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JP5913938B2 - 光拡散性転写材料、光拡散層の形成方法、及び有機電界発光装置の製造方法 - Google Patents

光拡散性転写材料、光拡散層の形成方法、及び有機電界発光装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光拡散性転写材料、光拡散層の形成方法、有機電界発光装置、及び有機電界発光装置の製造方法に関する。
有機電界発光(有機EL)装置は、自発光型の表示装置であり、ディスプレイや照明の用途に期待されている。例えば、有機電界発光ディスプレイは、従来のCRTやLCDと比較して視認性が高く、視野角依存性がない等の表示性能上の利点を有している。また、ディスプレイを軽量化、薄層化できる利点もある。その一方、有機電界発光照明は、軽量化、薄層化が可能であるとの利点に加え、フレキシブルな基板を用いることでこれまで実現できなかった形状の照明を実現できる可能性を有している。
有機電界発光装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、発光層を含む有機層、背面電極(反射電極)が積層された構成を有する。有機層から発光した光は、直接、又は背面電極で反射して、透明電極及び透明基板側から出射する。有機電界発光装置は、上記のように優れた特徴を有するが、透明電極や有機層の屈折率は空気より高く、発光した光が界面で全反射しやすい。そのため、装置としての光取り出し効率は20%に満たず、発光した光の大部分を損失している。
この光取り出し効率を向上させるため、透明基板と透明電極との間に光拡散層(光散乱層)を設けた有機電界発光装置が提案されている。例えば、特許文献1には、樹脂中に平均粒子径が1桁以上異なる少なくとも2種の微粒子を分散させた光拡散層が光取り出し面側の透明電極に隣接して設けられている有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
このような光拡散層を形成する方法としては、塗布法の他に、転写法による形成方法が検討されている。
例えば、特許文献2には、仮支持体上に、透光性樹脂及び平均粒径が50〜300nmの光散乱粒子を含有する光散乱層を設けた光散乱層転写材料が記載されている。ここで、該転写材料の光散乱層側の面を被転写体(有機層及び電極等を形成した有機EL装置)と貼り合わせ、加熱又はレーザー光の照射により光散乱層が転写される例が記載されている。
有機電界発光(有機EL)装置以外のLCD等のディスプレイにおいても、光源からの光を均一化する等の目的で、樹脂中に光散乱性の粒子を含有させた光拡散層が設けられている。このようなLCD等のディスプレイにおいて光拡散層を形成する方法としても転写法が利用されている。
例えば、特許文献3には、支持体上に、電離放射線硬化樹脂と光拡散剤としての粒子とを含み、粘着性を有する未硬化の光拡散層が設けられた光拡散層転写シートが記載されており、被転写体と貼り合せて加圧、加熱することにより未硬化の光拡散層を被転写体に転写する方法や、光照射により光拡散層を降下させた後に被転写体と貼り合せて硬化後の光拡散層を被転写体に転写する方法が記載されている。
また、特許文献4には、支持体上に、電離放射線と球状微粒子とを含む光散乱層を有する前方散乱フィルムが記載されており、該前方散乱フィルムを被転写体に貼り合わせた後、電離放射線をパターニング照射し、照射部分を硬化させることで支持体との接着力を変化させて被写体に転写するする方法が記載されている。
特開2005−190931号公報 特開2009−259802号公報 特開2005−121811号公報 特開2001−264518号公報
有機電界発光装置における光取り出し効率向上の観点からは、光拡散層は、有機層からの光が透明基板との界面で全反射するのを防止するために、有機層からの光を前方散乱させること及び高屈折率であることが望まれる。特に、光を十分に前方散乱させるためには、光散乱性の粒子を一定割合以上含有させることが望ましい。特許文献2の光散乱層転写材料では、光散乱層中の光散乱粒子の割合が体積充填率で10%以下と低い。
また、特許文献3及び4では、光拡散層に光散乱性の粒子を用いているが、層中での粒子の含有率や層の高屈折率化については言及されていない。特許文献3や特許文献4の実施例から推測される光散乱層の屈折率は1.6程度であり、有機電界発光装置における光拡散層としては、不十分である。更に、粒子の含有率を上げると光の散乱が強まるので、樹脂の光硬化が十分に行われない可能性がある。
更に、光拡散層を転写法により形成する場合、高い転写性、即ち、膜残りなく転写が行われることが望まれる。特許文献4の前方散乱フィルムでは、電離放射線の照射による樹脂の硬化に伴う光散乱層と支持体との接着力の変化を利用して、光散乱層の転写が行われている。上記光取り出し効率向上の観点から、特許文献4の前方散乱フィルムにおいて光散乱性の粒子の割合を多くした場合、該粒子の影響で光の散乱が大きくなるため、樹脂の硬化が十分に行われない可能性があり、硬化不十分のため支持体への膜残りによる転写製の低下が懸念される。
上記のような状況に鑑みて、本発明は、転写性に優れ、有機電界発光装置の光取り出し効率を向上させることができる光拡散層を形成可能な光拡散性転写材料を提供することを目的とする。また、本発明は、有機電界発光装置の光取り出し効率を向上させることができる光拡散層を形成可能な光拡散層の形成方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、光取り出し効率に優れる有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1>
透明基板と透明電極の間に光拡散層を有する有機電界発光装置の前記光拡散層を転写により形成するための光拡散性転写材料であって、
支持体上に、少なくとも1種類の光拡散粒子と、少なくとも1種類の高屈折率無機フィラーと、バインダーとを含有する有機膜を有し、
前記高屈折率無機フィラーの屈折率は、2.2以上3.0以下であって、かつ前記バインダーの屈折率よりも高く、
前記光拡散粒子の平均粒径は1〜3μmであり、
前記有機膜の膜厚が4μm以上9μm以下であり、
該有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]が25〜50の範囲であり、該有機膜の厚みT[μm]がT≧150/Nを満足する、光拡散性転写材料。
<2>
前記支持体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、及びポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種からなる、<1>に記載の光拡散性転写材料。
<3>
<1>又は<2>に記載の光拡散性転写材料における有機膜を有する面を被転写体に貼り合せ、加熱温度60度以上の条件下で前記有機膜を前記被転写体に転写して光拡散層を前記被転写体上に形成する、光拡散層の形成方法。
<4>
前記加熱温度が80度以上150度以下である、<3>に記載の光拡散層の形成方法。
<5>
前記光拡散性転写材料と前記被転写体とを貼り合わせた状態で、大気中で電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化する、<3>又は<4>に記載の光拡散層の形成方法。
<6>
前記有機膜を前記被転写体に転写し、前記支持体を前記有機膜から剥離した後に、電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化させる、<3>又は<4>に記載の光拡散層の形成方法。
<7>
基板、光拡散層、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極をこの順に有する有機電界発光装置の製造方法であって、
前記光拡散層を<3>〜<6>のいずれか一項に記載の形成方法により形成する工程を含む、有機電界発光装置の製造方法。
<8>
前記基板を被転写体として該基板上に前記光拡散層を形成する工程を有する、<7>に記載の有機電界発光装置の製造方法。
なお、本発明は上記<1>〜<8>に記載の構成を有するものであるが、以下その他についても参考のため記載した。
(1)
支持体上に、少なくとも1種類の光拡散粒子と、少なくとも1種類の高屈折率無機フィラーとを含有する有機膜を有し、
該有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]が25〜50の範囲であり、該有機膜の厚みT[μm]がT≧150/Nを満足する、光拡散性転写材料。
(2)
前記有機膜の膜厚が4μm以上15μm以下である、(1)に記載の光拡散性転写材料。
(3)
前記支持体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、及びポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種からなる、(1)又は(2)に記載の光拡散性転写材料。
(4)
(1)〜(3)のいずれか一項に記載の光拡散性転写材料における有機膜を有する面を被転写体に貼り合せ、加熱温度60度以上の条件下で前記有機膜を前記被転写体に転写して光拡散層を前記被転写体上に形成する、光拡散層の形成方法。
(5)
前記加熱温度が80度以上150度以下である、(4)に記載の光拡散層の形成方法。
(6)
前記光拡散性転写材料と前記被転写体とを貼り合わせた状態で、大気中で電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化する、(4)又は(5)に記載の光拡散層の形成方法。
(7)
前記有機膜を前記被転写体に転写し、前記支持体を前記有機膜から剥離した後に、電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化させる、(4)又は(5)に記載の光拡散層の形成方法。
(8)
基板、光拡散層、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極をこの順に有する有機電界発光装置の製造方法であって、
前記光拡散層を(4)〜(7)のいずれか一項に記載の形成方法により形成する工程を含む、有機電界発光装置の製造方法。
(9)
前記基板を被転写体として該基板上に前記光拡散層を形成する工程を有する、(8)に記載の有機電界発光装置の製造方法。
(10)
(8)又は(9)に記載の製造方法により製造された有機電界発光装置。
本発明によれば、転写性に優れ、有機電界発光装置の光取り出し効率を向上させることができる光拡散層を形成可能な光拡散性転写材料を提供することができる。また、有機電界発光装置の光取り出し効率を向上させることができる光拡散層を形成することができる。更に、光取り出し効率に優れる有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の光拡散層の形成方法の一例を模式的に示す図である。 図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の有機電界発光装置の他の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の有機電界発光装置の更に他の一例を示す概略図である。
[光拡散性転写材料]
本発明の光拡散性転写材料は、支持体上に、少なくとも1種類の光拡散粒子と、少なくとも1種類の高屈折率無機フィラーとを含有する有機膜を有し、有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]が25〜50の範囲であり、該有機膜の膜厚T[μm]がT≧150/Nを満足する。
(支持体)
本発明の光拡散性転写材料における支持体としては、転写材料の支持体として用いることができれば、特に制限されない。支持体の材料としては従来公知の樹脂を用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース等が挙げられる。機械的強度、化学的及び熱的安定性、ガスバリア性、経済性の観点から、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルであり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。
支持体の厚みは、50μm〜2000μmが好ましく、200μm〜1500μmがより好ましく、500μm〜1000μmが更に好ましい。
転写性向上の観点から有機膜との剥離性を向上させる目的で、支持体に対して、離型処理を行ってもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系又はフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。好ましくはフッ素シリコーン系のシランカップリング剤による処理である。
(有機膜)
本発明の光拡散性転写材料における有機膜は、膜形成のための主成分として有機材料を含み、少なくとも1種類の光拡散粒子と少なくとも1種類の高屈折率無機フィラーとを含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
<<有機材料>>
有機膜を形成する有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、(1)熱可塑性樹脂、(2)反応性硬化性樹脂、(3)硬化性化合物(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)などが挙げられる。
−(1)熱可塑性樹脂−
(1)熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビニル−酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂が好ましく、フルオレン構造を有するアクリル又はメタクリルから誘導されるポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂がより好ましく、フルオレン構造を有するポリアクリル樹脂が特に好ましい。
−(2)反応性硬化性樹脂−
(2)反応性硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。
前記熱硬化型樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられる。
前記電離放射線硬化型樹脂には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性不飽和基{(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等}及び/又はカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、「電離放射線」とは、その照射により物質に電離作用を及ぼす放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。本発明においては、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
これらの反応性硬化性樹脂を用いる場合には、必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を併用することが好ましい。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊行)記載の化合物が挙げられる。
−(3)硬化性化合物−
(3)硬化性化合物は、電離放射線の照射により架橋又は重合反応により硬化する化合物であり、多官能モノマーや多官能オリゴマーなどである。
多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性官能基、及びカチオン重合性官能基のいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が特に好ましく、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが特に好ましい。
前記ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち2量体、3量体及びオリゴマー)又はそれらの混合物、及びそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が特に好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。更に別の例として、前記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、例えばアルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステル又はポリエステル)としては、例えば、特開2001−139663号公報の段落番号〔0026〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルとしては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報等に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号公報等に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
更に脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
更にまた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等)、更に、日本接着協会誌20巻7号 300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。これらラジカル重合性の多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
前記カチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」又は「カチオン重合性有機化合物」とも称する)は、電離放射線感受性カチオン重合開始剤の存在下に電離放射線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。前記カチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
前記カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、2〜5個がより好ましい。前記化合物の重量平均分子量は、3,000以下が好ましく、200〜2,000がより好ましく、400〜1,500が更に好ましい。前記重量平均分子量が、200以上であれば、皮膜形成過程での揮発が問題となるなどの不都合が生じることがなく、3,000以下であれば、有機膜の他の成分との相溶性が悪くなるなどの問題を生じないので好ましい。
前記エポキシ化合物としては、例えば脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などが挙げられる。
前記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。更に、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又は不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
前記芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価もしくは多価のフェノール、又はそのアルキレンオキサイド付加体のモノもしくはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕に記載の化合物、特開平10−158385号公報中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕に記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、脂環式エポキシドが更に好ましい。前記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、前記エポキシ化合物のエポキシ環の代わりに、チオエポキシ環を有する化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号公報の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、例えばスチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、前記ラジカル重合性モノマーで記載の化合物、プロペニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",32巻2895頁(1994年)記載等}、アルコキシアレン化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",33巻2493頁(1995年)記載等}、ビニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",34巻1015頁(1996年)、特開2002−29162号公報等記載}、イソプロペニル化合物{"J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry",34巻2051頁(1996年)記載等}などが挙げられる。これらは2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、前記多官能性化合物は、前記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号公報中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕に記載の化合物、特開2000−191737号公報中の段落番号〔0015〕に記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらに限定されるものではない。
以上述べたラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比率で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
−重合開始剤−
前記硬化性化合物を使用する場合には、重合開始剤を併用することが好ましい。前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
前記重合開始剤は、光及び/又は熱照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物が好ましい。前記光重合開始剤は、極大吸収波長が400nm以下が好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
前記ラジカルを発生する化合物は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
前記ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、有機過酸化化合物(特開2001−139663号公報等)、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、メタロセン化合物(特開平5−83588号公報、特開平1−304453号公報等記載)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(米国特許第3,479,185号明細書等記載)、ジスルホン化合物(特開平5−239015号公報、特開昭61−166544号公報等)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機ホウ酸化合物、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。前記ラジカル発生剤としてより好ましくは、ホスフィンオキサイド化合物、ホスホナート化合物であり、特に好ましくはアシルフォスフィンオキサイド、アシルホスホナート等が挙げられ、具体的にはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドである。
前記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等の"Bull.Chem.Soc Japan",42巻2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号公報、M.P.Hutt,"J.Heterocyclic Chemistry",1巻(3号)、(1970年)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
前記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60ページ〜62ページ[株式会社技術情報協会刊、1991年]、特開平8−134404号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、特開平11−217518号公報の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物などが挙げられる。また、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
前記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin,"Rad.Tech'98.Proceeding April 19〜22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号公報の段落番号〔0022〕〜〔0027〕に記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマー全量に対し、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜25質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。前記添加量の範囲において、有機膜の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤として用いることができる光酸発生剤について詳述する。
前記光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、又はマイクロレジスト等に使用されている公知の光酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。また、前記光酸発生剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が特に好ましい。前記有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物の具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
前記オニウム化合物としては、例えばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物、などが挙げられる。
前記酸発生剤としては、オニウム塩が特に好適に用いられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
前記オニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
前記光酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみをそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記酸発生剤の添加量は、全カチオン重合性モノマーの全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が、前記範囲において、有機膜の安定性、重合反応性等から好ましい。
ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5質量%〜10質量%又はカチオン重合開始剤を1質量%〜10質量%の割合で含有していることが好ましく、ラジカル重合開始剤を1質量%〜5質量%、又はカチオン重合開始剤を2質量%〜6質量%の割合で含有することがより好ましい。
前記有機膜を構成するバインダー(前記有機材料。前記反応性硬化性樹脂及び硬化性化合物の場合には、硬化後のもの)の屈折率は、1.7〜2.2が好ましく、1.7〜2.1がより好ましく、1.7〜2.0が更に好ましい。屈折率が上記範囲にあると、有機膜から形成する光拡散層を用いた有機電界発光装置の光取り出し効率向上に好適である。
<<光拡散粒子>>
本発明の光拡散性転写材料の有機膜に用いる光拡散粒子としては、光を拡散可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機粒子であっても、無機粒子であってもよく、2種以上の粒子を含有していても構わない。
前記有機粒子としては、例えばポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子、などが挙げられる。
前記無機粒子としては、例えばZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、などが挙げられる。これらの中でも、TiO、ZrO、ZnO、SnOが特に好ましい。
これらの中でも、前記光拡散粒子としては、耐溶剤性と前記バインダー中の分散性の点で架橋状態の樹脂粒子が好ましく、架橋ポリメチルメタクリレート粒子が特に好ましい。
前記光拡散粒子が、架橋状態の樹脂粒子であることは、溶剤、例えばトルエン中に分散させ、樹脂粒子の溶け難さを見ることで確認することができる。
前記光拡散粒子の屈折率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0〜3.0が好ましく、1.2〜1.6がより好ましく、1.3〜1.5が更に好ましい。前記屈折率が上記範囲であると、有機膜から形成する光拡散層における光拡散(散乱)性が良好なものとなり、該光拡散層を用いた有機電界発光装置の光取り出し効率向上に好適である。
前記光拡散粒子の屈折率は、例えば自動屈折率測定器(KPR−2000、株式会社島津製作所製)を用い、屈折液の屈折率を測定してから、精密分光計(GMR−1DA、株式会社島津製作所製)で、シュリブスキー法により測定することができる。
本発明においては、有機膜におけるバインダー(前記有機材料。硬化性樹脂及び硬化性化合物の場合には、硬化後のもの)の屈折率Aと前記光拡散粒子の屈折率Bとの屈折率差|A−B|(絶対値)は、0.2以上1.0以下であり、0.2以上0.5以下が好ましく、0.2以上0.4以下が更に好ましい。前記屈折率差|A−B|が、上記範囲であると、有機膜から形成する光拡散層における光拡散(散乱)性が良好なものとなり、該光拡散層を用いた有機電界発光装置の光取り出し効率向上に好適である。
前記光拡散粒子の平均粒径は、0.5μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜6μmがより好ましく、1〜3μmが更に好ましい。前記光拡散粒子の平均粒径が10μm以下であれば、適切な光拡散(散乱)性が得る上で好ましい。一方、前記光拡散粒子の平均粒径が0.5μm以上であれば、光拡散粒子の散乱効率の波長依存性が小さく、有機膜から形成する光拡散層を用いた有機電界発光装置の色度変化が小さく、光取り出し効率が向上する上で好ましい。
前記光拡散粒子の平均粒径は、例えば日機装株式会社製ナノトラックUPA−EX150等の動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
前記有機膜における光拡散粒子の含有率は、25体積%以上50体積%以下であり、25体積%以上40体積%以下が好ましく、30体積%以上35体積%以下がより好ましい。有機膜から形成する光拡散層を用いた有機電界発光装置を考慮した場合、前記含有率が25体積%未満であると、光拡散層に入射してきた光が光拡散粒子に散乱される確率が小さく、光拡散層の光角度を変換する能力が小さいので、光拡散層の厚みを充分に厚くしないと光取り出し効率が低下することがある。また、前記光拡散層の厚みを厚くすることはコストの増加に繋がり、前記光拡散層の厚みのバラツキが大きくなり、発光面内の散乱効果にバラツキが生じるおそれがある。一方、前記含有率が、50体積%を超えると、前記光拡散層の表面が大きく荒れ、内部にも空洞が生じることで、前記光拡散層の物理的強度が低下することがある。
また、硬化性樹脂又は硬化性化合物が硬化時に生じる体積収縮によって光拡散粒子との界面で応力が掛かり、膜強度が低下し、それに伴い転写性も低下する。前記有機膜における光拡散粒子の含有率が上記範囲であれば、光拡散粒子と硬化性化合物との間での応力を抑制でき、有機膜の転写性が向上する。
<<高屈折率無機フィラー>>
本発明の光拡散性転写材料の有機膜に用いる高屈折率無機フィラーとしては、高屈折率であれば特に制限されないが、金属酸化物等の無機微粒子が挙げられる。
前記金属酸化物の金属としては、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、クロム及びアンチモン等が挙げられる。金属酸化物としては、具体的には、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、Cr、等が挙げられる。これらの中でも、TiO(酸化チタン)が特に好ましい。
酸化チタン粒子としては、光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が、経時安定性の観点から、好ましい。光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子光触媒活性を有していなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)酸化チタン微粒子表面をアルミナ、シリカ、及びジルコニアの少なくとも1種で被覆した酸化チタン微粒子、(2)前記(1)の被覆した酸化チタン微粒子の被覆表面に樹脂を被覆してなる酸化チタン微粒子などが挙げられる。前記樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
前記光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が、光触媒活性を有さないことの確認は、例えばメチレンブルー法により行うことができる。
前記光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子における酸化チタン微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼが主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
前記酸化チタン微粒子は、酸化チタン以外の金属酸化物を添加して複合化させても構わない。
前記酸化チタン微粒子に複合化させることができる金属酸化物としては、Sn、Zr、Si、Zn、及びAlから選択される少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。
前記金属酸化物のチタンに対する添加量は、1モル%〜40モル%が好ましく、2モル%〜35モル%がより好ましく、3モル%〜30モル%が更に好ましい。
前記高屈折率無機フィラーの一次平均粒径は、1nm〜30nmが好ましく、1nm〜25nmがより好ましく、1nm〜20nmが更に好ましい。 前記一次平均粒径は、例えば、X線回折装置で測定された回折パターンの半値幅からの計算や電子顕微鏡(TEM)撮影像の直径からの統計計算などにより測定することができる。
前記高屈折率無機フィラーの形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、又は不定形状が好ましい。前記高屈折率無機フィラーは、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
前記高屈折率無機フィラーは、屈折率が2.2以上3.0以下であり、2.2以上2.8以下がより好ましく、2.2以上2.6以下が更に好ましい。屈折率が上記範囲であると、着色させることなく有機膜及び該有機膜から形成する光拡散層の屈折率を効果的に高めることができる。
ここで、屈折率が高く(1.8以上)、平均一次粒径が1〜100nm程度の微粒子の屈折率を測定することは困難であるが、次のようにして屈折率を測定することができる。屈折率既知の樹脂材料に前記高屈折率無機フィラーをドープし、前記高屈折率無機フィラーが分散された樹脂材料をSi基板、又は石英基板上に塗布膜を形成する。前記塗布膜の屈折率をエリプソメーターで測定し、前記塗布膜を構成する樹脂材料と酸化チタン微粒子の体積分率から、前記酸化チタン微粒子の屈折率が判る。
前記有機膜における前記高屈折率無機フィラーの含有率は、有機膜から形成する光拡散層を用いた有機電界発光装置の光取り出し効率の観点から、前記有機材料に対して、10体積%以上30体積%以下であり、10体積%以上25体積%以下がより好ましく、10体積%以上20体積%以下が更に好ましい。
<<有機膜の厚み>>
本発明の光拡散性転写材料においては、前記有機膜の厚みT[μm]と前記有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]とがT≧150/Nを満足する。好ましくはT≧200/Nであり、より好ましくはT≧220/Nである。また、上限としては好ましくはT≦400/Nであり、より好ましくはT≦370/Nである。
前記有機膜の厚みは、4μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上12μm以下がより好ましく、4μm以上9μm以下が特に好ましい。有機膜から形成する光拡散層を用いた有機電界発光装置を考慮した場合、前記厚みが上記範囲であるとで、適切な光拡散性が得られ、光取り出し効率向上に好適である。
また、前記有機膜の厚みが上記範囲であれば、加熱時に生じる基板との界面に生じる応力を低減する事ができ、有機膜の転写性が向上する。
前記有機膜の厚みは、例えば有機膜の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定して、求めることができる。
<<有機膜の形成方法>>
前記有機膜は、前記有機材料、光拡散粒子、高屈折率無機フィラー等と必要に応じて溶媒と混合した塗布組成物を、前記支持体上に塗布、乾燥することで形成することができる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンがより好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
前記有機膜は、前記塗布組成物を、基板上に、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥することにより作製することができる。
(カバーフィルム)
本発明の光拡散性転写材料において、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するためにカバーフィルムを前記有機膜の上に設けることができる。
カバーフィルムは、支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、有機膜から容易に分離できるものであることが好ましい。カバーフィルムの材料としては、例えばシリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが好ましく、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムがより好ましい。
カバーフィルムの厚みは、5μm〜100μmが好ましく、15μm〜50μmがより好ましい。
[光拡散層の形成方法]
本発明の光拡散層の形成方法は、前述の本発明の光拡散性転写材料の前記有機膜を有する面を被転写体に貼り合せ(ここで、カバーフィルムを設けた場合には、該カバーフィルムを剥して被写体に貼り合わせる)、加熱温度60度以上の条件下で前記有機膜を前記被転写体に転写して光拡散層を前記被転写体上に形成する。
本発明の光拡散性転写材料の有機膜は、被転写体に貼り合わせ加熱温度60度以上で加熱することにより、膜残りなく転写性良く被転写体上に転写することができ、支持体を剥離することにより、被転写体上に光拡散層が形成される。上記加熱温度で転写を行うことで、有機膜の硬化の有無に関わらず、該有機膜を膜残りなく転写性良く被転写体上に転写することができる。
前記加熱温度は、転写性の観点から、80度以上150度以下であることが好ましく、100度以上140度以下であることがより好ましい。
前記光拡散性転写材料と前記被転写体とを貼り合わせて加熱する際に、同時に、加圧することもできる。加圧する圧力としては、0.2Pa以上20Pa以下であることが好ましく、0.5Pa以上10Pa以下であることがより好ましい。
前記貼り合せには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーター等が使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの使用も可能である。
図1に、本発明の光拡散層の形成方法の一例を模式的に示す。
工程(a)において、支持体101上に有機膜102を有し、更に有機膜102上にカバーフィルム103を設けた、シート状の本発明の光拡散性転写材料107を作製する。
光拡散層を形成するに当たっては、まず、カバーフィルム103を剥し、光拡散性転写材料107の有機膜102の面と被転写体104と貼り合わせる(工程(b))。続いて、光拡散性転写材料107と被転写体104とを貼り合せた状態で、ラミネーター105により、加熱・加圧する(工程(c))。加熱温度は60度以上とし、加圧圧力は前記範囲の圧力とすることが好ましい。その後、支持体101を有機膜102から剥離することにより有機膜102が被転写体104上に転写され、被転写体104上に光拡散層(有機膜102)が形成される。
本発明の光拡散層の形成方法において、有機膜102の樹脂として、前記反応性硬化性樹脂又は硬化性化合物を用い、電離放射線照射(好ましくは光照射)により有機膜102を硬化させることが好ましい。硬化により膜強度が向上するためである。
ここで、硬化の好ましい態様としては、図1の工程(d)に示すように、光拡散性転写材料107と被転写体104とを貼り合わせた状態で(即ち、支持体101を剥離する前に)、大気中で電離放射線106を有機膜102に照射することにより有機膜102を硬化する態様が挙げられる。大気中で電離放射線を照射して有機膜102を十分に硬化させることができるので、電離放射線照射時の雰囲気制御を行わずに済み、製造設備等を簡便に済ませることができる。この場合の大気中とは、酸素濃度が18%以上の環境を指す。
この場合、支持体101としては、酸素バリア性を持った支持体であることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等が好ましい。
一方、有機膜を被転写体に転写し、支持体を有機膜から剥離した後に、電離放射線を有機膜に照射することにより有機膜を硬化する態様も好ましい。この態様は、膜の硬化度を向上させたい場合には好ましい態様である。
光照射の光源は、反応性硬化性樹脂又は硬化性化合物と併用する硬化剤や光重合開始剤の反応する波長(吸収波長)付近であればいずれでもよく、吸収波長が紫外領域の場合、光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350nm〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、吸収波長が赤外領域の場合、光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750nm〜1,400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができる。光照射による光ラジカル重合の場合で、支持体を有機膜から剥離した後に光照射を行う場合には、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。前記酸素濃度範囲は0〜1,000ppmが好ましく、0〜800ppmがより好ましく、0〜600ppmが更に好ましい。
照射する紫外線の照射強度は、有機膜を変色等なく十分に硬化させる観点から、0.1mW/cm〜100mW/cmが好ましく、塗布膜表面上での光照射量は、100mJ/cm〜10,000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜5,000mJ/cmがより好ましく、100mJ/cm〜1,000mJ/cmが特に好ましい。
また、光照射工程での温度は、硬化を効率的に行う上で、15℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、25℃〜50℃が特に好ましい。
(被転写体)
本発明の光拡散層の形成方法において用いる被転写体としては、特に限定されず、光拡散層を適用する用途に応じて選択することができる。
有機電界発光装置に光拡散層を適用する場合には、後述する有機電界発光装置の基板を被転写体としてもよいし、透明電極や、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極を予め積層した積層体を被転写体としてもよいが、基板を被転写体とすることが好ましい。
[有機電界発光装置及び有機電界発光装置の製造方法]
本発明の有機電界発光装置は、基板、光拡散層、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極をこの順に有する。
ここで、前記光拡散層は、本発明の光拡散層の形成方法により形成される。この際に被転写体としては、前記基板を被転写体として用い、該基板上に前記光拡散層を形成することが好ましい。透明電極と基板界面での全反射が強いため、この位置に光拡散層を配置することで、より効率的に光取り出し効果が得る事が出来る。
前記光拡散層と前記透明電極との間に、平坦化層を設けることもできるが、本発明の光拡散層の形成方法により光拡散層を形成することで平坦な光拡散層が得られるため、平坦化層を設けないことも好ましい。
また、前記平坦化層又は前記光拡散層と前記透明電極との間にバリア層を設けることもできる。
更に、前記透明電極、前記反射電極、及び前記有機電界発光層が封止缶内に封入されていることも好ましい。封止缶内に、前記透明電極、前記反射電極、前記有機電界発光層に加えて、前記光拡散層や、更に前記平坦化層や前記バリア層が封入されていることも好ましい。
−光拡散層−
前記光拡散層は、本発明の光拡散層の形成方法により形成され、前記有機膜又は前記有機膜が硬化したものが前記光拡散層となる。即ち、前記光拡散層は、少なくとも、前記有機膜の有機材料又は該有機材料が硬化したものからなるバインダー、光拡散粒子、高屈折率無機フィラーを含有する。
前記光拡散層における光拡散粒子の含有率は、25体積%以上50体積%以下であり、25体積%以上40体積%以下が好ましく、30体積%以上35体積%以下がより好ましい。前記含有率が25体積%未満であると、光拡散層に入射してきた光が光拡散粒子に散乱される確率が小さく、光拡散層の光角度を変換する能力が小さいので、光拡散層の厚みを充分に厚くしないと光取り出し効率が低下することがある。また、前記光拡散層の厚みを厚くすることはコストの増加に繋がり、前記光拡散層の厚みのバラツキが大きくなり、発光面内の散乱効果にバラツキが生じるおそれがある。一方、前記含有率が、50体積%を超えると、前記光拡散層の表面が大きく荒れ、内部にも空洞が生じることで、前記光拡散層の物理的強度が低下することがある。
前記光拡散層の厚みT[μm]と前記有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]とがT≧150/Nを満足する。好ましくはT≧200/Nであり、より好ましくはT≧220/Nである。また、上限としては好ましくはT≦400/Nであり、より好ましくはT≦370/Nである。
前記光拡散層の厚みは、4μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上12μm以下がより好ましく、4μm以上9μm以下が特に好ましい。前記厚みが上記範囲であるとで、適切な光拡散性が得られ、光取り出し効率向上に好適である。
前記光拡散層の平均厚みは、例えば光拡散層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定して、求めることができる。
前記光拡散層中のバインダーの屈折率は、1.7〜2.2が好ましく、1.7〜2.1がより好ましく、1.7〜2.0が更に好ましい。バインダーの屈折率が上記範囲にあると有機電界発光装置の光取り出し効率向上に好適である。
また前記光拡散層中のバインダーの屈折率は、有機電界発光層中の発光層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。
前記光拡散層の光入射面は、平坦であるか、又は前記光拡散層の光入射面に平坦化層を有すること好ましい。これにより、光拡散粒子の密度を増加させても後方散乱の増加を抑制できる。また、平坦化することで異物付着が防止される。
平坦化層を設けず前記光拡散層の光入射面を平坦にする方法としては、本発明の光拡散層の形成方法に従い転写により光拡散層を形成する方法が挙げられる。
−平坦化層−
前記平坦化層としては、前記光拡散層において前記光拡散粒子を含まない組成であることが好ましい。該平坦化層は、前記樹脂及び前記高屈折率無機フィラーを含む塗布組成物を前記光拡散層上に塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることで形成することができる。塗布、硬化は、前記光拡散層の形成方法で説明した方法で行うことができる。
前記平坦化層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平坦化及び光取り出し効率向上の観点から、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜8μmがより好ましく、3μm〜6μmが特に好ましい。
前記光拡散層と前記平坦化層の合計平均厚みは、平坦化及び光取り出し効率向上の観点から、5μm〜25μmが好ましく、7μm〜20μmがより好ましく、8μm〜15μmが特に好ましい。
前記平坦化層の屈折率は、光取り出し効率の観点から、1.7〜2.2が好ましく、1.7〜2.1がより好ましく、1.7〜2.0が更に好ましい。前記平坦化層の屈折率は、前記光拡散層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。
−基板−
前記基板としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記光取り出し部材の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂が好ましく、ロールでの塗布適性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
前記基板の表面は、その上に設ける光拡散層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
前記基板は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
前記基板の屈折率は、前記光拡散層や空気(光出射側)との屈折率差を少なくし、光取り出し効率を向上させる観点から、1.3〜1.8が好ましく、1.4〜1.7がより好ましく、1.4〜1.6更に好ましい。
−有機電界発光層−
前記有機電界発光層としては、少なくとも発光層を有する。前記発光層以外の機能層としては、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
前記有機電界発光層は、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有することが好ましく、陰極と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層を設けてもよく、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けてもよい。
また、前記発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層(電子ブロック層)を設けてもよく、発光層と電子輸送層との間に電子輸送性中間層(正孔ブロック層)を設けてもよい。各機能層は複数の二次層に分かれていてもよい。
前記発光層を含むこれらの機能層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等のいずれによっても好適に形成することができる。
−−発光層−−
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、発光材料を含む。前記発光層は発光材料のみで構成されていてもよいし、ホスト材料と発光材料の混合層でもよい(後者の場合、発光材料を「発光性ドーパント」もしくは「ドーパント」と称する場合がある)。前記発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、2種以上が混合されていてもよい。ホスト材料は電荷輸送材料が好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよい。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
前記発光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2nm〜500nmであるのが好ましく、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、前記発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
−−−発光材料−−−
前記発光材料は、燐光発光材料、蛍光発光材料等のいずれも好適に用いることができる。
前記発光材料は、ホスト化合物との間で、イオン化ポテンシャルの差(ΔIp)と電子親和力の差(ΔEa)が、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが、駆動耐久性の観点で好ましい。
前記発光層中の発光材料は、前記発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜50質量%含有されることがより好ましい。
<燐光発光材料>
前記燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
前記遷移金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
前記錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
前記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
これらの中でも、燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、WO2004/108857A1、WO2005/042444A2、WO2005/042550A1、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−93542、特開2006−261623、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の各公報に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。これらの中でも、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、Ce錯体が好ましく、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体がより好ましく、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が更に好ましく、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
前記燐光発光材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005913938
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<蛍光発光材料>
前記蛍光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、又はこれらの誘導体などを挙げることができる。
−−−ホスト材料−−−
前記ホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。
<正孔輸送性ホスト材料>
前記正孔輸送性ホスト材料としては、例えば、以下の材料を挙げることができる。即ち、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体、分子内にカルバゾール基を有するものが好ましく、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物がより好ましい。
<電子輸送性ホスト材料>
前記電子輸送性ホスト材料としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、又はそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。これらの中でも、耐久性の点から金属錯体化合物が好ましく、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。前記金属錯体電子輸送性ホストとしては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物が挙げられる。
前記正孔輸送性ホスト材料、電子輸送性ホスト材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005913938
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−−正孔注入層、正孔輸送層−−
前記正孔注入層、又は前記正孔輸送層は、陽極又は陽極側の層から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いられる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層が好ましい。
前記正孔注入層、又は前記正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。前記正孔注入層、又は正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、及び三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜40質量%が更に好ましく、0.1質量%〜30質量%が特に好ましい。
前記正孔注入層、又は正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−電子注入層、電子輸送層−−
前記電子注入層、又は前記電子輸送層は、陰極又は陰極側の層から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層が好ましい。
前記電子注入層、又は電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。前記電子注入層、又は電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、及びYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%が更に好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
前記電子注入層、又は前記電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−正孔ブロック層、電子ブロック層−−
前記正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
一方、前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記正孔ブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
前記正孔ブロック層及び電子ブロック層の厚みは、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、前記正孔ブロック層及び電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−−電極−−
前記有機電界発光素子は、透明電極及び反射電極、即ち陽極と陰極とを含む。有機電界発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明が好ましい。
通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
前記電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その陽極、陰極において、前記反射金属、前記半透明部材としての半透明金属を構成することが好ましい。
前記陽極を構成する材料の具体例としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
前記電極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記電極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って形成することができる。陰極の材料として金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って形成することができる。
なお、前記電極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
−バリア層−
前記バリア層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、有機材料からなる有機層単独、又は無機材料からなる無機層単独であってもよいが、有機材料からなる有機層と、無機材料からなる無機層とを積層した多層構造であってもよい。
前記無機材料としては、例えばSiNx、SiON、SiO、Al、TiOなどが挙げられる。
前記有機材料としては、例えばシリコーン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマーなどが挙げられる。
前記バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、材料に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、CVD法、真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。
前記バリア層の屈折率(多層構造の場合は、平均屈折率)は、1.7以上が好ましく、1.8〜2.2がより好ましい。前記バリア層の屈折率が、1.7未満であると、透明電極とバリア層の界面で、有機電界発光層からの光の全反射が多くなり、光取り出し効率が低下することがある。
前記バリア層の光学的性質は、光線透過率が80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
前記バリア層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。前記バリア層の平均厚みが、0.1μm未満であると、大気中の酸素及び水分の透過を防ぐ封止機能が不充分であることがあり、10μmを超えると、光線透過率が低下し、透明性を損なうこと、また、無機材料を単層で用いる場合、応力差により割れ、隣接層との剥離等、バリア性が損なわれることがある。
−封止缶−
前記封止缶としては、前記透明電極、前記反射電極、前記有機電界発光層、前記平坦化層、及び前記光拡散層からなる積層体が封入できる大きさ、形状、構造などを有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記封止缶と前記透明電極、前記反射電極、前記有機電界発光層、前記平坦化層、及び前記光拡散層からなる積層体の間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
前記水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類などが挙げられる。
ここで、図2は、本発明の有機電界発光装置の一例を示す概略図である。この図2の有機電界発光装置10は、ガラス基板1上に、光拡散層2と、平坦化層3とを有する光取り出し部材11の平坦化層3上に、透明電極4と、有機電界発光層5と、反射電極6とを有し、透明電極4、有機電界発光層5、及び反射電極6が封止缶7で封止されたものである。
また、図3に示すように、光拡散層2、平坦化層3、透明電極4、有機電界発光層5、及び反射電極6が封止缶7内に封入することにより、経時安定性を向上させることができる。
また、図4に示すように、図2において、光取り出し部材11の平坦化層3上にバリア層8を形成することにより、経時安定性を向上させることができる。
前記有機電界発光装置は、フルカラーで表示し得る装置として構成することができる。
前記有機電界発光装置をフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する層構造を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の層構造による白色発光をカラーフィルタ層を通して3原色に分ける白色法、青色発光用の層構造による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。
この場合は、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の画素ごとにレーザーパワー、厚みを適宜調整することが好ましい。
また、上記方法により得られる、異なる発光色の層構造を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色(B)、緑色(G)、及び赤色(R)の有機電界発光素子を組み合わせた白色発光光源、等である。
前記有機電界発光装置は、例えば、照明機器、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下に説明する実施例及び比較例において、有機膜及び光拡散層の厚みについては、以下のようにして測定した。
<有機膜及び光拡散層の厚み>
前記光拡散層の厚みは、有機膜及び光拡散層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定して求めた。
(実施例1)
<光拡散性転写シート1の作製>
樹脂材料(アクリレート化合物「オグソールEA−0200」(大阪ガスケミカル(株)製))11.2gと、高屈折率無機フィラー(TiO分散液HTD−760(テイカ(株))40gとをトルエン42gに混合し、ローラーミキサー、スターラーにより攪拌して溶解し、更に超音波(ソニファイヤー)によりTiOを分散させて、高屈折率樹脂を得た。
得られた高屈折率樹脂93gに光拡散粒子(平均直径1.5μmの架橋アクリル系粒子、屈折率1.49、材料名「EX−150」)14.8gをスターラーにて攪拌しながら添加し、超音波にて光拡散粒子を高屈折率樹脂に十分に分散させ、更にスターラーで良く攪拌した。続いて、重合開始剤(IRGACURE819、BASF社製)を波長450nm以下の光がカットされた環境にて、樹脂に対し2質量%添加し、十分に攪拌し、樹脂膜中の光拡散粒子の含有率が30体積%となるような樹脂膜形成用塗布組成物を得た。
次に、フッ素系シランカップリング剤(オプツールDSX(ダイキン工業(株)))にて表面処理を施したPETフィルム(厚さ:0.75mm、200mm角)の上に、前記樹脂膜形成用塗布組成物を塗布、乾燥させ、厚さ5μmの樹脂膜を形成した。前記樹脂膜上にカバーフィルム(ポリプロピレン製)を貼り付けて、光拡散性転写シート1を得た。
<基板への転写>
ガラス基板(コーニング社製、Eagle XG、屈折率1.51)を洗浄容器に入れ、中性洗剤中で超音波洗浄した後、純水中で超音波洗浄し、120℃で120分間加熱乾燥を行った。
前記光拡散性転写シート1から前記カバーフィルムを剥離し、前記有機膜側の面を前記ガラス基板の表面に貼り付けて、ラミネーターを用い、温度120℃、圧力1MPaで加熱、加圧して貼り合わせを行った。続いて、前記光拡散性転写シートと前記ガラス基板を貼り合わせたまま、大気中で前記光拡散性転写シート1のPETフィルム側から紫外線を照射させ、有機膜を硬化させた。その後、前記光拡散性転写シート1のPETフィルムを剥離し、前記ガラス基板上に前記有機膜が均一に転写された光拡散層を得た。
光拡散層の転写得率は97%であった。ここで、転写得率は、前記光拡散性転写シート100mm角を100枚用意し、前述の方法にてガラス基板上に有機膜を転写して光拡散層を形成した場合に、膜残りなく有機膜が均一に転写された枚数の割合(%)である。
<有機電界発光装置1の作製>
次に、前記光拡散層上に、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)を厚みが100nmとなるように成膜した。
次に、前記ITO上に、下記構造式で表される4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)99.7質量%に、下記構造式で表されるF4−TCNQを0.3質量%ドープした正孔注入層を厚みが250nmになるように共蒸着した。
Figure 0005913938
Figure 0005913938
次に、前記正孔注入層上に、正孔輸送層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚みが10nmとなるように真空蒸着法にて形成した。
次に、前記正孔輸送層上に、下記構造式で表される有機材料Aを真空蒸着して、厚み3nmの第2の正孔輸送層を形成した。
Figure 0005913938
次に、第2の正孔輸送層上に、ホスト材料として下記構造式で表されるmCP(1,3-Bis(carbazol-9-yl)benzene)60質量%に、燐光発光材料である下記構造式で表される発光材料Aを40質量%ドープした白色発光層を30nmの厚みに真空蒸着した。
Figure 0005913938
Figure 0005913938
次に、発光層上に電子輸送層として下記構造式で表されるBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を厚みが39nmとなるように真空蒸着した。
Figure 0005913938
次に、電子輸送層上に、下記構造式で表されるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を電子注入層として、厚みが1nmとなるように蒸着した。
Figure 0005913938
次に、電子注入層上にバッファ層としてLiFを厚みが1nmとなるように蒸着し、該バッファ層上にアルミニウムを電極層として厚みが100nmとなるように蒸着し、積層体を作製した。
次に、作製した積層体を、窒素ガス雰囲気中にて乾燥剤を貼り付け、基板との設置面に封止材を塗った封止ガラス缶にて基板の有機層側を封止した。
以上のようにして、有機電界発光装置1を作製した。また、光拡散層を設けない以外は以上と同様にして光拡散層なしの参照用の有機電界発光装置1を作製した。
<光取り出し効率の算出>
前記有機電界発光装置1及び前記参照用の有機電界発光装置1それぞれの外部量子効率を、浜松ホトニクス株式会社製の外部量子効率測定装置「C9920−12」を用いて、直流定電流(0.2mA)を各有機電界発光装置に印加して発光させ外部量子効率を測定し、以下の式から前記有機電界発光装置1の光取り出し効率を算出した。
光取り出し効率(倍)
=(有機電界発光装置の外部量子効率/参照用の有機電界発光装置の外部量子効率)
有機電界発光装置の光取り出し効率は1.65倍であった。
(実施例2)
実施例1の光拡散性転写シート1の作製において、有機膜の膜厚を8μmにした以外は、光拡散性転写シート1と同様の方法にて光拡散性転写シート2を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は95%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置2及びを参照用の有機電界発光措置2を作製し、有機電界発光装置2の光取り出し効率を算出したところ、1.7倍であった。
(実施例3)
実施例1の光拡散性転写シート1の作製において、有機膜中の光散乱粒子の含有率が50体積%になるようにした以外は、光拡散性転写シート1と同様の方法にて光拡散性転写シート3を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は97%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置3及びを参照用の有機電界発光措置3を作製し、有機電界発光装置2の光取り出し効率を算出したところ、1.7倍であった。
(比較例1)
実施例1の光拡散性転写シート1の作製において、有機膜中の光散乱粒子の含有率が10体積%になるようにした以外は、光拡散性転写シート1と同様の方法にて光拡散性転写シート4を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は97%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置4及びを参照用の有機電界発光措置4を作製し、有機電界発光装置4の光取り出し効率を算出したところ、1.1倍であった。
(比較例2)
実施例1の光拡散性転写シート1の作製において、有機膜中の光散乱粒子の含有率が70体積%になるようにした以外は、光拡散性転写シート1と同様の方法にて光拡散性転写シート5を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は50%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置5及びを参照用の有機電界発光措置5を作製し、有機電界発光装置5の光取り出し効率を算出したところ、1.7倍であった。
(実施例4)
実施例3の光拡散性転写シート3を用い、有機膜転写時の加熱温度を70℃にした以外は、実施例1と同様の条件で転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は75%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置6及びを参照用の有機電界発光措置6を作製し、有機電界発光装置6の光取り出し効率を算出したところ、1.7倍であった。
(実施例5)
実施例3の光拡散性転写シート3の作製において、有機膜の膜厚を15μmにした以外は、光拡散性転写シート3と同様の方法にて光拡散性転写シート6を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は60%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置7及びを参照用の有機電界発光措置7を作製し、有機電界発光装置7の光取り出し効率を算出したところ、1.7倍であった。
(比較例3)
実施例3の光拡散性転写シート3の作製において、有機膜の膜厚を2.5μmにした以外は、光拡散性転写シート3と同様の方法にて光拡散性転写シート7を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は97%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置8及びを参照用の有機電界発光措置8を作製し、有機電界発光装置8の光取り出し効率を算出したところ、1.1倍であった。
(比較例4)
実施例3の光拡散性転写シート3を用い、有機膜転写時の加熱温度を30℃にした以外は、実施例1と同様の条件で転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写されず有機膜が一部支持体に残ってしまった。ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は0%であった。
(比較例5)
実施例1の光拡散性転写シート1の作製において、有機膜中の光散乱粒子の含有率が20体積%になるようにし、有機膜の膜厚を10μmにした以外は、光拡散性転写シート1と同様の方法にて光拡散性転写シート8を作製した。実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層の転写得率は80%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置9及びを参照用の有機電界発光措置9を作製し、有機電界発光装置9の光取り出し効率を算出したところ、1.3倍であった。
(実施例6)
実施例3のガラス基板への転写工程において、ラミネーターで加熱・加圧後にPETフィルムを剥離し、その後、紫外線照射によって有機膜を硬化させた以外は、実施例1と同様の条件で、転写による光拡散層の形成を行ったところ、ガラス基板に均一に転写された光拡散層(有機膜)の転写得率は90%であった。
また、この光拡散層を形成したガラス基板を用いて、実施例1の有機電界発光装置1の作製と同様の方法で有機電界発光装置9及びを参照用の有機電界発光措置9を作製し、有機電界発光装置9の光取り出し効率を算出したところ、1.65倍であった。
以下の表1に、実施例1〜6及び比較例1〜5の転写得率と光取り出し効率をまとめる。比較例4においては、均一な光拡散層の転写による形成ができないため、有機電界発光装置を作製せず、光取り出し効率の評価は行わなかった。
Figure 0005913938
実施例5は、「参考例」に読み替えるものとする。
表1に示すように、PETフィルム上に光拡散粒子の含有率が25体積%以上50体積%以下であり、前記光拡散粒子の含有率N[体積%]と有機膜の厚みT[μm]がT≧150/Nを満足する有機膜を有する光拡散性転写シートを用い、加熱温度60度以上の条件でガラス基板に貼り合わせることにより、均一な光拡散層を前記ガラス基板上に転写性良く形成することができる。更に、該光拡散層を形成したガラス基板を用いることで、光取り出し効率が高い有機電界発光装置が得られる。
本発明の有機電界発光装置は、例えば、各種照明、コンピュータ、車載用表示器、野外表示器、家庭用機器、業務用機器、家電用機器、交通関係表示器、時計表示器、カレンダ表示器、ルミネッセントスクリーン、音響機器等をはじめとする各種分野において好適に使用することができる。
1 ガラス基板
2 光拡散層
3 平坦化層
4 透明電極
5 有機電界発光層
6 反射電極
7 封止缶
8 バリア層
10 有機電界発光装置
11 光取り出し部材
101 支持体
102 有機膜
103 カバーフィルム
104 被転写体
105 ラミネーター
106 電離放射線
107 光拡散性転写材料

Claims (8)

  1. 透明基板と透明電極の間に光拡散層を有する有機電界発光装置の前記光拡散層を転写により形成するための光拡散性転写材料であって、
    支持体上に、少なくとも1種類の光拡散粒子と、少なくとも1種類の高屈折率無機フィラーと、バインダーとを含有する有機膜を有し、
    前記高屈折率無機フィラーの屈折率は、2.2以上3.0以下であって、かつ前記バインダーの屈折率よりも高く、
    前記光拡散粒子の平均粒径は1〜3μmであり、
    前記有機膜の膜厚が4μm以上9μm以下であり、
    該有機膜中の前記光拡散粒子の含有率N[体積%]が25〜50の範囲であり、該有機膜の厚みT[μm]がT≧150/Nを満足する、光拡散性転写材料。
  2. 前記支持体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、及びポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種からなる、請求項1に記載の光拡散性転写材料。
  3. 請求項1又は2に記載の光拡散性転写材料における有機膜を有する面を被転写体に貼り合せ、加熱温度60度以上の条件下で前記有機膜を前記被転写体に転写して光拡散層を前記被転写体上に形成する、光拡散層の形成方法。
  4. 前記加熱温度が80度以上150度以下である、請求項3に記載の光拡散層の形成方法。
  5. 前記光拡散性転写材料と前記被転写体とを貼り合わせた状態で、大気中で電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化する、請求項3又は4に記載の光拡散層の形成方法。
  6. 前記有機膜を前記被転写体に転写し、前記支持体を前記有機膜から剥離した後に、電離放射線を前記有機膜に照射することにより前記有機膜を硬化させる、請求項3又は4に記載の光拡散層の形成方法。
  7. 基板、光拡散層、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極をこの順に有する有機電界発光装置の製造方法であって、
    前記光拡散層を請求項3〜6のいずれか一項に記載の形成方法により形成する工程を含む、有機電界発光装置の製造方法。
  8. 前記基板を被転写体として該基板上に前記光拡散層を形成する工程を有する、請求項7に記載の有機電界発光装置の製造方法。
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