JP6133248B2 - シリコーン組成物、硬化性組成物及びそれを用いた発光部品 - Google Patents
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Description
[1] 下記平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンとニトリル化合物とを含み、該ニトリル化合物の含有量が0.1質量ppm以上50質量ppm以下である、シリコーン組成物。
[平均組成式(1)中、R1は、各々独立に、(A)鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有し、炭素原子数が1以上24以下及び酸素原子数が0以上5以下である1価の脂肪族有機基、(B)無置換又は置換された炭素原子数が6以上24以下及び酸素原子数が0以上5以下である1価の芳香族有機基であって、置換された場合には、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有する置換基を有する、1価の芳香族有機基、又は(C)鎖状、分岐状若しくは環状の無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素構造、又は無置換若しくは置換された芳香族炭化水素構造を有する、炭素原子数が5以上26以下、酸素原子数が0以上5以下、及び珪素原子数が1である1価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2は、各々独立に、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有し、炭素原子数が4以上24以下及び酸素原子数が1以上5以下であり、エポキシ基を含有する1価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Yは、各々独立に、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状からなる群より選ばれる1種以上の構造からなり、炭素原子数が2以上70以下、酸素原子数が0以上15以下、及び珪素原子数が0以上10以下である2価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ZはYとの結合を表す。
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは、エポキシ変性シリコーン1モル中に存在する各シロキシ単位のモル数を表し、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは各々0以上の値でd+h+k>0、e+f+h+i+j+k>0、g=a+f+lを同時に満足する値である。]
[2] 遷移金属元素の含有量の合計値が30質量ppm以下である、[1]に記載のシリコーン組成物。
[3] 前記エポキシ変性シリコーンのエポキシ価が0.15以上0.50以下の範囲である、[1]又は[2]に記載のシリコーン組成物。
[4] R2が、各々独立に、下記一般式(2)〜(5)で表されるいずれかの有機基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
[一般式(2)〜(5)中、R3は、各々独立に、炭素原子数が1以上16以下及び酸素原子数が1以上4以下であり、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された2価の有機基を表す。]
[5] 前記ニトリル化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
[一般式(6)中、R4は、各々独立に、水素原子、シアノ基、炭素原子数が1以上2以下及び酸素原子数が0以上2以下である1価の脂肪族有機基を表す。]
[6] 前記エポキシ変性シリコーン中の全Si数に対するSiH基の含有率が2%未満である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
[7] 25℃における粘度が、500,000mPa・s以下である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のシリコーン組成物を含む硬化性組成物。
[9] 前記シリコーン組成物100質量部に対し、エポキシ樹脂用硬化剤1質量部以上200質量部以下、及び硬化促進剤0.001質量部以上10質量部以下を含む、[8]に記載の硬化性組成物。
[10] 前記シリコーン組成物100質量部に対し、カチオン重合触媒0.001質量部以上10質量部以下を含む、[8]に記載の硬化性組成物。
[11] [8]〜[10]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を用いて発光素子を封止して製造した発光部品。
[12] [8]〜[10]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を用いて得られるレンズ。
[13] [11]に記載の発光部品を用いた表示機器。
R2は、各々独立に、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有し、炭素原子数が4以上24以下及び酸素原子数が1以上5以下であり、エポキシ基を含有する1価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Yは、各々独立に、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状からなる群より選ばれる1種以上の構造からなり、炭素原子数が2以上70以下、酸素原子数が0以上15以下、及び珪素原子数が0以上10以下である2価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ZはYとの結合を表す。
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは、エポキシ変性シリコーン1モル中に存在する各シロキシ単位のモル数を表し、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは各々0以上の値でd+h+k>0、e+f+h+i+j+k>0、g=a+f+lを同時に満足する値である。
j+k+l+m>0 ・・・数式(I)
n>0 ・・・数式(II)
0≦(b+c+d)≦a+(j+k+l+m)+2n+2・・・数式(III)
j+k+l+m=0 ・・・数式(IV)
n=0 ・・・数式(V)
0≦(b+c+d)≦a+2 ・・・数式(VI)
j+k+l+m>0 ・・・数式(I)
n=0 ・・・数式(V)
0≦(b+c+d)≦a+(j+k+l+m)+2 ・・・数式(VII)
j+k+l+m=0 ・・・数式(IV)
n>0 ・・・数式(II)
0≦(b+c+d)≦a+2n+2 ・・・数式(VIII)
(A−1)メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、等の脂肪族炭化水素からなる鎖状の有機基、
(A−2)ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、等の炭素−炭素2重結合を含む脂肪族炭化水素からなる鎖状の有機基、
(A−3)シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状単位を含む炭化水素からなる有機基、
(A−4)メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基等のエーテル結合を含む有機基、
等が挙げられる。
(D−1)メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の脂肪族炭化水素からなる鎖状の有機基、
(D−2)シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状単位を含む炭化水素からなる有機基、
(D−3)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基等のエーテル結合を含む有機基、
等が挙げられる。
エポキシ変性シリコーン1分子中にR3が複数ある場合には、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。更に、光学異性体が存在する場合には、単独、或いは、2種以上の光学異性体が混在した有機基であってもよい。
一般式(11)中、pは0又は10以下の正数である。また、R6は、各々独立に、炭素原子数が1以上10以下及び酸素原子数が0以上3以下である2価の脂肪族有機基であり、R7は、各々独立に、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる群から選ばれる1種以上の構造からなる炭素原子数が1以上6以下である1価の有機基であり、Yとして炭素原子数が2以上70以下、酸素原子数が0以上15以下、及び珪素原子数が0以上10以下の範囲から選ばれる。複数存在するR6、R7は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
エポキシ変性シリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解して得られた溶液に、Cr(acac)3を0.015g、テトラメチルシランを10μL添加してNMR測定溶液とする。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回にて実施する。
本発明におけるエポキシ価とは、エポキシ変性シリコーン100g中に存在するエポキシ単位の数のことを指し、具体的には、以下の方法によって測定される値のことをいう。
試料(例えば、樹脂試料)をベンジルアルコールと1−プロパノールに溶解する。この溶液にヨウ化カリウム水溶液、ブロモフェノールブルー指示薬を添加した後、1規定塩酸にて滴定し、反応系内が青色から黄色になった点を当量点とする。当量点より、エポキシ変性シリコーンのエポキシ価を以下の数式(IX)に従って算出する。
エポキシ価(当量/100g)=(V×N×F)/(10×W)・・・数式(IX)
[ここで、W、V、N、Fは各々以下の値を表す。
W:試料の重量(g)、
V:滴定量(mL)、
N:滴定に使用した塩酸の規定度(N)、
F:滴定に使用した塩酸のファクター]
(F−1)オルガノハロシランやオルガノアルコキシシラン等の縮合反応性基を含有するオルガノシリコーンを基質として、必要に応じて加水分解した後、縮合反応に供することよって、エポキシ単位を有する有機基等を導入する方法、
(F−2)Si−H基を含有する環状のオルガノハイドロジェンシリコーン及び/又は鎖状、分岐状からなるオルガノハイドロジェンシリコーンに対し、ヒドロシリル化反応によって、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物、並びに、必要に応じて、炭素−炭素2重結合を有するシリコーンとを付加させる方法、
(F−3)エポキシ単位を含有する有機基を置換基として有する環状オルガノシリコーンを少なくとも含む環状オルガノシリコーン類を、必要に応じて分子内にSi−H基を含有、又は含有しない、鎖状及び/又は分岐状のシロキサン類共存下で開環重合する方法、
(F−4)前記(F−1)、(F−2)、(F−3)記載の方法によって得られる変性
ポリシロキサン類を再平衡化反応させることによって合成する方法、
等により製造することが可能である。前記の内、(F−1)、(F−3)、(F−4)の方法は、エポキシ基が開環する等の副反応を伴うことがしばしば見受けられるため、通常、上記の(F−2)の方法が広く用いられている。
通常、ヒドロシリル化反応を行わせるために用いられた、例えば白金、ルテニウム、ロジウム等に代表される周期律表第8属、第9属、並びに、第10属の遷移金属、該金属の塩、或いは、該金属の錯体等に由来する遷移金属がエポキシ変性シリコーンの合成生成物中に残留する。
ただし、R8は、炭素原子数が1以上10以下、酸素原子数が0以上2以下、及び窒素原子数が0以上2以下である、無置換又は置換された1価の脂肪族有機基を表す。
一般式(6)中、R4は、各々独立に、水素、シアノ基、炭素原子数が1以上2以下及び酸素原子数が0以上2以下である1価の脂肪族有機基を表す。
(G−1)Si−H基を含有する環状のオルガノハイドロジェンシリコーン及び/又は鎖状、分岐状からなるオルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物、並びに、必要に応じて、炭素−炭素2重結合を有するシリコーンとを、ヒドロシリル化反応用の遷移金属触媒及び溶媒存在下にてヒドロシリル化反応させてエポキシ変性シリコーンを製造し、該反応溶液から溶媒及び未反応の炭素−炭素2重結合を有する化合物を含む低沸成分を留去して得られたエポキシ変性シリコーンに対し、ニトリル化合物を0.1ppm以上50ppm以下となるように添加して均一混合する方法、
(G−2)Si−H基を含有する環状のオルガノハイドロジェンシリコーン及び/又は鎖状、分岐状からなるオルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物、並びに、必要に応じて、炭素−炭素2重結合を有するシリコーンとを、ヒドロシリル化反応用の遷移金属触媒及び溶媒存在下にてヒドロシリル化反応させてエポキシ変性シリコーンを製造し、該反応溶液中のエポキシ変性シリコーンに対して0.1ppm以上50ppm以下のニトリル化合物を添加して均一混合した後に、溶媒及び未反応の炭素−炭素2重結合を有する化合物を留去する方法、
(G−3)Si−H基を含有する環状のオルガノハイドロジェンシリコーン及び/又は鎖状、分岐状からなるオルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物、並びに、必要に応じて、炭素−炭素2重結合を有するシリコーンとを、ヒドロシリル化反応用の遷移金属触媒及び溶媒存在下にてヒドロシリル化反応させてエポキシ変性シリコーンを製造し、該反応溶液中のエポキシ変性シリコーンに対して50ppm超過のニトリル化合物を添加して均一混合した後に、溶媒、未反応の炭素−炭素2重結合を有する化合物、並びに、該ニトリル化合物を留去して、該ニトリル化合物の残留量をエポキシ変性シリコーンに対して0.1ppm以上50ppm以下とする方法、
等が例示できる。
これらの分離操作は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
29Si−NMR測定、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、及び、1H−NMR測定によって得られる結果を用いて算出した。
具体的には、まず、エポキシ変性シリコーンの29Si−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を解析して、水素アルキルシロキシ単位、ジアルキルシロキシ単位等の含有分率を百分率で算出した。
次いで、1H−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を元に、各有機基を有するアルキルシロキシ単位の存在率を百分率で算出した。
上記より得られた各シロキシ単位の存在率と各シロキシ単位の理論式量とを用いて、シロキシ単位の平均的式量を算出した。
引き続いて、エポキシ変性シリコーンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を下記記載の方法に従って行い、得られた数平均分子量を平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンの1モル当りの分子量として、上記で算出した各単位の存在率を考慮した平均的式量で除して平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンを構成する各単位の全モル数を算出した。得られた平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンを構成する各単位の全モル数と、該各単位の存在率とから、平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーン1モルを構成する各単位のモル数を算出した。
エポキシ変性シリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解した。該溶解液にCr(acac)3を0.015g添加して溶解した溶液に、テトラメチルシランを10μL更に添加してNMR測定溶液とした。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回(装置:日本電子社製α−400)にて行った。
重水素化クロロホルム1mLに対して、エポキシ変性シリコーン30mgを溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、400MHz(日本電子社製α−400)の1H−NMRの測定を積算回数200回にて行った。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件により求めた。
エポキシ変性シリコーンの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、その後、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
カラム温度40℃にて、溶離液(テトラヒドロフラン)を流量1mL/分の条件下でカラムを通し、RI検出による溶出時間と検出強度から数平均分子量を算出した。
カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TSKguardcolumnHXL−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G5000HXL、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G3000HXL、及び東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G1000HXLの各1本ずつを直列に配置して使用した。また、Polymer Laboratories社製の分子量が各7,500,000、2,560,000、841,700、320,000、148,000、59,500、28,500、10,850、2,930、580の単分散ポリポリスチレン標準物質、及びスチレンモノマー(分子量104)を用い、予め作成した検量線から数平均分子量を算出した。
29Si−NMRの測定により求めた。
オルガノハイドロジェンシリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解した。該溶解液にCr(acac)3をオルガノハイドロジェンシリコーンに対して0.015g添加して溶解した溶液に、テトラメチルシランを10マイクロリットル更に添加してNMR測定溶液とした。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回(装置:日本分光社製α−400)にて行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を解析して、オルガノハイドロジェンシリコーン1分子中の平均組成及び(R1 2SiO2/2)単位、(R1HSiO2/2)単位の各々の平均連鎖長を算出した。
ここで、以下に、合成例にて製造したブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン、具体的には該シリコーンの末端を除くシロキシ単位がシクロヘキシルメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位、水素メチルシロキシ単位である場合を例として、平均連鎖長の算出法を具体的に説明する。
シクロヘキシルメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位をジアルキルシロキシ単位として(D1)、他方、水素メチルシロキシ単位を(H1)とした場合、D1とH1の3連鎖に対応する中心に位置する珪素のケミカルシフト値は、テトラメチルシランの珪素を基準として各々以下の範囲となる。
−D1−D1−D1− : −26.5ppm超過−23.9ppm以下
−D1−D1−H1− : −23.9ppm超過−21.5ppm以下
−H1−D1−H1− : −38.5ppm超過−37.4ppm以下
−H1−H1−H1− : −35.5ppm超過−33.0ppm以下
−H1−H1−D1− : −37.4ppm超過−35.5ppm以下
−D1−H1−D1− : −21.5ppm超過−19.5ppm以下
上記の−D1−D1−D1−単位、−D1−D1−H1−単位、−H1−D1−H1−単位、−H1−H1−H1−単位、−H1−H1−D1−単位、−D1−H1−D1−単位に相当するピークの積分値を各々、A(D1D1D1)、A(D1D1H1)、A(H1D1H1)、A(H1H1H1)、A(H1H1D1)、A(D1H1D1)とすると、ジメチルシロキシ単位の平均連鎖長(γD1)及び水素メチルシロキシ単位の平均連鎖長(δD1)は、各々下記数式(X)及び(XI)で算出することができる。
γD1=1+A(D1D1D1)/{A(D1D1H1)+A(H1D1H1)} ・・・数式(X)
δD1=1+{A(H1H1H1)+A(H1H1D1)}/A(D1H1D1) ・・・数式(XI)
島津社製ガスクロマトグラフィー分析装置GC−14Bを用い、以下の条件により求めた。
5mLのメスフラスコに、エポキシ変性シリコーン約2g及び内部標準としてn−オクタン0.015gを秤量した後、クロロホルムで5mLに希釈した溶液を、測定サンプルとした。
カラム:J&W Scientific社製DB−1(登録商標)、
長さ30m、内径0.25mm、液膜1μm
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:FID
インジェクション温度:250℃
検出器温度:300℃
昇温条件:50℃にて5min保持した後、50℃から300℃まで10℃/minで昇温した。
得られた結果から、別途作成した内部標準法による検量線を用いて、エポキシ変性シリコーン中に含有される各成分の含有量を定量し合計した。なお、数値は、エポキシ変性シリコーンに対する質量分率で表したものである。
以下の操作と算出法により求めた。
エポキシ変性シリコーンをベンジルアルコールと1−プロパノールに溶解した。この溶液にヨウ化カリウム水溶液、ブロモフェノールブルー指示薬を添加した後、1規定塩酸にて滴定し、反応系内が青色から黄色になった点を当量点とした。当量点より、エポキシ変性シリコーンのエポキシ価を以下の式に従って算出した。
エポキシ価(当量/100g)=(V×N×F)/(10×W)
[ここで、W、V、N、Fは各々以下の値を表す。
W:試料の重量(g)
V:滴定量(mL)
N:滴定に使用した塩酸の規定度(N)
F:滴定に使用した塩酸のファクター]
遷移金属元素の含有量の分析は四重極ICP質量分析装置(Thermo Elemental製:X7−ICP−MS)を用いて測定した。
シリコーン組成物の高温における保存安定性は、以下の数式(XII)で示す保存安定性指標αで評価した。
保存安定性指標α=(保存粘度)/(開始粘度) ・・・数式(XII)
製造直後のシリコーン組成物を入れた容器を密封し、25℃で2時間、温度調整した後、25℃における粘度を測定し、これを「開始粘度」とした。更に、シリコーン組成物を入れた容器を密封し、60℃の恒温インキュベーター内で、1週間保存した。所定期間保存後、上記と同様に25℃における粘度を測定し、これを「保存粘度」とした。
保存安定性指標αが4以下である場合に、保存安定性を有すると判断して○とし、該指標αが4を超える場合には、保存安定性が無いと判断して×とした。
なお、粘度は、以下の測定方法により測定した。
回転式E形粘度計(東機産業株式会社製、「TV−22形」、ローター:3°×R14)に0.4mlの樹脂組成物サンプルを仕込み、温度25℃にて樹脂組成物を測定した。
厚さ3mmの硬化物を用い、厚さ方向の350nm、400nm、450nmの光線透過率を日本分光(株)社製JASCO V−550により測定した。初期における光線透過率が80%以上を◎、70%以上80%未満を○、70%未満を×とした。
光ファイバーを経由してUV照射装置(ウシオ電機製:SP−7)から50℃一定にした恒温乾燥機中の厚さ3mmの硬化物にUV光を照射できるようにセットした。365nmバンドパスフィルターを用いて、330〜410nmの光を、3W/cm2になるように照射した。
照射開始後、250時間以上硬化物が着色しないものを◎、200時間以上250時間未満で硬化物が着色するものを○、200時間未満で着色するものを×とした。
厚さ3mmの硬化物を用い、厚さ方向の400nmの光線透過率を日本分光(株)社製JASCO V−550により測定した。次に該硬化物を、空気下で150℃で100時間加熱条件に供した後、室温で放冷した。その後、試料の厚さ方向における400nmの光線透過率を再度測定した。加熱処理前の試料の光線透過率に対する加熱処理後の試料の光線透過率の比率を光線透過保持率として算出した。光線透過保持率が90%以上を◎、85%以上90%未満を○、85%未満を×とした。
20mm×20mm×2mmの平板の中央に、10mmφ、深さ1mmの窪みを施したポリフタルアミド(ソルベイ社製アモデル4122)製樹脂型枠内に、5mm×5mm×0.2mmのシリコンチップを入れておき、樹脂組成物を注型し、加熱硬化して試験片を得た。得られた試験片を、冷熱サイクル試験機(エスペック社製TSE−11−A)で−40℃にて15分保持した後、平均3分で120℃まで昇温し、120℃で15分間保持し、次いで、平均3分で−40℃まで降温するサイクルにて試験を行った。
硬化した樹脂中のクラックの発生有無を目視で観察し、耐クラック性の評価とした。40サイクル以上クラックが入らなかったものを◎、20サイクル以上40サイクル未満でクラックが発生したものを△、5サイクル未満でクラックが発生したものを×とした。
また、密着性は、硬化した樹脂とポリフタルアミド樹脂型枠の間に剥離が発生した回数で評価し、40サイクル以上剥離が生じなかったものを◎、20サイクル以上40サイクル未満で剥離が発生したものを△、5サイクル未満で剥離が発生したものを×とした。
窒素雰囲気下で、還流管及びスターラーバーを備えた50mlの2口フラスコに、5塩化リン(和光純薬製試薬)8.34g、塩化アンモニウム(和光純薬製試薬特級品)1.06g及びテトラクロロエタン(アルドリッチ社製試薬)20mlを仕込んだ後、大気圧の窒素を20ml/分で流通させながら160℃で15時間反応を実施し、黄色溶液を得た。反応終了後、大気圧窒素雰囲気下にて攪拌を継続しながら系内に石油エーテル(和光純薬製試薬)20mlを加えて、固体を析出させた。引き続き窒素雰囲気下にて、得られた固体を減圧濾過し、n−ヘキサン(和光純薬社製試薬有機合成用脱水グレード)100mlを用いて洗浄後、再度、窒素下にて減圧濾過を行った後、減圧乾燥して、淡黄色粉末のフォスファゼン化合物7.1gを得た。以下の参考例1〜2では、ジクロロメタン(和光純薬社製試薬有機合成用脱水グレード)1g当たり、得られたフォスファゼン化合物60mgを溶解した溶液を、フォスファゼン溶液として用いた。
<加水分解物の合成>
攪拌翼を備えた内容積3リットルのバッフル付きセパラブルフラスコに蒸留水1500gを仕込んだ後、内部を60℃に加熱した。セパラブルフラスコの攪拌翼を600回転/分で回転させながら、シクロヘキシルメチルジクロロシラン(信越化学社製試薬)500gとジメチルジクロロシラン36.4gとを均一に混合した溶液を、2g/分で滴下した。滴下完了後、引き続き2時間反応を継続し、加熱及び攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄した。次いで、室温にて、トルエン(和光純薬製試薬特級品)500g、0.02mol/リットルの蟻酸ナトリウム水溶液1リットルを添加し、攪拌翼を600回転/分で回転させた後、攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄した。引き続き、室温にて蒸留水1リットルを添加し、攪拌翼を600回転/分で回転させた後、攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄する操作を2回実施した。セパラブルフラスコからトルエン溶液を回収し、エバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去して、加水分解物を得た。
留出管及び攪拌翼を供えた500mlのセパラブルフラスコに、得られた加水分解物300g、触媒合成例で得られたフォスファゼン溶液1gを仕込んだ後、攪拌しながら系内を減圧窒素置換した。引き続き、系内を120℃に加熱し、圧力150torrで45分間、重縮合反応させた後、反応系内を窒素にて大気圧に戻すと共に60℃に冷却した。次いで、乾燥窒素下にて蒸留精製した1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン(信越化学社製試薬)7gを、窒素雰囲気下にて系内に添加し、3時間攪拌を継続して末端封止反応をさせた後、室温に冷却した。内容物をトルエン(和光純薬社製試薬特級品)を合計500ml用いて溶解回収し、得られた溶液からエバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去して、ポリジアルキルシロキサンを得た。
得られたポリジアルキルシロキサンの全ての末端構造は、H−Si(CH3)2−O−であり、末端基以外の組成は、ジメチルシロキシ単位20モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位80モル%であった。分子量測定の結果、溶出曲線は2峰性であり、高分子量側のピークの数平均分子量は11,700、エリア面積は全ピークに対して65%であった。
必要に応じて、上記の合成操作を繰り返し実施してポリジアルキルシロキサンを得て、以下の反応に用いた。
還流冷却器、温度計及びスターラーバーを備えた0.5リットルの反応器に、乾燥窒素下にて蒸留精製した1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(信越化学社製試薬)を270g、窒素下にて蒸留精製した1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン(信越化学社製試薬)を145g、真空下にて110℃で5時間乾燥した活性白土(TONSIL OPTIMUM 230FF:ズード ケミー社製)を0.42g仕込み、窒素下、65℃にて攪拌条件下、24時間反応を行った。得られた反応液を乾燥窒素下にて1μmのフィルターを通過させて触媒を除去した後、50℃、2kPaの条件で3時間かけて低分子量オリゴマーを留去してポリ水素メチルシロキサンを得た。
得られたポリ水素メチルシロキサンの全ての末端構造はH−Si(CH3)2−O−であり、主鎖構造は水素メチルシロキシ単位のみであった。また、数平均分子量は600であった。
必要に応じて、上記の合成操作を繰り返し実施してポリ水素メチルシロキサンを得て、以下の反応に用いた。
<平衡化反応>
攪拌翼を備えた300mlのセパラブルフラスコに、乾燥窒素下にて参考例1で得られたポリジアルキルシロキサン95g、参考例2で得られたポリ水素メチルシロキサン35.1gを仕込み、攪拌条件下、系内を20℃に冷却した。系内が均一に混合分散された後、乾燥窒素下にて、攪拌を継続しながらトリフルオロメタンスルホン酸(和光純薬社製試薬特級品)を乾燥窒素条件下でポリジアルキルシロキサンとポリ水素メチルシロキサンの合計重量に対して0.25wt%添加して、平衡化反応を15分間反応を行った後、添加したトリフルオロメタンスルホン酸と等モル量のトリエチルアミン(和光純薬社製試薬特級品)を添加して、攪拌を30分継続した。30分経過後、攪拌を停止して反応系を室温として、内容物をトルエン(和光純薬社製試薬特級品)を合計600ml用いて溶解回収した。回収溶液を2リットルの分液ロートに移し、0.02mol/リットルの炭酸水素ナトリウム水溶液700mlを添加して分液洗浄した後、相分離させて水相を廃棄する。引き続き、蒸留水700mlを添加して分液洗浄した後、相分離させて水相を廃棄する操作を2回実施した。トルエン溶液を回収し、エバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去してシリコーンを得た。
内径70mm、有効長さ200mmのパイレックス(登録商標)ガラス製の円筒状チューブに、上記で得られたシリコーンを仕込み、加熱用面ヒーターを有するガラスチューブオーブン[柴田科学(株)製GTO−350RG]にセットした。室温条件下、内部を窒素置換した後に、内部の円筒形チューブの回転を開始し、圧力0.1kPaの条件下、温度200℃に昇温して1時間、引き続き温度を250℃に昇温して3時間、更に引き続いて温度を300℃に昇温して3時間かけて低分子量成分の留去を実施した。低沸留去終了後、室温に冷却後に乾燥窒素で大気圧とし、水素メチル単位連鎖及びジアルキル単位連鎖を交互にブロック単位として有する水素アルキルシロキサン(以下、「ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン」と略記する。)を得た。
分子量測定の結果、得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの数平均分子量は7,200、ジアルキルシロキシ単位及び水素メチルシロキシ単位の平均連鎖長は、各々40及び4.3であった。
得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの全ての末端構造は、[H−Si(CH3)2−O1/2−]であり、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの組成は、[H−Si(CH3)2−O1/2−]単位2.3モル%、水素メチルシロキシ単位29.3モル%、ジメチルシロキシ単位14.2モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位54.2モル%、ジアルキルシロキシ単位及び水素メチルシロキシ単位の平均連鎖長は、各々40及び4.3であった。
また、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中には、シロキサン交換反応に用いたトリフルオロメタンスルホン酸やトリエチルアミン由来の化合物は含まれていなかった。
<シリコーン組成物の製造>
還流冷却器、温度計及び撹拌装置を有する1リットルの反応器を乾燥窒素で置換した。乾燥窒素条件下にて、前記装置に、合成例1にて製造したブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン60g、乾燥窒素下にて脱水蒸留精製した4−ビニルシクロへキセンオキサイド(アルドリッチ社製試薬)217.8g、窒素下にて脱水蒸留精製した1,4−ジオキサン(和光純薬社製試薬特級品)328gを仕込み、大気圧乾燥窒素雰囲気下で攪拌しながら65℃に昇温した。
これに、白金元素換算で500ppmの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,4−ジオキサン希釈溶液0.5gを乾燥窒素下にて添加し、ヒドロシリル化反応を60時間反応を実施した後、室温まで放冷した。加熱停止直前にサンプリングしたところ、定量的にヒドロシリル化反応が進行しており、未反応のSiH単位は検出されなかった。
反応混合液からエバポレーターを用いて、減圧条件下、加熱温度40℃にて1,4−ジオキサンを留去し、エポキシ変性シリコーンを得た。
得られたエポキシ変性シリコーン100gを内径70mm、有効長さ200mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに入れ、ガラスチューブオーブン(柴田科学製GTO−350)にセットした。内部の円筒形チューブの回転を開始し、室温条件下にて内部を乾燥窒素置換した後に、温度35℃、圧力0.1kPaにて、内部に大気圧換算で10ml/分の流量にて乾燥窒素を導入しながら80時間処理して、低沸化合物を低減した、エポキシ変性シリコーン(1a)を得た。
得られたエポキシ変性シリコーン(1a)の全ての末端構造は、ヒドロシリル化反応によりトリアルキルシロキシ基に変性されており、エポキシ変性シリコーン(1a)を構成する全Siに対するSiH単位の含有率(%)を表す[(c+i+m)/(a+b+c+d+e+f+g+h+i+j+k+l+m+n)×100]の値及び分岐鎖の含有率(%)を表す[(j+k+l+m+2n)/(a+b+c+d+e+f+g+h+i+j+k+l+m+n)×100]の値はいずれもゼロであった。
末端基を除いた組成は、水素メチルシロキシ単位にビニルシクロヘキセンオキサイドが付加した単位30.0モル%、ジメチルシロキシ単位14.5モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位55.5モル%であった。分子量測定の結果、数平均分子量は9,700であった。また、エポキシ基の開環に伴う高分子量部の形成は全く見られなかった。
エポキシ変性シリコーン(1a)中に残留する低沸化合物としては、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド及び4−ビニルシクロヘキセンオキサイドの炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した4−エチリデニルシクロヘキセンオキサイドが検出され、それらの残留量は各々40ppm、30ppmであった。その他の化合物は検出されなかった。
また、エポキシ変性シリコーン(1a)のエポキシ価は0.214、含有される遷移金属元素は白金のみであり、該元素の含有量は5ppmであった。
上記の合成操作を繰り返し実施してエポキシ変性シリコーン(1a)を得て、以下の処理を行った。
内容量2リットルのSUS316製の槽及びシグマ翼を有する高粘度攪拌機にエポキシ変性シリコーン(1a)を1,000g、アルドリッチ社製o−トルニトリルを0.045g仕込み、窒素雰囲下、30℃にて2時間混合して、o−トルニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(1b)を得た。シリコーン組成物(1b)中のo−トルニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、45ppmであった。シリコーン組成物(1b)の高温における保存安定性評価結果を表1に示す。
得られたシリコーン組成物(1b)100質量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸36質量部、1,3−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(1)を得た。硬化性組成物(1)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)にo−トルニトリルを均一混合する際に、o−トルニトリルを0.0003g用いたこと以外は実施例1と同様にして、o−トルニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(2b)を得た。シリコーン組成物(2b)中のo−トルニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、0.3ppmであった。シリコーン組成物(2b)の高温における保存安定性評価結果を表1に示す。
得られたシリコーン組成物(2b)100質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)38.1質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(2)を得た。硬化性組成物(2)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)にo−トルニトリルを均一混合する際に、o−トルニトリルを0.008g用いたこと以外は実施例1と同様にして、o−トルニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(3b)を得た。シリコーン組成物(3b)中のo−トルニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、8ppmであった。シリコーン組成物(3b)の高温における保存安定性評価結果を表1に示す。
得られたシリコーン組成物(3b)100質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)38.1質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(3)を得た。硬化性組成物(3)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)にo−トルニトリルを均一混合する際に、o−トルニトリルを0.060g用いたこと以外は実施例1と同様にして、o−トルニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(1c)を得た。シリコーン組成物(1c)中のo−トルニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、60ppmであった。シリコーン組成物(1c)の高温における保存安定性評価結果を表1に示す。
得られたシリコーン組成物(1c)100質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)38.1質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(1c)を得た。硬化性組成物(1c)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)に、o−トルニトリルを混合せずに高温における保存安定性評価を行った。結果を表1に示す。
エポキシ変性シリコーン(1a)100質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)38.1質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(1c)を得た。硬化性組成物(1c)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)に均一混合するニトリル化合物としてアルドリッチ社製ベンゾニトリルを0.005g用いたこと以外は実施例1と同様にして、ベンゾニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(4b)を得た。シリコーン組成物(4b)中のベンゾニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、5ppmであった。シリコーン組成物(4b)の高温における保存安定性評価結果を表3に示す。
得られたシリコーン組成物(4b)100質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)38.1質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(4)を得た。硬化性組成物(4)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表4に示す。
<シリコーン組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1a)に均一混合するニトリル化合物としてアルドリッチ社製フタロニトリルを0.010gとしたこと以外は実施例1と同様にして、フタロニトリルが均一に混合されたシリコーン組成物(5b)を得た。シリコーン組成物(5b)中のフタロニトリル含有量をガスクロマトグラフィーにより測定した結果、10ppmであった。シリコーン組成物(5b)の高温における保存安定性評価結果を表3に示す。
得られたシリコーン組成物(5b)90質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンジカルボキシレート10質量部、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)41質量部、1,3−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(5)を得た。硬化性組成物(5)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表4に示す。
<シリコーン組成物の製造>
還流冷却器、温度計及び撹拌装置を有する1リットルの反応器を乾燥窒素で置換する。乾燥窒素条件下にて、前記装置に、合成例1にて製造したブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン60g、乾燥窒素下にて脱水蒸留精製した4−ビニルシクロへキセンオキサイド(アルドリッチ社製試薬)217.8g、窒素下にて脱水蒸留精製した1,4−ジオキサン(和光純薬社製試薬特級品)328gを仕込み、大気圧乾燥窒素雰囲気下で攪拌しながら65℃に昇温した。
これに、白金元素換算で500ppmの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,4−ジオキサン希釈溶液0.5gを乾燥窒素下にて添加し、ヒドロシリル化反応を60時間反応を実施した。60時間反応後の溶液をサンプリングしたところ、定量的にヒドロシリル化反応が進行しており、未反応のSiH単位は検出されなかった。
反応液にアルドリッチ社製o−トルニトリル25gを添加し、65℃で3時間攪拌処理した後、室温まで冷却した。
反応混合液からエバポレーターを用いて、減圧条件下、加熱温度40℃にて1,4−ジオキサンを留去し、エポキシ変性シリコーンを得た。
得られたエポキシ変性シリコーン100gを内径70mm、有効長さ200mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに入れ、ガラスチューブオーブン(柴田科学製GTO−350)にセットする。内部の円筒形チューブの回転を開始し、室温条件下にて内部を乾燥窒素置換した後に、温度35℃、圧力0.1kPaにて、内部に大気圧換算で10ml/分の流量にて乾燥窒素を導入しながら120時間処理して、低沸化合物を低減した、シリコーン組成物(6b)を得た。
得られたシリコーン組成物(6b)の全ての末端構造は、ヒドロシリル化反応によりトリアルキルシロキシ基に変性されており、シリコーン組成物(6b)を構成する全Siに対するSiH単位の含有率(%)を表す[(c+i+m)/(a+b+c+d+e+f+g+h+i+j+k+l+m+n)×100]の値及び分岐鎖の含有率(%)を表す[(j+k+l+m+2n)/(a+b+c+d+e+f+g+h+i+j+k+l+m+n)×100]の値はいずれもゼロであった。
末端基を除いた組成は、水素メチルシロキシ単位にビニルシクロヘキセンオキサイドが付加した単位30.0モル%、ジメチルシロキシ単位14.5モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位55.5モル%であった。分子量測定の結果、数平均分子量は9,700であった。また、エポキシ基の開環に伴う高分子量部の形成は全く見られなかった。
シリコーン組成物(6b)中に残留する低沸化合物としては、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド及び4−ビニルシクロヘキセンオキサイドの炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した4−エチリデニルシクロヘキセンオキサイド、o−トルニトリルが検出され、それらの残留量は各々10ppm、10ppm、28ppm含有されていた。
また、シリコーン組成物(6b)のエポキシ価は0.214、含有される遷移金属元素は白金のみであり、該元素の含有量は5ppmであった。
必要に応じて上記の操作を繰り返し実施して製造したシリコーン組成物(6b)を用い、以下の評価を行った。
シリコーン組成物(6b)の高温における保存安定性評価結果を表3に示す。
得られたシリコーン組成物(6b)100質量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸36質量部、1,3−プロパンジオール6質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.25質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して硬化性組成物(6)を得た。硬化性組成物(6)を窒素下にて深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表4に示す。
(1)ダイボンド材の製造
実施例4にて製造したシリコーン組成物(4b)に、リカシッドMH−700G(新日本理化社製品;メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸混合物)71.3質量部、1,2−プロパンジオール3質量部、ジアザビシクロウンデセンオクチル酸塩0.3質量部を窒素下にて混合し、全体が均一になるまで撹拌後、脱泡して発光素子用ダイボンド材2を得た。
150℃で2時間加熱乾燥したリード電極5付きポリフタルアミド製ハウジング材7に、上記(1)で製造した発光素子用ダイボンド材2を用いて、主発光ピークが460nmの発光素子1を実装し、120℃1時間、更に150℃で2時間硬化させ発光素子1を固定した。続いて、発光素子1とリード電極5とを金ワイヤー4で電気的に接続した後、窒素下にて実施例1にて作成した硬化性組成物(1)を型に注入し、120℃で1時間、更に150℃で2時間硬化反応を行って、発光素子用封止材3を形成し、図1に示す構造の光半導体発光素子10(以下、「光半導体素子」ともいう。)を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
実施例2で作成した硬化性組成物(2)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
実施例3で作成した硬化性組成物(3)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
実施例4で作成した硬化性組成物(4)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
実施例5で作成した硬化性組成物(5)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
実施例6で作成した硬化性組成物(6)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
また、本発明は、射出成形に適し、硬化後において硬質であり寸歩安定性にも優れた、レンズ材料として好適な硬化性組成物を提供することが可能である。
Claims (6)
- 下記平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンとニトリル化合物とを含み、該エポキシ変性シリコーンの含有量が98質量%以上であり、該ニトリル化合物の含有量が0.1質量ppm以上50質量ppm以下である、シリコーン組成物。
[平均組成式(1)中、R1は、各々独立に、(A)鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有し、炭素原子数が1以上24以下及び酸素原子数が0以上5以下である1価の脂肪族有機基、(B)無置換又は置換された炭素原子数が6以上24以下及び酸素原子数が0以上5以下である1価の芳香族有機基であって、置換された場合には、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された脂肪族炭化水素構造を有する置換基を有する、1価の芳香族有機基、又は(C)鎖状、分岐状若しくは環状の無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素構造、又は無置換若しくは置換された芳香族炭化水素構造を有する、炭素原子数が5以上26以下、酸素原子数が0以上5以下、及び珪素原子数が1である1価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2は、各々独立に、下記一般式(2)〜(5)で表されるいずれかの有機基を表す。
一般式(2)〜(5)中、R3は、各々独立に、炭素原子数が1以上16以下及び酸素原子数が0以上4以下であり、鎖状、分岐状又は環状の無置換又は置換された2価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Yは、各々独立に、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状からなる群より選ばれる1種以上の構造からなり、炭素原子数が2以上70以下、酸素原子数が0以上15以下、及び珪素原子数が0以上10以下である2価の有機基を表す。各シロキシ単位中に複数あるYは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ZはYとの結合を表す。
a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは、エポキシ変性シリコーン1モル中に存在する各シロキシ単位のモル数を表し、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、nは各々0以上の値でd+h+k>0、e+f+h+i+j+k>0、g=a+f+lを同時に満足する値である。] - 遷移金属元素の含有量の合計値が30質量ppm以下である、請求項1に記載のシリコーン組成物。
- 前記エポキシ変性シリコーンのエポキシ価が0.15以上0.50以下の範囲である、請求項1又は2に記載のシリコーン組成物。
- 前記エポキシ変性シリコーン中の全Si数に対するSiH基の含有率が2%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
- 25℃における粘度が、500,000mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーン組成物。
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