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JPWO2013179774A1 - Ntcサーミスタ素子およびその製造方法 - Google Patents

Ntcサーミスタ素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

耐熱性向上のため、NTCサーミスタ素子1は、Mn、Ni、FeおよびTiを含有するセラミック材料からなる基体2と、基体2に形成された二個一対の外部電極4a,4bと、を備える。基体2におけるMnのモル量をa[mol%]とし、Niのモル量をb[mol%]としたとき、a+b=100、44.90≦a≦65.27、かつ、34.73≦b≦55.10である。また、Feのモル量をc[mol%]とし、Tiのモル量をd[mol%]としたとき、a+b=100に対し、24.22≦c≦39.57、かつ、5.04≦d≦10.18である。

Description

本発明は、負の温度特性を有するNTCサーミスタ素子およびその製造方法に関する。
従来、NTCサーミスタ素子としては、例えば、下記の特許文献1に記載のものがある。このNTCサーミスタ素子は、大略的には、セラミック素体と、該セラミック素体に形成される外部電極とを備える。セラミック素体は、Mn,Ni及びTiを含む半導体セラミック材料からなり、以下の条件(1)および(2)を満たす。また、半導体セラミック材料にはFeが添加されていても構わない。
(1)半導体セラミック材料に含まれるMnのモル量をa、及びNiのモル量をbとするとき、55/45≦a/b≦90/10であること。
(2)半導体セラミック材料におけるMn及びNiの総モル量を100モル部とすると、Tiが0.5モル部以上25モル部以下の範囲で含有されること。
国際公開第2006/085507号
近年、NTCサーミスタ素子は、家電製品や民生用機器だけでなく、車載用途にも使用されている。通常、車載用デバイスには、耐熱性等の面で、民生用よりも厳しい信頼性試験が課せられる。
しかしながら、特許文献1のNTCサーミスタ素子では、150℃で1000時間放置という試験方法で耐熱性試験を実施した場合、抵抗値の変化やB定数の変化が大きく、耐熱性の面で問題点があった。
それゆえに、本発明は、耐熱性に優れたNTCサーミスタ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第一局面は、NTCサーミスタ素子であって、Mn、Ni、FeおよびTiを含有するセラミック材料からなる基体と、前記基体に形成された二個一対の外部電極と、を備える。
ここで、Mnのモル量をa[mol%]とし、Niのモル量b[mol%]としたとき、a+b=100、44.90≦a≦65.27、かつ、34.73≦b≦55.10である。また、Feのモル量をc[mol%]とし、Tiのモル量d[mol%]としたとき、a+b=100に対し、24.22≦c≦39.57、かつ、5.04≦d≦10.18である。
また、本発明の第二局面は、NTCサーミスタ素子の製造方法であって、マンガン化合物、ニッケル化合物、鉄化合物およびチタン化合物からなるセラミック素原料から、基体を生成する第一工程と、前記第一工程で形成された基体に二個一対の外部電極を生成する第二工程と、を備える。
ここで、前記セラミック素原料におけるMnのモル量をa'[mol%]とし、該素原料におけるNiのモル量b'[mol%]としたとき、a'+b'=100、45.00≦a'≦65.42、かつ、34.58≦b'≦55.00である。
また、前記セラミック素原料におけるFeのモル量をc'[mol%]とし、該素原料におけるTiのモル量d'[mol%]としたとき、a'+b'=100に対し、25.48≦c'≦40.00、かつ、5.00≦d'≦10.10である。
上記第一および第二局面によれば、耐熱性に優れたNTCサーミスタ素子を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るNTCサーミスタ素子の構成を示す縦断面図である。
(実施形態)
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るNTCサーミスタ素子1を詳説する。
まず、図1に示すX軸、Y軸およびZ軸を定義する。X軸、Y軸およびZ軸は、NTCサーミスタ素子1の左右方向、前後方向および上下方向を示す。
(NTCサーミスタ素子の構成)
図1には、表面実装型のNTCサーミスタ素子1が例示される。このNTCサーミスタ素子1は、基体2と、複数の内部電極3(図示は内部電極3a〜3d)と、二個一対の外部電極4a,4bと、第一メッキ膜5a,5bと、第二メッキ膜6a,6bとを備える。
基体2は、本実施形態では、例えば、左右方向に長い略直方体形状を有する。この基体2は、負の温度特性を有するセラミック材料からなる。より具体的には、基体2は、Mn(マンガン)およびNi(ニッケル)を主成分(基本組成)として含有し、さらに、Fe(鉄)およびTi(チタン)を添加物として含有する。
各内部電極3a〜3dは、空気中で酸化しにくい貴金属合金(例えば銀パラジウム合金)からなり、基体2の内部に形成される。図1の例では、内部電極3a,3bが左側の櫛歯状電極を、内部電極3c,3dが右側の櫛歯状電極を構成する。具体的には、内部電極3a,3bはそれぞれ、基体2の左端から右端に向けて延在し、内部電極3c,3dはそれぞれ、基体2の右端から左端に向けて延在する。また、内部電極3a,3b(左側の櫛歯状電極)と、内部電極3c,3d(右側の櫛歯状電極)は、上下方向に所定間隔を空けて噛み合っている。
外部電極4a,4bは、貴金属(例えば銀)からなる。外部電極4aは、内部電極3a,3bと電気的に導通するように基体2の左端面上に形成され、外部電極4bは、内部電極3c,3dと電気的に導通するように基体2の右端面上に形成される。
また、第一メッキ膜5a,5bは、例えばNiからなり、外部電極4a,4b上に形成される。第二メッキ膜6a,6bは、例えばSn(スズ)からなり、第一メッキ膜5a,5b上に形成される。
(NTCサーミスタ素子の製法の一例)
上記NTCサーミスタ素子1の製造工程は、大略的には、内部電極3を内蔵した基体2を作製する第一工程と、該第一工程で作製された基体2に外部電極4a,4b等を形成する第二工程とからなる。
第一工程は、より具体的には、以下の(A)〜(H)の詳細な工程を含む。
(A) セラミック素原料であるMn34、NiO、Fe23、TiO2が所定量秤量される。
(B) 工程(A)で秤量されたセラミック素原料は、ジルコニア等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入され、十分に湿式粉砕される。
(C) 工程(B)で粉砕されたセラミック素原料は、760℃、2時間の条件で仮焼処理され、これによって、セラミック粉末が作製される。
(D) 工程(C)で作製されたフェライト粉末には、所定量の有機バインダが加えられる。フェライト粉末および有機バインダは、湿式で混合処理され、スラリー状にされる。
(E) 工程(D)で得られたスラリーはドクターブレード法等により成形加工され、これによって、セラミックグリーンシートが得られる。
(F) 工程(E)で得られたセラミックグリーンシートには、銀パラジウム合金を主成分とした内部電極用ペーストで、内部電極3のパターンがスクリーン印刷される。
(G) 工程(F)で、内部電極3が印刷されたセラミックグリーンシートが複数枚積層される。これによって得られた積層体の上下両面には、内部電極3が印刷されていないセラミックグリーンシートが圧着される。
(H) 工程(G)で得られた積層体は、所定寸法に切断された後、ジルコニア製の匣に収容される。その後、切断された積層体に、350℃、2時間の条件で脱バインダ処理が行われ、その後、所定温度(例えば1100℃〜1175℃)で焼成処理が行われる。これによって、内部電極3を内蔵する基体2が得られる。
次に、第二工程が行われる。この第二工程は、以下の(I)および(J)の詳細な工程を含む。
(I) 工程(H)で得られた基体2の左右両端面に、銀を主成分とする外部電極用ペーストが塗布され焼き付けられる。これによって、外部電極4a,4bが形成される。
(J) 工程(I)で形成された外部電極4a,4bには、電界メッキにより、Niの第一メッキ膜5a,5bが形成される。この第一メッキ膜5a,5b上には、電界メッキにより、Snの第二メッキ膜6a,6bが形成される。
以上の工程(A)〜(J)により、NTCサーミスタ素子1が完成する。
(基体の詳細な組成)
本実施形態において、NTCサーミスタ素子1の完成品の基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量は、サーミスタ素子1の耐熱性向上のために、下記(1)および(2)に記載の数値範囲内である。
(1)基体2におけるMn、Niのモル量をa[mol%]、b[mol%](但し、a+b=100[mol%])とした時、64.43≦a≦65.27であり、かつ、34.73≦b≦35.57である。
(2)基体2におけるFe、Tiのモル量をc[mol%]、d[mol%]とした時、a+b=100に対し、24.22≦c≦25.25であり、9.28≦d≦10.18である。
本願発明者は、以下の表1に示すように18通りのMn、Ni、FeおよびTiの含有量の組み合わせを有するセラミック素原料を用いて、18種類(ロット番号1〜18)のNTCサーミスタ素子を作製した。ここで、表1において、ロット番号1〜17は本実施形態に係るNTCサーミスタ素子1の素原料におけるMn等の含有比率である。また、ロット番号18は、従来のNTCサーミスタ素子の素原料におけるMn等の含有比率である。
Figure 2013179774
表1では、セラミック素原料におけるMn、Niのモル量をa'[mol%]、b'[mol%]としている。また、この素原料におけるFe、Tiのモル量をc'[mol%]、d'[mol%]としている。但し、a'+b'=100[mol%]である。また、c'およびd'は、a'+b'=100に対するモル量である。
ロット番号1の場合、a'は65.00[mol%]であり、b'は35.00[mol%]であり、c'は25.00[mol%]であり、d'は9.65[mol%]である。他のロット番号2〜18に関しても、ロット番号1の場合と同じ要領で、a'、b'、c'、d'が記載されている。
本願発明者は、さらに、WDX(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)により、各サーミスタ素子1の基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有比率を分析した。本願発明者は、さらに、各サーミスタ素子1について直流抵抗値R25,R50を、25℃、50℃の恒温液相中で測定した。また、以下の式(1)により、25℃および50℃間のB定数(B25/50)を算出した。
Figure 2013179774
また、各ロット番号のNTCサーミスタ素子1に対し、信頼性試験A,Bを実施した。信頼性試験Aの条件は、125℃で1000時間放置であり、信頼性試験Bの条件は150℃で1000時間放置である。本願発明者は、各信頼性試験A,B実施後の抵抗変化率ΔR、B定数変化率ΔB25/50を算出した。ΔRは、以下の式(2)から算出され、ΔB25/50は、以下の式(3)から算出される。
Figure 2013179774
式(2)において、R25(1000hr)は、125℃または150℃で1000時間放置後に、25℃の恒温液相中で測定した直流抵抗値である。R25(0hr)は、信頼性試験A,Bの実施前に、25℃の恒温液相中で測定した直流抵抗値である。
また、式(3)において、B25/50(1000hr)は、125℃または150℃で1000時間放置後に算出された、25℃および50℃間のB定数である。B25/50(0hr)は、信頼性試験A,Bの実施前に算出された、25℃および50℃間のB定数である。
以上の分析・測定結果および算出値を以下の表2に示す。
Figure 2013179774
表2では、NTCサーミスタ素子の完成品におけるMn、Niのモル量をa[mol%]、b[mol%]としている。また、この完成品におけるFe、Tiのモル量をc[mol%]、d[mol%]としている。但し、a+b=100[mol%]である。また、cおよびdは、a+b=100に対するモル量である。
また、表2には、ロット番号ごとに、a〜dと、直流抵抗値R25に対応する電気抵抗率ρ25と、B25/50と、信頼性試験AでのΔRおよびΔB25/50と、信頼性試験BでのΔRおよびΔB25/50とが記載されている。
例えば、ロット番号1のNTCサーミスタ素子は、表1に示す同じロット番号のセラミック素原料を用いて製作されたものである。ロット番号1の場合、aは64.85[mol%]であり、bは35.15[mol%]であり、cは24.73[mol%]であり、dは9.73[mol%]である。また、ρ25は52.0[kΩcm]であり、B25/50は4086[K]である。信頼性試験AでのΔRおよびΔB25/50は0.04%および0.01である。また、信頼性試験BでのΔRおよびΔB25/50は0.34%および0.04である。
他のロット番号2〜18に関しても、ロット番号1の場合と同じ要領で、表2には各数値が記載されている。なお、表2において、ロット番号1〜17は本実施形態に係るNTCサーミスタ素子1におけるMn等の含有比率である。また、ロット番号18は、従来のNTCサーミスタ素子におけるMn等の含有比率である。
表1および表2から分かるように、ロット番号1〜17は、ロット番号18と同様、NTCサーミスタ素子として十分実用的な電気的特性(ρ25,B25/50)を有する。そうでありながら、ロット番号1〜17について、信頼性試験Bの実施後のΔRは0.39%以下であり、ΔB25/50は0.05%以下である。これらの値は、ロット番号18の値と比較して格段に優れており、これらサーミスタ素子1が150℃という高温環境下で1000時間もの間放置されても、電気的特性(抵抗値やB定数)の変化が極めて小さくなっていることが分かる。
以上説明した通り、基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量を上記(1)および(2)に記載の数値範囲内にすると、NTCサーミスタ素子1の耐熱性を向上させることが可能となる。
また、違う観点では、セラミック素原料におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量を下記(3)および(4)に記載の数値範囲内にして、上記製法によりNTCサーミスタ素子1を作製することで、NTCサーミスタ素子1の耐熱性を向上させることができる。
(3)セラミック素原料におけるMn、Niのモル量をa'[mol%]、b'[mol%]を、64.58≦a'≦65.42、かつ、34.58≦b'≦35.42とする。
(4)セラミック素原料におけるFe、Tiのモル量をc'[mol%]、d'[mol%]を、24.48≦c'≦25.52であり、9.20≦d'≦10.10とする。
(付記)
上記実施形態では、表面実装型のNTCサーミスタ素子について説明した。しかし、NTCサーミスタ素子のプリント基板への実装方法は、表面実装型に限らず、BGA(Ball Grid Array)型でも構わない。
また、上記実施形態では、内部電極3a〜3dが貴金属合金からなり、外部電極4a,4bは貴金属からなるとして説明した。しかし、これに限らず、内部電極3a〜3dが貴金属からなり、外部電極4a,4bが貴金属合金からなっても構わない。
また、上記実施形態では、銀からなる外部電極4a,4bとの相性を考慮して、第一メッキ膜5a,5bはNiメッキであり、第二メッキ膜6a,6bはSnメッキとした。しかし、これに限らず、第一メッキ膜5a,5bおよび第二メッキ膜6a,6bの材料は、外部電極4a,4bの材料に応じて適宜選択される。
また、上記実施形態では、セラミック素原料として、Mn34等の酸化物が使用された。しかし、これに限らず、Mn等の炭酸塩または水酸化物等が使用されても構わない。Ni、Fe、Tiについても同様である。つまり、Mn、Ni、Fe、Tiの様々な化合物をセラミック素原料として用いることが可能である。
また、上記実施形態では、製法の一例では、ドクターブレード法により、基体2が積層構造とされた。しかし、これに限らず。内部電極3を備えず、基体2の左右両端面に外部電極4a,4bのみが形成される場合、乾式成形で基体2が形成されても構わない。
(付記)の欄に記載の各事項は、以下の変形例に係るNTCサーミスタ素子でも同様に当てはまる。
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例に係るNTCサーミスタ素子について説明する。変形例に係るNTCサーミスタ素子は、前述の実施形態に係るものと比較すると、基本的な構成には相違は無く、下記の表3に示すように基体の組成が相違するだけである。それゆえ、本変形例の説明では、図1を援用すると共に、変形例において、実施形態の構成に相当するものには同一符号を付け、それぞれの説明を省略する。
(基体の詳細な組成)
本変形例において、NTCサーミスタ素子1の素原料におけるMn、Ni、FeおよびTiのモル量は、耐熱性向上のために、下記(5)および(6)の記載の数値範囲内である。
(5)セラミック素原料におけるMn、Niのモル量をa'[mol%]、b'[mol%](但し、a'+b'=100[mol%])を、45.00≦a'≦65.00、かつ、35.00≦b'≦55.00とする。
(6)セラミック素原料におけるFe、Tiのモル量をc'[mol%]、d'[mol%](但し、、c'およびd'は、a'+b'=100に対するモル量)を、25.00≦c'≦40.00であり、5.00≦d'≦9.65とする。
また、本変形例において、上記素原料を用いたNTCサーミスタ素子1の完成品の基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量は、耐熱性向上のために、下記(7)および(8)に記載の数値範囲内である。
(7)基体2におけるMn、Niのモル量をa[mol%]、b[mol%](但し、a+b=100[mol%])とした時、44.90≦a≦64.85であり、かつ、35.15≦b≦55.10である。
(8)基体2におけるFe、Tiのモル量をc[mol%]、d[mol%]とした時、a+b=100に対し、24.73≦c≦39.57であり、5.04≦d≦9.73である。
本願発明者は、上記素原料を用いたNTCサーミスタ素子の完成品の耐熱性を確認すべく、以下の表3に記載の素原料を用いて、表4に記載の組成を有する13種類(ロット番号19〜31)のNTCサーミスタ素子を作製した。なお、表3、表4の参照の仕方は、表1、表2と同様である。
Figure 2013179774
Figure 2013179774
本願発明者は、ロット番号19〜31のそれぞれについて、上記実施形態と同様の手法で、25℃および50℃間のB定数(B25/50)を算出した。
また、各ロット番号19〜31のそれぞれに対し、上記実施形態に記載の信頼性試験A,Bを実施して、信頼性試験A,B実施後の抵抗変化率ΔR、B定数変化率ΔB25/50を算出した。
表4には、ロット番号ごとに、以上の算出値も記載されている。
表4から分かるように、ロット番号21〜23,26,29は、ロット番号1〜17と同様、NTCサーミスタ素子として十分実用的な電気的特性(ρ25,B25/50)を有する。さらに、ロット番号21〜23,26,29においては、信頼性試験Bの実施後のΔRは0.36%以下であり、ΔB25/50は0.09%以下である。これらの値は、従来のNTCサーミスタ素子(つまり、ロット番号18)の値よりも低く、これらロット番号21〜23,26,29が150℃という高温環境下で1000時間もの間放置されても、電気的特性の変化が極めて小さくなっていることが分かる。つまり、耐熱性に優れていることが分かる。
以上説明した通り、基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量を上記(7)および(8)に記載の数値範囲内にすると、NTCサーミスタ素子1の耐熱性を向上させることが可能となる。
(まとめ)
上記実施形態と上記変形例とをまとめると、NTCサーミスタ素子1の素原料におけるMn、Ni、FeおよびTiのモル量を下記(9)および(10)に記載の数値範囲内とすると、その耐熱性を向上させることができる。
(9)45.00≦a’≦65.42であり、かつ、34.58≦b’≦55.00である。
(10)25.48≦c’≦40.00であり、5.00≦d’≦10.10である。
また、NTCサーミスタ素子1の完成品に関しては、基体2におけるMn、Ni、FeおよびTiの含有量を下記(11)および(12)に記載の数値範囲内とすると、その耐熱性を向上させることができる。
(11)44.90≦a≦65.27であり、かつ、34.73≦b≦55.10である。
(12)24.22≦c≦39.57であり、5.04≦d≦10.18である。
本発明に係るサーミスタ素子は、耐熱性に優れており、家電製品や民生用機器だけでなく、特に車載用途に好適である。
1 サーミスタ素子
2 基体
3 内部電極
4a,4b 外部電極
5a,5b 第一メッキ膜
6a,6b 第二メッキ膜

Claims (2)

  1. Mn、Ni、FeおよびTiを含有するセラミック材料からなる基体と、
    前記基体に形成された二個一対の外部電極と、を備え、
    Mnのモル量をa[mol%]とし、Niのモル量b[mol%]としたとき、a+b=100、44.90≦a≦65.27、かつ、34.73≦b≦55.10であり、
    Feのモル量をc[mol%]とし、Tiのモル量d[mol%]としたとき、a+b=100に対し、24.22≦c≦39.57、かつ、5.04≦d≦10.18である、NTCサーミスタ素子。
  2. マンガン化合物、ニッケル化合物、鉄化合物およびチタン化合物からなるセラミック素原料から、基体を生成する第一工程と、
    前記第一工程で形成された基体に二個一対の外部電極を生成する第二工程と、を備え、
    前記セラミック素原料におけるMnのモル量をa'[mol%]とし、該素原料におけるNiのモル量b'[mol%]としたとき、a'+b'=100、45.00≦a'≦65.42、かつ、34.58≦b'≦55.00であり、
    前記セラミック素原料におけるFeのモル量をc'[mol%]とし、該素原料におけるTiのモル量d'[mol%]としたとき、a'+b'=100に対し、25.48≦c'≦40.00、かつ、5.00≦d'≦10.10である、NTCサーミスタ素子の製造方法。
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