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JP5368776B2 - ハニカム構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用、建設機械用、及び産業用定置エンジン、並びに燃焼機器等から排出される排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)等の被浄化成分の浄化に好適に用いられるハニカム構造体、及びハニカム触媒体、及びその製造方法に関する。
現在、各種エンジン等から排出される排ガスを浄化するために、ハニカム構造の触媒体(ハニカム触媒体)が用いられている。このハニカム触媒体は、セルを形成する隔壁の表面に触媒層が担持された構造を有するものである。また、このハニカム触媒体(ハニカム構造体)を用いて排ガスを浄化するに際しては、一の端面側からハニカム触媒体のセルに排ガスを流入させ、隔壁表面の触媒層に排ガスを接触させ、次いで、他の端面の側から外部へと流出させることにより行われる(例えば、特許文献1参照)。
このようなハニカム触媒体を用いて排ガスを浄化する場合には、排ガスから隔壁表面の触媒層に向けての、排ガスに含まれる被浄化成分の伝達を可能な限り促進させ、浄化効率を向上させる必要がある。排ガスの浄化効率を向上させるためには、セルのセル水力直径を小さくすること、及び隔壁の表面積を大きくすること等が必要である。具体的には、単位面積当りのセル数(セル密度)を増加させる方法等が採用される。
ここで、排ガスから隔壁表面の触媒層に向けての被浄化成分の伝達率は、セル水力直径の二乗に反比例して増加することが知られている。このため、セル密度を増加させるほど、被浄化成分の伝達率は向上する。しかしながら、圧力損失も、セル水力直径の二乗に反比例して増加する傾向にある。従って、被浄化成分の伝達率の向上に伴って、圧力損失が増加してしまうという問題がある。
なお、隔壁表面の触媒層の厚みは、通常、約数十μm程度である。ここで、触媒層内において被浄化成分が拡散する速度が不十分である場合には、ハニカム触媒体の浄化効率が低下する傾向にある。この傾向は、特に低温条件下で顕著である。このため、排ガスの浄化効率を高めるためには、触媒層の表面積を増加させることだけでなく、触媒層の厚みを低減させて、触媒層内における被浄化成分の拡散速度を向上させる必要がある。従って、セル密度を増加させると触媒層の表面積が増加するという利点がある一方で、やはり圧力損失が増加してしまうという問題がある。
排ガスの浄化効率を高めつつ、圧力損失を低減させるためには、ハニカム触媒体の流入径を大きくするとともに、流通させる排ガスの流速を下げる必要がある。しかし、ハニカム触媒体を大型化等した場合には、例えば車載用のハニカム触媒体等については搭載スペースが限定されるため、搭載が困難になる場合もある。
特開2003−33664号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、浄化効率に優れ、圧力損失が小さく、限られた空間であっても搭載可能なハニカム触媒体を提供することが可能なハニカム構造体、及び浄化効率に優れ、圧力損失が小さく、限られた空間であっても搭載可能なハニカム触媒体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ハニカム構造体を構成する隔壁のパーミアビリティーを特定の数値範囲内とすることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、以下のハニカム構造体、ハニカム触媒体、及びその製造方法が提供される。
[1] 入口から出口にかけてセル流路が貫通しているフロースルー型のハニカム構造体であって、前記セル流路を形成する隔壁は一方のセル側の面からその反対側のセル側の面に連通する細孔を有し、前記隔壁のパーミアビリティーが1.5×10−12[m]以上であり、前記入口から前記出口までの間で前記セルのセル水力直径が漸次変化し、入口端面での前記セル水力直径より出口端面での前記セル水力直径が小さいセルと、前記入口から前記出口までの間で前記セルのセル水力直径が漸次変化し、入口端面での前記セル水力直径より出口端面での前記セル水力直径が大きいセルと、が隣接するように配置されたハニカム構造体。
] セル密度が40セル/cm以上100セル/cm未満であり、隔壁厚さが50μm以上200μm未満である前記[1]に記載のハニカム構造体。
本発明のハニカム構造体は、浄化効率に優れ、圧力損失が小さく、限られた空間であっても搭載可能なハニカム触媒体を提供することが可能であるという効果を奏するものである。また、触媒を担持した本発明のハニカム触媒体は、浄化効率に優れ、圧力損失が小さく、限られた空間であっても搭載可能であるという効果を奏するものである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
(実施形態1)
図1は、本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す正面図である。また、図2は、本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1,2に示すように、本実施形態のハニカム構造体1は、多数の細孔を有する多孔質の隔壁4を備えたものである。隔壁4は、二つの端面(入口端面2a,出口端面2b)間を連通する複数のセル3が形成されるように配置されている。なお、図1中、符号20は外壁、符号Dはセル水力直径、及び符号Tは隔壁厚さ(リブ厚)をそれぞれ示す。
本発明のハニカム構造体1は、入口から出口にかけてセル流路が貫通しているフロースルー型のハニカム構造体であって、セル流路を形成する隔壁4は一方のセル側の面からその反対側のセル側の面に連通する細孔25を有し、隔壁4のパーミアビリティーが1.5×10−12[m]以上である。そして、好ましくは、1×10−9[m]以下である。また、本発明のハニカム触媒体50は、図2の拡大図に示すように、ハニカム構造体1の隔壁4の表面、および細孔25の内表面の双方に触媒が担持されて触媒層5が形成されたものであり、触媒が担持された状態での隔壁のパーミアビリティーが1×10−12[m]以上である。そして、好ましくは、1×10−9[m]以下である。隔壁4のパーミアビリティーが1×10−12未満であると、圧力損失が大きくなるとともに、長期間使用した場合に圧力損失が増大し易くなる傾向にある。一方、隔壁4のパーミアビリティーが1×10−9[m]超であると、排ガスと触媒層5との接触面積を十分に確保し難くなる傾向にある。
パーミアビリティーをこのような範囲内にすることにより、図2の拡大図に示すように、排ガスが隔壁4内を通過しやすく、排ガスに含まれるカーボン微粒子等がほとんど捕捉されることがない。一方、図13に示す従来のハニカム触媒体の場合は、隔壁4内を排ガスが通過しにくく、浄化効率があまり良くなかった。本発明のハニカム触媒体50は、圧力損失が小さく、また長期間使用した場合であっても圧力損失が上昇し難い。また、隔壁4の内表面にも触媒が担持されているため、従来のハニカム触媒体に比してより浄化効率に優れ、限られた空間であっても搭載可能な、コンパクトなハニカム触媒体50を提供することができる。
なお、本明細書にいう「パーミアビリティー」とは、下記式(1)により算出される物性値をいい、所定のガスがその物(隔壁)を通過する際の通過抵抗を表す指標となる値である。ここで、下記式(1)中、Cはパーミアビリティー(m)、Fはガス流量(cm3/s)、Tは試料厚み(cm)、Vはガス粘性(dynes・sec/cm)、Dは試料直径(cm)、Pはガス圧力(PSI)をそれぞれ示す。また、下記式(1)中の数値は、13.839(PSI)=1(atm)であり、68947.6(dynes・sec/cm)=1(PSI)である。
Figure 0005368776
パーミアビリティーの測定手順としては、ハニカム構造体、ハニカム触媒体いずれの場合も、図11に示すように、隔壁1枚を、リブ残り高さHが0.2mm以下となるように切り出した角板、又は円板状の試験片100の隔壁4に室温空気を通過させ、その際の通過抵抗を測定し、式(1)により求める。この際、リブ残り105によりできるシールとの隙間から空気が漏れないように、グリス等の流動性シールを併用することが望ましい。また、空気流量範囲としては、計算上の隔壁通過流速が0.1cm/sec以上、1cm/sec以下となる範囲での計測結果を用いる。ハニカム触媒体の場合には、セル内壁面とリブ切断面とで、触媒コート層のつき方が異なるが、本発明では隔壁内部細孔の内面に、多くの触媒がコートされる形態をとるため、リブ残りの影響は小さく、ハニカム構造体と同じ測定方法でハニカム触媒体の隔壁のパーミアビリティーを計測できる。
まず、触媒が担持されていないハニカム構造体1について説明する。本実施形態のハニカム構造体1を構成する材料としては、セラミックスを主成分とする材料、又は焼結金属等を好適例として挙げることができる。また、本実施形態のハニカム構造体1が、セラミックスを主成分とする材料からなるものである場合に、このセラミックスとしては、炭化珪素、コージェライト、アルミナタイタネート、サイアロン、ムライト、窒化珪素、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ、若しくはシリカ、又はこれらを組み合わせたものを好適例として挙げることができる。特に、炭化珪素、コージェライト、ムライト、窒化珪素、アルミナ等のセラミックスが、耐アルカリ特性上好適である。なかでも酸化物系のセラミックスは、コストの点でも好ましい。
本実施形態のハニカム構造体1の、40〜800℃における、セルの連通方向の熱膨張係数は、1.0×10−6/℃未満であることが好ましく、0.8×10−6未満/℃であることが更に好ましく、0.5×10−6未満/℃であることが特に好ましい。40〜800℃におけるセルの連通方向の熱膨張係数が1.0×10−6/℃未満であると、高温の排気ガスに晒された際の発生熱応力を許容範囲内に抑えられ、ハニカム構造体の熱応力破壊を防止することができる。
また、本実施形態のハニカム構造体1の、セルの連通方向に垂直な面で径方向に切断した断面の形状は、設置しようとする排気系の内形状に適した形状であることが好ましい。具体的には、円、楕円、長円、台形、三角形、四角形、六角形、又は左右非対称な異形形状を挙げることができる。なかでも、円、楕円、長円が好ましい。
そして、セル密度が40セル/cm以上100セル/cm未満であり、隔壁厚さが50μm以上200μm未満であるように形成することが好ましい。セル密度が40個/cm未満であると、排ガスとの接触効率が不足する傾向にある。一方、セル密度が100個/cm超であると、圧力損失が増大する傾向にある。隔壁厚さが50μm未満であると、強度が不足して耐熱衝撃性が低下する場合がある。一方、隔壁厚さが200μm超であると、圧力損失が増大する傾向にある。
本発明のハニカム構造体1は、その隔壁4のパーミアビリティーが所定の数値範囲内のものである。従って、例えば、材料の化学組成を適宜調整すること、造孔剤を用いて多孔質構造とする場合には、用いる造孔剤の種類、粒子径、添加量等を適宜調整すること等により、隔壁4のパーミアビリティーを所定の数値範囲内とすることができる。
本発明のハニカム触媒体は、前述のハニカム構造体1の隔壁の表面、および細孔の内表面の双方に触媒が担持されて触媒層が形成されたものであり、次にハニカム触媒体50について説明する。
触媒層5が担持された状態、即ち、触媒担持細孔が形成された状態における隔壁4の平均細孔径は、5〜100μmであることが好ましく、20〜80μmであることが更に好ましく、35μmを超えて60μm以下であることが特に好ましい。平均細孔径が5μm未満であると、例えばエンジンから排出される排ガスに含まれるカーボン微粒子やアッシュ等の微粒子が捕捉され易くなり、細孔を閉塞してしまう。一方、平均細孔径が100μm超であると、排ガスと触媒層との接触面積を十分に確保し難くなる傾向にある。
触媒層5が担持された状態、即ち、触媒担持細孔が形成された状態における隔壁4の気孔率は、30〜80%であることが好ましく、40〜65%であることが更に好ましい。気孔率が30%未満であると、細孔表面積が不足し、浄化性能が悪化する傾向にある。一方、気孔率が80%超であると、強度が不十分となる傾向にある。
セル密度は、ハニカム構造体1と同様に、40セル/cm以上100セル/cm未満であり、隔壁厚さが50μm以上200μm未満である。
本実施形態のハニカム触媒体50を構成する触媒層5に含有される触媒の具体例としては、(1)ガソリンエンジン排ガス浄化三元触媒、(2)ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン排ガス浄化用の酸化触媒、(3)NO選択還元用SCR触媒、(4)NO吸蔵触媒、を挙げることができる。
ガソリンエンジン排ガス浄化三元触媒は、ハニカム構造体(ハニカム担体)の隔壁を被覆する担体コートと、この担体コートの内部に分散担持される貴金属とを含むものである。担体コートは、例えば活性アルミナにより構成されている。また、担体コートの内部に分散担持される貴金属としては、Pt、Rh、若しくはPd、又はこれらを組み合わせたものを好適例として挙げることができる。更に、担体コートには、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニア、シリカ等の化合物、又はこれらを組み合わせた混合物が含有される。なお、貴金属の合計量を、ハニカム構造体の体積1リットル当り、0.17〜7.07gとすることが好ましい。
ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン排ガス浄化用の酸化触媒には、貴金属が含有される。この貴金属としては、Pt、Rh、及びPdからなる群より選択される一以上が好ましい。なお、貴金属の合計量を、ハニカム構造体の体積1リットル当り、0.17〜7.07gとすることが好ましい。また、NO選択還元用SCR触媒は、金属置換ゼオライト、バナジウム、チタニア、酸化タングステン、銀、及びアルミナからなる群より選択される少なくとも一種を含有するものである。
NO吸蔵触媒には、アルカリ金属、及び/又はアルカリ土類金属が含有される。アルカリ金属としては、K、Na、Liを挙げることができる。アルカリ土類金属としては、Caを挙げることができる。なお、K、Na、Li、及びCaの合計量を、ハニカム構造体の体積1リットル当り、5g以上とすることが好ましい。
本発明のハニカム触媒体50は、前述のハニカム構造体1に、従来公知の方法に準じた製造方法に従って、触媒を担持することにより製造することができる。具体的には、先ず、触媒を含有する触媒スラリーを調製する。次いで、この触媒スラリーを、吸引法等の方法により、ハニカム構造体1の隔壁4の細孔表面にコートする。その後、室温又は加熱条件下で乾燥することにより、本発明のハニカム触媒体50を製造することができる。
また、ハニカム構造体1の隔壁4の細孔25の内表面に触媒を担持させる前に、貴金属を含まないアルミナコートを少なくとも隔壁4の細孔25の内表面に行い、その後に触媒を担持することもできる。このようにアルミナコートをすることにより、ガスが侵入しにくい極小さな細孔をあらかじめ塞いでおき、ガスとの接触が起こりやすい大きな細孔に触媒を優先的にコートすることが可能になる。
次に、ハニカム構造体1、ハニカム触媒体50の異なる実施形態2〜5を説明する。なお、ハニカム構造体1の本体の材料や触媒、パーミアビリティー、セル密度、隔壁厚さ等の詳細は、実施形態1と同様である。
(実施形態2、3)
実施形態2及び3のハニカム構造体1は、図3(実施形態2)及び図4(実施形態3)に示すように、入口から出口までの間でセル水力直径が変化し、少なくともハニカム構造体の一部において、隣接するセル水力直径が異なる部分を有するように構成されている。入口端面でのセル水力直径より、出口端面でのセル水力直径が小さいセルと、入口端面でのセル水力直径より、出口端面でのセル水力直径が大きいセルと、が隣接するように配置されている。
図3に示すように、実施形態2のハニカム構造体1は、両端面2a,2b近傍の領域のセル水力直径がテーパ状に拡大または縮小して形成されている。また、図4に示すように、実施形態3のハニカム構造体1は、入口端面2aから出口端面2bまでの間でセル水力直径が漸次変化するように形成されている。このように形成することにより、排ガスの触媒層5との接触面積を拡大し、より浄化効率に優れ、限られた空間であっても搭載可能な、コンパクトなハニカム触媒体50を形成することができる。
次に、図5A及び図5Bを用いて、実施形態3のハニカム構造体1の製造方法を説明する。なお、図の治具の形状を変更することにより実施形態2のハニカム構造体1を同様に製造することが可能である。
まず、例えば、同一形状同一の大きさのセルから構成された可塑性を有する略円筒状のハニカム成形体1aを成形する(なお、セル3やハニカム構造体1の本体の形状は、これに限定されない)。次に、図5Aに示すようにハニカム成形体1aを、その外周円筒面に接しハニカム成形体1aを固定するための外周保持治具40内にセットし、セル形状を矯正するためのセル形状矯正治具30を用いて、セル形状を矯正する。セル形状矯正治具30は、先端に向かって細い形状の多数の突起31を備え、予め光学的計測によってハニカム成形体1aのセル3の配置を計測することによりこれに突起31の突起位置を合わせる機能を有する。具体的には、セル形状矯正治具30は、光射出装置と受光センサを備え、ハニカム成形体1aの端面2a,2bと平行面内でこれらをスキャンさせ、反射の有無により空間(セル3)と隔壁4の位置座標を認知し、このデータから各セル3の中心座標を算出する。さらに電動モータ駆動のネジ機構を備え、先端が尖った治具の突起31の中心がセル3に挿入される位置にくるように、セル形状矯正治具30の位置をハニカム成形体1aの端面2a,2bと平行に移動させ、位置を修正する。
図5Bに示すように、外周保持治具40内にセットされたハニカム成形体1aの両端面2a,2b側からセル形状矯正治具30の突起31をセル3内に挿入することにより、セル水力直径に変化を与えることができる。その後、ハニカム成形体1aを焼成し、ハニカム構造体1を得る。このハニカム構造体1に触媒を担持させることによりハニカム触媒体50を得る。
(実施形態4、5)
本発明のハニカム構造体1は、図6(実施形態4)及び図9(実施形態5)に示すように、隔壁4の表面に、規則的またはランダムに、複数の突起部11または表面粗さの異なる領域12を有するように構成されている。突起部11または表面粗さの異なる領域12は、セル流路に沿う方向で配置間隔Pが3mm以上40mm以下で形成されている。
図6に示す実施形態4では、隔壁4の表面に配置された突起部11は、セル流路に沿う方向での幅Wが1mm以上10mm以下であり、高さHが0.1を超えるように形成することが好ましい。このように形成することにより、排ガスの触媒層5との接触面積を拡大し、より浄化効率に優れ、限られた空間であっても搭載可能な、コンパクトなハニカム触媒体50を形成することができる。
次に、図7を用いて実施形態4のハニカム構造体1の製造方法を説明する。まず、例えば、同一形状同一の大きさのセル3から構成された可塑性を有する略円筒状の、目的とする最終的な長さを数分割した長さの分割ハニカム成形体1bを形成する(なお、セル3やハニカム構造体1の本体の形状は、これに限定されない)。次に、水槽41等にハニカム材料スラリー15を入れて、それぞれの分割ハニカム成形体1bの端面に、突起部11を設ける予定のセルのみ開口させたシート35を貼付し、シート35を貼付した面を下にしてハニカム材料スラリー15にハニカム成形体1bを部分的に浸して隔壁厚さを増すことにより突起部11を形成する。その後、分割ハニカム成形体1bを直列に接合して目的とする長さとした後、乾燥、焼成を行うことによりハニカム構造体1を得る。
次に、図8を用いて実施形態4のハニカム構造体1の他の製造方法を説明する。まず、例えば、同一形状同一の大きさのセル3から構成された可塑性を有する略円筒状のハニカム成形体1aを形成する(なお、セル3やハニカム構造体1の本体の形状は、これに限定されない)。そして、水槽41等に水を入れ、少なくとも一部のセル3に対応する位置に開口が形成されたシート35をハニカム成形体1aの上面側の端面に貼付した状態で、ハニカム成形体1aの軸方向が重力方向となる向きで、シート35が貼付されていない端面側を水に浸す。このとき、その上方から、水溶してスラリーを形成可能なセル直径より小さい固形粒子17を振り掛けることにより、固体粒子17がセル3内を落下して水面に達してスラリーとなって隔壁4に付着することで突起部11を形成する。続いて、水深を変えることにより、セル3内への浸入深さを異ならせて水浸させる。これを複数回行い、それぞれの水浸工程において、その上方から水溶してスラリーを形成可能なセル直径より小さい固形粒子17を振り掛けることにより、固体粒子17がスラリーとなって隔壁に付着することで突起部11を形成する。その後、乾燥、焼成を行うことによりハニカム構造体1を得る。そして、触媒を担持させることによりハニカム触媒体50を得る。
図9に示す実施形態5では、隔壁4の表面に配置された表面粗さの異なる領域12は、セル流路に沿う方向での幅Wが1mm以上10mm以下に形成することが好ましい。このように形成することにより、排ガスの触媒層5との接触面積を拡大し、より浄化効率に優れ、限られた空間であっても搭載可能な、コンパクトなハニカム触媒体50を形成することができる。
次に、図10を用いて実施形態5のハニカム構造体1の製造方法を説明する。例えば、同一形状同一の大きさのセルから構成された可塑性を有する略円筒状の、目的とする最終的な長さを数分割した長さの分割ハニカム成形体1bを形成する(なお、セル3やハニカム構造体1の本体の形状は、これに限定されない)。そして、分割ハニカム成形体1bの端面に、表面粗さの異なる領域を設ける予定のセルのみ開口させたシート35を貼付し、シート面より、分割ハニカム成形体の本体の原料の粒子径と異なる粒子径を有する粒子配合のハニカム材料スラリー16を塗布して表面状態の異なる領域12を形成し、分割ハニカム成形体1bを直列に接合して目的とする長さとした後、乾燥、焼成を行うことによりハニカム構造体を得る。そして、触媒を担持させることによりハニカム触媒体50を得る。
(実施形態6)
実施形態6のハニカム構造体1は、隔壁4が、流体がセル3内を直進するのを妨げるように湾曲しているものである。以下、隔壁4の湾曲構造について説明する。
本発明のハニカム構造体1の実施形態6は、隔壁4が、入口を形成する一方の端部からと出口を形成する他方の端部へと向かうに従い、中心軸を中心とする回転方向にハニカム構造体長さ当り、1〜9°/cmの範囲でねじれることにより湾曲するものである。このように、隔壁4が、ハニカム構造体1の中心軸を中心にして、ねじれるように湾曲することにより、セル3内を流通するガスを慣性により隔壁4に押し付け、ガスの一部が隔壁4を透過するようにすることができる。これにより、ハニカム構造体1の隔壁表面及び隔壁4の細孔内に触媒を担持したときに、隔壁4の細孔内に担持された触媒と、隔壁4を透過するガスとを接触させることができ、ガスと触媒との接触面積を全体として増加させることが可能となり、圧力損失を増大させずに浄化効率を向上させることが可能となる。隔壁4のねじれる度合い(ねじり度θ)は、ハニカム構造体長さ当り、1〜9°/cmが好ましく、1〜4.5°/cmが更に好ましい。1°/cmより小さいと、浄化効率を向上させる効果が小さくなることがあり、9°/cmより大きいと、セルをガスが流通するときの圧力損失が大きくなることがある。
次に、ハニカム構造体1の製造方法について説明する。隔壁が、一方の端部から他方の端部へと向かうに従い、中心軸を中心とする回転方向にねじり度θが、ハニカム構造体長さ当り、1〜9°/cmの範囲でねじれることにより湾曲する構造のハニカム構造体を作製する場合には、図12A、図12Bに示すように、湾曲していないハニカム成形体21を形成した後に、ハニカム成形体の両端部の側面部分を、把持具61,62で把持し、片側の把持具又は両側の把持具を回転させて、ハニカム成形体を1〜9°/cmの範囲でねじることが好ましい。図12Aは、本発明のハニカム構造体の実施形態6を製造する過程を模式的に示す斜視図であり、図12Bは、本発明のハニカム構造体の実施形態6を製造する過程を模式的に示す平面図である。隔壁4が湾曲したハニカム成形体21を乾燥、焼成することによりハニカム構造体1を得、触媒を担持させることによりハニカム触媒体50を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[細孔径]:細孔径は、水銀ポロシメータ(水銀圧入法)によって測定されたもので、多孔質基材に圧入された水銀の累積容量が、多孔質基材の全細孔容積の50%となった際の圧力から算出された細孔径を意味するものとする。水銀ポロシメータとしては、Micromeritics社製、商品名:Auto Pore III 型式9405を用いた。
[気孔率]細孔径同様に、水銀ポロシメータを用いた。
[パーミアビリティー]:隔壁の一部を取出し、凹凸がなくなるように加工したものを試料とし、この試料をφ20mmのサンプルホルダーでガス漏れのないよう上下から挟み込んだ後、試料の下流側が1atmとなるように試料に特定のガス圧をかけてガスを透過させた。この際、試料を通過したガスについて、下記式(1)に基づいてパーミアビリティーを算出した。なお、下記式(1)中、Cはパーミアビリティー(m)、Fはガス流量(cm/s)、Tは試料厚み(cm)、Vはガス粘性(dynes・sec/cm)、Dは試料直径(cm)、Pはガス圧力(PSI)をそれぞれ示す。また、下記式(1)中の数値は、13.839(PSI)=1(atm)であり、68947.6(dynes・sec/cm)=1(PSI)である。なお、測定に際しては、例えば、商品名「Capillary Flow pormeter」(Porous Materials,Inc.製、型式:1100AEX)等の装置を用いた。
Figure 0005368776
[浄化指数]:排気量2リッターのガソリンエンジン車両を用いてFTP(米国連邦規制の、LA−4)運転モードでエミッション試験を実施した。ハニカム触媒体装着前後のエミッション値比率から、浄化率(%)を算出した。比較対照のハニカム触媒体を使用して浄化率(基準浄化率(%))を算出し、この基準浄化率に対する割合として、浄化指数(%)を算出した。ここで、浄化指数=200%とは、比較対照のハニカム触媒体の2倍の浄化率であることを意味する。
参考例1〜4、比較例1〜2)
タルク、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びシリカのうちから複数を組み合わせて、その化学組成が、SiO42〜56質量%、Al0〜45質量%、及びMgO12〜16質量%となるように所定の割合で調合されたコージェライト化原料100質量部に対して、造孔剤としてグラファイトを12〜25質量部、及び合成樹脂を5〜15質量部を添加した。更に、メチルセルロース類、及び界面活性剤をそれぞれ適当量添加した後、水を加えて混練することにより杯土を調製した。調製した杯土を真空脱気した後、押出成形することによりハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を乾燥後、最高温度1400〜1430℃の温度範囲で焼成することにより、表1に示す隔壁の細孔構造を有する、直径100mm、全長100mmのハニカム構造体(参考例1〜4、比較例1〜2)を作製した。
参考例5〜12、実施例1〜12
前述の参考例同様にハニカム成形体を得た後、同一形状同一の大きさのセルから構成された可塑性を有する略円筒状のハニカム成形体を成形した後、先端に向かって細い形状の多数の突起を備え、予め光学的計測によってハニカム成形体のセルの配置を計測することによりこれに突起の突起位置を合わせる機能を有するセル形状矯正治具を用いて、ハニカム成形体に両端面側からセル形状矯正治具の突起をセル内に挿入することにより、セル水力直径に変化を与え、その後焼成することにより、ハニカム構造体を作製した。
参考1330
前述の参考例同様にハニカム成形体を得た後、隔壁4の表面に、規則的またはランダムに、複数の突起部11を有するハニカム構造体を作製した。なお、これらのハニカム構造体は、図7を用いて説明した分割ハニカム成形体を作製してそれを接合する方法によって突起部11を形成した。
参考例1〜30、実施例1〜12、比較例1,2)
貴金属として白金(Pt)およびロジウム(Rh)を含有し、活性アルミナ、及び酸素吸蔵剤としてのセリアを更に含有する触媒スラリーを調製した。吸引法により、参考例1〜30、実施例1〜12、及び比較例1,2のハニカム構造体の隔壁内表面、及び細孔内表面に、調製した触媒スラリーのコート層を形成した。次いで、加熱乾燥することにより、表1〜3に示す隔壁(触媒層つき)の細孔構造を有するハニカム触媒体(参考例1〜30、実施例1〜12、比較例1〜2)を作製した。なお、ハニカム構造体(担体)1リットルあたりの貴金属(Pt+Rh)の量は2gであった。また、ハニカム構造体(担体)1リットルあたりの触媒スラリーのコート量は150gであった。
参考例1〜30、実施例1〜12、比較例1,2の結果を表1〜6に示す。なお、「cpsi」は「cells per square inch」の略であり、1平方インチ当りのセル数を表す単位である。10cpsiは、約1.55個/cmである。また、1milは、1000分の1インチであり、約0.025mmである。Hd1,Hd2,l,Lは、図3、P,H,Wは、図6、図9等に示した長さである(図6、図9のHdは、表では、Hd1Hd2として記載した)。
Figure 0005368776
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Figure 0005368776
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Figure 0005368776
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参考3136、比較例3)
参考3136は、所定の割合で調合されたコージェライト化原料100質量部に対して、ピンホール形成材として平均粒子径70μmの鉄粉を5〜15質量部、及び合成樹脂を5〜25質量部添加し、隔壁構造を表7に示すようにした以外は上記と同様にしてハニカム成形体を得たものである。その後、図12A及び図12Bに示すように、乾燥工程の前に、ハニカム成形体の両端の側面部分を把持し、片端面側を、表7に示すねじり度θだけ回転することで、セルをねじり、その後焼成することにより、ハニカム構造体を作製した。ねじり度θは、図12Bに示すように、片端面側を回転(反対の端面側は固定)した角度ηを、ハニカム構造体の長さで除した値と定義する。なお、比較例3は、ねじりがないものである。
Figure 0005368776
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触媒担持後の隔壁のパーミアビリティーを参考例1〜30、実施例1〜12では、1.5×10−12〜4×10−12[m]とすることにより、比較例1〜2に対して、HC浄化指数、NO浄化指数を向上させることができた。実施形態2の参考例5〜8、参考例9〜12では、Hd1、Hd2、lを変化させることにより、よりHC浄化指数、NO浄化指数を向上させることができた。同様に、実施形態3の実施例、実施例、実施例12でも、Hd1、Hd2、lを変化させることにより、よりHC浄化指数、NO浄化指数を向上させることができた。また、実施形態4の参考1316参考1720参考2124では、P、H、Wを変化させることにより、よりHC浄化指数、NO浄化指数を向上させることができた。
さらに参考3136では、ねじり度θが1.0°/cm以上であるため、同一セル構造の比較例(比較例3)に比べて浄化性能が、向上することが示された。また、圧力損失においてもHC(NO)浄化指数/圧損指数が比較例3よりも向上しており(1よりも大きい)、セル密度の増加に比較して浄化性能の向上が確認された。
本発明のハニカム触媒体は、浄化効率に優れ、圧力損失が小さく、限られた空間であっても搭載可能なものである。従って、本発明のハニカム触媒体は、例えば、自動車用、建設機械用、及び産業用定置エンジン、並びに燃焼機器等から排出される排ガスに含まれる被浄化成分の浄化に好適に用いられる。
本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す正面図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の一実施形態を模式的に示す断面図及び隔壁の部分拡大図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態2を模式的に示す模式図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態3を模式的に示す模式図である。 実施形態3のハニカム構造体の製造方法を説明する説明図である。 図5Aに続く、実施形態3のハニカム構造体の製造方法を説明する説明図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態4を模式的に示す模式図である。 実施形態4のハニカム構造体の製造方法を説明する説明図である。 実施形態4のハニカム構造体の他の製造方法を説明する説明図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態5を模式的に示す模式図である。 実施形態5のハニカム構造体の製造方法を説明する説明図である。 パーミアビリティーの測定に用いる試験片について説明する模式図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態6を製造する過程を模式的に示す斜視図である。 本発明のハニカム構造体及びハニカム触媒体の実施形態6を製造する過程を模式的に示す平面図である。 従来のハニカム触媒体の隔壁の部分拡大図である。
符号の説明
1:ハニカム構造体、1a:ハニカム成形体、1b:分割ハニカム成形体、2a:入口端面、2b:出口端面、3:セル、4:隔壁、5:触媒層、11:突起部、12:表面粗さの異なる領域、15:ハニカム材料スラリー、16:ハニカム材料スラリー、17:固形粒子、20:外壁、25:細孔、30:セル形状矯正治具、31:突起、32:位置決め板、35:シート、40:外周保持治具、41:水槽、50:ハニカム触媒体、61,62:把持具、100:試験片、105:リブ残り、D:セル水力直径、T:隔壁厚さ(リブ厚)、η:回転した角度。

Claims (2)

  1. 入口から出口にかけてセル流路が貫通しているフロースルー型のハニカム構造体であって、
    前記セル流路を形成する隔壁は一方のセル側の面からその反対側のセル側の面に連通する細孔を有し、前記隔壁のパーミアビリティーが1.5×10−12[m]以上であり、
    前記入口から前記出口までの間で前記セルのセル水力直径が漸次変化し、入口端面での前記セル水力直径より出口端面での前記セル水力直径が小さいセルと、
    前記入口から前記出口までの間で前記セルのセル水力直径が漸次変化し、入口端面での前記セル水力直径より出口端面での前記セル水力直径が大きいセルと、が隣接するように配置されたハニカム構造体。
  2. セル密度が40セル/cm以上100セル/cm未満であり、隔壁厚さが50μm以上200μm未満である請求項1に記載のハニカム構造体。
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