして、S1307において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1303で取得された第2の目標位置の根拠となる区画線データが所定レベル以上のレベルで検出されているか否かを判断する。
S1307において、区画線データが所定レベル未満のレベルで検出されていると判断された場合、前述したように、第1の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である。したがって、この場合、S1305に処理が進み、S1305において、第1の目標位置が目標位置として設定され、処理が終了する。
一方、S1307において、区画線データが所定レベル以上のレベルで検出されていると判断された場合、第2の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である可能性がある。したがって、この場合、第1の目標位置と第2の目標位置とのいずれを目標位置として設定するかをさらに詳細に選択するために、S1308に処理が進む。そして、S1308において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1303で取得されたセンサデータとして障害物データが検出されているか否かを判断する。
S1308において、障害物データが検出されていないと判断された場合、前述したように、第1の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である。したがって、この場合、S1305に処理が進み、S1305において、第1の目標位置が目標位置として設定され、処理が終了する。
一方、S1308において、障害物データが検出されていると判断された場合、前述したように、第2の目標位置を目標位置として設定するのが妥当である。したがって、この場合、S1309に処理が進み、S1309において、車両制御装置410の目標位置設定部530は、S1303で取得された第2の目標位置を、自動運転における目標位置として設定する。そして、処理が終了する。
以上説明したように、実施形態にかかる車両制御装置410は、自動運転実行部527と、第1の目標位置取得部528と、第2の目標位置取得部529と、目標位置設定部530と、を備えている。自動運転実行部527は、所定の領域としての駐車場P内に設定される目標位置に車両Vを到達させるように自動運転を実行する。第1の目標位置取得部528は、駐車場Pに対して予め設定された領域データとしての地図データに基づいて特定される目標位置の候補としての第1の目標位置を取得する。第2の目標位置取得部529は、車両Vの周辺の状況を検出する車載カメラ408を含む車載センサによって得られるセンサデータに基づいて特定される目標位置の他の候補としての第2の目標位置を取得する。目標位置設定部530は、第1の目標位置と第2の目標位置との関係に基づいて、第1の目標位置と第2の目標位置とのうちいずれか一方を目標位置として設定する。
実施形態にかかる車両制御装置410によれば、第1の目標位置と第2の目標位置とのうちいずれか一方を目標位置として選択的に設定することができるので、たとえば目標位置の候補が第1の目標位置だけしか存在しない場合と異なり、自動運転の精度の向上を実現することができる。
<変形例>
なお、上述した実施形態では、本開示の技術が自動バレー駐車システムに適用される場合が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、所定の領域内における車両の自動運転を実現する自動運転制御システムであれば、自動バレー駐車システム以外の自動運転制御システムにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、地図データを通信によって管制装置101から取得する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、地図データを予め車両制御装置410に記憶しておく構成も考えられる。
同様に、上述した実施形態では、管制装置101から通信によって取得された誘導経路に基づいて車両制御装置410側で走行経路を生成する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、車載カメラ408を含む、車両制御システム102に設けられる各種の車載センサから取得されるセンサデータに基づいて、走行経路を車両制御装置410側のみで適宜生成する構成も考えられる。
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。