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JP7563163B2 - 口栓、及び包装容器 - Google Patents

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JP7563163B2 JP2020212712A JP2020212712A JP7563163B2 JP 7563163 B2 JP7563163 B2 JP 7563163B2 JP 2020212712 A JP2020212712 A JP 2020212712A JP 2020212712 A JP2020212712 A JP 2020212712A JP 7563163 B2 JP7563163 B2 JP 7563163B2
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Description

本開示は、口栓、及び包装容器に関する。
液体等を収容する容器には、注出用の口栓が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。口栓のスパウトにはキャップが取り付けられており、キャップを回転することで開封することができる。このようなキャップの側面には、開閉操作を容易にするため、ローレットといわれる突起物が設けられる。
特許第6780793号公報
本開示は、開封のし易さを向上させるのに有用な口栓及び包装容器を提供する。
本開示の一側面に係る口栓は、スパウトとキャップとを備える。スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、側壁の一端側に設けられたフランジと、を有する。キャップは、天板と、天板の外周縁に接続され、内周面に外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに外周面にローレットが形成された周壁と、を有する。ローレットは、複数の突起部と複数の基部とで構成されている。複数の突起部と複数の基部とは、円周方向に沿って一つずつ交互に並んでいる。突起部の頂部は、キャップをスパウトから取り外す際のスパウトに対するキャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する基部よりも上流側に隣接する基部の方に寄っている。基部は、互いに隣り合う基部と突起部との境界を通る仮想円よりも内側に位置している。
この口栓では、突起部の頂部が、上記回転方向において上流側に隣接する基部の方に寄っている。そのため、キャップをスパウトから取り外すためにキャップを把持して回転しようとすると、指が突起部の頂部にかかり易い。また、突起部に隣接する基部が、仮想円よりも内側に位置しているため、指を突起部の頂部にかけるのが一層容易である。その結果、上記口栓は、開封のし易さを向上させるのに有用である。
上記仮想円を基準としたときに、基部の深さは、0.3mm~0.5mmであってもよい。この場合、指を入り込ませるスペースが十分に確保され、指を突起部の頂部にかけるのが一層容易である。そのため、キャップの握り易さの向上に有用である。
上記仮想円を基準としたときに、基部の深さに対する突起部の高さの比は、0.6~5.0であってもよい。この場合、突起部の頂部に対して基部が十分に離れるので、指を突起部の頂部にかけるのが一層容易である。そのため、キャップの握り易さの向上に有用である。
上記仮想円の中心と基部の上記回転方向における上流側の境界とを結ぶ線分と、上記仮想円の中心と基部の上記回転方向における下流側の境界とを結ぶ線分とがなす角は、25°~35°であってもよい。この場合、基部が設けられている領域に指を入り込ませるのが容易である。そのため、開封のし易さの向上に更に有用である。
上記口栓は、周壁の一端に接続され、周壁とスパウトとの間においてキャップをスパウトに固定する円筒状のバンド部を更に備えてもよい。バンド部は、キャップをスパウトから取り外した際に、キャップと分断されるように周壁に接続されていてもよい。キャップを取り外した際に、バンド部を分断させる構成とするために、ローレットを形成する領域が狭くなる場合がある。上記構成では、ローレットに含まれる突起部に指がかかり易くなるので、ローレットを形成する領域が狭くなる場合において、本口栓は更に有用である。
本開示の一側面に係る包装容器は、上述のいずれかの口栓と、当該口栓が取り付けられる容器本体と、を備える。この包装容器は、上述のいずれかの口栓を備えるので、開封のし易さを向上させるのに有用である。
本開示によれば、開封のし易さを向上させるのに有用な口栓及び包装容器が提供される。
図1は、口栓を備える包装容器の一例を示す斜視図である。 図2は、口栓の一例を示す側面図である。 図3は、口栓の一例を示す断面図である。 図4は、キャップとバンド部との境界の一例を示す断面図である。 図5は、キャップの一例を示す平面図である。 図6は、ローレットの一部を拡大して例示する一部拡大図である。 図7(a)及び図7(b)は、試作品の評価結果を示す棒グラフである。
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[包装容器]
図1には、一実施形態に係る包装容器の斜視図が示されている。包装容器1は、内容物を収容する容器である。包装容器1に収容される内容物は、液体状のものであってもよく、その具体例としては、酒類、飲料、及び調味料等が挙げられる。包装容器1は、容器本体2と、口栓4と、を備える。容器本体2は、液体等の内容物を収容する本体部分である。容器本体2の材質としては、紙、樹脂及びガラスが挙げられる。容器本体2の材質は、紙と樹脂とがラミネートされたものであってもよい。容器本体2には、口栓4が取り付けられている。
(口栓)
口栓4は、包装容器1(容器本体2)から内容物を注出するための注出口を形成する部材である。図2には口栓4の側面図が示されており、図3には、図2に示される口栓4の縦断面が示されている。図2及び図3に示されるように、口栓4は、キャップ10と、スパウト40と、バンド部50と、を備える。キャップ10は、スパウト40に固定されている(取り付けられている)。
キャップ10、スパウト40、及びバンド部50は、いずれも樹脂製であってよい。例えば、キャップ10及びバンド部50は、ポリプロピレン樹脂製であってよい。スパウト40は、低密度ポリエチレン樹脂製であってよく、その中でも直鎖状低密度ポリエチレン樹脂製であってよい。以下、キャップ10、スパウト40及びバンド部50それぞれについて説明する。なお、以降の説明では、口栓4の中心軸Ax(図3参照)を基準として、「内」及び「外」の用語を使用する。
キャップ10は、天板12と、周壁14と、インナーリング16と、を有する。天板12は、円板状に形成されている。天板12の外周縁には、テーパー部18が形成されている。周壁14は、テーパー部18から下方に延びており、円筒形状を有する。このように、周壁14の上端は、天板12の外周縁に接続されている。周壁14の内周面には、内ネジ14aが形成されており、周壁14の外周面には、ローレット20が形成されている。
ローレット20は、図2に示されるように、複数の突起部22と、複数の基部24とで構成されている。複数の突起部22と、複数の基部24とは、キャップ10の中心軸Axを中心とした円周方向に沿って、一つずつ交互に並んでいる。すなわち、当該円周方向において、各突起部22は一対の基部24に挟まれており、各基部24は一対の突起部22に挟まれている。突起部22及び基部24の詳細については、後述する。
周壁14では、ローレット20の下方に、ベース部28が設けられている。ベース部28は、円筒形状を有する。ベース部28の下端には、バンド部50が接続されている。ベース部28を設けることによって、キャップ10の成型及びバンド部50との接続を容易にすることができる。ローレット20は、テーパー部18の下端とベース部28の上端との間に形成されている。なお、キャップ10がテーパー部18及びベース部28を有することは必須ではなく、例えば、キャップ10の周壁14の全体にローレット20が形成されていてもよい。
図3に示されるように、インナーリング16は、天板12の内面(下面)に設けられている。インナーリング16は、天板12の内面から周壁14に沿って延びており、円筒形状を有する。インナーリング16は、周壁14との間に隙間を設けた状態で、周壁14の内側に配置されている。
スパウト40は、側壁42と、フランジ44とを有する。側壁42は、円筒形状を有する。側壁42の径(中心軸Axとの距離)は、キャップ10の周壁14の径(中心軸Axとの距離)よりも小さい。側壁42の外周面には、外ネジ42aが形成されている。外ネジ42aには、キャップ10の周壁14の内ネジ14aが螺合される。側壁42の上端部は、キャップ10の周壁14とインナーリング16との間に挿入されている。側壁42は、複数箇所において周壁14及びインナーリング16と密着している。これにより、スパウト40とキャップ10との間から内容物が漏れること(例えば、液漏れ)が抑制される。
フランジ44は、側壁42の一端側に設けられる。フランジ44は、側壁42の下端に接続されており、側壁42よりも外方に延びている。フランジ44は、円筒形状を有する。フランジ44は、口栓4を容器本体2に取り付ける際の接合箇所である。フランジ44の一つの面44aには、容器本体2の包装材が接合されてもよい。その包装材とフランジ44との接合は、超音波溶着又は接着等によって行われてもよい。
フランジ44は、上記面44aが形成された部分(以下、「フランジ部45」という。)と側壁42とを接続するリング部46を含む。リング部46は、フランジ部45の内側に配置されており、例えば、側壁42の下端部の近傍に接続されている。
バンド部50は、キャップ10の周壁14の下端に取り付けられている。例えば、バンド部50は、周壁14に含まれるベース部28の下端に接続されている。バンド部50は、円筒形状を有する。バンド部50の径は、キャップ10の周壁14の径と略一致する。バンド部50は、キャップ10の周壁14とスパウト40との間において、キャップ10をスパウト40に固定する機能を有する。バンド部50の下端とフランジ44のリング部46の上端との間には、隙間gが設けられている。この隙間gは、改ざん防止の目的で設けられる。
より詳細には、バンド部50は、未開栓状態(キャップ10がスパウト40に固定された状態)のキャップ10をスパウト40から取り外した際に、キャップ10と分断されるように周壁14に接続されている。言い換えると、キャップ10をスパウト40から取り外したときにバンド部50とキャップ10とが分断されるように、バンド部50が周壁14に接続されている。バンド部50とキャップ10とが分断されると(切り離されると)、バンド部50とキャップ10とは互いに接続されていない状態となる。すなわち、未開栓状態のキャップ10をスパウト40から取り外すと、バンド部50がスパウト40に残るように、バンド部50とキャップ10とが互いに接続されている。
キャップ10から切り離されたバンド部50は、その下端がフランジ44のリング部46に当接するように下方に移動し得る。そして、一度開栓したキャップ10がスパウト40に再度取り付けられた場合には、キャップ10の下端とスパウト40に残ったバンド部50の上端との間に隙間が形成される。これにより、キャップ10が既に開栓(開封)されたことを目視にて確認することができる。
図4には、図3に示されるIV-IV線に沿った断面が示されている。IV-IV線は、バンド部50とキャップ10の周壁14との間の境界に相当する。バンド部50は、本体52と、複数のフック部54と、を有する。本体52は、キャップ10の周壁14の下方に配置されており、円筒形状を有する。本体52の径は、周壁14の径と略一致している。
複数のフック部54は、本体52の内周面の下部に接続されており、内周面の当該下部からキャップ10の天板12に向かうように傾斜している(傾斜して延びている)。フック部54は、天板12に近づくにつれて中心軸Axとフック部54との距離が小さくなるように傾斜している。複数のフック部54は、図4に示されるように、中心軸Axまわりの周方向に沿って所定の間隔で設けられている。フック部54は、キャップ10がスパウト40に対して相対的に離れることを規制する機能を有する。フック部54は、フラップと称される場合もある。
キャップ10は、複数のリブ70を備える。複数のリブ70は、バンド部50の本体52の内周面に設けられており、当該内周面から内側(中心軸Ax)に向かって突出している。複数のリブ70は、中心軸Axまわりの周方向に沿って所定の間隔で設けられている。例えば、複数のリブ70と複数のフック部54とは、中心軸Axまわりの周方向において、一つずつ交互に並んでいる。本体52の内周面からのリブ70の突出量(リブ70の高さ)は、本体52の内壁面からのフック部54の突出量よりも小さい。
より詳細には、図3に示されるように、リブ70は、本体52の内周面とキャップ10のベース部28の内周面とに設けられている。なお、図3に示される断面図の左半分では、フック部54が設けられている位置での断面が示されており、当該断面図の右半分では、リブ70が設けられている位置での断面が示されている。キャップ10のベース部28の下端と本体52の上端との間には、リブ70の内部(例えば、略中央)まで延びる切込み80が形成されている。
一例では、キャップ10に対応する部分、バンド部50に対応する部分、及びリブ70が一体に形成された後に、ベース部28とバンド部50との間の境界となる高さ位置において、リブ70が分離しない位置までキャップ10の外側から切込み80が形成される。この切込み80は、中心軸Axまわりの周方向に沿って連続して形成される。これにより、キャップ10とバンド部50とが形成され(分離され)、キャップ10とバンド部50とが、リブ70の切込み80が形成されていない部分(以下、「薄肉部82」という。)を介して互いに接続される。
スパウト40の側壁42には、当該側壁42から外方に突出する突起48が形成されている。突起48は、円筒形状を有しており、外ネジ42aの下方において側壁42の外周面に連続して設けられる。突起48は、キャップ10がスパウト40に固定された状態において、キャップ10のベース部28の内周面と対向する対向面48aを含む。フック部54は、その先端が突起48の下端と対向するように配置される。各フック部54が、突起48に当接することによって、キャップ10がスパウト40に対して離れることが規制される。
消費者等は、未開栓状態の包装容器1から内容物を注出する際に、スパウト40からキャップ10を取り外すために、スパウト40に対してキャップ10を相対的に回転させる。キャップ10の相対的な回転に伴って、周壁14の内ネジ14aと側壁42の外ネジ42aとの螺合が徐々に解除され、キャップ10及びバンド部50は、スパウト40のフランジ44(リング部46)から徐々に離れる。
キャップ10及びバンド部50がフランジ44から離れ始めると、ほどなくバンド部50のフック部54が突起48に当接する。これによって、キャップ10のベース部28とバンド部50との間(薄肉部82)に引っ張り応力が生じ、キャップ10及びバンド部50がスパウト40のフランジ44から離れることが規制される。そして、キャップ10の相対的な回転が継続され、引っ張り応力が所定値に達すると、薄肉部82が破断する。薄肉部82の破断により、キャップ10の移動の規制が解除される。
複数のリブ70それぞれの薄肉部82は、引っ張り応力が所定値に達すると破断する程度に形成されている。全ての薄肉部82が破断することによって、キャップ10及びバンド部50が物理的に分離される(切り離される)。キャップ10から分離されたバンド部50は、スパウト40のリング部46と接触する位置まで下方に移動する。これによって、キャップ10がスパウト40から取り外された後も、バンド部50をスパウト40に残したままにしてバンド部50が散乱することを抑制できる。
続いて、図5及び図6も参照しながら、ローレット20の突起部22及び基部24の詳細について説明する。図5には、キャップ10の平面図が示されており、図6には、突起部22と基部24とを拡大した拡大図が示されている。図5に示されるように、ローレット20は、6個の突起部22と6個の基部24とによって構成されてもよい。すなわち、6組の突起部22及び基部24が周壁14の外周面に形成されてもよい。
突起部22の稜線(平面視における突起部22の外縁)は、鋸状を呈している。すなわち、突起部22は鋸状の突起である。突起部22の稜線は、その頂部22aと中心軸Axとを通る仮想的な線分L1に関して線対称ではない。この場合、突起部22の稜線のうちの線分L1によって分割される2つの稜線の長さは、互いに異なっている。このため、消費者等が指で把持してキャップ10を回転させる場合に、その回転の方向によって、指のかかり方及び感触が異なることとなる。
スパウト40を固定した状態で、図5に示される矢印OP方向(反時計回り)にキャップ10を回転させた際に、キャップ10がスパウト40から取り外すことができるように、キャップ10の内ネジ14aとスパウト40の外ネジ42aとが形成されている。一方、スパウト40を固定した状態で、取り外したキャップ10をスパウト40に嵌めて、矢印CL方向(時計回り)にキャップ10を回転させると、内ネジ14a及び外ネジ42aが螺合して、キャップ10がスパウト40に取り付けられる。
口栓4が未開栓である場合、キャップ10が薄肉部82を介してバンド部50と接続されているため、一旦開栓した後にキャップ10をスパウト40に対して回転させるときよりも大きな回転力が必要である。ここで、矢印OP方向の回転方向でみたときに、突起部22の頂部22aは、下流側に隣接する基部24よりも上流側に隣接する基部24の方に寄っている。言い換えると、突起部22の頂部22aは、中心軸Axまわりの周方向において、当該突起部22の下流側に設けられた基部24よりも、当該突起部22の上流側に設けられた基部24の近くに位置する。以下では、矢印OP方向の回転方向を基準として、「上流」及び「下流」の用語を使用する。
図6に示されるように、突起部22は、互いに隣り合う突起部22と基部24との境界BPを通る仮想的な円(以下、「仮想円IC」という。)よりも外方に突出している。より詳細には、突起部22のうちの頂部22aを含む大部分が、仮想円ICよりも外側に位置している。境界BPは、キャップ10の平面視において、隣り合う突起部22と基部24とが、互いに接続される点に対応する。仮想円ICの中心は中心軸Axに略一致しており、仮想円ICは、全ての境界BPを通る。
一方、基部24(基部24の稜線)は、仮想円ICよりも内側に位置している。基部24の稜線は、下流側に隣接する突起部22との境界BP(下流側の境界BP)を形成する端点24aと、上流側に隣接する突起部22との境界BP(上流側の境界BP)を形成する端点24bとを含む。基部24の稜線は、端点24aと端点24bとを結ぶ直線状の線分であってもよい。又は、図5及び図6に示される例とは異なり、基部24の稜線は、端点24aと端点24bとを結び、且つ内側に突出する(凹む)曲線であってもよい。基部24の稜線が直線状の線分である場合、基部24によって形成される外周面は平面である。基部24の稜線が内側に突出する曲線である場合、基部24によって形成される外周面は、その中央部が中心軸Axに向かって湾曲する湾曲面である。
仮想円ICのうちの各基部24の端点24aと端点24bとの間の円弧の中心角αは、25°~35°であってもよい。すなわち、仮想円ICの中心と基部24の端点24aとを結ぶ線分L21と、仮想円ICの中心と基部24の端点24bとを結ぶ線分L22との間のなす角は、25°~35°であってもよい。
キャップ10の開封時に指を入り込ませるスペースを確保する観点から、中心角αは、27°以上であってもよく、29°以上であってもよい。突起部22の大きさを確保する観点から、中心角αは、33°以下であってもよく、31°以下であってもよい。中心角αは、30°に略等しくてもよい。例えば、製造上の許容誤差を考慮した場合に、中心角αは、29.5°~30.5°であってもよい。
中心角αと、突起部22の稜線の2つの端点を結ぶ円弧の中心角βとの合計値は、60°に略等しくてもよい(例えば、59.5°~60.5°であってもよい)。中心角αと中心角βとは、互いに略一致していてもよい。なお、図6に示される例とは異なり、中心角αが中心角βよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。
仮想円ICを基準としたときに、基部24の深さDは、0.3mm~0.5mmであってもよい。突起部22への指の引っ掛けの容易さの観点から、深さDは、0.32mm以上、0.34mm以上、又は0.36mm以上であってもよい。基部24の形成の容易さの観点から、深さDは、0.48mm以下、0.46mm以下、又は0.44mm以下であってもよい。
深さDは、0.4mmに略等しくてもよい(例えば、0.39mm~0.41mmであってもよい)。基部24の稜線が直線状である場合、深さDは、基部24の稜線の中間点と仮想円ICとの間の仮想円ICの半径方向に沿った距離で定義される。基部24の稜線が湾曲している場合、深さDは、基部24の稜線の底部(最も内側に凹んでいる点)と仮想円ICとの間の仮想円ICの半径方向に沿った距離で定義される。
仮想円ICを基準としたときに、基部24の深さDに対する突起部22の高さHの比は、0.6~5.0であってもよい。突起部22への指の引っ掛けの容易さの観点から、深さDに対する高さHの比は、1.0以上、1.5以上、又は2.0以上であってもよい。ローレット20の形成の容易さの観点から、深さDに対する高さHの比は、4.5以下、4.0以下、3.5以下、又は3.0以下であってもよい。高さHは、仮想円ICと突起部22の頂部22aとの間の最短距離で定義される。一例では、突起部22の高さHは、0.3mm~1.5mmである。高さHは、0.5mm~1.2mmであってもよく、0.6mm~1.0mmであってもよい。
基部24の深さDに対する突起部22の頂部22aにおける曲率半径[mm]の比は、0.2~3.0であってもよい。深さDに対する頂部22aの曲率半径の比は、0.4以上、0.6以上、又は0.8以上であってもよい。深さDに対する頂部22aの曲率半径の比は、2.5以下、2.0以下、又は1.5以下であってもよい。一例では、頂部22aの曲率半径は、0.1mm~0.9mmである。頂部22aの曲率半径は、0.2mm~0.8mmであってもよく、0.3mm~0.7mmであってもよい。
[口栓の製造方法]
続いて、口栓4の製造方法の一例を以下に説明する。口栓4の製造方法は、スパウト40にキャップ部材を取り付ける工程を含む。この工程では、キャップ10に対応する部分、バンド部50に対応する部分、及び複数のリブ70が一体化されたキャップ部材と、スパウト40とを準備する。キャップ部材は、切込み80が形成されていない(薄肉部82を有しないこと)以外は、キャップ10、バンド部50及びリブ70と同様の形状を有する。したがって、キャップ10及びバンド部50の構成部材の名称を用いて以下に説明する。
キャップ部材の周壁14の内部にスパウト40の側壁42の上端部を挿入する。スパウト40に対してキャップ部材を図5のCL方向に回転させると、内ネジ14aと外ネジ42aとが螺合し、キャップ部材がスパウト40のフランジ44に近づく方向に移動する。そして、複数のフック部54が、突起48(突起48の上端の傾斜面)に当接した後に、当該突起48に乗り上げ始める。また、スパウト40の側壁42の上端部がキャップ部材の周壁14とインナーリング16との間に挿入され始める。
キャップ部材をスパウト40に対してCL方向に更に回転させると、各フック部54が突起48を乗り越えるとともに、スパウト40の側壁42の上端部がキャップ部材の周壁14とインナーリング16との間に挿入された状態となる。これによって、スパウト40が、キャップ部材によってキャッピングされた状態となる。
次に、キャップ部材に切込み80(薄肉部82)を形成する工程が行われる。例えば、スコアカッターを用いてキャップ部材の周壁14に切り込みを入れて、切込み80を形成する。一例では、周壁14のベース部28とバンド部50との境界部分と、各リブ70の当該境界部分に対応する位置に、周壁14の外周からスコアカッターの刃を当てて、スパウト40にキャッピングされた状態のキャップ部材を回転させることで、切込み80を形成する。これにより、リブ70に薄肉部82が形成される。
切込み80(薄肉部82)の形成によって、キャップ部材がキャップ10とバンド部50とに分けられ、口栓4が得られる。切込み80のサイズを調整することで、薄肉部82の大きさ及び厚みを変えて、破断させるために必要な力を調整することができる。そして、口栓4を容器本体2に取り付ける工程が行われ、包装容器1が製造される。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、包装容器1(容器本体2)の形状は、図1に示されるような形状に限定されず、円柱形状を有してもよい。容器本体2に対する口栓4の取り付け位置も、図1に示される位置に限定されず、いずれの位置であってもよい。
上述の例では、ローレット20は、6個の突起部22と6個の基部24とで構成されているが、突起部22の個数及び基部24の個数それぞれは、2以上であればよい。例えば、ローレット20は、12個の突起部22と12個の基部24とで構成されてもよい。この場合、基部24の2つの端点を結ぶ円弧の中心角が、15°に略等しくてもよい。
上述の例では、キャップ10を開封した際には、バンド部50がキャップ10から分離(分断)されるが、バンド部50の一部がキャップ10から分離した状態でキャップ10に残るように、バンド部50がキャップ10に接続されていてもよい。例えば、キャップ10とバンド部50とを接続する複数の薄肉部の一部が、キャップ10を開封した際に破断しないように形成されていてもよい。
[実施形態の効果]
以上の実施形態に係る容器本体2は、スパウト40とキャップ10とを備える。スパウト40は、外ネジ42aが形成された円筒状の側壁42と、側壁42の一端側に設けられたフランジ44と、を有する。キャップ10は、天板12と、天板12の外周縁に接続され、内周面に外ネジ42aと螺合する内ネジ14aが形成されるとともに外周面にローレット20が形成された周壁14と、を有する。ローレット20は、複数の突起部22と複数の基部24とで構成されている。複数の突起部22と複数の基部24とは、円周方向に沿って一つずつ交互に並んでいる。突起部22の頂部22aは、キャップ10をスパウト40から取り外す際のスパウト40に対するキャップ10の相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する基部24よりも上流側に隣接する基部24の方に寄っている。基部24は、互いに隣り合う基部24と突起部22との境界BPを通る仮想円ICよりも内側に位置している。
この口栓4では、突起部22の頂部22aが、上記回転方向において上流側に隣接する基部24の方に寄っている。そのため、キャップ10をスパウト40から取り外すためにキャップ10を把持して回転しようとすると、指が突起部22の頂部22aにかかり易い。また、突起部22に隣接する基部24が、仮想円ICよりも内側に位置しているため、指を突起部22の頂部22aにかけるのが一層容易である。その結果、口栓4は、開封のし易さを向上させるのに有用である。
仮想円ICを基準としたときに、基部24の深さDは、0.3mm~0.5mmであってもよい。この場合、指を入り込ませるスペースが十分に確保されるので、指を突起部22の頂部22aにかけるのが一層容易である。そのため、キャップ10の握り易さの向上に有用である。
仮想円ICを基準としたときに、基部24の深さDに対する突起部22の高さの比は、0.6~5.0であってもよい。この場合、突起部22の頂部22aに対して基部24が十分に離れるので、指を突起部22の頂部22aにかけるのが一層容易である。そのため、キャップ10の握り易さの向上に更に有用である。
仮想円ICの中心と基部24の上記回転方向における上流側の境界(端点24b)とを結ぶ線分L21と、仮想円ICの中心と基部24の上記回転方向における下流側の境界(端点24a)とを結ぶ線分L22とがなす角は、25°~35°であってもよい。この場合、基部24が設けられている領域に指を入り込ませるのが容易である。そのため、開封のし易さの向上に更に有用である。
口栓4は、周壁14の一端に接続され、周壁14とスパウト40との間においてキャップ10をスパウト40に固定する円筒状のバンド部50を更に備えてもよい。バンド部50は、キャップ10をスパウト40から取り外した際に、キャップ10と分断されるように周壁14に接続されていてもよい。キャップ10を取り外した際に、バンド部50を分断させる構成とするために、キャップ10においてローレット20を形成する領域が狭くなる場合がある。例えば、改ざん防止のためにバンド部50の下端とスパウト40(リング部46)との間に隙間を設けると、キャップ10の上下方向の長さが短くなり、その結果、ローレット20を形成する領域が狭くなる。上記構成では、ローレット20に含まれる突起部22に指がかかり易くなるので、ローレット20を形成する領域が狭くなる場合において、口栓4は更に有用である。
次に、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
3Dプリンタを用いて、図2に示されるようなキャップ10と同様に構成された実施例に係る試作品と、キャップ10とは異なる構成を有する比較例に係る試作品とを作製した。
実施例、及び比較例1,2に係る試作品の形状の共通点と相違点を下記の表1に示す。
Figure 0007563163000001
(実施例)
実施例に係る試作品では、複数の「山部」と複数の「谷部」とから構成されるローレットを形成した。実施例に係る試作品のローレットでは、山部として上述の突起部22と同様の鋸状突起を形成し、谷部として上述の基部24と同様の逆小山を形成した。頂部の曲率半径がいずれも0.6mmとなるように鋸状突起を形成した。表中の「ローレット間隔」は、山部(鋸状突起)の中心軸まわりに沿った間隔と、谷部の中心軸まわりに沿った間隔とを示す。山部のローレット間隔は、上述した中心角βに対応しており、谷部のローレット間隔は、上述した中心角αに対応している。山部及び谷部のローレット間隔が、互いに同じ角度となるように山部及び谷部を形成し、そのローレット間隔を30°とした。すなわち、実施例に係る試作品では、6個の山部と6個の谷部とを形成した。
(比較例1)
実施例1と同様にしてキャップを作製した。比較例1に係る試作品では、「山部」として実施例1と同様の鋸状突起を形成し、一対の山部の間に配置される「谷部」として、「小山形」の山状突起を形成した。山状突起の頂部が稜線(当該山状突起の稜線)の略中央に位置し、当該頂部の高さが、鋸状突起の頂部の高さよりも低くなるように山状突起を形成した。山部及び谷部の周方向における間隔が、互いに同じ角度となるように山部及び谷部を形成し、そのローレット間隔を15°とした。すなわち、比較例1に係る試作品では、12個の山部と12個の谷部とを形成した。
(比較例2)
実施例1と同様にしてキャップを作製した。比較例2に係る試作品では、比較例1と同様に、山部として鋸状突起を形成し、一対の山部の間に配置される谷部として、小山形の山状突起を形成した。山部及び谷部の周方向における間隔が、互いに同じ角度となるように山部及び谷部を形成し、そのローレット間隔を30°とした。すなわち、実施例1と同様に、比較例2に係る試作品では、6個の山部と6個の谷部とを形成した。
これらの試作品の握り易さを評価するために、焼酎が収容された包装容器(所謂パック焼酎)の焼酎を自宅で飲んだことがあるモニター84名を選定した。モニターとして、20歳代~50歳代の男性58名及び女性26名が選定された。モニターに、比較例1,2及び実施例に係る試作品のキャップを指で把持して開封してもらい、以下の評価基準で、キャップを回転させる際の握り易さを評価した。
<握り易さの評価基準>
5:握り易い
4:やや握り易い
3:どちらでもない
2:やや握りにくい
1:握りにくい
図7(a)及び図7(b)は、比較例1,2及び実施例に係る試作品の握り易さの評価結果を示す棒グラフである。図7(a)には、モニター84名全員の評価結果が示されており、図7(b)には、モニター84名のうちの焼酎の主な消費者である男性(男性58名)のみの評価結果が示されている。握り易さの評価においては、各試作品について、上述の評価基準に従った評価結果の平均値を算出した。図7(a)及び図7(b)に示される棒グラフでは、各試作品について、比較例1に係る評価値(評価結果の平均値)を100とした場合の相対的な値が示されている。
図7(a)及び図7(b)に示されるとおり、実施例に係る試作品について、キャップを回転させる際の握り易さの評価が最も良好であった。また、実施例及び比較例2に係る試作品の評価結果と、比較例1に係る試作品の評価結果との比較から、ローレットの間隔を30°とした場合に、握り易さの評価が向上した。
上述のモニター84名とは別に、酒造業メーカーの従業員であるモニター8名を選定した。この8名のモニターに、比較例1,2及び実施例に係る試作品のキャップを指で把持して開封してもらい、キャップを開封する際の握り易さ及び指の不快感の観点から、いずれの試作品が良好であるかのアンケートを実施した。下記の表2は、比較例1,2及び実施例に係る各試作品について、その試作品が良好であると評価した人数を示す。表2に示すアンケート結果から、実施例に係る試作品が良好であると評価した人数が、最も多かった。
Figure 0007563163000002
1…包装容器、2…容器本体、4…口栓、10…キャップ、12…天板、14…周壁、14a…内ネジ、20…ローレット、22…突起部、22a…頂部、24…基部、24a,24b…端点、BP…境界、IC…仮想円、D…深さ、H…高さ、40…スパウト、42…側壁、42a…外ネジ、44…フランジ、50…バンド部。

Claims (6)

  1. 外ネジが形成された円筒状の側壁と、前記側壁の一端側に設けられたフランジと、を有するスパウトと、
    天板と、前記天板の外周縁に接続され、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに外周面にローレットが形成された周壁と、を有するキャップと、を備え、
    前記ローレットは、複数の突起部と複数の基部とで構成されており、
    前記複数の基部のそれぞれの外周面は、1つの平面であるか、又は、内側に向かって湾曲する湾曲面であり、
    前記複数の突起部と前記複数の基部とは、円周方向に沿って一つずつ交互に並んでおり、
    前記突起部の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記基部よりも上流側に隣接する前記基部の方に寄っており、
    前記基部は、互いに隣り合う前記基部と前記突起部との境界を通る仮想円よりも内側に位置している、口栓。
  2. 前記仮想円を基準としたときに、前記基部の深さは、0.3mm~0.5mmである、請求項1に記載の口栓。
  3. 前記仮想円を基準としたときに、前記基部の深さに対する前記突起部の高さの比は、0.6~5.0である、請求項1又は2に記載の口栓。
  4. 前記仮想円の中心と前記基部の前記回転方向における上流側の境界とを結ぶ線分と、前記仮想円の中心と前記基部の前記回転方向における下流側の境界とを結ぶ線分とがなす角は、25°~35°である、請求項1~3のいずれか一項に記載の口栓。
  5. 前記周壁の一端に接続され、前記周壁と前記スパウトとの間において前記キャップを前記スパウトに固定する円筒状のバンド部を更に備え、
    前記バンド部は、前記キャップを前記スパウトから取り外した際に、前記キャップと分断されるように前記周壁に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の口栓。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の口栓と、
    前記口栓が取り付けられる容器本体と、を備える包装容器。
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