(実施形態1)
(1.1)全体概要
本実施形態に係る電流センサ30は、図2に示すように、分電盤1のキャビネット70に取り付けて使用される。分電盤1には、平板状の導電部材84が設けられている。導電部材84は、複数個の分岐ブレーカ20を電気的に接続するための部材である。電流センサ30は、複数個の分岐ブレーカ20と同様にキャビネット70に取り付けられることにより、導電部材84を流れる電流を非接触で検出する。電流センサ30は、検出コイル60(図1A参照)を有しており、検出コイル60の出力(電気信号)を用いて、導電部材84を流れる電流が測定可能になる。
本実施形態に係る電流センサ30は、図1A及び図1Bに示すように、ボディ40と、コア50と、検出コイル60とを備えている。ボディ40は、分電盤1(図2参照)のキャビネット70(図2参照)に取り付けられる。コア50は、ボディ40に保持され、分電盤1に設けられた平板状の導電部材84を囲む閉磁路を形成する。検出コイル60は、コア50に巻き付けられ、導電部材84を流れる電流に応じた電気信号を出力する。
ボディ40は、第1ボディ41と、第2ボディ42とを有している。コア50は、第1ボディ41に保持される第1コア51と、第2ボディ42に保持される第2コア52とを有している。コア50は、所定の対向方向において第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とを互いに突き合わせることにより、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84が貫通する貫通空間500を形成する。
電流センサ30は、押付部材90と、受圧部材91と、操作部材92とを更に備えている。押付部材90は、第1コア51と第2コア52との少なくとも一方からなる可動コアに対して、上記対向方向における貫通空間500とは反対側に配置されている。押付部材90は弾性変形可能である。受圧部材91は、上記可動コアとの間に押付部材90を挟むように配置されている。受圧部材91は、上記対向方向において上記可動コアと対向する受圧面911を有する。操作部材92は、受圧部材91を移動させることにより、上記対向方向における受圧面911の位置を第1位置(図1A参照)から、第2位置(図1B参照)へ移動させるように操作可能である。上記第2位置は、上記第1位置よりも上記可動コアに近い位置である。
上述したような電流センサ30の各部の構成及び機能は、ボディ40がキャビネット70に取り付けられた状態、つまり、第1ボディ41及び第2ボディ42の両方がキャビネット70に取り付けられた状態での、構成及び機能である。また、ここでいう「突き合わせる」とは、互いにくっつきそうになるほど近づけることを意味しており、互いに接触している状態だけでなく接触していない状態も含む。例えば端部511と端部521とが突き合わされるという場合には、互いに露出した端部511と端部521とが対向している状態を意味し、端部511と端部521との間にボディ40などの異物が介在しない状態を意味する。
要するに、本実施形態に係る電流センサ30は、コア50が第1コア51と第2コア52とに分割されており、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84が貫通する貫通空間500を形成する。そのため、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84を挟むようにボディ40がキャビネット70に取り付けられることにより、検出コイル60の出力(電気信号)を用いて、導電部材84を流れる電流が測定可能になる。したがって、この電流センサ30では、導電部材84に流れる電流を測定するために、電流測定対象となる導電部材84を電流センサ30に対し電気的に接続する作業が必要ない。よって、電流センサ30は、取付作業が簡単である、という利点がある。
さらに、上記構成の電流センサ30によれば、受圧面911が第2位置にある状態では、受圧面911が第1位置にある状態に比べて、受圧面911と可動コアとの間で押付部材90が圧縮される。そのため、少なくとも受圧面911が第2位置にある状態では、押付部材90の弾性変形により、可動コアに対して、押付部材90から、第1コア51と第2コア52とが互いに押し付けられる向きの押付力が作用する。したがって、可動コアに上記押付力を作用させることで、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップが生じにくくなり、エアギャップに起因した電流の測定精度の低下を抑えることができる。しかも、受圧面911の第1位置から第2位置への移動は、操作部材92の操作によって行われる。したがって、電流センサ30の取付作業を行う作業者は、キャビネット70へボディ40を取り付ける作業とは別に、操作部材92を操作して可動コアに上記押付力を作用させるための作業を行うことができる。その結果、可動コアに上記押付力を確実に作用させることができ、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップがより生じにくくなる。
(1.2)詳細説明
以下、本実施形態に係る電流センサ30、及びそれを備えた分電盤1について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態では、電流センサ30は、需要家施設において消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測するための電力計測システムに用いられる。ここでいう「需要家施設」は、電力の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、店舗や事務所などの非住宅施設を需要家施設の一例として説明する。ただし、この例に限らず、需要家施設は集合住宅や戸建住宅、集合住宅の各住戸などであってもよい。
(1.2.1)分電盤
ここではまず、本実施形態の電流センサ30を備えた分電盤1の基本構成について、図2を参照して説明する。本実施形態では、交流100〔V〕/200〔V〕を取り出し可能な単相三線式配線の分電盤1を例に説明する。
分電盤1は、キャビネット70を備え、主幹ブレーカ10と、複数個(図2の例では18個)の分岐ブレーカ(回路遮断器)20と、少なくとも1個(図2の例では3個)の電流センサ30とを、キャビネット70内に備えている。以下では、分電盤1が設置された状態における上下、左右(図1A、図1B、及び図2等に矢印で示した上下、左右、前後)を上下、左右、前後として説明するが、これらの方向に分電盤1及び電流センサ30の取付方向を限定する趣旨ではない。図1A、図1B、及び図2等において、上下、左右、前後を付した矢印は、方向を示すための矢印であって実体は伴わない。
キャビネット70は、前面に開口71を有する箱状に形成されている。キャビネット70は、正面視が上下方向に長い矩形状に形成されている。キャビネット70の底板72には、左右方向に対向する一対のレール部材73が設置されている。一対のレール部材73には、第1取付板74及び第2取付板75が固定されている。第1取付板74及び第2取付板75の各々は、一対のレール部材73間に架け渡されるように設置されている。第1取付板74は第2取付板75の上方に配置されている。第2取付板75の前面には、合成樹脂製の取付ベース76が固定されている。
主幹ブレーカ10は、キャビネット70の一部である第1取付板74の前面に取り付けられることで、キャビネット70に取り付けられる。複数個の分岐ブレーカ20は、キャビネット70の一部である取付ベース76に取り付けられることで、キャビネット70に取り付けられる。キャビネット70は、開口71を塞ぐ扉を有していてもよい。
主幹ブレーカ10の一次側端子11は、3線式の電力線(幹線)81を介して、交流電源200(図3参照)に電気的に接続されている。主幹ブレーカ10の二次側端子12には、L1相、L2相、N相の3本の母線導体82(図3参照)が電気的に接続されている。これら3本の母線導体82は、L1相、L2相、N相の電力線81と一対一に電気的に接続される。3本の母線導体82の各々は、主幹ブレーカ10に直接接続される連結部材(ジョイントバー)83と、連結部材83を介して主幹ブレーカ10に接続される導電部材(導電バー)84(図4参照)とで構成されている。
3本の導電部材84の各々は、例えば銅などの導電性材料にて長尺の平板状(帯状)に形成されている。3本の導電部材84は、各々の長手方向を上下方向と一致させ、かつ各々の厚み方向を前後方向に一致させる向きで、取付ベース76に保持されている。3本の導電部材84は、取付ベース76の前方において、前後方向(各々の厚み方向)に適当な間隔を空けて並ぶように、取付ベース76の左右方向の中央部に取り付けられている。本実施形態では、3本の導電部材84は、前方からL1相、N相、L2相の順に並んでいる。ここで、取付ベース76の前方には、取付ベース76の上下方向の両端間に亘って3本の導電部材84が位置するように、3本の導電部材84の各々は、取付ベース76の上下方向の寸法よりも長く形成されている。
3本の連結部材83の各々は、例えば銅などの導電性材料にて形成されている。3本の連結部材83は、それぞれ3本の導電部材84と主幹ブレーカ10の一次側端子11との間を電気的に接続する。
複数個の分岐ブレーカ20は、導電部材84に接続されることにより、母線導体82を介して主幹ブレーカ10の二次側端子12に電気的に接続される。各分岐ブレーカ20は、取付ベース76の前面のうち、導電部材84の短手方向(左右方向)の両側(左側と右側)に設けられた取付スペースに取り付けられる。取付ベース76には、分岐ブレーカ20を保持するための取付構造760(図4参照)が複数個(本実施形態では24個)設けられている。図2に例示する分電盤1では、複数個の取付構造760は、導電部材84の短手方向の両側において、それぞれ上下方向に複数個(本実施形態では12個)ずつ並ぶように配置されている。これにより、分岐ブレーカ20は、導電部材84の短手方向の両側に分かれて、それぞれ複数個(本実施形態では12個)ずつ取付可能である。
各分岐ブレーカ20は、電源端子と負荷端子とを有しており、電源端子が導電部材84に電気的に接続され、負荷端子には分岐回路が接続される。各分岐ブレーカ20は、3本の導電部材84が差し込まれるスリットを導電部材84との対向面に有している。スリットは3本の導電部材84に対応するように3個設けられている。各分岐ブレーカ20の電源端子は、これら3個のスリットのうち2個のスリット内に露出するように設けられている。これにより、各分岐ブレーカ20は、取付ベース76に取り付けられた状態で、スリットに導電部材84が差し込まれ、電源端子が導電部材84と電気的に接続される。
N相及びL1相に接続される100〔V〕用の分岐ブレーカ20には、N相の導電部材84及びL1相の導電部材84に対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。N相及びL2相に接続される100〔V〕用の分岐ブレーカ20には、N相の導電部材84及びL12相の導電部材84に対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。L1相及びL2相に接続される200〔V〕用の分岐ブレーカ20には、L1相の導電部材84及びL2相の導電部材84に対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。
ところで、本実施形態においては、電流センサ30は、複数個の分岐ブレーカ20と同様に、合成樹脂製の取付ベース76に取り付けられる。そのため、取付ベース76が第2取付板75の前面に取り付けられることで、電流センサ30がキャビネット70内に収納される。
ここで、電流センサ30の第1ボディ41と第2ボディ42との各々は、キャビネットにおける回路遮断器用(分岐ブレーカ20用)の取付構造760に対応した取付部400(図4参照)を有している。第1ボディ41と第2ボディ42との各々は、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。取付構造760の詳細については、「(1.2.3)単極用電流センサ」の欄で説明する。
(1.2.2)電力計測システム
次に、電流センサ30を用いた電力計測システムの構成について、図2及び図3を参照して説明する。
本実施形態の電力計測システムは、少なくとも1個の電流センサ30と、計測装置100とを備えている。本実施形態では、電力計測システムは複数個の電流センサ31〜33を備えている。本実施形態において、電流センサ31〜33の各々をとくに区別しない場合には、電流センサ31〜33の各々を「電流センサ30」という。
計測装置100には、電流センサ31〜33の各々が電気的に接続されている。これにより、計測装置100では、電流センサ30の出力に基づいて、導電部材84に流れる電流を計測可能である。計測装置100は、本実施形態ではキャビネット70の外部に設置されているが、この例に限らず、キャビネット70の内部に設置されていてもよい。
計測装置100は、例えばマイクロコンピュータを主構成とし、マイクロコンピュータのメモリに記録されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めマイクロコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
本実施形態では、計測装置100は、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値として演算する。計測装置100は、電力線81の線間電圧を監視しており、線間電圧及び電流センサ30の出力を用いて演算することにより、計測値を求める。計測装置100は、求めた計測値を表示装置に出力し、計測値を表示装置に表示させる。
ところで、本実施形態においては、18個の分岐ブレーカ20は、複数のブレーカ群G1〜G3に分かれている。具体的には、図2に示すように、18個の分岐ブレーカ20は、導電部材84の長手方向(上下方向)において6個単位でブレーカ群G1〜G3に分類されている。ブレーカ群G1〜G3のうちブレーカ群G1が主幹ブレーカ10に最も近く、ブレーカ群G3が主幹ブレーカ10から最も遠くなるように、ブレーカ群G1〜G3は導電部材84の上流側(主幹ブレーカ10側)から順に並んでいる。
ここにおいて、電流センサ31はブレーカ群G1の上方に設置され、電流センサ32はブレーカ群G1とブレーカ群G2との間に設置され、電流センサ33はブレーカ群G2とブレーカ群G3との間に設置されている。これにより、電流センサ31では、ブレーカ群G1〜G3に流れる電流が測定可能となる。一方、電流センサ32では、ブレーカ群G2,G3に流れる電流が測定可能となり、電流センサ33では、ブレーカ群G3に流れる電流が測定可能となる。
そのため、計測装置100においては、例えば電流センサ31の出力を用いて求めた計測値から、電流センサ32の出力を用いて求めた計測値を減算することにより、ブレーカ群G1についての計測値を求めることができる。このように、3個の電流センサ31〜33の出力を用いることで、ブレーカ群G1,G2,G3の各々について、計測値を求めることが可能である。
(1.2.3)単極用電流センサ
図3に例示したような電力計測システムにおいては、2本の母線導体82の各々を流れる電流を1個の電流センサ30で測定できるように、コア50及び検出コイル60を2個ずつ有した複極(2極)用の電流センサ30が用いられる。ただし、複極用の電流センサ30であっても、基本的な構成は、コア50及び検出コイル60を1個ずつ有した単極用の電流センサ30と同様であるから、以下ではまず、単極用の電流センサ30について説明する。
電流センサ30は、図4に示すように第1ボディ41及び第2ボディ42からなるボディ40を備えている。電流センサ30は、ボディ40内に、コア50(図1A参照)、検出コイル60(図1A参照)、押付部材90(図1A参照)、及び受圧部材91(図1A参照)を備えている。
第1ボディ41及び第2ボディ42の各々は、合成樹脂製であって、分岐ブレーカ20の器体とほぼ同じ形状、及び寸法に形成されている。
本実施形態では、第1ボディ41は導電部材84の左側の取付スペースに取り付けられ、第2ボディ42は導電部材84の右側の取付スペースに取り付けられる。すなわち、第1ボディ41及び第2ボディ42は、導電部材84を短手方向の両側から挟むように設置される。ここにおいて、第1ボディ41と第2ボディ42とで基本的な構成は共通である。そのため、以下では主に第1ボディ41について説明するが、とくに断りがない限り、第2ボディ42についても第1ボディ41と同様の構成が採用されている。
第1ボディ41は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きく、かつ前後方向の寸法よりも上下方向の寸法が小さい箱状の器体403を有している。また、第1ボディ41は、器体403のうち左右方向において導電部材84と対向する面(右側面)から突出した角筒状の筒状部404を有している。前後方向に対向する一対の筒状部404を一組とすると、第1ボディ41には、少なくとも1組(図4の例では1組)の筒状部404が形成される。一対の筒状部404は、1本の導電部材(図4の例ではL1相の導電部材)84を挟んで前後方向に対向するように形成されている。言い換えれば、一対の筒状部404の間には1本の導電部材84が差し込まれる。
ここで、左右方向に直交し導電部材84の短手方向の中心を通る仮想平面を基準面S1とした場合、筒状部404の先端面は基準面S1と一致する。第2ボディ42においても、同様の筒状部404が形成されている。そのため、第1ボディ41及び第2ボディ42の両方がキャビネット70に取り付けられた状態では、図4に示すように、第1ボディ41の筒状部404の先端面と第2ボディ42の筒状部404の先端面とが、基準面S1内で接触することになる。
また、器体403には、キャビネット70における回路遮断器用(分岐ブレーカ20用)の取付構造760に対応した取付部400が設けられている。取付構造760は、図4に示すように、取付ベース76の前面から突出する第1保持部761及び第2保持部762を有している。第1保持部761と第2保持部762とは、第1保持部761が導電部材84側となるように、左右方向に並んで配置されている。第1保持部761は、取付ベース76の前面から前方に突出し、かつ先端部(前端部)が第2保持部762に向かって延長された形状に形成されている。第2保持部762は、弾性を有するばね部材からなる。第2保持部762は、取付ベース76の前面から前方に突出し、かつ中央部が第1保持部761側に凸となるV字状に屈曲した形状に形成されている。このように構成される取付構造760が、導電部材84の短手方向の両側において、それぞれ上下方向に複数個ずつ並ぶように配置されている。
本実施形態では、取付構造760に対応する取付部400として、第1凹部401及び第2凹部402が形成されている。第1凹部401は、器体403において第1保持部761に対応する位置に形成されている。第2凹部402は、器体403において第2保持部762に対応する位置に形成されている。
第1ボディ41を取付ベース76に取り付ける際には、作業者は、器体403の第1凹部401に第1保持部761を引っ掛けた状態で、器体403における導電部材84とは反対側の端部(左端部)を後方(取付ベース76側)に押す。これにより、第1凹部401に第1保持部761が差し込まれ、かつ第2凹部402に第2保持部762が差し込まれることで、第1ボディ41は取付ベース76に取り付けられる。言い換えれば、第1ボディ41は取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。一方、第1ボディ41を取付ベース76から取り外す際には、作業者は、第2保持部762を第1保持部761とは反対側に撓ませながら、器体403における導電部材84とは反対側の端部(左端部)を前方に引くことになる。上述した取付部400の構造は、分岐ブレーカ20の取付部と同様である。
また、第1ボディ41と第2ボディ42とのうちの第1ボディ41からは、ケーブル64が引き出されている。ケーブル64は、第1ボディ41内において検出コイル60(図1A参照)と電気的に接続されている。ケーブル64の先端には、計測装置100と接続されるためのコネクタ65が電気的に接続されている。
次に、上述したような構成のボディ40に収納されるコア50、検出コイル60、押付部材90、及び受圧部材91の構成、さらに操作部材92の構成について、図1A及び図1Bを参照して説明する。図1A、図1B、及び後述の図6A及び図6Bは、図4の「X1」に相当する部位を表す、ボディ40の一部を破断した拡大図である。
コア50は、例えば珪素鋼板などの磁性材料にて構成されている。コア50は、ボディ40に保持され、1本の導電部材(図1Aの例ではL1相の導電部材)84を囲む閉磁路を形成する。具体的には、コア50は、上下方向に直交する断面形状が左右方向に長い矩形枠状となるように形成されている。言い換えれば、コア50は前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きい扁平な形状に形成されている。
コア50は、左右方向において第1コア51と第2コア52とに分割されている。第1コア51は、前後方向に延長された中央片512と、中央片512の前後方向の両端部からそれぞれ右方に向けて突出する一対の脚片513とを有している。一対の脚片513の先端部(右端部)は、それぞれ第1コア51の端部511に相当する。同様に、第2コア52は、前後方向に延長された中央片522と、中央片522の前後方向の両端部からそれぞれ左方に向けて突出する一対の脚片523とを有している。一対の脚片523の先端部(右端部)は、それぞれ第2コア52の端部521に相当する。そのため、所定の対向方向(左右方向)において第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とを互いに突き合わせることにより、第1コア51と第2コア52との間には導電部材84が貫通する貫通空間500が形成される。
第1コア51は、第1ボディ41に収納されることにより、第1ボディ41に保持される。ここで、中央片512は第1ボディ41の器体403に収納され、一対の脚片513は第1ボディ41の一対の筒状部404にそれぞれ収納される。これにより、第1コア51の端部511は筒状部404の開口から第1ボディ41の外部に露出する。同様に、第2コア52は、第2ボディ42に収納されることにより、第2ボディ42に保持される。ここで、中央片522は第2ボディ42の器体403に収納され、一対の脚片523は第2ボディ42の一対の筒状部404にそれぞれ収納される。これにより、第2コア52の端部521は筒状部404の開口から第2ボディ42の外部に露出する。
ここにおいて、第1コア51と第2コア52との少なくとも一方は、押付部材90からの押付力が作用する可動コアを構成する。本実施形態では、第2コア52が可動コアである。可動コア(第2コア52)は、ボディ40(第2ボディ42)に対して固定されておらず、対向方向(左右方向)に沿って、ボディ40(第2ボディ42)に対して相対的に移動可能である。ただし、対向方向以外については、第2ボディ42に対する第2コア52の移動は規制されている。一方、可動コアではない第1コア51は、ボディ40(第1ボディ41)に対して固定されている。
さらに、可動コアである第2コア52の脚片523は、第1コア51の脚片513よりも左右方向の寸法が大きく設定されている。そのため、図1Aの状態においては、第1コア51の脚片513の先端面(右端面)と筒状部404の先端面(右端面)とが面一になるのに対し、第2コア52の端部521は筒状部404の先端面(左端面)から突出する。
また、コア50の少なくとも一部には、検出コイル60が巻き付けられている。これにより、電流センサ30は、コア50に囲まれた導電部材84を流れる電流に応じた電気信号を検出コイル60から出力するCT(Current Transformer)センサとして機能する。本実施形態では一例として、検出コイル60は、第1コイル61と第2コイル62とに分割されている。第1コイル61は第1コア51における一対の脚片513の一方に巻き付けられ、第2コイル62は第1コア51における一対の脚片513の他方に巻き付けられている。第1コイル61と第2コイル62とは電気的に直列に接続されている。
押付部材90は、第2コア52が保持されている第2ボディ42内に設けられている。押付部材90は、可動コアである第2コア52に対して、対向方向(左右方向)における貫通空間500とは反対側に配置されている。押付部材90は、少なくとも図1Bの状態において、可動コアである第2コア52を第1コア51に押し付ける向き(ここでは左向き)の押付力を、弾性変形により、可動コアである第2コア52に対して作用させる部材である。そのため、押付部材90は、弾性変形可能な部材、つまり弾性(ばね性)を有する部材からなる。本実施形態では一例として、押付部材90はコイルばねからなる。押付部材90は、第2コア52の中央片522の右方に配置されている。対向方向に直交する方向(前後方向及び上下方向)への押付部材90の移動は、例えば器体403又は第2コア52に設けられた規制片によって規制される。
受圧部材91は、対向方向において、押付部材90に対して第2コア52とは反対側となる位置に配置されている。言い換えれば、受圧部材91は、可動コアである第2コア52との間に、押付部材90を挟むように配置されている。受圧部材91は、対向方向において可動コアである第2コア52と対向する位置に、受圧面911を有している。受圧面911は、押付部材90における第2コア52とは反対側の端面(右端面)に接触し、押付部材90からの反力を受けるための面である。本実施形態では、受圧部材91のうちの左方を向いた面、つまり受圧部材91の左側面が受圧面911を構成する。よって、押付部材90は、可動部材である第2コア52の中央片522における右側面と、受圧部材91の受圧面911とで挟まれた状態で、第2コア52と受圧部材91との間に保持される。
受圧部材91は、図5A及び図5Bに示すように、楕円柱状に形成されている。受圧部材91は、例えば合成樹脂製である。受圧部材91は、前後方向に沿った回転中心線C1を中心に、回転可能に構成されている。器体403に対する回転中心線C1の相対的な位置は固定的である。図5A及び図5Bに示す回転中心線C1は、受圧部材91の回転中心を示すための仮想線であって実体は伴わない。図5A及び図5Bにおいては、第2コア52、押付部材90、受圧部材91、及び操作部材92のみを図示している。また、図5A及び図5Bでは、受圧面911が第1位置にあるときの、押付部材90、受圧部材91、及び操作部材92の位置を、想像線(2点鎖線)で表している。
受圧部材91の断面形状は楕円形状であるから、受圧部材91が回転中心線C1を中心に回転すると、回転中心線C1から受圧面911(受圧部材91の左側面)までの距離が変化する。その結果、図1A及び図1Bに示すように、可動コアである第2コア52と受圧面911との間の距離L1,L2が変化する。図1Aは、受圧面911が第1位置にある状態の電流センサ30を示し、図1Bは、受圧面911が第2位置にある状態の電流センサ30を示している。ここで、第2位置は、第1位置よりも受圧面911が可動コアである第2コア52に近くなる位置である。つまり、図1Bにおける第2コア52と受圧面911との間の距離L2は、図1Aにおける第2コア52と受圧面911との間の距離L1よりも短くなる(L2<L1)。
操作部材92は、受圧部材91を移動させることにより、対向方向における受圧面911の位置を第1位置から、第2位置へ移動させるように操作可能である。本実施形態では、操作部材92は、少なくとも一部がボディ40の表面から突出するようにボディ40に保持されている。具体的には、操作部材92は、受圧部材91の前端面から前方に延長された楕円柱状の部材であって、受圧部材91と一体に形成されている。言い換えれば、1つの楕円柱状の部材が受圧部材91と操作部材92とを兼ねており、この部材のうちボディ40の表面から突出した部分が操作部材92として機能する。第2ボディ42の器体403には、操作部材92を器体403の前面から突出させるための操作孔410が形成されている。つまり、操作部材92は、第2ボディ42の操作孔410を通して、第2ボディ42の前面から突出する。
これにより、操作部材92は、ボディ40の外側にて操作可能となる。そして、操作部材92が回転中心線C1を中心に回転するように操作されると、操作部材92と共に受圧部材91が移動(回転)する。以下では、受圧面911が第1位置にあるときの操作部材92の状態を非操作状態、受圧面911が第2位置にあるときの操作部材92の状態を操作状態という。操作部材92は、非操作状態から、回転中心線C1を中心にして90度回転させるように操作されることにより、操作状態になる。よって、操作部材92が非操作状態から操作状態へと操作されることに伴い、受圧部材91の受圧面911が、第1位置(図1A参照)から第2位置(図1B参照)へと移動する。操作部材92は、操作状態から非操作状態へも操作可能である。
次に、上述したような構成の電流センサ30を、作業者がキャビネット70に取り付ける、電流センサ30の取付作業について説明する。
作業者は、図1Aに示すように受圧面911が第1位置にある状態、つまり操作部材92が非操作状態にある状態で、まずキャビネット70へのボディ40の取り付けを行う。この状態では、押付部材90から、可動コアである第2コア52に対して、第2コア52を第1コア51に押し付ける向きの押付力は作用しない。
その後、作業者は、操作部材92を非操作状態から操作状態へと操作して受圧部材91を回転させることにより、受圧面911を第1位置から第2位置へと移動させる。このとき、受圧面911は第2コア52に近づく向きに移動する。そのため、図1Bに示すように受圧面911が第1位置にある状態では、可動部材である第2コア52と受圧部材91の受圧面911とに挟まれた押付部材90は、圧縮されて弾性変形することになる。そして、押付部材90は、弾性変形することにより、第2コア52に対して左向きの押付力を作用させる。
このように、作業者は、キャビネット70へのボディ40の取り付け後、操作部材92を操作して操作部材92を操作状態とすることによって、可動コアである第2コア52に対して押付部材90から押付力を作用させることができる。これにより、第2ボディ42から露出した第2コア52の端部521は、第1ボディ41から露出した第1コア51の端部511に対して押し付けられることになる。よって、第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とが接触し、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップが生じにくくなる。
(1.2.4)複極用電流センサ
複極用の電流センサ30は、図6A及び図6Bに示すように、1つのボディ40に対して、コア50と検出コイル60と押付部材90と受圧部材91との組み合わせが複数組設けられている。図6A及び図6Bに示す電流センサ30は、L1相及びL2相の2本の導電部材84の電流を測定できるように、コア50と検出コイル60と押付部材90と受圧部材91とが2個ずつ設けられた2極用の電流センサ30である。図6A及び図6Bでは、コア50、検出コイル60、押付部材90、及び受圧部材91等の構成要素について、L1相の導電部材84に対応する構成要素には符号の末尾に「A」を付し、L2相の導電部材84に対応する構成要素には符号の末尾に「B」を付す。
複極用の電流センサ30のボディ40の形状は、複数個のコア50に対応するように筒状部404が複数組設けられる点を除き、単極用の電流センサ30のボディ40と共通である。
複極用の電流センサ30において、操作部材92は、単極用の電流センサ30と同様に、1つだけ設けられている。そして、操作部材92は、複数の受圧部材91A及び91Bを、一括して移動させるように構成されている。具体的には、複極用の電流センサ30において、複数の受圧部材91A及び91Bが、1つの操作部材92と一体に形成されている。言い換えれば、1つの楕円柱状の部材が複数の受圧部材91A及び91Bと操作部材92とを兼ねており、この部材のうちボディ40の表面から突出した部分が操作部材92として機能する。
ただし、操作部材92が複数の受圧部材91A及び91Bを一括して移動させることは、複極用の電流センサ30に必須の構成ではなく、複数の受圧部材91A及び91Bに対応して複数の操作部材92が設けられていてもよい。
複極用の電流センサ30は、L1相及びL2相の2本の導電部材84に限らず、例えばL1相及びN相の2本の導電部材84や、L2相及びN相の2本の導電部材84に対応する構成であってもよい。また、複極用の電流センサは、3本の導電部材84に対応する構成であってもよい。
(1.3)効果
以上説明した本実施形態の電流センサ30によれば、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84を挟むようにボディ40がキャビネット70に取り付けられることにより、検出コイル60の出力を用いて、導電部材84を流れる電流が測定可能である。したがって、この電流センサ30では、導電部材84に流れる電流を測定するために、電流測定対象となる導電部材84を電流センサ30に対し電気的に接続する作業が必要ない。よって、本実施形態の電流センサ30は、取付作業が簡単である、という利点がある。
また、この電流センサ30によれば、コア50を保持するボディ40がキャビネット70に取り付けられるので、導電部材84に対するコア50の相対的な位置がばらつくことによる電流の測定精度の低下を抑えることができる。
さらに、押付部材90により第1コア51と第2コア52とが互いに押し付けられるので、第1コア51と第2コア52との間に生じるエアギャップによる電流の測定精度の低下も抑えることができる。すなわち、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップが生じると、コア50によって形成される閉磁路の磁気抵抗がエアギャップの大きさに応じて変化する。閉磁路の磁気抵抗がばらつくと、導電部材84を流れる電流の大きさが同じでも検出コイル60の出力(電気信号)がばらつき、電流の測定精度の低下につながる。本実施形態の電流センサ30では、第1コア51と第2コア52とが互いに押し付けられることでエアギャップを生じにくくしているので、このような磁気抵抗のばらつきが生じにくく、結果的に、電流の測定精度の低下を抑えることができる。
とくに、本実施形態のように扁平な形状のコア50においては、第1コア51の両端部511間の距離、及び第2コア52の両端部521間の距離が短いため、第1コア51と第2コア52との間のエアギャップが漏れ磁束に繋がりやすい。すなわち、扁平な形状のコア50では、コア50の長手方向において閉磁路を分断するようなエアギャップは、電流の測定精度への影響が大きい。そのため、扁平な形状のコア50を備えた電流センサ30において、本実施形態のように第1コア51と第2コア52との間にエアギャップを生じにくくした構成は、とくに有用である。
さらに、電流センサ30によれば、受圧面911が第1位置から第2位置に移動すると、受圧面911と可動コア(第2コア52)との間で押付部材90が圧縮され、押付部材90から可動コアに押付力が作用する。ここで、受圧面911の第1位置から第2位置への移動は、操作部材92の操作によって行われる。したがって、電流センサ30の取付作業を行う作業者は、キャビネット70へボディ40を取り付ける作業とは別に、操作部材92を操作して可動コアに上記押付力を作用させるための作業を行うことができる。その結果、可動コアに上記押付力を確実に作用させることができ、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップがより生じにくくなる。
また、本実施形態のように、操作部材92は、少なくとも一部がボディ40の表面から突出するようにボディ40に保持されていることが好ましい。この場合に、操作部材92の上記少なくとも一部が操作されることにより、受圧面911が第1位置から第2位置に移動するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、操作部材92が、ボディ40の外で操作可能であるから、作業者が、工具等を用いずに操作部材92を操作することができ、押付部材90から可動コアに押付力を作用させるための作業の作業性が向上する。
また、上述した複極用の電流センサ30のように、1つのボディ40に対して、コア50と検出コイル60と押付部材90と受圧部材91との組み合わせが複数組設けられていてもよい。この場合に、操作部材92は、複数の受圧部材91を一括して移動させるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、例えば図3に示すような電力計測システムにおいて、複数本の母線導体82の各々を流れる電流を1個の電流センサ30で同時に測定することができる。しかも、1つの操作部材92の操作のみで、複数の受圧部材91を一斉に移動させて、複数の押付部材90から複数の可動コアに対して、一斉に押付力を作用させることができる。結果的に、複数の押付部材90から複数の可動コアに押付力を作用させるための作業の作業性が向上する。
また、本実施形態のように、分電盤1は、電流センサ30と、ボディ40が取り付けられる取付構造760を有するキャビネット70とを備えることが好ましい。この構成によれば、電流センサ30の取付作業が簡単である、という利点がある。
(1.4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
操作部材92は、受圧部材91を移動させることにより、対向方向における受圧面911の位置を第1位置から第2位置へ移動させるように操作可能であればよく、例えばねじ構造や、スライド構造など、操作部材92の具体的な態様は適宜変更可能である。図7A及び図7Bは、実施形態1の変形例に係る電流センサ30の要部を示している。図7A及び図7Bの例では、受圧部材91C及び操作部材92Cは、一体に形成されており、前後方向に沿って直進移動可能に構成されている。受圧部材91Cは、受圧面911Cを構成する左側面(第2コア52と対向する面)に、左後方に向けて傾斜したテーパ面からなる段差部912Cを有している。受圧面911Cから第2コア52までの距離は、段差部912Cよりも後方(操作孔410とは反対側)の部位に比べて、段差部912Cよりも前方(操作孔410側)の部位で短くなっている。この変形例では、操作部材92Cが後方に押される操作に伴って、受圧部材91Cが後方に移動し、受圧面911Cが図7Aに示す第1位置から、図7Bに示す第2位置へ移動する。
さらに他の例として、操作部材92と受圧部材91とは、別体であってもよい。この場合、受圧部材91が操作部材92に連動するように、受圧部材91と操作部材92との間に、動力伝達機構が設けられていてもよい。動力伝達機構は、例えばリンク機構又はギア等で実現される。
また、操作部材92は、少なくとも受圧面911の位置を第1位置から第2位置へ移動させるような操作が可能であればよく、受圧面911の位置を第2位置から第1位置へ移動させるような操作が可能であるか否かは、適宜変更可能である。つまり、操作部材92は、受圧面911の位置を第1位置から第2位置へ移動させる操作のみが可能であってもよい。
また、コア50の材料は、珪素鋼板に限らず、例えばパーマロイやフェライト、アモルファス、ナノ結晶合金などであってもよい。
また、検出コイル60は、第1コイル61と第2コイル62とに分割されていなくてもよい。さらに、検出コイル60は、一対の脚片513に限らず、例えば中央片512に巻き付けられていてもよい。
また、検出コイル60は、コア50に巻き付けられた状態でコア50と共にボディ40に組み込まれてもよいし、ボディ40に埋め込まれていてもよい。検出コイル60は、コア50に装着されるコイルボビンに巻き付けられていてもよい。なお、図1A及び図1B等においては、検出コイル60の一部をボディ40に埋め込まれているように図示しているが、これらの図は概念図に過ぎず検出コイル60がボディ40に埋め込まれた構成に限定する趣旨ではない。
また、単極用の電流センサ30は、実施形態1で例示したようなL1相の導電部材84に対応する構成に限らず、例えばL2相又はN相の導電部材84に対応するように、コア50、検出コイル60、及び押付部材90が設けられていてもよい。
また、操作部材92はボディ40の表面から突出していなくてもよく、操作部材92の全体がボディ40内に収納されていてもよい。この場合、作業者は、例えば、ボディ40の操作孔410から、マイナスドライバ等の工具をボディ40内に挿入することで、操作部材92を操作することができる。ただし、操作部材92の少なくとも一部がボディ40の表面から突出している場合でも、操作部材92は、マイナスドライバ又はペンチ等の工具にて操作される構成であってもよい。
また、押付部材90は、第1コア51と第2コア52との少なくとも一方からなる可動コアに対して、弾性変形により、第1コア51と第2コア52とが互いに押し付けられる向きの押付力を作用させる部材であればよい。そのため、押付部材90はコイルばねに限らず、例えば合成樹脂製又は金属製の板ばね等であってもよい。さらに、押付部材90は、受圧部材91と一体に形成されていてもよい。
また、押付部材90は、第1コア51に力を作用させるように第1ボディ41に設けられていてもよい。この場合、受圧部材91及び操作部材92も同様に、第1ボディ41に設けられることになる。さらに、押付部材90は、第1コア51及び第2コア52の両方に力を作用させるように第1ボディ41及び第2ボディ42との両方に設けられていてもよい。この場合、受圧部材91及び操作部材92も同様に、第1ボディ41及び第2ボディ42の両方に設けられることになる。
また、押付部材90は、受圧面911が第2位置にある状態(図1B参照)だけでなく、受圧面911が第1位置にある状態(図1A参照)であっても、可動コアに対して押付力を作用させていてもよい。すなわち、押付部材90は、少なくとも、受圧面911が第2位置にある状態で、可動コアに対して押付力を作用させればよい。受圧面911が第1位置にある状態では、押付部材90は、可動コアに対して押付力を作用させなくてもよいし、作用させてもよい。受圧面911が第1位置にある状態で、押付部材90から可動コアに押付力が作用する場合、受圧面911が第1位置から第2位置へ移動することにより、押付部材90から可動コアに作用する押付力が増大する。
また、第1ボディ41及び第2ボディ42は、それぞれ第1コア51及び第2コア52を保持する構成であればよく、第1コア51及び第2コア52の各々の一部がボディ40から突出していてもよい。例えば、第1ボディ41及び第2ボディ42に筒状部404がなく、第1コア51の脚片513及び第2コア52の脚片523がボディ40から突出していてもよい。
また、電流センサ30は、単相三線式配線の分電盤1に限らず、例えば三相三線式配線の分電盤1に適用されてもよい。この場合、電流センサ30は、R相、S相、及びT相のいずれか1相の導電部材84を流れる電流を測定するように構成される。
(実施形態2)
本実施形態に係る電流センサ30Aにおいては、図8に示すように、第1ボディ41Aは、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760に対応した取付部400を有し、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。一方、第2ボディ42Aは、第1ボディ41Aに結合されることにより第1ボディ41Aと共にキャビネット70に取り付けられる。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の電流センサ30Aは、第1ボディ41A及び第2ボディ42Aのうち第1ボディ41Aのみが、分岐ブレーカ20と同様の取付部400を有している。第2ボディ42Aは、第1ボディ41Aに結合されることによって、第1ボディ41Aと一体化する。つまり、第2ボディ42Aは、第1ボディ41Aがキャビネット70に取り付けられることにより、第1ボディ41Aを介してキャビネット70に取り付けられることになる。そのため、本実施形態では、第1ボディ41Aに第2ボディ42Aが結合され、かつ第1ボディ41Aがキャビネット70に取り付けられることで初めて、ボディ40Aがキャビネット70に取り付けられる。
また、本実施形態では、キャビネット70における取付構造760は、対向方向に離間した第1保持部761及び第2保持部762を有している。第1ボディ41Aは、固定ブロック420と可動ブロック421とを有している。固定ブロック420は、第1コア51を保持し第1保持部761に固定される。可動ブロック421は、第2保持部762に固定される。可動ブロック421は、固定位置と解除位置との間で、固定ブロック420に対して相対的に移動可能である。ここでいう固定位置は、可動ブロック421が第2保持部762に固定されるときの可動ブロック421の位置である。解除位置は、可動ブロック421の第2保持部762への固定が解除されるときの可動ブロック421の位置である。
具体的には、第1ボディ41Aは、対向方向(左右方向)において、固定ブロック420と可動ブロック421とに分割されている。第1ボディ41Aは、第1コア51を保持した固定ブロック420を、導電部材84に対向させるように、取付ベース76に取り付けられる。固定ブロック420は、固定ブロック420のうち左右方向において導電部材84と対向する面(右側面)から突出した角筒状の筒状部404を有している。図8の例では、固定ブロック420には、前後方向に並ぶ4つの筒状部404が形成されている。前後方向に対向する2つの筒状部404の間には、それぞれ1本の導電部材84が差し込まれる。固定ブロック420には、取付部400を構成する第1凹部401及び第2凹部402のうち、第1保持部761に対応する第1凹部401のみが形成されている。
また、可動ブロック421は、板状に形成されている。可動ブロック421は、軸部422によって固定ブロック420に結合されている。軸部422は、固定ブロック420の左後方の角部に位置している。可動ブロック421は、軸部422を中心にして、固定ブロック420に対して回転可能に構成されている。可動ブロック421は、上述した固定位置と解除位置との間で回転する。図8では、固定位置にある可動ブロック421を実線で表し、解除位置にある可動ブロック421を想像線(2点鎖線)で表している。可動ブロック421には、取付部400を構成する第1凹部401及び第2凹部402のうち、第2保持部762に対応する第2凹部402のみが形成されている。
この構成では、第1ボディ41Aは、可動ブロック421の回転(移動)に伴って、キャビネット70に固定される状態と、キャビネット70に固定されていない状態とを切替可能である。つまり、可動ブロック421が固定位置にあれば第1ボディ41Aはキャビネット70に固定され、可動ブロック421が解除位置にあれば第1ボディ41Aはキャビネット70に固定されなくなる。
次に、本実施形態の電流センサ30Aにおいて、第2ボディ42Aを第1ボディ41Aに結合するための具体的な構成について、図8及び図9を参照して説明する。
第1ボディ41Aは、筒状部404の先端面(右端面)から対向方向(左右方向)に沿って突出する複数(ここでは4つ)の突出部423を、更に有している。4つの突出部423は、第1ボディ41Aの右側面視において、第1ボディ41Aの四隅に配置されている。第2ボディ42Aには、4つの突出部423が差し込まれる4つの結合溝430が形成されている。4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれることによって、第1ボディ41Aに対して、対向方向に直交する方向(前後方向及び上下方向)への第2ボディ42Aの移動が規制される。
さらに、第1ボディ41Aには、対向方向に直交する一方向に貫通する第1結合孔424が形成されている。第2ボディ42Aには、上記一方向に貫通し、かつ上記一方向において第1結合孔424と連続する第2結合孔425が形成されている。また、電流センサ30Aは、結合部材426を更に備えている。結合部材426は、第1結合孔424及び第2結合孔425に跨って、第1結合孔424及び第2結合孔425に差し込まれる。第2ボディ42Aは、結合部材426によって第1ボディ41Aに結合される。
図8及び図9の例では、第1結合孔424は4つの突出部423の各々に形成されている。4つの第1結合孔424は、いずれも突出部423を前後方向に貫通する孔である。第2結合孔425は第2ボディ42Aにおける4つの結合溝430の各々の側壁に形成されている。4つの第2結合孔425は、いずれも結合溝430の側壁を前後方向に貫通する孔である。そして、4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれた状態では、4つの第1結合孔424と4つの第2結合孔425とは、それぞれ前後方向に連続する。この状態で、連続する第1結合孔424及び第2結合孔425に、結合部材426が差し込まれることにより、結合部材426がかんぬきとして機能し、第1ボディ41Aに対して、対向方向(左右方向)への第2ボディ42Aの移動が規制される。
ここでは、4つの突出部423のうち、第1ボディ41Aの前端部に位置する一対の突出部423に対応する一対の結合部材426は、1つのレバー427Aに連結されている。同様に、第1ボディ41Aの後端部に位置する一対の突出部423に対応する一対の結合部材426は、1つのレバー427Bに連結されている。一対のレバー427A及び427Bは前後方向に対向するように配置されており、レバー427Aはレバー427Bの前方に位置する。一対のレバー427A及び427Bは、第2ボディ42Aに形成された開口部428を通して、少なくとも一部が第2ボディ42Aの表面から突出している。開口部428は、第2ボディ42Aにおける対向方向の第1ボディ41Aとは反対側の面(右側面)に形成されている。
また、第2ボディ42A内において、レバー427Aとレバー427Bとの間には、復帰部材429が配置されている。復帰部材429は、例えばコイルばねからなり、レバー427Aとレバー427Bとの間に挟まれることにより、レバー427Aとレバー427Bとを互いに離間させる向きの力をレバー427A及び427Bに作用させる。
上記構成によれば、作業者は、まず可動ブロック421が解除位置にある状態の第1ボディ41Aを、キャビネット70に対して取り付ける。このとき、第1ボディ41Aは、第1凹部401に第1保持部761が引っ掛けられることにより、キャビネット70に対して仮固定される。第1ボディ41Aがキャビネット70に仮固定された状態で、キャビネット70に対して第1ボディ41Aは固定されておらず、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの位置決めが行われる。その後、作業者は、可動ブロック421を固定位置まで回転させる。このとき、第1ボディ41Aは、第2凹部402に第2保持部762が差し込まれることで、キャビネット70に本固定される。第1ボディ41Aがキャビネット70に本固定された状態では、キャビネット70に対して第1ボディ41Aが固定される。
次に、作業者は、キャビネット70に本固定された状態の第1ボディ41Aに対して、第2ボディ42Aを結合する。このとき、作業者は、レバー427Aとレバー427Bとが互いに近づくように一対のレバー427A及び427Bを摘んだ状態で、4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれるように、第1ボディ41Aに対して第2ボディ42Aを取り付ける。その後、作業者は、一対のレバー427A及び427Bから手を離すことにより、復帰部材429によって、レバー427Aとレバー427Bとが互いに離間する向きに移動し、第1結合孔424及び第2結合孔425に、結合部材426が差し込まれる。
以上説明した本実施形態の構成によれば、第1ボディ41Aに対して第2ボディ42Aが直接的に結合されるため、第1ボディ41Aと第2ボディ42Aとの相対的な位置ずれが生じにくくなる。すなわち、実施形態1のように第1ボディ41と第2ボディ42とがキャビネット70に対して個別に取り付けられる構成に比べて、本実施形態では第1ボディ41Aと第2ボディ42Aとの相対的な位置ずれが生じにくい。また、第1ボディ41Aは、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760に対応した取付部400を有するので、電流センサ30を取り付けるための新規の取付構造を設ける必要がない。
また、本実施形態のように、キャビネット70における取付構造760は、対向方向に離間した第1保持部761及び第2保持部762を有していることが好ましい。この場合に、第1ボディ41Aは、第1コア51を保持し第1保持部761に固定される固定ブロック420と、第2保持部762に固定される可動ブロック421とを有することが好ましい。この場合、可動ブロック421は、可動ブロック421が第2保持部762に固定される固定位置と、可動ブロック421の第2保持部762への固定が解除される解除位置との間で、固定ブロック420に対して相対的に移動可能であることが好ましい。この構成によれば、作業者は、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの取り付けを、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの仮固定と、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの本固定との2段階に分けて行うことができる。したがって、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの位置決め精度が向上する。また、可動ブロック421が解除位置にあれば、第1ボディ41Aは対向方向に沿ってスライド移動しながら、前後方向に対向する2つの筒状部404間に導電部材84を導入可能である。したがって、筒状部404と導電部材84との干渉が生じにくく、キャビネット70に対する第1ボディ41Aの取り付けが容易になる。ただし、この構成は電流センサ30Aに必須の構成ではなく、実施形態1の電流センサ30と同様に、第1ボディ41Aは、固定ブロック420と可動ブロック421とに分かれていなくてもよい。
本実施形態のように、第1ボディ41Aには、対向方向に直交する一方向に貫通する第1結合孔424が形成され、第2ボディ42Aには、上記一方向に貫通し、かつ上記一方向において第1結合孔424と連続する第2結合孔425が形成されることが好ましい。この場合、電流センサ30Aは、第1結合孔424及び第2結合孔425に跨って、第1結合孔424及び第2結合孔425に差し込まれる結合部材426を更に備え、第2ボディ42Aは、結合部材426によって第1ボディ41Aに結合されることが好ましい。この構成によれば、第1ボディ41Aと第2ボディ42Aとの結合が、比較的簡単な構成で実現でき、かつ堅牢な結合状態を実現できる。ただし、この構成は電流センサ30Aに必須の構成ではなく、例えば第1ボディ41A又は第2ボディ42A自体の弾性を利用した、いわゆるスナップフィット構造により、第1ボディ41Aと第2ボディ42Aとが結合されてもよい。
また、実施形態2の変形例として、第1ボディ41ではなく第2ボディ42が、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760(図8参照)に対応した取付部400を有し、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる構成であってもよい。本変形例では、第1ボディ41は、第2ボディ42に結合されることにより第2ボディ42と共にキャビネット70に取り付けられる。本変形例においても、実施形態2と同様に、第1ボディ41と第2ボディ42との相対的な位置ずれが生じにくい、という効果がある。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。