JP6145349B2 - 酸性ガス分離モジュール - Google Patents
酸性ガス分離モジュール Download PDFInfo
- Publication number
- JP6145349B2 JP6145349B2 JP2013158070A JP2013158070A JP6145349B2 JP 6145349 B2 JP6145349 B2 JP 6145349B2 JP 2013158070 A JP2013158070 A JP 2013158070A JP 2013158070 A JP2013158070 A JP 2013158070A JP 6145349 B2 JP6145349 B2 JP 6145349B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- flow path
- gas
- supply
- separation module
- acidic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
この特許文献1に開示される酸性ガス分離モジュールは、酸性ガス分離膜として、いわゆる溶解拡散膜を用いる、溶解拡散型の酸性ガス分離モジュールである。この溶解拡散膜は、膜に対する酸性ガスと分離対象物質との溶解性、および、膜中の拡散性の差を利用して、原料ガスから酸性ガスを分離する。
この特許文献2に開示される酸性ガス分離モジュールは、酸性ガス分離膜として、いわゆる促進輸送膜を用いる、促進輸送型の酸性ガス分離モジュールである。この促進輸送膜は、膜中に酸性ガスと反応するキャリアを有し、このキャリアによって酸性ガスを膜の反対側に輸送することで、原料ガスから酸性ガスを分離する。
この場合には、一例として、特許文献1にも示されるように、酸性ガス分離モジュールは、供給ガス流路用部材を酸性ガス分離膜で挟持し、その両面を透過ガス流路用部材で挟持してなる積層体によって、構成される。
さらに、供給ガス流路用部材の内部に、原料ガスの流路を変更する流路変更部材を有することを特徴とする酸性ガス分離モジュールを提供する。
また、流路変更部材が、x方向に、複数、配置されており、かつ、少なくとも1つの流路変更部材は、供給ガス流路用部材のy方向の一方の端部からy方向に向かって延在し、他の少なくとも1つの流路変更部材は、供給ガス流路用部材のy方向の逆側の端部からy方向に向かって延在するのが好ましい。
また、x方向の最上流に位置する流路変更部材は、x方向およびy方向の両方向に向かう方向に延在するのが好ましい。
また、流路変更部材は、原料ガスの供給方向に対して逆流する方向に向かい、その後、原料ガスの供給方向に向かうように、原料ガスの流路を変更するのが好ましい。
また、流路変更部材は、供給ガス流路用部材の厚さ方向に高さ方向を有し、供給ガス流路用部材の面方向に延在する壁状の部材であり、かつ、この壁の厚さが5〜50mmであるのが好ましい。
また、供給ガス流路用部材の面方向において、流路変更部材の面積が、供給ガス流路用部材の全面積の0.01〜10%であるのが好ましい。
また、供給ガス流路用部材と酸性ガス分離層とを含む積層体を巻回してなるスパイラル型であるのが好ましい。
さらに、酸性ガス分離層によって供給ガス流路用部材を挟持し、さらに、その両面に酸性ガス分離膜が分離した酸性ガスの流路となる、シート状の透過ガス流路腰部材を積層してなる積層体を、少なくとも1つ有するのが好ましい。
そのため、本発明の酸性ガス分離モジュールによれば、従来の酸性ガス分離モジュールに比して、原料ガスの処理効率すなわち酸性ガスの分離効率を向上できる。
図1に示すように、酸性ガス分離モジュール10は、基本的に、中心筒12と、酸性ガス分離膜(促進輸送膜20a)を有する積層体14と、テレスコープ防止板16とを有して構成される。なお、以下の説明では、酸性ガス分離モジュールを、単に、分離モジュールとも言う。
分離モジュール10は、例えば、一酸化炭素、炭酸ガス(CO2)、水(水蒸気)および水素を含有する原料ガスGから、酸性ガスGcとして炭酸ガスを分離するものである。
例えば、酸性ガス分離膜(酸性ガス分離層)を後述する供給ガス流路用部材で挟持し、その両面を、後述する透過ガス流路用部材で挟持してなる積層体(あるいは、この積層体を積層してなる積層物)を巻回せずに使用する、平膜型の分離モジュールや、中空糸型の分離モジュールであってもよい。
しかしながら、高圧下での使用による欠陥の発生を防止でき、欠陥の発生に起因する分離性能の低下を防止できる等の点で、図示例のスパイラル型の分離モジュール10は好適に利用される。
また、積層体14によって原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、中心筒12から排出される。他方、酸性ガスを分離された原料ガスG(以下、便宜的に残余ガスGrとする)は、スパイラル積層体14a(積層体14)の供給側とは逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16(同前)を通って分離モジュール10の外部に排出される。
原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、後述する透過ガス流路用部材26を通って、貫通孔12aから中心筒12内に至り、中心筒12の開放端12bから排出される。
中心筒12の開口率を上記範囲とすることにより、効率的に酸性ガスGcを収集することができ、また、中心筒12の強度を高め、加工適性を十分に確保できる。
なお、図1において、符号30は、酸性ガス分離層20と透過ガス流路用部材26とを接着し、かつ、積層体14同士を接着すると共に、透過ガス流路用部材26における酸性ガスGcの流路を、中心筒12側が開口するエンベロープ状にする接着剤層30である。
ここで、本発明においては、便宜的に、原料ガスGの供給方向をx方向、x方向と直交する方向をy方向とする。スパイラル型である図示例の分離モジュール10においては、この積層体14の巻回方向はy方向と一致し、従って、積層体14の巻回方向と直交する方向は、原料ガスGの供給方向であるx方向と一致する。
積層体14の積層数は、分離モジュール10に要求される処理速度や処理量、分離モジュール10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。ここで、積層する積層体14の数は、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。積層体14の積層数を、この数とすることで、中心筒12への積層体14の巻回が容易になり、加工性を向上できる。
図示例において、積層体14は、二つ折りにした酸性ガス分離層20の間に透過ガス流路用部材24を挟み込んで挟持体36とし(図5参照)、この挟持体36に、透過ガス流路用部材26を積層してなる構成を有する。この構成については、後に詳述する。
図2に概念的に示すように、積層体14のx方向の端面に供給された原料ガスGは、供給ガス流路用部材24内をx方向に流れる。ここで、本発明の分離モジュール10において、供給ガス流路用部材24は、内部を流れる原料ガスGの流路を変更する流路変更部材(流路壁50aおよび50b)を有する。そのため、供給ガス流路用部材24内における原料ガスGの流路を、長くできる。この点に関しては、後に詳述する。
供給ガス流路用部材24内における流れの中で、酸性ガス分離層20(促進輸送膜20a)に接触した酸性ガスGcは、原料ガスGから分離されて、酸性ガス分離層20を積層体14の積層方向に通過して(促進輸送膜20aのキャリアによって積層方向に輸送されて)、透過ガス流路用部材26に流入する。
また、酸性ガスGcを除去された残余ガスGrは、供給ガス流路用部材24をx方向に流れて、スパイラル積層体14aの逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16(その開口部16d)を通って、分離モジュール10の外部に排出される。
このような供給ガス流路用部材24は、前述のように二つ折りされた酸性ガス分離層20のスペーサとして機能して、原料ガスGの流路を構成する。また、供給ガス流路用部材24は、原料ガスGを乱流にするのが好ましい。この点を考慮すると、供給ガス流路用部材24は、メッシュ状(ネット状/網目構造)を有する部材が好ましい。
一例として、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙などの紙材料、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が、好適に例示される。
樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフッ化ビニリデン等が、好適に例示される。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
図3(A)に示すように、供給ガス流路用部材24は、内部に、流路規制部材としての流路壁50aおよび50bを有する。流路壁50aおよび50bは、共に、供給ガス流路用部材24の厚さ方向の全域に対応する高さを有し、供給ガス流路用部材24の面方向に延在する、壁状の部材である。
なお、流路壁(流路規制部材)は、供給ガス流路用部材24の厚さ方向の全域よりも低くても良い。しかしながら、より多くの原料ガスGの流路を変更できる等の点で、流路壁は、厚さ方向に供給ガス流路用部材24の全域を閉塞する高さを有するのが好ましい。
なお、以下の説明では、便宜的に、y方向の中心筒12側を基端、同中心筒12と逆側を先端とも言う。
後述するが、分離モジュール10は、積層体24を、複数、積層して巻回した構成を有するので、基本的に、1つの供給ガス流路用部材24に流入した原料ガスGが、この供給ガス流路用部材24の先端側から排出されることは無い。しかしながら、微量でも、原料ガスGが、この供給ガス流路用部材24の先端側から排出される場合も有るので、図示例のような壁部材52を有することにより、より確実に、原料ガスGが供給ガス流路用部材24の先端側から排出されることを防止して、より効率の良い原料ガスの処理を行うことが可能となる。
また、流路壁50aによって流路を変更されなかった原料ガスGも、下流側の流路壁50bによって流路を変更されて、さらに、供給ガス流路用部材24の先端側端部や基端側端部等によって流路を変更されて、供給ガス流路用部材24の下流側端部に至る。
従って、供給ガス流路用部材24が流路壁50aおよび50b(原料ガスGの流路変更部材)を有する本発明の分離モジュール10によれば、原料ガスGが酸性ガス分離層20に接触する距離を長くして、原料ガスGの処理効率を大幅に向上できる。
しかしながら、本発明においては、供給ガス流路部材24が複数の流路壁を複数有した方が、より好適に、供給ガス流路用部材24内における原料ガスGの流路を長くできる。
このような構成を有することにより、y方向の一方の端部のみ(基端のみ、あるいは、先端のみ)からy方向に向かって延在する流路壁のみ有する場合に比して、供給ガス流路用部材24内における原料ガスGの流路を長くできる。
上流側の流路壁50fは、供給ガス流路用部材24内において、基端(中心筒12側の端部)からx方向(原料ガス供給方向)に傾斜して先端側に向かって延在する領域と、その下流側端部からx方向に延在する領域と、その下流側端部からx方向と逆方向に傾斜して基端側に向かって延在する領域とを有する。
他方、下流側の流路壁50gは、供給ガス流路用部材24内において、先端(中心筒12と逆側の端部)からx方向と逆方向に傾斜して基端側に向かって延在する領域と、その上流側端部からx方向と逆方向に延在する領域と、その上流側端部からx方向に傾斜して先端側に向かって延在する領域とを有する。
また、流路壁50fおよび流路壁50gは、互いに接触することはなく、y方向に見た際に重複する領域を有し、かつ、下流側の流路壁50gのx方向と逆方向に延在する領域は、上流側の流路壁50fのx方向に延在する領域よりも、基端側に位置する。
そのため、この流路壁50fおよび流路壁50gによれば、原料ガスGは、供給ガス流路用部材24内で、供給方向と逆方向とを1.5往復するように流路を変更されるので、供給ガス流路用部材24内における原料ガスGの流路を非常に長くして、原料ガスGが酸性ガス分離層20に接触する距離を非常に長くできる。
しかしながら、本発明は、これ以外にも、各種の構成が利用可能である。例えば、図3(D)に示す例のように、流路壁50hおよび50iが、共に、y方向に延在して配置されてもよい。あるいは、最上流の流路壁が、x方向と逆方向に傾斜してy方向に向かって延在するものであってもよい。
しかしながら、原料ガスGの圧損を考慮すると、最上流に配置される流路壁は、図示例のように、原料ガスGの流路をx方向およびy方向の両方に向かう方向に変更するように設けられるのが好ましい。
ここで、図示例の分離モジュールは、スパイラル型であるので、供給ガス流路用部材24の基端側は、巻回の曲率が高い。そのため、最上流の流路壁は、図示例のように、基端から先端に向けて流路を変更するようにした方が、効率等の点で有利な場合も有る。
ここで、流路壁の厚さLが薄すぎると、流路壁の強度が不十分で使用中に損傷する可能性が有る。また、流路壁が存在する位置は、酸性ガス分離層20(促進輸送膜20a)が有効に使用できないので、流路壁の厚さLが厚すぎると、原料ガスGの処理効率が低くなってしまう。
この点を考慮すると、流路壁の厚さLは、5〜50mmが好ましく、5〜30mmがより好ましく、5〜20mmが特に好ましい。
ここで、流路壁の形成面積が小さ過ぎると、流路壁を形成する効果が十分に得られず、流路壁の形成面積が大き過ぎると、先と同様の理由で、原料ガスGの処理効率が低くなってしまう。
この点を考慮すると、流路壁の形成面積(面積B)は、供給ガス流路部材24の面積(面積A)の0.01〜10%が好ましい(すなわち、『0.01≦((B/A)×100≦10』が好ましい)。
例えば、図3に示す例では、流路変更部材は、供給ガス流路用部材24のy方向の端部から延在する壁状であるが、これ以外にも、各種の形状が利用可能である。例えば、供給ガス流路用部材24のy方向の端部に接触せず、y方向の中央領域のみに存在する壁状であってもよい。また、流路壁(壁状)以外にも、円形や矩形等の島状の流路変更部材を、規則的あるいは不規則に点在させた構成であってもよい。
また、壁状の流路変更部材と、島状に点在する流路変更部材とを併用してもよい。
一例として、接着剤、熱可塑性樹脂、粘着テープ等が例示される。
中でも、流路壁の形成性や利便性、流路壁幅の自由度等の点で、各種の公知の接着剤は好適に利用される。
中でも、耐熱性および耐湿性の観点から、エポキシ樹脂は、より好適に例示される。
図示例の分離モジュール10は好ましい態様として、促進輸送型である。そのため、酸性ガス分離層20は、促進輸送膜20aと、多孔質支持体20bとから構成される。
なお、本発明は、促進輸送型の分離モジュールに限定はされず、前述の特許文献1に示されるような、溶解拡散膜を用いる溶解拡散型の分離モジュールであってもよい。
促進輸送型の分離モジュールは、高温かつ高湿での使用が必要条件である。従って、促進輸送膜20aは、高温下(例えば、100〜200℃)でも、酸性ガスGcを選択的に透過させる機能を有する。また、原料ガスGが水蒸気を含んでも、水蒸気を親水性化合物が吸湿して促進輸送膜20aが水分を保持することで、さらにキャリアが酸性ガスGcを輸送し易くなるので、溶解拡散膜を用いる場合に比べて分離効率が高まる。
促進輸送膜20aの膜面積を上記範囲とすることにより、膜面積に対して効率よく酸性ガスGcを分離でき、また、加工性も良好になる。
促進輸送膜20aの巻回方向の長さを、上記範囲とすることにより、膜面積に対して効率よく酸性ガスGcを分離することができ、さらに、積層体14を巻回する際の巻きずれの発生が抑制され、加工性が容易となる。
なお、促進輸送膜の幅も、分離モジュール10のx方向のサイズに応じて、適宜、設定すれば良い。
促進輸送膜20aの厚さを、上記範囲にすることにより、十分なガス透過性と分離選択性とを実現できる。
このような親水性化合物としては、親水性ポリマーが例示される。
具体的には、親水性化合物は、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上の親水性を有することが好ましく、同1g/g以上の親水性を有することがより好ましく、同5g/g以上の親水性を有することがさらに好ましく、同10g/g以上の親水性を有することが特に好ましく、さらには、同20g/g以上の親水性を有することが最も好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量を20,000以上とすることで、安定して十分な膜強度を有する促進輸送膜20aを得ることができる。
特に、親水性化合物が架橋可能基として−OHを有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が30,000以上であるのが好ましい。この際には、重量平均分子量は更に好ましくは40,000以上であり、より好ましくは、50,000以上である。また、親水性化合物が架橋可能基として−OHを有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、6,000,000以下であることが好ましい。
また、架橋可能基として−NH2を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が10,000以上であるものが好ましい。この際には、親水性化合物の重量平均分子量は、15,000以上であるのがより好ましく、20,000以上であるのが特に好ましい。また、親水性化合物が、架橋可能基として−NH2を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましい。
なお、親水性化合物の重量平均分子量は、例えば、親水性化合物としてPVAを用いる場合には、JIS K 6726に準じて測定した値を用いればよい。また、市販品を用いる場合には、カタログ、仕様書などで公称される分子量を用いればよい。
具体的には、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−NH2)、塩素原子(−Cl)、シアノ基(−CN)、カルボキシ基(−COOH)、および、エポキシ基等が例示される。これらの中でも、アミノ基およびヒドロキシ基が好ましく例示される。さらに、最も好ましくは、キャリアとの親和性およびキャリア担持効果の観点から、ヒドロキシ基が例示される。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸の含有率は、例えば1〜95モル%、好ましくは2〜70モル%、より好ましくは3〜60モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。
なお、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体において、ポリアクリル酸は、塩であってもよい。この際におけるポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が例示される。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)も、市販品として入手可能である。例えば、クラストマーAP20(クラレ社製)が例示される。
具体的には、0.5〜50質量%が好ましく、0.75〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。親水性化合物の含有量を、この範囲とすることにより、上述のバインダとしての機能および水分保持機能を、安定して、好適に発現できる。
好ましくは光架橋もしくは熱架橋であり、最も好ましくは熱架橋である。
架橋剤としては、親水性化合物と反応し、熱架橋や光架橋等の架橋をし得る官能基を2以上有する架橋剤を含むものが選択される。また、形成された架橋構造は、耐加水分解性の架橋構造となるのが好ましい。
このような観点から、促進輸送膜20aの形成に利用される架橋剤としては、エポキシ架橋剤、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン、有機金属系架橋剤などが好適に例示される。より好ましくは多価アルデヒド、有機金属系架橋剤およびエポキシ架橋剤であり、中でも、アルデヒド基を2以上有するグルタルアルデヒドやホルムアルデヒドなどの多価アルデヒドが好ましい。
また、エポキシ架橋剤に類似する化合物として、環状エーテルを有するオキセタン化合物も、また、好ましく使用される。オキセタン化合物としては、官能基を2以上有する多価グリシジルエーテルが好ましく、市販品としては、例えばナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、などが例示される。
多価アジリジンとしては、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アシリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等が例示される。
多価アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール等が例示される。
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が例示される。
さらに、有機金属系架橋剤としては、例えば、有機チタン架橋剤、有機ジルコニア架橋剤等が例示される。
また、親水性化合物として、ポリビニールアルコール−ポリアクリル酸共重合体を用いる場合は、エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
また、親水性化合物として、重量平均分子量が10,000以上のポリアリルアミンを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から、エポキシ架橋剤、グルタルアルデヒド、および、有機金属架橋剤が好ましく利用される。
さらに、親水性化合物として、ポリエチレンイミンやポリアリルアミンを用いる場合には、エポキシ架橋剤が好ましく利用される。
具体的には、親水性化合物が有する架橋可能基量100質量部に対して0.001〜80質量部が好ましく、0.01〜60質量部がより好ましく、0.1〜50質量部が特に好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲とすることにより、架橋構造の形成性が良好であり、かつ、形状維持性に優れる促進輸送膜を得ることができる。
また、親水性化合物が有する架橋可能基に着目すれば、架橋構造は、親水性化合物が有する架橋可能基100molに対し、架橋剤0.001〜80molを反応させて形成されたものであるのが好ましい。
キャリアは、酸性ガス(例えば、炭酸ガス)と親和性を有し、かつ、塩基性を示す各種の水溶性の化合物である。具体的には、アルカリ金属化合物、窒素含有化合物および硫黄酸化物等が例示される。
なお、キャリアは、間接的に酸性ガスと反応するものでも、キャリア自体が、直接、酸性ガスと反応するものでもよい。
前者は、供給ガス中に含まれる他のガスと反応し、塩基性を示し、その塩基性化合物と酸性ガスが反応するものなどが例示される。より具体的には、スチーム(水分)と反応してOH-を放出し、そのOH-がCO2と反応することで、促進輸送膜20a中に選択的にCO2を取り込むことができる化合物であり、例えば、アルカリ金属化合物である。
後者は、キャリア自体が塩基性であるようなもので、例えば、窒素含有化合物や硫黄酸化物である。
アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、および、炭酸水素セシウム等が例示される。
さらに、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、および、水酸化セシウム等が例示される。
これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、また、酸性ガスとの親和性が良いという観点から、水に対する溶解度の高いカリウム、ルビジウム、および、セシウムを含む化合物が好ましい。
促進輸送膜20a中に2種以上のキャリアが存在することにより、膜中で異なるキャリアを距離的に離間させることができる。これにより、複数のキャリアの潮解性の違いによって、促進輸送膜20aの吸湿性に起因して、製造時等に促進輸送膜20a同士や、促進輸送膜20aと他の部材とが貼着すること(ブロッキング)を、好適に抑制できる。
また、ブロッキングの抑制効果を、より好適に得られる等の点で、2種以上のアルカリ金属化合物をキャリアとして用いる場合には、潮解性を有する第1化合物と、第1化合物よりも潮解性が低く比重が小さい第2化合物を含むのが好ましい。一例として、第1化合物としては炭酸セシウムが、第2化合物としては炭酸カリウムが、例示される。
さらに、硫黄化合物としては、シスチン、システインなどのアミノ酸類、ポリチオフェン、ドデシルチオール等が例示される。
促進輸送膜20aにおけるキャリアの含有量を、上記範囲とすることにより、促進輸送膜20aを形成するための組成物(塗料)において、塗布前の塩析を好適に防ぐことができ、さらに、促進輸送膜20aが、酸性ガスの分離機能を確実に発揮できる。
その他、必要に応じて、触媒、保湿(吸湿)剤、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤等を用いてもよい。
ここで、促進輸送膜20aが複数層から構成される場合には、同じ膜を積層してもよく、組成、含有する成分の種類や数、pH、含有する各成分の濃度等が異なる膜を積層してもよい。
多孔質支持体20bは、酸性ガス透過性を有し、かつ、促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物の塗布が可能(塗膜の支持が可能)であり、さらに、形成された促進輸送膜20aを支持するものである。
多孔質支持体20bの形成材料は、上記機能を発現できる物であれば、公知の各種の物が利用可能である。
なお、多孔質支持体20bが単層である場合には、形成材料としては、以下に多孔質膜および補助支持膜で例示する各種の材料が利用可能である。
多孔質膜は、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない材料からなることが好ましい。このような多孔質膜としては、具体的には、ポリスルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、セルロースなどのメンブレンフィルター膜、ポリアミドやポリイミドの界面重合薄膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜等が例示される。
中でも、PTFEや高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜は、高い空隙率を有し、酸性ガス(特に炭酸ガス)の拡散阻害が小さく、さらに、強度、製造適性などの観点から好ましい。その中でも、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない等の点で、PTFEの延伸多孔膜が、好適に利用される。
また、多孔質膜は、孔の最大孔径が1μm以下であるのが好ましい。
さらに、多孔質膜の孔の平均孔径は、0.001〜10μmが好ましく、0.002〜5μmがより好ましく、0.005〜1μmが特に好ましい。多孔質膜の平均孔径をこの範囲とすることにより、後述する接着剤の塗布領域は接着剤を十分に染み込ませ、かつ、多孔質膜が酸性ガスの通過の妨げとなることを好適に防止できる。
この支持膜は、要求される強度、耐延伸性および気体透過性を満たすものであれば、各種の物が利用可能である。例えば、不織布、織布、ネット、および、平均孔径が0.001〜10μmのメッシュなどを、適宜、選択して用いることができる。
不織布、織布、編布を構成する繊維としては、耐久性や耐熱性に優れる、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、アラミド(商品名)などの改質ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂などからなる繊維が好ましい。メッシュを構成する樹脂材料も同様の素材を用いるのが好ましい。これらの材料のうち、安価で力学的強度の強いPPからなる不織布は、特に好適に例示される。
また、多孔質支持体20bを単層にする場合には、多孔質支持体20bの厚さは、30〜500μmが好ましい。
すなわち、まず、親水性化合物、キャリア、および、必要に応じて添加するその他の成分を、それぞれ適量で水(常温水または加温水)に添加して、十分、攪拌することで、促進輸送膜20aとなる塗布組成物を調製する。
この塗布組成物の調製では、必要に応じて、攪拌しつつ加熱することで、各成分の溶解を促進させてもよい。また、親水性化合物を水に加えて溶解した後、キャリアを徐々に加えて攪拌することで、親水性化合物の析出(塩析)を効果的に防ぐことができる。
ここで、組成物の塗布および乾燥は、所定のサイズに切断されたカットシート状の多孔質支持体20bに行う、いわゆる枚葉式で行ってもよい。
好ましくは、酸性ガス分離層20の作製は、いわゆるRtoRによって行う。すなわち、長尺な多孔質支持体20bを巻回してなる送り出しロールから、多孔質支持体20bを送り出して、長手方向に搬送しつつ、調製した塗布組成物を塗布し、次いで、塗布した塗布組成物(塗膜)を乾燥して、多孔質支持体20bの表面に促進輸送膜20aを形成してなる酸性ガス分離層20を作製し、作製した酸性ガス分離層20を巻き取る。
ここで、多孔質支持体20bの搬送速度が速すぎると、塗布組成物の塗膜の膜厚均一性が低下するおそれがあり、遅過ぎると生産性が低下する。この点を考慮すると、多孔質支持体20bの搬送速度は、0.5m/分以上が好ましく、0.75〜200m/分がより好ましく、1〜200m/分が特に好ましい。
具体的には、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が例示される。
温風の風速は、ゲル膜反を迅速に乾燥させることができるともにゲル膜反が崩れない速度を、適宜、設定すればよい。具体的には、0.5〜200m/分が好ましく、0.75〜200m/分がより好ましく、1〜200m/分が特に好ましい。
温風の温度は、多孔質支持体20bの変形などが生じず、かつ、ゲル膜反を迅速に乾燥させることができる温度を、適宜、設定すればよい。具体的には、膜面温度で、1〜120℃が好ましく、2〜115℃がより好ましく、3〜110℃が特に好ましい。
また、塗膜の乾燥には、必要に応じて、多孔質支持体20bの加熱を併用してもよい。
透過ガス流路用部材26は、キャリアと反応して酸性ガス分離層32を透過した酸性ガスGcを、中心筒12の貫通孔12aに流すための部材である。
前述のように、図示例において、積層体14は、酸性ガス分離層20を促進輸送膜20aを内側にして二つ折りにして、供給ガス流路用部材24を挟み込んだ挟持体36を有する。この挟持体36に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着剤層30で接着することにより、1つの積層体14が構成される。
透過ガス流路用部材26は、積層体14間でスペーサとして機能して、積層体14の巻回中心(内側)に向かって中心筒12の貫通孔12aに至る、原料ガスGから分離した酸性ガスGcの流路を構成する。また、この酸性ガスGcの流路を適正に形成するために、後述する接着剤層30が浸透する必要が有る。この点を考慮すると、透過ガス流路用部材26は、供給ガス流路用部材24と同様、網目構造(ネット状/メッシュ状)の部材が好ましい。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
そのため、透過ガス流路用部材26は、流れるガスに対しての抵抗が少ないのが好ましい。具体的には、空隙率が高く、圧をかけたときの変形が少なく、かつ、圧損が少ないのが好ましい。
また、圧をかけたときの変形は、引張試験を行ったときの伸度で近似できる。具体的には、10N/10mm幅の荷重をかけたときの伸度が5%以内であることが好ましく、4%以内であることがより好ましい。
さらに、圧損は、一定の流量で流した圧縮空気の流量損失で近似できる。具体的には、15cm角の透過ガス流路用部材26に、室温で15L/分の空気を流した際に、流量損失が7.5L/分以内であるのが好ましく、7L/分以内であるのがより好ましい。
ここで、中心筒12の管壁には、軸方向に沿ってスリット(図示省略)が設けられているのが好ましい。この場合、スリットに、透過ガス流路用部材26の先端部を入れ込み、中心筒12の内周面に固定手段で固定するようにする。この構成によれば、透過ガス流路用部材26を含んだ積層体を中心筒12に巻き付ける際に、テンションをかけながら巻き付けるようにしても、中心筒12の内周面と透過ガス流路用部材26との摩擦で、透過ガス流路用部材26がスリットから抜けることを防止でき、すなわち、透過ガス流路用部材26の固定が維持される。
また、供給ガス流路用部材24による促進輸送膜20aの損傷を防止するために、酸性ガス分離層20を二つ折りにした谷部に、二つ折りにしたシート状の保護部材(例えば、カプトンテープやPTFEテープなど)を配置するのが好ましい。
ここで、接着剤30a(すなわち、接着剤層30)は、図5に示すように、x方向の両端部近傍で、y方向の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍でx方向の全域に延在して帯状に塗布する。
以下、x方向(原料ガス供給方向)を、幅方向とも言う。また、前述のように、x方向と直交するy方向は、積層体14の巻回方向と一致する。
図6に示すように、この面の接着剤30aも、先と同様、幅方向の両端部近傍で、巻回方向の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に塗布する。
さらに、先と同様、積層した挟持体36の上面に、図6に示すように接着剤30aを塗布して、次いで、図7に示すように、その上に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着し、2層目の積層体14を積層する。
なお、この際においては、図8に示すように、積層体14は、上方に行くにしたがって、次第に、巻回方向に中心筒12から離間するように積層するのが好ましい。これにより、中心筒12への積層体14の巻回(巻き付け)を容易に行い、かつ、各透過ガス流路用部材26の中心筒12側の端部もしくは端部近傍が、好適に中心筒12に当接できる。
所定時間が経過したら、最外周の透過ガス流路用部材26を1周した位置で超音波融着等によって固定し、固定位置よりも外方の余分な透過ガス流路用部材26を切断して、積層した積層体14を中心筒12に巻回してなるスパイラル積層体14aを完成する。
また、接着剤層30(接着剤30a)は、前述のように、幅方向(x方向)の両端部近傍で、巻回方向(y方向)の全域に延在して帯状に形成される。さらに、接着剤層30は、この幅方向両端部近傍の接着剤30を幅方向に横切るように、中心筒12側となる折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に形成される。すなわち、接着剤層30は、中心筒12側を開放して、透過ガス流路用部材26および多孔質支持体20bの外周を囲むように形成される。また、透過ガス流路用部材26は、促進輸送膜20aによって挟まれた状態となっている。
これにより、積層体14の透過ガス流路用部材26には、中心筒12側が開放するエンベロープ状の流路が形成される。従って、酸性ガス分離層20を透過して透過ガス流路用部材26に流入した酸性ガスGcは、外部に流出することなく、透過ガス流路用部材26内を中心筒12に向かって流れ、貫通孔12aから中心筒12内に流入する。
一例として、エポキシ樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が好適に例示される。
これにより、多孔質支持体20bおよび透過ガス流路用部材26に、好適に接着剤層30(接着剤30a)を浸透させることができる。
前述のように、テレスコープ防止板16は、スパイラル積層体14aが原料ガスGによって押圧されて、供給側の端面が入れ子状に押し込まれ、逆側の端面が入れ子状に突出する、いわゆるテレスコープ現象を防止するための部材である。
図示例において、テレスコープ防止板は、円環状の外環部16aと、外環部16aの中に中心を一致して配置される円環状の内環部16bと、外環部16aおよび内環部16bを連結して固定するリブ(スポーク)16cとを有して構成される。前述のように、積層体14が巻回される中心筒12は、内環部16bを挿通する。
図示例において、リブ16cは、外環部16aおよび内環部16bの中心から、等角度間隔で放射状に設けられおり、外環部16aと内環部16bとの間で、かつ、各リブ16cの間隙が、原料ガスGもしくは残余ガスGrが通過する開口部16dとなっている。
具体的には、金属材料(例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金等)、樹脂材料(例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ナイロン12、ナイロン66、ポリサルフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリル・エチレン・スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)、およびこれら樹脂の繊維強化プラスチック(例えば繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、アラミド繊維などで、特に長繊維が好ましい。具体例としては、例えばガラス長繊維強化ポリプロピレン、ガラス長繊維強化ポリフェニレンサルファイドなど)、並びに、セラミックス(例えばゼオライト、アルミナなど)等が好適に例示される。
なお、樹脂を用いる際には、ガラス繊維等で強化した樹脂を用いてもよい。
一例として、FRP製の線材に、前述の接着剤層30に利用される接着剤を含浸して、接着剤を含浸した線材を、隙間無く、必要に応じて多重に、スパイラル積層体14aに巻き付けてなる被覆層18が例示される。
なお、この際においては、必要に応じて、被覆層18とスパイラル積層体14aとの間に、スパイラル積層体14aへの接着剤の染み込みを防止するためのカプトンテープ等のシート状部材を設けてもよい。
<酸性ガス分離層の作製>
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体(クラレ社製 クラストマーAP-20)を3.3質量%、架橋剤(和光純薬社製 25質量%グルタルアルデヒド水溶液)を0.016質量%、含む水溶液を調製した。この水溶液に、1M塩酸を添加して、架橋させた。
架橋後、40%炭酸セシウム水溶液(稀産金属社製)を炭酸セシウム濃度が7.0重量%になるように添加して、脱泡し、塗布組成物を調製した。すなわち、本例では、炭酸セシウムが促進輸送膜20aのキャリアとなる。
なお、促進輸送膜20aの厚さは50μmとした。
側面に中心線方向に延在するスリットを有する中心筒12を用意した。この中心筒12のスリットに、透過ガス流路用部材26(トリコット編みのエポキシ含浸ポリエステル)を挟み込むようにして固定して、図4に示すような状態とした。なお、中心筒12は、内部に仕切りが付いている。
次いで、二つ折りした酸性ガス分離層20に、供給ガス流路用部材24(厚さ0.44mmのポリプロピレン製ネット)を挟み込んで、挟持体36を作製した。
流路壁50aおよび50bは、エポキシ系接着剤で形成した。流路壁50aおよび50bの厚さLは8mmとした。さらに、供給ガス流路用部材24の面積に対する流路壁50aおよび50bの面積(面積比)は0.53%とした。
次いで、接着剤30aを塗布した側を下方に向けて、図6に示すように、挟持体36と中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26とを積層し、接着した。
次いで、透過ガス流路用部材26に積層した挟持体36の酸性ガス分離層20の上面に、図6に示すように、幅方向の両端部近傍に、巻回方向の全域に延在し、かつ、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。さらに、接着剤30aを塗布した酸性ガス分離層20の上に、図7に示すように、透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、1層目の積層体14を形成した。
さらに、上記2層目と同様にして、2層目の積層体14の上に、3層目の積層体14を形成した。
次いで、図8の矢印yx方向に中心筒12を回転することで、積層した3層の積層体14を巻き込むようにして中心筒12に多重に巻き付け、積層体14を牽引する方向に張力を掛けてスパイラル積層体14aとした。
さらに、テレスコープ防止板16の周面およびスパイラル積層体14aの周面に、FRP加工を行うことで被覆層18を形成して、分離モジュール10を作成した。
作成した分離モジュール10の膜面積は、3層の合計で1.2m2である(設計値)。
流路壁50aおよび50bの厚さLを26mmとし、供給ガス流路用部材24の面積に対する流路壁50aおよび50bの面積(面積比)を1.81%とした以外は、実施例1と同様にして分離モジュール10を作製した。
積層体14の積層数を20とした以外は、実施例1と同様にして分離モジュール10を作製した。作成した分離モジュール10の膜面積は、20層の合計で30m2である(設計値)。
供給ガス流路用部材24に形成する流路壁を、流路壁50aおよび50bに変えて、図3(B)に示すような流路壁50c、50dおよび50eにした以外は、実施例1と同様にして分離モジュール10を作製した。
本例においては、供給ガス流路用部材24の面積に対する流路壁50c、50dおよび50eの面積(面積比)は0.82%である。
供給ガス流路用部材24に形成する流路壁を、流路壁50aおよび50bに変えて、図3(D)に示すような流路壁50hおよび50iにした以外は、実施例1と同様にして分離モジュール10を作製した。
本例においては、供給ガス流路用部材24の面積に対する流路壁50hおよび50iの面積(面積比)は0.47%である。
供給ガス流路用部材24に形成する流路壁を、流路壁50aおよび50bに変えて、図3(C)に示すような流路壁50fおよび50gにし、かつ、流路壁の厚さLを13mmとした以外は、実施例1と同様にして分離モジュール10を作製した。
本例においては、供給ガス流路用部材24の面積に対する流路壁50fおよび50gの面積(面積比)は1.2%である。
供給ガス流路用部材24が流路壁50aおよび50bを有さない以外は、実施例1と同様に分離モジュールを作成した。
作製した各実施例および比較例の分離モジュールのモジュールファクタを、分離モジュールと、分離モジュールに用いた多孔質支持体20b上の促進輸送膜20a自体との、それぞれの分離係数を測定することで、算出した。
なお、本例では、CO2/H2分離係数およびCO2/N2分離係数を測定し、各分離係数毎に、モジュールファクタを算出した。
CO2/H2分離係数; H2:CO2:H2O=45:5:50(分圧比)の原料ガスG(流量2.2L(リットル)/min)を温度130℃、全圧301.3kPaで、各分離モジュールに供給し、透過側にArガス(流量0.9L/min)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2/H2分離係数(α)を算出した。
CO2/N2分離係数; N2:CO2:H2O=66:21:13(分圧比)の原料ガスG(流量1.72L/min)を温度130℃、全圧2001.3kPaで、各分離モジュールに供給した。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2/N2分離係数(α)を算出した。
CO2/H2分離係数; H2:CO2:H2O=45:5:50(分圧比)の原料ガスG(流量0.32L/min)を温度130℃、全圧301.3kPaで、促進輸送膜20aに供給し、透過側にArガス(流量0.04L/min)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2/H2分離係数(α)を算出した。
CO2/N2分離係数; N2:CO2:H2O=66:21:13(分圧比)の原料ガスG(流量0.32L/min)を温度130℃、全圧2001.3kPaで、促進輸送膜20aに供給した。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2/N2分離係数(α)を算出した。
モジュールファクタ=分離モジュールの(α)/促進輸送膜20aの(α)
結果を下記表に示す。
特に、供給方向に対して原料ガスGを逆流させ、次いで、供給方向に向かうように流路壁を形成した実施例6の分離モジュールは、優れた分離性能を示している。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 中心筒
14 積層体
14a スパイラル積層体
16 テレスコープ防止板
16a 外環部
16b 内環部
16c リブ
16d 開口部
18 被覆層
20 酸性ガス分離層
20a 促進輸送膜
20b 多孔質支持体
24 供給ガス流路用部材
26 透過ガス流路用部材
30 接着剤層
30a 接着剤
34 固定手段
36 挟持体
40 接着部材
50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i 流路壁
Claims (7)
- 原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離膜を有するシート状の酸性ガス分離層と、前記酸性ガス分離層に積層されるシート状で、内部が前記原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材とを有し、
さらに、前記供給ガス流路用部材の内部に、前記原料ガスの流路を変更する流路変更部材を有し、
前記原料ガスの供給方向をx方向、このx方向と直交する方向をy方向とした際に、前記流路変更部材が、前記x方向に、複数、配置されており、かつ、少なくとも1つの流路変更部材は、前記供給ガス流路用部材のy方向の一方の端部からy方向に向かって延在し、他の少なくとも1つの流路変更部材は、前記供給ガス流路用部材のy方向の逆側の端部からy方向に向かって延在するものであり、
さらに、前記x方向の最上流に位置する前記流路変更部である最上流流路変更部材は、前記供給ガス流路用部材のy方向の一方の端部からy方向に向かって延在し、かつ、前記y方向の一方の端部から前記x方向の下流側に向かうように、前記y方向に対して傾斜するものであり、
前記最上流流路変更部材の前記x方向の直下流に位置する前記流路変更部材は、前記供給ガス流路用部材の前記最上流流路変更部材とは逆側の前記y方向の端部からy方向に向かって延在し、かつ、前記逆側のy方向の端部から前記x方向の上流側に向かうように、前記y方向に対して傾斜するものであることを特徴とする酸性ガス分離モジュール。 - 前記流路変更部材は、前記原料ガスの供給方向に対して逆流する方向に向かい、その後、前記原料ガスの供給方向に向かうように、前記原料ガスの流路を変更する請求項1に記載の酸性ガス分離モジュール。
- 前記流路変更部材は、前記供給ガス流路用部材の厚さ方向に高さ方向を有し、前記供給ガス流路用部材の面方向に延在する壁状の部材であり、
かつ、この壁の厚さが5〜50mmである請求項1または2に記載の酸性ガス分離モジュール。 - 前記供給ガス流路用部材の面方向において、前記流路変更部材の面積が、前記供給ガス流路用部材の全面積の0.01〜10%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
- 前記供給ガス流路用部材と酸性ガス分離層とを含む積層体を巻回してなるスパイラル型である請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
- 前記酸性ガス分離層によって供給ガス流路用部材を挟持し、さらに、その両面に前記酸性ガス分離膜が分離した酸性ガスの流路となる、シート状の透過ガス流路用部材を積層してなる積層体を、少なくとも1つ有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
- さらに、島状の流路変更部材を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013158070A JP6145349B2 (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 酸性ガス分離モジュール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013158070A JP6145349B2 (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 酸性ガス分離モジュール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015027651A JP2015027651A (ja) | 2015-02-12 |
JP6145349B2 true JP6145349B2 (ja) | 2017-06-07 |
Family
ID=52491776
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013158070A Expired - Fee Related JP6145349B2 (ja) | 2013-07-30 | 2013-07-30 | 酸性ガス分離モジュール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6145349B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015136634A (ja) * | 2014-01-20 | 2015-07-30 | 富士フイルム株式会社 | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュールおよび製造方法 |
EP3305394B1 (en) * | 2015-05-29 | 2022-09-07 | Sumitomo Chemical Company, Ltd. | Spiral-type acidic-gas-separation-membrane element, acidic-gas-separation-membrane module, and acidic gas separation device |
WO2018079511A1 (ja) * | 2016-10-31 | 2018-05-03 | 東レ株式会社 | 分離膜エレメント |
WO2019065493A1 (ja) * | 2017-09-29 | 2019-04-04 | 住友化学株式会社 | スパイラル型ガス分離膜エレメント、ガス分離膜モジュール、及びガス分離装置 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55102902U (ja) * | 1979-01-16 | 1980-07-18 | ||
JPS55107206U (ja) * | 1979-01-23 | 1980-07-26 | ||
DE3525682A1 (de) * | 1985-07-18 | 1987-01-22 | Robert Kohlheb | Wickelmembran-filterkerze |
US5096584A (en) * | 1990-01-29 | 1992-03-17 | The Dow Chemical Company | Spiral-wound membrane separation device with feed and permeate/sweep fluid flow control |
JPH05131123A (ja) * | 1991-11-08 | 1993-05-28 | Nitto Denko Corp | スパイラル型膜分離装置 |
US5711882A (en) * | 1995-09-29 | 1998-01-27 | Membrane Technology And Research, Inc. | Gas separation membrane module and process |
JP5689765B2 (ja) * | 2011-07-29 | 2015-03-25 | 富士フイルム株式会社 | 二酸化炭素分離部材、その製造方法及び二酸化炭素分離モジュール |
-
2013
- 2013-07-30 JP JP2013158070A patent/JP6145349B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015027651A (ja) | 2015-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6071004B2 (ja) | 酸性ガス分離複合膜の製造方法及び酸性ガス分離膜モジュール | |
JP5865317B2 (ja) | 二酸化炭素分離用複合体、二酸化炭素分離用モジュール、及び二酸化炭素分離用複合体の製造方法 | |
JP6001013B2 (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール | |
JP6067649B2 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
WO2015025811A1 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
JP2016137462A (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール | |
WO2015025812A1 (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール | |
JP6276598B2 (ja) | 酸性ガス分離用モジュール | |
JP6145349B2 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
JP5999844B2 (ja) | 酸性ガス分離用モジュール | |
JP2014039901A (ja) | 二酸化炭素分離用複合体の製造方法、二酸化炭素分離用複合体、及びそれを用いた二酸化炭素分離用モジュールの製造方法、並びに二酸化炭素分離用モジュール | |
JP6037965B2 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
WO2015107820A1 (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュールおよび製造方法 | |
JP5946220B2 (ja) | 酸性ガス分離用複合体、酸性ガス分離用モジュールおよび酸性ガス分離用モジュールの製造方法 | |
JP2015061721A (ja) | 酸性ガス分離層、酸性ガス分離層の製造方法、および、酸性ガス分離モジュール | |
JP5972232B2 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
WO2016117349A1 (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
JP6005003B2 (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール | |
JP6145431B2 (ja) | 酸性ガス分離モジュールの製造方法および酸性ガス分離モジュール | |
JP2015020147A (ja) | 酸性ガス分離用スパイラル型モジュール | |
JP2015029959A (ja) | 酸性ガス分離モジュール | |
JP2014065034A (ja) | 酸性ガス分離層、その製造方法及びその促進輸送膜、並びに、酸性ガス分離モジュール及び酸性ガス分離システム | |
JP5975951B2 (ja) | 促進輸送型分離膜の製造方法 | |
JP2016064384A (ja) | 酸性ガス分離モジュール |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151009 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160530 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160607 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160802 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161206 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20170203 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170509 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170515 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6145349 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |