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JP5974686B2 - 容器用口栓及び容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器用口栓及び容器に関する。
従来、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の様々な液体及び粉体の調味料や食品等が、口栓の付いた容器に充填されて流通、販売されている。当該口栓の構造としては、容器に取り付けられた注出口本体と、この注出口本体にネジ嵌合されて開閉可能に注出口を密閉するスクリューキャップとを備えるものが一般的である。
上述の口栓においては、充填された内容物を使用時まで品質を落とさずに保持するため、通常注出口本体はプルタブによって閉じられており、使用開始時にこのプルタブを引き抜いて開栓することにより使用可能な状態となる。多くの場合、注出口本体及びプルタブは樹脂等によって一体成型され、開封を可能あるいは容易にするために、両者の境界部にはハーフカット等が施されて肉薄に加工されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4145085号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような注出口においては、プルタブを引きちぎるために、指先のみを使って大きな力を作用させる必要があり、力の弱い女性やこども、高齢者、あるいは指先の不自由な人等には使い勝手がよくないという問題がある。
また、プルタブが注出口本体から切り離される際に、プルタブに付着していた内容物が飛散したり容器が揺れたりすることにより、内容物によって周囲が汚れてしまうことがある。
さらに、プルタブに指を掛ける際には、指で注出口の内面に触れてしまう場合が多く、開封後に内容物が当該内面に触れてしまうと衛生面で問題となる場合もある。
加えて、注出口本体から切り離したプルタブは、それ自体が廃棄物となるため、廃棄の手間がかかるという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の容器用口栓は、液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、円筒部と、該円筒部の内腔を塞ぐ板状の封止板部と、該封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、少なくとも一部が前記周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなり、周方向他方側の第一端部が前記第一スロープリブの前記周方向一方側の先端部と径方向内側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第一端部よりも前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第一端部と反対側の第二端部が前記第一スロープリブの前記先端部よりも前記周方向一方側に配置された第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、前記円筒部の軸線回りに相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、前記封止板部は、その板厚方向の剪断に対する強度が相対的に弱められた部位であり面方向に沿って線状に延ばされて、断裂時に前記円筒部の内腔が開通する断裂用線部を有し、該断裂用線部は、前記第一スロープリブの外周側の境界よりも径方向外側または前記境界上で、前記円筒部の周方向に沿って環状に延び、前記第二スロープリブと並行する部位が一定強度以上の強度を有する高強度部位とされ、その他の部位が前記一定強度より低い強度を有する低強度部位とされた周方向線部と、該周方向線部上で周方向に互いに離間する二位置を前記周方向線部よりも内側で結ぶように前記封止板部の面方向に沿って延び、前記一定強度より低い強度を有する内側横断線部と、を有し、前記二位置のうちの一方は、前記二位置のうちの他方に対して、前記円筒部の軸線を対称軸として回転対称となる位置よりも前記周方向一方側若しくは前記周方向他方側にずれており、前記第一スロープリブは、前記二位置のそれぞれから前記周方向一方側に延ばされ、前記二位置のそれぞれを始点として前記突出高さが増大する傾斜部を有することを特徴とする容器用口栓である。
また、前記第二部材は、前記第一部材の外側に一部が被せられることにより前記第一部材に取り付けられ、前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面とのいずれか一方は凹凸を有する凹凸形状部を有し、前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面との他方は前記凹凸形状部に接する平滑面を有することが好ましい。
また、前記封止板部に突出して設けられ、前記周方向他方側の第三端部が前記第二スロープリブの前記第二端部と径方向外側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第三端部より前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第三端部と反対側の第四端部が前記第二スロープリブの前記第二端部よりも前記周方向一方側に配置され第三リブを備えることが好ましい。
また、前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することが好ましい。
本発明の容器は、本発明の容器用口栓と、前記容器本体とを備えることを特徴とする容器である。
本発明の容器用口栓及び容器によれば、開封時に断裂用線部上の二位置から互いに異なるタイミングで断裂することができ、かつ断裂用線部において第二スロープリブに並行する高強度部位を除く部位がより低強度の低強度部位になっているため、断裂用線部を断裂させるために要する力を分散させることができ、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる。
本発明の第1の実施形態の容器の分解斜視図である。 同容器の開口部周辺の断面図である。 同容器の容器用口栓における第一部材の平面図及び断面図である。 同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。 図4におけるB−B断面図及びC−C断面図である。 図4におけるD−D断面図である。 同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。 同容器用口栓における第二部材の底面図及び平面図、並びにそのE−E断面図である。 同容器の開封時における同封止板部及び押圧リブの動きを示す図である。 同容器の開封時の動作を部分破断して示す斜視図である。 同容器の開封時の動作を部分破断して示す斜視図である。 同容器の開封時の動作を部分破断して示す斜視図である。 開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。 同実施形態の変形例の構成を示す断面図である。 図14のF矢視図である。 同実施形態の他の変形例の構成を示す断面図である。 図16のG矢視図である。 本発明の第2の実施形態の容器の容器用口栓における第一部材の平面図、及びそのH−H断面図である。 同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。 同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の容器用口栓及び容器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の容器の分解斜視図である。図2は、同容器の開口部周辺の断面図である。図3(a)は、同容器の容器用口栓における第一部材の平面図である。図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面図である。図4は、同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。図5(a)、(b)は、図4におけるB−B断面図及びC−C断面図である。図6は、図4におけるD−D断面図である。図7は、同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。図8(a)は、同容器用口栓における第二部材の底面図及び平面図である。図8(a)において図示左側は底面図、図示右側が平面図である。図8(b)は、図8(a)におけるE−E断面図である。
図1に示すように、本実施形態の容器1は、容器用口栓20を備えるものであり、例えば、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の液体または粉体の各種食品や調味料等の内容物が充填されて使用されるものである。
容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ80とを備えている。
容器本体10は樹脂やガラス等で形成された公知の構成を有し、その形状に特に制限はない。キャップ80も樹脂等で形成された公知の構成を有する。本実施形態のキャップ80は、図2に断面で示すように、容器本体10に形成されたスクリュー11と係合することで、容器本体10に対して着脱自在に取り付けられているが、容器本体10とキャップ80とを着脱自在とする構造については特に制限はなく、公知の各種機構を適宜採用することができる。
キャップ80は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
容器用口栓20は、容器本体10の上部に形成された開口部12に取り付けられており、容器1の開封前においては、内容物を保護したり容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。容器1の開封後においては、内容物を注ぎ出すための注出口として機能する。
容器用口栓20は、開口部12に取り付けられる第一部材21と、第一部材21に取り付けられる第二部材22とを備えている。
第一部材21は、ポリエチレン樹脂等の比較的軟質の材料よりなり、図3(a)、(b)に示すように、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
円筒部23は、その内腔が容器用口栓20の開封後に内容物の流路となる。円筒部23の中心軸線をなす軸線Pが延びる方向(以下では、軸線が延びる方向を「軸線方向」と称する場合がある。)における円筒部23の端部のうち、容器本体10に取り付けられる側の第一端部23A側には、開封時まで容器本体10を密封するための封止板部25が形成されており、円筒部23の内腔を塞いでいる。
封止板部25の板厚はt(図5(a)、(b)参照)とされ、封止板部25と円筒部23との間には、第一端部23A側がわずかに凹んで板厚t(ただし、t<t)とされた円環状の薄肉部25dが形成されている。
図4に示すように、円筒部23と接続する封止板部25の周縁部には、第一端部23A側からのハーフカットとしてのV溝26が円筒部23の周方向に沿って円環状に延びている。このため、V溝26が形成された領域は、封止板部25の板厚が薄肉化されて板厚方向の剪断に対する強度が弱められた線状の断裂用線部になっている。
V溝26において、周方向に互いに離間する2箇所の位置S、Tには、V溝26を塞いで容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部25cが形成されている。
位置Tは、位置Sに対して円筒部23の軸線Pを対称軸として回転対称となる位置よりも、図4における時計回り方向(図示矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)にずれている。
このため、位置S、Tは、V溝26を、優弧を形成する第一V溝26Aと、劣弧を形成する第二V溝26Bとに分割する位置に設定されている。
第一V溝26Aは、位置S側から位置T側に向かって、溝深さが異なる溝部V、V、Vがこの順に形成されている。
溝部Vは、図5(a)に示すように、封止板部25の第二端部23B側の表面と溝底との間の厚さがtV1(ただし、tV1<t<t)となる溝深さを有している。溝部Vの開き角θは、特に限定されないが、本実施形態では一例として、50°としている。
本実施形態では、溝底は封止板部25の板面と平行な平面に形成されている。
第一V溝26Aにおける溝部Vの長さは、位置S側の溝部Vが後述する第一スロープリブ29と略同じ長さとされている。
溝部Vは、図5(b)に示すように、封止板部25の第二端部23B側の表面と溝底との間の厚さがtV2(ただし、tV2<tV1)となる溝深さを有している。溝部Vの開き角θは、特に限定されないが、本実施形態では、溝部Vと同一の開き角θとしている。
本実施形態では、溝部Vの開き角θは、溝部Vの開き角θと同一とされ、溝底は封止板部25の板面と平行な平面に形成されている。
第一V溝26Aにおける溝部Vの長さは、後述する第二スロープリブ30Aと略同じ長さとされている
このような構成により、封止板部25において、第一V溝26Aの溝部Vに重なって円弧状に延びる部位である周方向線部25Aは、溝部Vに重なって円弧状に延びる部位である周方向線部25Aに比べて封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が強くなっている。このため、周方向線部25Aは一定強度以上の強度を有する高強度部位を構成し、周方向線部25Aは、一定強度よりも低い強度を有する低強度部位を構成している。
また、図4に示すように、第二V溝26Bは、位置T側から位置S側に向かって、溝部V、V、Vがこの順に形成されている。
第二V溝26Bにおける溝部V、Vの溝断面形状は、第一V溝26Aにおける溝部V、Vの溝断面形状と同一である。ただし、それぞれの溝長さは、位置T側の溝部Vの溝長さが、第一V溝26Aにおける位置S側の溝部Vと同じである以外は、異なる長さを有する。
このような構成により、封止板部25において、第二V溝26Bの溝部Vに重なって円弧状に延びる周方向線部25Bは、溝部Vに重なって円弧状に延びる周方向線部25Bに比べて封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が強くなっている。このため、周方向線部25Bは一定強度以上の強度を有する高強度部位を構成し、周方向線部25Bは、一定強度よりも低い強度を有する低強度部位を構成している。
また、封止板部25には、第一端部23A側からのハーフカットとしてのV溝27が、第一V溝26Aにおける位置Tの端部と、第二V溝26Bにおける位置Sの端部とをV溝26の内側で結ぶように曲線状に形成されている。
V溝27の平面視の形状は、中間溝部27mが軸線Pの近傍を通り第一V溝26A側に凸の湾曲を有する曲線状とされ、この中間溝部27mのそれぞれの端部に、第二V溝26Bに滑らかに接続する円弧状の端部溝部27sと、第一V溝26Aに滑らかに接続する円弧状の端部溝部27tとが形成されている。
端部溝部27sは、第二V溝26Bから位置Sに向かう周方向側かつ位置Sの内周側に向かって分岐する円弧状の形状を有している。また、端部溝部27tは、第一V溝26Aから位置Tに向かう周方向側かつ位置Tの内周側に向かって分岐する円弧状の形状を有している。
V溝27の溝断面形状は、中間溝部27m、端部溝部27s、端部溝部27tとも共通で、V溝26の溝部Vと同一の断面形状を有している。このため、V溝27は、図6に示すように、封止板部25の第二端部23B側の表面と溝底との間の厚さがtV1となる溝深さと、開き角θとを有している。
これにより、封止板部25において、V溝27に重なって曲線状に延びる内側横断線部25Cでは、封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が、周方向線部25A、25Bと同一になっている。このため、内側横断線部25Cは、周方向線部25A、25Bと同様の低強度部位を構成している。
このように、V溝26、27によって、周方向線部25A、25B、内側横断線部25Cが形成されていることにより、封止板部25は、後述する容器用口栓20の開封時に、周方向線部25A、25B、内側横断線部25Cが断裂されると、2つの第一封止板25a及び第二封止板25bに分割される。
図3(a)、(b)に示すように、封止板部25のうち、第一端部23Aとは反対側の第二端部23B側の面には、軸線方向において円筒部23と平行となる方向に突出する突起部28A、28Bが設けられている。
突起部28A、28Bは、略同様の形状を有し、それぞれ、第一封止板25a、第二封止板25b上に設けられている。
突起部28A(28B)は、薄肉部25dよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線Pが延びる方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ29と、第二スロープリブ30A(30B)と、第三リブ31と有している。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29は、平面視では、図3(a)に示すように、円筒部23に対する同心円弧状に設けられ、位置T(S)から周方向一方側(図3(a)における時計回り方向、矢印に沿ってR2からR1に向かう方向)に延ばされている。
また、突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の径方向の位置は、第一封止板25a(第二封止板25b)において薄肉部25dよりも径方向内側に配置されている。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の周方向の長さは、軸線Pに対する中心角が45°〜50°程度となる円弧長に相当している。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の封止板部25からの突出高さは、図7に軸線P側から径方向外側を見た展開図として示すように、突起部28A(28B)の周方向の一端部を構成する平面視半円状の第一端部28aから周方向の反対側の端部を構成する第二端部28bの方に向かって徐々に突出高さが増加し、最大高さhに達して第一端部28aと反対側の端部から、急激に下降する山形状に変化している。このため、第一スロープリブ29の突出方向には、封止板部25に対する突出高さが0からhまで増大するスロープ29a(傾斜部)が形成されている。
突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の平面視の位置は、図4に示すように、第一端部28aの周方向の外周部が、V溝27の端部溝部27t(27s)と重なっている。
さらに、突起部28A(28B)の第一スロープリブ29の径方向外側の外周部は第一V溝26A(第二V溝26B)の溝部Vと重なっている。また、第一スロープリブ29の径方向外側の外周部に沿って、周方向線部25A(25B)が隣接している(図5(a)参照)。
図3(a)に示すように、第二スロープリブ30A(30B)は、第一スロープリブ29よりも径方向内側に配置され、かつ第一スロープリブ29の周方向端部に一部が径方向に重なって連続するように(図7参照)、周方向の中途まで延ばされている。
第二スロープリブ30A(30B)の突出高さは、第一スロープリブ29の最大高さhよりもわずかに低い高さhから、第一スロープリブ29の最大高さhよりも高い高さhまで、周方向一方側に向かって徐々に突出高さが増加している。
また、第二スロープリブ30A(30B)は、円筒部23の軸線Pを間に挟んで略対向する二箇所に配置されているが、円筒部23の周方向に測った長さが互いに異なる。
本実施形態では、図3に示すように、突起部28A、28Bの周方向の長さの違いに対応して、第二スロープリブ30Aは軸線Pに対する中心角が約90°となる円弧長に相当する長さを有し、第二スロープリブ30Bは軸線Pに対する中心角が約60°となる円弧長に相当する長さを有している。
ただし、第二スロープリブ30A、30Bにおいて周方向一方側の端部30bの位置は、円筒部23の軸線Pを対称軸とする180度回転対称な位置とされている。
このように、第二スロープリブ30A、30Bは、周方向の他方側の端部と周方向一方得側の端部の高さとの差は、h−hで一定であり、周方向長さは互いに異なるため、突出方向の端面の傾斜角度は互いに異なっている。
第二スロープリブ30A(30B)において、周方向他方側(図3(a)における反時計回り方向、矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)の端部は、図7に示すように、第一スロープリブ29と周方向及び径方向に重なって結合されている。
この周方向他方側の端部においては、径方向内側の凸形状を滑らかにするため、第二スロープリブ30A(30B)の突出高さ方向にわたって径方向外側から内側に向かう傾斜面からなる面取り部30aが形成されている。
図3(a)に示すように、突起部28A(28B)の第三リブ31は、第二スロープリブ30A(30B)よりも径方向外側に配置され、かつ、第二スロープリブ30A(30B)の周方向端部に一部が径方向に重なって連続するように(図7参照)、周方向一方側に向かって周方向の中途まで延ばされている。
各第三リブ31の突出高さは一定高さhである。この突出高さhは、高さhより低い適宜値を採用できるが、本実施形態では、一例として、h=hとしている。
各第三リブ31の径方向幅は、本実施形態では、第一スロープリブ29の径方向幅と同一である。また、突起部28A(28B)の第三リブ31の外側の外周部は、第一V溝26A(第二V溝26B)の位置S(T)側の溝部Vと重なっている。また、第二スロープリブ31の径方向外側の外周部に沿って、周方向線部25A(25B)が隣接している。
また、第一V溝26A(第二V溝26B)の溝部Vは、第一スロープリブ30A(30B)の周方向一方向側の端部と、第二スロープリブ31の周方向他方向側の端部との間において周方向に延びている。
したがって、本実施形態では、第二スロープリブ30A(30B)の径方向外側の外周部に対して、第一スロープリブ29及び第三リブ31の径方向幅だけ径方向外側に離間した位置に、周方向線部25A(25B)が位置している。
図3(b)に示すように、係合部24は、円筒部23の外周面に設けられたフランジ部32と、フランジ部32から第一端部23A側に延びる略円筒状の係合筒部33とを備えている。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、軸線Pを挟んで対向する位置であって、第三リブ31に対応する位相の位置、すなわち第三リブ31と径方向に対向する位置に形成されている。
係合筒部33には、径方向内側に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
係合筒部33の外周面には、径方向外側に突出した凸部33Bが周方向にわたって形成されている。凸部33Bは、第一部材21と第二部材22とを嵌合させるために用いられる。係合筒部33の外周面の微細な形状は、円筒部23の軸線Pと平行に延びる筋状の凹凸を有する形状とされている。これらの凹凸は、第二部材22における嵌合筒部42の内面に接する凹凸形状部33Cとなっている。
図8(a)、(b)に示すように、第二部材22は、注出口35が形成された筒状部36と、第一部材21に嵌合させるための嵌合部37と、容器用口栓の開封時に封止板部25を押圧する押圧リブ(押圧部)38とを備えている。
本実施形態では、注出口35の内周面は、軸線Qを中心とする略円筒状に形成されており、第二部材22は、この軸線Qを回転中心として180°回転対称の形状を有する。このため、図8(a)では、底面図及び平面図の半分のみを示している。
軸線Qは、図2に示すように、第二部材22を第一部材21に嵌合させたときには、第一部材21の軸線Pと略同軸(同軸の場合を含む)となる。ここで、略同軸というのは、第一部材21と第二部材22とを周方向の相対回転させるために必要な隙間によって発生する程度の径方向のずれは許容できるためである。
第二部材22の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等の比較的硬質な樹脂材料からなる。
筒状部36は、円筒部39と、円筒部39の軸線Qに沿う方向の第一端部39Aに接続されたテーパー状の縮径部40とを有する。縮径部40によって円筒部39の径よりも小さい径となった筒状部36の端部の開口に、注出口35が形成されている。
嵌合部37は、円筒部39と縮径部40との接続部位の稜線から円筒部39の径方向外側に突出する略円盤状のフランジ部41と、フランジ部41の周縁から注出口35と反対側に延びる略円筒状の嵌合筒部42とを有する。
フランジ部41のうち、嵌合筒部42が延びる裏面には、円筒部39を囲むように略円筒状の支持壁43が形成されている。支持壁43と嵌合筒部42との間であって、軸線Pを挟んで対向する位置には、一対のスペーサー44が設けられている。そして各スペーサー44は、図8(a)の底面図(図示左側)に示すように、押圧リブ38とほぼ同一の位相、すなわち、押圧リブ38を径方向に延長した位置の近傍に位置する。本実施形態では、押圧リブ38を径方向に延長した位置から周方向他方側(図示矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)に位相がずれて形成されている。
嵌合筒部42の内面には、第一部材21の凸部33B(図3(b)参照)に対応した形状の凹部45と、凹部45よりもフランジ部41から離れた位置に設けられ、径方向内側に突出する嵌合突起46とがそれぞれ周方向にわたって設けられている。嵌合筒部42の内面の微細な表面形状は、略平滑とされており、第一部材21に形成された凹凸形状部33C(図3(b)参照)に接する面となっている。嵌合筒部42の内面と凹凸形状部33Cとが接していることにより、係合筒部33と嵌合筒部42との接触面が互いに平滑面である場合と比較して接触面積が小さい。
これにより、第一部材21に対して第二部材22を回転させる際の摺動抵抗が小さく、開栓のためのトルクを小さくすることができる。
嵌合筒部42の外面には、軸線Qに平行な方向に沿って延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
押圧リブ38は、円筒部39及び縮径部40によって支持されるとともに軸線Qを挟んで対向するように設けられ、円筒部39の第二端部39Bから軸線Qに向かって突出して延びる板状をなす一対の支持部38Aと、これら一対の支持部38A同士を接続し、短手方向が軸線Qの延びる方向に一致する平板状の接続部38Bとを有している。また、一対の支持部38Aと接続部38Bとは軸線Qが延びる方向において注出口35と反対側に向く端面38aが軸線Qに直交する同一面上に位置している。
端面38aは、第二部材22の回転操作時(後述)において第一スロープリブ29、第二スロープリブ30A、30B及び第三リブ31に係合する。
第一部材21と第二部材22とは、軸線P、Qが延びる方向から見たときに、封止板部25の各連結部25cと押圧リブ38とが重なるように位置決めされた状態で互いに嵌合されている。図2に示すように、第一部材21と第二部材22とが嵌合した状態において、第一部材21の凸部33Bは第二部材22の凹部45内に位置し、円筒部23は、第二端部23Bが円筒部39と支持壁43との間に収容されている。これにより、第一部材21と第二部材22とは、略同軸に嵌合されており、軸線P、Qが延びる方向における相対移動が不能、かつ軸線P、Qを中心に相対回転可能となっている。
上記のように構成された本実施形態の容器1の使用時の動作について説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態の同容器の開封時における同封止板部及び押圧リブの動きを示す図である。図10〜12は、同容器の開封時の動作を部分破断して示す斜視図である。図13は、開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。
容器1に内容物が充填された食品の製造時においては、開口部12から容器本体10内に内容物を充填後、容器用口栓20を開口部12に取り付け、キャップ80を締めることにより完成する。その後、キャップ80が輸送中に外れないように必要に応じてシュリンクフィルム等で覆う等してから出荷される。
容器1の開封前においては、図2に示すように、容器用口栓20に形成された封止板部25によって円筒部23の内腔が塞がれているため、容器本体10が密封されている。
本実施形態では、図9に示すように、開封前において押圧リブ38は突起部28A、28Bの各第二端部28bと近接して隣接する位置に配置されている。これにより、押圧リブ38は、突起部28Bの第二端部28bと突起部28Aの第一端部28aとが近接した状態で、これらの端部の間に挟まれた状態になっている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ80を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り、即ち周方向一方側である、図示矢印に沿ってR2からR1に向かう方向)に回転させる。
すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が前記所定の方向に相対回転する。
容器1の開封時には、図9に示すように、第二部材22が図示矢印のように周方向一方側に回転操作されるにつれて、各押圧リブ38も周方向一方側(図示時計回り方向)に移動し、まず、突起部28Aの第一スロープリブ29に乗り上げていく(図10参照)。
この時、押圧リブ38を介して、第二部材22には軸線Pに沿って第一部材21から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線Pが延びる方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されている。
このため、第二部材22から押圧リブ38を介して、第一部材21に反作用が作用し、この反作用は、押圧リブ38が突起部28Aの第一スロープリブ29の傾斜面に沿って移動するにつれて増大していく。
この結果、第一部材21の封止板部25は、各第一スロープリブ29から封止板部25を押し下げる方向(軸線Pに沿って第二部材22から離間する方向)に押圧され、封止板部25内に剪断応力分布が発生する。
これにより、突起部28Aの第一スロープリブ29に近いため、剪断応力が大きくなる第一端部28aの近くの内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとの位置で、これら内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとが延びる方向に沿って断裂し始める。
このとき、内側横断線部25CにおいてV溝27の中間部の裏面側の部位は、押圧リブ38からの押圧力が加わる部位から離れているため、剪断応力が比較的に低くなっている。このため断裂が起こりにくい。
また、周方向線部25A、25Bにおいても、押圧リブ38からの押圧力が加わる部位から離れているため、剪断応力が比較的に低く、断裂が起こりにくい。さらに、これら周方向線部25A、25Bは、周方向線部25A、25Bに比べて剪断に対する強度が大きい高強度部位である点でも断裂が起こりにくい。
このように、突起部28Aの第一スロープリブ29の第一端部28a側から断裂が開始すると、第二部材22の回転とともに、断裂部における亀裂が内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bが延びる方向に進展して、断裂範囲が徐々に広がっていく。
さらに、第二部材22を回転させていくと、押圧リブ38は突起部28Bの第一スロープリブ29に乗り上げる。これにより、上記と同様にして、突起部28Bの第一スロープリブ29の近傍の内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとが断裂し始める。
このようにして、第二部材22を回転させていくと、始めに、突起部28Aの第一スロープリブ29の近傍の内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとが位置Tの近傍で断裂し、これに遅れて、突起部28Bの第一スロープリブ29の近傍の内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとが位置Sの近傍で断裂し始める。
断裂された領域の封止板部25は、第二部材22と反対側に押し込まれ、封止板部25が、第一封止板25aと第二封止板25bとに徐々に分かれ始める。
第二部材22をさらに回転操作すると、図11に示すように、押圧リブ38が第一スロープリブ29を乗り越えて第二スロープリブ30A、30Bに到達する。
この時、第二スロープリブ30A、30Bには、面取り部30aが形成されているため、押圧リブ38が第一スロープリブ29から第二スロープリブ30A、30Bに移動する際に、第二スロープリブ30A、30Bの径方向内側部分に干渉することなく、滑らかに第一スロープリブ29から第二スロープリブ30A、30Bへ移動することができる。
押圧リブ38が第二スロープリブ30A、30B上に移動すると、封止板部25は、各第一スロープリブ29よりも径方向内側に位置する第二スロープリブ30A、30Bで押圧リブ38の反作用を受け、第二スロープリブ30A、30Bの近傍の剪断応力が増大する。
第二スロープリブ30A(30B)は、周方向線部25A(25B)と内側横断線部25Cとに挟まれた位置関係にあるが、本実施形態では、周方向線部25A(25B)の剪断に対する強度は、内側横断線部25Cの剪断に対する強度に比べて高いため、同様な剪断応力が増大していくと、内側横断線部25Cの方が先に断裂し始める。
このため、押圧リブ38が各第二スロープリブ30A、30Bのスロープ形状(傾斜部)に沿って移動すると、内側横断線部25Cの方から先に断裂して、断裂範囲が広がっていく。
すなわち、封止板部25は、内側横断線部25Cを境として、第一封止板25a、第二封止板25bに分割されつつ、第一封止板25a、第二封止板25bが容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
これにより、塞がれていた円筒部23の内腔に開口が形成されていく。
第二部材22をさらに回転させると、押圧リブ38は各第二スロープリブ30A、30Bを乗り越えて各第三リブ31上に達し、各第三リブ31上を移動する。
第二部材22をさらに回転して、略半回転した状態になると、第二部材22のスペーサー44と第一部材21のストッパー34とが周方向において接触し、それ以上、第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の第一封止板25a、第二封止板25bに分割され、図12及び図13に示すように、第三リブ31と押圧リブ38とが軸線方向に互いに当接して、第三リブ31が押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
押圧リブ38が接触する第三リブ31の突出高さは、押圧リブ38が乗り越えた第二スロープリブ30A、30Bの最大高さよりも低く、第二スロープリブ30A、30Bと第三リブ31との間には、周方向において段差があるため、第二部材22が逆回転する等により押圧リブ38が再び第二スロープリブ30A、30B上に移動する事態は発生しにくい。その結果、押圧リブ38による封止板部25の押し込み状態が保持され、容器用口栓20の開封状態が保持される。
なお、容器用口栓20の開封後も、連結部25cにおいて第一封止板25a、第二封止板25bと円筒部23との接続が維持されるため、開封によって第一封止板25a、第二封止板25bが容器本体10内に落下することはない。
容器用口栓20が開封されたあと、使用者は容器本体10を傾けることにより、注出口35から内容物を注ぎ出すことができる。使用後は、キャップ80を装着することにより、図13に示すように、キャップ80の内面に設けられた略円筒状の封止栓81が注出口35にはまり込んで容器本体10が密閉される。
以上説明したように、本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23、39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
また、本実施形態では、封止板部25を断裂させる断裂用線部のうち、内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとの剪断に対する強度を、周方向線部25A、25Bの剪断に対する強度に比べて低い強度としている。
これにより、開封時に、封止板部25が、相対的に低強度の内側横断線部25Cと、周方向線部25A、25Bとの部位から確実に断裂され、封止板部25の外周部の一部を構成する、周方向線部25A、25Bはこれらが断裂された後に断裂される。
このため、内側横断線部25Cに沿って封止板部25の中央部が確実に分断された状態で、第一封止板25aと第二封止板25bとに分割される。この結果、注出口35に重なる領域に第一流路C1、第二流路C2が確実に形成される。
したがって、周方向線部25A、25Bの部分が先に断裂されて、内側横断線部25Cが断裂されない、といった開封状態になって、良好に開口した流路が得られなくなり、内容物が注ぎにくくなったり、注げなくなったりすることを防止できる。
また、本実施形態では、このように、断裂用線部が、一定の順序を追って徐々に断裂されていくため、断裂の順序のばらつきが生じる場合に比べて、開封時の要する力(開封力)のばらつきが少なくなる。
また、第一部材21及び第二部材22にストッパー34及びスペーサー44が設けられており、第二スロープリブ30A、30Bよりも封止板部25からの突出高さが低い第三リブ31が設けられているため、開封後の第二部材22は、ストッパー34と第二スロープリブ30A、30Bとの間(図3に示す範囲D1)でしか相対回転できず、実質的にほぼ位置決めされる。したがって、押圧リブ38が封止板部25を押し込んだ開封状態が好適に維持され、封止板部25が再び円筒部23の内腔を塞いでしまう等の不具合の発生を防止することができる。
さらに、封止板部25にV溝27が形成されているため、開封後に封止板部25は2枚の第一封止板25a及び第二封止板25bに分割されて容器本体10内部に向かって押し込まれる。その結果、円筒部23の内腔は、図12及び図13に示すように、第一封止板25aによって規定される第一流路C1と、第二封止板25bによって規定される第二流路C2との2つの流路に概ね分割される。このため、内容物が粘度の高い液体等であっても第一封止板25a、第二封止板25bにより好適に注出口35へ導かれる。加えて、容器本体10の内外における流体の入れ替えが第一流路C1及び第二流路C2によりスムーズに行われ、容器本体10内に空気が進入しにくいことによる注出不良や、逆に一気に空気が進入して多量の内容物が一度に注ぎ出される「脈流」と呼ばれる現象を起こしにくい。したがって、常に安定して内容物を注出することができる容器とすることができる。
また、例えば、第二部材の注出口35の口径を変更することによって注出量を調整することができるため、各種容器に対して第一部材21を共用することが可能となる。
[第1変形例]
次に、上述の第1の実施形態の変形例(第1変形例)について説明する。
図14は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。図15は、図14のF矢視図である。
図14及び図15に示すように、本変形例では、上述の第1の実施形態にて説明した押圧リブ38に代えて、押圧リブ38とは形状が異なる押圧リブ48を備えている。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
押圧リブ48は、第二部材22の円筒部39との接続部分が他の部分よりも薄肉に形成されている。さらに、押圧リブ48の板厚方向の両面には、押圧リブ48の捻れを防止するための補強部48aが形成されている。補強部48aは、押圧リブ48の板厚方向の両面から当該両面に対して交差する方向(図15には直交する例を示す)へと張り出して形成されている。補強部48aは、第一部材21側へと向かうに従って漸次小さくなるように形成されており、補強部48aは第一スロープリブ29、第二スロープリブ30A、30B、及び第三リブ31のいずれにも接触しないようになっている。
本変形例の構成によれば、第二部材22を第一部材21に対して回転操作したときに押圧リブ48は補強部48aに補強された状態で第一スロープリブ29、第二スロープリブ30A、30B、及び第三リブ31に接し、封止板部25を変形させることができる。
また、押圧リブ48と円筒部39との接続部分が肉薄となっているので、成形型に樹脂を充填することによって第二部材22を形成する場合に、引けにより円筒部39の形状が歪む程度を低く抑えることができる。
[第2変形例]
次に、上述の第1の実施形態の他の変形例(第2変形例)について説明する。
図16は、本変形例の容器用口栓における押圧リブを拡大して示す断面図である。図17は、図16のG矢視図である。
図16及び図17に示すように、本変形例では、上述の第1の実施形態で説明した押圧リブ38に代えて、押圧リブ38とは形状が異なる押圧リブ49を備えている。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
押圧リブ49は、円筒部39の内面から離間して形成されており、また、上記第1変形例と同様の補強部48aを備える。また、図17に示すように、押圧リブ49において補強部48aが形成された部分の近傍は、押圧リブ49における他の部分よりも僅かに肉薄に形成されている。
本変形例の場合、成形型に樹脂を充填することによって第二部材22を形成する場合に押圧リブ49の引けによる円筒部39の歪みは生じない。
また、押圧リブ49において肉薄に形成された部分は補強部48aによって補強されているので、押圧リブ49が変形しにくい。
なお、押圧リブ49において円筒部39の軸線に近い内側部分の肉厚を厚くすることにより押圧リブ49をさらに補強することもできる。
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態の容器用口栓及び容器について説明する。
図18(a)は、本発明の第2の実施形態の容器の容器用口栓における第一部材の平面図である。図18(b)は、図18(a)におけるH−H断面図である。図19は、同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。図20は、同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。
本実施形態の容器2は、図1、2に示すように、上記第1の実施形態の容器1の容器用口栓20に代えて、容器用口栓50を備える。
容器用口栓50は、図2に示すように、上記第1の実施形態における第一部材21に代えて、第一部材51を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第一部材51は、図18(a)、(b)に示すように、上記第1の実施形態における第一部材21の突起部28A、28B、V溝27、内側横断線部25Cに代えて、突起部58A、58B、V溝57、内側横断線部55C(断裂用線部)を備える。
突起部58A(58B)は、上記第1の実施形態における突起部28A(28B)の第一スロープリブ29を、第一スロープリブ59に代えたものである。
第一スロープリブ59は、第一端部28aに相当する第一端部58aの形状が第一スロープリブ29と異なる。すなわち、上記第1の実施形態の第一スロープリブ29の第一端部28a側の端部形状が周方向他方側に向かって凸となる円弧状であったのに対して、第一スロープリブ59の第一端部58aの形状は、図18(a)に示すように、周方向他方側(図18(a)における反時計回り方向、矢印に沿ってR1からR2に向かう方向)に向かうにつれて、径方向の幅が、径方向内側から径方向外側に向かって漸減して、周方向他方側が凹となる円弧状とされた点が異なる。
また、第一スロープリブ59は、図18(a)、(b)、図20に示すように、スロープ29aにおける周方向の中間部に、第一スロープリブ59を径方向に横断し周方向に沿う断面がV字状の切欠き溝59aを備える。
切欠き溝59aは、第一スロープリブ59を径方向に横断する低強度部を形成しており、径方向外側の端部が周方向線部25A、25Bに近接している。
このため、第一スロープリブ59が押し下げられたときに、切欠き溝59aにも応力が集中するため、断裂しやすい部位になっている。したがって、例えば、第一部剤51、第2部剤22の成形品の寸法誤差等によって、周方向線部25A、25Bの強度がやや高めになった場合にも、切欠き溝59aから断裂が起こりやすくなっている。
V溝57は、上記第1の実施形態のV溝27の両端部の端部溝部27s、27tの形状を、第一スロープリブ59の端部形状に合わせて変更した点のみが異なる。
このため、図19に示すように、V溝57は、第一V溝26Aにおける位置Tの端部から、第二V溝26Bにおける位置Sの端部をV溝26の内側で結ぶように曲線状に形成されている。
V溝57の平面視の形状は、位置Sから位置Tに向かって滑らかなS字を描くS字曲線状とされている。すなわち、湾曲形状位置S側の端部57sが、位置S側の第一V溝26Bの端部に、周方向他方側から近づいて第一V溝26Bの端部と鋭角をなして滑らかに合流している。また、位置T側の端部57tが、位置T側の第二V溝26Aの端部に、周方向他方側から近づいて第二V溝26Aの端部と鋭角をなして滑らかに合流している。そして、これらの端部57s、57tに滑らかに接続する中間部は、軸線Pの近傍を通るS字状とされている。
V溝57の溝断面形状は、図6に示すV溝27と同様の形状であり、V溝26の溝部Vと同一の断面形状を有している。すなわち、V溝57は、封止板部25の第二端部23B側の表面と溝底との間の厚さがtV1となる溝深さと、開き角θとを有している。
これにより、V溝57に重なってS字曲線状に延びる内側横断線部55Cでは、封止板部25の板厚方向の剪断に対する強度が、周方向線部25A、25Bと同一になっており、周方向線部25A、25Bと同様の低強度部位を構成している。
このような構成の本実施形態の容器2、容器用口栓50によれば、第一スロープリブ59の端部形状が第1の実施形態とは異なるが、この形状の違いに応じてV溝57の端部57s、57tの形状が異なる。すなわち、第一スロープリブ59の周方向の端部において、内側横断線部55Cは、第一スロープリブ59の周方向他方側の端部の外周部に近接して形成されている。
したがって、開封時に押圧リブ38からの力が、第一スロープリブ59に伝達されると、第一スロープリブ59の近傍の封止板部25に発生する剪断応力によって、まず、突起部58Aの第一端部58aの近傍において、内側横断線部55C及び周方向線部25Aの断裂が始まる。その後に、突起部58Bの第一端部58aの近傍において、内側横断線部55C及び周方向線部25Bの断裂が始まる。このため、上記第1の実施形態と同様にして、容器用口栓50が開封される。
したがって、本実施形態の容器用口栓50及び容器2によれば、上記第1の実施形態の容器用口栓20及び容器1と同様に、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23、39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
また、本実施形態では、封止板部25を断裂させる断裂用線部のうち、内側横断線部55Cと、周方向線部25A、25Bとの剪断に対する強度を、周方向線部25A、25Bの剪断に対する強度に比べて低い強度としている。
これにより、開封時に、封止板部25が、相対的に低強度の内側横断線部55Cと、周方向線部25A、25Bとの部位から確実に断裂され、周方向線部25A、25Bはこれらの低強度部位が断裂された後に断裂される。
このため、内側横断線部55Cに沿って封止板部25の中央部が確実に分断された状態で、第一封止板25aと第二封止板25bとに分割される。この結果、注出口35に重なる領域に第一流路C1、第二流路C2が確実に形成される。
したがって、周方向線部25A、25Bの部分が先に断裂されて、内側横断線部25Cが断裂されない、といった開封状態になって、良好に開口した流路が得られなくなり、内容物が注ぎにくくなったり、注げなくなったりすることを防止できる。
特に、本実施形態では、内側横断線部55CがS字曲線状で、滑らかに延びているため、より円滑な開封が可能となる。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
例えば、上述の各実施形態では、封止板部25にV溝26、27を設けることにより断裂用線部を形成する例を説明したが、他の形状の溝により断裂用線部が形成されてもよい。
例えば、断裂用線部は、封止板部25を軸線Pが延びる方向に貫通する断裂線とされ、軸線Pが延びる方向の容器側を向く面にフィルム状の部材を設けるフィルムインサートを施した構造であってもよい。この構造によると、押圧リブ38が突起部28A、28B(58A、58B)を押圧した時に、上記断裂線に沿って上記フィルム状の部材が裂け、円筒部23の内腔が開通する。
また、断裂用線部において、高強度部位と低強度部位とは、異なる深さの溝部を設けることで、強度の異なる薄肉部位を形成する構成には限定されない。
例えば、複数の溝を延在方向に近接して離散的に配置したミシン目状の断裂用線部を設けることが可能である。この場合、例えば、溝の深さの他に、溝長さや溝の配置間隔を変えることによって、剪断に対する強度の大きさを変えることができる。
また、断裂用線部をV溝で形成する場合に、溝底の丸みを変えて、強度を調節してもよい。すなわち、先端の丸みが小さいV溝は、亀裂が設けられているのと同様な状態になるため、先端の丸みがより大きいV溝に比べて剪断に対する強度が低くなる。
また、上記の各実施形態及び変形例の説明では、突起部28A、28B(58A、58B)の径方向外側の外周部に対して、V溝26が重なる位置に設けられ、V溝による周方向線部25A、25B、25A、25Bが、突起部28A、28B(58A、58B)の径方向外側の外周部に対して径方向外側に近接して設けられた場合の例で説明した。
周方向線部25A、25B、25A、25Bは、突起部28A、28B(58A、58B)の押圧による剪断応力よって突起部28A、28B(58A、58B)よりも径方向外側で断裂すれば開封が可能である。このため、V溝26、周方向線部25A、25B、25A、25Bは、突起部28A、28B(58A、58B)と円筒部23との間であれば、突起部28A、28B(58A、58B)から径方向に離間した位置に形成されていてもよい。
また、上記の各実施形態及び変形例の説明では、封止板部25が外周部に薄肉部25dを有し、この薄肉部25dによって円筒部23と接続されている場合で説明した。また、V溝26は、封止板部25における薄肉部25dとの境界に設けられている場合の例で説明した。
これは、一例であり、封止板部25の外周部に薄肉部25dを設けない構成も可能である。
また、薄肉部25dを設けた場合でも、V溝26を、薄肉部25d中に形成したり、薄肉部25dよりも径方向内側の厚肉の封止板部25に形成したりすることが可能である。
また、支持壁43と嵌合筒部42との間に、ストッパー34と干渉し、かつ第二部材22の回転操作によりストッパー34が乗り越え可能な突起を形成してもよい。この場合、開封時に所定のタイミング(例えば、スペーサー44がストッパー34に接触する直前等)でクリック感を発生させて、使用者に当該タイミングを認識させることができ、使用感を向上させることができる。
さらに、第一部材21において突起部28A、28B(58A、58B)の配置を周方向の配置を逆転することによって、第二部材22の回転方向を左回り、または右回りのいずれか一方の任意の方向に設定できる。また、開栓時に大きな応力が作用する第二部材22における押圧リブ38の接続部38Bは、例えば、軸線Pが延びる方向から見た時に十字形状とされてもよい。
逆に、強度的に問題がなく、突起部28A、28B(58A、58B)と確実に係合できれば上記接続板は一枚の板とされなくともよく、軸線Pの位置で2つに分割されていてもよい。
そして、キャップ80に代えて、第二部材にヒンジで接続された蓋を設け、この蓋によって容器用口栓20(50)を開封後の容器1(2)の密閉を行ってもよい。この場合、当該蓋は第二部材と一体成形されていてもよい。
また、容器本体10に充填される内容物は食品には限定されず、各種の液体や粉体等の内容物の容器に本発明の容器用口栓20(50)及び容器1(2)を適用することができる。
さらに、容器本体10の代わりに、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓20(50)は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓20(50)を容器本体10から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
加えて、内容物が食品でない等の場合、必ずしも封止板部25に連結部25cが設けられなくてもよい。この場合、第二部材22の回転操作によって封止板部25が円筒部23から完全に切り離され、容器本体10内に落下する。
なお、上述の実施形態に対する構成の変更、削除、及び置き換え等は、上記各例には限られない。
1、2 容器
10 容器本体
20、50 容器用口栓
21、51 第一部材
22 第二部材
23、39 円筒部
23A、28a、39A、58a 第一端部
23B、28b、39B 第二端部
25 封止板部
25a 第一封止板
25b 第二封止板
25c 連結部
25d 薄肉部
25A、25B 周方向線部(断裂用線部、低強度部位)
25A、25B 周方向線部(断裂用線部、高強度部位)
25C、55C 内側横断線部(断裂用線部)
26、27、57 V溝
26A 第一V溝
26B 第二V溝
27m 中間溝部
27s、27t 端部溝部
28A、28B、58A、58B 突起部
29、59 第一スロープリブ
29a スロープ(傾斜部)
30A、30B 第二スロープリブ
30a 面取り部
31 第三リブ
34 ストッパー
35 注出口
38、48、49 押圧リブ(押圧部)
44 スペーサー
59a 切欠き溝
70 第二スロープリブ
80 キャップ
81 封止栓
C1 第一流路
C2 第二流路
P、Q 軸線
S、T 位置
、V 溝部

Claims (5)

  1. 液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、
    円筒部と、該円筒部の内腔を塞ぐ板状の封止板部と、該封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、少なくとも一部が前記周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなり、周方向他方側の第一端部が前記第一スロープリブの前記周方向一方側の先端部と径方向内側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第一端部よりも前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第一端部と反対側の第二端部が前記第一スロープリブの前記先端部よりも前記周方向一方側に配置された第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、
    前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、前記円筒部の軸線回りに相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、
    前記封止板部は、その板厚方向の剪断に対する強度が相対的に弱められた部位であり面方向に沿って線状に延ばされて、断裂時に前記円筒部の内腔が開通する断裂用線部を有し、
    該断裂用線部は、
    前記第一スロープリブの外周側の境界よりも径方向外側または前記境界上で、前記円筒部の周方向に沿って環状に延び、前記第二スロープリブと並行する部位が一定強度以上の強度を有する高強度部位とされ、その他の部位が前記一定強度より低い強度を有する低強度部位とされた周方向線部と、
    該周方向線部上で周方向に互いに離間する二位置を前記周方向線部よりも内側で結ぶように前記封止板部の面方向に沿って延び、前記一定強度より低い強度を有する内側横断線部と、
    を有し、
    前記二位置のうちの一方は、前記二位置のうちの他方に対して、前記円筒部の軸線を対称軸として回転対称となる位置よりも前記周方向一方側若しくは前記周方向他方側にずれており、
    前記第一スロープリブは、前記二位置のそれぞれから前記周方向一方側に延ばされ、前記二位置のそれぞれを始点として前記突出高さが増大する傾斜部を有する
    ことを特徴とする容器用口栓。
  2. 前記第二部材は、前記第一部材の外側に一部が被せられることにより前記第一部材に取り付けられ、
    前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面とのいずれか一方は凹凸を有する凹凸形状部を有し、
    前記第二部材の内側面と前記第一部材の外側面との他方は前記凹凸形状部に接する平滑面を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
  3. 前記封止板部に突出して設けられ、前記周方向他方側の第三端部が前記第二スロープリブの前記第二端部と径方向外側において径方向に重なった状態で連続し、かつ、周方向において前記第三端部より前記周方向一方側に延びて延在方向における前記第三端部と反対側の第四端部が前記第二スロープリブの前記第二端部よりも前記周方向一方側に配置され第三リブを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
  4. 前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器用口栓。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の容器用口栓と、
    前記容器本体とを備えることを特徴とする容器。
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