JP5079134B2 - 現像ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Description
ところで、シリコーンゴムは前述のように弾性層の構成材料として優れた物性を有するものの、低極性の材料である。そのため、シリコーンゴムを含む弾性層を具備している特許文献1〜3に係る現像ローラは、本発明者らの検討によれば、温度40℃、相対湿度95%の高温高湿環境下に長期間放置した際に、表面層がシリコーンゴム弾性層から剥離する場合があった。また特許文献1〜3に係る現像ローラは、その表面にトナーが強固に固着し、当該トナーの固着物に起因する濃度ムラを電子写真画像に生じさせることがあった。
軸芯体2は、現像ローラ1の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム、又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。
弾性層3は、現像ローラと感光体との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を現像ローラに与えるものである。弾性層3は、当該弾性層に高い変形からの回復性および高い柔軟性を与える、付加硬化型ジメチルシリコーンゴムの硬化物を含む。
表面層4に含有されているウレタン樹脂は、隣接するウレタン結合の間に、下記構造式(1)で示される構造と、下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造からなる群から選ばれる何れか一方または両方の構造とを有している。
すなわち、本発明に係るウレタン樹脂は、下記構造式(1)で示される構造と、下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造からなる群から選ばれる何れか一方または両方の構造が、2つのウレタン結合によって挟まれている構造を分子内に有するものである。
また、図6に係るウレタン樹脂においては、隣接しているウレタン結合B1とB2とによって、および、隣接するウレタン結合C1とC2とによって、前記構造式(1)で示される構造と前記構造式(2)で示される構造とが挟まれている。
通常、合成樹脂同士の接着性は、化学結合に加えて、水素結合、酸−塩基相互作用のような、主に極性官能基の相互作用に依存する。しかし、シリコーンゴムは非常に極性が低く、その表面は不活性である。そのため、一般に、シリコーンゴムを含む弾性層とポリウレタン樹脂を含む表面層との接着性に関して、極性官能基による強い相互作用は期待できない。しかしながら、本発明に係る弾性層と表面層とは、苛酷な高温高湿環境下に長期間放置した場合にも良好な接着性を示す。
一方、付加硬化型ジメチルシリコーンゴムの硬化物は、シロキサン(Si−O)結合が6個で1回転する「らせん状」の分子構造を有しており、かつ、メチル基が外側に配向していることが知られている。つまり、シリコーンゴムのポリマー鎖の表面は、疎水性のメチル基で実質的に被覆されている。そのため、本発明に係る弾性層中のシリコーンゴム表面のメチル基と、表面層中のウレタン樹脂中の隣接する2つのウレタン結合の間に導入された側鎖としてのメチル基との間に疎水性の分子間に働く引力が作用している。その結果として、本発明に係る表面層と弾性層とは優れた接着性を示すものと考えられる。
・ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合、反応させるワンショット法、
・一部のポリオールとイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーと、低分子ジオール、低分子トリオールの如き鎖延長剤とを反応させる方法
そのためポリオールとイソシアネートの相溶性を向上させ、従来例より少ないイソシアネート比率で、より極性の低いポリウレタンが得られる。さらに未反応ポリオールの残留を非常に低く抑えることが可能であるため、未反応ポリオールの染み出しによる表面トナー固着を抑制することができる。
(a)構造式(1)の構造、および構造式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの構造からなる数平均分子量2000以上3000以下のポリエーテルジオールと芳香族ジイソシアネートを反応させた数平均分子量10000以上15000以下の水酸基末端プレポリマー
(b)構造式(1)の構造、および構造式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも一つの構造からなる数平均分子量2000以上3000以下のポリエーテルジオールと芳香族イソシアネートを反応させたイソシアネート基末端プレポリマー
軸芯体2として、SUS304製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
(弾性ローラC−1)
上記で用意した軸芯体2を金型に配置し、下記表1に記載した材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
カーボンブラックを、トーカブラック#4400(商品名、;東海カーボン社製)10質量部に変更した以外は弾性ローラC−1と同様にして、弾性ローラC−2を作成した。
カーボンブラックの量を5質量部に変更した以外は弾性ローラC−1と同様にして弾性ローラC−3を作成した。
カーボンブラックの量を10質量部に変更し、また、耐熱性付与剤およびその添加量を、疎水処理シリカ粉体5質量部に変更した以外は、弾性ローラC−1と同様にして弾性ローラC−4を作成した。
カーボンブラックの量を12質量部に変更した以外は弾性ローラC−2と同様にして弾性ローラC−5を作成した。
以下に本発明のポリウレタン表面層を得るための合成例を示す。
本実施例中における数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定に用いた装置、並びに条件は以下の通りである。
測定機器:HLC−8120GPC(東ソ−社製)
カラム:TSKgel SuperHZMM(東ソ−社製)×2本
溶媒:THF(20mmol/L トリエチルアミン添加)
温度:40℃
THFの流速:0.6ml/min
なお測定サンプルは0.1質量%のTHF溶液とした。更に検出器としてRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。
反応容器中で、乾燥テトラヒドロフラン 144.2g(2モル)、乾燥3−メチルテトラヒドロフラン 172.2g(2モル)(モル混合比50/50)の混合物を、温度10℃に保持した。70%過塩素酸13.1g、及び無水酢酸 120gを加え、3時間反応を行った。次に反応混合物を20%水酸化ナトリウム水溶液600g中に注ぎ、精製を行った。さらに減圧下残留する水及び溶媒成分を除去し、液状のポリエーテルジオールA−1 224gを得た。数平均分子量は1000であった。
窒素雰囲気下、反応容器中で、MDI(商品名:コスモネートMDI、三井化学社製)28.4質量部に対し、反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、200.0gのポリエーテルジオールA−1を徐々に滴下した。滴下終了後、温度75℃にて3時間反応させた。得られた反応物を室温(25℃)まで冷却して、水酸基末端ウレタンプレポリマーA−7を226g得た。数平均分子量は15000であった。
反応に用いたポリエーテルジオールおよび反応時間を下記表5に記載したように変更した以外は同様の条件にして、水酸基末端ウレタンプレポリマーA−8、A−9を得た。各々のプレポリマーA−8及びA−9の数平均分子量を表5に併せて示す。
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネート80;三井化学社製)69.6質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール (商品名:エクセノール1030;三洋化成工業社製)200.0gを反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。
滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.8%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−1を244g得た。
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMT 日本ポリウレタン工業社製)76.7質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール (商品名:エクセノール1030 三洋化成工業社製) 200.0gを反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。
滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.7%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−2を229g得た。
ポリエーテルジオールを前記表4のポリエーテルジオールA−6およびA−3に変更した以外はイソシアネート基末端プレポリマーB−2と同様にして、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−3およびB−4を得た。
窒素雰囲気下、反応容器中でコロネート2030(商品名、日本ポリウレタン工業社製)46.4質量部に対し、前記表4のポリエーテルジオールA−6を200.0g反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。
滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.4%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーB−5を229g得た。
イソシアネート基末端プレポリマーB−1〜B−5の合成に用いたポリエーテルジオール種と、イソシアネート種および各イソシアネートのNCO%を表6に示す。
先に作成した弾性ローラC−2を、表面層形成用塗料に浸漬して、弾性ローラC−2の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層外周に膜厚約20μmの表面層を設け、実施例1に係る現像ローラを作成した。
高温苛酷環境下における表面層剥がれの評価は、以下の方法で行った。
実施例1に係る現像ローラを、気温40℃、相対湿度95%RHの環境下、60日間放置した。その後3時間室温下に放置し、現像ローラの両端部に10mm×50mmの切り込みを入れた。現像ローラを水平に固定し、切り込みの角から表面層を垂直方向に、10mm/minの速度で引っ張り、強制的に剥離した際の荷重をロードセルで測定した。測定は現像ローラの両端部で各々計3回行い、n=6の平均値を剥離強度とした。
次に剥離面の観察を行った。弾性層または表面層の内部で破壊した部分(凝集破壊)は除き、以下の基準で表面層剥がれの評価とした。
A:表面層、弾性層界面での剥離が全く認められない
B:剥離面中、20%以下の範囲で表面層、弾性層界面での剥離が認められるが使用上問題ないレベルである
C:剥離面の大部分または前面で表面層、弾性層界面での剥離が認められる
現像ローラの表面硬度を、マイクロゴム硬度計(商品名:MD−1capa、高分子計器社製)にて、直径0.16mm押針を用い、気温25℃、相対湿度50%RH環境下、導電性樹脂層形成後の現像ローラの中央部、上端部、下端部3点を測定した平均値を用いた。
フィルミングの評価は、図3のような構成を有するレーザプリンタ(商品名:LBP5300;キヤノン社製)に本実施例の現像ローラを装填し、評価を行った。即ち、気温15℃、相対湿度10%RHの環境(以下L/L)下、ブラックトナーを用いて、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字を、印字率1%となるような電子写真画像を連続印刷した。1000枚印字する度に、現像ローラの表面を目視で観察し、現像ローラの表面にブラックトナーが固着していることが確認できた時点における画像の印字枚数をフィルミングが発生した枚数とした。
高温高湿環境下におけるトナー固着濃度の評価は、以下の方法で行った。
図3のような構成を有するレーザプリンタ(商品名:LBP5300;キヤノン社製)用のイエロートナーカートリッジに実施例1に係る現像ローラを装着した。このイエロートナーカートリッジを上記レーザプリンタに装填した。そして、このレーザプリンタを用いて白ベタ画像の出力動作を行って、現像ローラの表面がイエロートナーでコートされた状態とした。このような状態にある現像ローラをイエロートナーカートリッジから取り出した。この現像ローラを、ポリテトラフルオロエチレン製の平板上に載せて、300gf荷重(軸芯体両端に各150gf荷重)で平板に対して現像ローラを圧接し、気温40℃、相対湿度95%RHの環境下で、60日間放置した。次いで、現像ローラを、平板に対する圧接状態から解放し、温度25℃、相対湿度45%の環境に3時間静置し、その後、現像ローラの表面をエアブローした。
ついで、現像ローラ上に固着したトナーを、粘着テープを用いて剥離した。このイエロートナーが付着した粘着テープを普通紙上におき、反射濃度計(商品名:TC−6DS/A、東京電色社製)を用いて反射濃度を測定した。また、対照として、トナーの付着していない粘着テープを同様に普通紙上におき、同様にして反射濃度を測定した。そして、トナーの付着していない粘着テープの反射濃度を基準として、反射率の低下量(%)を算出した。この測定は、現像ローラの中央部、および両端部の計3点で行い、その算術平均値を、評価対象の現像ローラのトナーの固着濃度とした。
弾性層3の吸水率の測定は、試験片として弾性層を2mm×2mm×25mmに切り出した後、日本工業規格(JIS) K7209 A法に準じて行い、n=3の平均値を弾性層の吸水率とした。
表面層4の原材料として、下記表8の材料を用いた以外は実施例1と同様に表面層形成用塗料を作成した。そして、各塗料を、表8に示した弾性ローラに対して、実施例1と同様にして塗布、乾燥および加熱を行って実施例2〜19に係る現像ローラを作成した。
表面層4の材料として、下記表9に記載の材料を反応容器に入れ、撹拌混合した。
表面層4の材料として、下記表10に記載の材料を反応容器に入れて、撹拌混合した。
表面層4の材料として、下記表11に記載の材料を反応容器に入れて、撹拌混合した。
Claims (4)
- 前記弾性層の日本工業規格(JIS)K7209 A法に基づく吸水率が0.02%以上、0.10%以下である請求項1に記載の現像ローラ。
- 請求項1または2に記載の現像ローラと、該現像ローラと当接して配置されている電子写真感光体とを具備していることを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1または2に記載の現像ローラと、該現像ローラと当接して配置されている電子写真感光体とを具備し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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