(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る電流センサ及び分電盤について、図1〜5を参照して説明する。以下、特に断りのない限り、図1〜8において、矢印で示す向きによって電流センサ2及び分電盤1の上下、左右、前後を規定する。また、図2〜4、6において、紙面の手前側を電流センサ2の下と規定する。また、図7、8において、紙面の手前側を電流センサ2の左と規定する。また、図5において、紙面の手前側を分電盤1の前と規定する。すなわち、電流センサ2における、後述の第一測定ユニット21の第一筐体41と第二測定ユニット22の第二筐体42とが並んでいる方向において、第一筐体41側を前とし、第二筐体42側を後とする。また、第二筐体42の長手方向を左右方向とする。また、第一筐体41と第二筐体42とが並んでいる方向及び第二筐体42の長手方向の両方に対して直交する方向を上下方向とする。
本実施形態の分電盤1は、図5に示すように、キャビネット10と、主幹ブレーカ14と、複数(本実施形態では18個)の分岐ブレーカ15と、複数(本実施形態では3本)の母線導体16と、複数(本実施形態では3つ)の電流センサ2と、を備えている。本実施形態の分電盤1は、単相三線式配線に対応した構成である。なお、分電盤1の配線方式は単相三線式に限定されず、単相二線式、三相三線式、三相四線式などいずれの配線方式であってもよい。
キャビネット10は、矩形板状の底板101と、底板101の周縁から突出した周壁102とを有する箱状に形成されている。底板101には、2つのレール部材103が取り付けられている。2つのレール部材103は、上下方向に長尺の矩形板状に形成されている。2つのレール部材103の前面には、第一取付板104及び第二取付板105が固定されている。第一取付板104及び第二取付板105は、2つのレール部材103の間に架け渡されるようにして設置されている。第二取付板105は、第一取付板104の下方に配置されている。第二取付板105の前面には、取付ベース106が固定されている。取付ベース106は、例えば合成樹脂などにより形成されている。取付ベース106は、図2に示すように、板状部107と、複数の鉤部108と、を有している。本実施形態では、鉤部108は、3つの電流センサ2の各々に対応して2つずつ、計6つ(図2では2つのみを図示)設けられている。鉤部108は、板状部107から前向きに突出している。鉤部108は、突出している向きの先端付近が屈曲しており、断面L字状に形成されている。
図5に示すように、主幹ブレーカ14は、第一取付板104の前面に取り付けられている。複数の分岐ブレーカ15は、取付ベース106に取り付けられている。主幹ブレーカ14の3つの一次側端子141は、L1相、L2相、N相の3本の電力線142を介して、図示しない交流電源に電気的に接続されている。主幹ブレーカ14の3つの二次側端子143には、L1相、L2相、N相の3本(図5では1本のみに符号を付す。)の母線導体16が電気的に接続されている。3本の母線導体16は、3本の電力線142に一対一に電気的に接続されている。3本の母線導体16の各々は、主幹ブレーカ14に直接接続されているジョイントバー161と、ジョイントバー161を介して主幹ブレーカ14に接続されている導電バー(導電部材162)と、を備えている。すなわち、本実施形態では、図1に示すように、分電盤1は3つの導電部材162を備えている。
導電部材162は、例えば銅などの導電性材料により形成されている。導電部材162は、平板状に形成されている。導電部材162は、上下方向に長手方向を有しており、電力を上下方向に伝達する。また、3つの導電部材162は、互いに間隔を空けて、前後方向に並んで配置されている。3つの導電部材162は、前側からL1相、N相、L2相の順に並んでいる。以後、3つの導電部材162をそれぞれ区別する場合は、L1相の導電部材162を第一導電部材11、L2相の導電部材162を第二導電部材12、N相の導電部材162を第三導電部材13と表記する。
図5に示すように、複数の分岐ブレーカ15は、導電部材162に電気的に接続されている。18個の分岐ブレーカ15は、ブレーカ群G1、G2、G3に分かれている。ブレーカ群G1、G2、G3はそれぞれ、6つの分岐ブレーカ15を有している。ブレーカ群G1、G2、G3において、ブレーカ群G1が主幹ブレーカ14に最も近く、ブレーカ群G3が主幹ブレーカ14から最も遠い。3つの電流センサ2のうち1つはブレーカ群G1とジョイントバー161との間に設置されており、他の1つはブレーカ群G1とブレーカ群G2との間に設置されており、残りの1つはブレーカ群G2とブレーカ群G3との間に設置されている。すなわち、3つの電流センサ2はそれぞれ、導電部材162を通ってブレーカ群G1へ流れる電流、導電部材162を通ってブレーカ群G2へ流れる電流、及び、導電部材162を通ってブレーカ群G3へ流れる電流を測定するために設けられている。
分電盤1に設けられている複数の電流センサ2の各々は、図2に示すように、第一測定ユニット21と、第二測定ユニット22と、複数(本実施形態では2つ)の連結部50とを備えている。
第一測定ユニット21は、第一測定部31と、第一筐体41とを有している。第二測定ユニット22は、第二測定部32と、第二筐体42とを有している。第一測定部31は、第一筐体41の内部に設けられている。第二測定部32は、第二筐体42の内部に設けられている。第一測定部31及び第二測定部32は、各々が環状のコア33と巻線344、345、346とを含む。すなわち、第一測定部31及び第二測定部32は、カレントトランスである。
コア33は、第一コア34と、第二コア35とを含む。第一コア34及び第二コア35は、珪素鋼板などの磁性体から構成されている。第一コア34及び第二コア35は、上下方向から見て断面U字状に形成されている。第一コア34は、前後方向に長尺の中央片341と、中央片341の前後方向の両端からそれぞれ右向きに突出している一対の脚片342と、を有している。第二コア35は、前後方向に長尺の中央片351と、中央片351の前後方向の両端からそれぞれ左向きに突出している一対の脚片352と、を有している。第一コア34は、第二コア35に対向して配置されている。すなわち、第一コア34における脚片342の先端部343は、第二コア35における脚片352の先端部353に対向している。第一測定ユニット21において、第二コア35は、L1相の第一導電部材11を囲む閉磁路を第一コア34と共に形成している。第二測定ユニット22において、第二コア35は、L2相の第二導電部材12を囲む閉磁路を第一コア34と共に形成している。第一コア34は、左右方向において第二コア35よりも長尺に形成されている。なお、第一コア34と第二コア35との間には、誘電体が挟まれていてもよい。また、第一コア34及び第二コア35の材料は、珪素鋼板に限らず、例えば、パーマロイ又はフェライト、アモルファス、ナノ結晶合金等であってもよい。
コア33には、巻線344、345、346が巻かれている。より詳細には、第一コア34の前側の脚片342に、巻線344が巻かれている。第一コア34の後側の脚片342は、筒状のボビン347により部分的に覆われている。ボビン347は、樹脂等の電気絶縁性の材料により形成されている。ボビン347には、巻線345、346が巻かれている。巻線344、345、346は、銅などの電気伝導性の材料により形成されている。巻線344、345、346は、互いに電気的に直列に接続されている。第一測定ユニット21において巻線344、345、346は、計測装置300(図5参照)に電気的に接続されており、第一測定部31で測定された第一導電部材11を流れる電流に応じた電流を計測装置300に出力する。第二測定ユニット22において巻線344、345、346は、計測装置300に電気的に接続されており、第二測定部32で測定された第二導電部材12を流れる電流に応じた電流を計測装置300に出力する。
第一筐体41及び第二筐体42は、直方体状に形成されている。第一筐体41及び第二筐体42は、樹脂等の電気絶縁性の材料により形成されている。第一筐体41及び第二筐体42は、各々が第一収容部43と、第二収容部44とを含む。第一収容部43は、第二収容部44に結合している。第一収容部43は、第二収容部44から分離することができる。
第一収容部43は、本体部431と、第一側部432(図1参照)と、第二側部433と、を有している。図2は、第一側部432が取り外された状態を図示している。本体部431は、上下方向から見て断面U字状に形成されている。本体部431は、前後方向に長尺の中央板434と、中央板434の前後方向の両端からそれぞれ右向きに突出している一対の脚板435と、を含む。中央板434に対して一対の脚板435が形成されている方向は、第一筐体41の長手方向である。第一側部432は、本体部431の下側を覆うように本体部431に取り付けられている。第二側部433は、本体部431の上側を覆うように設けられている。第一収容部43は、本体部431と、第一側部432と、第二側部433とにより、全体として有底筒状に形成されている。第一収容部43は、内部に第一コア34を保持している。さらに、第一収容部43は、内部に基板303を保持している。基板303には、巻線344、345、346からの出力信号を増幅する図示しない増幅回路が設けられている。なお、第一側部432及び第二側部433は、本体部431と一体に形成されていてもよいし、本体部431とは別々に形成された後に、本体部431に取り付けられていてもよい。
また、第一筐体41は、第一側部432と第二側部433とが対向する方向(上下方向)において、第一収容部43を貫通する第一貫通孔を含む。第一貫通孔の内部の空間は、第一空間411に相当する。すなわち、第一筐体41は、第一空間411を含む。また、第一空間411は、第一筐体41の第一方向110(図1参照)の両端において、第一筐体41の外部の空間に繋がっている。第一導電部材11は、第一空間411を通っている。コア33は、第一空間411を通っている第一導電部材11の周囲に設けられている。第一収容部43には、第一空間411の外縁に沿って、保持部材436が設けられている。保持部材436は、上下方向から見て断面U字状に形成されており、第一側部432と第二側部433の間を架け渡すように設けられている。
第二筐体42は、第一側部432(図1参照)と第二側部433とが対向する方向(上下方向)において、第一収容部43を貫通する第二貫通孔を含む。第二貫通孔の内部の空間は、第二空間421に相当する。すなわち、第二筐体42は、第二空間421を含む。また、第二空間421は、第二筐体42の第二方向120(図1参照)の両端において、第二筐体42の外部の空間に繋がっている。第二方向120は、第一方向110に沿っている。第二導電部材12は、第二空間421を通っている。コア33は、第二空間421を通っている第二導電部材12の周囲に設けられている。第一収容部43には、第二空間421の外縁に沿って、保持部材436が設けられている。保持部材436は、上下方向から見て断面U字状に形成されており、第一側部432と第二側部433との間を架け渡すように設けられている。
第一導電部材11が第一空間411に通され、第二導電部材12が第二空間421に通されることによって、電流センサ2は、第一導電部材11及び第二導電部材12に対して位置決めされている。また、N相の第三導電部材13は、第一筐体41と第二筐体42との間に配置されている。第一空間411及び第二空間421は、前後方向よりも左右方向に長い。
第一測定ユニット21の第一測定部31は、第一空間411を通る第一導電部材11を流れる電流を測定し、計測装置300(図5参照)に出力する。第二測定ユニット22の第二測定部32は、第二空間421を通る第二導電部材12を流れる電流を測定し、計測装置300に出力する。計測装置300は、第一測定ユニット21及び第二測定ユニット22の出力を用いて、例えば、ブレーカ群G1、G2、G3(図5参照)における電流、電力、電力量を計測する。
第一筐体41及び第二筐体42において、第一収容部43の内部は、シリコン樹脂等の電気絶縁性の封止部材が充填されている。第一筐体41において、第一コア34、巻線344、345、346及び基板303は、封止部材で封止されることにより、第一筐体41の第一収容部43の内部に位置決めされている。すなわち、第一コア34、巻線344、345、346及び基板303は、第一筐体41の内部にポッティングされている。同様に、第二筐体42において、第一コア34、巻線344、345、346及び基板303は、封止部材で封止されることにより、第二筐体42の第一収容部43の内部に位置決めされている。
また、第二側部433からは、仕切部304が突出している。仕切部304は板状に形成されている。仕切部304は、第二側部433に直交しており、第一収容部43の内部に向かって突出している。第一収容部43の内部において、第一コア34は、仕切部304により基板303との接触が抑制されている。また、第二側部433からは、4つの保持片305が突出している。4つの保持片305は、第二側部433に直交しており、第一収容部43の内部に向かって突出している。第一コア34は、2箇所において、1箇所につき2つの保持片305に前後方向から挟まれることにより、第一収容部43に保持されている。
図1に示すように、第一収容部43は、4つ(図1では2つのみを図示)の結合部437を更に有している。すなわち、第一収容部43は、第一側部432と第二側部433(図2参照)とにおいてそれぞれ2つずつ、結合部437を有している。結合部437は、第一側部432及び第二側部433の第二収容部44側の端(右端)から、第二収容部44側(右側)へ突出している。結合部437は、作用を受けることにより、第一収容部43の外側へ向かって弾性変形する。また、結合部437は、貫通孔である結合孔439を有している。
第二収容部44は、図2に示すように、上下方向から見てU字状に形成されている。第二収容部44は、前後方向に長尺の中央部441と、中央部441の前後方向の両端からそれぞれ左向きに突出している一対の脚部442と、を有している。各脚部442は、中央部441から突出している向きの先端に開口443を含む。第二収容部44は、内部が中空になっている。第二収容部44は、内部に第二コア35を保持している。
第二収容部44は、4つ(図2では2つのみを図示)の被結合部447を更に有している。被結合部447は、上下方向において、中央部441から外向きに突出している。被結合部447は、第二収容部44の上側の面と下側の面とに2つずつ設けられている。
図1に示すように、第一収容部43の4つの結合部437は、第二収容部44の4つの被結合部447にそれぞれ対応しており、各結合部437は対応する被結合部447に結合する。より詳細には、結合部437が被結合部447から作用を受けることにより、結合部437が弾性変形して、結合部437は、第一収容部43に対して外向きに曲がる。さらに、被結合部447は結合部437の結合孔439に収められる。このような、いわゆるスナップフィット結合によって、各結合部437は対応する被結合部447に結合している。結合部437が被結合部447にスナップフィット結合することにより、第一収容部43及び第二収容部44が互いに結合している。
図3に示すように、第一測定ユニット21と第二測定ユニット22とは、第一測定ユニット21の第一筐体41の後面416と、第二測定ユニット22の第二筐体42の前面426とが、互いに向かい合い、互いに略平行となるように配置されている。すなわち、前後方向から見て、第一筐体41と第二筐体42とは略重なり合っている。後面416は、第一筐体41の長手方向(左右方向)を含む面である。前面426は、第二筐体42の長手方向(左右方向)を含む面である。
複数(本実施形態では2つ)の連結部50は、第一筐体41と第二筐体42とを互いに連結している。各連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42において、それぞれの長手方向(左右方向)の中央付近に接続している。連結部50は、樹脂等により形成されている。また、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42の各々における第一収容部43(図1参照)の本体部431(図1参照)と一体に形成されている。すなわち、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42と一体に形成されている。
図3、4に示すように、連結部50は、第一片51と、第二片52と、第三片53とを有している。第一片51は、第一筐体41の後面416に接続している。第二片52は、第二筐体42の前面426に接続している。第三片53は、屈曲部54において第一片51に接続している。また、第三片53は、屈曲部55において第二片52に接続している。第一片51、第二片52及び第三片53は矩形板状である。屈曲部54、55は、第一方向110(図1参照)に沿っている。第三片53は、前面426に対向している。第一片51及び第二片52は、第三片53に略直交している。上下方向から見て、屈曲部54は、第三片53の右端に位置している。上下方向から見て、屈曲部55は、第三片53の左端に位置している。連結部50は、力を受けることにより、屈曲部54、55で折れ曲がって変形する。したがって、第一方向110に直交する面において、第一筐体41の第一空間411(図2参照)と、第二筐体42の第二空間421(図2参照)とが相対的に変位するように、連結部50は変形する。本実施形態では、前後方向における連結部50の長さは5mm程度である。
第一導電部材11(図2参照)及び第二導電部材12(図2参照)は、傾いたり、しなり又はたわみが生じることや、分電盤1(図5参照)内の主幹ブレーカ14(図5参照)等の部材の位置又は寸法のばらつきによって、所定の位置からずれる場合がある。その結果、第一空間411(図2参照)及び第二空間421(図2参照)の位置によっては、第一導電部材11が第一空間411を通り第二導電部材12が第二空間421を通ることが困難となる場合がある。こうした事態に、電流センサ2では、以下のように対処することができる。
図4は、連結部50が変形している様子を示している。第一導電部材11(図2参照)は、第一空間411(図2参照)に通されていないとする。第二導電部材12(図2参照)は、第二空間421(図2参照)に通されていないとする。また、第一導電部材11と第二導電部材12との間隔が、所定の間隔よりも大きいとする。このとき、連結部50を変形させながら、第一方向110(図1参照)に直交する面において、第一筐体41を第二筐体42に対して変位させて、第一空間411を第二空間421に対して変位させる。すなわち、第一筐体41を、第一の向きD1に沿って、図3に示す位置から図4に示す位置へと変位させる。言い換えれば、第一筐体41を変位させて、前後方向において、第一空間411を第二空間421から遠ざける。それに伴って、2つの連結部50の前後方向の長さが長くなる。そうして、第一方向110から見て、第一空間411を第一導電部材11に重ならせる。これにより、第一導電部材11が第一筐体41の第一空間411を通り、第二導電部材12が第二筐体42の第二空間421を通ることができる。
なお、第一導電部材11が第一空間411を通り、第二導電部材12が第二空間421を通っている状態であっても、第一導電部材11が変位することに追随して、連結部50を変形させながら第一空間411を変位させることができる。また、第一空間411に代えて第二空間421を変位させてもよい。すなわち、連結部50を変形させながら、第一方向110に直交する面において、第二筐体42を変位させて、第二空間421を第一空間411に対して変位させてもよい。
図1、2に示すように、第二測定ユニット22は、2つの脚部7と、2つの取付部8と、を更に備えている。
各脚部7は、第二収容部44の後方に設けられている。脚部7は、第一側壁71と、第二側壁72と、第三側壁73と、を有している。第一側壁71、第二側壁72、第三側壁73は、第二収容部44の後面445に直交し、後面445から後方に突出している。第一側壁71は第三側壁73に直交している。第二側壁72は、第一側壁71と第三側壁73との間に設けられており、第一側壁71及び第三側壁73に繋がっている。脚部7は、第二収容部44と一体に形成されている。脚部7は、分電盤1(図5参照)内の取付ベース106と第二筐体42との間隔を所定の間隔に保っている。脚部7は、取付ベース106と第二筐体42との間隔を保ったまま、取付ベース106に沿って第二筐体42と共に移動し、取付ベース106に設置される。
各取付部8は、引掛部81と、側壁部82と、を備えている。2つの取付部8のうち1つは、第一側部432の後方に設けられて第一側部432と一体に形成されており、他の1つは、第二側部433の後方に設けられて第二側部433と一体に形成されている。取付ベース106の鉤部108は、2つの取付部8の側壁部82の間に位置して、2つの取付部8の引掛部81に引っ掛けられる。このようにして、第二筐体42は、取付部8によって取付ベース106に取り付けられる。すなわち、電流センサ2が取付ベース106に取り付けられる。
上記の通り、本実施形態に係る電流センサ2は、第一測定ユニット21と、第二測定ユニット22と、連結部50と、を備える。第一測定ユニット21は、第一筐体41と、第一測定部31と、を有する。第一筐体41は、第一空間411を含む。第一導電部材11は、第一空間411を通る。第一測定部31は、第一筐体41の内部に設けられている。第一測定部31は、第一空間411を通る第一導電部材11を流れる電流を測定する。第二測定ユニット22は、第二筐体42と、第二測定部32と、を有する。第二筐体42は、第二空間421を含む。第二導電部材12は、第二空間421を通る。第二測定部32は、第二筐体42の内部に設けられている。第二測定部32は、第二空間421を通る第二導電部材12を流れる電流を測定する。連結部50は、第一筐体41と第二筐体42とを連結している。連結部50は、第一空間411と第二空間421とが相対的に変位するように変形する。
上記の構成により、電流センサ2では、連結部50を変形させながら、第一筐体41の第一空間411及び第二筐体42の第二空間421を変位させることができる。したがって、第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じても、第一空間411に第一導電部材11を通し、第二空間421に第二導電部材12を通すことができる。すなわち、第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じても、第一導電部材11及び第二導電部材12に対して電流センサ2を容易に設置することができる。位置ずれは、例えば、第一導電部材11と第二導電部材12との間に生じ得る。
また、本実施形態に係る電流センサ2において、第一空間411は、第一筐体41の第一方向110の両端において、第一筐体41の外部の空間に繋がっている。第二空間421は、第二筐体42の第二方向120の両端において、第二筐体42の外部の空間に繋がっている。第二方向120は、第一方向110に沿っている。第一方向110に直交する面において第一空間411と第二空間421とが相対的に変位するように、連結部50は変形する。
上記の構成により、電流センサ2では、連結部50を変形させながら、第一方向110に直交する面において、第一空間411及び第二空間421を変位させることができる。したがって、当該面において第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じた場合に、第一空間411を第一導電部材11の位置に変位させたり、第二空間421を第二導電部材12の位置に変位させたりすることが更に容易である。
また、本実施形態に係る電流センサ2において、第一測定部31は、コア33と、巻線344、345、346と、を含む。コア33は、第一空間411における第一導電部材11の周囲に設けられている。巻線344、345、346は、コア33に巻かれている。コア33及び巻線344、345、346は、封止部材で封止されることにより、第一筐体41の内部に位置決めされている。
上記の構成により、電流センサ2では、コア33及び巻線344、345、346が第一筐体41に対して位置決めされている。すなわち、コア33及び巻線344、345、346は、第一空間411に対しても位置決めされている。したがって、連結部50を変形させながら、コア33及び巻線344、345、346を変位させることができる。これにより、第一導電部材11に位置ずれが生じても、コア33及び巻線344、345、346を第一導電部材11に対して所定の位置に保って、第一空間411に通された第一導電部材11を流れる電流を測定することができる。
また、本実施形態に係る電流センサ2では、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42のうち少なくとも一方と一体に形成されている。
上記の構成により、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42のうち少なくとも一方と一体に形成されているので、第一筐体41と第二筐体42とを連結させる手間を減らすことができる。
また、本実施形態に係る分電盤1は、電流センサ2と、第一導電部材11と、第二導電部材12と、を備える。
上記の構成により、分電盤1では、第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じても、連結部50を変形させながら、第一導電部材11及び第二導電部材12に対して電流センサ2を容易に設置することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る電流センサ及び分電盤について、図6〜8を参照して説明する。なお、実施形態1の電流センサ2及び分電盤1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電流センサ2は、図6、7に示すように、第一筐体41と第二筐体42とを互いに連結している連結部の構成が、実施形態1の連結部50とは異なる。以下では、本実施形態の連結部を連結部60と表記する。
電流センサ2は、連結部60を備えている。連結部60は、左右方向から見て断面U字状に形成されている。より詳細には、連結部60は、第一片61と、第二片62と、第三片63と、を有している。第一片61、第二片62及び第三片63は板状である。第三片63は、左右方向から見て円弧状に形成されている。第一片61は第二片62及び第三片63と一体に形成されている。
第一片61は、第一筐体41の後面416における第一接続位置419に接続しており、第一接続位置419側とは反対側の端が第三片63に接続している。第二片62は、一端が第二筐体42の前面426における第二接続位置429に接続しており、第二接続位置429とは反対側の端が第三片63に接続している。第一接続位置419及び第二接続位置429は、第一筐体41及び第二筐体42の各々において、長手方向(左右方向)の中央付近に位置している。また、第一接続位置419は、第一筐体41において、第一方向110の端(下端)に位置している。第二接続位置429は、第二筐体42において、第一方向110の端(下端)に位置している。第三片63は、第一片61及び第二片62よりも、第一筐体41及び第二筐体42の上下方向の中央側に位置している。連結部60は、樹脂等により形成されている。また、連結部60は、第一筐体41及び第二筐体42と一体に形成されている。すなわち、連結部60は、第一筐体41及び第二筐体42の各々における第一収容部43の第一側部432と一体に形成されている。
連結部60は、力を受けることにより弾性的に変形する。連結部60が変形すると、第一接続位置419が、第一空間411と第二空間421とが並んでいる第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において、第二接続位置429に対して変位する。したがって、第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において、第一筐体41の第一空間411と、第二筐体42の第二空間421とが相対的に変位するように、連結部60は変形する。
実施形態1でも述べたように、第一導電部材11及び第二導電部材12は、所定の位置からずれる場合がある。その結果、第一空間411及び第二空間421の位置によっては、第一導電部材11が第一空間411を通り第二導電部材12が第二空間421を通ることが困難となる場合がある。こうした事態に、電流センサ2では、以下のように対処することができる。
図8は、連結部60が変形している様子を示している。第一導電部材11(図6参照)は、第一空間411(図6参照)に通されていないとする。第二導電部材12(図6参照)は、第二空間421(図6参照)に通されていないとする。また、第一導電部材11と第二導電部材12との間隔が、所定の間隔よりも大きいとする。このとき、連結部60を変形させながら、第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において、第一筐体41を第二筐体42に対して変位させて、第一空間411を第二空間421に対して変位させる。すなわち、第一筐体41を、第二の向きD2に沿って、図7に示す位置から図8に示す位置へと変位させる。言い換えれば、第一筐体41を、第一接続位置419と第二接続位置429との間の距離が長くなるように、第二筐体42に対して変位させる。それに伴って、連結部60の前後方向の長さが長くなる。そうして、第一方向110から見て、第一空間411を第一導電部材11に重ならせる。これにより、第一導電部材11が第一筐体41の第一空間411を通り、第二導電部材12が第二筐体42の第二空間421を通ることができる。
なお、第一導電部材11が第一空間411を通り、第二導電部材12が第二空間421を通っている状態であっても、第一導電部材11が変位することに追随して、連結部60を変形させながら第一空間411を変位させることができる。また、第一空間411に代えて第二空間421を変位させてもよい。すなわち、連結部60を変形させながら、第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において、第二筐体42を変位させて、第二空間421を第一空間411に対して変位させてもよい。
上記の通り、本実施形態に係る電流センサ2において、第一空間411は、第一筐体41の第一方向110の両端において、第一筐体41の外部の空間に繋がっている。第二空間421は、第二筐体42の第二方向120の両端において、第二筐体42の外部の空間に繋がっている。第二方向120は、第一方向110に沿っている。第一空間411と第二空間421とが並んでいる第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において第一空間411と第二空間421とが相対的に変位するように、連結部50は変形する。
上記の構成により、電流センサ2では、連結部50を変形させながら、第一空間411と第二空間421とが並んでいる第三方向130及び第一方向110の両方に平行な面において、第一空間411及び第二空間421を変位させることができる。したがって、当該面において第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じた場合に、第一空間411を第一導電部材11の位置に変位させたり、第二空間421を第二導電部材12の位置に変位させたりすることが更に容易である。
(変形例)
次に、本発明の実施形態1の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、実施形態2に対しても適用することができる。
電流センサ2において連結部50は、第一空間411が第二空間421に対して任意の方向に変位するように変形可能に構成されていてもよい。
また、コア33において、巻線は、1箇所に巻かれていてもよいし、2箇所以上に巻かれていてもよい。
実施形態1、2では、第一測定部31及び第二測定部32として、環状コアを備えるカレントトランスを用いている。ただし、この種の用途で用いる第一測定部31及び第二測定部32は、コアレス型のコイルであるロゴスキーコイル、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等から選択可能である。したがって、第一測定部31及び第二測定部32は、コア33及び巻線344、345、346を含んでいなくてもよい。
また、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42と一体に形成されていなくてもよい。すなわち、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42と別々に形成された後に、第一筐体41及び第二筐体42に取り付けられていてもよい。
上記の各変形例であっても、第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じた場合などに、連結部50を変形させながら、第一導電部材11及び第二導電部材12に対して電流センサ2を容易に設置することができる。
また、実施形態1、2では、第一測定ユニット21も第二測定ユニット22も、コア33と巻線344、345、346とを含むが、第一測定ユニット21のみがコア33と巻線344、345、346とを含んでいてもよい。また、第二測定ユニット22のみがコア33と巻線344、345、346とを含んでいてもよい。
また、連結部50の材料及び構造は、上記に限定されない。連結部50としては、弾性又は可撓性を有する部材を用いることができる。連結部50は例えば、金属又は樹脂を材料に用いたヒンジ構造であってもよいし、コイルバネ又は板バネ等のバネであってもよい。あるいは、弾性又は柔軟性を有する材料で形成された部材を、両面テープ等によって、連結部50として第一筐体41と第二筐体42との間に挟んでもよい。こうした材料としては、緩衝材として用いられるジェル状の物質及びゴム等が知られている。
また、連結部50は、第一筐体41及び第二筐体42において、任意の位置に設けることができる。例えば、第一筐体41及び第二筐体42において、長手方向(左右方向)の先端付近に設けてもよいし、第一方向110の先端付近に設けてもよい。
また、電流センサ2は、連結部50を1つだけ備えていてもよいし、2つ以上備えていてもよい。
また、実施形態1,2では、第一筐体41には、第一空間411において第一貫通孔が形成されているが、第一空間411における第一筐体41の構成は貫通孔に限定されない。例えば、第一筐体41は、貫通孔ではなく、第一導電部材11が内側に引っ掛けられる凹部を有しており、当該凹部が第一空間411であってもよい。あるいは、第一筐体41は、第一導電部材11を挟む2つの部材を備えており、当該2つの部材の間が第一空間411であってもよい。これらの場合であっても、第一導電部材11が第一空間411を通ることができる。同様に、第二筐体42は、第二導電部材12が内側に引っ掛けられる凹部を備えていたり、第二導電部材12を挟む2つの部材を備えていたりすることによって、第二導電部材12が第二空間421を通るように構成されていてもよい。
また、実施形態1、2では、第一筐体41において、第一コア34は、封止部材により封止され、第一筐体41の内部に位置決めされている。同様に、第二コア35も封止部材により封止され、第一筐体41の内部に位置決めされていてもよい。また、同様に、第二筐体42において、第一コア34及び第二コア35の両方が、封止部材により封止され、第二筐体42の内部に位置決めされていてもよい。あるいは、第二筐体42において、第一コア34又は第二コア35の一方が、封止部材により封止され、第二筐体42の内部に位置決めされていてもよい。
上述の通り、電流センサ2では、第一導電部材11及び第二導電部材12に位置ずれが生じても、第一空間411を変位させることにより、第一導電部材11を第一空間411に通すことができる。また、第二導電部材12を第二空間421に通すことができる。したがって、第一空間411における第一筐体41と第一導電部材11との間の隙間及び、第二空間421における第二筐体42と第二導電部材12との間の隙間を小さくしてもよい。すなわち、第一空間411及び第二空間421を小さくして、その分、コア33及び巻線344、345、346の厚みを大きくすることができる。また、第一筐体41と第一導電部材11との間の隙間が小さくなることにより、第一筐体41に対して第一導電部材11をより精度よく位置決めすることができる。第二筐体42と第二導電部材12との間の隙間が小さくなることにより、第二筐体42に対して第二導電部材12をより精度よく位置決めすることができる。
また、電流センサ2は、第一測定ユニット21及び第二測定ユニット22のほかに、第三導電部材13を流れる電流を測定するための測定ユニットなど、さらに多くの測定ユニットを備えていてもよい。すなわち、測定ユニットの数は2つ以上であればよい。
なお、以上説明した実施形態は本発明の一例である。このため、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。