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JP6807140B2 - 表面処理粉体及びこれを配合した化粧料 - Google Patents

表面処理粉体及びこれを配合した化粧料 Download PDF

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本発明は、炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも1種で表面処理した化粧料用粉体で、油性剤への易分散性および分散安定性に優れた表面処理粉体に関する。さらに、本発明は、該処理粉体とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有することによって粉体粒子の分散性とUVカット効果に優れた化粧料に関する。
油性剤への易分散性および分散安定性に優れた表面処理粉体で従来分散剤を必要とする油分散系に対しては、分散性を使用せずとも容易に分散するとともに分散の安定化に優れた表面処理粉体が求められている。
一方、パウダーファンデーションやリキッドファンデーション、口紅、マニュキュアなどのメーキャップ化粧料やサンスクリーン化粧料、スキンケア美容液、化粧水、香水などの化粧料には紫外線から肌を守るため紫外線吸収剤が配合されている。特にUVB吸収剤であるパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルは、有機紫外線吸収剤の中でも化粧料への配合実績が多く安定性や安全性の観点でも他の有機UVB吸収剤より優れており無機粉体と一緒に配合されることが多い。
有機物で表面処理された無機粉体は、肌上の汗や皮脂を吸収またははじいたり、肌の光学特性の改善、肌上でのすべり性等の使用感の改善、紫外線の吸収や遮蔽をする目的で化粧料に配合されるが、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと親和性の悪い粉体は粒子径が小さいほど凝集し易く本来のパフォーマンスが発揮されないことがある。
特に、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを多く配合するサンスクリーン剤の場合、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛が同時に配合されるため、表面処理されている有機物との親和性の良し悪しによってUV遮蔽効果や製剤の安定性が左右される。良分散性や超分散性または易分散性を有する表面処理として、アシル化アミノ酸処理や複合化処理粉体が提案されている。さらに、疎水化処理粉体と第3成分として分子構造の一部に水酸基や環状構造を持つ成分との組合せが優れた分散性を有する事を提案している。(特許文献1〜4)
また、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと親和性の良い表面処理としてイソステアリン酸処理も提案されているが、分散剤を配合する事で分散性を高めており未だ満足できるものではなかった。(特許文献5)
特公平1−50202号 特開2001−72572号 WO2010/116692A1 特開2017−88599号 特開2016−222602号
本発明は、油性剤への易分散性および分散安定性に優れた表面処理粉体により、従来分散剤を必要とする油分散系に対して分散剤を使用せずとも容易に分散するとともに分散の安定化に優れた表面処理粉体を提供することを目的とする。さらに、この表面処理粉体とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを化粧料中に配合することによって、粉体粒子の分散性とUVカット効果に優れた化粧料を提供することを目的とする。
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体が、油性剤への易分散性および分散安定性に優れ、従来分散剤を必要とする油分散系に対しても分散剤を使用せずとも容易に分散するとともに分散の安定化に優れた表面処理粉体を見出した。さらに、この表面処理粉体とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルが化粧料中に配合されることによって粉体粒子の分散性とUVカット効果に優れた化粧料が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のものに関する。
(請求項1)
炭素数8〜24の分岐アシル基を有する分岐アシル化メチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体。
(請求項2)
粉体に表面処理される分岐アシル化メチル−β−アラニンの量は粉体重量100重量%に対して0.1〜30.0重量%である請求項1に記載の化粧料用粉体。
(請求項3)
前記分岐アシル化メチル−β−アラニンは、炭素数が14〜20の分岐脂肪酸でアシル化した分岐アシル化メチル−β−アラニンである請求項1または2記載の化粧料用粉体。
(請求項4)
(a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、及び
(b)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体を含有した化粧料。
(請求項5)
粉体に表面処理される分岐アシル化メチル−β−アラニンの量は粉体重量100重量%に対して0.1〜30.0重量%である、請求項4に記載の化粧料。
(請求項6)
前記分岐アシル化メチル−β−アラニンは、炭素数が14〜20の分岐脂肪酸でアシル化した分岐アシル化メチル−β−アラニンである請求項4または5に記載の化粧料。
(請求項7)
前記化粧料100重量%に対して、前記(a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの配合量が0.5〜20重量%であり、前記(b)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体の配合量が0.1〜99.5重量%である請求項4乃至6のいずれかに記載の表面処理粉体を配合した化粧料。
炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体は、油性剤への易分散性および分散安定性に優れ、従来分散剤を必要とする油分散系に対しても分散剤を使用せずとも容易に分散するとともに分散の安定化に優れる。さらに、この表面処理粉体とパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルが化粧料中に配合した化粧料は、粉体粒子の分散性とUVカット効果に優れる。
本発明は、炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体、及び(a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、及び(b)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体を必須成分として配合した化粧料に関する。
(1)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル
本発明に用いるパラメトキシケイ皮酸エチルヘキシルは、紫外線吸収能を有し、紫外線の中でも特にUVB領域の波長(約280〜320nm)の紫外線吸収能に優れている化合物である。市販品としては、Escalol 557(Ashland)、Parsol MCX(DSM Nutritional Products,LLC)、Uvinul MC−80(BASF)等が挙げられる。
(2)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニン
本発明で用いる炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンは、表面処理の観点からは、分岐アシル基の炭素数を8〜24とするが、14〜20が更に好ましく、16〜18が一層好ましい。
炭素数16の分岐アシル基としては、2−ヘシキルデカン酸が挙げられる。
炭素数18の分岐アシル基としては、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−デシル基、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクチル基、メチル分岐イソステアリル基が挙げられる。
こうしたアシル基を得るためのカルボン酸としては、例えば日産化学工業(株)から市販されているガーベットタイプ分岐脂肪酸、例えば、イソパルミチン酸(2−ヘキシルデカン酸)、イソステアリン酸T(2−オクチルデカン酸と2−ヘキシルドデカン酸の混合物)やイソステアリン酸N(8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−デカン酸)やイソステアリン酸(5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸)、エメリー社から市販されているモノメチルタイプ分岐イソステアリン酸のプリゾリン3503がある。
本発明で用いる炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニン、例えば、次のような方法により得ることができる。アルカリ共存下、好ましくは水酸化ナトリウムの共存下において、N−メチルアラニンナトリウムを分岐脂肪酸クロライドによりアシル化することによりアシルメチル−β−アラニンナトリウム水溶液を調製する。このアシルメチル−β−アラニンナトリウム水溶液には塩化ナトリウムが含まれており、これを除去するために硫酸等の酸によりpHを1〜2に調整することで、油層のアシルメチル−β−アラニンを水層から分離し精製して得られる。
本発明における表面処理とは、(1)分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンのフリー体による処理、(2)分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンと一価のKやNa塩、トリエタノールアミン塩による処理、(3)分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンと2価のCa、Mg、Znまたは3価のAl等のアルカリ金属石鹸による処理(4)分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンと前記2価または3価のアルカリ金属水酸化物との処理を意味する。
表面処理方法としては、乾式法、半湿式法、湿式法があるがいずれの方法でもよく表面処理をする粉体の粒子径や特性を考慮して適宜選択される。例えば、ミキサーに粉体を投入して低速で撹拌下に分岐脂肪酸アシル化メチルーβ−アラニンのフリー体を添加した後、高速撹拌をして粉体の温度を100℃以上にして処理する方法や粉体を水系に分散させて、そこへ分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニン水溶性塩を投入溶解し2価または3価のアルカリ金属水溶液を滴下してpH調整を行い沈着させることによって、粉体の表面処理を行う方法などが挙げられる。
粉体に表面処理される分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンの量は粉体重量100重量%に対して0.1〜30.0重量%である事が好ましい。0.1重量%より少ないと本発明の分散性の効果が低く、30重量%より多いと粉体粒子の凝集が発生し延びやべたつき等の使用感が悪化し化粧料としての価値を損なう可能性がある。本発明の効果を得るより好ましい処理量は0.5〜20.0重量%である。
ガーベットタイプ分岐脂肪酸でアシル化したメチル−β−アラニンとモノメチルタイプ分岐脂肪酸でアシル化したメチル−β−アラニンを混合して表面処理する場合は、任意の比率で表面処理は可能である。表面処理される粉体に対して単体処理と混合処理を試作検討して最も本発明の効果が得られる量と比率を選択すればよい。アシル化する分岐脂肪酸のタイプには他にジメチル分岐タイプや多分岐タイプがあり直鎖脂肪酸と種々比較検討したところ、本発明の効果が最も得られるタイプはガーベットタイプとモノメチル分岐タイプの2種類であった。
粉体に表面処理する際に本発明の効果を損なわない限り公知の表面処理をしても構わない。公知の表面処理は本発明の表面処理の前または後、さらに同時にすることが可能である。公知の表面処理としては、例えば、シリコーンオイル処理、シリコーン樹脂処理、シリコーンゲル処理、シリコーンエラストマー処理、アルキル変性シリコーン処理、ポリエーテル変性シリコーン処理、ポリグリセリン変性シリコーン処理、ポリメチルシルセスキオキサン処理、アルキルシラン処理、アルキルチタネート処理、アルキルリン酸処理、脂肪酸処理、レシチン処理、MPCポリマー(LIPIDURE(登録商標)シリーズ)処理、アシル化アミノ酸処理、エステル処理、セラミド処理、デキストリン脂肪酸エステル処理、ジメチコノールステアレート処理、ワックス処理等が挙げられる。
(3)化粧料用粉体
本発明で用いる表面処理用の化粧料用粉体は、無機粉体を用いる。無機粉体としては、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、アルミナ、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、紺青、群青、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、炭化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、アルミニウム粉、金粉、銀粉、鉄粉、白金粉、低次酸化チタン、微粒子酸化チタン、バタフライ状硫酸バリウム、花びら状酸化亜鉛、テトラポット状酸化亜鉛、六角状酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆合成マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン被覆ホウケイ酸(ナトリウム/カルシウム)、酸化チタン被覆ホウケイ酸(カルシウム/アルミニウム)、酸化亜鉛被覆タルク、酸化亜鉛被覆マイカ、酸化亜鉛被覆シリカ、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン等、ステンレスパウダー、カッパーパウダー、トルマリン粉末、マンゴバイオレット、カーボンファイバー、アルミニウムパウダー、等の金属粉末顔料が挙げられる。
これらの粉体は1種類でも複数種類の粉体を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、マイカ粒子表面またはパール粒子表面に水酸化アルミニウムを複合化した粉体(エクセルマイカJP−M、エクセルパール:三好化成株式会社)や、セリサイト粒子や合成マイカ粒子表面にハイドロキシアパタイトと酸化亜鉛を複合固定化した粉体(PLV、PLV−20、SynPLV:三好化成株式会社)、マイカ粒子表面にシリカビーズを複合化した粉体(SXI−5:三好化成株式会社)、板状硫酸バリウムに微粒子酸化チタンを被覆して更に硫酸バリウムを被覆した粉体(MiyoHase BT:三好化成株式会社)、マイカやタルク粒子表面に酸化チタンや微粒子酸化チタンを複合化した粉体(TMCシリーズやTTCシリーズ:三好化成株式会社)等が挙げられる。
化粧料中に配合できるパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル量は制限されており口紅等の粘膜に使用される製品には、化粧料100重量%に対して8重量%まで配合できるがメークアップやサンスクリーン等の粘膜に使用されない製品には20重量%まで配合できる。分岐脂肪酸でアシル化したメチル−β−アラニンで表面処理した粉体の化粧料への配合量は0.5重量%以上あれば本発明の効果は発揮される。
化粧料中に配合できる炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体の化粧料100重量%に対して0.1〜99.5重量%が好ましい。
本発明の化粧料の形態は、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する限り特に限定されるものではないが、例えば、ファンデーション、白粉、口紅、アイシャドウ、チーク、マスカラ、アイライナー等のメークアップ化粧料や、サンスクリーン剤、下地クリーム、ヘアクリーム等が挙げられる。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
2リットルの反応容器にメチル−β−アラニンナトリウム55g、イオン交換水420g、アセトン420gを添加して攪拌する。溶液が均一となった後、20〜50℃でイソステアリン酸クロライド(イソステアリン酸T[日産化学社製]のクロライド誘導体)61gを滴下し、1時間熟成する。熟成後、62.5%硫酸48gを添加して、pHを1〜3とし、油水を分離して下層の水を廃棄する。残った油層にイオン交換水を300g添加して、再度下層の水を廃棄する。減圧蒸留により、残った油層からアセトンを除去し、ガーベットタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニン105gを得た。
(合成例2)
2リットルの反応容器にメチル−β−アラニンナトリウム55g、イオン交換水420g、アセトン420gを添加して攪拌する。溶液が均一となった後、20〜50℃でイソステアリン酸クロライド(PRISORINE3503[コグニス社製]のクロライド誘導体)61gを滴下し、1時間熟成する。熟成後、62.5%硫酸48gを添加して、pHを1〜3とし、油水を分離して下層の水を廃棄する。残った油層にイオン交換水を300g添加して、再度下層の水を廃棄する。減圧蒸留により、残った油層からアセトンを除去し、モノメチルタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニン103gを得た。
(実施例1)
イオン交換水5000ccを50℃に加熱後NaOH9.5gを添加して撹拌溶解する。水温50℃を維持しながら撹拌下に微粒子酸化チタン(堺化学工業社:STR−100C)700gを投入して15分間撹拌して分散する。次いで合成例1のガーベットタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニンを77.8g(内割りで10wt%の表面処理量)を添加して15分間撹拌する。1mol/リットルのCaCl2水溶液30mlを撹拌下滴下する。30分間熟成のため50℃にて撹拌を維持する。冷却した後、脱水ろ過し、熱風乾燥機115℃で18時間乾燥して、次にジェットアトマイザーにて粉砕して表面処理微粒子酸化チタンを得た。
(実施例2)
イオン交換水5000ccを50℃に加熱後、微粒子酸化亜鉛(堺化学工業社:FINEX−45)700gを投入して15分間撹拌して分散する。あらかじめNaOHでケン化した合成例2のモノメチルタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニン78g(内割りで10wt%の表面処理量)を添加して15分間撹拌する。1mol/リットルのCaCl2水溶液30mlを撹拌下滴下する。30分間熟成のため50℃にて撹拌を維持する。冷却した後、脱水ろ過し、熱風乾燥機115℃で18時間乾燥して、次にジェットアトマイザーにて粉砕して表面処理微粒子酸化チタンを得た。
(実施例3)
20リットルのヒーターヘンシルミキサー(HM−20型:日本コークス社)に微粒子酸化亜鉛MZ−500:テイカ社)4kg投入して低速で攪拌下に、合成例1のガーベットタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニンを352g(内割りで7.5wt%の表面処理量)と合成例2のモノメチル分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニンを325g(内割りで7.5wt%の表面処理量)とエタノール500gの混合液を滴下する。羽根周速50m/sの高速で15分間撹拌した後、ヘンシルの蓋や壁の付着粉をよく掻き落として再度高速で15分間撹拌する。混合粉体を取出し熱風乾燥機にて105℃で5時間乾燥した後、ジェットアトマイザーにて粉砕して表面処理微粒子酸化亜鉛を得た。
(実施例4)
20リットルのヒーターヘンシルミキサー(HM−20型:日本コークス社)に微粒子酸化亜鉛MZ−500:テイカ社)4kg投入して低速で攪拌下に、合成例1のガーベットタイプ分岐型イソステアロイルメチル−β−アラニンを469g(内割りで10.0wt%の表面処理量)とオクチルトリエトキシシラン(Dynasylan OCTEO:エボニック社)217g(内割りで5.0wt%の表面処理量)とエタノール300gの混合液を滴下する。羽根周速40m/sの高速で15分間撹拌した後、ヘンシルの蓋や壁の付着粉をよく掻き落として再度高速で15分間撹拌する。混合粉体を取出し熱風乾燥機にて105℃で5時間乾燥した後、ジェットアトマイザーにて粉砕して表面処理微粒子酸化亜鉛を得た。
(実施例5および実施例6)
実施例1の微粒子酸化チタンをセリサイトFSE(三信鉱工社)および酸化チタン(PFC−407:石原産業社)に替えて表面処理量を内割りで5wt%とし実施例1と同様に表面処理セリサイトと表面処理酸化チタンを得た。
(比較例1)
実施例1のイソステアロイルメチル−β−アラニンをイソステアリン酸(イソステアリン酸EX:高級アルコール工業社)に替えて、同様に処理して表面処理微粒子酸化チタンを得た。
(比較例2)
実施例2のイソステアロイルメチル−β−アラニンをイソステアリン酸(イソステアリン酸EX:高級アルコール工業社)に替えて、同様に処理して表面処理微粒子酸化亜鉛を得た。
(比較例3)
実施例3のイソステアロイルメチル−β−アラニンをオクチルトリエトキシシラン(Dynasylan OCTEO:エボニック社)に替えて、同様に処理して表面処理微粒子酸化亜鉛を得た。
(比較例4および比較例5)
実施例5および実施例6のイソステアロイルメチル−β−アラニンをステアロイルグルタミン酸2Na(アミソフトHS−21P:味の素社)に替えて同様に処理して表面処理セリサイトと表面処理酸化チタンを得た。
(UVカット効果)
各例の製剤を50×50×3mm(タテ×ヨコ×高さ)のPMMA板上に2mg/cm2の条件で指で塗布し15分間放置する。米国Labsphere社のSPFアナライザーで前記PMMA板塗布試料を5ケ所/枚測定してIn−Vitro SPF値を求めた。計5枚のPMMA板を測定して平均値を求めた。
(油性剤への分散性)
(1)乳化タイプ化粧料の場合
各例の製剤をグラインドゲージ(溝深さ0−50μm 5μm刻み)に採りスクレーパーで試料を塗工して粉体粒子の凝集ツブが現れる溝深さを観察した。例えば、凝集ツブが20から25μmの溝の間に現れた時、凝集ツブは25μmとした。この操作を5回繰り返して平均値を求めた。凝集ツブが観られない場合は0.0とした。
(2)パウダータイプと固形タイプ化粧料の場合
10×20cmの黒色のラシャ紙に各例の製剤を採りステンレスヘラを用いて一定の荷重をかけながら試料を10cmスライドさせる。スライド跡の試料を目視観察して粉体粒子の凝集ツブの数を観察した。この操作を5回繰り返して平均値を求めた。凝集ツブが観られない場合は0.0とした。
[実施例7〜10および比較例6〜9]W/O型日焼け止め化粧料
(製造方法)
1.油性成分を50℃に加熱混合する。
2.水性成分を50℃に加熱混合して溶解した。
3.攪拌下、前記1.に前記2.を徐添して乳化し、冷却してW/O型日焼け止め化粧料を得た。
表1の結果より明らかなように、本発明のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンを含有するW/O型日焼け止め化粧料は、従来の化粧料に比較して油性剤への分散性に優れUVカット効果に優れている。
[実施例11〜13および比較例10〜12]W/O型乳化ファンデーション
(製造方法)
1.油性成分を50℃に加熱混合する。
2.水性成分を50℃に加熱混合して溶解した。
3.攪拌下、前記1.に前記2.を徐添して乳化し、冷却してW/O型乳化ファンデーションを得た。
表2の結果より明らかなように、本発明のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンを含有するW/O型乳化ファンデーションは、従来の化粧料に比較して油性剤への分散性に優れUVカット効果に優れている。
[実施例14〜15および比較例13〜14]パウダーファンデーション
(製造方法)
1.粉末成分を混合して粉砕する。
2.油性成分と防菌剤および酸化防止剤を混合する。
3.前記1.に前記2.を添加して混合し粉砕してパウダーファンデーションを得た。
表3の結果より明らかなように、本発明のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンを含有するパウダーファンデーションは、従来の化粧料に比較して油性剤への分散性に優れUVカット効果に優れている。
[実施例16〜17および比較例15〜16]油性固形ファンデーション
(製造方法)
1.粉末成分以外の成分を溶解混合する。
2.前記1.に粉末成分入れ混練する。
3.前記2.を再溶解して脱気し金型に流し込み冷却して油性固形ファンデーションを得た。
表4の結果より明らかなように本発明のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンを含有する油性固形ファンデーションは従来の化粧料に比較して油性剤への分散性に優れUVカット効果に優れている。
[実施例18〜19および比較例17〜18]O/W型日焼け止め化粧料
(製造方法)
1.粉末以外の油性成分を70℃で溶解する。
2.前記1.に粉末成分入れ均一分散する。
3.水性成分を70℃に加熱溶解して膨潤させる。
4.前記3.に前記2.を投入して乳化しO/W型日焼け止め化粧料を得た。
表5の結果より明らかなように、本発明のパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルと分岐脂肪酸アシル化メチル−β−アラニンを含有するO/W型日焼け止め化粧料は、従来の化粧料に比較して油性剤への分散性に優れUVカット効果に優れている。

Claims (7)

  1. 炭素数8〜24の分岐アシル基を有する分岐アシル化メチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体。
  2. 粉体に表面処理される分岐アシル化メチル−β−アラニンの量は粉体重量100重量%に対して0.1〜30.0重量%である請求項1に記載の化粧料用粉体。
  3. 前記分岐アシル化メチル−β−アラニンは、炭素数が14〜20の分岐脂肪酸でアシル化した分岐アシル化メチル−β−アラニンである請求項1または2に記載の化粧料用粉体。
  4. (a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、及び
    (b)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体を含有した化粧料。
  5. 粉体に表面処理される分岐アシル化メチル−β−アラニンの量は粉体重量100重量%に対して0.1〜30.0重量%である、請求項4に記載の化粧料。
  6. 前記分岐アシル化メチル−β−アラニンは、炭素数が14〜20の分岐脂肪酸でアシル化した分岐アシル化メチル−β−アラニンである請求項4または5に記載の化粧料。
  7. 前記化粧料100重量%に対して、前記(a)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルの配合量が0.5〜20重量%であり、前記(b)炭素数8〜24の分岐アシル基を有するメチル−β−アラニンの少なくとも一種類で表面処理した化粧料用粉体の配合量が0.1〜99.5重量%である請求項4乃至6のいずれかに記載の表面処理粉体を配合した化粧料。
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