JP6608252B2 - パワー半導体モジュールおよび電力変換装置 - Google Patents
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Description
半導体スイッチ素子を多並列化した場合の問題点として、半導体スイッチ素子の特性ばらつき(閾値電圧、ゲート容量、オン抵抗等)や実装位置の違いに起因した熱抵抗の差による、半導体スイッチ素子毎の温度ばらつきがある。
温度の高い半導体スイッチ素子は熱ストレスの増大により素子寿命が低下するため、特性ばらつきの小さい素子を選定し実装する必要があり、歩留り低下の要因となっていた。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
図1は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の回路構成図を示す図であり、パワー半導体モジュール1は、パワー半導体モジュール1のドレイン端子103、ソース端子104、ゲート端子102、ソースセンス端子101と電気的に接続した2個のスイッチ素子11,21、ゲート駆動のための正負の電圧を出力するゲート駆動電源40,41と、ゲート駆動部30,31と、各スイッチ素子11,21とゲート駆動部30,31と電気的に接続する熱電変換素子12,22から構成する。各スイッチ素子11,21は、N型MOSFETである。
ゲート駆動電源40は、ゲート端子102に正の電圧を印加するものである。ゲート駆動部30がオンし、ゲート駆動部31がオフすることで、ゲート端子102に正の電圧が印加される。
ゲート駆動電源41は、ゲート端子102に負の電圧を印加するものである。ゲート駆動部30がオフし、ゲート駆動部31がオンすることで、ゲート端子102に負の電圧が印加される。
また、図1では省略しているが、各スイッチ素子11,21にゲート抵抗を戴置する構成であってもよい。この場合、スイッチ素子11,21の直近に適切な値のゲート抵抗を実装することで、並列実装したスイッチ素子11,21間のスイッチングのタイミングをそろえることができる。
このパワー半導体モジュール1は、例えばインバータやコンバータなどの電力変換装置に組み込んで使用される。
図2では正の温度係数を有する熱電変換素子12,22の実装を想定した構成を示している。この熱電変換素子12,22の温度特性は負であってもよく、その場合、図1(a)に示す熱電変換素子12,22の極性を逆に(すなわち温度依存性を有する可変電圧の正負を反転)してやればよい。
例えば、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11が、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、パワー半導体モジュール1のターンオン時には、スイッチ素子11が早くターンオンするため、スイッチ素子11に電流が集中する。またパワー半導体モジュール1のターンオフ時には、スイッチ素子11が遅くターンオフするため、スイッチ素子11に電流が集中する。このような駆動のばらつきは電流のばらつきに繋がり、スイッチ素子11,21間での発熱ばらつきに繋がる。
一方、発熱が集中しているチップを優先的に冷却することで、熱ストレスの増大によるスイッチ素子の破損を防ぐことは可能である。しかしながら、特定のスイッチ素子の発熱を冷却するには、スイッチ素子近辺あるいは素子毎に温度検出用のセンサ(例えば温度センサ、電流センサ等)を戴置する必要がある。また、狙ったスイッチ素子だけを冷却するための制御システムを別途設ける必要があり、パワー半導体モジュール1あるいはそれを用いた電力変換機ではコストおよびサイズの増大が問題となる。
比較例と第1の実施形態のいずれの場合も、パワー半導体モジュール1に並列実装したスイッチ素子11,21間に特性ばらつきがある場合を示している。ここでスイッチ素子11,21間の特性ばらつきとして、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11が、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合を示している。
スイッチ素子11,21間の特性のばらつきに起因し、スイッチングの開始時には、スイッチ素子11が先にターンオンし、スイッチ素子11に電流が集中したのちにスイッチ素子21が遅れてターンオンする。
スイッチング終了時には、スイッチ素子21が先にターンオフし、それ以降、スイッチ素子11に電流が集中したのちにスイッチ素子11が遅れてターンオフする。そのため、スイッチングの開始時と終了時の両方でスイッチ素子11に電流が集中し、スイッチ素子21よりも温度が高くなる。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11は、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さいので、スイッチ素子11に電流が集中して温度差ΔTpが発生する。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、ターンオン時にはスイッチ素子11が早くターンオンし、ターンオフ時にはスイッチ素子11が遅くターンオフする。また、スイッチ素子11,21がMOSFETである場合、閾値電圧Vth11,Vth21は負の温度係数を有する、すなわち温度が高くなるほど閾値電圧Vth11,Vth21が低くなる。
このためスイッチ回数の増加とともに、スイッチ素子11は高温となり、高温のスイッチ素子11には更に電流および発熱が集中し、結果的にスイッチ素子11は熱ストレスの増大に伴い破損する。
第1の実施形態では、比較例と同様に、スイッチ素子11,21間に特性ばらつきが存在する。つまり、スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい。しかし、スイッチ素子11の温度上昇により熱電変換素子12に温度勾配が発生し、ゲート端子102からスイッチ素子11のゲート電極に向けて負の電圧を発生する。これにより、スイッチ素子11のゲートに対して負のバイアス電圧を掛けて、ゲートオン電圧が大きくなる。
これにより、複数のスイッチ素子の閾値電圧のはらつきを抑制することができる。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11は、スイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さいので、スイッチ素子11に電流が集中して温度差ΔTpが発生する。しかし、スイッチ素子11の温度上昇により熱電変換素子12に温度勾配が発生し、スイッチ素子11のゲートオン電圧の低下を補償するので、温度差ΔTpは抑制される。
スイッチ素子11の閾値電圧Vth11がスイッチ素子21の閾値電圧Vth21よりも小さい場合、ターンオン時にはスイッチ素子11が早くターンオンし、ターンオフ時にはスイッチ素子11が遅くターンオフする。また、スイッチ素子11,21がMOSFETである場合、閾値電圧Vth11,Vth21は負の温度係数を有する、すなわち温度が高くなるほど閾値電圧Vth11,Vth21が低くなる。
図9(a)は、第1の実施形態のパワー半導体モジュール1の実装を示す平面図てある。この図9では、パワー半導体モジュール1のうち、スイッチ素子11,21が実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
スイッチ素子11のゲート電極15からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるゲート端子102の上面に接合される。スイッチ素子11のドレイン電極28からのボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソースセンス端子101の上面に接合される。スイッチ素子11のドレイン電極28からの4本のボンディングワイヤ110は、表面導体パターンであるソース端子104の上面に接合される。
スイッチ素子11は、ゲート内部配線13の上に熱電変換素子12が形成され、その上部にゲート電極15が形成されている。
このゲート内部配線13は、P型で構成された半導体基板17上に酸化膜14を挟んで形成されている。ゲート内部配線13の周囲の半導体基板17上には、N型で構成されたソース電極16が配置されている。半導体基板17は、表面導体パターンであるドレイン端子103上に、ドレイン電極18を挟んで形成されている。
スイッチ素子21は、ゲート内部配線23の上に熱電変換素子22が形成され、その上部にゲート電極25が形成されている。熱電変換素子12,22は、例えばP型または/およびN型半導体で構成されるペルチェ素子である。
スイッチ素子11内部に熱電変換素子12を形成しているため、スイッチ素子11のゲート電極15からゲート端子102の表面導体パターンまでの電気的な接続は、ボンディングワイヤ110のみで可能となり、実装面積の低減によりパワー半導体モジュール1を小型化できる効果がある。
これらの効果は、熱電変換素子22についても同様である。
ここでは、パワー半導体モジュール1のうち、スイッチ素子11,21が実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
絶縁基板100上には、右側から順にソースセンス端子101、ゲート端子102、ドレイン端子103、ソース端子104の表面導体パターンが形成されている。このうちドレイン端子103には、スイッチ素子11,21が形成されている。
スイッチ素子11は、最下層から順にドレイン電極18、半導体基板17、ソース電極16が積層している。このソース電極16は、ゲート内部配線13とは酸化膜14で絶縁されている。ゲート電極15とゲート内部配線13との間には、熱電変換素子12が形成されている。つまり、熱電変換素子12は、スイッチ素子11のゲート電極15内に埋設されて形成されている。ゲート電極15とゲート端子102の表面導体パターンとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子11のソース電極16とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。スイッチ素子11のソース電極16とソース端子104との間は、4本のボンディングワイヤ110で接合される。
ここでは、パワー半導体モジュール1Aのうち、スイッチ素子11A,21Aが実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。熱電変換素子12Aは、スイッチ素子11Aのゲート電極15上に戴置されて実装される。熱電変換素子12Aとゲート端子102の表面導体パターンとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。更にスイッチ素子11Aのドレイン電極18とソースセンス端子101との間は、ボンディングワイヤ110で接合される。
第2の実施形態によれば、実装する熱電変換素子が外付けとなるため、そのパラメータを細かく設計することができ、より確実な温度ばらつき緩和の効果がある。
ここでは、パワー半導体モジュール1Bのうち、スイッチ素子11B,21Bが実装された絶縁基板100にかかる部分の実装構成を示している。
熱電変換素子12Bは、ゲート端子102の表面導体パターン上に実装される。スイッチ素子11Bのゲート電極15と熱電変換素子12Bとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。同様に熱電変換素子22Bは、ゲート端子102の表面導体パターン上に実装される。スイッチ素子21Bのゲート電極15と熱電変換素子22Bとの間は、ボンディングワイヤ110で接合される。
その際、スイッチ素子11Bと熱電変換素子12Bとの間の距離は、スイッチ素子11Bと熱電変換素子22Bとの間の距離より近接している。かつ、スイッチ素子21Bと熱電変換素子22Bとの間の距離は、スイッチ素子21Bと熱電変換素子12Bとの間の距離より近接している。これにより、各熱電変換素子12B,22Bは、それぞれに接続されたスイッチ素子11B,21Bの発熱に応じた熱勾配を受けることができる。
(1) パワー半導体モジュール内に多並列接続されたスイッチ素子の駆動において、温度上昇したスイッチ素子のターンオンを遅く、ターンオフを速くしている。これによりスイッチ素子間の電流ばらつき、すなわちターンオン・ターンオフ時のスイッチング損失のばらつきを低減し、素子間の温度ばらつきを緩和でき、パワー半導体モジュールの高信頼化・長寿命化に寄与することができる。
(2) スイッチ素子の特性ばらつきの許容値を拡大でき、パワー半導体モジュールの歩留まり向上に寄与する。
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) 各スイッチ素子における発熱を熱電変換素子にて良好に検知するために、この熱電変換素子の上面に排熱手段を設けてもよい。排熱手段とは、例えば排熱用の銅製パイプや、排熱フィンなどである。
(b) 各スイッチ素子における発熱を熱電変換素子にて良好に検知するため、この熱電変換素子の上面に冷却手段を設けてもよい。冷却手段とは、例えば冷媒を用いた冷凍サイクルや、ペルチェ素子などである。
(c) 上記実施形態のボンディングワイヤ110は、ワイヤボンドだけでなく、リボンボンドやフリップチップ実装によってもよい。
11,11A,11B スイッチ素子
12 熱電変換素子
12A,12B 熱電変換素子
13 ゲート内部配線
14 酸化膜
15 ゲート電極
16 ソース電極
17 半導体基板
18 ドレイン電極
21,21A,21B スイッチ素子
22,22A,22B 熱電変換素子
23 ゲート内部配線
24 酸化膜
25 ゲート電極
26 ソース電極
27 半導体基板
28 ドレイン電極
30,31 ゲート駆動部
40,41 ゲート駆動電源
100 絶縁基板
110 ボンディングワイヤ
101 ソースセンス端子
102 ゲート端子
103 ドレイン端子
104 ソース端子
Claims (7)
- 一のゲート端子に接続され、第1、第2端子間の導通と非導通とを切り替えるように並列接続される複数のスイッチ素子と、
各前記スイッチ素子のゲート電極と前記一のゲート端子との間にそれぞれ接続される複数の熱電変換素子と、
を備え、
各前記熱電変換素子は、ゼーベック効果を有する異種金属、または、P型または/およびN型半導体で形成される、
ことを特徴とするパワー半導体モジュール。 - 各前記熱電変換素子は、前記スイッチ素子のゲート電極部に埋設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。 - 各前記熱電変換素子は、前記スイッチ素子のゲート電極上に戴置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。 - 前記熱電変換素子は、前記一のゲート端子と電気的に接続された回路上に戴置された構成であって、
前記複数のスイッチ素子は、第1のスイッチ素子と、当該第1のスイッチ素子に隣接して並列に実装された第2のスイッチ素子とを含み、
前記熱電変換素子は、前記第1のスイッチ素子のゲート電極に接続される第1の熱電変換素子と、前記第2のスイッチ素子のゲート電極に接続される第2の熱電変換素子とを含み、
前記第1のスイッチ素子と前記第1の熱電変換素子との距離は、前記第1のスイッチ素子と前記第2の熱電変換素子との距離よりも近接し、
前記第2のスイッチ素子と第2の熱電変換素子との距離は、前記第2のスイッチ素子と前記第1の熱電変換素子との距離よりも近接している、
ことを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。 - 各前記スイッチ素子は、ワイドバンドギャップ半導体で構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール。 - 各前記スイッチ素子を構成するワイドバンドギャップ半導体は、SiC、GaN、ダイヤモンドのいずれかである、
ことを特徴とする請求項5に記載のパワー半導体モジュール。 - 請求項1ないし請求項6のうちいずれか1項に記載のパワー半導体モジュールを備える、
ことを特徴とする電力変換装置。
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