(第1実施形態)
図1は本実施形態のプリント装置(以下「プリンタ」という)100の外観を示す斜視図である。詳細は後述するが、プリンタ100は複数(ここでは2つ)のロール供給部(供給部)を有している。図1は、両方のロール供給部からシートを供給可能である状態におけるプリンタ100の外観を示しており、バスケット(収容部)62へシート1を排出する場合のプリンタ100の外観を示している。なお、ロール供給部は、シートを供給可能である供給ユニットとして又はシートを巻き取る巻取りユニットとして用いることができ、供給と巻取のどちらのユニットとして機能させるかは適宜切り替えることができるようになっている。
図1に示すように、プリンタ100には操作パネル(報知部・受付部)20が設けられている。ユーザは、操作パネル20に設けられた各種スイッチ等を用いて、シートのサイズ指定、オンライン/オフラインの切り替え等、プリンタ100に対する各種コマンドを入力する。シートの搬送方向(図中に示すy方向)下流側にはバスケット62が配置されており、プリンタ100から排出されたシートはバスケット62に収容される。なお、図1、図17(a)、(b)においては、図4を参照して後述するスプールホルダ31等の図示を省略している。
以下においては、図2等を参照して、全てのロール供給部を供給ユニットとして用いる場合のプリンタ100の構成を説明する。図11等を参照して、何れかのロール供給部を巻取ユニットとして用いる場合のプリンタ100の構成を説明する。
図2はプリンタ100の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、プリンタ100は、ロール供給部70a、ロール供給部70b、搬送部300、プリント部400、及び排紙部500を含んでいる。ロール供給部70a、70bの何れにも長尺の連続シートがロール状に巻かれたロールシートがセットされている。ロール供給部70aのロールシートRのロール状の部分(ロール部)から連続シート1を引き出し、搬送部300によって、プリント部400へ向けてシート1を搬送する。
図2に示すように、ロール供給部70aは補助機構200aを、ロール供給部70bは補助機構200bを、夫々有している。以下においては、ロール供給部70aに関連する部材について特に言及する際には部材番号の後に「a」を、ロール供給部70bに関連する部材について特に言及する際には部材番号の後に「b」を付す。ロール供給部70aに関連する部材及びロール供給部70bに関連する部材についてまとめて説明する場合には、「a」又は「b」を付さずに説明する。また、ロール供給部70a、70bの総称として「ロール供給部70」を用いる。
補助機構200は、スプール部材2、回転軸3、アーム部材4、揺動部材5、従動回転体6(回転体)、および従動回転体7(回転体)を備える。ロールシートRの中空芯には、スプール部材2の後述するスプール軸21が挿入されており、これにより、ロールシートRは、スプール軸21の回転に伴って、正逆回転可能となっている。従動回転体6および従動回転体7(以下これらの部材を「支持回転体」ともいう)はコロであり、ロールシートRの位置よりもz方向下方に配置されており、ロールシートRの幅方向(図中x方向(シート幅方向))に複数配置されている。プリンタ100においては、ロールシートRの回転と、支持回転体によるロールシートRのロール部の外周に対する当接従動回転と、によって、ロール部からシート1が送り出される。
搬送部300は、ロール供給部70から送り出されたシート1を、プリント部400へ搬送する。搬送部300は搬送ガイド8を有しており、搬送ガイド8はシート1の両面をガイドしつつ、シート1をプリント部400へ導く。なお、搬送ガイド8のプリント部400と近接する領域は、ロールシートRの巻癖方向に沿う形状を有している。このような形状を有する搬送ガイド8を用いることによって、シート1の巻癖に沿った方向へ、シート1をスムーズに搬送する。また、搬送部300において、ロール供給部70から供給されるシートの経路入口となる部分付近には、先端検知センサ301(第2の検知部)が配置されている。先端検知センサ301及び後述する先端検知センサ12(第3の検知部)は、シートを検知して検知信号を出力する。この信号は各モータの回転制御のトリガ等として用いられる。シートの供給動作を開始してから所定時間経過しても先端検知センサ301又は先端検知センサ12にてシートが検知されない場合等において、図6を参照して後述するCPU(制御部)201は、各部を制御し各種処理を実行する。
プリント部400のy方向上流側には、y方向上流側から順に、先端検知センサ12と、搬送ローラ10およびピンチローラ11によって構成されたローラ対と、が配置されている。搬送ローラ10は、図6を参照して後述する搬送ローラ駆動モータ35の回転方向に応じて、正逆回転する。ピンチローラ11は、搬送ローラ10との間にシート1を挟む位置に配置されており、搬送ローラ10の回転に対して従動回転可能となっている。また、ピンチローラ11は、不図示の離間モータによってz方向上方又は下方へ移動することによって、搬送ローラ10との間の距離を調整できるようになっており、これによってニップ力を調整できるようになっている。
先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されると、図6を参照して後述するCPU201は搬送ローラ駆動モータ35を制御して、搬送ローラ10を回転させる。搬送ローラ10とピンチローラ11との間にシート1は挟持され、搬送ローラ10の回転およびこの回転に従動するピンチローラ11の回転によって、シート1は搬送される。
プリント部400は、インクジェット方式のプリントヘッド15を有している。プリントヘッド15のシート1と互いに対向する面(吐出口面)には吐出口が設けられており、搬送されてきたシート1に対して、吐出口からインクを吐出させて付与することによって、シート1に対して画像等がプリントされる。プラテン13は、吐出口面との間にシート1を挟む位置に配置されており、シート1を支持する支持面を有する。プラテン13の支持面には吸引口13aが設けられている。プラテン13の位置よりもz方向下方には、吸引口13aから空気を吸引するための吸引ファン14が配置されている。プリントヘッド15とプラテン13との間の空間にシート1が位置する際に、吸引ファン14を作動させることによって、吸引口13aから空気を吸引して、プリントヘッド15の吐出口面にシート1が接触することを防止する。
プリント部400にて画像等がプリントされたシート1は、プリント部400を通過し、排紙部500へ搬送される。排紙部500は、カッタ16、排紙ガイド61、及びバスケット62を有している。カッタ16は、プリント部400の位置よりもy方向下流側の位置に配置されており、シート1を切断する。切断されたシート1は、排紙ガイド61にガイドされ、バスケット62へ向かい、バスケット62に収容される。
排紙ガイド61は、軸61aを中心として図面正面視から時計回り方向及び反時計回り方向へ回動可能となっている。これによって、プリンタ100の動作時にはシート1をガイドする位置に位置することができ、ロール供給部70aにロールシートをセットする際等にはユーザの動作を妨げない位置に退避できるようになっている。図1に示すように、ここでは、排紙ガイド61はシート1の幅方向(図中に示すx方向)の全域に渡って形成されたモールド部品である。
排紙ガイド61のy方向下流側であり且つz方向下方の先端には、ガイド部材68が取り付けられている。ガイド部材68は、排紙ガイド61に対して軸68aを中心として回動可能に取り付けられた可動ガイド部材である。ガイド部材68は、排紙ガイド61に収納された後述する図3(b)等に示す位置と、自重で重力方向(z方向)に垂れ下がり排紙ガイド61の先端からより下方へ延在する図1等に示す位置と、に位置することができ、この位置の間を回動可能となっている。ここではガイド部材68は、針金をフォーミング加工して形成されている。また、図1に示すように、ここでは、排紙ガイド61に3つのガイド部材68が取り付けられており、排紙ガイド61のx方向における両端部側及び中央部側にガイド部材68が取り付けられている。排紙ガイド61は位置検知センサ(第1の検知部)69を有している。位置検知センサ69は、排紙ガイド61にガイド部材68が収納された際に、検知信号を出力する。ここでは、排紙ガイド61及びガイド部材68を含んでガイド部が構成されている。
バスケット62は、ロッド63a〜63d、及び布部材64を有している。図1及び図2に示すように、ロッド63a、63bはx方向へ延在している。ロッド63cは、斜めz方向へ延在しており、図1に示すx方向の右側及び左側の両方に配置されている。各ロッド63cの一方の端部はロッド63aと連結されており、ロッド63cの他方の端部はプリンタ100のスタンドに取り付けられた部材65に対して回動可能に取り付けられている。各ロッド63cのロッド63a側の部分には、ロッド63dが取り付けられている。各ロッド63dのロッド63c側の端部とは反対側の端部は、ロッド63bに取り付けられている。すなわち、ロッド63bとロッド63cとは、ロッド63dによって連結されている。布部材64のy方向における一端はロッド63aに、他端はロッド63bに、夫々取り付けられている。
また、プリンタ100には位置検知センサ67が配置されている。位置検知センサ67は、バスケット62が図2に示す開放状態である場合にロッド63bを検知して、検知信号を出力する。
図3(a)〜(c)は排紙部500の状態を示す概略断面図である。図3(a)はバスケット62が開放されている状態を、図3(b)はガイド部材68が排紙ガイド61に収納されており且つバスケット62が閉じられている状態を、夫々示している。図3(c)は、ガイド部材68が排紙ガイド61に収納されており且つバスケット62がロール供給部70bよりもz方向下方に収納されている状態を示している。
ロール供給部70a、70b何れも供給ユニットとして用いる場合、バスケット62を開放しておき、カッタ16にて切断されたシートをガイド部材68によってガイドしバスケット62に収容する。図3(a)に示すように、バスケット62が開放されている状態において、布部材64は、袋状部分を構成する部分64a、64b、64cを有している。y方向上流側から順に、部分64c、64b、64aとなっている。ガイド部材68は、排紙ガイド61と部分64cとの間に配置されており、カッタ16にて切断されたシートは、排紙ガイド61、ガイド部材68、部分64cにガイドされ、部分64a、64b、64cによって構成された袋状の部分に収容される。ガイド部材68と、布部材64の一端が取り付けられているロッド63bと、の間は、シート1の先端が入りこむ隙間が形成されないようになっており、これによって、プリンタ100から排出されたシートが再びロール供給部70に入り込むことが防止される。
また、バスケット62を使用しない場合、図3(a)に示す状態から図面正面視において反時計回りに部材65を中心として、プリンタ100の設置面に対して平行又は略水平となる位置までロッド63cを回動させる。そうすると、図3(b)に示す状態となる。図3(b)に示す状態から、ロッド63cをスラスト方向へ移動させ、ロール供給部70bよりもz方向下方の位置に収納すると、図3(c)に示す状態となる。
ガイド部材68が図3(b)、(c)に示す状態である場合、シートを巻き取らずに排出させると、シートの巻癖等の影響によって排出されたシートがロール供給部に入り込んでしまうことがある。そうすると、排出されたシートに折れや破れ等が生じたり、排出されたシートがロールシートRに接触して排出されたシートのインクがロールシートRに付着したりすることがある。また、排出されたシートが静電気によってロールシートRに張り付き、ロールシートRからシートを供給する際にともに搬送されてしまうこともある。他方、ガイド部材68が図3(a)に示す状態である場合、シートを巻き取る際に巻取りユニットとして用いるロール供給部へ向かうシートの進行を妨げてしまう。また、ロール供給部へロールシートRや図11を参照して後述する紙管17をセットする際にガイド部材68や排紙ガイド61がセット動作の妨げになってしまう。
これらに対応するために、ここでは、可動のガイド部材68を用いる。排出されたシートをバスケット62に収容する際には、z方向下方へ延在する位置にガイド部材68を配置し、排出されたシートのロール供給部への進入を防止する。他方、ロールシートRを交換する際やシートを巻き取る際には、排紙ガイド61にガイド部材68を収納し、ロールシートRのセット時やシートの巻取り時等には、ガイド部材68がその動作の妨げになることを防止する。また、ここでは、ユーザの認識とプリンタの制御モードとが対応しているか否かを判別するために、位置検知センサ67、69を用いる。
図3(a)に示す状態においては、排紙ガイド61にガイド部材68が収納されていないため位置検知センサ69は検知信号を出力しないが、バスケット62は開放されているため位置検知センサ67はロッド63bを検知して検知信号を出力する。図3(b)、(c)に示す状態においては、排紙ガイド61にガイド部材68が収納されているため位置検知センサ69は検知信号を出力するが、位置検知センサ67はロッド63bを検知せず検知信号を出力しない。図6を参照して後述するCPU201は、位置検知センサ67、69からの検知結果からバスケット62及びガイド部材68の状態、即ちプリンタ100の現在の状態を判別する。バスケット62が収納されている場合又はガイド部材68が収納されている場合に、何れのロール供給部70も供給ユニットとして用いようとすると、操作パネル20にその旨を表示する等してユーザに対して警告する。詳細は図7を参照して後述する。
図4(a)〜(c)は、支持部であるスプール部材2に対してロールシートRをセットする方法を説明するための図である。スプール部材2は、スプール軸21、摩擦部材22、基準側スプールフランジ23、非基準側スプールフランジ24、スプール回転ギヤ25、及び2つのフランジアタッチメント26を含んで構成されている。図3(a)に示すように、スプール軸21の一端には基準側スプールフランジ23が配置されている。スプール軸21の他端には、スプール軸21を回転させるためのスプール回転ギヤ25が取り付けられている。また、基準側スプールフランジ23及び非基準側スプールフランジ24の内側(基準側スプールフランジ23及び非基準側スプールフランジ24が互いに対向する側)には摩擦部材22が、夫々配置されている。一方のフランジアタッチメント26は基準側スプールフランジ23に対して、他方のフランジアタッチメント26は非基準側スプールフランジ24に対して、フック等のバネ性を有する部材を用いて、夫々着脱自在に取り付けられる。フランジアタッチメント26は、ロール供給部を巻取りユニットとして用いる際などにフランジから取り外されるが、その他の場合にはフランジと一体的に取り扱うことができる。
スプール部材2にロールシートRをセットする際には、まず、スプール軸21と嵌合している非基準側スプールフランジ24とこれに取り付けられているフランジアタッチメント26とを、一体的に取り外す。ロールシートRの中空芯にスプール軸21を通し、基準側スプールフランジ23に取り付けられているフランジアタッチメント26に、ロールシートRの側部が接触する位置まではめ込み、摩擦部材22にロールシートRの内面を接触させる。その後、非基準側スプールフランジ24及びこれと一体となっているフランジアタッチメント26を、スプール軸21に通して、ロールシートRの中空芯に非基準側スプールフランジ24の内側に設けられた摩擦部材22をはめ込む。これによって、非基準側スプールフランジ24の位置を固定する。ロールシートRは、ロールシートRの中空芯の内面に半径方向への弾性力によって摩擦部材22が食い込むことによってスプール部材2に固定保持され、スプール軸21の回転とともに回転する。スプール部材2にロールシートRがセットされると、図4(b)に示すようにスプール部材2とロールシートRとが一体となる。
プリンタ100にはフランジアタッチメント検知センサ28が配置されている。フランジアタッチメント検知センサ28は、反射型センサである。ここでは、操作パネル20に設けられたスイッチを用いることによって、ロール供給部を供給ユニットとして用いるか巻取りユニットとして用いるかをユーザが選択する場合について説明する。しかしながら、フランジアタッチメント検知センサ28からの検知結果を用いて、ロール供給部を何れの機能のユニットとして用いるかを判別してもよい。この場合、図6を参照して後述するCPU201は、基準側スプールフランジ23にフランジアタッチメント26が取り付けられている場合には、ロール供給部を供給ユニットとして用いるものと判別する。基準側スプールフランジ23にフランジアタッチメント26が取り付けられていない場合には、ロール供給部を巻取りユニットとして用いるものと判別する。また、プリンタ100に切り替えスイッチを設ける場合、ロール供給部を何れの機能のユニットとして用いるかは、ユーザによる切り替えスイッチの操作によって選択されてもよい。このように、ロール供給部を供給ユニットとして用いるかロール供給部として用いるかの選択方法は、特に限定されるものではない。
図4(c)は、プリンタ100本体に設けられたスプールホルダ31にスプール部材2が保持されている状態を示す側面図である。プリンタ100には、スプール部材2を保持する保持部であるスプールホルダ31が設けられている。スプールホルダ31は、プリンタ100の所望の位置にスプール部材2を配置できるように、基準側スプールフランジ23に対応する位置、及び非基準側スプールフランジ24に対応する位置、に夫々設けられている。スプールホルダ31は、図面正面視から略U字型の断面形状を有しており、z方向上方に向かって開口する開口部を有しており、この開口部からスプール軸21を嵌め込むことができるようになっている。ユーザは、z方向上方から下方へ向かってスプール部材2を斜め下方向に下ろすことによって、スプールホルダ31にスプール部材2をセットする。
スプールホルダ31にスプール軸21が嵌め込まれた状態において、スプール回転ギヤ25と係合する位置にはスプール駆動ギヤ30が配置されている。図6を参照して後述するスプール駆動モータ34による駆動によってスプール駆動ギヤ30が回転し、この回転がスプール駆動ギヤ30からスプール回転ギヤ25に伝達され、スプール回転ギヤ25が回転することにより、スプール軸21が回転する。スプール軸21の回転に伴いスプール部材2に支持されているロールシートRも回転し、ロール供給部70からシート1が給送される。また、給送方向とは逆方向へロールシートRを回転させることによって、シート1を巻き戻す。
スプール検知センサ32は、スプールホルダ31にスプール部材2がセットされたか否かを検知する。そのため、図3(c)に示すように、スプールホルダ31にスプール部材2が配置された状態において、スプール部材2を検知することが可能な位置に、スプール検知センサ32は配置されている。
このように、スプール部材2と一体となったロールシートRを、プリンタ100に設けられたスプールホルダ31に配置することによって、プリンタ100にロールシートRをセットする。
図5(a)及び(b)は補助機構200aの構成を説明するための図である。図5(a)は図2に示す破線領域を拡大して示す断面図であり、図5(b)は図5(a)に示す補助機構200aを給送方向下流側から見た状態を示す図である。ここでは、補助機構200aの構成について説明するが、補助機構200bも同様の構成を有している。図5(a)及び(b)に示すように、補助機構200aは、アーム部材4、揺動部材5、及び従動回転体6、7等を含んでいる。
図5(a)及び(b)に示す回転軸3は、プリンタ100本体に回転可能に取り付けられており、その両端は不図示の環部材によってスラスト方向に拘束されている。回転軸3はアーム部材4の一端に設けられた係合部4aと係合している。アーム部材4の他端に設けられた係合部4bは、軸部材41と摺動可能に係合している。軸部材41の両端は、不図示の環部材によってスラスト方向に拘束されている。軸部材41には、揺動部材(回転体保持部)5のy方向における中心位置に設けられた係合部5aが、揺動可能に係合している。
図5(a)に示すように、揺動部材5のz方向上方を向いた面には、距離センサ5cが配置されている。ここでは、距離センサ5cとして非接触式の反射型センサを用いるが、接触式のセンサを用いてもよい。ここでは、距離センサ5cを用いて、ロールシートRの外面と従動回転体6、7との間の距離からロールシートRの外径を求める。なお、距離センサ5cは、揺動部材5のz方向上方を向いた面におけるy方向の略中央部に配置されており、揺動部材5における距離センサ5cからの距離が等しいy方向の両端には固定部5bが夫々配置されている。
固定部5bには圧縮バネ(弾性体)46の一端が固定されており、圧縮バネ46の他端は軸部材47の突起部47aに固定されている。圧縮バネ46は、z方向下方から上方に向かって軸部材47を付勢する。給送方向下流側の軸部材47には従動回転体6が、給送方向上流側の軸部材47には従動回転体7が、夫々回転可能に係合している。圧縮バネ46によってz方向下方側から上方側へ軸部材47が付勢されているため、軸部材47に係合している従動回転体6及び従動回転体7は、z方向下方側から上方側に向かってロールシートRの外周と当接できるように構成されている。
ロールシートRと当接している状態において、従動回転体6及び従動回転体7は、ロールシートRの回転に伴って回転する。従動回転体6及び従動回転体7は、ロールシートRのロール部からシート1を引き出す給送方向において離れて配置されている。従動回転体7は、従動回転体6の位置よりも図2に示す搬送ガイド8から遠い位置に配置されており、ロールシートRと当接している状態で、ロールシートRがたるまないように、重力方向(z方向)下側(下方側)からロールシートRに当接して支えている。
図5(a)に示すように、従動回転体6及び従動回転体7は、揺動部材5の中心位置に対してy方向において略等距離の位置にそれぞれ配置されている。この構成によって、揺動部材5の軸部材41を中心とした揺動によって、ロールシートRに従動回転体6及び従動回転体7が当接する力(当接力)が均等となるようにしている。
アーム部材4の位置よりもz方向下方側には回転カム42が配置されている。アーム部材4は、揺動部材5、従動回転体6、7等の重量によって、回転カム42に付勢して位置決めされる。回転カム42は軸部材43に係合している。
図6を参照して後述する駆動モータ33によって軸部材43を回転させ、これに伴って回転カム42を回転させることによって、アーム部材4を回動させ、揺動部材5を揺動させ、従動回転体6及び従動回転体7(支持回転体)を変位させる。ここでは、ロールシートRの外周と当接する当接位置、又はロールシートRの外周から離間する離間位置、に支持回転体を位置させる。詳細は、図7を参照して後述するが、給送動作(供給動作)においては当接位置に支持回転体を位置させ、斜行矯正時においては離間位置に支持回転体を位置させる。
図6はプリンタ100の制御構成を示すブロック図である。図6に示すように、プリンタ100は、CPU201、入出力インターフェイス202、RAM203、およびROM204を含んでいる。CPU201はプリンタ100全体の制御を司っている。ROM204はCPU201が実行する各種プログラムやプリンタ100の各種動作に必要な固有データを格納する。RAM203は、CPU201のワークエリアや各種受信データの一時格納領域として用いられる。また、RAM203は各種設定データを記憶する。
ユーザは、操作パネル20を操作することによって、シートの種類、サイズ、ロール供給部を供給ユニットとして用いるか巻取りユニットとして用いるかの選択、各種設定情報等を入力する。この情報は入出力インターフェイス202を介してCPU201に入力される。また、CPU201は入出力インターフェイス202を介して、各種情報を操作パネル20に表示する。
プリンタ100は不図示の外部機器や外部記憶媒体等と接続されている。ここでは、外部機器や外部記憶媒体等において画像データに各種処理が施されプリントデータが生成され、入出力インターフェイス202を介してCPU201へプリントデータが入力される。CPU201は、プリントデータに基づいて画像をプリントするように、プリンタ100全体を制御する。なお、不図示の外部機器や外部記憶媒体等からプリンタ100へ画像データが入力され、プリンタ100のCPU201にて画像データに対して各種処理を施して、プリントデータを生成してもよい。
CPU201は、距離センサ5c、フランジアタッチメント検知センサ28、スプール検知センサ32、先端検知センサ12、301、及び位置検知センサ67、69と接続されている。CPU201は、これらからの情報をRAM203に書き込み、書き込んだ情報を読み出す。また、CPU201は、スプール駆動量検出エンコーダ(第4の検知部)36及び搬送ローラ駆動量検出エンコーダ37と接続されている。スプール駆動量検出エンコーダ36はスプール駆動モータ34の回転量(回転角度や回転数)を検出する。搬送ローラ駆動量検出エンコーダ37は、搬送ローラ駆動モータ35の回転量を検出する。距離センサ5c、フランジアタッチメント検知センサ28、スプール検知センサ32、駆動モータ33、スプール駆動モータ34、スプール駆動量検出エンコーダ36等は、各ロール供給部に対応して夫々設けられている。
詳細は後述するが、ここでは距離センサ5cを用いて支持回転体の位置を決定する。しかしながら、各エンコーダを用いて、支持回転体の位置を決定してもよい。その場合、搬送ローラ10とピンチローラ11との間にシート1を挟持し、シート1を張った状態で所定量搬送した際の各エンコーダの検出値を比較することによって、ロールシートRの外径の変化を求め、所望の位置に支持回転体を位置させる。
図7はロールシートRのセット動作の流れを示すフローチャートであり、プリント動作開始前の位置にシートの先端をセットする動作を説明するためのフローチャートである。上述したように、ユーザによる操作パネル20の操作によって、ロール供給部を供給ユニットとして用いる(供給モード)か、又は巻取りユニット(巻取モード)として用いるかが選択される。供給モードでは、プリント後のシートがバスケットに排出されるので、排出モードとも言うこともある。
ここでは、ユーザによる操作パネル20の操作によって、ロール供給部70a、70bを供給ユニットとして用い、プリントされたシートがバスケットに排出される排出モードが選択されている場合について説明する。
ユーザがプリンタ100の電源を入れると図7に示す処理が開始される。プリンタ100にスプール部材2がセットされたことがスプール検知センサ32によって検知されると(S1)、CPU201は現在の制御モードを確認する(S2)。より具体的にはCPU201は、何れのロール供給部も供給ユニットとして用いる排出モード(供給モード)、又は何れかのロール供給部を巻取りユニットとして用いる巻取りモードのどちらがユーザに選択されているかを確認する(S2)。また、CPU201は、位置検知センサ67、69からの検知信号に基づいて、プリンタ100の現在の状態(ガイド部材68及びバスケット62の状態)を判別する(S3)。CPU201は、現在の制御モードとプリンタ100の現在の状態とを比較し、これらが対応しているか否かを判別する(S4)。
ここで、制御モードとプリンタ100の状態とが対応しているとは、プリンタ100の状態が、制御モードに従った制御が行われた際に所望の場所へシートを導く状態となっていることをいうものとする。ここでは、排出モード(供給モード)の場合は、排紙ガイド61にガイド部材68が収納されておらずバスケット62がシートを収容可能な開放状態となっている場合に制御モードとプリンタ100の状態が整合しているものとする。また、巻取りモードの場合は、排紙ガイド61にガイド部材68が収納されておりバスケット62が収納されている場合に制御モードとプリンタ100の状態とが整合しているものとする。これらが整合していない場合、プリントや巻取り等の所望の処理が実行されず、またこれらが整合していないことにユーザが気づかないことがある。これらを防止するために、ここでは、制御モードとプリンタ100との状態とが整合しているか否かを判別し、対応していない場合はユーザに対して報知して、ユーザに使用する機能を確認させる。ここでは、操作パネル20に制御モードとプリンタ100の状態とが整合していない旨を表示して、ユーザに対して報知する場合について説明するが、例えば音声によってユーザに対して報知してもよい。
図8(a)及び(b)は、制御モードとプリンタ100の状態とが整合していない具体例と、この具体例におけるフールプルーフを示す表である。図8(a)は位置検知センサ67、69からの検知結果を用いてプリンタ100の状態を判別する場合を示している。図8(b)は先端検知センサ12、301、スプール駆動量検出エンコーダ36からの検知結果を用いてプリンタ100の状態を判別する場合を示している。制御モードとプリンタ100の状態とが整合しない原因としては、ユーザが操作パネル20での制御モードの切り替え操作を忘れてしまった場合や操作パネル20での切り替え操作は完了したが各セット動作をし忘れてしまった場合等が考えられる。図8(a)及び(b)においては、ユーザが制御モードの切り替え操作を忘れた場合を示している。
図8(a)のIは、ユーザが供給ユニットとして用いていたロール供給部70bを巻取りユニットとして用いようとして、排紙ガイド61にガイド部材68を収納した又はバスケット62を収納したが、制御モードの切り替え操作を忘れた場合を示している。この場合、位置検知センサ69がガイド部材68を検知したとき、又は位置検知センサ67がロッド63bを検知しないときに、ユーザに対して警告する。図8(a)のIIは、ユーザが巻取りユニットとして用いていたロール供給部70bを供給ユニットとして用いようとして、ガイド部材68をz方向へ延在させた又はバスケット62を開放したが、制御モードの切り替え操作を忘れた場合を示している。この場合、位置検知センサ67がガイド部材68を検知しないとき、又は位置検知センサ67がロッド63bを検知したときに、ユーザに対して警告する。
図8(b)のIは、ユーザが供給ユニットとして用いていたロール供給部70bを巻取りユニットとして用いようとしてロール供給部70bに紙管17をセットしたが、制御モードの切り替え操作を忘れた場合を示している。この場合、先端検知センサ301bがシートの先端を検知しないとき、又はスプール駆動量検出エンコーダ36bのみが回転量を検出し且つ先端検知センサ12がシートの先端を検知しないときに、ユーザに対して警告する。後者について具体的には、先端検知センサ12の検知範囲までシートを到達させるのに必要な回転数や回転角度だけスプール部材2bを回転させても、ロール供給部70bにはロールシートRがセットされていないため、先端検知センサ12はシートを検知しない。そのため、先端検知センサ12の検知可能範囲までシートを到達させるのに必要な所定量の回転量をスプール駆動量検出エンコーダ36bが検出しても先端検知センサ12がシートの先端を検知しないときに、ユーザに対して警告する。図8(b)のIIは、ユーザが巻取りユニットとして用いていたロール供給部70bを供給ユニットとして用いようとして、ロール供給部70bにロールシートRをセットしたが、制御モードの切り替え操作を忘れた場合を示している。この場合、先端検知センサ301bがシートの先端を検知したとき、又はスプール駆動量検出エンコーダ36bのみが回転量を検出し且つ先端検知センサ12がシートの先端を検知したときに、ユーザに対して警告する。
図7に示すフローにおいては位置検知センサ67、69からの検知結果を用いてプリンタ100の状態を判別する場合(図8(a))について説明する。しかしながら、プリンタ100の状態を判別する方法はこの方法に限定されるものではない。例えば、位置検知センサ67のみを用いてプリンタ100の状態を判別してもよい。即ち、ガイド部材68を検知するか否かによってプリンタ100の状態を判別してもよい。シートを検知するか否か(図8(b))によって判別してもよい。また、フランジアタッチメント検知センサ28等からの検知結果を用いてプリンタ100の状態を判別してもよい。なお、プリンタ100の状態を判別するために用いるセンサの個数やその位置等は、上述した例に特に限定されるものではない。
現在の制御モードとプリンタ100の現在の状態とが整合していない場合(S4にてNO)、即ち図9に示すような場合、CPU201は、操作パネル20にその旨を表示する等して、ユーザに対して警告する(S5)。そして、制御モードとプリンタ100の状態とが整合しているか否かを再び判別する(S4)。
他方、制御モードとプリンタ100の状態とが整合している場合(S4にてYES)、CPU201は、シートの先端を搬送ガイド8まで差し込む指示を操作パネル20に表示させる(S6)。この指示に従って、ユーザがロールシートRを回転させて搬送ガイド8までシート1の先端を差し込むと、シート1の先端が先端検知センサ301a、301bにて検知される(S7)。
先端検知センサ301a、301bからの検知信号がCPU201に送られると、CPU201は、駆動モータ33を回転させることによって、軸部材43を回転させ、回転カム42の回転によってアーム部材4を回動させる。ここでは、駆動モータ33を正回転させると支持回転体がロールシートRの外周に近づき、駆動モータ33を逆回転させると支持回転体がロールシートRの外周から遠ざかるようになっている。距離センサ5cは、ロールシートRの外周との間の距離を測定し、この結果をCPU201に送る。
この測定結果からCPU201は支持回転体の現在の位置を求め、これに応じて駆動モータ33を制御し、所望の位置に支持回転体を位置させる。CPU201は、距離センサ5cの測定結果を得ながら、ロールシートRに対して支持回転体から加わる力(ロールシートRに支持回転体が当接する力)が所望の力となる位置に支持回転体を位置させるように、駆動モータ33を動作させる。より具体的には、所望の当接力に満たない場合は、所望の当接力となるように駆動モータ33をさらに正回転させる。他方、当接力が所望の当接力を超える場合は、駆動モータ33を逆回転させる。このようにして、ロールシートRに対する当接力が所望の当接力となる位置に支持回転体は配置され、ロールシートRは補助機構200によって押圧される(S8)。
ここでは、ロール供給部70aからシートを供給させる。その際、CPU201は、スプール駆動モータ34aを正回転させ、スプール駆動ギヤ30a及びスプール回転ギヤ25aを介して、スプール軸21aを回転させ、シート1の給送動作を開始する(S9)。また、CPU201は、搬送ローラ駆動モータ35も正回転させ、搬送ローラ10を回転させる(S9)。スプール駆動モータ34及び搬送ローラ駆動モータ35の正回転とは、スプール部材2及び搬送ローラ10を図2の図面正面視から反時計回り方向へ回転させる方向の回転をいう。
シート1が給送されると、CPU201は、先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されたか否かを判定する(S10)。先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されていない場合(S10にてNOの場合)、CPU201はシート1の先端が検知されるまでS10の判定を繰り返す。先端検知センサ12にてシート1の先端が検知された場合(S10にてYESの場合)、CPU201は、シート1が所定量搬送されたか否かを判定する(S11)。この所定量とは、斜行矯正動作時において、シート1の搬送及び巻き取りが繰り返されても、シート1の先端が搬送ローラ10及びピンチローラ11の位置よりも給送方向上流側に位置することがない量であるものとする。
シート1が所定量搬送されていない場合(S11にてNOの場合)、CPU201は、シート1が所定量搬送されるまでS11の判定を繰り返す。シート1が所定量搬送されている場合(S11にてYESの場合)、CPU201は、駆動モータ33aを逆回転させ、軸部材43aの回転に伴う回転カム42aの回転によって、ロールシートRの外周から遠ざかる方向へアーム部材4aを回動させる。これによって、ロールシートRから補助機構200aを離間させる(S12)。また、CPU201は、不図示の離間モータを制御することによって搬送ローラ10からピンチローラ11を離間させ、ピンチローラ11によるニップ力を弱める(S12)。
そして、CPU201によるスプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35の制御によって、シート1の搬送及び巻き戻しを繰り返し、シート1の斜行を矯正する(S13)。不図示のセンサにてシート1の端部の位置を読み取り、斜行量を検知する。CPU201は、不図示のセンサからの情報に基づきシート1の斜行が矯正されたか否かを判定する(S14)。CPU201は、シート1の斜行が矯正された場合(S14にてYESの場合)は斜行矯正動作を終了させ、シート1の斜行が矯正されていない場合(S14にてNOの場合)は斜行が矯正されるまで斜行矯正動作を継続させる。
CPU201は、シート1の斜行が矯正されたと判定した場合(S14にてYESの場合)、先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されたか否かを判定する(S15)。シート1の先端が検知されていない場合(S15にてNOの場合)、CPU201は、先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されるまで、シート1を巻き戻す。先端検知センサ12にてシート1の先端が検知された場合(S15にてYES)、CPU201はスプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35を制御する。具体的には、CPU201は、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35を制御して、スプール駆動ギヤ30a及び搬送ローラ10の回転を停止させ(S16)、シート1の巻き戻し動作を停止させる。
CPU201は、不図示の離間モータを制御することによって搬送ローラ10に近づく方向へピンチローラ11を移動させ、ピンチローラ11によるニップ力を斜行矯正動作前のニップ力に戻し(S17)、本処理を終了する。このようにして、ロールシートRのロール部からのシート1の先端の給送、及びシート1の斜行矯正を経て、シート1の先端がプリント動作開始前の位置にセットされ、プリント動作の開始を待つ待機状態となる。
ここでは、斜行矯正動作において、搬送ローラ10及びピンチローラ11の位置よりも給送方向上流側にシート1の先端が位置しないように、シート1を所定量搬送する場合について説明した。しかしながら、シート1の斜行量などによっては、斜行矯正動作時に、搬送ローラ10及びピンチローラ11の位置よりも給送方向上流側までシート1の先端が巻き戻される場合もある。この場合、ロールシートRの外周に支持回転体を再び当接させて、シート1を給送してもよい。
図9はプリント動作の流れを示すフローチャートである。図7にて説明したS17の後にプリント動作が開始されるので、補助機構200aはロールシートRから離間している状態であり、ピンチローラ11のニップ力は斜行矯正動作前のニップ力である。CPU201は、プリントデータを受信すると、本処理を開始し、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35を正回転させ(S21)、シート1が所定量搬送されたか否かを判定する(S22)。この所定量とは、先端検知センサ12の位置からプリントヘッド15の位置までの距離に相当する搬送量であり、プリントヘッド15とプラテン13との間の位置にシート1の先端が位置するまでの搬送量であるものとする。シート1が所定量搬送されていない場合(S22にてNO)、シート1が所定量搬送されるまでS22の判定を繰り返す。
シート1が所定量搬送されている場合(S22にてYES)、プリント動作を開始させる(S23)。プリントヘッド15のx方向への走査と、搬送ローラ10によるシート1の搬送と、を繰り返すことによって、シート1に画像等がプリントされる。プリント動作中においては、シート1に適切なバックテンションを働かせてシート1の弛みを防止しシート1を安定的に搬送するために、スプール駆動モータ34aを逆回転させる。また、スプール駆動モータ34aに流す電流を制限してスプール駆動ギヤ30aの駆動力を抑え、搬送ローラ10によってシート1が引っ張られるように制御する。ここでは、スプール駆動モータ34aへの電流を制限しつつ逆回転させる方法について説明したが、スプール軸21の回転速度よりも搬送ローラ10の回転速度を速くすることによって、シート1にバックテンションを与えシート1を張った状態で搬送してもよい。このように、シート1の撓みを防止してシートの折り目やシートの搬送誤差などが発生することを防止するための方法は、特に限定されるものではない。
次に、CPU201は、受信したプリントデータのプリントが終了したか否かを判定する(S24)。終了していない場合(S24にてNO)、終了するまでS24の判定を繰り返す。終了している場合(S24にてYES)、シート1が所定量搬送されたか否か、より具体的には画像がプリントされたシート1の後端部がカッタ16の位置まで到達したか否かを判定する(S25)。搬送されていない場合(S25にてNO)、搬送されるまでS25の判定を繰り返す。搬送されている場合(S25にてYES)、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35の回転を停止させ、不図示の駆動モータを駆動してカッタ16によってシート1を切断する(S26)。画像がプリントされ切断されたシートは、排紙ガイド61及びガイド部材68にガイドされ、バスケット62に収容される。CPU201は、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35を逆回転させてシート1を巻き戻し(S27)、プリンタ100内のシート1の先端が先端検知センサ12にて検知されたか否かを判定する(S28)。検知されていない場合(S28にてNO)は検知されるまでシート1を巻き戻す。先端検知センサ12にてシート1の先端が検知された場合(S28にてYES)、CPU201は、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35の回転を停止させ(S29)、本処理を終了する。そして、次のプリント動作の開始を待つ待機状態となる。
図10は、プリンタ100内のシート1の先端を先端検知センサ301の位置まで巻戻す動作の流れを説明するためのフローチャートである。図10を用いて説明する巻戻し動作は、図7及び図9を参照して説明した処理後における待機状態等において搬送ローラ10付近にあるシート1の先端を、ロール供給部70a、70bの供給口付近まで巻戻す動作である。ロールシートを交換する場合や供給ユニットとして用いるロール供給部を切り替える場合際等に、実行される。
ユーザからのロールシートの交換や供給ユニットの切替え指示等がCPU201に入力されると、本処理が開始され、CPU201は駆動モータ33aを正回転させ、補助機構200aによってロールシートRを押圧させる(S41)。そして、スプール駆動モータ34aを逆回転させる(S42)。図7及び図9の処理は、先端検知センサ12にてシート1の先端が検知された後に終了しているため、ここでは、スプール駆動モータ34aのみを逆回転させる。しかしながら、先端検知センサ12にてシート1の先端が未だ検知されていない状態から本処理を開始する場合には、S42にてスプール駆動モータ34aのみでなく搬送ローラ駆動モータ35も逆回転させる。この場合、先端検知センサ12にてシート1の先端が検知されたら、搬送ローラ駆動モータ35の回転を停止させる。
CPU201は、スプール部材2aの回転によって給送方向上流側へ巻戻されたシート1の先端が先端検知センサ301aにて検知されたか否かを判定する(S43)。シート1の先端が検知されていない場合(S43にてNO)は検知されるまでS43の処理を繰り返す。シート1の先端が検知された場合(S43にてYES)、スプール駆動モータ34aの回転を停止させ(S44)、ここでいう巻戻し動作を終了する。
ロールシートを交換する目的等でロール部までシートの先端を巻き取る場合、先端検知センサ301aにてシートの先端が検知された後も所定時間スプール駆動モータ34aを回転させ、搬送ガイド8からシートの先端が抜けるまでシートを巻き戻してもよい。他方、例えば供給機能を使用するロール供給部を切替える場合、先端検知センサ301aでシートが検知されたらすぐにスプール駆動モータ34aの回転を停止させ、先端検知センサ301aの近傍にシートの先端が位置している状態を維持することもできる。その際、補助機構200aがロールシートを押圧している状態を維持し、シートの自重によってシートが搬送ガイド8から抜けてしまうことを防止する。それによって、供給ユニットとして用いるロール供給部を再度切り替える場合等において、搬送ガイド8へシートの先端を差し込む動作を省略することができる。
次に、ロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる場合について説明する。図11はシート巻取時におけるプリンタ100の構成を示す概略断面図である。ここでは、ロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる。その他の構成は図2を参照して説明した構成を同様であるので、その説明を省略する。図11に示すように、ロール供給部70bのスプール部材2bには紙管17がセットされており、ロール供給部70aから供給されたシート1の先端は紙管17に巻き取られている。
図11に示すように、シートを巻き取る場合、その動作の妨げとならないように、ガイド部材68及びバスケット62は収納された状態とする。そのため、位置検知センサ67はロッド63bを検知せずにOFF、位置検知センサ69はガイド部材68を検知してON、となった際に巻取り動作が実行される。
図12(a)及び(b)は紙管17のセット方法を説明するための図である。紙管17は、図4(a)〜(c)を参照して説明したロールシートRのセット方法と同様の方法によって、スプール部材2にセットされる。即ち、上述した方法において、ロールシートRを紙管17に置き換えることによって、スプール部材2に紙管17をセットする。
図13(a)及び(b)はスプール部材2を比較するための図である。図13(a)は供給時のスプール部材2の構成を、図13(b)は巻取り時のスプール部材2の構成を、夫々示している。図13(a)、(b)に示すように、供給時のスプール部材2と異なり、巻取り時のスプール部材2にはフランジアタッチメント26が配置されていない。上述したように、フランジアタッチメント26は、基準側スプールフランジ23、非基準側スプールフランジ24から取り外し可能である。そのため、供給に用いていたスプール部材2を巻取りに用いる場合はフランジアタッチメント26を取り外し、巻取りに用いていたスプール部材2を供給に用いる場合はフランジアタッチメント26を取り付ける。
図13(a)に示すように、フランジアタッチメント26のシート1の端部との接触面はフラット面となっており、ロールシートRの幅方向の端部をフラット面に突き当てて幅方向の位置決めをするようになっている。ここでは、基準側スプールフランジ23及び非基準側スプールフランジ24の何れにも、フラット面を有するフランジアタッチメント26が取り付けられている。しかしながら、非基準側スプールフランジ24に取り付けられるフランジアタッチメント26のシート1の端部との対向面はフラット面でなくてもよい。また、非基準側スプールフランジ24にはフランジアタッチメント26が取り付けられていなくてもよい。即ち、少なくとも基準側スプールフランジ23に取り付けられるフランジアタッチメント26のシート1との接触面がフラット面になっていればよい。
図13(b)に示すように、巻取り時においてはフランジアタッチメント26が取り付けられていないため、その分だけ基準側スプールフランジ23と非基準側スプールフランジ24との間の距離が広くなり、シート1の幅よりも広くなる。基準側スプールフランジ23及び非基準側スプールフランジ24のシート1の端部との対向面は、テーパ形状となっており、巻き取るシートの斜行をある程度許容できるようになっている。
図14は巻取動作開始前の紙管17のセット動作の流れを示すフローチャートである。なお、図14から図16においては、ユーザによる操作パネル20の操作によって、ロール供給部70aを供給ユニットとして用い、ロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる巻取りモードが選択されている場合について説明する。巻取りモードの他にはシートをバスケットに排出する排出モードが選択可能である。
図14においては、図7を参照して説明した処理の流れによって、上段のロール供給部70aからシート1が供給され、プリント動作の開始を待つ状態となっている時点からの処理を説明する。本処理はユーザによって巻取りモードが選択された場合に開始される。
ユーザによって、ロール供給部70bのスプールホルダ31に紙管17がセットされたスプール部材2がセットされると、スプール部材2bの存在がスプール検知センサ32によって検知される(S61)。その検知信号がCPU201に入力されると、CPU201は駆動モータ33を逆回転させ、スプール部材2bから補助機構200bを離間させる(S62)。搬送ローラ駆動モータ35及びスプール駆動モータ34aを正回転させ(S63)、ロール供給部70aからシート1を供給しこれを搬送する。
CPU201はシート1が所定量搬送されたか否かを判定する(S64)。この所定量とは、紙管17と補助機構200bとの間にシート1の先端が差し込まれた状態においてシート1に撓みが生じるほどの長さに相当する量であるものとする。所定量搬送されていない場合(S64にてNO)は搬送されるまでS64の判定を繰り返す。シート1が所定量搬送されている場合(S64にてYES)は、搬送ローラ駆動モータ35及びスプール駆動モータ34aの回転を停止させる(S65)。そして、CPU201は、操作パネル20に表示する等して、紙管17と補助機構200bとの間にシート1の先端を差し込むようにユーザに対して指示を出す。この指示に従った操作が完了したことを、ユーザからの操作によってCPU201が認識する(S66)と、CPU201は、駆動モータ33bを正回転させ、補助機構200bによって紙管17を押圧する(S67)。また、CPU201は、搬送ローラ駆動モータ35を逆回転させ、スプール駆動モータ34bを正回転させる(S68)。ここでは、搬送ローラ10とシート1との間に発生する摩擦力は、紙管17とシート1との間に発生する摩擦力よりも高く設定されている。そのため、2つのモータを相反する方向へ回転させても、シート1は巻戻される。また、この状態において、シート1にはテンションが与えられるため、シート1の撓みが解消され、シート1に斜行が生じた場合であっても斜行が矯正される。
CPU201は、シート1が所定量巻き戻されたか否かを判定する(S69)。この所定量とは、紙管17と補助機構200bとの間からシート1が抜けない程度の量であるものとする。所定量巻き戻されていない場合(S69にてNO)は巻き戻すまでS69の判定を繰り返す。所定量巻き戻されている場合(S69にてYES)は搬送ローラ駆動モータ35及びスプール駆動モータ34bの回転を停止させる(S70)。CPU201は、操作パネル20に表示する等して、紙管17にシート1の先端を固定するようにユーザに対して指示を出す。この指示に従った操作が完了したことを、ユーザからの操作によってCPU201が認識する(S71)と、本処理を終了する。そして、プリント動作の開始を待つ待機状態となる。
図15は巻取りモードにおけるプリント動作の流れを示すフローチャートである。図14にて説明したS71の後にプリント動作が開始されるので、補助機構200bは紙管17に対してシート1を押圧している状態である。CPU201は、プリントデータを受信すると、本処理を開始し、駆動モータ33bを逆回転させ、紙管17から補助機構200bを離間させる(S81)。CPU201は、スプール駆動モータ34a及び搬送ローラ駆動モータ35を正回転させ、スプール駆動モータ34bを逆回転させ(S82)、プリント動作を開始する(S83)。プリント動作中においては、図7にて説明した方法と同様に、スプール駆動モータ34aへの電流を制限しつつスプール駆動モータ34aを逆回転させて、シート1にバックテンションを与えシート1を張った状態で搬送する。
シート1の巻取り動作において、スプール駆動モータ34bも搬送ローラ駆動モータ35とともに駆動される。より具体的には、搬送ローラ10による搬送動作に伴って、スプール駆動モータ34bは逆方向へ駆動され、シート1を巻き取っていく。この際、スプール駆動モータ34bに流れる電流は制限され、所定のトルク(テンション)以上でシート1を引っ張らないように制御される。これによって、安定した搬送が実現される。
CPU201は、受信したプリントデータのプリントが終了したか否かを判定し(S84)、終了していない場合(S84にてNO)、終了するまでS84の判定を繰り返す。終了している場合(S84にてYES)、スプール駆動モータ34及び搬送ローラ駆動モータ35の回転を停止させ(S85)、本処理を終了し、終端処理を待つ待機状態となる。
図16は巻取りモードにおける終端処理の流れを説明するためのフローチャートである。ユーザからの終端処理の実行指示がCPU201に入力されると、CPU201は本処理を開始し、搬送ローラ駆動モータ35及びスプール駆動モータ34aを正回転させ、スプール駆動モータ34bを逆回転させ、シート1を搬送し、巻き取る(S101)。CPU201は、シート1が所定量搬送されたか否かを判定する(S102)。所定量搬送されていない場合(S102にてNO)、所定量搬送されるまでシート1を搬送する。所定量搬送されている場合(S102にてYES)、搬送ローラ駆動モータ35及びスプール駆動モータ34aの回転を停止させ(S103)、駆動モータ33bを正回転させ、補助機構200bによって紙管17に対してシート1を押圧する(S104)。
その際、シート1に対してインクが付与された部分に従動回転体6、7が接触すると、シート1に付与されたインクが従動回転体6、7を介して他の部分に転写してしまうことがある。そのため、インクが付与された部分が従動回転体6、7に接触しない位置まで紙管17に巻き取られた後に、シート1に補助機構200bを当接させることが望ましい。また、転写を防止するために、インクを乾燥させてから補助機構200bをシート1に当接させてもよいし、従動回転体6、7の表面にフッ素コーティング等を施してもよい。
補助機構200bによって、紙管17に対してシート1を押圧している状態において、スプール駆動モータ34bの回転を一時的に停止させ、不図示のカッタ駆動モータによってカッタ16を作動させてシート1を切断させる(S105)。なお、シート1の切断時においては、ロール供給部70bに向かうシート1の後端をユーザに保持させる等して、シート1の後端が落下することを防止する。そして、スプール駆動モータ34bを再び回転させ、切断されたシート1の後端を紙管17に巻き取っていき(S106)、所定のタイミングでスプール駆動モータ34bの回転を停止させる(S107)。ユーザの操作によって、切断されたシート1の後端がテープ等を用いて紙管17に固定され、本処理が終了する。
補助機構200bを用いない構成においては、切断時にシートが弛まないようにシート1を張った状態で保持しておかなければ、シートが巻きほぐれてしまうことがある。シートが巻きほぐれると、その後、シートを巻き締める際にインクが付与された面が擦れてしまうことがある。これに対して、ここでは、上述のように、S103以降の処理において、補助機構200bは紙管17に対してシート1を押圧している状態となっている。そのため、シート1切断後においてユーザの手によって保持されているシートの後端と補助機構200bによって押圧されているシートとの間に弛みが生じたとしても、巻き取られたシートは巻きほぐれることはない。つまり、ここでは、供給時のみでなく巻取り時にも補助機構200を用いて動作を補助することによって、シートを紙管に的確に巻き取ることができる。
以上のように、可動のガイド部材68を用いることによって、排出されたシートがロール供給部70に入り込むことを防止するとともに、ロールシート等のセット時や巻取り動作時にガイド部材68がその動作の妨げになることを防止することができる。また、排紙ガイド61も可動の部材とすることによって、ロールシート等のセット時に排紙ガイド61がその動作の妨げになることを防止することができる。また、選択されている制御モードとプリンタ100の状態とを比較して、これらが整合しているか否かを判別しユーザに対して報知することによって、これらが整合していない場合に生じうる事態を防止することもできる。
(第2実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態における排紙ガイド61及びガイド部材68に対応する部材として、ロールカバー80、81、ガイド部材82を用いる。その他の構成は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。ここでは、ロールカバー80及びガイド部材82を含んでガイド部が構成されている。
図17(a)及び(b)は本実施形態のプリンタ101を示す斜視図である。図18(a)及び(b)はプリンタ101を示す概略断面図である。図17(a)及び図18(a)は何れのロール供給部70も供給ユニットとして用いる場合を示している。図17(b)及び図18(b)はロール供給部70aを供給ユニットとして、ロール供給部70bを巻取りユニットとして、夫々用いる場合を示している。
図17(a)、(b)及び図18(a)、(b)に示すように、ロールカバー80はロール供給部70aにセットされているロールシートRをカバー可能な位置に配置されている。また、ロールカバー81はロール供給部70bにセットされているロールシートR又は紙管17をカバー可能な位置に配置されている。
ロールカバー80は、図18(a)、(b)に示す支点80aを中心として回動可能となっており、ロールカバー81は、図18(a)、(b)に示す支点81aを中心として回動可能となっている。ロール供給部70にロールシートR等をセットする際には、図面正面視において反時計回りにロールカバー80、81を回動させ、セット動作の妨げとならない位置にロールカバー80、81を退避させる。セット後には、図面正面視において時計回りにロールカバー80、81を回動させ、ロールシートR等をカバー可能な位置に配置する。位置検知センサ84は、ロールシートR等をカバー可能な位置にロールカバー80が配置された際に検知信号を出力し、位置検知センサ85は、ロールシートRをカバー可能な位置にロールカバー81が配置された際に検知信号を出力する。
また、ロールカバー80のz方向下方側の部分には、ガイド部材82が取り付けられている。ガイド部材82は、ロールカバー80にガイドされたシート1をバスケット62に向けてガイドする位置及びロールカバー80に収納された位置の何れかに位置することができる可動ガイド部材であり、軸82aを中心に回動可能となっている。
図18(a)に示すように、ガイド部材82は、シート1をガイドする位置に配置されている状態において、排出されたシート1を布部材64によって構成された袋状部分に向かわせるように屈曲している屈曲部を有している。また、図18(a)に示す状態において、ガイド部材82とロールカバー81との間にはシートが入り込む隙間が形成されてないようになっている。このように、ガイド部材82の形状と配置によって、布部材64の袋状部分が図3(a)〜(c)に示す部分64cを有さない構成においても、ガイド部材82によってシート1をガイドし、布部材64の袋状部分にシート1を向かわせることができる。
位置検知センサ83はガイド部材82がロールカバー80に収納された位置に位置している際に検知信号を出力する。いずれのロール供給部70も供給ユニットとして用いる場合、ロールカバー80、ガイド部材82、ロールカバー81は、バスケット62へ向けてシート1をガイドする。これによって、ロール供給部70へシート1が入り込んでしまうことが防止される。そのため、ここでは、図1から図3等に示す第1実施形態におけるロッド63b、63d、布部材64の部分64c、位置検知センサ67は設けられていない。ロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる場合、図17(b)及び図18(b)に示すように、ガイド部材82はロールカバー80に収納される。
図19(a)及び(b)はバスケット62を収納せずにロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる場合におけるプリンタ100の構成を説明するための図である。図19(a)はプリンタ100の概略断面図を、図19(b)はガイド部材82の周辺の構成を、夫々示している。ここでは、図18(a)に示す状態から、バスケット62を収納する操作をすることなく図19(a)に示す状態として、ロール供給部70bを巻取りユニットとして用いる。
ガイド部材82は、軸82aに回動可能に取り付けられており、図17(a)及び(b)に示すように、ここでは、ロールカバー80に3つのガイド部材82が取り付けられている。図19(b)に示すように、軸82aは、その一端に駆動ギヤ88が取り付けられており、駆動ギヤ88を介して駆動モータ89に連結されている。ここでは、供給又は巻取り機能の切り替えは、ユーザの選択に基づいてCPU201が駆動モータ89を制御することによるガイド部材82の位置の切り替え、及びユーザの紙管17のセット動作、によって行われる。また、図17(a)及び(b)に示すように、ここでは図1等に示すロッド63b等が設けられていない。そのため、図19(a)に示すように、ここでは、ガイド部材82が収納されていればバスケット62が収納されていなくても、供給ユニットとして用いていたロール供給部を巻取りユニットとして用いることができる。
このように、ここでも可動のガイド部材を用いることによって所望の場所へシートを導くことができるとともに、可動のロールカバーを用いることによってロールシートのセット時等においてこれらの部材がその動作の妨げになることを防止することができる。
(第3実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態における排紙ガイド61、ガイド部材68に対応する部材として、排紙ガイド90を用いる。その他の構成は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。ここでは、排紙ガイド90によってガイド部が構成されている。
図20(a)及び(b)は本実施形態のプリンタ102を示す概略断面図である。図20(a)は何れのロール供給部70も供給ユニットとして用いる場合を示している。図20(b)は、ロール供給部70aを供給ユニットとして、ロール供給部70bを巻取りユニットとして、夫々用いる場合を示している。
図20(a)及び(b)と図2とを比較すると、排紙ガイド90は、z方向において、排紙ガイド61及びガイド部材68を組み合わせた大きさに相当する大きさを有している。シート1は、バスケット62又はロール供給部70bに向けて、排紙ガイド90によってガイドされる。このように、ここでは、バスケット62又はロール供給部へ向けてシートをガイドする部材を、排紙ガイド90の1つの部材によって構成する。これによって、第1実施形態のように排紙ガイド61とガイド部材68とを別部材とする構成と比較して、ガイド部材68を収納または引き出す動作を必要とせず、位置検知センサ69等を配置することも必要としない。
図20(a)及び(b)に示すように、ここでは、排出モード(供給モード)及び巻取りモードの何れにおいても、排紙ガイド90の配置は変わらない。即ち、供給時及び巻取り時の何れにおいても排紙ガイド90は同一の位置に位置している。この場合であっても、図20(a)に示すように、排紙ガイド90と布部材64との間に排出されたシートが入り込まないように、排紙ガイド90のサイズや排紙ガイド90と布部材64との位置関係が設定されている。また、ここでは、図20(b)に示すように、排紙ガイド90を移動させなくてもバスケット62を収納することによって、シートを巻き取ることができるようになっている。
また、排紙ガイド90は、軸90aを中心として図面正面視から時計回り方向及び反時計回り方向へ回動可能となっている。そのため、本実施形態においても、上段のロール供給部70aにロールシートRをセットする際等にはユーザの動作を妨げない位置に、排紙ガイド90を退避させることができる。
このように、ここでは、バスケット62を開放するか収納するかによって所望の場所へシートを導くことができる。また、可動の排紙ガイド90を用いることによって、排紙ガイド90がロールシートのセット動作等の妨げになることを防止することができる。
(第4実施形態)
本実施形態においては補助機構200に代えてローラ対を用いる。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
図21は本実施形態のプリンタ103を示す概略断面図である。図21に示すように、ここでは、搬送ガイド8の入口付近であって搬送ローラ10及びピンチローラ11の位置よりも供給方向上流側の位置に、ローラ302、303によって構成されたローラ対が配置されている。ローラ302は不図示の駆動モータによって駆動され、ローラ303はローラ302の回転に従動回転する。この構成においては、ユーザがロールシートRをセットする際に、ロールシートRを回転させ、ローラ対の間にシート1の先端を差し込み、ローラ対にシート1を挟持させる。スプール駆動モータ34の回転速度よりもローラ302を駆動する駆動モータの回転速度を速く設定することによって、シート1の弛みを防止して、シート1を供給する。
図21に示す構成においても、可動のガイド部材68を用いる。ロール供給部を巻取りユニットとして用いない場合はガイド部材68を延在させ、シートの先端がロール供給部に入り込むことを防止する。ロール供給部を巻取りユニットとして用いる場合は排紙ガイド61にガイド部材68を収納し、巻取り動作を妨げない位置にガイド部材68を退避させる。また、ガイド部材68とともに排紙ガイド61も可動の部材とすることによって、ロールシートのセット動作等の際に、これらの部材がその動作の妨げになることを防止する。このように、ここでも第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態においては、2つのロール供給部を用いるプリンタの構成について説明したが、プリンタに用いることができるロール供給部の数は2つに限定されるものではない。3つ以上のロール供給部を用いてもよい。また、プリント部へシートを供給する供給機能と、例えば他の装置等から供給されるシートを巻き取る巻取り機能と、を有する1つのロール供給部を用いてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、可動のガイド部材を用いることによって、所望の場所へシートを導くことができる。