以下、本開示のデフロスタを具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係るデフロスタをインストルメントパネルに取り付けた状態を示している。図1に示すように、本実施形態のデフロスタ10は、車両11の車室前方に配置されるインストルメントパネル13に設けられている。以下の説明では、図1に示すように、車両11の前後方向、左右方向、上下方向を用いて説明する。車両11の左右方向は、本願の車両幅方向の一例である。車両11の前後方向は、本願の車両前後方向の一例である。
図1に示すように、デフロスタ10は、インストルメントパネル13の上面の前端部に、第1吹出口部21の吹き出し口22と、第2吹出口部31の吹き出し口32とが設けられている。2つの吹き出し口22,32は、左右方向、即ち車両幅方向に沿って並んで配置されている。吹き出し口22は、車両幅方向の中心を通る車両中心線CLの右側に配置されている。吹き出し口32は、車両中心線CLの左側に配置されている。2つの吹き出し口22,32は、フロントウインドウ15の下部15Aに近接する位置に配置されている。
図1に示す車両11は、例えば、右側にハンドル14が設けられている。なお、本開示の車両11は、右側にハンドル14を設けた車両に限らず、左側にハンドル14を設けた構成でも良い。また、車両11は、ハンドル14を有しない、例えば、自動運転車両でも良い。本実施形態では、吹き出し口22が、ハンドル14側、即ち、運転席側に配置されている。
デフロスタ10は、例えば、インストルメントパネル13内に設けられた空調装置17で調節された空調空気をフロントウインドウ15に吹き出す装置である。デフロスタ10は、空調装置17で調整された空調空気をフロントウインドウ15に吹き付けて、例えば、フロントウインドウ15の曇りを晴らす、あるいは、車室内の空調状態を変更する。なお、デフロスタ10は、空調装置17で調整された空調空気を吹き出す装置に限らず、外気を車室内に吹き出す装置でも良い。従って、本開示における空気は、空調装置17等で調整された空調空気に限らず、調整されていない外気等を含む概念である。
空調装置17は、例えば、HVAC(Heating Ventilating,and Air Conditioning)であり、車両11の暖房、冷房、換気等を行う装置である。空調装置17は、例えば、アダプタ等を介してデフロスタ10の開口3(図5参照)に接続され、空調空気をデフロスタ10の開口3に供給する。空調装置17は、外気、車内の空気、温風、冷風等の混合比率を調整した空調空気を生成する。
次に、デフロスタ10の構成について説明する。図2は、車両後方から見たフロントウインドウ15とデフロスタ10の位置関係を示している。図3は、デフロスタ10を左側の後方上部から見た斜視図である。図4は、デフロスタ10を前方から見た図である。図5は、左側の後方上部から見たデフロスタ10を透過的に示す斜視図である。図6は、右側の後方上部から見たデフロスタ10を透過的に示す斜視図である。図7は、デフロスタ10を下方から見た図である。なお、図2、図5、及び図6は、デフロスタ10の内部を透過的に示しており、デフロスタ10の内部に配置された部材(例えば、第1リブ24)や形状(例えば、第1絞り部23)を実線で示している。また、図3の外観図と、図5の内部を透過的に示した図とを比較することで、内部の部材や形状を識別することができる。
図2~図7に示すように、デフロスタ10は、開口3、第1ダクト部5、第2ダクト部7を備えている。開口3は、デフロスタ10の下方に設けられ、例えば、車両幅方向に長い長方形状をなす穴である。開口3は、例えば、アダプタ(図示略)を介して空調装置17と接続され、デフロスタ10内に空調空気を導入する。
デフロスタ10は、開口3の形成された開口部9から上方に向かって、第1ダクト部5及び第2ダクト部7の2つのダクトに分岐している。第1ダクト部5は、車両幅方向における一方側(例えば、右側)に設けられ、基端部を開口3(開口部9)に接続されている。第2ダクト部7は、車両幅方向における他方側(例えば、左側)に設けられ、基端部を開口3(開口部9)に接続されている。本実施形態のデフロスタ10は、車両中心線CLに対して第2ダクト部7側、即ち、助手席側に寄った位置に配置されている(図2参照)。なお、デフロスタ10は、車両中心線CLに対して第1ダクト部5側、即ち、運転席側に寄った位置に配置される構成でも良い。
第1ダクト部5は、先端部に形成された第1吹出口部21の吹き出し口22から空調空気をフロントウインドウ15に吹き出す。また、第2ダクト部7は、先端部に形成された第2吹出口部31の吹き出し口32から空調空気をフロントウインドウ15に吹き出す。吹き出し口22,32の各々は、車両幅方向に長い略長方形状をなし、短辺方向に延びる格子22A,32Aによって区画されている。空調空気は、この格子22A,32Aによって区画された隙間から吹き出される。
第1ダクト部5は、開口部9と接続される基端部から延び、第1絞り部23において空調空気が流れる通風路を絞られる。第1絞り部23は、開口3に比べて通風路を絞っており、通風路を流れる空調空気を加速させる。第1ダクト部5は、空調空気を送風する送風方向において、第1絞り部23の位置よりも下流側において通風路を広げた構成となっている。第1ダクト部5は、第1絞り部23よりも下流側において、車両幅方向における右側へと広がっており、広がった内部には複数の第1リブ24が設けられている。複数の第1リブ24は、車両幅方向において外側となる右側の位置に設けられている。本実施形態の複数の第1リブ24は、例えば、5つ設けられ、車両幅方向に沿って所定の間隔ごとに並んで配置されている。複数の第1リブ24の各々は、第1ダクト部5の前方側に設けられた前方側面28と、後方側に設けられた後方側面29とに接続された板状をなし、通風路を複数の通風路に区画している。複数の第1リブ24の各々は、空調空気の送風方向に対して所定の角度をもって配置され、第1絞り部23から下流へ排出された空調空気を車両幅方向の外側(右側)へと案内する。複数の第1リブ24は、例えば、最も左側の第1リブ24から右側へ順番に、より右側へ傾いた状態で配置されている。従って、最も右側の第1リブ24は、他の第1リブ24に比べて右側へと傾いている。なお、第1リブ24の数は、5つに限らず、1つ、又は2以上の複数個でも良い。第1リブ24の左側には、補助リブ25が配置されている。補助リブ25は、例えば、第1ダクト部5の左側に形成された第1内側面26の先端側面部26Bに近接した位置に配置され、先端側面部26Bと平行な方向に沿って形成されている。補助リブ25は、例えば、空調空気を先端側面部26Bに沿って流れるように機能するリブである。
第1ダクト部5は、車両幅方向に長い筒形状をなし、車両幅方向の内側(左側)に形成された第1内側面26と、外側(右側)に形成された第1外側面27とを有する。第1外側面27は、開口部9の外側面から連続して形成され、第1絞り部23で通風路を絞った後、右側に広がるように湾曲して形成されている。第1外側面27は、第1絞り部23よりも下流側において右側に大きく湾曲し、通風路を急激に拡張している。開口部9から第1絞り部23において、第1外側面27の内側には、他の部分に比べて肉厚に形成された肉厚部30が形成されている。
また、第2ダクト部7は、開口部9と接続される基端部から延び、第2絞り部33において空調空気が流れる通風路を絞られる。第2絞り部33は、開口3に比べて通風路を絞っており、通風路を流れる空調空気を加速させる。第2ダクト部7は、空調空気を送風する送風方向において、第2絞り部33の位置よりも下流側において通風路を広げた構成となっている。第2ダクト部7は、第2絞り部33よりも下流側において、車両幅方向における左側へと広がっている。第2絞り部33の下流側の開口、即ち、第2絞り部33から通風路を拡張させる部分には、複数の第2リブ34が設けられている。本実施形態の複数の第2リブ34は、例えば、3つ設けられ、車両幅方向に沿って所定の間隔ごとに並んで配置されている。複数の第2リブ34の各々は、第2ダクト部7の前方側に設けられた前方側面38と、後方側に設けられた後方側面39とに接続された板状をなし、通風路を複数の通風路に区画している(図12参照)。複数の第2リブ34の各々は、空調空気の送風方向に対して所定の角度もって配置されている。第2絞り部33から下流側に流れる空調空気は、第2リブ34の各々によって車両幅方向に広がるように案内される。複数の第2リブ34は、例えば、最も右側の第2リブ34から左側へ順番に、より左側へ傾いた状態で配置されている。従って、最も左側の第2リブ34は、他の第2リブ34に比べて左側へ傾いている。なお、第2リブ34の数は、3つに限らず、1つ、又は2以上の複数個でも良い。
第2ダクト部7は、車両幅方向に長い筒形状をなし、車両幅方向の内側(右側)に形成された第2内側面36と、外側(左側)に形成された第2外側面37とを有する。第2外側面37は、開口部9の外側面から連続して形成され、第2絞り部33で通風路を絞った後、左側に広がるように湾曲して形成されている。第2外側面37は、第2絞り部33よりも下流側において左側に大きく湾曲し、通風路を急激に拡張している。開口部9から第2絞り部33において、第2外側面37の内側には、他の部分に比べて肉厚に形成された肉厚部40が形成されている。
第1ダクト部5の第1内側面26と、第2ダクト部7の第2内側面36とは、上流側の分岐部41において互いに接続されている。換言すれば、第1及び第2内側面26,36の各々は、分岐部41から下流側に向かって二股に分岐している。第1内側面26及び第2内側面36は、略V字状に分岐している。第1内側面26は、車両幅方向において第2内側面36と対向する位置に配置されている。そして、第1及び第2内側面26,36の各々は、車両中心線CL側へ湾曲して形成されている。
第1内側面26は、基端側面部26Aと、先端側面部26Bを有する。図8は、第1ダクト部5の第1内側面26と、第2ダクト部7の第2内側面36の辺部のみが見える位置、且つ後方側から透過的にデフロスタ10を見た図である。図9は、デフロスタ10を左側から見た側面図である。図10は、デフロスタ10を右側から見た側面図である。図11は、基端側面部26Aが見える位置から見たデフロスタ10の斜視図である。図12は、図11に示すA-A線で切断した断面を示す断面図である。図13は、図11に示すB-B線で切断した断面を示す断面図である。なお、図12及び図13には、デフロスタ10を取り付けた場合のインストルメントパネル13とフロントウインドウ15の位置を示している。
図8~図13に示すように、基端側面部26Aは、分岐部41から車両中心線CLを交差する方向(図8における右斜め上方)に延びている。基端側面部26Aは、例えば、車両中心線CLと交差する方向に延びる平面状をなしている。基端側面部26Aは、上流側から下流側に行くに従って、徐々に幅が狭くなっている。より具体的には、前方側面28から後方側面29に向かう方向における基端側面部26Aの幅が、上流側から下流側に行くに従って徐々に狭くなっている。第1ダクト部5は、開口3から第1絞り部23の先端に行くに従って、前方側面28と後方側面29との間の距離が徐々に狭くなっている。
先端側面部26Bは、基端側面部26Aの下流側の先端から車両中心線CL側へ湾曲して形成されている。先端側面部26Bは、基端側面部26Aに対して所定の角度をなす方向へと湾曲している。基端側面部26Aと先端側面部26Bとの接続部分の曲率半径、即ち、接続位置P2の近傍の曲線を近似する円の半径は、例えば、30mmである。また、先端側面部26Bと後方側面29との接続部分である辺N1を、接続位置P2を中心に車両中心線CLと接する位置まで半時計回りに回転させた場合に、辺N1と、回転後の直線N2とがなす角度θ1は、例えば、10度である。また、基端側面部26Aと後方側面29との接続部分である辺N3と、辺N1とのなす角度θ2は、例えば、45度である。
また、第1ダクト部5は、基端側面部26Aや第1絞り部23よりも下流側の位置、即ち、先端側面部26Bを設けた位置において、上方へ屈曲した後、前方側へと屈曲した形状をなしている。上記したように、第1ダクト部5は、第1絞り部23よりも下流側において、右方向へと拡張し、通風路を広げている。一方、第1ダクト部5は、第1絞り部23よりも下流側の位置において、前方側面28と後方側面29との間の距離を略一定としながら上方へ屈曲した後、前方へ屈曲している。従って、第1ダクト部5は、前後方向の幅を略一定として屈曲しながら、車両幅方向へ拡張している。
また、第2内側面36は、第1ダクト部5の基端側面部26A及び先端側面部26Bと、車両幅方向において対向する位置に設けられている。第2内側面36は、分岐部41から車両中心線CL側へ湾曲している。第2内側面36は、車両中心線CL側へ延びる平面状をなしている。第2内側面36は、基端側面部26Aと対向する位置において、上流側から下流側に行くに従って、徐々に幅が狭くなっている(図6参照)。換言すれば、第2ダクト部7は、開口3から第2絞り部33の先端に行くに従って前方側面38と後方側面39との間の距離が徐々に狭くなっている。
第2内側面36の曲率半径は、例えば、300mmである。従って、本実施形態の第2内側面36の曲率半径は、第1ダクト部5の第1内側面26の曲率半径に比べて大きくなっている。換言すれば、デフロスタ10を助手席側にずらした場合に、運転席側の第1ダクト部5を、助手席側の第2ダクト部7に比べて車両中心線CL側へより急な角度で湾曲させた構造となっている。これにより、所謂、コアンダ効果によって、第1内側面26の内壁に沿った空調空気を、フロントウインドウ15の上方へと案内することが可能となる。なお、上記した第1内側面26及び第2内側面36の角度や曲率半径は、一例である。
第2ダクト部7は、第1ダクト部5と同様に、第2絞り部33よりも下流側の位置において、上方へ屈曲した後、前方側へと屈曲した形状をなしている(図14の角部53,55参照)。上記したように、第2ダクト部7は、第2絞り部33よりも下流側において、左方向へと拡張し、通風路を広げている。一方、第2ダクト部7は、第2絞り部33よりも下流側の位置において、前方側面38と後方側面39との間の距離を略一定としながら上方へ屈曲した後、前方へ屈曲している。
また、図8に示すように、車両幅方向における開口3の中心の位置である開口中心位置P3は、車両幅方向における中心を通る車両中心線CLに対し、第2ダクト部7側にずれた位置となっている。開口中心位置P3と、開口3における第1ダクト部5側の内壁との距離45は、開口中心位置P3と開口3における第2ダクト部7側の内壁との距離45と等しくなっている。
開口中心位置P3を通り車両中心線CLに平行な直線47は、例えば、分岐部41よりも右側となっている。直線47と車両中心線CLとの距離48は、例えば、45mmである。分岐部41よりも上流側(開口部9との接続部分)の第1ダクト部5の通風路の大きさは、分岐部41よりも上流側の第2ダクト部7の通風路の大きさに比べて大きくなっている。例えば、分岐部41と第1外側面27(肉厚部30)の内壁との距離49は、90mmである。また、例えば、分岐部41と第2外側面37(肉厚部40)の内壁との距離51は、65mmである。従って、本実施形態のデフロスタ10において、第1ダクト部5の開口部9側の通風路の大きさと、第2ダクト部7の開口部9側の通風路の大ききの比率は、約3:2(=90:65)となっている。これにより、第1ダクト部5へより多くの空調空気を送り込むことが可能となる。
次に、第1及び第2吹出口部21,31の通風路の構成について説明する。図14は、図13の第2吹出口部31の拡大図を示している。図15は、図14の第2吹出口部31のみをさらに拡大した拡大図であり、格子32Aの位置を一点鎖線で示している。なお、第1吹出口部21の通風路の構成は、第2吹出口部31の通風路の構成と同様となっているため、その説明を適宜省略する。上記したように、第2ダクト部7は、第1ダクト部5と同様に、第2絞り部33よりも下流側の位置に形成された角部53において上方へ屈曲している。また、第2ダクト部7は、角部53よりも下流側の位置に形成された角部55において前方側へ屈曲している。第2ダクト部7は、角部53から角部55までの間において、前方側面38と後方側面39との間の距離57が略一定となっている。
第2ダクト部7は、角部55の下流側に通風路絞り部73を有する。通風路絞り部73は、角部55より上流側に比べて通風路を絞っている。通風路絞り部73において、前方側面38は、角部55から下流側へ行くに従って、後方側面39に近づくように上方へ傾斜している。通風路絞り部73において、前方側面38と後方側面39との間の距離57は、下流側へ行くに従って徐々に狭くなっている。前方側面38は、通風路絞り部73において上方へ屈曲した後、角部75において前方へ屈曲している。前方側面38の角部55を通り前後方向と平行な直線と、前方側面38の角部75を通り前後方向に平行な直線との間の距離、即ち、通風路絞り部73の上下方向の距離74(図14参照)は、例えば、4mmである。また、前方側面38の角部75より下流側における前方側面38と後方側面39との間の距離76(図14参照)、即ち、通風路絞り部73によって絞られた後の通風路の内径は、例えば、4.2mmである。
第2ダクト部7は、角部75よりも下流側において、前方側面38と後方側面39との間の距離57を略一定としながら前方へ延びている。前方側面38の角部75から前方へ延びた先端部には、湾曲部77が形成されている。湾曲部77は、前方側面38(本開示の壁部の一例)を折り曲げて形成されている。湾曲部77は、上方に向かって湾曲し、且つ、フロントウインドウ15の上部へ先端部77Aが向くように湾曲して形成されている。先端部77Aを含む湾曲部77の内壁に沿った方向79(図15参照)は、フロントウインドウ15の上部に設定された所定の狙い位置に向かう方向となっている。これにより、第1及び第2吹出口部21,31から吹き出される前の空調空気の一部は、湾曲部77に沿って流れ、第1及び第2吹出口部21,31からフロントウインドウ15の上方に向かって送風される。方向79と前後方向に沿った直線とがなす角度θ3は、例えば、45度である。
湾曲部77の内壁は、所定の角度で湾曲した曲面となっている。湾曲部77は、車両幅方向において、前方側面38の全体に亘って形成されている。従って、湾曲部77は、略長方形状の吹き出し口32における長辺と略平行な方向へ延設されている。なお、湾曲部77は、吹き出し口32の長辺と略平行な方向において、前方側面38の一部や、前方側面38の複数箇所に形成された構成でも良い。
また、湾曲部77の前方側の面には、保持部81が形成されている。保持部81は、湾曲部77の前面から図15における左側(略前方)へ突出した後、上方且つ後方へ屈曲した形状をなしている。保持部81の内角θ4は、鋭角となっており、例えば、50度である。
また、後方側面39は、角部55よりも下流側の位置において上方へ屈曲した後方側壁部83を有する。後方側壁部83の内壁は、湾曲部77の先端部77Aと前後方向で対向する位置に配置されている。後方側壁部83の内壁には、湾曲面83Aが形成されている。湾曲面83Aは、フロントウインドウ15の上部に向かって湾曲して形成されている。例えば、湾曲面83Aは、上流側から下流側へ行くに従って後方側、即ち、フロントウインドウ15から離れる方向へ湾曲している。湾曲面83Aは、コアンダ効果によって上流側から流れてくる空調空気を引き付けて、フロントウインドウ15の中央上方へ空調空気を案内する。
後方側壁部83は、車両幅方向において、後方側面39の全体に亘って形成されている。また、湾曲面83Aは、車両幅方向において、後方側壁部83の内壁の全体に亘って形成されている。従って、湾曲面83Aは、略長方形状の吹き出し口32における長辺と略平行な方向へ延設されている。なお、湾曲面83Aは、吹き出し口32の長辺と略平行な方向において、後方側壁部83の一部や、後方側壁部83の複数箇所に形成された構成でも良い。
また、吹き出し口32を設けた第2吹出口部31の先端部は、インストルメントパネル13に形成されたパネル開口13Aに下方から接触した状態で配置されている。後方側壁部83の下流側の先端部83Bは、インストルメントパネル13の下面に沿った方向で且つ後方へ屈曲している。先端部83Bの表面の一部は、インストルメントパネル13の下面に接触している。また、保持部81の下流側の先端部81Aは、インストルメントパネル13の下面に沿った方向で且つ前方へ屈曲している。先端部81Aの表面の一部は、インストルメントパネル13の下面に接触している。従って、先端部81Aと後方側壁部83の先端部83Bの表面は、インストルメントパネル13の下面と面一になる平面上に位置している。保持部81は、湾曲部77の前面から、後方側壁部83の先端部83Bの表面と面一になる位置まで延び、インストルメントパネル13の下面に接触している。保持部81は、先端部81Aをインストルメントパネル13に面接触させることで、インストルメントパネル13に対する湾曲部77の位置を保持する。
第2吹出口部31の格子32Aは、先端部83Bと先端部81Aの表面(インストルメントパネル13の下面)と平行な方向に沿って延びている。図15に示すように、第2吹出口部31は、前後方向において湾曲部77の先端部77Aと湾曲面83Aとの間に挟まれた吹き出し口32(以下、「第1吹き出し口32B」という場合がある)と、第1吹き出し口32Bよりも下流側の吹き出し口32(以下、「第2吹き出し口32C」という場合がある)とを有している。第2吹き出し口32Cは、先端部81Aと先端部83Bとで挟まれた開口であり、格子32Aによって区画されている。吹き出し口32から吹き出される空調空気は、第1吹き出し口32B、第2吹き出し口32C、及びパネル開口13Aを介して吹き出される。
湾曲部77の先端部77Aは、第2吹き出し口32Cを区画する格子32Aよりも上流側に配置されている。換言すれば、先端部77Aは、後方側壁部83の先端部83Bの表面と面一になる位置から、上流側に下がった位置(図15における下方に下がった位置)に配置されている。第1及び第2吹出口部21,31から吹き出される空調空気の一部は、下がった位置に配置された先端部77Aの上部を通り抜け、保持部81の上方において第2吹き出し口32Cから吹き出され、フロントウインドウ15の下部15Aに向かって送風される。
また、第1及び第2吹出口部21,31の各々は、フロントウインドウ15の下部15Aに近接する位置に配置されている。詳述すると、保持部81は、フロントウインドウ15の下部15Aに近接した位置となっている。例えば、保持部81の先端部81Aにおける後方端部とインストルメントパネル13との前後方向に沿った距離91(図14参照)は、第2吹き出し口32Cの前後方向に沿った距離93に比べて若干だけ長くなっている。また、第1吹き出し口32Bの前後方向に沿った距離95は、後方側壁部83の湾曲面83Aと前方側面38の角部75の前後方向に沿った距離、即ち、角部75から下流側において前方側面38と後方側面39とが上下方向で対向している距離97に比べて若干だけ短くなっている。
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のデフロスタ10は、空調空気を導入する開口3と、車両11の幅方向である車両幅方向における右側(一方側の一例)に設けられ、基端部を開口3に接続され、先端部に形成された第1吹出口部21から空調空気をフロントウインドウ15に吹き出す第1ダクト部5と、車両幅方向における左側(他方側の一例)に設けられ、基端部を開口3に接続され、先端部に形成された第2吹出口部31から空調空気をフロントウインドウ15に吹き出す第2ダクト部7と、を備える。第1吹出口部21及び第2吹出口部31の各々は、車両11の前後方向である前後方向(車両前後方向の一例)における前方側の壁部を曲げて形成された湾曲部77を有する。湾曲部77は、車両11の上方に向かって湾曲し、且つ、フロントウインドウ15の上部へ湾曲部77の先端部77Aが向くように湾曲して形成されている。
これによれば、第1及び第2吹出口部21,31の各々は、前後方向の前方側の壁部を曲げた湾曲部77を有する。湾曲部77は、車両11の上方に向かって湾曲し、且つフロントウインドウ15の上部へ先端部77Aが向くように湾曲する。第1及び第2吹出口部21,31から吹き出される前の空調空気の一部は、湾曲部77に沿って流れ、第1及び第2吹出口部21,31からフロントウインドウ15の上方に向かって送風される。ここで、第1及び第2吹出口部21,31の吹き出し口22,32を小さくした場合、フロントウインドウ15の上部で風速が低下し、フロントウインドウ15の上部まで空調空気が十分に送風されない虞がある。その結果、空調性能が低下する。これに対し、当該デフロスタ10では、フロントウインドウ15の上部に先端部77Aが向くように湾曲させた湾曲部77によって、フロントウインドウ15の上部まで広く空調空気を送風し、空調性能を向上させることが可能となる。そして、前後方向における後方の後方側壁部83と、前方側の湾曲部77を近づけることで、空調性能を向上しつつ、前後方向における吹き出し口22,32(第1吹き出し口32B、及び第2吹き出し口32C)の大きさを小さくできる。
図16は、デフロスタ10から空調空気を吹き出した時のフロントウインドウ15の風速分布をシミュレーションした結果を示している。図16における細かいドットで示す領域101は、風速の早い領域、即ち、十分な風速を得られ空調空気を送風できている領域である。図16における左に傾いた斜線のハッチングで示す領域102は、領域101よりも風速が遅い領域である。また、図16における右に傾いた斜線のハッチングで示す領域103は、領域102よりも風速が遅い領域である。図16に示すように、シミュレーションした結果では、フロントウインドウ15における車両幅方向の端部だけでなく、中央部の上方に向かって空調空気が送風されていることが分かる。従って、前後方向における吹き出し口22,32(第1吹き出し口32B、及び第2吹き出し口32C)の大きさを小さくした構造としながら、吹き出し口22,32の各々に湾曲部77を設けることで、フロントウインドウ15の全体に亘って十分な風速を得ることができ、フロントウインドウ15の曇りを晴らす晴れ性の向上等を図ることができる。
(2)また、デフロスタ10は、湾曲部77の位置に対し、前後方向における後方側に配置された後方側壁部83を備える。湾曲部77の先端部77Aは、空調空気を送風する送風方向における後方側壁部83の下流側の表面(先端部83Bの表面)と面一になる位置から、送風方向における上流側に移動した位置に配置されている。
これによれば、湾曲部77の先端部77Aは、先端部83Bに対して送風方向の上流側へ移動した位置に配置される。このため、第1及び第2吹出口部21,31から吹き出される空調空気の一部は、上流側へ移動した位置に配置された湾曲部77の先端部77Aの上部を通り抜け、フロントウインドウ15の下部15Aに向かって送風され易くなる。これにより、フロントウインドウ15の下部15Aに空調空気を送風して空調性能を向上できる。
(3)また、デフロスタ10は、湾曲部77における前後方向の前方側の面に接続される保持部81を備える。保持部81は、湾曲部77の前方側の面から、後方側壁部83(先端部83B)の表面と面一になる位置まで延び、車両11のインストルメントパネル13に接触して配置され、インストルメントパネル13に対する湾曲部77の位置を保持する。
これによれば、保持部81は、後方側壁部83の表面から下がった位置に配置される湾曲部77の位置を、インストルメントパネル13に対して一定の位置に保持することができる。また、インストルメントパネル13に形成されたパネル開口13Aが、第2吹出口部31の第1吹き出し口32Bの大きさに比べて大きかった場合、インストルメントパネル13のパネル開口13Aと湾曲部77との間にできる隙間を保持部81によって閉じることで、パネル開口13Aを外部から見た場合の見栄えを良くすることができる。
(4)また、デフロスタ10は、湾曲部77の位置に対し、前後方向における後方側に配置された後方側壁部83を備える。後方側壁部83は、内壁に形成された湾曲面83Aを有する。湾曲面83Aは、フロントウインドウ15の上部に向かって湾曲して形成される。これによれば、第1及び第2吹出口部21,31の吹き出し口22,32に向かって流れる空調空気は、コアンダ効果によって、湾曲面83Aに引き寄せられるように流れ、フロントウインドウ15の上部に向かって吹き出される。第1及び第2吹出口部21,31内を流れる空調空気の一部を、前後方向の後方側に位置する湾曲面83Aに引き寄せることで、前方側の湾曲部77に沿って流れ吹き出される空調空気の指向性を向上することが可能となる。これにより、フロントウインドウ15の上部まで広く空気を送風し、空調性能を向上させることが可能となる。また、フロントウインドウ15の下部15Aに空調空気が滞留するのを抑制できる。
(5)また、第1ダクト部5及び第2ダクト部7の各々は、空調空気が流れる通風路を、空気を送風する送風方向における上流側の通風路に比べて絞る通風路絞り部73を有する。通風路絞り部73は、送風方向において、第1吹出口部21及び第2吹出口部31の各々の上流側に設けられている。
これによれば、通風路絞り部73によって通風路を流れる空調空気の風速を速くし、第1及び第2吹出口部21,31から吹き出される空調空気の風速を速くすることができる。これにより、第1及び第2吹出口部21,31から吹き出した空調空気が、フロントウインドウ15に沿って流れる状態をより維持し易くなる。その結果、フロントウインドウ15のより上方へ空調空気を流すことが可能となる。
(6)また、車両幅方向における開口3の中心の位置である開口中心位置P3が、車両幅方向における車両11の中心を通る車両中心線CLに対し、第2ダクト部7側にずれた位置となっている。第1ダクト部5は、車両幅方向において第2ダクト部7側に形成された第1内側面26を有する。第2ダクト部7は、車両幅方向において第1ダクト部5側に形成され、車両幅方向において第1内側面26と対向する位置に配置される第2内側面36を有する。第1内側面26は、車両中心線CLの右側(一方側の一例)から車両中心線CLに近づく方向へ湾曲して形成されている。第2内側面36は、車両中心線CLの左側(他方側の一例)から車両中心線CLに近づく方向へ湾曲して形成されている。
これによれば、第1及び第2内側面26,36は、車両中心線CLの両側から車両中心線CLに近づく方向へ湾曲する。第1ダクト部5内を流れる空調空気の一部は、コアンダ効果によって、車両幅方向の内側に設けられた第1内側面26に引き寄せられるように流れる。同様に、第2ダクト部7内を流れる空調空気の一部は、車両幅方向の内側に設けられた第2内側面36に引き寄せられるように流れる。ここで、開口中心位置P3が車両中心線CLからずれた場合、フロントウインドウ15の中央上部で風速が低下し、フロントウインドウ15の中央上部まで空調空気が十分に送風されない虞がある。その結果、空調性能が低下する。これに対し、当該デフロスタ10では、第1及び第2内側面26,36を車両中心線CL側へ湾曲させることによって、フロントウインドウ15の中央上部まで広く空調空気を送風し、空調性能を向上させることが可能となる。
(7)また、第1内側面26と第2内側面36とは、分岐部41で接続される。空調空気の送風方向において、分岐部41よりも上流側の第1ダクト部5の通風路の大きさ(図8の距離49)が、分岐部41よりも上流側の第2ダクト部7の通風路の大きさ(図8の距離51)に比べて大きくなっている。
例えば、開口中心位置P3を第2ダクト部7側にずらした場合、第1ダクト部5は、第2ダクト部7に比べてより広い領域(フロントウインドウ15の領域)へ空調空気を送風することを要求される。そこで、第1ダクト部5の上流側の通風路を第2ダクト部7の通風路に比べて大きくし、第1ダクト部5へより多くの空調空気を送り込むことで、第1ダクト部5内の風量を確保して空調性能をより確実に向上することが可能となる。例えば、開口中心位置P3を助手席側へずらした場合、運転席側のフロントウインドウ15の曇りを晴らす晴れ性を向上できる。その結果、運転手の視界をより迅速に確保することが可能となる。
(8)また、第1吹出口部21及び第2吹出口部31の各々は、フロントウインドウ15の下部15Aに近接する位置に配置されている。これによれば、第1及び第2吹出口部21,31の各々を、フロントウインドウ15の下部15Aにより近い位置に配置することで、インストルメントパネル13内に設けられた装置等を回避して第1及び第2ダクト部5,7を配設でき、フロントウインドウ15の下部15Aから上方へ空調空気を吹き出すことができる。ここでいう、装置等とは、例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などのインストルメントパネル13内に収納される装置である。
尚、本願は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本願の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記した湾曲部77の形状や角度θ3の角度等は一例であり、適宜変更可能である。
また、湾曲部77の先端部77Aを、後方側壁部83の先端部83Bの表面と面一になる位置まで延ばしても良い。この場合、格子32Aの形状を、先端部77Aの形状に合わせて凹ましても良い。
また、第1吹出口部21及び第2吹出口部31は、保持部81を備えなくとも良い。
また、第1ダクト部5及び第2ダクト部7は、通風路絞り部73を備えなくとも良い。
また、分岐部41よりも上流側の第1ダクト部5の通風路の距離49(図8参照)と、分岐部41よりも上流側の第2ダクト部7の通風路の距離51とは、同一でも良い。
また、分岐部41は、開口3に近接する位置でも良い。
また、第1ダクト部5は、第1絞り部23を備えなくとも良い。
また、第2ダクト部7は、第2絞り部33を備えなくとも良い。
また、第1吹出口部21及び第2吹出口部31は、湾曲面83Aを備えなくとも良い。
また、第1吹出口部21及び第2吹出口部31は、フロントウインドウ15の下部15Aに近接せず、フロントウインドウ15の下部15Aから一定の距離だけ離れた位置に配置される構成でも良い。
また、上記実施形態のデフロスタ10の構成や形状等は、一例である。例えば、デフロスタ10は、第1ダクト部5や第2ダクト部7以外のダクトを備えても良い。デフロスタ10は、例えば、第1外側面27の右側に設けられたサイドダクトや、第2外側面37の左側に設けられたサイドダクトを備えても良い。
次に、上記実施形態の内容から導き出される技術的思想について記載する。
(イ)前記第1ダクト部は、前記空気が流れる通風路を前記開口に比べて絞った第1絞り部と、前記空気の送風方向において前記第1絞り部の位置よりも下流側の位置で、且つ前記車両幅方向において外側となる位置に設けられ、前記第1絞り部から排出された前記空気を前記車両幅方向の外側へと案内する第1リブと、を有するデフロスタ。
これによれば、第1絞り部によって通風路を絞ることで、開口から導入された空気の風速を速めることが可能となる。また、第1リブによって、第1絞り部で風速を速めた空気を、車両幅方向のより外側へと送風することが可能となる。これにより、フロントウインドウにおける車両幅方向の端部(例えば、右側端部)まで空調空気を送風して空調性能を向上できる。
(ロ)前記第2ダクト部は、前記空気が流れる通風路を前記開口に比べて絞った第2絞り部と、前記空気の送風方向において前記第2絞り部から下流に流れる前記空気を案内する第2リブと、を有するデフロスタ。
これによれば、第2絞り部で風速を速めた空気を、第2リブによって各方向へ案内し拡散等させることが可能となる。これにより、第2ダクト部側の空調性能を向上できる。