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JP6994717B2 - ガスセンサ、及びガスセンサの製造方法 - Google Patents

ガスセンサ、及びガスセンサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスセンサに関する。
従来、ガスセンサのガス感度を向上する方法として、次の方法が開示されている。すなわち、高次構造を有する材料を用いる方法(特許文献1参照)が開示されている。高次構造を有する材料としては、半導体特性を有する金属酸化物の一次粒子が凝集した二次粒子を用いることが考えられている。
特開2009-175131号公報
しかし、この技術では、ガス感度が必ずしも十分でなく、更なるガス感度の向上が求められていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、良好なガス感度を有するガスセンサを提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕
被検知ガスによって電気的特性が変化するガス感応膜を備えたガスセンサであって、
前記ガス感応膜には、半導体特性を有する金属酸化物の1次粒子が凝集した複数の2次粒子が含有され、
前記複数の2次粒子の少なくとも1部の2次粒子には、該2次粒子の表面及び内部に貴金属粒子が存在していることを特徴とするガスセンサ。
〔2〕
前記貴金属粒子は、白金粒子、及びパラジウム粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の粒子であることを特徴とする〔1〕に記載のガスセンサ。
本発明によれば、良好な感度を有するガスセンサが提供される。
また、貴金属粒子を、白金粒子、及びパラジウム粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の粒子とすることで、ガス感度が向上する。
ガスセンサの一例の平面図である。 ガスセンサの一例の断面図である。 酸化コバルトの2次粒子のステレオ観察によるTEM像である。水平方向に対し、-10°回転させて観察している。 酸化コバルトの2次粒子のステレオ観察によるTEM像である。水平方向に対し、+10°回転させて観察している。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.ガスセンサ
(1)ガスセンサの構成
ガスセンサ1は、ガス感応膜3を備える。ガス感応膜3には、半導体特性を有する金属酸化物の1次粒子が凝集した複数の2次粒子が含有されている。複数の2次粒子の少なくとも1部の2次粒子には、2次粒子の表面及び2次粒子の内部に貴金属粒子が存在している。
ガスセンサ1の一例の構造を図1、2に示す。ガスセンサ1では、絶縁基板5上に感ガス材料からなるガス感応膜3が配置されている。ガス感応膜3には、一対の電極7,7が接続されている。絶縁基板5としては、特に限定されず、アルミナ基板、シリコン基板、ジルコニア基板等を好適に用いることができる。電極7,7の材質、及び形態は特に限定されず、用途等に応じて適宜変更できる。一対の電極7,7の各々は、白金を主成分とするリード8,8の先端部に、白金を主成分とする櫛歯電極9,9が接続された形態を好適に採用することができる。この場合には、櫛歯電極9,9をガス感応膜3が覆っている。ガス感応膜3の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1~500μmであり、より好ましくは0.2~200μmであり、更に好ましくは1~100μmである。
ガスセンサ1は、特定のガスの濃度に応じたガス感応膜3のインピーダンス(電気的特性)の変化に基づいて特定のガスの濃度を検出する。特定のガスとしては、特に限定されないが、例えば、アセトン、エタノール、イソプレン、アンモニアを好適に例示することができる。
(2)半導体特性を有する金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子
金属酸化物としては、半導体特性を有していれば特に限定されず、幅広い金属酸化物を用いることができる。金属酸化物としては、酸化コバルト、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
金属酸化物の1次粒子の形状は、特に限定されない。金属酸化物の1次粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは1~30nmであり、より好ましくは5~25nmであり、更に好ましくは10~20nmである。
2次粒子は、1次粒子が凝集して形成されている。金属酸化物の2次粒子の形状は、特に限定されないが、好ましくは略球状である。
2次粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10~500nmであり、より好ましくは15~300nmであり、更に好ましくは20~200nmである。
なお、粒子の平均粒径(1次粒子の平均粒子径、2次粒子の平均粒子径)は、次のようにして求めることができる。粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、任意で選んだ20個の各粒子の最短径と最長径の平均((最短径+最長径)/2)をそれぞれ算出し、それらを総平均して求める。ここで、最短径とは、最も短い直径のことである。最短径は、観察視野上又はその写真上で、個々の粒子を平行な2本の線分で挟みこんだときの最短距離として求めることができる。また、最長径とは、最も長い直径のことである。最長径は、観察視野上又はその写真上で、個々の粒子を平行な2本の線分で挟みこんだときの最長距離として求めることができる。
本発明では、複数の2次粒子の少なくとも1部の2次粒子には、2次粒子の表面及び2次粒子の内部に貴金属粒子が存在している。
貴金属粒子は、貴金属の粒子であれば特に限定されず、種々の貴金属の粒子を用いることができる。貴金属粒子は、白金粒子、パラジウム粒子、金粒子、イリジウム粒子、ルテニウム粒子、及び銀粒子からなる群より選ばれる1種以上の粒子であることが好ましく、白金粒子、及びパラジウム粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の粒子であることがより好ましい。
貴金属粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは0.5~30nmであり、より好ましくは1~20nmであり、更に好ましくは2~10nmである。
なお、貴金属粒子の平均粒径は、既述の金属酸化物の平均粒径と同様にして求めることができる。
表面及び内部に貴金属粒子が存在している2次粒子の割合は特に限定されない。高いガス感度を得るとの観点からは、2次粒子の総数を100%とした場合に、表面及び内部に貴金属粒子を含有している2次粒子の割合は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であり、更に好ましくは50%以上である。
ガス感応膜に含有される2次粒子には、表面及び内部に貴金属粒子が存在している2次粒子の他、表面のみに貴金属粒子が存在している2次粒子、内部のみに貴金属粒子が存在している2次粒子、貴金属粒子が存在していない2次粒子の少なくとも1種が混在していてもよい。
ガス感応膜3に含有される、半導体特性を有する金属酸化物の総量に対する貴金属粒子の総量は、特に限定されない。貴金属粒子の総量は、金属酸化物の総量を100重量部とした場合に、好ましくは0.1~15重量部であり、より好ましくは0.5~10重量部であり、更に好ましくは1~5重量部である。この範囲内であると、ガス感度が良好であるとともに、コストの面でも有利である。
なお、ガス感応膜3に含有される、半導体特性を有する金属酸化物の総量、及び貴金属粒子の総量は以下のように定義される。
<金属酸化物の総量>
本発明において2次粒子には、以下の〔1〕の2次粒子は必ず含まれているが、その他の〔2〕~〔4〕の2次粒子は任意成分である。ここで、金属酸化物の総量は、〔1〕~〔4〕の全ての2次粒子に含まれる金属酸化物の合計量である。

〔1〕表面及び内部に貴金属粒子が存在している2次粒子
〔2〕表面のみに貴金属粒子が存在している2次粒子
〔3〕内部のみに貴金属粒子が存在している2次粒子
〔4〕貴金属粒子が存在していない2次粒子
<貴金属粒子の総量>
本発明において2次粒子には、以下の〔1〕の2次粒子は必ず含まれているが、その他の〔2〕~〔4〕の2次粒子は任意成分である。ここで、貴金属粒子の総量は、〔1〕~〔4〕の全ての2次粒子に含まれる貴金属粒子の合計量である。

〔1〕表面及び内部に貴金属粒子が存在している2次粒子
〔2〕表面のみに貴金属粒子が存在している2次粒子
〔3〕内部のみに貴金属粒子が存在している2次粒子
〔4〕貴金属粒子が存在していない2次粒子
2次粒子の表面及び内部に貴金属粒子が存在していることは次のようにして確認することができる。すなわち、2次粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察するに際して、ステレオ観察を行うことにより確認できる。詳細には、透過型電子顕微鏡で観察する際に、2次粒子を視る角度を変化させた場合に、観測される貴金属粒子の位置の変化に着目する。
具体的には、測定試料の傾斜角度を変化させて観察する。2次粒子の内部に存在する貴金属粒子は、視る角度を変えても2次粒子の中央部付近に観察される。他方、2次粒子の表面に存在する貴金属粒子は、視る角度によって、2次粒子における貴金属粒子の位置が変化し易い。よって、角度を変化させても、ほとんど観測される位置が変わらない貴金属粒子は、2次粒子の内部に存在しているものと分かる。他方、角度を変化させると、観測される位置が変わる貴金属粒子は、2次粒子の表面あるいは表面近傍に存在しているものと分かる。
ガス感応膜に含有される2次粒子の少なくとも1部の2次粒子が、表面及び内部に貴金属粒子を含有している場合に、ガス感度、選択性が向上する理由は以下のように推測される。
検知対象ガス(上述の「特定のガス」に相当)と検知対象ガスよりも高い反応性を有す
る妨害ガス(「特定のガス」以外のガス)が混在する場合には、妨害ガスは、2次粒子の表面に担持された貴金属粒子によって分解除去される。他方、検知対象ガスは、2次粒子内に侵入し、2次粒子内の貴金属粒子上で反応する。2次粒子内の空間は狭小であるため、検知対象ガスの反応は容易に進行し、高いガス感度、選択性が得られる。
このようにして、ガス感度、選択性が良好になると推測される。
2.ガスセンサの作製
(1)金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子の調製方法
金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子の調製方法は、特に限定されないが、以下の方法を好適に採用することができる。
(1.1)出発原料
出発原料としては、金属化合物、高沸点有機溶媒、有機高分子、水、貴金属コロイド溶液を用いることができる。「金属化合物」は、水和物が好ましく用いられる。金属化合物として、酢酸コバルト4水和物、硝酸コバルト6水和物、塩化コバルト6水和物が好適に例示される。
「高沸点有機溶媒」としては、常圧の沸点が130℃以上である、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等が好適に例示され、好ましくはジエチレングリコールが用いられる。
次に「貴金属コロイド溶液」について説明する。貴金属コロイドを構成する微小粒子は、白金、パラジウム、金、イリジウム、ルテニウム、及び銀からなる群より選ばれる貴金属を1種以上含む。貴金属コロイド溶液には保護剤が含有されていてもよい。保護剤とは、コロイド溶液中でコロイド粒子の周辺に化学的又は物理的に結合、吸着する化合物であって、コロイド粒子同士の凝集を抑制し、粒径分布を適性範囲に制御して安定化させるものをいう。保護剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)等の有機化合物を用いることができる。作製容易さの観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。
貴金属コロイド溶液は、作製容易さの観点から、白金PVPコロイド溶液、パラジウムPVPコロイド溶液のうちの少なくとも1種が好ましい。
金属コロイド溶液中の貴金属濃度は、特に限定されないが、0.1~5重量%とすることが好ましい。
「有機高分子」としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)のうちの少なくとも1種が好適に挙げられる。作製容易さの観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。
(1.2)金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子の調製
まず、金属化合物、高沸点有機溶媒、有機高分子、水を混合して混合物Aとする。
次に、混合物Aに貴金属コロイド溶液を混合して混合物Bとする。混合物B中での金属化合物の重量は、特に限定されないが、1~5重量%であることが好ましい。混合物B中での有機高分子の重量は、特に限定されないが、1~15重量%であることが好ましい。混合物B中での貴金属重量は、特に限定されないが、0.005~0.1重量%であることが好ましい。水の添加割合は、特に限定されないが、高沸点有機溶媒100重量部に対して、水が5~20重量部添加されていることが好ましい。
なお、金属化合物、高沸点有機溶媒、有機高分子、水、貴金属コロイド溶液の混合は、上述の順序で混合する必要は特になく、任意の順序で混合してもよい。また、これらを一度に混合してもよい。
次に、上記混合物Bを190~200℃の温度で加熱・還流する。加熱・還流により金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子が形成される。
加熱・還流時間は、特に限定されないが、150分以上であることが好ましい。加熱・還流時間の上限値は、通常600分である。
加熱・還流時間が短いと、未反応の金属イオンが多く残留する可能性がある。なお、加熱・還流中に、混合物(混合液)は、濁りを増す。
所定の時間加熱・還流を行い、冷却する。こうして、金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子であって、表面及び内部に貴金属粒子が存在する2次粒子が得られる。
(1.3)ガスセンサの作製
ガスセンサ1の作製は、公知の方法を広く採用することができる。ガスセンサの作製方法の一例を以下に示す。
絶縁基板5上に、一対の電極7,7を形成する。例えば、Alからなる絶縁基板5上に、Pt系ペーストやAuペースト等を印刷し、その後、乾燥させてから、焼成する。
他方、金属酸化物の2次粒子の粉末に、有機溶剤と分散剤とを入れ、らいかい機で分散混合した後、バインダーを添加し、更に湿式混合を行ってペーストとする。
そして、ガス感応膜3の材料のペーストを、電極7,7を形成した絶縁基板5上に、スクリーン印刷し、厚膜化する。その後、60~90℃で乾燥後、400~600℃で1~2時間焼成して、ガス感応膜3の材料のペーストを絶縁基板5上に焼き付ける。このようにして、ガス感応膜3を備えたガスセンサ1が作製される。
3.本実施形態のガスセンサの作用効果
本実施形態によれば、良好な感度を有するガスセンサが提供される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.ガスセンサの作製
(1)実施例1
ジエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸コバルト4水和物、貴金属コロイド溶液としての白金PVPコロイド溶液を水中で混合し、200℃で6時間還流し、酸化コバルトに白金が添加された粉末を得た。この粉末は、酸化コバルトの2次粒子であり、表面及び内部に白金粒子が存在する2次粒子を含んでいる。
粉末をペーストとし、アルミナ基板上に印刷して、400℃で2時間焼成した。このようにして、表面及び内部に白金粒子が存在する酸化コバルトの2次粒子を含有するガス感応膜3を備えたガスセンサ1を作製した。
なお、上述の混合の際に、各原材料は以下の割合で配合した。

ジエチレングリコール :67g
ポリビニルピロリドン :7.2g
酢酸コバルト4水和物 :1.5g
白金PVPコロイド溶液 :0.114g
水(蒸留水) :10g

ここで、白金PVPコロイド溶液の白金濃度は、4重量%である。
実施例1において、酸化コバルトの2次粒子の内部に白金の粒子が存在することは、TEMのステレオ観察により確認した。測定試料を回転した場合、白金粒子の位置がほとんど移動しなければ、その白金粒子は酸化コバルトの2次粒子の内部に存在すると判断できる。図3、図4は、測定試料(酸化コバルトの2次粒子)を各々-10°、+10°回転した際のTEM像である。矢印〔1〕で指し示された白金粒子は、両図面間で位置の移動がほとんど無く、矢印〔2〕、〔3〕で指し示された白金粒子は、両図面間で位置の移動がある。よって、矢印〔1〕で指し示された白金粒子は、酸化コバルトの2次粒子の内部に存在し、矢印〔2〕、〔3〕で指し示された白金粒子は、酸化コバルトの2次粒子の表面あるいは表面近傍に存在していると判断された。
(2)実施例2
貴金属コロイド溶液として、下記のパラジウムPVPコロイド溶液を用いて、酸化コバルトにパラジウムが添加された粉末を得た。この粉末は、酸化コバルトの2次粒子であり、表面及び内部にパラジウム粒子が存在する2次粒子を含んでいる。それ以外の点は、実施例1と同様にして実施例2のガスセンサ1を作製した。

パラジウムPVPコロイド溶液:0.114g
なお、パラジウムPVPコロイド溶液のパラジウム濃度は、4重量%である。
(3)比較例1
白金PVPコロイド溶液が混合されていない状態において200℃で6時間還流した。そして、還流後に、白金PVPコロイド溶液を混合した。これ以外は、実施例1と同じ条件を採用し、表面のみに白金粒子が存在する酸化コバルトの2次粒子を得た。そして、実施例1と同様にして、ガスセンサ1を作製した。
すなわち、比較例1では、次のようにしてガスセンサ1を作製した。
ジエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸コバルト4水和物を水中で混合し、200℃で6時間還流した。還流後の混合液に、貴金属コロイド溶液としての白金PVPコロイド溶液を混合し、酸化コバルトに白金粒子が添加された粉末を得た。そして、この粉末を用いて実施例1と同様にガスセンサ1を作製した。
(4)比較例2
貴金属コロイド溶液を用いなかった。それ以外の点は実施例1と同様にして比較例2のガスセンサ1を作製した。
すなわち、比較例2では、次のようにしてガスセンサ1を作製した。
ジエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸コバルト4水和物を水中で混合し、200℃で6時間還流し、白金粒子を含まない酸化コバルトの粉末を得た。そして、この粉末を用いて実施例1と同様にガスセンサ1を作製した。
2.評価方法、及び評価結果
(1)評価方法
(1.1)ベース抵抗値の測定
実施例1~2及び比較例1~2のそれぞれのガスセンサ1について、ベース抵抗値(抵抗値Ra)を測定した。測定においては、温度25℃、相対湿度20%RHで、酸素(O)を20体積%とした酸素と窒素(N)の混合ガスをベースガスとして用いた。ベースガス雰囲気下、400℃にて、ベース抵抗値を測定した。
(1.2)ガス感度の測定
上記ベースガスに対して5ppmのアセトンを含有させたアセトン含有ガス、及び上記ベースガスに対して5ppmの水素を含有させた水素含有ガスを測定雰囲気に用いた。それ以外は、上記(1.1)ベース抵抗値の測定と同様にして、各ガスセンサ1の電極7,7間の抵抗値Rg(検知時抵抗値)を測定した。そして、抵抗値Rgと、上記(1.1)で測定されたベース抵抗値Raとの相関値(Rg/Ra)をガス感度とした。ガス感度は、アセトン含有ガスに対するアセトン感度、及び水素含有ガスに対する水素感度を測定している。また、ガス選択性を下記式よりS/Nとして求めた。なお、各測定は1回ずつ行った。

S/N=アセトン感度/水素感度
(2)評価結果
評価結果を表1に示す。
Figure 0006994717000001
実施例1、2では、比較例1、2に比べて、アセトン感度が良好であった。また、実施例1、2では、比較例1、2に比べて、S/Nの値が高いことから、ガス選択性が良好であることが分かった。
3.実施例の効果
本実施例のガスセンサは、アセトン感度が良好であり、ガス選択性に優れている。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明のガスセンサは、ガス検知分野及びガス濃度測定分野において広く用いられる。
1…ガスセンサ
3…ガス感応膜
5…絶縁基板
7…電極
8…リード
9…櫛歯電極

Claims (3)

  1. 被検知ガスによって電気的特性が変化するガス感応膜を備えたガスセンサであって、
    前記ガス感応膜には、半導体特性を有する金属酸化物の1次粒子が凝集した複数の2次粒子が含有され、
    前記複数の2次粒子の少なくとも1部の2次粒子には、該2次粒子の表面及び内部に貴金属粒子が存在していることを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記貴金属粒子は、白金粒子、及びパラジウム粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の粒子であることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 請求項1又は2に記載のガスセンサの製造方法であって、
    金属化合物、高沸点有機溶媒、有機高分子、及び水を混合して混合物Aとする工程と、
    前記混合物Aに貴金属コロイド溶液を混合して混合物Bとする工程と、
    前記混合物Bを加熱・還流して、金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子を形成する2次粒子形成工程と、
    前記2次粒子形成工程で得た2次粒子の粉末に、有機溶剤と分散剤とを入れ、分散混合した後、バインダーを添加し、更に湿式混合を行ってペーストとし、前記ペーストを、電極を形成した絶縁基板上に、スクリーン印刷し、厚膜化し、乾燥後、焼成して、前記ペーストを前記絶縁基板上に焼き付ける工程と、を有するガスセンサの製造方法。
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