JP6878084B2 - 現像部材、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一態様に係る現像部材をローラ形状の現像部材(以下、「現像ローラ」ともいう)によって説明するが、現像部材の形状はこれに限定されない。本発明の一態様に係る現像ローラは、例えば、図1に示すように、円柱状または中空円筒状の基体11の外周面に弾性層12が固定され、弾性層12の外周面に表面層13が積層された導電性部材から構成される。
基体11は、現像部材10の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム、またはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。なお、基体の表面には、軸芯体と弾性層との接着性の向上を図るため、プライマーを塗布してもよい。プライマーの例としては、シランカップリング剤系プライマー、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系またはエポキシ系の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。
弾性層は、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像部材に付与するために設けられる。
表面層としては、ウレタン樹脂及びフィラーを含む表面層が用いられる。
ウレタン樹脂は、隣接する2つのウレタン結合の間に、
下記構造式(1)で示される構造と、
下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造と、を有し、且つ、
隣接する2つのウレタン結合の間に、下記構造式(4)で示される構造と下記構造式(5)で示される構造とを有する。
隣接する2つのウレタン結合の間に「構造123」と「構造45」の両方を有していてもよく、また、「構造123」を間に有している2つのウレタン結合と、「構造45」を間に有している2つのウレタン結合とが異なっていてもよい。
また、隣接する2つのウレタン結合の間に側鎖としてメチル基が導入された構造、すなわち、構造式(2)および構造式(3)のいずれか一方または両方を含むことにより、ポリマー鎖同士のスタッキングが抑制される。その結果として、当該ウレタン樹脂は、温度15℃といった低温における結晶性が低く、当該ウレタン樹脂を含む表面層は、低温環境下でも柔軟性が損なわれ難い。即ち、本発明の一態様に係る現像部材は、低温環境下でもトナー劣化を有効に抑制でき、高品位な電子写真画像の安定的な提供に資するものとなっている。
・測定機器:HLC−8120GPC(東ソ−社製)
・カラム:TSKgel SuperHZMM(東ソ−社製)×2本
・溶媒:THF(20mmol/L トリエチルアミン添加)
・温度:40℃
・THFの流速:0.6ml/min。
また、構造式(4)で示される構造と構造式(5)で示される構造を有するポリカーボネート成分の存在によりウレタン樹脂の電気抵抗値を増大化することができるとともに、構造式(4)で示される構造を有するポリカーボネート成分の存在により、同じく、低温域での結晶性を抑制することができ、柔軟性を維持することができる。
さらには、構造式(2)または構造式(3)が有するポリエーテル成分の側鎖メチル基の存在と、構造式(4)が有するポリカーボネート成分の側鎖メチル基の存在により、ウレタン樹脂とフィラーとの間の分子間相互作用により、ウレタン樹脂中におけるフィラーの分散均一性が高まり、フィラーによる補強性能を高めることができる。
表面層においては、表面層の補強効果を高める目的で、フィラーが添加される。表面層の電気抵抗値と補強効果を制御する目的から、表面層が絶縁性フィラーと導電性フィラーとの両方を含有することがより好ましい。
絶縁性フィラーとして以下のものが挙げられる。石英微粉末、シリカ粒子、ケイソウ土、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤。これらのフィラーの表面は有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサンで処理して疎水化しても良い。
導電性フィラーとしては以下のものが挙げられる。カーボンブラック、グラファイト等の炭素系物質;アルミニウム、銀、金、錫−鉛合金、銅−ニッケル合金等の金属或いは合金;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化銀等の金属酸化物;各種フィラーに銅、ニッケル、銀等の導電性金属めっきを施した物質。
表面層の電気抵抗値を制御する目的で、表面層中にイオン導電剤を添加することができる。イオン導電剤を用いることで、カーボンブラックの含有量を減らしても所望の導電性に制御することが容易となり、表面層を柔軟化することができるため好ましい。本発明においては、表面層の電気抵抗値と補強効果及び柔軟性を制御する目的から、表面層が導電剤としてカーボンブラックとイオン導電剤との両方を含有することがより好ましい。これは、カーボンブラックとイオン導電剤との両方を含有することで、現像部材に高電圧を印加した際の電気抵抗値の低下を抑制することが容易となり、トナー帯電量の低下を抑制することができるためである。
現像部材として表面粗度が必要な場合は、表面層中に粗さ制御のための微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmであることが好ましい。該微粒子の添加量は、表面層を形成する樹脂成分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。粗さ制御用微粒子には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエ−テル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フェノ−ル樹脂の微粒子を用いることができる。
表面層の厚さは、例えば、キーエンス株式会社製のデジタルマイクロスコープVHX−600を用いて表面層の厚み方向の断面を観察し、表面層と弾性層の界面から表面層の表面の平坦部までの距離を測定することによって求めることができる。この測定を任意の5つの断面について行い、それら5点の測定値の相加平均値が表面層の厚みとされる。
電子写真プロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に装着される電子写真プロセスカートリッジであって、少なくとも現像部材と、現像ブレードと、トナー容器とを有し、かつ該現像部材が、前記現像部材であることを特徴とする。本発明に係る電子写真画像形成装置は、感光体と、該感光体に当接して配置される現像部材とを有し該現像部材が前記現像部材であることを特徴とする。
図3は、本発明の電子写真プロセスカートリッジの概略構成の一例を示している。現像方法としては、非磁性一成分トナーを用いた接触現像方式等が採用される。
図4は、電子写真プロセスカートリッジを搭載する電子写真画像形成装置の一例を示している。電子写真画像形成装置100は、転写方式電子写真プロセス、接触帯電方式、一成分接触現像方式、を用いたカラーレーザープリンタとされる。電子写真画像形成装置100は、通信可能に接続された外部ホスト装置(不図示)からの画像情報に応じて記録媒体としての転写材101、例えば、用紙、OHPシートなどにフルカラーの画像を形成し、出力することができる。
反応容器中で、乾燥テトラヒドロフラン144.2g、乾燥3−メチルテトラヒドロフラン172.2g(モル混合比50:50)の混合物を、温度10℃に保持した。テトラヒドロフランは開環重合により下記構造式(1)で示される構造を供し、また、3−メチルテトラヒドロフランは開環重合により下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造を供する原材料である。次に、70%過塩素酸水溶液13.1g、および無水酢酸120gを加え、1.5時間反応を行った。次に、反応混合物を20%水酸化ナトリウム水溶液600g中に注ぎ、精製を行った。さらに、減圧下、残留する水および溶媒成分を除去し、液状のポリエ−テルジオールA−1を得た。得られたポリエ−テルジオールの数平均分子量は1000であった。
反応時間を表1に示す条件に変更した以外は製造例1と同様にして、ポリエ−テルジオールA−2及びA−3を得た。得られたポリエ−テルジオールの数平均分子量を表1に示す。
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI((商品名:コスモネートMDI;三井化学社製)76.5gに対し、200.0gのポリエーテルジオールA−1を、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8質量%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−1を得た。
ポリエーテルジオールを表2のように変更した以外は製造例11と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーB−2及びB−3を得た。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量を表2に示す。
ポリエーテルジオールをポリテトラメチレングリコール(商品名:PTMG3000;三洋化成工業社製)に変更した以外は製造例11と同様にして、イソシアネート基末端プレポリマーB−4を得た。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量、並びに、構造式(1)で示される構造と構造式(2)および構造式(3)で示される構造とのモル比(原料仕込み比)を表2に示す。
反応容器中で、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの混合物(モル混合比90:10)236.4gに、ジエチルカーボネート224.5gを加え、200℃に加熱した。3−メチル−1,5−ペンタンジオールは、ジエチルカーボネートとの縮合反応により、前記構造式(4)で示される構造を供する原材料である。また、1,6−ヘキサンジオールはジエチルカーボネートとの縮合反応により前記構造式(5)で示される構造を供する原材料である。
次に、エチレングリコール及び水を除去し、さらに真空下で縮合反応を進めて、ポリカーボネートジオールC−1を得た。得られたポリカーボネートジオールC−1の数平均分子量Mnは2000であった。
3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールのモル混合比、および反応時間を表3に示す条件に変更した以外は製造例21と同様にして、ポリカーボネートジオールC−2〜C−8を得た。得られたポリカーボネートジオールの数平均分子量Mnを表3に示す。
下記の手順によって現像ローラD−1を製造した。
基体として、ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金の周面にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコ−ニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
基体を金型内に配置し、表4に示す材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
表面層の材料として、表5に示す材料を撹拌混合し、表面層用の組成物を調製した。
表面層用の組成物の配合比を表7−1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラD−2〜D−29を製造した。尚、実施例及び比較例において使用したカーボンブラック、シリカ粒子及びイオン導電剤を表6に示した。
実施例1〜23及び比較例1〜6で得られた現像ローラD−1からD−29について、以下の測定及び評価を行った。
現像ローラD−1〜D−29の各表面層が含むウレタン樹脂を、FT−NMR (商品名:AVANCE500、BRUKER社製)を用い、測定核1H、13C、(25℃、重クロロホルム中、基準物質としてテトラメチルシランを用いる)で分析した。
図5に示す装置を用いて、以下の手順で現像ローラの電流を測定した。現像ローラ10は、基体の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状のSUS製のドラム31に圧接されており、ドラム31の回転駆動に伴って従動回転する。押圧は片端500gf(両端で1000gf)である。ドラム31を30rpmで回転させながら、外部電源を用いて基体に直流電圧(100V)を印加し、ドラム31と直列に接続した基準抵抗(1kΩ)にかかる電圧値を測定する。現像ローラ10の電流値は、基準抵抗の電気抵抗値と、基準抵抗にかかる電圧値から算出することができる。測定環境は温度20±3℃/相対湿度60±10%とする。
トナーの帯電量Q/Mは、図6に示す「ファラデー・ケージ200」(商品名、Faraday−Cage;吸引型ファラデー・ケージ;三協パイオテク株式会社製)を用いて、以下の手順で測定した。ファラデー・ケージは同軸で構成される金属製の2重筒であり、内筒201と外筒202は絶縁部材203によって絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qなる帯電体が入ると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様の状態になる。
現像ローラのかぶり評価は、電子写真画像形成装置(商品名:Color LaserJet CP3520;HP社製)を用いて、以下の手順で行った。電子写真プロセスカートリッジとして、上記電子写真画像形成装置用のブラック色のものを用意し、現像ローラを上記で作製したものに交換した。このとき、トナーは100gになるように充填量を調整した。さらに、トナー規制部材が現像ローラに当接する線圧を60gf/cmとし、通常の値よりも高く設定した。
ランクB:かぶり値が、1.0以上かつ2.0より小、
ランクC:かぶり値が、2.0以上かつ3.0より小、
ランクD:かぶり値が、3.0以上。
なお、かぶり値は小さいほど良好であり、通常、ベタ白画像を形成した転写紙上にはトナーは転写されず、かぶり値は3.0よりも小さい。しかしながら、トナーの帯電量が不足した場合には、ベタ白画像の形成時にもトナーが感光体上に移動し、さらに転写紙上へ転写されてかぶり値が大きくなる。
表面層の剥がれ抑制効果を表す膜強度の指標として、表面層の破断強度を用いることができる。本発明者らの検討によれば、表面層の破断強度はフィラーによる補強性能と良い相関を示す。表面層を形成する塗料を用いて厚さ約200μmのシートを作成し、このシートより所望の形状に切り抜いた試験片を用いて、日本工業規格(JIS) K 6251:2010(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に従って切断時引張応力を測定した。この切断時引張応力を表面層の破断強度とした。
現像ローラの表面層の弾性層からの剥がれの有無および剥がれの程度を評価した。この評価を「剥がれ評価」と称する。剥がれ評価は、上記評価4と同様に、電子写真画像形成装置(商品名:Color LaserJet CP3520;HP社製)を用いて、以下の手順で行った。電子写真プロセスカートリッジとして、上記電子写真画像形成装置用のブラック色のものを用意し、現像ローラを上記で作製したものに交換した。このとき、トナーは100gになるように充填量を調整した。さらに、トナー規制部材が現像ローラに当接する線圧を100gf/cmと、通常の値よりも高く設定した。
ランクA:剥がれの発生が認められなかった。
ランクB:円相当径が0.5mm未満のスポット状の剥がれが発生した。
ランクC;円相当径が0.5mm以上、1mm未満のスポット状の剥がれが発生した。
ランクD:円相当径が1mm以上、3mm未満のスポット状の剥がれが発生した。
ランクE:円相当径が3mm以上のスポット状の剥がれが発生した。
なお、表面層の弾性層からの剥がれは、端部シール部材が当接する現像ローラの両端部において発生し易い。これは、現像ローラの両端部においては、端部シール部材によりトナー層が形成されずに、現像ローラが感光ドラムと当接して周速差を持って回転する為、現像ローラの両端部に感光ドラムによる高い摩擦力が働くためである。
一方、実施例1〜実施例23においては、表面層のウレタン樹脂が、構造式(1)と構造式(2)または構造式(3)、及び構造式(4)と構造式(5)をいずれも有する現像ローラを使用している為、かぶりと剥がれを良好なレベルで両立できている。
10‥‥現像部材(現像ローラ)
11‥‥基体
12‥‥弾性層
13‥‥表面層
100‥‥電子写真画像形成装置
Claims (7)
- 前記ウレタン樹脂において、構造式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)で示される構造の総数に対する、構造式(4)及び(5)で示される構造の総数の比率が25%以上75%以下の範囲内であり、且つ、
構造式(4)及び(5)で示される構造の総数に対する構造式(4)で示される構造の総数の比率が45%以上95%以下の範囲内である請求項1に記載の現像部材。 - 前記ウレタン樹脂において、構造式(4)及び(5)で示される構造の総数に対する構造式(4)で示される構造の総数の比率が85%以上95%以下の範囲内である請求項2に記載の現像部材。
- 前記表面層が、導電剤としてカーボンブラックとイオン導電剤の両方を含有してなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像部材。
- 前記表面層が、シリカ粒子を含有してなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像部材。
- 電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは、少なくとも現像部材と、現像ブレードと、トナー容器とを有し、
該現像部材が、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 感光体と、該感光体を帯電し得るように配置される現像部材とを有する電子写真画像形成装置であって、
該現像部材が、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置
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JP2020149045A (ja) | 現像剤担持体、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 |
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