JP6451275B2 - ハニカム構造体 - Google Patents
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Description
特許文献1のハニカム構造体においては、セル壁と突起部とがいずれも同一の材料によって形成されている。そのため、突起部を形成することにより、ハニカム構造体における熱容量が増大し、ハニカム構造体を活性化温度まで昇温するのに時間がかかる。これにより、ハニカム構造体の昇温に遅れが生じる。
当該ハニカム構造体は、上記内燃機関から排出された上記排ガスを浄化するために必要な機械的強度を有しており、
上記複数のセル孔の少なくとも一部には、上記ハニカム構造体の軸方向から見たとき、上記セル壁から上記セル孔の中心側に向かって突出した突起部が形成されており、
上記突起部は、上記排ガスに含まれる炭化水素を吸着するゼオライトである炭化水素吸着材料によって形成されており、
上記突起部の単位体積あたりの熱容量が、上記セル壁の単位体積あたりの熱容量以下となるように形成されており、
上記ハニカム構造体の上記軸方向における全長の中央部と、排ガスが流入する側の端部である上流側端部との間に上記突起部が少なくとも一つ形成されていることを特徴とするハニカム構造体にある。
すなわち、突起部を有しないハニカム構造体においては、セル孔の内部を排ガスが流通する際に、排ガスにおける粘性の影響により、セル孔を形成するセル壁の表面に排ガスの流速が低下する境界層が形成される。この境界層においては、熱伝達率や物質伝達率が低下するため、排ガスと上記ハニカム構造体との接触効率が低下する。そのため、上記ハニカム構造体における、排ガスからの受熱量が低下し、触媒の活性化の遅れと浄化性能の低下が生じる。
上記ハニカム構造体にかかる実施例について、図1〜図4を参照して説明する。
図1及び図2に示すごとく、ハニカム構造体1は、複数のセル壁2と、複数のセル壁2に囲まれた複数のセル孔3とを有し、複数のセル孔3に内燃機関から排出された排ガスを流通させるよう構成されている。
図3及び図4に示すごとく、複数のセル孔3には、ハニカム構造体1の軸方向Xから見たとき、セル壁2からセル孔3の中心側に向かって突出した突起部4が形成されている。突起部4の単位体積あたりの熱容量が、セル壁2の単位体積あたりの熱容量以下となるように形成されており、軸方向Xにおける全長の中央部11と、排ガスが流入する側の端部である上流側端部12との間に少なくとも一つ形成されている。
図1に示すごとく、本例のハニカム構造体1は、自動車のエンジンにおいて発生した排気ガスを浄化するためのものである。ハニカム構造体1は、排気ガスを流通する排気管6の内側に配置されており、ハニカム構造体1と排気管6とによって触媒装置7を形成している。
排気管6は、ハニカム構造体1を内包する配置管61と、配置管61の上流側に設けられた上流側配管62と、下流側に設けられた下流側配管63とを有している。
突起部4は、炭化水素吸着材料であるゼオライトからなり、その気孔率は、45%〜65%とした。したがって、突起部4は、セル壁2を形成するコージェライトにおける気孔率よりも、大きな気孔率によって形成されている。これにより、材料の持つ比熱の差を考慮しても突起部4における単位体積あたりの熱容量が、セル壁2よりも小さくなる。本例においては、ハニカム構造体1のすべてのセル孔3に突起部4を設けたが、一部のセル孔3のみに突起部4を設けてもよい。また、突起部4は、多孔質材料以外にも、中空となるように形成されていてもよい。
また、突起部4の表面は、触媒層5によって、全面が被覆されている。
ハニカム構造体1においては、セル孔3を流通する排ガスの流通方向を変化させ、突起部4の周囲に乱流が形成することができる。この乱流が、境界層を破壊することでセル孔3内における排ガスの物質伝達率を回復し、排ガスとハニカム構造体1との接触効率を向上することができる。これにより、触媒層5の早期活性を可能にすると共に、触媒層5によって排ガスを効率良く浄化し、ハニカム構造体1における浄化性能を向上させることができる。
本例は、軸方向Xから見たハニカム構造体における突起部の形状例を示すものである。
図6に示したハニカム構造体1の突起部4は、セル孔3を形成する6つのセル壁2のうち3つのセル壁2に沿うように略長方形状に形成されている。突起部4は、6つのセル壁2に一つ飛ばしで、互いに隣り合うことなく配置されている。つまり、3つの突起部4は、セル孔の中心点Pに対して、120°の点対称となるように配置されている。
図8に示したハニカム構造体1の突起部4は、セル壁2よって形成された6つの頂点21のうち、一つ飛ばしで配置された3つの頂点21に形成されている。つまり、3つの突起部4は、セル孔3の中心点Pに対して、120°の点対称となるように配置されている。
突起部4の形成には、材料スラリーを吐出するための吐出ノズルを備えた突起部形成装置を用いる。吐出ノズルには、外周側面に突起部4の形状と対応した形状をなす成形溝と、成形溝内に開口した吐出口とが形成されている。
また、図10〜図12に示した突起部4においては、セル孔3の内部を撹拌するように乱流が形成することができる。
また、本例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、軸方向X及び突出方向の双方と直交する方向から見たときのハニカム構造体における突起部の形状例を示すものである。
図15(a)に示すハニカム構造体1の突起部4は、セル壁2に沿うように形成された長方形状をなしている。
図15(b)に示すハニカム構造体1の突起部4は、図15(a)の突起部4における先端側の角部41を円弧状に形成してなる。突起部4における上流側の角部は、上流側端部12から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の上流側傾斜面42である。また、突起部4における下流側の角部は、下流側端部から上流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の下流側傾斜面43である。
図15(c)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4における上流側の端部から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した上流側傾斜面42を備えている。上流側傾斜面42の下流側の端部よりも下流側は、セル壁2に沿うように形成されている。
図16(b)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4の上流側端部12から軸方向Xにおける中央位置に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した上流側傾斜面42を備えている。また、突起部4は、突起部4の下流側端部から軸方向Xにおける中央位置に向かうにつれて突出量が増大するように傾斜した下流側傾斜面43を備えている。
図16(c)に示すハニカム構造体1の突起部4は、突起部4における上流側端部12から下流側に向かうにつれて突出量が増大するように形成された曲面状の上流側傾斜面42である。尚、曲面は、突起部4の内側に向かって凹状に形成されている。
また、本例に示した突起部4の形状は、一例を示すものであり、これらの形状以外であってもよい。
また、本例においても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、ハニカム構造体における突起部の位置を、軸方向Xにおいて変化させた例を示すものである。
図17に示すハニカム構造体1は、各セル孔3において互いに対向するように配設された一対の突起部4を備えている。また、ハニカム構造体1の中心軸O側である径方向内側の位置に設けられたセル孔3内に形成された突起部4に対して、これよりも径方向外側の位置に設けられたセル孔3内に形成された突起部4は、軸方向Xにおいて上流側に形成されている。ハニカム構造体1において、径方向外側の位置に設けられたセル孔3においては、径方向内側のセル孔3と比べて上流側の位置で境界層が形成されやすく、上流側の位置に突起部4を形成することが境界層の形成を抑制するのに効果的である。したがって、上述のごとく、ハニカム構造体1の径方向位置を考慮し、突起部4の位置を調整することで、各セル孔3における境界層の形成を効果的に抑制することができる。これにより、ハニカム構造体1における早期活性化と浄化性能をさらに向上させることできる。
ハニカム構造体1は、軸方向Xにおいて、各セル孔3における最も上流側に配設された突起部4においても、径方向外側に向かうにつれて上流側となるように配設されている。
2 セル壁
3 セル孔
4 突起部
Claims (11)
- 複数のセル壁(2)と、該複数のセル壁(2)に囲まれた複数のセル孔とを有し、内燃機関から排出された排ガスを上記複数のセル孔に流通させて浄化するハニカム構造体(1)であって、
当該ハニカム構造体(1)は、上記内燃機関から排出された上記排ガスを浄化するために必要な機械的強度を有しており、
上記複数のセル孔の少なくとも一部には、上記ハニカム構造体(1)の軸方向から見たとき、上記セル壁(2)から上記セル孔の中心側に向かって突出した突起部(4)が形成されており、
上記突起部(4)は、上記排ガスに含まれる炭化水素を吸着するゼオライトである炭化水素吸着材料によって形成されており、
上記突起部(4)の単位体積あたりの熱容量が、上記セル壁(2)の単位体積あたりの熱容量以下となるように形成されており、
上記ハニカム構造体(1)の上記軸方向における全長の中央部(11)と、排ガスが流入する側の端部である上流側端部(12)との間に上記突起部(4)が少なくとも一つ形成されていることを特徴とするハニカム構造体(1)。 - 上記突起部(4)の表面に、触媒層(5)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記突起部(4)と、上記上流側端部(12)との距離が2mm〜30mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記各セル孔において、該セル孔を囲む複数の上記セル壁(2)のうち、半分以上の上記セル壁(2)から上記突起部(4)が突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記各セル孔において、該セル孔を囲む複数の上記セル壁(2)の交点に形成される頂点のうち、半分以上の頂点から上記突起部(4)が突出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 複数の上記突起部(4)が上記軸方向においてずれた位置に形成された上記セル孔を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記ハニカム構造体(1)の中心軸側である径方向内側の位置に設けられた上記セル孔内に形成された上記突起部(4)に対して、該セル孔よりも径方向外側の位置に設けられた上記セル孔内に形成された上記突起部(4)が、上記軸方向において上流側に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記軸方向から見たとき、上記突起部(4)の角部(41)、及び上記突起部(4)と上記セル壁(2)との間に形成された角部(44)の少なくとも一方が曲面によって形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記突起部(4)には、該突起部(4)の上流側の端部から下流側に向かうにつれて徐々に突出量が増大するように形成された上流側傾斜面(42)、又は上記突起部(4)の下流側の端部から上流側に向かうにつれて徐々に突出量が増大するように形成された下流側傾斜面(43)の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記ハニカム構造体(1)の中心軸側である径方向内側の位置に設けられた上記セル孔における流通抵抗よりも、該セル孔よりも径方向外側の位置に設けられた上記セル孔における流通抵抗が小さいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
- 上記セル壁(2)は、その気孔率が30%〜40%のセラミック材料からなり、
上記突起部(4)は、その気孔率が上記セル壁(2)のセラミック材料の気孔率よりも大きく、かつ、上記セル壁(2)とは異なる材質からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のハニカム構造体(1)。
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