以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤は、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を0〜14質量%含むメタクリル系樹脂を含有する皮膜層と、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を15〜40質量%含むメタクリル系樹脂を含有する基材層と、を有するメタクリル系樹脂積層シートを備え、前記皮膜層と前記基材層の厚みの比が、皮膜層/基材層として1/199〜1/4であり、前記皮膜層が、表面に釘打ち用の穴部を有する。上記のように構成されているため、本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤は、基盤表面の耐擦傷性向上、シート表面状態の改良を実現するのみならず、光学特性、機械特性、切削加工性及び遊技盤としての演出効果のバランスに優れる。
(1)メタクリル系樹脂積層シート
本明細書において、「弾球遊技機用樹脂基盤」は、本実施形態における「メタクリル系樹脂積層シート」を製品として仕上げるべく種々の加工を施したものを意味する。ここで、上記加工としては、特に限定されないが、例えば、外周切削加工、内周切削加工、釘穴加工等を挙げることができる。また、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートは、皮膜層と基材層とを有するものであり、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を含有するメタクリル系樹脂を有する。上記メタクリル系樹脂としては、メタクリル酸エステル単量体(a1):70〜100質量%と、前記(a1)に共重合可能なその他の単量体(a2):0〜30質量%とが(共)重合したものが好ましい。より好ましくは、(a1)成分が80〜99.9質量%、(a2)成分が0.1〜20質量%の質量比率であり、更に好ましくは、(a1)成分が90〜99.5質量%、(a2)成分が0.5〜10質量%の質量比率であり、より更に好ましくは、(a1)成分が92〜99質量%、(a2)成分が1〜8質量%の質量比率である。
本実施形態において、前記皮膜層(A)のアクリル系ゴムからなる多層構造粒子の含有量は0質量%以上14質量%以下であり、好ましくは0質量%以上10質量%であり、更に好ましくは0質量%以上5質量%である。もう一方の基材層(B)のアクリル系ゴムからなる多層構造粒子の含有量は15質量%以上40質量%以下であり、好ましくは18質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは18質量%以上33質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以上30質量%以下である。
基材層(B)には後述するリワーク品を所定の要領で配合する場合、資源の有効活用ができるのみならず、本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤の品質を改善することもできる。本実施形態において、上記粉砕リワーク品の配合量が増加するにつれて、メタクリル系樹脂積層シートの全光線透過率及び引張弾性率が低下する傾向にある。さらに、上記配合量の増加するにつれて黄色度(黄味)が上昇する傾向にあるため、外観が劣る傾向にある。良好な黄色度(YI)を確保することと資源の有効利用を実現することとのバランスの観点から、リワーク品の好ましい配合量としては、0質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上60質量%以下であり、更に好ましくは0質量%以上50質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%以上40質量%以下である。上記リワーク品の配合量が70質量%以下である場合、光学特性の指標となる全光線透過率、ヘーズの低下を防止できる傾向にあり、弾球遊技機用樹脂基盤の色調が黄味を帯びると同時にシート表面状態の異物の数が増えて基盤としての商品価値が低下することを防止できる傾向にある。また、シートの切断面が黄味を帯び、外観の見栄えが劣ることを防止できる傾向にあり、その結果、遊技盤として十分な商品価値を確保できる傾向にある。例えば、70質量%以下とする場合、シート厚み10mmにおける黄色度(YI)を4以下に抑えられる傾向にある。
なお、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートは、光学特性の観点から、透明と評価されることが好ましい。ここで、透明とは、板厚10mmのシート厚みに於いて、後述する全光線透過率が85%以上であることを意味する。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、押出性、耐熱性及び加工性等の観点から、80,000以上220,000以下が好ましく、90,000以上200,000以下がより好ましい。重量平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。例えば、クロマトグラムのピークの分子量を、移動相としてテトラヒドロフランを用い、市販の標準PMMA(ポリメチルメタクリレート)の測定から求めた検量線を用いて求めることができる。なお、上記検量線は、例えば、ピーク分子量の異なる複数の標準PMMAを使用して作成することができる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂に使用できる単量体(a1)としては、本実施形態の所望の効果を達成できるものであれば特に限定されず、好ましい例としては、下記一般式(i)で示されるメタクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
(式(i)中、R
1はメチル基を表す。また、R
2は炭素数が2〜12の基を表す。上記R
2として、好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基を表し、炭素上に水酸基を有していてもよい。)
上記メタクリル酸エステル系単量体(a1)の好適な具体例としては、以下に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。上記メタクリル酸エステル単量体(a1)は、上記した中の1種を単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。
また、本実施形態において、上記メタクリル酸エステル系単量体(a1)と共重合可能な他の単量体(a2)としては、下記一般式(ii)で表されるアクリル酸エステル単量体を好適に用いることができる。
(式(ii)中、R
3は水素原子であり、R
4は炭素数が1〜18の炭化水素基である。)
上記アクリル酸エステル単量体の好適な具体例としては、以下に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
本実施形態において好適に用いられる単量体(a2)として、上述した以外にも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれら(ただしアクリル酸、メタクリル酸を除く)のアルキルエステル;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミドや、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げることができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂積層シートにおいては、耐熱性、光学特性、加工性等、特に求められる特性を向上させる目的で、上述したビニル系単量体を適宜添加して共重合させてもよい。
なお、多官能モノマーを用いる場合は、得られる樹脂シートの取り扱い性を考慮すると、多官能モノマーの使用量を0〜0.5質量%とすることが好ましい。
本実施形態において、特に好適に使用される他の単量体(a2)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。他の単量体(a2)は、上記した中の1種を単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。更に好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂の製造方法は何ら限定されるものではなく、公知の重合方法を用いることができる。また、メタクリル系樹脂積層シートは、2層以上からなる複数層の樹脂シートであってもよい。
(2)アクリル系ゴム粒子からなる多層構造粒子
本実施形態におけるアクリル系ゴム粒子とは、粒子の中心から中心硬質層、軟質層、最外硬質層の順で形成される3層構造を少なくとも有し、多層構造を有するものといえる粒子である。すなわち、中心硬質層の周りを軟質層が被覆し、軟質層の周りを最外硬質層が被覆する3層構造を例示できる。また、本実施形態では、必要に応じて、軟質層と最外硬質層との間に中間硬質層をさらに有する4層構造としてもよいし、5層以上の多層構造としてもよい。それらの中でも、白化やクラック防止の観点から、3層構造が好ましい。メタクリル系樹脂積層シートに上記アクリル系ゴム粒子を配合することで、当該メタクリル系樹脂積層シートを用いた遊技盤にパチンコ釘を打った際に、釘打ちした周辺の白化やミクロクラックによる割れを防ぐことができる。
アクリル系ゴム粒子の材料としては、特に限定されず、公知のアクリル系ゴム粒子を用いることができる。例えば、特公昭60−17406号公報、特開平8−245854公報、特公昭55−27576号公報、特公昭58−1694号公報、特公昭59−36645号公報、特公昭59−36646号公報、特公昭62−41241号公報、特開昭59−202213号公報、特開昭63−27516号公報、特開昭51−129449号公報、特開昭52−56150号公報等に記載のアクリル系ゴム粒子を用いることができる。
アクリル系ゴム粒子の具体例としては、以下に限定されないが、下記(ア)、(イ)、(ウ)等のアクリル系ゴム粒子が挙げられる。
(ア)下記(a)〜(c)工程により得られる、アクリル系ゴム粒子:
(a)メタクリル酸メチル単独又はメタクリル酸メチルとこれと共重合可能な単量体との混合物を乳化重合させて、メタクリル酸メチルを主体とし、25℃以上のガラス転移点を有する重合体の分散液を形成させる第一層形成工程、
(b)上記第一層形成工程の生成物に、アルキルアクリレートを主体とし、さらにこれと共重合可能な単量体及び多官能性架橋剤の少なくとも一方と、混合物全質量に基づき0.1〜5質量%の多官能グラフト剤と、を含有する混合物であって、単独で重合させたときにガラス転移点が25℃以下の共重合体を形成する混合物を加えて乳化重合させる第二層形成工程、及び
(c)上記第二層形成工程の生成物に、単独で重合させたときに25℃以上のガラス転移点をもつ重合体を形成する、メタクリル酸メチル又はこれを主体とする単量体混合物に連鎖移動剤を段階的に増加させ、多段階で乳化重合させる第三層形成工程。
(イ)ポリマーの溶融開始温度が235℃以上であり、かつ、内層に単独で重合した場合のガラス転移温度Tgが25℃以下であるポリマーを含む少なくとも1層の軟質重合体層と、最外層に単独で重合した場合にTgが50℃以上であるポリマーを含む硬質重合体層と、を有するアクリル系多層構造ポリマーの乳化ラテックスを凝固して得られる凝固粉を含むアクリル系ゴム粒子であって、乾燥後の凝固粉の粒径212μm以下の微粉の割合が40質量%以下であり、かつ、乾燥後の凝固粉の水銀圧入法で測定した孔径5μm以下の空隙体積が単位面積当たり0.7cc以下である、アクリル系ゴム粒子。
(ウ)下記(d)〜(j)を満たす、アクリル系ゴム粒子:
(d)メタクリル酸メチル90〜99質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜10質量%及び、これらと共重合可能なα,β−不飽和カルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルから選ばれる少なくとも1種からなるグラフト結合性単量体0.01から0.3質量%からなる単量体混合物を重合して得られる最内硬質層重合体25〜45質量%、
(e)上記最内硬質層重合体存在下に、n−ブチルアクリレート70〜90質量%、スチレン10〜30質量%及びこれらと共重合可能なα,β−不飽和カルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルから選ばれる少なくとも1種からなるグラフト結合性単量体1.5〜3.0質量%からなる単量体混合物を重合して得られる軟質層重合体35〜45質量%、
(f)上記最内硬質層及び軟質層からなる重合体の存在下に、メタクリル酸メチル90〜99質量%、アルキル基の炭素数が1〜8である単量体混合物を重合して得られる最外硬質層重合体20〜30質量%とからなり、
(g)軟質層重合体/(最内硬質層重合体+軟質層重合体)の質量比が0.45〜0.57であり、
(h)平均粒子径が0.2〜0.3μmである、多層構造アクリル系重合体であって、さらに、当該多層構造アクリル系重合体をアセトンにより分別した場合に、
(i)グラフト率が20〜40質量%であり、
(j)当該アセトン不溶部の引っ張り弾性率が1000〜4000kg/cm2である。
本実施形態におけるアクリル系ゴム粒子としては、市販されているものを用いることができる。例えば、三菱レイヨン(株)製「ゴムIR377(商品名)」、「ゴムIR441(商品名)」等が挙げられる。
(3)アセトン不溶部(質量%)
本実施形態において、メタクリル系樹脂積層シート中に含まれるゴム成分、すなわち、皮膜層と基材層とに含まれるゴム成分(アクリル系ゴムからなる多層構造粒子)のアセトン不溶部は、15質量%以上37質量%以下であることが好ましい。上記の範囲を満たす場合、本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤は、顕著な表面硬さを確保でき、傷の発生を効果的に防止できる傾向にあるだけでなく、基盤表面の異物の発生防止を抑制し引張弾性率を確保することができる傾向にもある。さらに、上記アセトン不溶部は、より好ましくは19質量%以上35質量%以下であり更に好ましくは19質量%以上29質量%以下である。上記範囲を満たす場合、本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤の透明性〔全光線透過率、ヘーズ(曇価)、黄色度(YI)〕、シート表面状態(凝集体の個数、異物の個数)引張弾性率、鉛筆硬度、釘打ちによるクラック無し等の抑制効果等が特に優れたものとなる傾向にある。上記アセトン不溶部の含有量は、後述する実施例に記載の要領で測定することができる。
<その他の樹脂>
本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートには、剛性や耐薬品性、光学特性等の特性を付与する目的で、メタクリル系樹脂以外の樹脂を配合することができる。その他の樹脂としては、本実施形態における効果を発揮できるものであれば、特に限定はされないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂)、AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン系樹脂)、BAAS系樹脂(ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン系樹脂)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン系樹脂)、AAS系樹脂(アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン系樹脂)、ポリ乳酸等の生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。特に、AS系樹脂、BAAS系樹脂は、流動性をより向上させる観点から好ましく、ABS系樹脂、MBS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂は耐衝撃性をより向上させる観点から好ましい。
その他の樹脂を配合する場合の配合割合は、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シート中のメタクリル系樹脂とその他の樹脂の合計を100質量%とした場合に、0〜60質量%が好ましく、より好ましくは0〜50質量%であり、更に好ましくは0〜40質量%、より更に好ましくは3〜40質量%、とりわけ好ましくは3〜30質量%である。
<添加剤>
本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートには、剛性や寸法安定性等の各種特性をより良好に付与する観点から、所定の添加剤を添加してもよい。
上記添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤;可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル)、難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等)、難燃助剤(例えば、酸化アンチモン類、金属酸化物、金属水酸化物等)、硬化剤(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシレンジアミン、m−フェヒレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等のアミン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂類、液状ポリメルカプタン、ポリサルファイド等のポリメルカプタン、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)等の酸無水物等)、硬化促進剤(2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、テトラメチルヘキサンジアミン等の三級アミン類、トリフェニルホスファインテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアミンテトラフェニルボレート等のボロン塩、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン等のキノイド化合物等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤(アルコール、及びアルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等)、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等)、衝撃付与剤、摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、相溶化剤、核剤、強化剤、流動調整剤、染料(ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等の染料)、増感剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料等の無機顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタリシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等の有機系顔料、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属メッキやスパッタリングで被覆したもの等のメタリック顔料等)、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、さらにはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等)、消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等)、カップリング剤、光拡散性微粒子、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
上記光拡散性微粒子としては、以下に限定されないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、ガラスビーズ等の無機微粒子、スチレン系架橋ビーズ、MS((メタ)アクリル酸−スチレン)系架橋ビーズ、シロキサン系架橋ビーズ等の有機微粒子等が挙げられる。また、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS系樹脂、環状オレフィン系樹脂等の透明性の高い樹脂材料からなる中空架橋微粒子及びガラスからなる中空微粒子等も挙げられる。上記無機微粒子においては、アルミナ及び酸化チタン等がより好ましい。また、光拡散性微粒子は、単独で使用してもよく、複数併用することもでき、何ら限定されるものではない。
ここで、光拡散性微粒子の屈折率は、1.54〜3.0が好ましく、より好ましくは1.55〜2.9、さらに好ましくは1.55〜2.8である。上記屈折率が1.54以上である場合は、十分な散乱性を確保できる傾向にある。また、上記屈折率が3.0以下である場合は、ランプ近傍での散乱を適切に制御しやすくなる傾向にあり、その結果、輝度ムラ及び出射光色調のムラを効果的に防止できる傾向にある。
上記屈折率とは、D線(589nm)に基づく温度20℃での値である。微粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、微粒子を、屈折率を少しずつ変化させることのできる液体に浸し、液体の屈折率を変化させながら微粒子界面を観察し、微粒子界面が不明確になった時の液体の屈折率を測定するという方法が挙げられる。なお、液体の屈折率の測定には、アッベの屈折計等を用いることができる。
また、光拡散性微粒子の平均粒子径は0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.25〜10μmである。平均粒子径が20μm以下であると後方反射等による光損失を効果的に抑制し、入光した光を効率的に発光面側に拡散させることができる傾向にあるため好ましい。また、平均粒子径が0.1μm以上であると出射光を効果的に拡散させることができ、所望の面発光輝度、拡散性を得ることができる傾向にあるため好ましい。平均粒子径は、例えば、既知のレーザー回析法により測定することができる。
また、本実施形態におけるメタクリル系樹脂を含有するメタクリル系樹脂組成物中において、光拡散性微粒子の含有量は、光拡散効果の発現、面発光の均一性の観点から、メタクリル系樹脂100質量部に対して0.0001〜0.03質量部、好ましくは0.0001〜0.01質量部である。
前記熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤等のリン系酸化防止剤が挙げられ、特に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられる。特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、(ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、上記リン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト等が挙げられる。
さらに、上記リン系酸化防止剤としては、市販のリン系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上述した熱安定剤の配合量は、本実施形態の所望の効果を発揮する量であれば特に限定されず、加工時にブリードアウトする等の問題を効果的に防止する観点から、メタクリル系樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下、よりさらに好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
上記紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。特に、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物が好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収剤は、メタクリル系樹脂組成物の良好な成形加工性を十分に確保する観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であることが好ましく、1.0×10-6Pa以下であることがより好ましく、1.0×10-8Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、前記メタクリル系樹脂組成物の良好な成形加工性とは、例えば、フィルムとして成形する際、低分子化合物のロールへの付着が少ないこと等を意味する。低分子化合物のロールへの付着を少なくすることで、当該低分子化合物のロール表面への堆積を効果的に防止できる傾向にあるため、外観の劣化や、光学特性の悪化を効果的に防止できる傾向にある。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることがさらにより好ましい。
紫外線吸収剤は、23℃〜260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらにより好ましく、5%以下であることがよりさらに好ましい。重量減少率は、既存の熱重量測定装置(TGA)により測定することができる。
上記紫外線吸収剤の配合量は、本実施形態の所望の効果を発揮する量であれば特に限定されないが、加工時のブリードアウト等の問題を効果的に防止できる観点から、メタクリル系樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、よりさらに好ましくは0.8質量部以下、さらにより好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
〔メタクリル系樹脂、及びメタクリル系樹脂組成物の加工方法〕
メタクリル系樹脂を加工する方法、又は当該メタクリル系樹脂を種々の添加剤や、その他の樹脂と混合し、メタクリル系樹脂組成物を加工する方法としては、特に限定されないが、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。その中でも押出機による混練が分散性、及び生産性の面で好ましい。混練温度は、メタクリル系樹脂を構成する重合体や、混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。更に好ましい範囲としては、240〜280℃である。
(4)メタクリル系樹脂積層シートないし弾球遊技機用樹脂基盤の製法
本実施形態に用いられるメタクリル系樹脂積層シートの製法は、上記した構成成分を所定の比率で添加するものである限り、特に限定されない。すなわち、種々公知の方法を適用することができる。例えば、溶融押出成形法や、射出成形法等が挙げられる。アクリル系ゴム粒子をメタクリル系樹脂積層シートに含有させる上で、多層構造粒子の均一分散を図る等の観点から、押出成形法が好ましい。また、基材層と皮膜層とを貼り合わせることで製造することもできる。
上記のとおり、本実施形態に係る弾球遊技機用樹脂基盤は、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を0〜14質量%含むメタクリル系樹脂を含有する皮膜層(A)と、アクリル系ゴムからなる多層構造粒子を15〜40質量%含むメタクリル系樹脂を含有する基材層(B)と、を有するメタクリル系樹脂積層シートを製造し、さらに当該メタクリル系樹脂積層シートを加工することで得ることができる。
基材層(B)には後述するリワーク品を所定の要領で配合する場合、資源の有効活用ができるのみならず、得られる弾球遊技機用樹脂基盤の品質を改善することもできる。リワーク品の好ましい配合量としては、0質量%以上70質量%以下であり、好ましくは0質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは0質量%以上40質量%以下である。上記リワーク品の配合量が70質量%以下である場合、光学特性の指標となる全光線透過率、ヘーズの低下を防止できる傾向にあり、弾球遊技機用樹脂基盤の色調が黄味を帯びると同時にシート表面状態の異物の数が増えて基盤としての商品価値が低下することを防止できる傾向にある。
すなわち、上記弾球遊技機用樹脂基盤の製造方法により得られる弾球遊技機用樹脂基盤は、資源の有効利用を実現するのみならず、押出性、光学特性、耐擦傷性、釘打ち性及び遊技盤としての演出効果のバランスに優れるものとすることができる。
シート押出時の好適な温度範囲としては、240℃以上275℃以下であり、より好ましくは245℃以上270℃以下であり、更に好ましくは250℃以上265℃以下である。樹脂温度を240℃以上とする場合、良好な樹脂粘度を確保できる傾向にあり、Tダイを出た溶融樹脂が一対の冷却ロールに挟持される際に形成される樹脂溜まり、いわゆるバンクの形状が不安定となって生産性が低下したり、フランジ部やTダイ内部の微細な滞留部に存在する劣化樹脂が掻き出されて、異物不良が発生するなどの不具合を効果的に防止できる傾向にある。一方、樹脂温度を275℃以下とする場合、樹脂の分解を防止し、シート表面にシルバーストリークが発生することを効果的に防止できる傾向にある。さらに、分解ガスによって樹脂が発泡してベントアップを生じ、生産性が低下することも防止できる傾向にある。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートは、耐衝撃性にも優れている。そのため、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートの表面に、例えば、多軸穴あけ機等のNC加工機を用いて釘穴加工する際、パチンコ釘(特に真鍮製パチンコ釘、樹脂セル盤用)を安定して打ち込むことができる。より安定した釘打ちを実現する観点から、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートの好ましい厚さは釘の保持力より5mm以上15mm以下であることが好ましいが、このような範囲に限定されず、良好なパチンコ釘の打ち込みが可能である。このように、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートは、ベニア合板以上の釘打ち加工性、及び釘の保持力を有する。
また、パチンコ釘の材質としては、真鍮製、鉄製、ステンレス製等があるが、真鍮製が好ましい。また、真鍮製釘には捻子が無いものと捻子が有るものとの2種類があるが、シート表面に釘打ちした後の当該釘の保持力、釘穴径と釘径とのクリアランス及び釘周辺に発生するミクロクラック発生の有無を考慮して、上記2種類の真鍮製釘を適宜使い分けることができる。
なお、本実施形態の弾球遊技機用樹脂基盤において、皮膜層は、その表面に釘打ち用の穴部を有する。なお、穴部の形状、位置、個数、間隔等は特に限定されず、用途に応じて適宜調整することができる。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートのシート厚は、5mm以上19mm以下の範囲が好ましく、8mm以上12mm以下がより好ましい。上記シート厚が5mm以上である場合、シート表面に釘抜き時の保持力が向上する傾向にあり、当該シート厚が19mm以下である場合、弾球遊技機樹脂基盤としてより良好な全光線透過率及び黄色度を維持することでき、液晶表示がより鮮明に見える等、演出効果がより向上する傾向にある。ここで、十分に良好な外観を確保する観点から、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートのシート厚み10mmにおける黄色度(YI)が3.5以下であることが好ましい。同様の観点から、上記YIは3.0以下、0以上であることがより好ましく、さらに好ましくは2.8以下である。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートの引張弾性率は、2000MPa以上2600MPa以下であることが好ましく、より好ましくは2050MPa以上2550MPa以下である。引張弾性率が2550MPa以下である場合、シート表面への釘打ち後に発生しうる白化やクラックをより効果的に防止できる傾向にあり釘を引き抜き場合の釘の耐久性に耐える釘の保持力を有し、2050MPa以上である場合はシートの剛性及び硬度(硬さ)がより向上し、シート表面へのキズの付着をより効果的に防止でき耐擦傷性に優れる傾向にある。
(5)積層樹脂構成厚み比
本実施形態における皮膜層と基材層との厚み比は、耐擦傷性、釘打ち加工性、及び切削加工性に影響を与える。板厚10mmの基盤を想定した場合、ゴム配合量の少ない皮膜層の厚みを厚くするに伴い釘打ち時にクラックが発生し切削加工時に樹脂が粘り刃物(切削加工具)に溶融した樹脂が付着し、切削加工に問題が生じることがある。そのため、皮膜層の厚みとしては薄い方が好ましい。すなわち、本実施形態において、皮膜層/基材層の厚み比は、1/199〜1/4の比率であり、好ましくは1/99〜1/4であり、より好ましくは1/49〜1/5.7であり、更に好ましくは、1/49〜1/9である。
(6)粉砕リワーク品
押出成形等に供するにあたって、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートのバージン材に配合するリワーク品の配合量は、シートの光学特性(全光線透過率、ヘーズ及び黄色度)、外観(ゴム粒子凝集体の個数及び異物の個数)、引張弾性率等に影響を与える。
押出成形や射出成形等の各種成形加工に供される樹脂成形材料は、通常、懸濁重合法や、溶液重合法等の各種重合方法によって製造され、主としてビーズ、またはペレット状の形態で各種成形加工に供される。懸濁重合等によって製造されたビーズは、さらに押出機によって溶融混練され、ペレット状に加工された後に押出成形や射出成形等の各種加工工程に供される場合もある。
本明細書における「バージン材」とは、上記の各種成形加工に供する目的で準備された成形材料であり、かつ、押出成形や射出成形等の成形加工に供されたことが一回も無いゴム粒子を含有するメタクリル系樹脂材料を意味する。
さらに、「リワーク品」とは、既に樹脂シート、樹脂フィルム、あるいは任意の形状の射出成形品等として一回以上成形加工工程に供されたことのある樹脂材料であって、上記バージン材用のメタクリル系樹脂(A)のシートとは異なるメタクリル系樹脂(B)のシートを粉砕して得られた粉砕物等を意味するものとする。またこの粉砕物を、押出成形時の生産安定性向上や、各種添加剤の配合等の目的を達成するため、必要に応じて押出機によって溶融混練し、ペレット状に加工した樹脂材料も、本明細書における「リワーク品」に含まれる。なお、上記メタクリル系樹脂(A)とメタクリル系樹脂(B)とが上述のように区別できれば足り、その原料となる樹脂材料は同種であってもよく、異なっていてもよい。また上記のゴム粒子を含有するアクリル系樹脂の粉砕品と併せて、ゴム粒子を含有しないアクリル系樹脂のシートあるいは射出成形品の粉砕品や、さらにはAS等、バージン材とは異なる種類の樹脂材料で形成された成形加工品の粉砕品を用いることもできる。その際、本実施形態におけるメタクリル系樹脂積層シートとして必要な、光学特性、表面硬度、外観、耐熱性等の物性を損なわないように各粉砕品の添加量を調整することが好ましい。
本実施形態における「リワーク品」を得るために粉砕される成形加工品としては、特に限定されないが、例えば、シート押出成形工程において、シート幅方向両端のトリミング処理によって発生する端材や、生産条件を調整している間に発生する規格外品(例えば板厚が規格から外れるシート等)等に加え、遊技盤の内外周を切削加工する際に発生する端材等を用いることができる。さらには、ゴム粒子含有アクリル樹脂によって形成された射出成形品等も同様に使用可能である。また、上記粉砕の程度については、押出機での溶融混練が安定して行える範囲であれば特に限定されないが、例えば、最長長さが1〜15mm程度のフレーク状不定形物とすることができる。なお、本実施形態における上記の粉砕の方法としては、特に限定されず、種々公知の粉砕方法を採用することができる。
以上のとおり、本実施形態の弾球遊技機基盤によれば、例えば、シート作製時に発生する厚み調整(切替)板、シート端部をトリミングした端材、不具合シート、或いは弾球遊技機基盤製作時に発生する中抜き材(シート中央部)、及び端材を回収し、押出可能な形状(サイズ)に微粉砕した粉砕品をシート製作時に押出機内に戻して(リワーク)、品質を改善することもでき、資源の有効活用のみならず弾球遊技機基盤の品質改善に資する技術ともいうことができる。
次に実施例及び比較例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
下記の実施例1〜18及び比較例1〜5について、次に示す特性試験を実施した。すなわち、各実施例及び各比較例で得られたシートを対象とし、皮膜層におけるアクリル系ゴム粒子(以下、単に「ゴム粒子」ともいう。)と基材層におけるゴム粒子の配合量とそれらの平均粒子径、アセトン不溶部、積層樹脂構成厚み比、粉砕リワーク配合量、板厚、光学特性〔全光線透過率、ヘーズ(曇価)、及び黄色度(YI)〕、シート表面状態(アクリル系ゴム粒子の分散不良による凝集体の個数、及び異物の個数)、引張弾性率、鉛筆硬度(シートの表面硬さ)、及び釘打ち後の外観(クラック発生の有無)の各項目について、各々の良否の比較評価を実施した。
(1)皮膜層におけるゴム粒子と基材層におけるゴム粒子の配合量とそれらの平均粒子径
皮膜層におけるゴム粒子と基材層におけるゴム粒子の配合量は、以下のとおり各種原料の添加量から求めた。すなわち、メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%、上記製造例のアクリル系ゴム粒子(ゴム濃度:100質量%)50質量%をタンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用し、ペレタイズ(造粒機)したゴム粒子配合量50質量%のマスターペレット(MP)を作製した。続いて上記のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルヘット:LP−1」)を使用し、皮膜層と基材層の各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ、均一混合になるように数分間混合し、所定のゴム粒子配合量の樹脂混合物を得た。この樹脂混合物をブレンドタンクへ移送した後、押出機に定量フィーダを使用し所定量を投入し板厚10mmになるようにシートを作製した。
皮膜層にゴム粒子を配合しない組成については、メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」/ゴム粒子配合無し)をブレンドタンクにそのまま投入した。
混練して得られたシートの一部の皮膜層(表面側)、及び基材層(裏面側)の箇所を抜き取り、ゴム粒子径用測定のサンプルとした。得られたサンプルの一部を切出し、RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法にて、染色されたゴム粒子断面の電子顕微鏡(×100,000倍)を用いて写真撮影した。撮影された約20個のゴム粒子の直径をスケールにて求め、その平均値を平均粒子径とした。最終的に得られた各々の皮膜層、及び基材層のゴム粒子の平均粒子径は、各々0.23μmであった。
(2)アセトン不溶部の含有量
表面保護フィルムを剥がした積層(二層)樹脂シート板厚10mmの端面より約2mm幅に切り出した後、長さ100mmにカットした(板厚×幅×長さ(mm)=10×2×200(mm))。カットした試験片をニッパー(工具)にて皮膜層、基材層の部分が出来るだけ均一にサンプリングするように切り出して数g作製し、アセトン不溶部用のサンプルとした。
切り出した試験片を一昼夜(約80℃、約12時間以上)乾燥後、約1.0gを精秤した(W1)。その後、遠沈管(金属製チューブ)にサンプルを入れた後に、アセトン20mLを加え、室温で約1日静置後、振とう機にて2時間振とうした。次に、日立工機(株)製、真空式高速冷却遠心機(機種「CR26H」)を使用し、5℃、24000rpmに条件設定し、1時間遠心分離した。
振とう後、上澄み液をデカンテーションして除いた後、新たにアセトン20mLを加え室温で1時間振とうした。上記振とう後、5℃、24000rpmの条件にて1時間遠心分離した。再度、同一方法及び条件で繰り返し合計3回行った。上澄み液をデカンテーションして除き、一晩風乾させた。
真空乾燥機を100℃に設定し、一昼夜(約12時間以上)真空乾燥後に取出し、デシケーター内で室温まで冷却後、残留物の質量を秤量した(W2)。
次式により、皮膜層と基材層の積層樹脂シートのアセトン不溶部の含有量(質量%)を算出した(X)。
アセトン不溶部(X)=(W2/W1)×100
なお、1試料にn=3の測定を行い、n=3のアセトン不溶部の結果の平均値をアセトン不溶部と定義した。
(3)積層樹脂構成厚み比
皮膜層と基材層の積層(二層)シート作製にあたっては、皮膜層と基材層の所定の比率の厚みになるように、厚み(板厚)とモーター(ギヤポンプ)回転(rpm)との検量線を用いて各々の吐出量の調整を行い押出をした。
得られたシート(板厚10mm)を切り出した後、更に皮膜層と基材層との界面断面の一部を切出し、積層樹脂構成の厚み比のサンプルを作製した。
RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法にて、染色されたゴム粒子の電子顕微鏡(×500倍)を用いて、シートの1000mm幅方向に5ヶ所を写真撮影し、ゴム粒子配合の有無或いはゴム濃度の異なる(ゴム粒子数の異なる)界面より皮膜層の厚みと推定し、5ヶ所の平均値を求めて基材層の厚みは全体の厚みより皮膜層の厚みを差し引いた厚みとした。
(4)粉砕リワーク配合量
後述する実施例14に記載の要領と同様に樹脂シートを製作した際に発生した不具合シート(板厚調整時に生じた端材、切替え時に生じた切替え品、シート押出方向両端部のトリミング後の端材等)、及び後述する実施例14に記載の要領と同様に弾球遊技機基盤を作製した際に発生した部分液晶を演出する為にシート中央部をくり抜いた中抜き材等のアセトン不溶部について同一配合量であるシート(端材)を同一箇所に集めた。次に、表面保護フィルムの剥がし忘れが無いことを確認した後、パネルソー(切断機)を使用し一定量の大きさ(700mm以下)にカットした。カットするにあたっては他樹脂、ゴミ、異物及び表面保護フィルム等が粉砕機内に出来るだけ混入しないように細心の注意を払った。その後、大型粉砕機に上記のシートを1枚ずつ毎葉にて投入し、微粉砕させ、装置内の粉砕品の温度が上昇し微粉砕品同士が融着しないように温度管理(50℃以下)をした。粉砕機中のメッシュを通過したある一定サイズ(長辺:約15mm以下)の微粉砕品をホッパーに吸引後、貯蔵しリワーク用の原料とし、その後、微粉砕品は水洗せずそのままホッパーに投入することとした。
(5)板厚
JIS B 7502「マイクロメータ」に規定する外側マイクロメータ、又はこれと同等以上の精度を有する測定器具を使用し板厚を測定した。シートの全幅1000mmに対し等間隔(250mm)に、マイクロメータを使用し5箇所を0.01mmまで測定した。各々の箇所を3回測定し平均値を求め、少数点第一位まで求めた。
(6)光学特性〔全光線透過率、黄色度(YI)〕
(a)全光線透過率、及びヘーズ(曇価)
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」の規定方法に準じて全光線透過率、及びヘーズ(曇価)を測定した。すなわち、表面保護フィルムを剥がした樹脂シートを50×50mmのサンプルサイズに3枚を切り出し、日本電色工業(株)製の濁度計型式「1001DP」を使用して全光線透過率、及びヘーズ(曇価)をn=3を測定し、平均値を求めた。この平均値を各例の全光線透過率、及びヘーズ(曇価)として採用した。
(b)黄色度(YI)
JIS K 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」の規定方法に準じ黄色度(YI)を測定した。すなわち、表面保護フィルムを剥がした樹脂シートを50×50mmのサンプルサイズに3枚を切り出し、(有)東京電色製の色差計型式「TC−8600A」を使用して、測定条件をC光源、10度視野に設定した上で、測定を行い、平均値を求めた。この平均値を各例の黄色度(YI)として採用した。ここで言う黄色度(YI)の数値は、測定値の空気の黄色度(YI)を引いた数値の黄色度(YI)とした。
(7)シート表面状態(凝集体の個数、及び異物の個数)
(a)凝集体の個数
押出機を用いて幅1000mm(長さL:300mmにカット)に押出しされたシートを幅方向に約3等分に切り出し、332×300mmサイズに切出した後、シート両面の表面保護フィルムを剥がし外観状態を詳細に観察した。アクリル系ゴム粒子分散不良に由来して発生する凝集体が全く認められない場合を「○」とし、凝集体(分散不良)の数個(2〜5)が認められた外観不良を「△」とした相対比較を目視観察により行った。それ以上の凝集体(6以上)が認められる場合を「×」とした。
(b)異物の個数
(a)凝集体の個数の相対評価で使用したサンプルをシート表面にゴミ、埃等が付着しないように、シート表面外観の目視で観察出来る微小凹凸の異物発生の相対比較を実施した。全く異物が認められない場合を「○」とし、数個(1〜5個)認められる場合を「△」とし、異物が6個以上認められる場合を「×」とした相対比較を目視観察により行った。
(8)引張弾性率
JIS K 7162−1994「プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形、押出成形及び注型 プラスチックの試験条件」の規定方法に準じ、引張弾性率を測定した。すなわち、表面保護フィルムを剥がした樹脂シートを試験片タイプ1B(長さ:L=150mm以上 厚さ:t=10mm 並行部の幅:80±2mm)に切削加工し作製後、板厚と並行部の寸法を正確に測定した。当該測定の後、引張試験機にて試験速度1mm/minにて引張り、引張弾性率を測定し、同一要領にて5回測定して平均値を求めた。この平均値を各例の引張弾性率として採用した。
(9)鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4「塗料一般試験法、第5部:塗膜の機械的性質、第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」の規定方法に準じ、表面保護フィルムを剥がした樹脂シートを100mm×150mmのサイズに切り出しサンプルとした。続いて、シートの吸湿の影響を無くす為に、約80℃の乾燥機の中に12時間以上放置した後、デシケーター中にて自然冷却させた。(株)東洋精機製作所製の鉛筆引掻き硬さ試験機を使用し、引掻き角度:45度、荷重(重り):750gの条件下にて皮膜層側のみを測定した。試験部位のキズ跡が生じる場合は、キズ跡が生じなくなるまで硬度スケールを下げて試験を繰り返し、キズ跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。
(10)釘打ち後の外観(クラック発生の有無)
各例の樹脂シート(板厚:10mm サイズ50mm×150mm)を準備し、ストレートシャンクドリル(φ1.85mm)を用いて、ボール盤にて皮膜層側より10箇以上の穴を貫通させた。次いで、市販の樹脂製用のパチンコ真鍮製釘(φ=1.85mm(平行部) 全長 27.7mm、頭部分引いた長さ26.5mmの真鍮製パチンコ釘〔先端の一部(約5mm)に捻子有り〕を、皮膜層側の釘穴の中央にセットした。続いて、銅製ハンマーにて釘の頭を数回叩き、約10mmを侵入させた。打った釘周辺のクラック発生の有無を目視観察にて詳細に評価した。
次に、アクリル系ゴム粒子の製造例を示すと共に、各実施例及び各比較例について説明する。
〈製造例〉
内容積10Lの還流冷却器付反応器に、イオン交換水6860mL、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム13.7gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上ない状態にした。
メタクリル酸メチル(以下、「MMA」とも表記する。)907g、n−ブチルアクリレート(以下、「BA」とも表記する。)33g、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(以下、「HMBT」とも表記する。)0.28g、及びアリルメタクリレート(以下、「ALMA」とも表記する。)0.93gを混合して混合物(I−1)とした。
混合物(I−1)222gを上記還流冷却器付反応器に一括添加し、添加5分後に過硫酸アンモニウム0.22gを添加した。その40分後から、混合物(I−1)の残りの719gを20分間かけて連続的に添加し、添加終了後60分間保持した。続いて、過硫酸アンモニウム1.01gを添加した後、BA1067g、スチレン(以下、「St」とも表記する。)219g、HMBT0.39g、ALMA27.3gからなる混合物(I−2)を140分間かけて連続的に添加し、添加終了後、さらに180分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム0.30gを添加した後、MMA730g、BA26.5g、HMBT0.22g、n−オクチルメルカプタン(以下、「n−OM」とも表記する。)0.76gからなる混合物(I−3)を40分間かけて連続的に添加し、添加終了後95℃に昇温し30分間保持して、ラテックスを得た。得られたラテックスを3質量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩拆・凝固させた。次いで、脱水・洗浄を繰り返したのち乾燥し、多層構造アクリル系重合体(I)を得た。
得られた多層構造アクリル系重合体(I)の一部を抜き取り、メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)を混練して、ゴム粒子のサンプルとした。得られたサンプルの一部を切出し、RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法にて、染色されたゴム粒子断面の電子顕微鏡(×100,000倍)を用いて写真撮影した。撮影された約20個のゴム粒子の直径をスケールにて求め、その平均を平均粒子径とした。最終的に得られたゴム粒子の平均粒子径は、0.23μmであった。
比較のため、アクリル系ゴム粒子として、フレーク状アクリルゴムの多層構造粒子(三菱レイヨン株式会社製、商品名「IR441」)を用い、シート押出機にて得られたシートの一部を電子顕微鏡により同一倍率にて写真撮影した。撮影された約20個のゴム粒子の直径をスケールにて求め、ゴム粒子の平均粒子径は、約0.23μmであった。すなわち、IR441により得られたゴム粒子は、上記した多層構造アクリル系重合体(I)により得られたゴム粒子とほぼ同一の平均粒子径を有するものであった。
[実施例1]
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%、上記製造例のアクリル系ゴム粒子(ゴム濃度:100質量%)50質量%をタンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用し、ペレタイズ(造粒)したゴム粒子配合量50質量%のマスターペレット(MP)を作製した。
続いて上記のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%とゴム粒子配合量50質量%のマスターペレット(MP)を各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量25質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、メイン(基材層)押出機に所定量を投入した。得られた樹脂混合物をφ104mm二軸押出機、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=34の二層押出成形機(メイン、サブ)のメイン押出機(基材層)側に供給した。
サブ押出機(皮膜層)には、メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」、ゴム粒子配合量0質量%)を投入し、ゴム粒子配合量として組成の異なる二層シートを作製した。
厚み10mm、幅1000mmに調整し、設定温度は約260℃、ダイの入口温度は約260℃で設定し、樹脂温度が260℃になるように調整後、皮膜層の厚みは0.05mmで基材層の厚みは、9.95mmになるように定量フィーダの樹脂吐出量を調整し二層シートを作製した。この時の厚み比が皮膜層/基材層=1/199になるように設定、調整した。
ダイより出たシート表面の艶付けのポリッシングロール温度は約80℃であった。得られた押出シートの両面に、表面保護フィルム(株式会社サンエー化研製、商品名「JT28」、厚み(基材層と粘着層の合計厚み):89μm、基材層:ポリエチレン、接着剤層:アクリル系粘着剤(アクリル酸エステル共重合体))をインライン工程内で貼り付けた(貼付時の圧力:2kg/cm2、テンション:約6kg)。その後、工程内にてシートを一定寸法に切断した。得られた二層シートを、丸鋸により切り出して評価用サンプルとし、上記の各評価項目について評価した。
[実施例2]
シート押出機の皮膜層の厚みが0.1mm、基材層の厚みが9.9mmになるように樹脂吐出量を調整し二層シートを作製した以外は、上述の実施例1の調製に供し、厚み比が皮膜層/基材層=1/99である評価用サンプルを得て、各評価項目について評価した。
[実施例3]
シート押出機の皮膜層の厚みが0.2mm、基材層の厚みが9.8mmになるように樹脂吐出量を調整し二層シートを作製以外は、上述の実施例1の調製に供し積層樹脂構成厚み比、皮膜層/基材層=1/49とし評価用サンプルを得て、各評価項目について評価した。
[実施例4]
シート押出機の皮膜層の厚みが1.0mm、基材層の厚みが9.0mmになるように樹脂吐出量を調整し二層シートを作製した以外は、上述の実施例1の調製に供し、厚み比が皮膜層/基材層=1/9である評価用サンプルを得て、各評価項目について評価した。
[実施例5]
シート押出機の皮膜層の厚みが2.0mm、基材層の厚みが8.0mmになるように樹脂吐出量を調整し二層シートを作製した以外は、上述の実施例1の調製に供し、厚み比が皮膜層/基材層=1/4である評価用サンプルを得て、各評価項目について評価した。
[実施例6]
実施例1で作製したメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%、上記製造例のアクリル系ゴム粒子(ゴム濃度:100質量%)50質量%をタンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用し、ペレタイズ(造粒機)したゴム粒子配合量50質量%のマスターペレット(MP)を皮膜層として使用した。
続いて上記のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)90質量%とゴム粒子配合量50質量%のMP10質量%を各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量5質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、押出機に所定量を投入した。得られた樹脂混合物をφ104mm二軸押出機、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=34の二層押出成形機(サブ)のサブ押出機(皮膜層)に供給した。
メイン押出機は、実施例1のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%とゴム粒子配合量50質量%のMP50質量%を各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量25質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、押出機に所定量を投入した。得られた樹脂混合物をφ104mm二軸押出機、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=34の二層押出成形機の基材層に供給した。この時、皮膜層と基材層との比率は、皮膜層が0.2mmとし基材層が9.8mmとなるように樹脂吐出量を調整した。
上記のように、皮膜層のゴム粒子配合量が5質量%、基材層のゴム粒子配合量が25質量%になるように調整し、厚み比が皮膜層/基材層=1/49である評価用サンプルを得て、各評価項目について評価した。
[実施例7]
皮膜層(サブ)のゴム粒子濃度として実施例1で使用したマスターペレット(50質量%のMP)18質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)82質量%のゴム粒子配合量が9質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、サブ押出機に所定量を投入した。
基材層(メイン)のゴム粒子濃度は実施例1と同一の25質量%のゴム粒子配合量の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、メイン押出機に所定量を投入した。この時、皮膜層と基材層の比率は、実施例6と同一比率(1/49)になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例8]
皮膜層(サブ)のゴム粒子濃度として実施例1で使用したマスターペレット(50質量%のMP)28質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)72質量%のゴム粒子配合量が14質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、サブ押出機に所定量を投入した。
基材層(メイン)のゴム粒子濃度は実施例1と同一の25質量%のゴム粒子配合量の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、メイン押出機に所定量を投入した。この時、皮膜層と基材層の比率は、実施例6と同一比率(皮膜層/皮膜層=1/49)になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例9]
皮膜層(サブ)のゴム粒子濃度として実施例7と同一の9質量%の配合量とし、サブ押出機に所定量を投入した。
メイン押出機のゴム粒子濃度も実施例7と同一の25質量%の配合量とし、メイン押出機に所定量を投入した。この時、皮膜層と基材層の比率は、皮膜層1.0mm、基材層9.0mmとし、皮膜層/基材層の比率が1/9になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例10]
皮膜層(サブ)の厚みを1.5mm、基材層の厚みを8.5mmとした以外(皮膜層/基材層=1/5.7)は、実施例9と同一のゴム粒子配合量になるようになるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例11]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例1と同様にメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」)ゴム粒子配合量0質量%を二層押出成形機に供給した。
メイン(基材層)押出機は、実施例1で作製したゴム粒子配合量50質量%MPを40質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)60質量%とを各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量20質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機に所定量を供給した。この時の厚み比としては、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例12]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例1と同様にメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」)ゴム粒子配合量0質量%を二層押出成形機に供給した。
メイン(基材層)押出機は、実施例1で作製したゴム粒子配合量50質量%のMPを60質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)40質量%とを各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量30質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機に所定量を供給した。この時の厚み比としては、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例13]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例1と同様にメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」)ゴム粒子配合量0質量%を二層押出成形機に供給した。
メイン(基材層)押出機は、実施例1で作製したゴム粒子配合量50質量%のMPを80質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)20質量%とを各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量40質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機に所定量を供給した。この時の厚み比は、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例14]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例1と同様にメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」)ゴム粒子配合量0質量%をストックタンクに移送した後、二層押出成形機に供給した。
メイン(基材層)押出機は、実施例1で作製したゴム粒子配合量50質量%のMPを50質量%とメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)50質量%とを各々のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、ゴム粒子配合量25質量%の樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機に所定量を供給した。
シート製作時に発生した不具合シート(板厚調整時に生じた端材、切替え時に生じた切替え品、シート押出方向両端部のトリミング後の端材等)の微粉砕(長辺:約15mm以下)品、及びNC加工機にて弾球遊技機基盤を製作する際に発生する中抜き材(シート中央部)の微粉砕品からなるリワーク品(ゴム粒子配合量25質量%)をストックタンクにいれた後、マスタペット(MP)のゴム粒子配合量25質量%の希釈品を70質量%、リワーク品が30質量%になるように自動計量装置にて所定量を測定した。3個のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機のメイン押出機に所定量を投入した。この時の厚み比は、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例15]
基材層(メイン押出機)の粉砕リワーク品の配合量を50質量%に増量した以外は、実施例14と同一方法にて、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例16]
基材層(メイン押出機)の粉砕リワーク品の配合量を70質量%に増量した以外は、実施例14と同一方法にて、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例17]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例1と同様にメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット:LP−1」)ゴム粒子配合量0質量%をストックタンクに移送した。
メイン(基材)押出機は、メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)40質量%、アクリル系ゴム粒子として、フレーク状アクリルゴムの多層構造粒子(三菱レイヨン株式会社製、商品名「IR441」)60質量%をタンブラー(混合機)にて均一分散後、30mmφ二軸押出機(ナカタニ機械株式会社製)を使用しペレタイズ(造粒機)したゴム粒子配合量60質量%のマスターペレット(MP)を作製した。続いて市販品のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)70質量%、ゴム粒子配合量60質量%のマスターペレット30質量%を自動計量装置にて所定量を測定した。この時のマスタペレット(MP)を希釈したゴム粒子配合量を30質量%とした。
2個のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機のメイン押出機に所定量を投入した。この時の厚み比は、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[実施例18]
サブ(皮膜層)押出機は、実施例17で作製したゴム粒子配合量マスターペレット(MP)60質量%を使用し、続いて市販品のメタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルパウダ:70Hビーズ」)90質量%、ゴム粒子配合量60質量%のマスターペレット10質量%を自動計量装置にて所定量を測定した。この時の皮膜層のゴム粒子配合量は、5質量%になるように調整した。
2個のストックタンクよりミキサータンクに入れ均一混合になるように数分間混合し、樹脂混合物を得て、ブレンドタンクへ移送した後、二層押出成形機に所定量を投入した。
メイン(基材層)押出機は、実施例17と同一のゴム粒子配合量になるように調整した。この時の厚み比は、実施例3と同一の皮膜層の厚み0.2mm、基材層の厚み9.8mm、比率(皮膜層/基材層)1/49になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[比較例1]
サブ(皮膜層)押出機は使用せず、実施例1の配合組成でメイン(基材層)押出機のみで板厚10mmのシートを押し出した。この時の厚み比は無く(基材層のみ)、樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[比較例2]
比較例1と同様にサブ(皮膜層)押出機は使用せず、ゴム粒子配合量(0質量%)の組成でメイン押出機のみで板厚10mmのシートを押し出した。この時の厚み比は無く(基材層のみ)、樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[比較例3]
実施例1の配合組成でサブ押出機の皮膜層厚みを0.1mmから3.0mmに変更した。この時の厚み比が、皮膜層の厚み3mm、基材層の厚み7mm、比率(皮膜層/基材層)1/2.3になるように樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[比較例4]
配合組成、皮膜層/基材層の比率を合わせつつリワーク量を30質量%から50質量%に変更した以外は、比較例1と同一条件になるように樹脂吐出量を調整し、比較用サンプルを得て各評価項目について評価をした。この時の厚み比は無く(基材層のみ)、樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
[比較例5]
配合組成、皮膜層/基材層の比率を合わせつつリワーク量を30質量%から70質量%に変更した以外は、比較例1と同一条件になるように設定した。この時の厚み比は無く(基材層のみ)、樹脂吐出量を調整し、評価用サンプルを得て各評価項目について評価した。
各実施例及び各比較例の結果を表1に示す。
表1からわかるように、比較例の弾球遊技機樹脂基盤は、いずれも、性能評価の少なくとも1つにおいて本実施形態の所望の結果が得られなかった。一方、各実施例の弾球遊技機樹脂基盤は全ての評価において本実施形態の所望の結果を示した。すなわち、本実施形態の所望のメタクリル系樹脂積層シートを備える弾球遊技機樹脂基盤とすることで、光学特性に優れ、シート表面の外観にも優れ、鉛筆硬度が大幅に向上し、更には釘打ちする際にクラックが発生せず、遊技盤としての演出効果が優れることが確認された。