JP5974686B2 - 容器用口栓及び容器 - Google Patents
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Description
さらに、プルタブに指を掛ける際には、指で注出口の内面に触れてしまう場合が多く、開封後に内容物が当該内面に触れてしまうと衛生面で問題となる場合もある。
加えて、注出口本体から切り離したプルタブは、それ自体が廃棄物となるため、廃棄の手間がかかるという問題もある。
本発明の他の目的は、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器を提供することである。
本発明の容器用口栓は、液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、円筒部と、該円筒部の内腔を塞ぐ板状の封止板部と、該封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、少なくとも一部が前記周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなり、周方向他方側の第一端部が前記第一スロープリブの前記周方向一方側の先端部と径方向内側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第一端部よりも前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第一端部と反対側の第二端部が前記第一スロープリブの前記先端部よりも前記周方向一方側に配置された第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、前記円筒部の軸線回りに相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、前記封止板部は、その板厚方向の剪断に対する強度が相対的に弱められた部位であり面方向に沿って線状に延ばされて、断裂時に前記円筒部の内腔が開通する断裂用線部を有し、該断裂用線部は、前記第一スロープリブの外周側の境界よりも径方向外側または前記境界上で、前記円筒部の周方向に沿って環状に延び、前記第二スロープリブと並行する部位が一定強度以上の強度を有する高強度部位とされ、その他の部位が前記一定強度より低い強度を有する低強度部位とされた周方向線部と、該周方向線部上で周方向に互いに離間する二位置を前記周方向線部よりも内側で結ぶように前記封止板部の面方向に沿って延び、前記一定強度より低い強度を有する内側横断線部と、を有し、前記二位置のうちの一方は、前記二位置のうちの他方に対して、前記円筒部の軸線を対称軸として回転対称となる位置よりも前記周方向一方側若しくは前記周方向他方側にずれており、前記第一スロープリブは、前記二位置のそれぞれから前記周方向一方側に延ばされ、前記二位置のそれぞれを始点として前記突出高さが増大する傾斜部を有することを特徴とする容器用口栓である。
本発明の第1の実施形態の容器用口栓及び容器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の容器の分解斜視図である。図2は、同容器の開口部周辺の断面図である。図3(a)は、同容器の容器用口栓における第一部材の平面図である。図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面図である。図4は、同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。図5(a)、(b)は、図4におけるB−B断面図及びC−C断面図である。図6は、図4におけるD−D断面図である。図7は、同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。図8(a)は、同容器用口栓における第二部材の底面図及び平面図である。図8(a)において図示左側は底面図、図示右側が平面図である。図8(b)は、図8(a)におけるE−E断面図である。
容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ80とを備えている。
キャップ80は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
第一部材21は、ポリエチレン樹脂等の比較的軟質の材料よりなり、図3(a)、(b)に示すように、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
封止板部25の板厚はt0(図5(a)、(b)参照)とされ、封止板部25と円筒部23との間には、第一端部23A側がわずかに凹んで板厚t1(ただし、t1<t0)とされた円環状の薄肉部25dが形成されている。
V溝26において、周方向に互いに離間する2箇所の位置S、Tには、V溝26を塞いで容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部25cが形成されている。
位置Tは、位置Sに対して円筒部23の軸線Pを対称軸として回転対称となる位置よりも、図4における時計回り方向(図示矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)にずれている。
このため、位置S、Tは、V溝26を、優弧を形成する第一V溝26Aと、劣弧を形成する第二V溝26Bとに分割する位置に設定されている。
溝部V1は、図5(a)に示すように、封止板部25の第二端部23B側の表面と溝底との間の厚さがtV1(ただし、tV1<t1<t0)となる溝深さを有している。溝部V1の開き角θ1は、特に限定されないが、本実施形態では一例として、50°としている。
本実施形態では、溝底は封止板部25の板面と平行な平面に形成されている。
第一V溝26Aにおける溝部V1の長さは、位置S側の溝部V1が後述する第一スロープリブ29と略同じ長さとされている。
本実施形態では、溝部V2の開き角θ2は、溝部V1の開き角θ1と同一とされ、溝底は封止板部25の板面と平行な平面に形成されている。
第一V溝26Aにおける溝部V2の長さは、後述する第二スロープリブ30Aと略同じ長さとされている
第二V溝26Bにおける溝部V1、V2の溝断面形状は、第一V溝26Aにおける溝部V1、V2の溝断面形状と同一である。ただし、それぞれの溝長さは、位置T側の溝部V1の溝長さが、第一V溝26Aにおける位置S側の溝部V1と同じである以外は、異なる長さを有する。
V溝27の平面視の形状は、中間溝部27mが軸線Pの近傍を通り第一V溝26A側に凸の湾曲を有する曲線状とされ、この中間溝部27mのそれぞれの端部に、第二V溝26Bに滑らかに接続する円弧状の端部溝部27sと、第一V溝26Aに滑らかに接続する円弧状の端部溝部27tとが形成されている。
端部溝部27sは、第二V溝26Bから位置Sに向かう周方向側かつ位置Sの内周側に向かって分岐する円弧状の形状を有している。また、端部溝部27tは、第一V溝26Aから位置Tに向かう周方向側かつ位置Tの内周側に向かって分岐する円弧状の形状を有している。
これにより、封止板部25において、V溝27に重なって曲線状に延びる内側横断線部25Cでは、封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が、周方向線部25A1、25B1と同一になっている。このため、内側横断線部25Cは、周方向線部25A1、25B1と同様の低強度部位を構成している。
突起部28A、28Bは、略同様の形状を有し、それぞれ、第一封止板25a、第二封止板25b上に設けられている。
突起部28A(28B)は、薄肉部25dよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線Pが延びる方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ29と、第二スロープリブ30A(30B)と、第三リブ31と有している。
また、突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の径方向の位置は、第一封止板25a(第二封止板25b)において薄肉部25dよりも径方向内側に配置されている。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の周方向の長さは、軸線Pに対する中心角が45°〜50°程度となる円弧長に相当している。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の封止板部25からの突出高さは、図7に軸線P側から径方向外側を見た展開図として示すように、突起部28A(28B)の周方向の一端部を構成する平面視半円状の第一端部28aから周方向の反対側の端部を構成する第二端部28bの方に向かって徐々に突出高さが増加し、最大高さh1に達して第一端部28aと反対側の端部から、急激に下降する山形状に変化している。このため、第一スロープリブ29の突出方向には、封止板部25に対する突出高さが0からh1まで増大するスロープ29a(傾斜部)が形成されている。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の平面視の位置は、図4に示すように、第一端部28aの周方向の外周部が、V溝27の端部溝部27t(27s)と重なっている。
さらに、突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の径方向外側の外周部は第一V溝26A(第二V溝26B)の溝部V1と重なっている。また、第一スロープリブ29の径方向外側の外周部に沿って、周方向線部25A1(25B1)が隣接している(図5(a)参照)。
第二スロープリブ30A(30B)の突出高さは、第一スロープリブ29の最大高さh1よりもわずかに低い高さh2から、第一スロープリブ29の最大高さh1よりも高い高さh3まで、周方向一方側に向かって徐々に突出高さが増加している。
本実施形態では、図3に示すように、突起部28A、28Bの周方向の長さの違いに対応して、第二スロープリブ30Aは軸線Pに対する中心角が約90°となる円弧長に相当する長さを有し、第二スロープリブ30Bは軸線Pに対する中心角が約60°となる円弧長に相当する長さを有している。
ただし、第二スロープリブ30A、30Bにおいて周方向一方側の端部30bの位置は、円筒部23の軸線Pを対称軸とする180度回転対称な位置とされている。
このように、第二スロープリブ30A、30Bは、周方向の他方側の端部と周方向一方得側の端部の高さとの差は、h3−h2で一定であり、周方向長さは互いに異なるため、突出方向の端面の傾斜角度は互いに異なっている。
この周方向他方側の端部においては、径方向内側の凸形状を滑らかにするため、第二スロープリブ30A(30B)の突出高さ方向にわたって径方向外側から内側に向かう傾斜面からなる面取り部30aが形成されている。
各第三リブ31の突出高さは一定高さh4である。この突出高さh4は、高さh3より低い適宜値を採用できるが、本実施形態では、一例として、h4=h1としている。
また、第一V溝26A(第二V溝26B)の溝部V2は、第一スロープリブ30A(30B)の周方向一方向側の端部と、第二スロープリブ31の周方向他方向側の端部との間において周方向に延びている。
したがって、本実施形態では、第二スロープリブ30A(30B)の径方向外側の外周部に対して、第一スロープリブ29及び第三リブ31の径方向幅だけ径方向外側に離間した位置に、周方向線部25A2(25B2)が位置している。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、軸線Pを挟んで対向する位置であって、第三リブ31に対応する位相の位置、すなわち第三リブ31と径方向に対向する位置に形成されている。
係合筒部33には、径方向内側に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
本実施形態では、注出口35の内周面は、軸線Qを中心とする略円筒状に形成されており、第二部材22は、この軸線Qを回転中心として180°回転対称の形状を有する。このため、図8(a)では、底面図及び平面図の半分のみを示している。
軸線Qは、図2に示すように、第二部材22を第一部材21に嵌合させたときには、第一部材21の軸線Pと略同軸(同軸の場合を含む)となる。ここで、略同軸というのは、第一部材21と第二部材22とを周方向の相対回転させるために必要な隙間によって発生する程度の径方向のずれは許容できるためである。
第二部材22の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等の比較的硬質な樹脂材料からなる。
これにより、第一部材21に対して第二部材22を回転させる際の摺動抵抗が小さく、開栓のためのトルクを小さくすることができる。
嵌合筒部42の外面には、軸線Qに平行な方向に沿って延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
端面38aは、第二部材22の回転操作時(後述)において第一スロープリブ29、第二スロープリブ30A、30B及び第三リブ31に係合する。
図9は、本発明の第1の実施形態の同容器の開封時における同封止板部及び押圧リブの動きを示す図である。図10〜12は、同容器の開封時の動作を部分破断して示す斜視図である。図13は、開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。
本実施形態では、図9に示すように、開封前において押圧リブ38は突起部28A、28Bの各第二端部28bと近接して隣接する位置に配置されている。これにより、押圧リブ38は、突起部28Bの第二端部28bと突起部28Aの第一端部28aとが近接した状態で、これらの端部の間に挟まれた状態になっている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ80を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り、即ち周方向一方側である、図示矢印に沿ってR2からR1に向かう方向)に回転させる。
すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が前記所定の方向に相対回転する。
この時、押圧リブ38を介して、第二部材22には軸線Pに沿って第一部材21から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線Pが延びる方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されている。
このため、第二部材22から押圧リブ38を介して、第一部材21に反作用が作用し、この反作用は、押圧リブ38が突起部28Aの第一スロープリブ29の傾斜面に沿って移動するにつれて増大していく。
この結果、第一部材21の封止板部25は、各第一スロープリブ29から封止板部25を押し下げる方向(軸線Pに沿って第二部材22から離間する方向)に押圧され、封止板部25内に剪断応力分布が発生する。
これにより、突起部28Aの第一スロープリブ29に近いため、剪断応力が大きくなる第一端部28aの近くの内側横断線部25Cと、周方向線部25A1、25B1との位置で、これら内側横断線部25Cと、周方向線部25A1、25B1とが延びる方向に沿って断裂し始める。
また、周方向線部25A2、25B2においても、押圧リブ38からの押圧力が加わる部位から離れているため、剪断応力が比較的に低く、断裂が起こりにくい。さらに、これら周方向線部25A2、25B2は、周方向線部25A1、25B1に比べて剪断に対する強度が大きい高強度部位である点でも断裂が起こりにくい。
さらに、第二部材22を回転させていくと、押圧リブ38は突起部28Bの第一スロープリブ29に乗り上げる。これにより、上記と同様にして、突起部28Bの第一スロープリブ29の近傍の内側横断線部25Cと、周方向線部25A1、25B1とが断裂し始める。
断裂された領域の封止板部25は、第二部材22と反対側に押し込まれ、封止板部25が、第一封止板25aと第二封止板25bとに徐々に分かれ始める。
この時、第二スロープリブ30A、30Bには、面取り部30aが形成されているため、押圧リブ38が第一スロープリブ29から第二スロープリブ30A、30Bに移動する際に、第二スロープリブ30A、30Bの径方向内側部分に干渉することなく、滑らかに第一スロープリブ29から第二スロープリブ30A、30Bへ移動することができる。
第二スロープリブ30A(30B)は、周方向線部25A2(25B2)と内側横断線部25Cとに挟まれた位置関係にあるが、本実施形態では、周方向線部25A2(25B2)の剪断に対する強度は、内側横断線部25Cの剪断に対する強度に比べて高いため、同様な剪断応力が増大していくと、内側横断線部25Cの方が先に断裂し始める。
このため、押圧リブ38が各第二スロープリブ30A、30Bのスロープ形状(傾斜部)に沿って移動すると、内側横断線部25Cの方から先に断裂して、断裂範囲が広がっていく。
すなわち、封止板部25は、内側横断線部25Cを境として、第一封止板25a、第二封止板25bに分割されつつ、第一封止板25a、第二封止板25bが容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
これにより、塞がれていた円筒部23の内腔に開口が形成されていく。
第二部材22をさらに回転して、略半回転した状態になると、第二部材22のスペーサー44と第一部材21のストッパー34とが周方向において接触し、それ以上、第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の第一封止板25a、第二封止板25bに分割され、図12及び図13に示すように、第三リブ31と押圧リブ38とが軸線方向に互いに当接して、第三リブ31が押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
また、内容物の流路となる円筒部23、39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
これにより、開封時に、封止板部25が、相対的に低強度の内側横断線部25Cと、周方向線部25A1、25B1との部位から確実に断裂され、封止板部25の外周部の一部を構成する、周方向線部25A2、25B2はこれらが断裂された後に断裂される。
このため、内側横断線部25Cに沿って封止板部25の中央部が確実に分断された状態で、第一封止板25aと第二封止板25bとに分割される。この結果、注出口35に重なる領域に第一流路C1、第二流路C2が確実に形成される。
したがって、周方向線部25A2、25B2の部分が先に断裂されて、内側横断線部25Cが断裂されない、といった開封状態になって、良好に開口した流路が得られなくなり、内容物が注ぎにくくなったり、注げなくなったりすることを防止できる。
次に、上述の第1の実施形態の変形例(第1変形例)について説明する。
図14は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。図15は、図14のF矢視図である。
次に、上述の第1の実施形態の他の変形例(第2変形例)について説明する。
図16は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。図17は、図16のG矢視図である。
また、押圧リブ49において肉薄に形成された部分は補強部48aによって補強されているので、押圧リブ49が変形しにくい。
なお、押圧リブ49において円筒部39の軸線に近い内側部分の肉厚を厚くすることにより押圧リブ49をさらに補強することもできる。
次に本発明の第2の実施形態の容器用口栓及び容器について説明する。
図18(a)は、本発明の第2の実施形態の容器の容器用口栓における第一部材の平面図である。図18(b)は、図18(a)におけるH−H断面図である。図19は、同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。図20は、同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。
容器用口栓50は、図2に示すように、上記第1の実施形態における第一部材21に代えて、第一部材51を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第一スロープリブ59は、第一端部28aに相当する第一端部58aの形状が第一スロープリブ29と異なる。すなわち、上記第1の実施形態の第一スロープリブ29の第一端部28a側の端部形状が周方向他方側に向かって凸となる円弧状であったのに対して、第一スロープリブ59の第一端部58aの形状は、図18(a)に示すように、周方向他方側(図18(a)における反時計回り方向、矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)に向かうにつれて、径方向の幅が、径方向内側から径方向外側に向かって漸減して、周方向他方側が凹となる円弧状とされた点が異なる。
切欠き溝59aは、第一スロープリブ59を径方向に横断する低強度部を形成しており、径方向外側の端部が周方向線部25A1、25B1に近接している。
このため、第一スロープリブ59が押し下げられたときに、切欠き溝59aにも応力が集中するため、断裂しやすい部位になっている。したがって、例えば、第一部剤51、第2部剤22の成形品の寸法誤差等によって、周方向線部25A1、25B1の強度がやや高めになった場合にも、切欠き溝59aから断裂が起こりやすくなっている。
このため、図19に示すように、V溝57は、第一V溝26Aにおける位置Tの端部から、第二V溝26Bにおける位置Sの端部をV溝26の内側で結ぶように曲線状に形成されている。
V溝57の平面視の形状は、位置Sから位置Tに向かって滑らかなS字を描くS字曲線状とされている。すなわち、湾曲形状位置S側の端部57sが、位置S側の第一V溝26Bの端部に、周方向他方側から近づいて第一V溝26Bの端部と鋭角をなして滑らかに合流している。また、位置T側の端部57tが、位置T側の第二V溝26Aの端部に、周方向他方側から近づいて第二V溝26Aの端部と鋭角をなして滑らかに合流している。そして、これらの端部57s、57tに滑らかに接続する中間部は、軸線Pの近傍を通るS字状とされている。
これにより、V溝57に重なってS字曲線状に延びる内側横断線部55Cでは、封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が、周方向線部25A1、25B1と同一になっており、周方向線部25A1、25B1と同様の低強度部位を構成している。
したがって、開封時に押圧リブ38からの力が、第一スロープリブ59に伝達されると、第一スロープリブ59の近傍の封止板部25に発生する剪断応力によって、まず、突起部58Aの第一端部58aの近傍において、内側横断線部55C及び周方向線部25A1の断裂が始まる。その後に、突起部58Bの第一端部58aの近傍において、内側横断線部55C及び周方向線部25B1の断裂が始まる。このため、上記第1の実施形態と同様にして、容器用口栓50が開封される。
また、内容物の流路となる円筒部23、39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
これにより、開封時に、封止板部25が、相対的に低強度の内側横断線部55Cと、周方向線部25A1、25B1との部位から確実に断裂され、周方向線部25A2、25B2はこれらの低強度部位が断裂された後に断裂される。
このため、内側横断線部55Cに沿って封止板部25の中央部が確実に分断された状態で、第一封止板25aと第二封止板25bとに分割される。この結果、注出口35に重なる領域に第一流路C1、第二流路C2が確実に形成される。
したがって、周方向線部25A2、25B2の部分が先に断裂されて、内側横断線部25Cが断裂されない、といった開封状態になって、良好に開口した流路が得られなくなり、内容物が注ぎにくくなったり、注げなくなったりすることを防止できる。
例えば、断裂用線部は、封止板部25を軸線Pが延びる方向に貫通する断裂線とされ、軸線Pが延びる方向の容器側を向く面にフィルム状の部材を設けるフィルムインサートを施した構造であってもよい。この構造によると、押圧リブ38が突起部28A、28B(58A、58B)を押圧した時に、上記断裂線に沿って上記フィルム状の部材が裂け、円筒部23の内腔が開通する。
例えば、複数の溝を延在方向に近接して離散的に配置したミシン目状の断裂用線部を設けることが可能である。この場合、例えば、溝の深さの他に、溝長さや溝の配置間隔を変えることによって、剪断に対する強度の大きさを変えることができる。
また、断裂用線部をV溝で形成する場合に、溝底の丸みを変えて、強度を調節してもよい。すなわち、先端の丸みが小さいV溝は、亀裂が設けられているのと同様な状態になるため、先端の丸みがより大きいV溝に比べて剪断に対する強度が低くなる。
周方向線部25A1、25B1、25A2、25B2は、突起部28A、28B(58A、58B)の押圧による剪断応力よって突起部28A、28B(58A、58B)よりも径方向外側で断裂すれば開封が可能である。このため、V溝26、周方向線部25A1、25B1、25A2、25B2は、突起部28A、28B(58A、58B)と円筒部23との間であれば、突起部28A、28B(58A、58B)から径方向に離間した位置に形成されていてもよい。
これは、一例であり、封止板部25の外周部に薄肉部25dを設けない構成も可能である。
また、薄肉部25dを設けた場合でも、V溝26を、薄肉部25d中に形成したり、薄肉部25dよりも径方向内側の厚肉の封止板部25に形成したりすることが可能である。
逆に、強度的に問題がなく、突起部28A、28B(58A、58B)と確実に係合できれば上記接続板は一枚の板とされなくともよく、軸線Pの位置で2つに分割されていてもよい。
さらに、容器本体10の代わりに、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓20(50)は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓20(50)を容器本体10から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
10 容器本体
20、50 容器用口栓
21、51 第一部材
22 第二部材
23、39 円筒部
23A、28a、39A、58a 第一端部
23B、28b、39B 第二端部
25 封止板部
25a 第一封止板
25b 第二封止板
25c 連結部
25d 薄肉部
25A1、25B1 周方向線部(断裂用線部、低強度部位)
25A2、25B2 周方向線部(断裂用線部、高強度部位)
25C、55C 内側横断線部(断裂用線部)
26、27、57 V溝
26A 第一V溝
26B 第二V溝
27m 中間溝部
27s、27t 端部溝部
28A、28B、58A、58B 突起部
29、59 第一スロープリブ
29a スロープ(傾斜部)
30A、30B 第二スロープリブ
30a 面取り部
31 第三リブ
34 ストッパー
35 注出口
38、48、49 押圧リブ(押圧部)
44 スペーサー
59a 切欠き溝
70 第二スロープリブ
80 キャップ
81 封止栓
C1 第一流路
C2 第二流路
P、Q 軸線
S、T 位置
V1、V2 溝部
Claims (5)
- 液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、
円筒部と、該円筒部の内腔を塞ぐ板状の封止板部と、該封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、少なくとも一部が前記周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなり、周方向他方側の第一端部が前記第一スロープリブの前記周方向一方側の先端部と径方向内側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第一端部よりも前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第一端部と反対側の第二端部が前記第一スロープリブの前記先端部よりも前記周方向一方側に配置された第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、
前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、前記円筒部の軸線回りに相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、
前記封止板部は、その板厚方向の剪断に対する強度が相対的に弱められた部位であり面方向に沿って線状に延ばされて、断裂時に前記円筒部の内腔が開通する断裂用線部を有し、
該断裂用線部は、
前記第一スロープリブの外周側の境界よりも径方向外側または前記境界上で、前記円筒部の周方向に沿って環状に延び、前記第二スロープリブと並行する部位が一定強度以上の強度を有する高強度部位とされ、その他の部位が前記一定強度より低い強度を有する低強度部位とされた周方向線部と、
該周方向線部上で周方向に互いに離間する二位置を前記周方向線部よりも内側で結ぶように前記封止板部の面方向に沿って延び、前記一定強度より低い強度を有する内側横断線部と、
を有し、
前記二位置のうちの一方は、前記二位置のうちの他方に対して、前記円筒部の軸線を対称軸として回転対称となる位置よりも前記周方向一方側若しくは前記周方向他方側にずれており、
前記第一スロープリブは、前記二位置のそれぞれから前記周方向一方側に延ばされ、前記二位置のそれぞれを始点として前記突出高さが増大する傾斜部を有する
ことを特徴とする容器用口栓。 - 前記第二部材は、前記第一部材の外側に一部が被せられることにより前記第一部材に取り付けられ、
前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面とのいずれか一方は凹凸を有する凹凸形状部を有し、
前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面との他方は前記凹凸形状部に接する平滑面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。 - 前記封止板部に突出して設けられ、前記周方向他方側の第三端部が前記第二スロープリブの前記第二端部と径方向外側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第三端部より前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第三端部と反対側の第四端部が前記第二スロープリブの前記第二端部よりも前記周方向一方側に配置された第三リブを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
- 前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器用口栓。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の容器用口栓と、
前記容器本体とを備えることを特徴とする容器。
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