JP6409544B2 - ハニカム構造体 - Google Patents
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Description
特許文献1のハニカム構造体においては、排ガスとの熱交換を効率よく行うことができる。そのため、高温の排ガスを流通させた際には早期に昇温が可能である反面、低温の排ガスを流通させると急速に冷却される。したがって、アイドリングなどの際に低温の排ガスがハニカム構造体を流通すると、ハニカム構造体全体が急速に冷却されて、活性化温度以下となり、ハニカム構造体における浄化性能が低下する。
当該ハニカム構造体は、上記内燃機関から排出された上記排ガスを浄化するために必要な機械的強度を有しており、
上記複数のセル孔の少なくとも一部には、軸方向において、上記ハニカム構造体の中央部よりも上流側に配設された上流側突起部と、上記ハニカム構造体の中央部よりも下流側に配設された下流側突起部とが形成されており、
上記上流側突起部は、単位体積あたりの熱容量が上記セル壁よりも小さくなるように形成されており、上記下流側突起部は、単位体積あたりの熱容量が上記上流側突起部よりも大きくなるように形成されていることを特徴とするハニカム構造体にある。
すなわち、上記上流側突起部及び上記下流側突起部を有していないハニカム構造体のセル孔の内部を排ガスが流通する際に、排ガスにおける粘性の影響により、セル孔を形成するセル壁の表面に境界層が形成される。この境界層においては、熱伝達率と物質伝達率が低下するため、排ガスとハニカム構造体との接触効率が低下する。そのため、ハニカム構造体において、排ガスからの受熱量が低下し、触媒における活性化の遅れと浄化性能の低下が生じる。
上記ハニカム構造体にかかる実施例について、図1〜図5を参照して説明する。
図1及び図2に示すごとく、ハニカム構造体1は、複数のセル壁2と、複数のセル壁2に囲まれた複数のセル孔3とを有し、内燃機関から排出された排ガスを複数のセル孔3に流通させて浄化する。
図3〜図5に示すごとく、複数のセル孔3の少なくとも一部には、軸方向Xにおいて、ハニカム構造体1の中央部12よりも上流側に配設された上流側突起部41と、ハニカム構造体1の中央部12よりも下流側に配設された下流側突起部42とが形成されている。
上流側突起部41は、単位体積あたりの熱容量がセル壁2よりも小さくなるように形成されており、下流側突起部42は、単位体積あたりの熱容量が上流側突起部41よりも大きくなるように形成されている。
図1に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、自動車のエンジンにおいて発生した排気ガスを浄化するためのものである。ハニカム構造体1は、排気ガスを流通する排気管6の内側に配置されており、ハニカム構造体1と排気管6とによって触媒装置100を形成している。
排気管6は、ハニカム構造体1を内包する配置管62と、配置管62の上流側に設けられた上流側配管61と、下流側に設けられた下流側配管63とを有している。尚、上流側配管61、配置管62及び下流側配管63は、ハニカム構造体1の中心軸Oと同軸となるように形成されている。尚、上流側配管61及び下流側配管63が、ハニカム構造体1の中心軸Oとずれた位置に配置されていてもよい。
尚、ハニカム構造体1の軸方向Xから見たとき、単位面積あたりのセル孔3の形成個数を示す形成密度は、内側セル孔31及び外側セル孔32のいずれにおいても一様である。
ハニカム構造体1のセル壁厚は0.065mmでセルピッチが1.11mmである。
1つのセル孔3には、一対の上流側突起部41と、四対の下流側突起部42とが形成されており、これらの表面は、触媒層5によって覆われている。
上流側突起部41は、ハニカム構造体1における軸方向Xにおいて、中央部12よりも上流側の位置で、かつ上流側端部11との距離Sが20mmとなる位置に上流側突起部41を形成した。また、上流側突起部41の軸方向Xにおける長さL1は、2mmとし、セル壁2からの突出高さt1は、0.4mmとした。
また、4つの下流側突起部42は、ハニカム構造体1の軸方向Xにおいて、中央部12よりも下流側の位置に、軸方向Xにおいて略等間隔となるように並んで配設してある。また、各下流側突起部42の軸方向Xにおける長さL2は、2mmとし、下流側突起部42の軸方向Xにおける長さL2の合計値は、8mmである。また、セル壁2からの突出高さt2は、0.4mmとした。
また、本例においては、ハニカム構造体1のすべてのセル孔3に突起部4を設けたが、一部のセル孔3のみに上流側突起部41及び下流側突起部42を設けてもよい。また、上流側突起部41は、多孔質材料以外にも、中空とすることによっても単位体積あたりの熱容量を小さくすることができる。また、下流側突起部42は、中実とすることによっても単位体積当たりの熱容量を大きくすることができる。また、上流側突起部41及び下流側突起部42は、コージェライト以外の種々の材料によって形成してもよいし、それぞれ異なる材料を用いてもよい。
ハニカム構造体1においては、セル孔3の内側に上流側突起部41及び下流側突起部42を形成することによって、セル孔3を流通する排ガスの流通方向が変化し、突起部4の周囲に乱流が形成される。この乱流によって、境界層を破壊することでセル孔3内における排ガスの物質伝達率を回復し、排ガスとハニカム構造体1との接触効率を向上することができる。これにより、触媒における浄化性能を十分に発揮させ、ハニカム構造体1における浄化性能を向上させることができる。
図7に示すごとく、本例は、実施例1のハニカム構造体1における構成を一部変更したものである。
本例のハニカム構造体1において、セル孔3には、1つの上流側突起部41と、1つの下流側突起部42とが形成されている。
本例においては、下流側突起部42の軸方向Xにおける長さL2を、15mmとし、下流側突起部42の突出高さt2を、0.6mmとした。
その他の構成は実施例1と同様である。尚、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
また、本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
図8〜図16に示すごとく、本例は、軸方向Xから見たハニカム構造体1における上流側突起部41又は下流側突起部42の形状例を示すものである。
以下、適宜、上流側突起部41及び下流側突起部42を総称して突起部4と記す。
図8に示すごとく、ハニカム構造体1の突起部4は、セル孔3を形成する6つのセル壁2のうち3つのセル壁2に沿うように略長方形状に形成されている。突起部4は、6つのセル壁2に一つ飛ばしで、互いに隣り合うことなく配置されている。つまり、3つの突起部4は、セル孔3の中心点Pに対して、120°、点対称となるように配置されている。
図10に示すごとく、ハニカム構造体1の突起部4は、セル壁2よって形成された6つの頂点のうち、一つ飛ばしで配置された3つの頂点に形成されている。つまり、3つの突起部4は、セル孔3の中心点Pに対して、120°、点対称となるように配置されている。
突起部4の形成には、材料スラリーを吐出するための吐出ノズルを備えた突起部形成装置を用いる。吐出ノズルには、外周側面に突起部4の形状と対応した形状をなす成形溝と、成形溝内に開口した吐出口とが形成されている。
また、突起部4においては、セル孔3の内部を撹拌するように乱流が形成することができる。
また、本例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、軸方向X及び突出方向の双方と直交する方向から見たとき突起部4の形状例を示すものである。
図17(a)に示すハニカム構造体1の突起部4は、セル壁2に沿うように形成された長方形状をなしている。
図17(b)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4における先端側の角部を円弧状に形成してなる。突起部4における上流側の角部には、上流側から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の上流側傾斜面43が形成されている。また、突起部4における下流側の角部には、下流側の端部から上流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の下流側傾斜面44が形成されている。
図17(c)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4における上流側の端部から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した上流側傾斜面43を備えている。上流側傾斜面43の下流側の端部よりも下流側は、セル壁2に沿うように形成されている。
図18(b)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4の上流側の端部から軸方向Xにおける中央位置に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した上流側傾斜面43を備えている。また、突起部4は、突起部4の下流側の端部から軸方向Xにおける中央位置に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した下流側傾斜面44を備えている。
図18(c)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4における上流側の端部から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の上流側傾斜面43である。尚、曲面は、突起部4の内側に向かって凹状に形成されている。
また、本例に示した突起部4の形状は、一例を示すものであり、これらの形状以外であってもよい。また、形状の異なる突起部4を組み合わせてもよい。
また、本例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
12 中央部
2 セル壁
3 セル孔
41 上流側突起部
42 下流側突起部
Claims (9)
- 複数のセル壁(2)と、該複数のセル壁(2)に囲まれた複数のセル孔(3)とを有し、内燃機関から排出された排ガスを上記複数のセル孔(3)に流通させて浄化するハニカム構造体(1)であって、
当該ハニカム構造体(1)は、上記内燃機関から排出された上記排ガスを浄化するために必要な機械的強度を有しており、
上記複数のセル孔(3)の少なくとも一部には、軸方向において、上記ハニカム構造体(1)の中央部(12)よりも上流側に配設された上流側突起部(41)と、上記ハニカム構造体(1)の中央部(12)よりも下流側に配設された下流側突起部(42)とが形成されており、
上記上流側突起部(41)は、単位体積あたりの熱容量が上記セル壁(2)よりも小さくなるように形成されており、上記下流側突起部(42)は、単位体積あたりの熱容量が上記上流側突起部(41)よりも大きくなるように形成されていることを特徴とするハニカム構造体(1)。 - 上記下流側突起部(42)の単位体積あたりの熱容量は、上記セル壁(2)よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記ハニカム構造体(1)における上流側端部(11)と、上記上流側突起部(41)との間の距離が、2mm〜30mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のハニカム構造体(1)。
- 各上記セル孔(3)毎において、上記上流側突起部(41)の数よりも、上記下流側突起部(42)の数が多くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 各上記セル孔(3)毎において、上記下流側突起部(42)における軸方向の長さの合計値が、上記上流側突起部(41)における軸方向の長さの合計値よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 各上記セル孔(3)毎において、上記軸方向から見たとき、上記下流側突起部(42)の突出高さは、上記上流側突起部(41)の突出高さよりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 内燃機関において発生した排ガスを流通する上流側配管(61)と、該上流側配管(61)と連通すると共に該上流側配管(61)よりも直径が大きく上記ハニカム構造体(1)を内包する配置管(62)と、該配置管(62)の下流側に配設され上記ハニカム構造体(1)によって浄化された浄化排ガスを流通する下流側配管(63)とを有する排気管(6)内に配置される上記ハニカム構造体(1)において、上記上流側配管(61)の軸方向から見たとき、上記上流側配管(61)の外側に位置する上記セル孔(3)に形成された上記上流側突起部(41)及び上記下流側突起部(42)は、少なくとも上記上流側配管(61)の内側に納まる上記セル孔(3)に形成された上記上流側突起部(41)よりも単位体積あたりの熱容量が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記上流側突起部(41)及び上記下流側突起部(42)の表面に、触媒層(5)が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記セル壁(2)は、気孔率が30%〜40%のセラミック材料からなり、
上記上流側突起部(41)及び上記下流側突起部(42)は、いずれも上記セル壁(2)と同材質のセラミック材料からなり、
上記上流側突起部(41)の気孔率は、上記セル壁(2)の気孔率よりも大きく、上記下流側突起部(42)の気孔率は、上記セル壁(2)の気孔率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
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