JP7157659B2 - 水系顔料分散体 - Google Patents
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Description
また、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いる水系インクが主流となってきている。しかしながら、樹脂製印刷媒体は非吸水性であり、水系インクが印刷媒体内部に浸透しないため、水系インク中に含まれる顔料粒子は印刷媒体の表面上に残留する。そのため、従来の水系インクでは該印刷媒体への密着性、耐擦過性が十分でなく、これらを改善する種々の試みがなされてきた。
特許文献2には、優れた分散性等を発揮する顔料水性分散体組成物、及び得られる塗膜が優れた画像濃度等を示すとともに優れた光沢を示す水性インキ組成物の提供を目的として、特定の水性ポリウレタン分散樹脂、顔料及び分散剤を含む顔料水性分散体組成物等が開示されている。
特許文献3には、優れた光沢性及びインク組成物の保存安定性等を有する顔料分散液等を提供することを目的として、顔料と、水性媒体と、疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂と、ウレタン樹脂と、架橋剤とを少なくとも含み、前記架橋剤の添加量の有効固形分重量比(架橋剤の量/(疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂と、ウレタン樹脂との合計量))が特定の範囲である顔料分散液等が開示されている。
特許文献4には、PET、PVC、PP、NY等の樹脂製記録媒体への密着性及び光沢性に優れ、印刷後の記録媒体保管時の耐ブロッキング性にも優れる水系インクとして、着色剤、ポリエステル樹脂粒子、及び変性ポリオレフィン樹脂粒子を含有し、ポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂が、特定の範囲のガラス転移温度の非晶質ポリエステルを含み、ポリエステル樹脂粒子と変性ポリオレフィン樹脂粒子の質量比が特定の範囲である水系インクが開示されている。
特許文献1の技術では、非吸水性印刷媒体に対する密着性はある程度改善されるものの、高い印字濃度を確保することができない。特許文献2の技術では、普通紙に印刷した際の印字濃度は向上するものの、非吸水性印刷媒体に対する密着性及び印字濃度を共に満足しうるものではない。特許文献3の技術では、インク組成物の保存安定性は向上するが、非吸水性印刷媒体に対する密着性及び印字濃度が十分でない。このように、近年高まる保存安定性の向上及び非吸水性印刷媒体に対する優れた密着性と高い印字濃度との両立への要求を満たすには至っていない。
本発明は、保存安定性に優れ、水系インクに用いることにより、非吸水性印刷媒体に対する優れた密着性を維持しつつ、高い印字濃度を有する水系顔料分散体、及び該水系顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明者は、優れた保存安定性を維持でき、その一方で、印刷時のように印刷媒体表面上でインクビヒクルが乾燥する環境では顔料粒子が局所的に凝集することなく、顔料粒子と印刷媒体との接着力を強固に維持できる性能を得ることを目指し、少なくとも2種の異なる樹脂を含有するポリマー分散剤で顔料を分散させることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
[1]顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、
該ポリマー分散剤が、(メタ)アクリル系樹脂(A)と樹脂(B)とを含有し、
該樹脂(B)が、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種である、水系顔料分散体。
[2]下記工程1及び工程2を有する、水系顔料分散体の製造方法。
工程1:顔料と、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種である樹脂(B)とを含む顔料混合物を分散処理して分散体を得る工程
工程2:工程1で得られた分散体を、架橋剤(C)を用いて架橋する工程
本発明の水系顔料分散体は、顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、該ポリマー分散剤が、(メタ)アクリル系樹脂(A)と樹脂(B)とを含有し、該樹脂(B)が、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種である。
なお、「水系媒体」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めている媒体を意味する。
本発明の水系顔料分散体は、保存安定性に優れ、優れた密着性と高い印字濃度とを有する良好な印刷物を得ることができるため、フレキソ印刷インキ用、グラビア印刷インキ用、又はインクジェットインク用の水系顔料分散体として好適に用いることができ、特にインクジェットインク用水系顔料分散体として用いることが好ましい。
本発明の水系顔料分散体は、顔料表面にポリマー分散剤が吸着又は固定化された状態で、顔料が水系媒体中で分散していると推定される。そして、該ポリマー分散剤が(メタ)アクリル系樹脂と、酸変性ポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種とを含有することにより、(メタ)アクリル系樹脂は水系媒体中で顔料を安定に分散させ、酸変性ポリオレフィン樹脂又は塩化ビニル系樹脂は非吸水性印刷媒体に対する密着性を向上させることができると考えられる。更に、(メタ)アクリル系樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種とを含有するポリマー分散剤で顔料を分散し、顔料表面に少なくとも2種の樹脂が吸着又は固定されているため、インクビヒクルの塗膜形成及び乾燥時に樹脂の相分離が起こり難く、表面が平滑な塗膜となり、印字濃度が向上すると推定される。
本発明で用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
色相は特に限定されず、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料;イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
顔料は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、顔料含有ポリマー粒子として含有されることが好ましい。
本発明で用いられるポリマー分散剤は、(メタ)アクリル系樹脂(A)と樹脂(B)とを含有する。
水系顔料分散体中の(メタ)アクリル系樹脂(A)に対する樹脂(B)の質量比[樹脂(B)/(メタ)アクリル系樹脂(A)]は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは1.5以上、より更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下である。
水系顔料分散体中でのポリマー分散剤の存在形態は、顔料にポリマー分散剤が吸着している形態、顔料をポリマー分散剤が含有している顔料内包(カプセル)形態、及び顔料にポリマー分散剤が吸着していない形態がある。顔料の分散安定性の観点から、本発明においては顔料をポリマー分散剤が含有する形態、即ち顔料含有ポリマー粒子の形態が好ましく、顔料をポリマー分散剤が含有している顔料内包状態がより好ましい。
本発明で用いられる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、顔料の分散安定性の観点から、好ましくは酸基を有し、該酸基のうち少なくとも一部が中和剤で中和されていることが好ましい。これにより、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、水系顔料分散体における顔料粒子の凝集を抑制し、増粘を抑制することができ、保存安定性が向上すると考えられる。
該酸基としては、カルボキシ基(-COOM1)、スルホン酸基(-SO3M1)、リン酸基(-OPO3M1 2)等の解離して水素イオンが放出されることにより酸性を呈する基、又はそれらの解離したイオン形(-COO-、-SO3 -、-OPO3 2-、-OPO3 -M1)等が挙げられる。上記化学式中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。これらの中でも、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、カルボキシ基(-COOM1)が好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸価は、構成するモノマーの質量比から算出することができる。また、適当な有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))に(メタ)アクリル系樹脂(A)を溶解又は膨潤させて滴定する方法でも求めることができる。
(a-1)カルボキシ基含有モノマーは、顔料の分散安定性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)のモノマー成分として用いられることが好ましい。(a-1)カルボキシ基含有モノマーとしては、カルボン酸モノマーが用いられる。
該カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
(a-2)疎水性モノマーは、ポリマー分散剤の顔料への吸着性を向上させ、顔料の分散安定性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)のモノマー成分として用いられることが好ましい。
本明細書において「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。(a-2)疎水性モノマーの前記溶解量は、ポリマー分散剤の顔料への吸着性の観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
(a-2)疎水性モノマーとしては、好ましくは脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び芳香族基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種である。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(a-2)疎水性モノマーは、前記のモノマーを2種以上使用してもよく、スチレン系モノマーと芳香族基含有(メタ)アクリレートを併用してもよい。
(a-3)マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、顔料の分散安定性を向上させる観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)のモノマー成分として用いることができる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(a-3)マクロモノマーの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(a-3)マクロモノマーとしては、顔料の分散安定性の観点から、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー及びシリコーン系マクロモノマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記(a-2)疎水性モノマーで記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS-6(S)、AN-6(S)、HS-6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(a-4)ノニオン性モノマーは、顔料の分散安定性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)のモノマー成分として用いることができる。
(a-4)ノニオン性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(n=2~30、nはオキシプロピレン基の平均付加モル数を示す。以下のnは当該オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(n=1~30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1~30、その中のエチレングリコール:n=1~29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレートが好ましく、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレートがより好ましい。
商業的に入手しうる(a-4)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM-20G、同40G、同90G、同230G等、日油株式会社のブレンマーPE-90、同200、同350等、PME-100、同200、同400等、PP-500、同800、同1000等、AP-150、同400、同550等、50PEP-300、50POEP-800B、43PAPE-600B等が挙げられる。
以上のとおり、本発明で用いられる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、顔料の分散安定性を向上させる観点から、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の(a-1)カルボキシ基含有モノマー由来の構成単位と、脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート及び芳香族基含有モノマーから選ばれる1種以上の(a-2)疎水性モノマー由来の構成単位とを含有するビニル系ポリマーであることが好ましく、更に(a-3)マクロモノマー由来の構成単位、及び(a-4)ノニオン性モノマー由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーであってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)製造時における、(a-1)及び(a-2)成分のモノマー混合物A中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は(メタ)アクリル系樹脂(A)中における(a-1)及び(a-2)成分に由来する構成単位の含有量は、顔料の分散安定性の観点から、次のとおりである。
(a-1)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは75質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
(a-2)成分の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
(a-1)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは28質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
(a-2)成分の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
(a-3)成分を含有する場合、(a-3)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(a-4)成分を含有する場合、(a-4)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
また、(a-3)成分を含有する場合、[(a-1)成分/〔(a-2)成分+(a-3)成分〕]の質量比は、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下、より更に好ましくは0.5以下である。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、前記モノマー混合物Aを塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上5以下のケトン類、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t-ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物A 1モルあたり、好ましくは0.001モル以上5モル以下、より好ましくは0.01モル以上2モル以下である。
重合連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、2-メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
なお、数平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
本発明で用いられる樹脂(B)は、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種である。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)は、好ましくは不飽和カルボン酸系化合物で変性されたポリオレフィンである。変性前のポリオレフィンは、好ましくはオレフィンの単独重合体又は2種以上のオレフィンの共重合体であり、具体的には、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体、又はランダム共重合体のいずれを用いることもできる。
前記プロピレン-α-オレフィン共重合体における、α-オレフィンの炭素数は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。前記α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。
これらの中でも、変性前のポリオレフィンは、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくはポリプロピレン又はプロピレン-α-オレフィン共重合体である。
前記プロピレン-α-オレフィン共重合体の場合、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、該共重合体中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
不飽和カルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、ナジック酸及びこれらの無水物、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイミド、N-フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、マレイン酸の無水物が好ましい。
酸変性の方法としては、ポリオレフィンの合成時に不飽和カルボン酸系化合物を用いて共重合させる方法や、ポリオレフィンに対しグラフト変性させる方法が挙げられる。
不飽和カルボン酸系化合物のグラフト量は、酸変性前のポリオレフィンに対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
溶融法による場合には、ラジカル反応開始剤の存在下でポリオレフィンを加熱融解(加熱溶融)して反応させる。
溶液法による場合には、ポリオレフィンを有機溶剤に溶解させた後、ラジカル反応開始剤の存在下に加熱撹拌して反応させる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。反応の際の温度は、好ましくは100℃以上180℃以下である。溶融法及び溶液法で用いるラジカル反応開始剤としては、有機過酸化物系化合物、アゾニトリル類等が挙げられる。
塩素化反応は、通常の反応方法で実施することができる。例えば、前述の酸変性ポリオレフィンを水又は四塩化炭素、クロロホルム等の媒体に分散又は溶解し、触媒の存在下あるいは紫外線の照射下において加圧又は常圧下に50℃以上120℃以下の温度範囲で塩素ガスを吹き込むことにより行われる。酸変性ポリオレフィンの塩素化反応で用いられる塩素系溶媒は、通常、減圧などにより留去、あるいは有機溶剤で置換される。
塩素化反応された酸変性ポリオレフィンの塩素含有率は、好ましくは10質量%以上、より好ましく20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。本明細書における塩素含有率はJIS-K7229:1995に準じて測定した値である。
本発明で用いられる塩化ビニル系樹脂(B2)は、塩化ビニル由来の構成単位を含み、必要に応じて塩化ビニル以外の他のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、前述の(メタ)アクリル系樹脂(A)で挙げた脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及び芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂(B2)は、国際公開第2010/140647号に示されるように、スチレン/アクリル酸エステルオリゴマー又はアクリル酸エステルオリゴマーの存在下、塩化ビニルと必要に応じて他のモノマーとを乳化重合することにより得ることができる。
塩化ビニル系樹脂(B2)の市販品としては、日信化学工業株式会社製、ビニブラン(登録商標)シリーズの、700、701等が挙げられる。
ポリマー分散剤は、(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)以外の他の樹脂を含有してもよいが、ポリマー分散剤中の(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量は、保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
本発明において、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、少なくとも(メタ)アクリル系樹脂(A)は架橋剤(C)で架橋されていることが好ましい。
本発明で用いられる架橋剤(C)は、水を主体とする媒体中で効率よく(メタ)アクリル系樹脂(A)と反応させる観点、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、該架橋剤(C)の水溶率(質量比)が好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下である。ここで、水溶率%(質量比)とは、室温25℃にて水90質量部に架橋剤(C)10質量部を溶解したときの溶解率(%)をいう。
架橋剤(C)の分子量は、反応容易性、及び水系顔料分散体の保存安定性の観点から、好ましくは120以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上であり、そして、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である。
架橋剤(C)のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下である。
架橋剤(C)のエポキシ基の数は、効率よく酸基と反応させて水系顔料分散体の保存安定性を高める観点から、1分子あたり2以上であり、そして、1分子あたり好ましくは6以下、市場入手性の観点から、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。
本発明における架橋度は(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸価と架橋剤(C)の架橋性官能基の当量から計算される見かけの架橋度である。
樹脂(B)が酸基を有する場合、すなわち樹脂(B)として酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)を用いる場合、又は樹脂(B)として塩化ビニル系樹脂(B2)が酸基を有する場合であって、更に架橋剤(C)を用いて架橋する場合、樹脂(B)が有する酸基と架橋剤(C)との間でも架橋構造が形成されるが、本発明においては、ポリマー分散剤の架橋度を制御し、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度を向上させる観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基のモル当量数に対する架橋剤(C)の架橋性官能基のモル当量数の比を架橋度の指標とする。
本発明においては、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)が有する酸基の一部が後述する中和剤により中和され、更に該(メタ)アクリル系樹脂(A)が有する酸基の一部が架橋剤(C)で架橋されてなる架橋構造を有することにより、架橋されたポリマー分散剤(以下、「架橋ポリマー分散剤」ともいう)で顔料を水系媒体に分散させた水系顔料分散体であることが好ましい。
本発明の水系顔料分散体においてポリマー分散剤は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、架橋構造として下記式(1)で表される3つ以上の分岐構造を有することが好ましい。
本発明の水系顔料分散体が前述の第2の態様である場合、保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)及び塩化ビニル系樹脂(B2)のいずれもが酸基を有し、(メタ)アクリル系樹脂(A)及び塩化ビニル系樹脂(B2)が架橋剤(C)で架橋されてなることが好ましい。
水系顔料分散体中の顔料と(メタ)アクリル系樹脂(A)との合計量に対する顔料の質量比[顔料/(顔料+(メタ)アクリル系樹脂(A))]は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性、印字濃度及び生産性の観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上であり、そして、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.85以下である。
本発明の水系顔料分散体は、顔料と、(メタ)アクリル系樹脂(A)と、樹脂(B)とを含有する混合物を分散処理する方法や、顔料と、(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)のいずれか一方とを分散処理した後、更に他方を添加する方法等により製造することができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)は、それぞれポリマー粒子を水系媒体中に分散した分散体として用いてもよく、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有していてもよい。該分散体は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の市販品としては、例えば、「ジョンクリル390」、「ジョンクリル7100」、「ジョンクリル734」、「ジョンクリル538」(以上、BASFジャパン株式会社製、商品名)等のアクリル樹脂等の分散体が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)の市販品としては、前述のものが挙げられる。
工程1:顔料と、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、樹脂(B)とを含む顔料混合物を分散処理して分散体を得る工程
(メタ)アクリル系樹脂(A)が酸基を有する場合、本発明の水系顔料分散体は、保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、更に、工程1の前に下記工程1-1及び工程1-2を有する方法により製造することが好ましい。
工程1-1:顔料を、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)で分散して予備分散体を得る工程
工程1-2:工程1-1で得られた予備分散体に樹脂(B)のエマルションを添加して、顔料と、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、樹脂(B)とを含む顔料混合物を得る工程
工程1-1では、まず、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)を有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)の有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、顔料の順に加えることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)を溶解させる有機溶媒に制限はないが、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、顔料への濡れ性、(メタ)アクリル系樹脂(A)の溶解性、及び(メタ)アクリル系樹脂(A)の顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基の一部は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性、印字濃度及び生産性の観点から、中和剤を用いて中和されることが好ましい。中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、アルカリ金属水酸化物、アンモニア等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムが挙げられるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。中和剤は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。また、(メタ)アクリル系樹脂(A)を予め中和しておいてもよい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、前記と同様の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
中和剤の使用当量は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、次式によって求めることができる。中和剤の使用当量が100モル%以下の場合、中和度と同義であり、次式で中和剤の使用当量が100モル%を超える場合には、中和剤が(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基に対して過剰であることを意味し、この時の(メタ)アクリル系樹脂(A)の中和度は100モル%とみなす。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸価(mgKOH/g)×(メタ)アクリル系樹脂(A)の質量(g)}/(56×1,000)]〕×100
予備分散体中の各成分の含有量は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性、印字濃度及び生産性の観点から、以下のとおりである。
工程1-1における顔料の予備分散体中の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
工程1-1における(メタ)アクリル系樹脂(A)の予備分散体中の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
工程1-1における有機溶媒の予備分散体中の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
工程1-1における水の予備分散体中の含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
工程1-1における分散処理の温度は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下である。
工程1-1における分散時間は、好ましくは0.5時間以上であり、そして、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下、より更に好ましく3時間以下である。
工程1-2は、工程1-1で得られた予備分散体に樹脂(B)のエマルションを添加して、顔料と、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、樹脂(B)とを含む顔料混合物を得る工程である。
樹脂(B)のエマルションは、樹脂(B)粒子が水系媒体に分散されてなる。必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有していてもよい。樹脂(B)のエマルションは、印刷媒体への密着性を向上させ、印字濃度の高い印刷物を得るための定着エマルションとしても作用する。
顔料混合物中の各成分の含有量は、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性、印字濃度及び生産性の観点から、以下のとおりである。
顔料混合物中の顔料の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
顔料混合物中の(メタ)アクリル系樹脂(A)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
顔料混合物中の樹脂(B)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
顔料混合物中の有機溶媒の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
顔料混合物中の水の含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
顔料混合物中の(メタ)アクリル系樹脂(A)に対する樹脂(B)の質量比[樹脂(B)/(メタ)アクリル系樹脂(A)]は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは1.5以上、より更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7以下、より更に好ましくは5以下である。
剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidic社製)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製)、ピコミル(淺田鉄工株式会社製)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは150MPa以上であり、そして、好ましくは300MPa以下、より好ましくは250MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは3以上、より好ましくは7以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
本発明の水系顔料分散体は、保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、工程1に加えて、更に下記工程2を有することが好ましい。
工程2:工程1で得られた分散体を、架橋剤(C)を用いて架橋する工程
工程2より、架橋ポリマー分散剤で顔料を水系媒体に分散させた水系顔料分散体が得られる。
本発明においては、工程1により、(メタ)アクリル系樹脂(A)が有する酸基の一部を中和して顔料を分散させ、分散体を得た後、工程2により、更に該(メタ)アクリル系樹脂(A)が有する酸基の一部を架橋剤(C)と反応させて架橋構造を形成させ、架橋ポリマー分散剤で顔料を水系媒体に分散させた水系顔料分散体とすることが好ましい。
更に、前述のとおり、(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)のいずれもが酸基を有する場合、ポリマー分散剤を構成する(メタ)アクリル系樹脂(A)及び樹脂(B)のそれぞれの酸基の一部が架橋剤(C)で架橋され、(メタ)アクリル系樹脂(A)鎖間、樹脂(B)鎖間及び(メタ)アクリル系樹脂(A)鎖と樹脂(B)鎖との間が架橋剤(C)で架橋されてなる架橋構造が形成されると考えられる。
工程2では、工程1で得られた分散体と架橋剤(C)とを混合し、架橋処理することが好ましい。
工程2における架橋剤(C)の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基のモル当量数に対する架橋剤(C)の架橋性官能基のモル当量数の比で、水系顔料分散体の保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは0.12以上、より好ましくは0.16以上、更に好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは0.65以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、より更に好ましくは0.3以下である。
架橋処理の温度は、前記と同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。
更に、得られた水系顔料分散体は、顔料含有ポリマー粒子に加えて、更に樹脂(B)粒子が水系媒体中に分散している形態、すなわち顔料を含有しない樹脂(B)粒子の形態をとっていてもよい。
なお、水系顔料分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
水系顔料分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点、更にインクジェット記録用水系顔料分散体として用いる場合には水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは160nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
なお、水系顔料分散体の平均粒径、好ましくは顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
また、水系インク中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、水系顔料分散体中の平均粒径と同じであり、好ましい平均粒径の態様は、水系顔料分散体中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
本発明の水系顔料分散体は、水系インク(以下、「水系インク」又は「インク」ともいう)に含有させて用いることが好ましい。これにより、水系インクの保存安定性、並びに非吸水性印刷媒体に対する密着性及び印字濃度を高めることができる。本発明の水系顔料分散体は、そのまま水系インクとして使用することができるが、水系インクの保存安定性、密着性及び印字濃度を向上させる観点から、更に有機溶媒を含有することが好ましい。該有機溶媒は、沸点90℃以上の有機溶媒を1種以上含むことが好ましい。該有機溶媒の沸点の加重平均値は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
前記有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。これらの中では、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、プロピレングリコールが更に好ましい。
顔料を含有しないポリマー粒子を構成するポリマーとしては、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等の縮合系ポリマー;アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂等のビニル系ポリマーが挙げられる。
顔料を含有しないポリオレフィン樹脂粒子の分散体の市販品としては、前述の酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)と同様のものが挙げられる。
顔料を含有しないポリウレタン樹脂粒子の分散体の市販品としては、「NeoRez R-9603」(DSM Coating Resins社製、商品名)、「WBR-2018」「WBR-2000U」(大成ファインケミカル株式会社製、商品名)等が挙げられる。
顔料を含有しないポリエステル樹脂粒子の分散体としては、例えば、「エリーテルKA-5034」、「エリーテルKA-5071S」、「エリーテルKZA-1734」、「エリーテルKZA-6034」、「エリーテルKZA-1449」、「エリーテルKZA-0134」、「エリーテルKZA-3556」(以上、ユニチカ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
顔料を含有しないビニル系ポリマー粒子の分散体の市販品としては、例えば、「Neocryl A-1127」(DSM Coating Resins社製、商品名、アニオン性自己架橋水系アクリル樹脂)、「ジョンクリル390」、「ジョンクリル7100」、「ジョンクリル7600」、「ジョンクリル537J」、「ジョンクリルPDX-7164」、「ジョンクリル538J」、「ジョンクリル780」(BASFジャパン株式会社製、商品名)等のアクリル樹脂、「SR-100」、「SR102」(以上、日本エイアンドエル株式会社製、商品名)等のスチレン-ブタジエン樹脂、及び「ビニブラン700」、「ビニブラン701」(日信化学工業株式会社製、商品名)等の塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
水系インク中の、顔料を含有しないポリマー粒子の水分散体の配合量は、水系インクの保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、固形分として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
水系インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
水系インク中の顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましく7質量%以下である。
(顔料とポリマー分散剤との合計含有量)
水系インク中の顔料とポリマー分散剤との合計含有量は、密着性の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは7質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
(有機溶媒の含有量)
水系インク中の有機溶媒の含有量は、水系インクの保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましく15質量%以下である。
(水の含有量)
水系インク中の水の含有量は、水系インクの保存安定性、並びに密着性及び印字濃度の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
水系インクの32℃の粘度は、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、更に好ましくは7mPa・s以下である。
水系インクの粘度は、E型粘度計を用いて測定できる。
水系インクの20℃のpHは、保存安定性の観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上である。また、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9.5以下である。
水系インクのpHは、常法により測定できる。
インクジェット記録装置としては、サーマル式及びピエゾ式があるが、本発明の水系顔料分散体を含有する水系インクは、ピエゾ式のインクジェット記録用水系インクとして用いることがより好ましい。
用いることができる印刷媒体としては、高吸水性の普通紙、低吸水性のコート紙、非吸水性の樹脂フィルムが挙げられる。コート紙としては、汎用光沢紙、多色フォームグロス紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、好ましくはポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムから選ばれる少なくとも1種である。当該樹脂フィルムは、コロナ処理された基材を用いてもよい。
一般的に入手できる樹脂フィルムとしては、例えば、ルミラーT60(東レ株式会社製、ポリエステル)、PVC80B P(リンテック株式会社製、塩化ビニル)、DGS-210WH(ローランドディージー株式会社製、塩化ビニル)、透明塩ビRE-137(株式会社ミマキエンジニアリング製、塩化ビニル)、カイナスKEE70CA(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、ユポSG90 PAT1(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、FOR、FOA(いずれもフタムラ化学株式会社製、ポリプロピレン)、ボニールRX(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)、エンブレムONBC(ユニチカ株式会社製、ナイロン)等が挙げられる。
なお、調製例、実施例及び比較例で得られた分散体の各種物性を、下記方法により測定、評価した。
N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolumn SuperAW-H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中に(メタ)アクリル系樹脂(A)0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC-13HP PTFE 0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システム「ELS-8000」(キュムラント解析)を用いて測定されるキュムラント平均粒径を、水系顔料分散体の平均粒径とした。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、通常5×10-3%程度で行った。
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)60部、スチレン(和光純薬工業株式会社製)130部、α-メチルスチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)10部を混合しモノマー混合液を調製した。反応容器内に、MEK20部、2-メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に、行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残り(前記モノマー混合液の90%)、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、(メタ)アクリル系樹脂(A-1)(酸価:234mgKOH/g、数平均分子量:11,000)の溶液を得た。
メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)30部、スチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)100部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS-6S、数平均分子量:6,000、固形分濃度50%)60部(固形分として30部)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP-800、プロピレンオキシド平均付加モル数13、末端:水酸基)40部を混合し、モノマー混合液を調製した。反応容器内に、メチルエチルケトン(MEK)20部及び2-メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、前記モノマー混合液の残り(前記モノマー混合液の90%)、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部、及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))2.2部の混合液を入れ、以降は調製例1と同様にして、(メタ)アクリル系樹脂(A-2)(酸価:98mgKOH/g、数平均分子量:50,000)の溶液を得た。
実施例101
(工程1-1)
調製例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた(メタ)アクリル系樹脂(A-1)35部をMEK40部と混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分16.9%、和光純薬工業株式会社製、容量滴定用)14部を加え、中和剤の使用当量が40モル%になるように(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を中和した。更にイオン交換水180部を加え、その中にカーボンブラック顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名「Monarch717」)100部を加え、ディスパー(淺田鉄工株式会社製、商品名「ウルトラディスパー」)を用いて、20℃でディスパー翼を7,000rpmで回転させる条件で60分間撹拌し、予備分散体(101)を得た。
(工程1-2)
工程1-1で得られた予備分散体(101)に対し、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1-1)エマルション(酸変性ポリプロピレンエマルション、商品名「アウローレンAE-202」、日本製紙株式会社製、固形分30.8%)351部(有効固形分108.2部)、MEK40部、イオン交換水(W1)を400部加え、顔料混合物を得た。
(工程1)
工程1-2で得られた顔料混合物を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)を用いて200MPaの圧力で10パス分散処理し、分散液を得た。
得られた分散液にイオン交換水(W2)を200部加え、撹拌した後、減圧下、60℃でMEKを除去し、更に一部の水を除去し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が25%の水系顔料分散体(d1-1)を得た。
(工程2)
実施例101で得られた水系顔料分散体(d1-1)100部をねじ口付きガラス瓶に取り、架橋剤(C)としてトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「デナコールEX-321L」、エポキシ当量129)0.47部を加えて密栓し、スターラーで撹拌しながら70℃で5時間加熱した。その後、室温まで降温し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過して、固形分濃度が25%の水系顔料分散体(D1-2)を得た。
実施例101の工程1-2における酸変性ポリオレフィン樹脂(B1-1)エマルションを188部(有効固形分57.9部)、MEKを30部、イオン交換水(W1)を340部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-3)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-3)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.6部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―3)を得た。
実施例101の工程1-1における(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を47部、5N水酸化ナトリウム水溶液を19部、イオン交換水を190部に変更し、工程1-2における酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルションを143部(有効固形分44部)、MEKを35部、イオン交換水(W1)を300部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-4)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-4)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.81部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―4)を得た。
実施例101の工程1-2における酸変性ポリオレフィン樹脂(B1-1)エマルションを80部(有効固形分24.6部)、MEKを30部、イオン交換水(W1)を300部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-5)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-5)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.73部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―5)を得た。
実施例101の工程1-1における(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を18部、5N水酸化ナトリウム水溶液を7部、イオン交換水を75部に変更し、工程1-2における酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルションを71部(固形分21.9部)、MEKを30部、イオン交換水(W1)を260部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-6)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-6)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.42部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―6)を得た。
実施例101の工程1-1における(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を18部、イオン交換水を160部に変更し、工程1-2における酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルションを13部(有効固形分4.0部)、MEKを25部、イオン交換水(W1)を230部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-7)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-7)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.49部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―7)を得た。
実施例101の工程1-1における(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を調製例2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた(メタ)アクリル系樹脂(A-2)に、5N水酸化ナトリウム水溶液を13.4部に変更し、工程1-2における酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルションを204部(有効固形分62.8部)、MEKを35部、イオン交換水(W1)を340部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-8)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-8)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.24部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1-8)を得た。
実施例101の工程1-2における酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルションを酸変性ポリオレフィン(B1-2)エマルション(酸変性ポリプロピレンエマルション、商品名「ハードレンNZ-1004」、東洋紡株式会社、有効固形分30%)193部(有効固形分57.9部)に、MEKを35部、イオン交換水(W1)を340部に変更した以外は、実施例101と同様の手順で水系顔料分散体(d1-9)を得た。次いで、実施例102の工程2における水系顔料分散体(d1-1)を水系顔料分散体(d1-9)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.6部に変更した以外は、実施例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―9)を得た。
(工程1’-1)
酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルション(酸変性ポリプロピレンエマルション、商品名「アウローレンAE-202」、日本製紙株式会社製、固形分30.8%)303部をMEK20部、イオン交換水30部と混合し、その中にカーボンブラック顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名「Monarch 717」)100部を加え、ディスパー(淺田鉄工株式会社製、商品名「ウルトラディスパー」)を用いて、20℃でディスパー翼を7,000rpmで回転させる条件で60分間撹拌し、予備分散体(101’)を得た。
(工程1’-2)
工程1’-1で得られた予備分散体(101’)に対し、イオン交換水(W1)を300部加え、顔料混合物を得た。
(工程1’)
工程1’-2で得られた顔料混合物を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理したが、分散処理中に分散液がゲル状に変化し、目的の分散液を得ることはできなかった。
(工程1’-1)
調製例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた(メタ)アクリル系樹脂(A-1)88部をMEK24部と混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分16.9%、和光純薬工業株式会社製、容量滴定用)35部を加え、中和剤の使用当量が40モル%になるように中和した。更にイオン交換水220部を加え、その中にカーボンブラック顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名「Monarch 717」)100部を加え、ディスパー(浅田鉄工株式会社製、商品名「ウルトラディスパー」)を用いて、20℃でディスパー翼を7,000rpmで回転させる条件で60分間撹拌し、予備分散体(102’)を得た。
(工程1’-2)
工程1’-1で得られた予備分散体(102’)に対し、イオン交換水(W1)を160部加え、顔料混合物を得た。
(工程1’)
工程1’-1で得られた顔料混合物を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理し、分散液を得た。
得られた分散液にイオン交換水(W2)を180部加え、撹拌した後、減圧下、60℃でMEKを除去し、更に一部の水を除去し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が25%の水系顔料分散体(d1-C2)を得た。
(工程2’)
得られた水系顔料分散体(d1-C2)100部をねじ口付きガラス瓶に取り、架橋剤(C)としてトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「デナコールEX-321L」、エポキシ当量129)1.51部を加えて密栓し、スターラーで撹拌しながら70℃で5時間加熱した。5時間経過後、室温まで降温し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過して、水系顔料分散体(D1-C2)を得た。
比較例102の工程1’-1における(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を38部、MEKを30部、5N水酸化ナトリウム水溶液を15部、イオン交換水を285部に変更した以外は、比較例102と同様の手順で水系顔料分散体(d1-C3)を得た。次いで、比較例102の工程2’における水系顔料分散体(d1-C2)を水系顔料分散体(d1-C3)に変更し、デナコールEX-321Lの添加量を0.78部に変更した以外は、比較例102と同様の手順で水系顔料分散体(D1―C3)を得た。
(工程1-1)
調製例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られた(メタ)アクリル系樹脂(A-1)35部をMEK40部と混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分16.9%、和光純薬工業株式会社製、容量滴定用)14部を加え、中和剤の使用当量が40モル%になるように(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を中和した。更にイオン交換水180部を加え、その中にカーボンブラック顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名「Monarch717」)100部を加え、ディスパー(淺田鉄工株式会社製、商品名「ウルトラディスパー」)を用いて、20℃でディスパー翼を7,000rpmで回転させる条件で60分間撹拌し、予備分散体(201)を得た。
(工程1-2)
工程1-1で得られた予備分散体(201)に対し、塩化ビニル系樹脂(B2-1)エマルション(商品名「ビニブラン700」、日信化学工業株式会社製、固形分30%)361部(有効固形分108.2部)、MEK40部、イオン交換水(W1)を400部加え、顔料混合物を得た。
(工程1)
工程1-2で得られた顔料混合物を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)を用いて200MPaの圧力で10パス分散処理し、分散液を得た。
得られた分散液にイオン交換水を200部加え、撹拌した後、減圧下、60℃でMEKを除去し、更に一部の水を除去し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が25%の水系顔料分散体(d2-1)を得た。
実施例201の工程1-2における塩化ビニル系樹脂(B2-1)エマルションを193部(有効固形分57.9部)、MEKを30部、イオン交換水(W1)を340部に変更した以外は、実施例201と同様の手順で水系顔料分散体(d2-2)を得た。
次いで、得られた水系顔料分散体(d2-2)100部をねじ口付きガラス瓶に取り、架橋剤(C)としてトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「デナコールEX-321L」、エポキシ当量129)0.6部を加えて密栓し、スターラーで撹拌しながら70℃で5時間加熱した。その後、室温まで降温し、孔径5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過して、固形分濃度が25%の水系顔料分散体(D2-2)を得た。
(工程1’-1)
塩化ビニル系樹脂ポリオレフィン(B2-1)エマルション(商品名「ビニブラン700」、日信化学工業株式会社製、固形分30%)311部をMEK20部、イオン交換水30部と混合し、その中にカーボンブラック顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボットスペシャルティケミカルズ社製、商品名「Monarch 717」)100部を加え、ディスパー(淺田鉄工株式会社製、商品名「ウルトラディスパー」)を用いて、20℃でディスパー翼を7,000rpmで回転させる条件で60分間撹拌し、予備分散体(201’)を得た。
(工程1’-2)
工程1’-1で得られた予備分散体(201’)に対し、イオン交換水を300部加え、顔料混合物を得た。
(工程1’)
工程1’-2で得られた顔料混合物を、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理したが、分散処理中に分散液がゲル状に変化し、目的の分散液を得ることはできなかった。
試験1(保存安定性の評価)
実施例、比較例で得られた各水系顔料分散体をスクリュー管に充填して密閉し、温度70℃に設定した恒温室内にそれぞれ7日間静置保存した。保存前後の平均粒径をそれぞれ前記(2)の方法により測定し、下記式から平均粒径増大率を算出した。結果を表1~3に示す。平均粒径増大率が小さいほど顔料粒子の凝集量が小さく、保存安定性が優れている。
平均粒径増大率(%)=〔(保存後の水系顔料分散体の平均粒径-保存前の水系顔料分散体の平均粒径)/保存前の水系顔料分散体の平均粒径〕×100
(水系インク101~111、201、202及びC102~C104の調製)
実施例、比較例で得られた各水系顔料分散体を用いて、水系インク全体に対する顔料濃度を4%、プロピレングリコールを10%、界面活性剤としてポリエーテル変性シリコーン活性剤(PEG-11メチルエーテルジメチコン、商品名「KF6011」、信越化学工業株式会社製)を1%とし、イオン交換水を加えて、全量が100%になるよう計量し、マグネチックスターラーで撹拌してよく混合し、得られた混合液を前記5μmフィルター及び針なしシリンジで同様に濾過して、粗大粒子を除去することにより、水系インクを得た。
また、実施例110及び111、比較例104においては表2に示す水系顔料分散体を用いて、インク配合時に顔料を含有しないポリマー粒子の水分散体として酸変性ポリオレフィン(B1-1)エマルション(酸変性ポリプロピレンエマルション、商品名「アウローレンAE-202」、日本製紙株式会社製、固形分30.8%)を添加した。
得られた水系インク101~111、201、202及びC102~C104を用いて、下記の試験2及び試験3を行い、評価した。結果を表1~3に示す。
なお、表1~3に示すインクの配合組成はインクの全量を100%としたときの各成分の配合量(%)を示す。また、表1~3中の各表記は以下のとおりである。
*1:水系顔料分散体中の(メタ)アクリル系樹脂(A)に対する樹脂(B)の質量比[樹脂(B)/(メタ)アクリル系樹脂(A)]を示す。
*2:水系顔料分散体中の顔料と(メタ)アクリル系樹脂(A)との合計量に対する顔料の質量比[顔料/(顔料+(メタ)アクリル系樹脂(A))]を示す。
*3:水系顔料分散体の全固形分中の顔料の質量比[顔料/(水系顔料分散体の全固形分)]を示す。
*4:水系顔料分散体の平均粒径増大率(%)
各水系インクをバーコーター No.4(アズワン社製)を用いてポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品名「ルミラーT60」、厚さ75μm)に塗布し、60℃で10分間加熱した。次いで25℃で24時間放置後、マクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)を用いて、得られた印刷物(5.1cm×8.0cm)の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めた。値が大きいほど、印字濃度に優れている。
前記印字濃度の評価で得られた印刷物の塗膜に対して、セロハンテープ(ニチバン社製 テープ幅18mm×4cm)を貼り付け、1分間静置した後に、塗膜に対してテープを垂直方向に引っ張って剥がした後の塗膜の状態から、塗膜の剥離面積を目視にて確認し、塗膜全面が全て剥離したものを剥離面積100%とし、下記評価基準に基づいて評価した。下記評価基準で2以上であると、密着性に優れている。
(評価基準)
4:塗膜の剥離が全く無かった。
3:塗膜の剥離面積が20%未満であった。
2:塗膜の剥離面積が20%以上40%未満であった。
1:塗膜の剥離面積が40%以上であった。
一方、比較例101は、ポリマー分散剤として(メタ)アクリル系樹脂(A)を含有しないため、顔料を分散させることができなかった。比較例102及び103は、ポリマー分散剤として酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)を含有しないため、密着性が悪い。比較例104は、ポリマー分散剤として酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)を含有させないで、インク調製時に酸変性ポリプロピレンエマルションを添加したものであるが、密着性はあるものの、印字濃度が低く、密着性と印字濃度との両立を達成できていないことがわかる。
一方、比較例201は、ポリマー分散剤として(メタ)アクリル系樹脂(A)を含有しないため、顔料を分散させることができなかった。
Claims (11)
- 顔料をポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体であって、
該ポリマー分散剤が、(メタ)アクリル系樹脂(A)と樹脂(B)とを含有し、
該樹脂(B)が、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種であり
該(メタ)アクリル系樹脂(A)及び該樹脂(B)のいずれもが酸基を有し、
該(メタ)アクリル系樹脂(A)及び該樹脂(B)のそれぞれの酸基の一部が架橋剤(C)で架橋されてなる、水系顔料分散体。 - 樹脂(B)が酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)である、請求項1に記載の水系顔料分散体。
- 架橋度[架橋剤(C)の架橋性官能基のモル当量数/(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基のモル当量数]が0.12以上0.65以下である、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体。
- 架橋剤(C)が炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の水系顔料分散体。
- 水系顔料分散体の全固形分中の顔料の質量比[顔料/(水系顔料分散体の全固形分)]が0.25以上0.85以下である、請求項1~4のいずれかに記載の水系顔料分散体。
- 水系顔料分散体中の顔料と(メタ)アクリル系樹脂(A)との合計量に対する顔料の質量比[顔料/(顔料+(メタ)アクリル系樹脂(A))]が0.3以上0.95以下である、請求項1~5のいずれかに記載の水系顔料分散体。
- 水系顔料分散体中の(メタ)アクリル系樹脂(A)に対する樹脂(B)の質量比[樹脂(B)/(メタ)アクリル系樹脂(A)]が0.15以上15以下である、請求項1~6のいずれかに記載の水系顔料分散体。
- 下記工程1及び工程2を有する、水系顔料分散体の製造方法。
工程1:顔料と、酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)及び塩化ビニル系樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種である樹脂(B)とを含む顔料混合物を分散処理して分散体を得る工程
工程2:工程1で得られた分散体を、架橋剤(C)を用いて架橋する工程 - 樹脂(B)が酸変性ポリオレフィン樹脂(B1)である、請求項8に記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 工程2における架橋剤(C)の使用量が、(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸基のモル当量数に対する架橋剤(C)の架橋性官能基のモル当量数の比で、0.12以上0.65以下である、請求項8又は9に記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 工程1における顔料混合物中の(メタ)アクリル系樹脂(A)に対する樹脂(B)の質量比[樹脂(B)/(メタ)アクリル系樹脂(A)]が0.15以上15以下である、請求項8~10のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
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