以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第一の実施形態]
医療現場では、様々な撮像装置により得られる画像や、各種の検査を活用して診療が行われている。撮像装置により取得された画像データを、ここでは医用画像と称する。画像データに対して、診断に好適な画像とするための画像処理等を施して得られる画像も医用画像に含まれる。撮像装置とは、たとえばコンピュータ断層撮像装置(CT:Computed Tomography)、核磁気共鳴撮像装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging)、2次元の放射線画像を撮像する放射線撮像装置(DR:Digital Radiography)、である。近年、多方向から撮像して得られた2次元放射線画像をもとに立体画像を再構成したトモシンセシス画像が活用されている。トモシンセシス画像は、再構成された立体画像の視点の変更や、任意断面の表示が可能であり、組織の重なりの影響を低減して観察を行えるという利点がある。放射線撮像装置には、トモシンセシス装置を含むものとする。これらの撮像装置により取得される画像データ、2次元画像、3次元画像、3次元画像から取得される各種の画像は医用画像に含まれる。
医用画像を活用した診断は読影と呼ばれる。医師から医用画像の取得の依頼が発行されると、技師が適正な医用画像を取得し、かかる医用画像が読影に供される。そして、読影を行う医師である読影医は、取得された医用画像や診断対象の情報などに基づいて得られる情報や治療指針を画像診断レポートに記載する。読影医は医用画像の取得を依頼した医師である依頼医に画像診断レポートを提供する。画像診断レポートは、電子データとして管理される。画像診断レポートを電子カルテ内に記載して管理してもよい。別の例では、画像診断レポートは紙といった媒体に記録され、管理される。
画像診断レポートは、患者を被検体として取得した医用画像を読影医が観察して得た知見である診断情報が、当該医用画像と対応付けられて記載される。医用画像と対応付けられた診断情報には、たとえば、発見した事象や現象について記載する所見と呼ばれる情報と、その所見の内容をふまえ、疑われる疾患などを記載する診断と呼ばれる情報が含まれる。さらに、経過観察の要否や治療計画など、今後の治療指針の情報が含まれる場合がある。画像診断レポートには医用画像が添付されるが、当該医用画像のサムネイル画像や当該医用画像を参照するための情報で代替されていてもよい。以下では、画像診断レポートに含まれる医用画像を、キー画像と称する。依頼医は、画像診断レポートの内容をふまえ、当該患者に対する治療を行ったり、技師に対して経過観察のための再検査を依頼したりする。
画像診断レポートには、複数のキー画像と、それぞれに対応付けられた診断情報が記載される場合がある。たとえば、取得された医用画像の中に、病変と疑われる特徴が複数観察された場合である。このように病変と疑われる特徴が複数観察された被検体について、依頼医が経過観察のための再検査を依頼する目的は様々である。例としては、全ての特徴領域を再度観察したい場合や、一部の特徴領域のみが予後に悪影響を与える病変であると考え、一部の特徴領域のみを精査したい場合が挙げられる。
依頼医からの経過観察の依頼、すなわち同一の被検体についての再検査の依頼により、技師は当該被検体について、医用画像を取得するための条件を設定し、撮像装置を用いた撮像や、得られた画像データに対する処理を行う。その際に、過去の検査において医用画像が撮影された条件を取得するだけでは、依頼医が経過観察を依頼した目的を把握することができないおそれがある。なぜならば、依頼医が経過観察を依頼する目的は、上述したように様々であるからである。依頼医が注目している領域が前回の検査とは異なっていたり、被検体の体格が変化したりしている場合がある。前回の撮影の条件を参照することで、前回の撮影において注目していた領域に関する情報は得られるかもしれないが、経過観察の撮影において同じ領域に注目しているとは限らない。また、被検体と病変部位の相対位置が、体格の変化に伴って変化しているかもしれない。本発明は、経過観察の目的に即した撮影を行えるように支援することを目的とする。特に、依頼医と技師と読影医といった様々な医療従事者により経過観察にかかる処置が行われる場合に、読影医からの画像診断レポートに基づいて、依頼医が観察したいと考えている注目領域を、技師が好適に撮影できるように支援することを目的とする。
第一の実施形態にかかる制御装置は、被検体の画像と当該画像と対応付けられた診断情報とを有する画像診断レポートにおいて、当該診断情報に含まれる情報であって当該画像における注目領域の位置座標を示す情報を用いる。当該制御装置は、被検体の画像を取得するための条件を取得する。そして、当該制御装置は、取得された条件を出力する。これにより、技師は、医師が注目している領域を考慮して被検体の画像を取得することができる。
以下、第一の実施形態について適宜図面を参照して説明する。
図1は、第一の実施形態にかかる医用画像取得システムの構成の一例を示す図である。第一の実施形態においては、被検体の画像を撮像する撮像装置として、放射線撮影装置を例に説明する。ここでは、放射線にはX線を用いるものとする。第一の実施形態にかかる制御装置は、図1に示す制御装置107である。
X線撮影システム101は、X線により被検体を撮像して得られる医用画像を取得するためのシステムである。X線撮影システム101は、X線発生部102と、X線照射スイッチ103と、X線制御部104と、撮影台105と、X線検出部106と、制御装置107と、操作部108と、表示部109とを有する。X線撮影システム101は、ネットワーク116と接続される。ネットワーク116には、さらにHIS110と、RIS111と、PACS112と、Viewer113、プリンタ114、レポートサーバ115とが接続される。図1に示される各部は、バスやその他の通信システムにより相互に接続されていればよく、それぞれを遠隔に設置することもできる。
X線発生部102は、たとえばX線管である。X線発生部102は、X線を照射する。X線制御部104は、操作者である技師がX線照射スイッチ103を押下すると、X線発生部102に高圧パルスを与え、X線発生部102から被検体が配置されている領域にX線を照射させる。X線照射スイッチ103は、照射開始通知、照射終了通知を制御装置107へ送信する。X線制御部104は、操作者である技師がX線照射スイッチ103を押下すると照射開始通知を制御装置107に送信する。また、X線制御部104は、操作者がX線照射スイッチ103を放すと、照射終了通知を制御装置107に送信する。
撮影台105は被検体を配置するための架台である。
被検体を透過もしくは周囲を通過したX線は、X線検出部106に入射する。X線検出部106は、たとえばFPD(flat panel detector)である。X線検出部106は、制御装置107からの制御を受ける。X線検出部106の一例であるFPDは、入射したX線を電気信号に変換した後、デジタル画像として制御装置107に送信する。たとえば、FPDは入射したX線を蛍光体(不図示)が可視光に変換し、可視光をフォトダイオード(不図示)が検出し、A/D変換器(不図示)により電気信号に変換する。あるいはFPDはX線をアモルファスセレン(不図示)により電気信号に変換する。放射線画像の画素値はFPDを構成する放射線検出素子(不図示)からの出力により得られる。放射線検出素子(不図示)は、例えば蛍光体(不図示)とフォトダイオード(不図示)で構成される。別の例では、アモルファスセレン(不図示)で構成される。
X線撮影システム101は、トモシンセシス画像を取得することができる。トモシンセシス画像を取得するための撮像においては、X線発生部102は被検体の上部を、被写体の体軸方向に沿って弧を描くように移動する。また、X線検出部106はX線発生部102の移動方向とは反対方向に、被検体の体軸方向に沿って直線的に移動する。X線発生部102とX線検出部106を移動させつつ複数の方向からX線画像を撮像することにより、X線撮影システム101はトモシンセシス画像を取得することができる。
X線制御部104、X線検出部106は、撮像時の管電圧、管電流、X線発生部102とX線検出部106の位置といった条件について、制御装置107からの制御を受ける。また、X線制御部104、X線検出部106は、撮像を実施した際のこれらの条件の情報を制御装置107に送信する。
制御装置107は、X線撮影システム101を統合的に制御する。制御装置107は、X線制御部104とX線検出部106とを制御してX線画像の撮像を行わせる。制御装置107は撮像されたX線画像データに基づく画像処理を行う。画像処理には、トモシンセシス画像を取得するための再構成処理や、階調処理等が含まれる。制御装置107は、関わる外部装置との送受信を制御する。制御装置107はX線画像の取得の依頼をRIS111から受信する。当該依頼のあった画像を取得するための条件を、制御装置107はRIS111からの入力情報に応じて設定する。または、レポートサーバ115から取得した情報に応じて設定する。さらに、取得されたX線画像をPACS112に送信する。PACS112に送信する際には、制御装置107は取得された放射線画像に、当該画像を取得した条件や患者情報等を付帯させる。たとえばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って情報を付帯させ、X線画像のデータ、患者情報、及び撮影条件等の情報を含むDICOM画像ファイルを生成する。
操作部108は、操作者による操作を受け付ける入力用インターフェースである。入力用インターフェースは、たとえばキーボードやマウス、マルチタッチモニタである。
表示部109は、制御装置107からの表示制御により画面を表示する表示用インターフェースである。表示部109は、たとえば一又は複数のモニタや、マルチタッチモニタである。
HIS(Hospital Information System)110は、患者情報や放射線撮影による検査等を含む診療情報を総合的に管理するシステムである。
RIS(Radiology Information System)111は、放射線撮影のオーダを管理するシステムである。
PACS(Picture Archiving and Communication System)112は、各種の撮像装置で得られた画像を保持するデータベースシステムである。PACS112は医用画像及びかかる医用画像の撮影条件や再構成を含む画像処理のパラメータや患者情報といった付帯情報を記憶する記憶部(不図示)と、当該記憶部に記憶される情報を管理するコントローラ(不図示)とを有する。
Viewer113は、画像診断用の端末であり、PACS112等に記憶された画像を読み出し、診断のために表示する。読影を行う医師は、Viewer113を用いて画像診断レポートを作成することができる。
プリンタ114はたとえばフィルムプリンタであり、PACS112等に記憶された画像をフィルムに出力する。
レポートサーバ115は、画像診断レポートの保存を主目的とするサーバである。レポートサーバ115は、画像診断レポートを作成するための機能を提供してもよい。その場合、医師はViewer113や、その他のクライアントコンピュータ(不図示)をネットワーク116に接続し、レポートサーバ115の画像診断レポートの作成機能を利用することができる。
図2は、制御装置107のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置107は、たとえばコンピュータである。制御装置107は、CPU201、RAM202、通信回路203、ROM204、SSD205、USB206、GPU207、HDMI(登録商標)208を有し、これらは内部バスにより通信可能に接続されている。
CPU(Central Processing Unit)201は制御装置107及びこれに接続する各部を統合的に制御する制御回路である。RAM(Random Access Memory)202は制御装置107を及びこれに接続する各部における処理を実行するためのプログラムや、画像処理で用いる各種パラメータを記憶するためのメモリである。RAM202は、CPU201が実行する制御プログラムを格納し、CPU201が各種制御を実行する際の様々なデータを一時的に格納する。通信回路203はX線撮影システム101を構成する各部や、ネットワーク116に接続されている各部との通信を行うための回路である。通信回路203は、所望の通信形態にあわせて、複数の構成により実現されていてもよい。ROM(Read Only Memory)204は、CPUによる制御の手順を記憶させたプログラムやデータを格納する。SSD(Solid State Drive)205は上述したようなプログラムや、撮影により得られる放射線画像、付帯情報、その他各種パラメータが記憶される。USB(Universal Serial Bus)206は操作部108と接続している。GPU(Graphics Processing Unit)207は画像処理ユニットであり、CPU201からの制御に応じて画像処理を実行する。HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)208は、表示部109と接続している。
図3は、第一の実施形態におけるトモシンセシス撮影の一例を示す図である。
中心軸301は、撮影台105の被検体を配置する平面と直交し、X線発生部102の振り角の0°に位置する軸である。トモシンセシス撮影において、X線発生部102と、X線検出部106と、アイソセンタ302が中心軸301上で直列に並ぶ。
アイソセンタ302は、再構成により作成された二次元断層画像の複数フレームのうち、もっとも明瞭な画像が生成される断層位置である。トモシンセシス撮影時は、常に焦点位置303とX線検出部中心位置304とを結ぶ直線と、中心軸301が直交する位置に、アイソセンタ302が位置するように、撮影角度306と、X線発生部102とX線検出部106の移動が制御される。
フルクラム305は、中心軸301におけるアイソセンタ302から撮影台105最上部までの距離である。フルクラム305は、トモシンセシス撮影毎に固有の値が使用され、トモシンセシス撮影条件の1つとして設定される。また、トモシンセシス撮影を実施する際に、操作者である技師が操作部108を介して制御装置107に入力することにより、フルクラム305の設定を変更することができる。制御装置107はフルクラム305の設定を参照してX線発生部102の動作を制御する。そして、トモシンセシス撮影終了時に、X線制御部104は、位置情報の1つとしてフルクラム305を制御装置107へ送信する。フルクラム305は、複数方向から撮像された二次元X線画像からトモシンセシス画像を再構成するための処理である、FBP(filtered back projection)方式及び、シフト加算方式による再構成処理で利用される。
撮影角度306は、X線発生部102の移動範囲である。撮影角度306は、中心軸301と、X線発生部102の焦点位置303を通る線束中心との角度である。たとえば、X線発生部102が中心軸301上にあるときを0°とし、被検体の頭尾方向頭側を負の角度、脚側を正の角度で表す。トモシンセシス撮影を実施するための条件の一つとして、撮影角度306の最大値が設定される。撮影に際して、技師が操作部108を介して制御装置107に入力することにより、撮影角度306を適宜変更することができる。本実施例におけるトモシンセシス撮影の際には、複数の連続する投影画像データ毎に、負方向への最大撮影角度から中心軸301を通過して正方向への最大撮影角度まで連続して傾きが変更される。具体的には、撮影角度306は、X線検出部106と同期して、焦点位置303とX線検出部中心位置304を結ぶ直線上に、アイソセンタ302が位置する角度に設定される。なお、傾きが変更される正負方向は逆であっても構わない。そして、トモシンセシス撮影終了時に、X線制御部104は、投影画像データ毎の撮影角度306を制御装置107へ送信する。1回の画像データ読み込み毎に変更される撮影角度ピッチは、1回の撮影における角度の変更量を撮影予定フレーム数で割ることで決定される。撮影角度306は、FBP方式及び、シフト加算方式による再構成処理に使用される。
X線検出部移動距離307は、中心軸301を基準とした撮影台105と並行方向に対するX線検出部106の移動距離である。トモシンセシス撮影の際には、X線検出部106は、X線発生部102と同期して移動する。すなわち、中心軸301からX線発生部102と逆の左右方向に、焦点位置303とX線検出部中心位置304を結ぶ直線上にアイソセンタ302が位置するようにこれらは移動する。また、トモシンセシス撮影における複数の連続する撮像データ毎に、当該データ読み込み時のX線検出部移動距離307が取得される。そして、トモシンセシス撮影終了時に、X線検出部106は、投影画像データ毎のX線検出部移動距離307を制御装置107へ送信する。X線検出部移動距離307は、FBP方式及び、シフト加算方式による再構成処理に使用される。
X線発生部移動距離308は、中心軸301を基準とした撮影台105と並行方向に対するX線発生部102の移動距離である。トモシンセシス撮影の際には、X線発生部102は、X線検出部106と同期して移動する。すなわち、中心軸301からX線検出部106と逆の左右方向に、焦点位置303とX線検出部中心位置304を結ぶ直線上に、アイソセンタ302が位置するようにこれらは移動する。また、トモシンセシス撮影における複数の連続する撮像データ毎に、当該データ読み込み時のX線発生部移動距離308が取得される。そして、トモシンセシス撮影終了時に、X線制御部104は、投影画像データ毎のX線発生部移動距離308を、制御装置107へ送信する。X線発生部移動距離308は、FBP方式及び、シフト加算方式による再構成処理に使用される。
X線発生部X線検出部間距離309は、中心軸301におけるX線発生部102からX線検出部106最上部までの距離である。X線発生部X線検出部間距離309は、X線発生部被検体間距離311の算出に使用される。
テーブルトップX線検出部間距離310は、中心軸301における撮影台105最上部からX線検出部106最上部までの距離である。テーブルトップX線検出部間距離310は、X線発生部被検体間距離311の算出に使用される。
X線発生部被検体間距離311は、中心軸301におけるX線発生部102からアイソセンタ302を基準とした被検体までの距離である。X線発生部被検体間距離311は、トモシンセシス撮影毎に設定されるフルクラム305に依存して、1回の撮影毎に固有の値が使用される。より詳しくは、式1によりX線発生部被検体間距離311を取得できる。
(X線発生部被検体間距離311)=(X線発生部X線検出部間距離309)
−{(フルクラム305)+(テーブルトップX線検出部間距離310)}
・・・(式1)
X線発生部被検体間距離311は、FBP方式及び、シフト加算方式による再構成処理に使用される。
さらに、トモシンセシス画像を取得するための複数方向からの一連の撮像を開始する時点でのX線発生部102とX線制御部104の位置が初期位置として撮像条件の一つに含まれる。
図3に示した各パラメータと初期位置は、X線発生部102とX線検出部106の位置情報として、トモシンセシス画像を得るための撮像と再構成処理に用いられる。アイソセンタ302の位置やテーブルトップX線検出部間距離310やフルクラム305はトモシンセシス画像を得るための一連の撮像において、共通して用いられるパラメータである。その他のパラメータは各方向からのそれぞれの撮像において異なる。X線検出部106から出力される、制御装置107では、それぞれの撮像により得られるデータと、それぞれの撮像における位置情報を示すパラメータが関連付けて取得される。
図4は、第一の実施形態における画像診断レポートの一例を示す図である。医師は、Viewer113を用いて、PACS112に格納されている医用画像を読影し、医用画像に対する所見や経過観察の状況を画像診断レポート401に記載する。
画像診断レポート401には、検査付帯情報402が含まれる。検査付帯情報とは、たとえば読影対象の医用画像の被検体である患者の氏名といった患者情報や、検査部位や検査日といった検査情報や、読影を行った医師の氏名の情報である。また、画像診断レポート401には、診断情報403が含まれる。診断情報403は、被検体の画像と対応付けられて記載される。診断情報とは、たとえば医師が当該画像を観察して導いた所見の情報である。画像診断レポート401には医用画像が添付されており、キー画像404として記載される。キー画像には、読影の対象となっている画像に加えて、経過観察のための情報として過去に撮影された当該被検体の画像を含めてもよい。画像診断レポート401に示される診断情報403、あるいは、キー画像404の数は、単数、或いは複数いずれであってもよく、また、複数の撮像装置や検査装置で生成した医用画像を含めることもできる。医師は、ウィンドウ処理やダイナミックレンジ圧縮処理といった画像処理を施した画像をキー画像として添付することができる。なお、検査付帯情報402に記入される項目は、上述した項目はあくまでも例示であり、任意に設定、記入することができる。
さらに、医師は読影において注目した領域を示す情報である注目領域情報をキー画像404上に示すことができる。注目領域情報は、読影において注目した領域の、画像上の位置を示す情報である。たとえば、注目領域情報は、疾患部を指す矢印マークや疾患部を囲む円マーク及び多角形マークといったアノテーション405が付加されている画像上の座標の情報である。画像処理パラメータや注目領域情報は、キー画像404の情報とともに、レポートサーバ115やPACS112に格納される。画像診断レポート401は、たとえばDICOM規格に則った構造で作成される。
図5は、制御装置107の機能構成の一例を示す図である。制御装置107は、撮影制御部500と、画像取得部510と、位置合わせ部520と、判定部530と、表示制御部540と、を有する。第一の実施形態においては、X線撮影システム101によりトモシンセシス撮影を行う場合を例に説明する。
撮影制御部500は、検査実施に関わる制御、画像取得に関わる制御を行う。検査実施に関わる制御とは、RIS111から入力された検査のオーダを管理するための制御である。たとえば、RIS111から入力された検査の実施順序や、それぞれの検査の実施状態を管理する。検査の実施状態とは、ある検査が開始される前の状態か、開始された状態か、完了した状態か、開始されたが完了せずに保留されている状態のいずれかである。撮影制御部500は、検査の実施状態をRIS111に送信する。画像取得に関わる制御とは、X線による被検体の撮像を実施し、X線画像を取得するための制御である。X線による被検体の撮像の実施に関わる制御には、X線制御部104とX線検出部106の制御が含まれる。X線画像を取得するための制御には、被検体にX線を照射することにより得られたデータから所望の画像を生成するための処理の制御が含まれる。たとえば、トモシンセシス画像を再構成するための条件の制御である。
生成部501は、X線画像を取得するための条件を生成する。生成部501は、X線画像を取得するための条件を生成する。生成部501は、条件取得手段の一例である。生成部501は、被検体にX線を照射して撮像を行うための撮像条件と、撮像により得られた複数の2次元X線画像からトモシンセシス画像を再構成するための再構成条件とを生成する。生成部501は、RIS111から入力された検査オーダの情報に基づいて、撮像条件と再構成条件とを生成する。具体的には、生成部501は画像診断レポートの画像と、当該画像と対応付けられた診断情報に基づいて、読影時に医師が注目した領域の情報である注目領域情報を取得する。注目領域情報は、たとえばキー画像に付加されているアノテーションの位置情報や、所見に記載されている位置情報である。アノテーション情報は一点で指定される場合や、円や矩形の範囲で指定される場合がある。円や矩形の範囲で指定される場合には、注目領域情報として当該範囲を全て含むように取得してもよいし、当該範囲の中心点を必ず含むように所定の大きさで取得してもよい。さらに、画像に含まれる特徴領域の悪性度に関わる診断情報の記載などを考慮してもよい。注目領域情報や診断情報のその他の記載に基づいて、生成部501は、画像診断レポートにおいて注目領域として特定された領域を含む画像を取得するための撮像条件と再構成条件とを生成する。具体的な処理については、図6、図7に基づいて後述する。
出力部502は生成部501によって生成された条件を出力する。出力部502は、出力手段の一例である。出力部502は、生成部501により生成された撮像条件をX線制御部104とX線検出部106に出力する。また出力部502は、生成部501により生成された再構成条件を画像取得部510に出力する。出力部502は、表示制御部540に出力することにより、表示部109に生成部501により生成された条件を表示させ、操作者に提示してもよい。その場合、出力部502は、操作者である技師が表示部109に表示された条件に基づいて適宜変更を加えた条件を、X線制御部104、X線検出部、画像取得部510に出力するようにしてもよい。また、出力部502は後述する画像取得部510により取得された画像に、当該画像を取得するための条件を対応付けてPACS112やレポートサーバ115に出力する。さらに出力部502は、生成部501が条件を生成する際に利用した画像診断レポートの情報を位置合わせ部520に出力する。
画像取得部510は、出力部502により出力された条件に基づいて画像を取得する。画像取得部510は、画像取得手段の一例である。画像取得部510は、出力部502により出力された撮像条件に基づいて撮像されたX線画像データをX線検出部106から受信する。そして、出力部502により出力された再構成条件を含む画像処理のパラメータに基づいて、トモシンセシス画像を取得する。
画像取得部510は、X線検出部106から受信したデータに基づいて画像を得るための画像処理を行う。画像取得部510は、受信したX線画像データに対する階調処理、ノイズ低減処理といった画像処理を行う。
画像取得部510は、再構成部511を有する。再構成部511は、出力部502により出力された、再構成条件に基づいて再構成処理を行う。再構成部511は、X線検出部106から受信したデータとX線発生部102とX線検出部106の位置情報を使用して再構成処理を行い、三次元のボリュームデータであるトモシンセシス画像を取得する。さらに、再構成部511は、ユーザの操作入力に応じて、トモシンセシス画像から二次元断層画像を生成する。ここで生成される二次元断層画像は、例えば、X線検出部106の検出面に平行な方向の断層画像がある。図1に示す被検体の配置においては、被検体の冠状面断層画像に相当する。また、再構成部511は、X線検出部106の検出面と交差する2次元断層画像を生成することも可能である。図1に示す被検体の配置においては、被写体の体軸方向、すなわちX線発生部102とX線検出部106の移動方向に対して所定の傾きを有するオブリーク画像や、矢状面断層画像や、横断面断層画像を生成することができる。
位置合わせ部520は、レポートサーバ115から画像診断レポートに含まれる画像と当該画像と対応付けられている診断情報及び注目領域情報を取得する。ここでは、出力部502から出力された情報に基づいてこれらを取得するものとする。位置合わせ部520は、画像取得部510により取得された画像と、画像診断レポートに含まれる画像のうち注目領域を含む画像との、少なくとも一方の画像を変形させることにより位置合わせを行う。位置合わせ部520は、公知の手法により位置合わせを行う。さらに、位置合わせ部520は、画像診断レポートの画像に特定された注目領域の位置に基づいて、画像取得部510により取得された画像に対して注目領域を特定する。すなわち、位置合わせ部520はこれらの画像の位置合わせを行うことにより、画像診断レポートの画像において特定されている注目領域を、画像取得部510により取得された画像における当該注目領域の位置を特定する。
判定部530は、画像診断レポートの画像に特定された注目領域を、画像取得部510により取得された画像上に特定できるか否かを、位置合わせ部520による処理に基づいて判定する。判定についての具体的な処理については、図6及び図8に基づいて後述する。判定部530により特定不可と判定された場合には、後述する表示制御部540を介して、撮影された画像には注目領域が写っていないことを操作者に報知する画面を表示部109に表示させる。後述する表示制御部540を介して、操作者に対して再撮影を促す画面を表示部109に表示させてもよい。
表示制御部540は、たとえば表示部109に表示させる内容の制御を行う。表示制御部540は、画像取得部510や位置合わせ部520により取得された画像を、表示部109に表示させる。たとえば表示制御部540は、位置合わせ部520により位置合わせされた、画像診断レポートの画像と画像取得部510により取得された画像とを並べて表示部109に表示させる。2枚の画像は、位置合わせ部520により位置合わせが行われていることにより、比較可能に表示される。さらに表示制御部540は、後述する判定部530の処理に基づいて、操作者に情報を報知するための画面を表示部109に表示させる。なお、表示制御部540の機能は出力部502が行うこととしてもよい。この観点では、出力部502は表示部109に表示可能なデータを出力する。
制御装置107にレポート取得部550を設けてもよい。レポート取得部550は、上述した説明において、撮影制御部500や、画像取得部510や、位置合わせ部520がそれぞれ行っていたレポートサーバ115から情報を取得する処理を、一元的に行う。
図6は、制御装置107が画像診断レポートの画像と、当該画像と対応付けられた診断情報において特定された注目領域の位置の情報に基づいて、同じ被検体の画像を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS601において、撮影制御部500は、RIS111から受信した情報に基づいて、X線撮影システム101で実施する撮影が経過観察用の撮影か否かを判定する。経過観察用の撮影の場合はステップS602に進み、経過観察用の撮影でない場合はステップS617に進む。撮影制御部500は、RIS111から受信した情報から撮影の対象となる被検体の情報を取得する。当該被検体の情報に基づいて、撮影制御部500はPACS112やレポートサーバ115に記憶されている当該被検体の過去の撮影の情報を取得する。過去に同様の部位の撮影が行われたことを示す画像や画像診断レポートが記憶されている場合には、撮影制御部500は今回実施する撮影が経過観察用の撮影であると判定する。
ステップS602において、撮影制御部500は、レポートサーバ115から受信した画像診断レポートの中に、注目領域を示す情報があるか否かを判定する。あると判定された場合にはステップS603に進み、ないと判定された場合にはステップS617に進む。撮影制御部500は、通信回路203を介して、当該被検体の過去に行われた読影の結果を記載した画像診断レポートの情報を取得する。撮影制御部500は、たとえば被検体である患者を一意に識別するための患者IDに基づいて、当該被検体の過去の画像診断レポートの情報をレポートサーバ115から取得することができる。画像診断レポートの情報とは、当該画像診断レポートに添付されている医用画像であるキー画像、と当該画像と対応付けられている診断情報と、当該キー画像を取得した条件である。撮影制御部500は、キー画像に特定の領域を示すアノテーションが付与されていたり、画像と対応付けられている診断情報の記載の中に特定の領域に着目した記載が含まれていたりする場合に、注目領域を示す情報があると判定する。たとえば、図4に示す画像診断レポート401から、注目領域を示す情報として、アノテーション405や、診断情報403の記載「左第1、2胸肋関節」が検出されたとする。
ステップS603において撮影制御部500は、ステップS602で検出された注目領域を含むキー画像をレポートサーバ115から取得する。図4に示す画像診断レポート401の例においては、撮影制御部500はステップS602で検出された注目領域の情報に対応付けられているキー画像404を取得する。
ステップS604において撮影制御部500は、ステップS603で取得されたキー画像404に含まれる注目領域の位置を示す情報である、注目領域情報を取得する。注目領域情報はたとえば、疾患部を指す矢印マークや疾患部を囲む円マーク、多角形マークといったアノテーション405のキー画像404上の座標から取得できる。また撮影制御部500は、診断情報403の記載されている領域の情報を、画像処理によりキー画像404上に特定することにより、注目領域情報を取得する。
このように、画像診断レポートの記載内容から注目領域を特定することにより、複数の画像が画像診断レポートに添付されている場合でも、医師が注目していた特徴領域をより精度良く特定することができる。なお、ステップS601からステップS604の処理の一部又は全部を生成部501により行うようにしてもよい。
ステップS605において生成部501は、ステップS603で取得されたキー画像404の撮影時に使用した条件を取得する。画像診断レポートに添付されている画像の撮影時に使用した条件は、キー画像に付帯する情報の中に含まれる。あるいは、当該キー画像と対応付けられて、レポートサーバ115やPACS112に記憶されている条件を生成部501は取得する。撮影時に使用した条件とは、トモシンセシス撮影の例では、フルクラム305、最大撮影角度、X線発生部102の初期位置、X線検出部106の初期位置、トモシンセシス撮影の撮影枚数、投影画像の撮影間隔といった撮像条件のパラメータが含まれる。また、撮影時に使用した条件には、撮像された画像からトモシンセシス画像を再構成するための再構成条件が含まれる。再構成条件には、FBPや逐次近似再構成法といった再構成方式、断層ピッチ、断層枚数、あるいは、再構成範囲といった断層設定、オブリーク画像やサジタル画像等の二次元断層画像種別を示すパラメータが含まれる。さらに、画像処理パラメータがキー画像404から取得される。画像処理パラメータには、たとえばLampフィルタ、Shepp&Loganフィルタ、Cheslerフィルタといったフィルタタイプを示す画像処理パラメータが含まれる。また、画像処理パラメータには、たとえばフィルタDC、カットオフ周波数といったフィルタ設定がノイズ低減処理、医師や技師が設定したウィンドウ処理やダイナミックレンジ圧縮処理を示すパラメータが含まれる。
ステップS606において生成部501は、ステップS603で取得されたキー画像404の断層位置を取得する。断層位置とは、キー画像404が複数の二次元画像により構成される三次元画像の一部である場合に、たとえば当該三次元画像の最も撮影台105に近い領域を含む画像からのスライス位置で表される。断層位置は、キー画像404に付帯する情報に含まれる。あるいは、キー画像404と対応付けられている診断情報403の中に記載されているスライス番号から断層位置を取得することができる。
ステップS607において生成部501は、ステップS605で取得したキー画像404の撮影条件と、ステップS606で取得した断層位置に基づいて、経過観察のための撮影条件を生成する。また、出力部502は、生成部501により生成された条件をX線制御部104とX線検出部106と画像取得部510に出力する。第一の実施形態にかかる制御装置107は、過去の読影において医師が注目していた注目領域を、経過観察時に適切に撮影することを目的とする。したがって生成部501は、ステップS504で特定された領域が、経過観察時の撮影により取得される画像に含まれるように、撮影条件を生成する。生成部501は撮像条件と、再構成条件と、画像処理条件を生成する。出力部502は生成部501により生成された撮像条件をX線制御部104とX線検出部106に出力する。また出力部502は、生成部501により生成された再構成条件と画像処理条件を、画像取得部510に出力する。
ここで、ステップS607において、過去の読影で注目された注目領域を撮影するための条件の生成処理について説明する。生成部501は撮像条件として、ステップS606で取得されたキー画像404の断層位置に基づいて、フルクラム、X線発生部102とX線検出部106の初期位置及び、最大撮影角度を決定する。
再構成により作成された二次元断層画像の複数フレームのうち、もっとも明瞭な画像が生成される断層位置が、アイソセンタ302を含む位置である。したがって生成部501は、ステップS604で取得された注目領域が、経過観察時の撮影において明瞭な画像の中に描出されるように、フルクラム305を取得する。フルクラム305は、式2に基づいて取得できる。
(フルクラム305)=(断層ピッチ)×(キー画像404の断層位置)
・・・(式2)
たとえば、ステップS603で取得されたキー画像404を含む三次元画像における、二次元断層画像の間隔である断層ピッチを1mmとする。また、キー画像404の断層位置を50とする。この場合、フルクラム305は式2に基づいて5cmと取得される。
次に、最大撮影角度と、X線発生部102とX線検出部106の初期位置を決定する。最大撮影角度は、X線発生部102と撮影台105が垂直となる角度を0°として、焦点位置303がアイソセンタ302と交差する角度となる。生成部501は、注目領域を含む所定の範囲の画像が得られるように、最大撮影角度と初期位置とを決定する。注目領域を含む所定の範囲とは、注目領域情報に示される範囲であってもよいし、注目領域情報と予め定めた定数に基づき定められる範囲でもよい。また、操作者が操作部108を介して定めてもよい。以下では、注目領域を含む所定の範囲を撮像範囲と称する。
図7は、トモシンセシス撮影において、ある断面の画像を得るための原理を説明する図である。トモシンセシス撮影では、複数の方向から撮影された二次元画像を加算することにより、特定の断面に焦点を当てて断面の画像が生成される。特定の断面に焦点をあてるためには、たとえば第一の位置関係において撮像して得られる画像と、第二の位置関係において撮像して得られる画像とを加算する。第一の位置関係とは、たとえばX線発生部102とX線検出部106の中心と被検体を通る線がX線検出部106の検出面に対して直行する位置関係である。第二の位置関係とは、たとえばX線発生部102とX線検出部106とを第一の位置関係からずらした位置関係である。断面700に焦点を当てるためにX線発生部102及びX線検出部106を移動させる距離は、図7に示すように三角形の相似を用いて求めることができる。第一の位置関係におけるX線発生部102の位置から、断面700までの距離701をa、断面700からX線検出部106までの距離703をcとする。X線検出部106の検出面に平行な方向におけるX線発生部102の移動距離702をbとする。X線検出部106の検出面に平行な方向における移動距離704をdとする。相似となる三角形の比から、式3が成り立つ。
a:b=c:d・・・(式3)
生成部501は、式3に基づいて、所望の範囲を含むようにX線発生部102とX線検出部106の移動距離を決定する。当該移動距離に基づいて生成部501は撮像条件として、最大撮影角度と、X線発生部102とX線検出部106の初期位置を決定する。
ステップS608において撮影制御部500は、トモシンセシス撮影のための一連の撮像を制御する。生成部501により生成された撮像条件を、出力部502はX線制御部104とX線検出部106に出力する。これにより、撮影制御部500はX線制御部104とX線検出部106とを制御する。X線発生部102は負方向への最大撮影角度から正方向への最大撮影角度まで連続して撮影角度を変更する。かつ、X線発生部102とX線検出部106は、撮影台105と検出面に沿う方向(水平方向)にそれぞれ左右逆方向へ移動しながら、再構成処理の元となるデータを取得するための一連の撮像を行う。なお、X線発生部102は正方向の最大撮影角度から負方向の最大撮影角度へと撮影角度を変更するようにしてもよい。X線制御部104は、それぞれの撮像データを取得し、制御装置107に送信する。さらに、X線制御部104は、撮像データのそれぞれに対して、取得時の位置情報を対応付けて、制御装置107に送信する。取得時の位置情報とは、前述したようにそれぞれの撮像毎の撮影角度306、X線検出部移動距離307、X線発生部移動距離308及び、X線発生部被検体間距離311といったパラメータである。位置情報として制御装置107に送信されたパラメータは、画像取得部510においてトモシンセシス画像の再構成及び二次元断層画像の生成に用いられる。
ステップS609において画像取得部510は、トモシンセシス画像及び二次元断層画像を生成する。再構成部511は、ステップS608で取得された、複数方向からの撮像データに基づいて、三次元画像であるトモシンセシス画像と、当該トモシンセシス画像から二次元断層画像を生成する。再構成部511は、ステップS607において出力部502により入力された再構成条件に基づいて、再構成処理を行う。また再構成部511は、再構成処理に際して、ステップS608で取得された、それぞれの方向における位置情報に含まれる各種のパラメータを利用する。さらに画像取得部510は、ステップS607において出力部502により入力された画像処理パラメータや、操作者の入力に従って、生成した二次元断層画像に対して画像処理を施す。なお、ステップS604で特定した注目領域を含む断層画像が、アイソセンタ302を含むように取得される。したがって、当該注目領域を含む断層画像が、ステップS609で得られる断層画像のうち、最も明瞭な断層画像として取得される。
ステップS610において、位置合わせ部520はステップS603で取得されたキー画像404と、ステップS609で画像取得部510により取得された二次元断層画像との位置合わせを行う。ここでは、ステップS609で画像取得部510により取得された二次元断層画像のうち、注目領域を含む画像であって、アイソセンタ302を含む断層位置にある画像(以下では、断層画像619と称する。)との位置合わせを行う。画像の位置合わせには、たとえば特徴点を用いた手法や、幾何学的変換を用いた手法など、公知の方法を用いればよい。位置合わせ部520は、キー画像404と断層画像619の少なくともいずれか一方を変形することにより、位置合わせを行う。また、位置合わせ部520は、キー画像404に対する、断層画像619の位置ずれ量を取得する。以下では、キー画像404及び断層画像619に対して位置合わせ処理を行って得られる画像を、それぞれキー画像620及び断層画像621と称する。位置合わせの別の方法としては、装置の座標系と画像の座標系の変換を取得することにより行うこととしてもよい。
ステップS611において、位置合わせ部520は位置合わせ後の二次元断層画像における注目領域の位置を特定する。位置合わせ部520は、ステップS604で特定されたキー画像620の注目領域と対応する位置を、断層画像621における注目領域として特定する。位置合わせ部520は、ステップS610で取得した位置ずれ量に基づいて、断層画像621における注目領域を特定する。
ステップS612において、判定部530はステップS611において注目領域が特定できたか否かを判定する。すなわち、判定部530は、位置合わせされた画像間で、一方の画像において特定された注目領域と対応する領域を、他方の画像において特定できるか否かを判定する。特定できたと判定された場合にはステップS614に進み、特定できなかったと判定された場合にはステップS613に進む。ステップS611において注目領域が特定できない場合とは、たとえば被検体の位置がキー画像404の撮影時に比べて大きくずれてしまっているために、ステップS610で取得された位置ずれ量が大きい場合である。位置ずれ量が大きいと、断層画像621上に、キー画像620の注目領域と対応する領域の一部又は全部が含まれない場合がある。
図8は、位置ずれ量が大きく、経過観察のために取得された画像に、前回の観察時の注目領域が含まれなかった場合に表示部109に表示される画面の一例である。
ステップS613において、表示制御部540は、注目領域が適切に撮影されなかったことを操作者に報知する。すなわち、表示制御部540は撮影された画像が外部の装置に出力するのに不適切であることをユーザに報知する。表示制御部540は、判定部530からの入力に基づいて、たとえば図8に示すような画面を表示部109に表示させる。表示制御部540は、キー画像620と断層画像621を比較可能に表示部109に表示させる。たとえば、図8に示すように2枚の画像を並べて、表示部109に表示させる。これによれば、断層画像621においてキー画像620の注目領域に対応する位置は描出されておらず、断層画像621上に注目領域が特定されなかったことがわかる。表示制御部540は、経過観察のために取得された画像上に、前回観察時の注目領域と対応する領域を特定できなかったことを操作者に報知する画面を領域800に表示させる。さらに、表示制御部540は、再撮影を操作者に促す画面を領域800または表示部109に表示されるその他の領域に表示させてもよい。
ステップS614において、表示制御部540は、キー画像と、経過観察の撮影により取得された二次元断層画像とを比較可能に表示させる。たとえば、表示制御部540は表示部109に、キー画像620と断層画像621とを並べて表示部109に表示させる。
ステップS615において、制御装置107は、経過観察の撮影において、注目領域が撮影出来ているか否かを、操作者の操作入力に応じて判定する。たとえば、PACSにステップS614までの処理により得られた画像を出力することを指示する操作入力が行われた場合には、注目領域が撮影出来たと判定し、図6に示す処理を終了する。再撮影を指示する操作入力が行われた場合には、注目領域が撮影出来なかったと判定し、ステップS608に進む。
図9は、ステップS614において、表示制御部540により表示部109に表示される画面の一例を示す図である。表示制御部540により、キー画像620と断層画像621が比較可能に表示される。たとえば表示制御部540は、キー画像620と断層画像621を並べて表示部109に表示させる。ステップS611により、断層画像621上に特定された注目領域を、たとえばアノテーション920を断層画像621に付加することにより、操作者に提示してもよい。また、表示制御部540は領域900に経過観察の撮影により取得された画像をPACS112に転送するか否かを、操作者に選択させるための画面を表示させる。マウスポインタ910は、操作部108の一例であるマウスによる指示位置を示す。たとえば、操作者はマウスを介してPACS112への転送を制御装置107に指示する。操作入力を受けて、制御装置107は断層画像621を含むトモシンセシス画像をPACS112に転送する。たとえば、操作者が領域900に表示されている選択の画面において、PACS112に転送しないことを指示する操作入力を行った場合には、表示制御部540は領域900に、再撮影するか否かを操作者に選択させるための画面を表示させる。
このように、過去に読影され、注目領域が特定されたキー画像と、経過観察として新しく撮影され、取得された画像とを比較可能に表示することにより、操作者である技師は注目領域が撮影されたか否かを容易に判断することができる。さらに、あらかじめ位置合わせを行い、過去に特定された注目領域が今回取得された画像に描出されているか否かを判定することにより、操作者に選択させる操作入力の手間を低減することができる。
ステップS616において、制御装置107はステップS615までの処理により取得されたトモシンセシス画像をPACS112に送信する。また、撮影制御部500は、RIS111に当該撮影が完了したことを示す情報を送信する。当該撮影によりRIS111から送信された検査オーダに含まれる撮影が全て終了した場合には、当該検査が完了したことを示す情報をRIS111に送信する。制御装置107は、PACS112に当該撮影により取得された画像を送信する際には、それぞれの画像に取得時の条件を対応付けて送信する。さらに、ステップS611により位置合わせを行った画像をPACS112に送信してもよい。これにより、当該撮影により取得された画像をViewer113を用いて画像診断レポートを記載する際に、医師は効率的に読影を行うことができる。もしくは、位置合わせ済み診断用二次元断層画像をPACS112に送信することで、読影医はViewer113で行う読影を効率的に行うことができる。
ステップS601で経過観察のための撮影ではないと判定された場合や、ステップS602で注目領域を示す情報が過去の画像診断レポートに存在しないと判定された場合には、ステップS617に進む。ステップS617においては、RIS111から受信した情報に基づいて生成部501はトモシンセシス画像を取得するための撮像条件を生成し、出力部502はX線制御部104とX線検出部106に当該撮像条件を出力する。X線制御部104とX線検出部106は入力された撮像条件に基づいて設定され、上述したような技師の操作により被検体の撮像画行われる。ステップS618に進み、生成部501はRIS111から受信した情報に基づいてトモシンセシス画像を取得するための再構成条件を生成し、出力部502は画像取得部510に当該再構成条件を出力する。画像取得部510は、X線検出部106から送信されたデータと、出力部502から入力された再構成条件に基づいて、トモシンセシス画像を取得する。
なお、上述した処理においてPACS112やレポートサーバ115と制御装置107が通信を行う場合の通信方式は、たとえばDICOM規格に則った通信方式が利用できる。また、上述した処理において、レポートサーバ115からキー画像404やキー画像404において特定された注目領域情報を取得する構成を説明した。これに限らず、画像診断レポート401に関する情報をPACS112に格納し、上述した処理に必要な情報の一部又は全部をPACS112から取得する構成にしてもよい。
第一の実施形態にかかる制御装置によれば、医師が過去に読影し、作成した画像診断レポートにおいて特定された注目領域を考慮して、経過観察の撮影を行うことができる。これにより、撮影を行う技師は、医師が注目している領域が適切に撮影されているかに基づいて、再撮影の要否を判断することができる。
[第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態にかかる制御装置は、第一の実施形態にかかる制御装置に加えて、さらに検索手段を有する。検索手段は、X線撮影システム101により取得された画像の中から、医師が過去に読影して作成した画像診断レポートにおいて特定された注目領域の情報に基づいて、注目領域を含む画像を検索する。
図10は第二の実施形態にかかる制御装置の機能構成の一例を示す図である。図5に示す機能構成と同様の構成については、同一の符号を付して、上述した説明を援用することにより詳しい説明を省略する。
検索部1000は、撮像され制御装置107に送信された画像の中から、所定の特徴を有する画像を検索する。検索部1000は、検索手段の一例である。
図11は第二の実施形態にかかる制御装置における処理の一例を示すフローチャートである。第二の実施形態にかかる制御装置は、第一の実施形態と同様に図1に示す制御装置107を例として説明する。
ステップS1101は、図6に示すステップS601と同様の処理である。
ステップS1102は、図6に示すステップS602と同様の処理である。
ステップS1103は、図6に示すステップS603と同様の処理である。第二の実施形態においても、図4に示すキー画像404が取得された場合を例に説明する。
ステップS1104において撮影制御部500はX線制御部104、X線検出部106、画像取得部510を制御してトモシンセシス画像を取得する。再構成部511は、X線検出部106から送信された撮像データに基づいて、トモシンセシス画像を再構成し、二次元断層画像を生成する。ステップS1104において、生成部501は撮像条件、再構成条件、画像処理パラメータは、RIS111から受信した情報にのみ基づいて生成してもよい。あるいは、生成部501は図6に示すステップS604からステップS607の処理により、過去に読影された画像診断レポートに基づいてこれらの条件を生成してもよい。
ステップS1105において検索部1000は、ステップS1103で取得されたキー画像と類似する再構成画像を、ステップS1104で取得された画像の中から検索する。類似した画像を検索する手法については、特徴点や画像特徴量に基づいた公知の手法を用いればよい。検索部1000は、キー画像404の撮影条件に基づいて、キー画像404に含まれる注目領域の位置を示す注目領域情報を取得する。注目領域情報は、たとえば図6に示すステップS604からステップS607における処理と同様にして取得される。検索部1000は、ステップS1104で取得される複数の二次元断層画像である再構成画像のうち、注目領域情報に基づいて、注目領域が含まれていると考えられる断層位置の画像から類似画像検索を開始する。これにより、類似画像の検索にかかる時間を低減することができる。検索部1000は、類似画像が見つかった時点で検索を終了してもよい。検索部1000は、注目領域が含まれていると考えられる断層位置から、所定の範囲に含まれる画像を検索するようにしてもよい。
ステップS1106において判定部530は、ステップS1104において類似画像が見つかったか否かを判定する。ステップS1105において見つかった類似画像の数が0より大きければステップS1107に進み、0であればステップS1110に進む。
ステップS1107は、図6に示すステップS610、ステップS611の処理と同様である。
ステップS1108は、図6に示すステップS614の処理と同様である。
ステップS1109は、図6に示すステップS615の処理と同様である。
ステップS1110において判定部530は、ステップS1106において検索部1000が、ステップS1104で取得された再構成画像のうち全ての画像に対して検索を行ったか否かを判定する。全ての画像に対して検索を行った場合は、ステップS1112に進む。全ての画像に対して検索を行っていない場合は、ステップS1111に進む。
ステップS1111において検索部1000は、検索範囲を変更する。検索部1000は、ステップS1104で取得された再構成画像のうち検索を行っていない全ての画像を検索の対象としてもよい。あるいは、検索部1000は、ステップS1104で取得された再構成画像であって、検索を行っていない画像のうち、注目領域が含まれていると考えられる断層位置に近い画像から検索を行い、類似画像が見つかるまで検索を行うようにしてもよい。ステップS1105に進み、検索部1000はステップS1111で設定された検索範囲を対象に、キー画像404に類似した画像の検索を行う。
ステップS1112は、図6に示すステップS613の処理と同様である。
ステップS1113は、図6に示すステップS617、ステップS618の処理と同様である。
ステップS1114は、図6に示すステップS616の処理と同様である。
以上のように、第二の実施形態にかかる制御装置によれば、経過観察の過程における被検体の体格の変化などに伴って、注目領域が含まれる断層位置が変化し得ることを考慮することができる。そして、第二の実施形態にかかる制御装置は、医師が注目する領域が適切に撮影されたか否かを操作者に確認させることができる。
[変形例]
第一の実施形態及び第二の実施形態におけるトモシンセシス撮影においては、X線発生部102とX線検出部106の両方が移動することにより撮像を行ったが、本発明はこれに限らない。たとえば、X線発生部102だけが移動しながらX線を照射し、被検体を撮像してもよい。
第一の実施形態及び第二の実施形態における制御装置は、X線撮影システム101を制御する制御装置107を例に説明したが、本発明はこれに限らない。たとえば、RISにおいて本発明を実現してもよい。RIS111を本発明に係る実施形態とする場合には、RIS111の生成部501はレポートサーバ115から画像診断レポートの情報を取得し、撮影条件を生成する。そして、RIS111の出力部502は生成部501により生成された条件を、X線撮影システム101の制御装置107に出力する。
第一の実施形態及び第二の実施形態においては、制御装置107がトモシンセシス撮影を制御し、経過観察のための撮影条件を取得する例について説明した。本発明はこれに限らず、上述したような様々な撮像装置における経過観察のための撮影条件を取得し、出力するのに用いることができる。たとえば、撮像装置の一例としてCT装置を制御し、経過観察のための撮影条件を取得する例について説明する。前回の撮影において、副腎を含めた胸部造影CT撮影が行われていたとする。前回の画像診断レポートにおいて、注目領域として副腎の位置座標が含まれていたり、診断情報の中に副腎腫瘍を示唆する文言が含まれていたりする場合がある。これらの場合には、経過観察として副腎に対する薄いスライス厚の単純CT撮影を行うための条件を取得し、出力する。あるいは、前回の画像診断レポートにおいて、診断情報の中に中枢神経症状を示唆する文言が含まれている場合がある。この場合には、頭部MRI撮影を行うための条件を取得し、出力する。このように本発明の実施形態にかかる制御装置は、必ずしも前回の撮影と全く同じ撮影条件ではない撮影条件を画像診断レポートの情報に基づいて取得し、出力することができる。これにより、依頼医が目的とする経過観察をより好適に行うことができる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上述の各実施形態における制御装置は、単体の装置として実現してもよいし、複数の装置を互いに通信可能に組合せて上述の処理を実行する形態としてもよく、いずれも本発明の実施形態に含まれる。共通のサーバ装置あるいはサーバ群で、上述の処理を実行することとしてもよい。制御装置および制御システムを構成する複数の装置は所定の通信レートで通信可能であればよく、また同一の施設内あるいは同一の国に存在することを要しない。
本発明の実施形態には、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムのコードを読みだして実行するという形態を含む。
したがって、実施形態に係る処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の実施形態の一つである。また、コンピュータが読みだしたプログラムに含まれる指示に基づき、コンピュータで稼働しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
上述の実施形態を適宜組み合わせた形態も、本発明の実施形態に含まれる。