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JP5694629B2 - 光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法および光学シート用表面保護粘着フィルム - Google Patents

光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法および光学シート用表面保護粘着フィルム Download PDF

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Description

本発明は、例えば、液晶テレビ、コンピュータ、携帯電話、カーナビ等のディスプレイ画面等に用いられる偏光板等の光学シートの加工、実装時における光学シートの表面保護用に使用される光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法および光学シート用表面保護粘着フィルムに関する。
偏光板等の光学用シートの加工、実装工程では、当該シートの傷・汚れ防止として光学シート用表面保護フィルムを貼付し、裏面に粘着剤を塗布して乾燥し、剥離フィルムを合わせた後、目標とする偏光角度に合せて断裁し、積層保存されるのが常である。
当該用途に使用される光学シート用表面保護フィルムは、一般にポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムなどの基材に粘着剤をコーティングしたり、粘着特性を有する樹脂を押出ラミネートしたりして、フィルムの片面に粘着層を設けたもので、製品形態として複数の種類のものがあり、使用用途に合わせて光学シート用表面保護フィルムを選定している。ディスプレイ画面に貼付する際には、オートクレーブ等の加熱処理が行われることがあるため、ディスプレイのアセンブル工程まで貼付される光学シート用表面保護フィルムには熱収縮等を生じない耐熱性を有したものが使用されている。
また、偏光板等の光学用シートを検品する際に、光学シート用表面保護シートを剥がして検査し、その後また光学シート用表面保護フィルムを貼り合わせることが行なわれていたが、近年は、光学シート用表面保護フィルムを貼り付けたまま検査できる光学シート用表面保護フィルムが要求されている。耐熱性が良好なことや貼り付けたまま検査できる長所から、近年PET基材タイプの光学シート用表面保護粘着フィルムの需要が増加している。
粘着剤を基材フィルムに塗布する方法では、基材フィルムの厚さがロールに巻き取れる程度の厚さを有していないと、連続加工ができないという問題がある。また、基材フィルム自体は、ロール状に巻き取るときの摩擦によるシワや傷つき等の問題を避けるため、カオリン、炭酸カルシウム、コロイダルシリカ等の滑材を添加する、樹脂合成時に使用する触媒等の一部または全部を析出させる、もしくは表面に微粒子層や塗布層を設ける(例えば特許文献1、2参照)等の方法により、基材フィルムの表面に滑り性を付与して、ロール状に円滑に巻き取れるようにしている。しかし、光学分野への応用を考慮すると、基材フィルム自体は高透明な樹脂を採用しても、滑材の添加、触媒の析出、表面への凹凸の形成等の手法を採用した場合には、基材フィルムの光学特性(透明性など)が劣ると考えられる。
また、粘着剤のPETフィルム基材に対する投錨力が弱い場合には、被着体である光学シートから光学シート用表面保護粘着フィルムを剥がす際に、粘着剤が被着体表面に残ってしまう(糊残り)虞があることから、2液硬化タイプの粘着剤を用い、粘着剤を塗付後、養生により基材への投錨力を高めている。このため、粘着剤加工後から製品化まで納期がかかる欠点があった。
光学シート用表面保護粘着フィルムは使用後に廃棄物となるが、光学シート用表面保護粘着フィルムが廃棄物となったときの減容化の点から基材フィルムの厚さを薄くすることも求められつつある。しかし、従来の製造方法では、基材フィルムの厚さが薄くなると、粘着剤の塗工・乾燥装置における加工時に基材フィルムに掛ける張力を弱くせざるを得ず、基材フィルムのシワ、よじれを防ぐためには、基材フィルムの厚さに比べて粘着剤層を厚く塗布することが難しいのが実情である。また、粘着剤をセパレーター上に塗布した後に基材フィルムを貼り合わせる方法の場合、基材フィルムの厚さが薄いと基材フィルムの貼合時にシワや浮きが生じやすいという問題がある。
特開平5−70612号公報 特開2003−119305号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、非粘着層と粘着剤層との密着性に優れ、粘着剤の養生の必要がない、非粘着層の薄膜化が可能な上、非粘着層中に透明性など光学特性を低下させる滑材などを含ませる必要がなく、生産性に優れた光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法および光学シート用表面保護粘着フィルムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、剥離処理した剥離フィルムの片面に、エネルギー線硬化により常温で粘着性能を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性能を発現しないで固化する非粘着層形成用の樹脂層Bを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bを同時に硬化させることにより、非粘着層の一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成する光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法であり
前記樹脂層A塗布厚が4〜25μmであり、かつ、前記樹脂層B塗布厚が5〜40μmであり、前記光学シート用表面保護粘着フィルムは、剥離フィルム/粘着剤層/非粘着層の層構成を有し、前記非粘着層と前記粘着剤層との明確な界面は観察できない、連続した傾斜層となっており、
前記樹脂層Aが、次の(1)〜(3)から選択したいずれかの樹脂組成物からなり、
(1)アクリル系共重合体と、ソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートからなるモノマー群から選択した1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
(2)ソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートからなるモノマー群から選択した1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
(3)ウレタンアクリレートオリゴマーと、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
前記樹脂層Aの前記ソフトセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートとからなり、
前記樹脂層Aの前記ハードセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレートと、酢酸ビニルとからなり、
前記樹脂層Aの前記官能基含有モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなり、
前記樹脂層Aの前記多官能の(メタ)アクリレートが、多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートからなり、
前記樹脂層Aの前記アクリル系共重合体は、ソフトセグメントを与えるモノマーと、ハードセグメントを与えるモノマーとを共重合して得られるアクリル系共重合体からなり、
前記アクリル系共重合体の前記ソフトセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートとからなり、
前記アクリル系共重合体の前記ハードセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレートと、酢酸ビニルとからなり、
前記樹脂層Bが、単官能の(メタ)アクリレート成分、多官能の(メタ)アクリレート成分、官能基含有モノマー成分からなるモノマー群から選択された1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなり、
前記樹脂層Bの前記官能基含有モノマー成分が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドからなるモノマー群からなることを特徴とする光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法を提供する
前記樹脂層Bの前記単官能の(メタ)アクリレート成分が、アルキルアクリレートと、アルキルメタクリレートとからなるモノマー群からなり、前記樹脂層Bの前記多官能の(メタ)アクリレート成分が、多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとからなるモノマー群からなことが好ましい。
また、本発明は、上述の製造方法により得られ、全光線透過率90%以上、JIS Z−0237に準じた接着力測定方法で測定した180度引きはがし接着力が0.05N/25.4mm以上の粘着性能を有することを特徴とする光学シート用表面保護粘着フィルムを提供する。ここで、25.4mmは1インチであり、以下、「N/25.4mm」を「N/インチ」という。
本発明によれば、粘着剤層形成用の樹脂層Aと、非粘着層形成用の樹脂層Bとを同時に重合・硬化させて粘着剤層と非粘着層とを一度に形成するので、下記の効果を奏する。
(1)非粘着層と粘着剤の層間に化学結合が形成しやすくなることや非粘着層に対する粘着剤層の投錨効果により密着性が向上するので、被着体に貼付後に剥離した場合でも、糊残りの問題が発生しにくくなる。
(2)非粘着層および粘着剤の厚さを自由に設定することができ、非粘着層の厚さを薄くしても製造上の問題が生じない。よって、従来よりも薄型の光学シート用表面保護粘着フィルムを製造することができる。
(3)製造工程中、非粘着層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、非粘着層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた光学シート用表面保護粘着フィルムを製造することができる。
粘着剤層形成用の樹脂層Aと、非粘着層形成用の樹脂層Bとして、無溶剤型のエネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合、溶剤を使用しないので作業環境の悪化や大気汚染につながる揮発性有機化合物(VOC)の発生もほとんどない。また、エージング(養生)や乾燥が不要のため、生産に要する時間が短くなり、コンパクトな設備で製造できる。
以下、最良の形態に基づいて本発明を説明する。
本発明の光学シート用表面保護粘着フィルム製造方法は、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する非粘着層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、非粘着層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された光学シート用表面保護粘着フィルムを一度に形成することを特徴とする。
ここで、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bを形成する方法としては、セパレーター上への多層コーティングを好ましく採用することができる。この場合、セパレーターの上には、前記樹脂層Aおよび樹脂層Bを少なくとも各1層ずつコーティングすれば一般的な粘着フィルムの構成となるが、本発明において粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bの積層の数や厚さは、多層コーティングした全体が可撓性を有する限りにおいて限定されず、必要となる機能によって粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび/または非粘着層形成用の樹脂層Bを複数層とすることもできる。また、光学シート用表面保護粘着フィルムとして、帯電防止性能が要求される場合には、非粘着層形成用の樹脂の一部または、全部を帯電防止性能を有するエネルギー線硬化可能な樹脂にすることもできる。
セパレーターとしては、例えば、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系フィルム、フェノキシエーテル型重合体フィルム、有機耐透気性フィルムをはじめとする単層または複層プラスチックフィルムにシリコーン系剥離剤等による剥離処理を施して少なくとも片面が剥離性を有する剥離フィルム;紙にシリコーン系剥離剤等による剥離処理を施して少なくとも片面が剥離性を有する剥離紙;フッ素系樹脂フィルムやある種のポリオレフィン系フィルムなどフィルム自体が剥離性を有するフィルム;剥離剤を内添して製膜したフィルムなどが挙げられる。セパレーターの厚さに限定はないが、通常は5〜500μm、好ましくは10〜100μmとすることが多い。セパレーターは、使用する粘着剤や使用用途(剥離強度)に合わせて選ばれるものとする。
粘着剤層形成用の樹脂層Aは、エネルギー線照射により硬化するエネルギー線硬化性化合物を含有する、粘着剤層形成用の樹脂組成物のコーティングによって形成することができる。樹脂層Aの硬化に用いるエネルギー線としては、加熱や、活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)が挙げられる。
加熱により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合に用いられる光重合開始剤は、特に限定されず、例えばベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが好適に用いられる。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
粘着剤層形成用の樹脂組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のボールタックが、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法で傾斜角度30度にて測定したボールタックが1以上であることが好ましい。
粘着剤層形成用の樹脂組成物としては、流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物が好ましい。特に、ソフトセグメントを与えるモノマー成分およびハードセグメントを与えるモノマー成分(さらには必要に応じ官能基含有モノマー成分や多官能の(メタ)アクリレート成分)を共重合して得られる粘着剤グレードのアクリル系共重合体を必須の構成要素とするものが好適に用いられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
前記粘着剤グレードのアクリル系共重合体において、重合したときにソフトセグメントを与えるモノマー成分としては、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレート(n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレート(n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等)などが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハードセグメントを与えるモノマー成分としては、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート(メチルアクリレート等)、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
官能基含有モノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能の(メタ)アクリレート成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
粘着剤グレードのアクリル系樹脂組成物には、上記のアクリル系共重合体とともに、先に述べたソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートを、モノマー状で添加することが好ましい。これらのモノマーは、製膜時にはアクリル系共重合体の可塑剤として作用して流動性を与え、後にエネルギー線照射によって硬化して重合する。このようなモノマーと共にあるいはこのようなモノマーに代えて、比較的低分子量のオリゴマーや一般の可塑剤を用いることもできる。
また、粘度を高くするためにオリゴマー樹脂へ上記アクリレートモノマーを添加する配合もある。オリゴマーの具体例としては、ポリエステル系やポリカーボネート系などのウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等などが挙げられる。これらのオリゴマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
高粘度粘着性樹脂組成物としては、上記のアクリル系重合体を必須の構成要素とするもののほか、ウレタン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ゴム系、ビニル系、シリコーン系などの粘着剤グレードの樹脂組成物も用いることができる。
また、光学シート用表面保護粘着フィルム剥離時の剥離帯電を低減する目的で、上記粘着性樹脂組成物に、金属、金属酸化物、界面活性剤、導電性ポリマー、イオン性液体などを混合したり、イオン性を有する官能基を導入したモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる樹脂などを用いることもできる。
粘着剤層形成用の樹脂組成物の粘度は、20〜100000cps/20℃程度、好ましくは20〜80000cps/20℃、さらに好ましくは20〜12000cps/20℃とするのが適当である。
非粘着層形成用の樹脂層Bは、非粘着層形成用の樹脂組成物のコーティングによって形成することができる。非粘着層形成用の樹脂組成物は、流動性ある無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物が好ましい。このエネルギー線硬化性組成物は、エネルギー線により硬化するエネルギー線硬化性化合物を必須成分として含有し、硬化後にタックのない樹脂が用いられる。
帯電防止性能が要求される場合には、非粘着層形成用の樹脂の一部または、全部を帯電防止性能を有するエネルギー線硬化可能な樹脂にすることもできる。帯電防止性能を有するエネルギー線硬化可能な樹脂としては、導電性を有する金属や金属酸化物の粒子、ウィスカーなどをエネルギー線硬化可能な樹脂に混合したもの、エネルギー線硬化可能な樹脂に界面活性剤を混合または界面活性を示す置換基を導入したもの、導電性ポリマーをエネルギー線硬化可能な樹脂に混合したもの、などが挙げられる。
また、非粘着層の表面(粘着剤層の反対面)に防汚染性を有するエネルギー線硬化可能な樹脂を用いても良い。防汚染性を有する樹脂には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂エネルギー線硬化可能な樹脂に混合したもの、これらの樹脂にエネルギー線硬化可能な官能基を導入したものなどが挙げられる。
硬化に用いるエネルギー線としては、加熱や、活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)が挙げられる。
加熱により硬化を図る場合には、予め非粘着層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め非粘着層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合に用いられる光重合開始剤は、特に限定されず、例えばベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが好適に用いられる。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
非粘着層形成用の樹脂組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のボールタックが、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法で傾斜角度30度にて測定したボールタックが0であることが好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、などの単官能の(メタ)アクリレート成分;多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリレート成分;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドなどの官能基含有モノマー成分;酢酸ビニル、スチレン、アクリルウレタン系オリゴマーなどが挙げられる。
本発明の光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法では、セパレーターまたはその他の被塗布物の上に、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bを多層コーティングし、エネルギー線を照射して粘着剤層形成用の樹脂層Aと非粘着層形成用の樹脂層Bとを同時に硬化させる。また、エネルギー線を照射するとき、必要に応じて、コーティング層の上にエネルギー線を透過可能なセパレーター等を被せておくことができる。
これにより、非粘着層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された光学シート用表面保護粘着フィルムを一度に形成することができる。このように製造される光学シート用表面保護粘着フィルムは、非粘着層側の表面(粘着剤層と反対の側に非粘着層が露出されていれば当該非粘着層の表面;帯電防止層等がある場合は、当該帯電防止層等の表面)の硬化後のボールタックが0で、粘着剤層のボールタックが1以上であることが好ましい。ここでボールタックは、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法で傾斜角度30度にて測定される。これにより、常温で粘着性を発現する粘着剤層と、常温で粘着性を発現しない非粘着層とを有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得ることができる。
非粘着層形成用の樹脂組成物の粘度は、粘着層形成用の樹脂組成物と同じでも構わないし、異なっても構わない。各層をコーティングし各層が完全に相溶する前にエネルギー線を照射して硬化させることにより非粘着層および粘着層を一括で得ることが出来る。粘度が高い樹脂組成物を先にコーティングし、その後で粘度の低い樹脂組成物をコーティングするほうが、実際の生産工程では既存の装置を活用できるのでより良いと考えられる。また、粘度の低い樹脂組成物をセパレーターなどの支持体へコーティングする前に完全に硬化しない程度のエネルギー線を照射することにより粘度を少し上げてからコーティングする方法や、低粘度のままコーティングした後に、完全に硬化しない程度のエネルギー線を照射することにより粘度を少し上げてから次の低粘度組成物を積層コーティングし、その後で完全にエネルギー線による硬化させる手順を踏むなど、先にコートする樹脂組成物に対して何らかの方法で粘度をあげてから、次の樹脂組成物をコーティングすることが実際の生産工程では有効となる。
非粘着層形成用樹脂及び粘着層形成用の樹脂の塗工には、公知の塗工機を用いて塗工すればよい。具体的には、セパレーターの離型面に、グラビアコート、ダイコート、キスコート、バーコート、コンマコート、リバースロールコートなどにより非粘着層形成用樹脂および粘着層形成用樹脂を塗工し、その後、加熱、紫外線、電子線、可視光など、エネルギー線を与えて、樹脂を硬化させる。エネルギー線照射時にオゾンや活性酸素が発生する場合には、樹脂の硬化を妨げる虞があるため、照射雰囲気を窒素などの不活性ガスで置換したり、あらかじめ樹脂塗工面をセパレーターで覆った後にエネルギー線を照射する方法をとることで樹脂の硬化阻害を回避することができる。
樹脂の塗布厚は特に限定されるものではないが、非粘着層形成用樹脂層については1〜200μm程度が好ましく、表面保護特性、ハンドリング性及び廃棄物減容の観点からは5〜40μm程度がより好ましい。また、粘着層形成樹脂層の樹脂厚は、1〜100μm程度が好ましく、粘着特性、ハンドリング性および廃棄物減用の回転から4〜25μm程度がより好ましい。
樹脂の硬化作業は、樹脂の種類、構造により異なるが、加熱硬化タイプであれば、熱風循環式オーブンや赤外線照射機を用い、紫外線硬化型であれば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極紫外線照射装置などを用いれば良い。また、可視光硬化型であれば蛍光灯、LEDなどの光源を使用すれば良い。与えるエネルギー量は、樹脂の構造、重合開始剤・増感剤の種類・添加量、エネルギー線照射機の種類などにより異なる。樹脂の硬化状況を確認しながら、適切な硬化方法、硬化条件を設定すれば良い。
従来、溶剤型粘着剤を基材フィルムに塗工して粘着フィルムを製造する場合では長大な乾燥機が必要であったが、本発明において、無溶剤型の樹脂を使用すれば、乾燥機が必要ないので、繰り出し装置から巻き取り装置までの設備全長をコンパクトに収めることができる。また、乾燥やエージングが必要ないため製造に要する時間を短縮でき、生産性の向上、塵埃が製品に付着することの抑制を図ることができる。
なお、本発明において、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bが多層コーティングされる被塗布物は、光学シート用表面保護粘着フィルムのセパレーターである必要はなく、例えばシリコーン等で剥離処理したステンレス板などを用いて、その上で多層コーティングおよびエネルギー線照射を行い、粘着剤層および非粘着層を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを製造することもできる。この場合、被塗布物から光学シート用表面保護粘着フィルムを剥がした後には、製造した光学シート用表面保護粘着フィルムの粘着剤層を保護するため、セパレーターと合わせてもよい。また、被塗布物から剥がした光学シート用表面保護粘着フィルムを、そのまま被着体である光学シートに貼付してもよい。
以上説明したように、本発明の光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法によれば、多層コーティングした粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bを、エネルギー線照射で同時に重合・硬化させることにより粘着剤層と非粘着層とを一度に形成するので、非粘着層に対する粘着剤層の密着性が向上し、被着体に貼付した場合でも、被着体である光学シートから光学シート用表面保護粘着フィルムを剥がした時に糊残りの問題が発生しにくくなる。
また、本発明によれば、非粘着層および粘着剤層の厚さを自由に設定することができ、製造上の問題が生じない。よって非粘着層の厚さを薄くすることができ、従来よりも薄型の光学シート用表面保護粘着フィルムを製造することができる。
製造工程中、非粘着層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、非粘着層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた光学シート用表面保護粘着フィルムを製造することができる。
粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび非粘着層形成用の樹脂層Bとして、無溶剤型のエネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合、溶剤を使用しないので作業環境の悪化や大気汚染につながる揮発性有機化合物(VOC)の発生もほとんどない。このため、VOCを回収・処理する設備を置くための費用やスペースを削減できる。また、エージング(養生)や乾燥が不要のため、生産に要する時間が短くなり、コンパクトな設備で製造できる。
光学シート用表面保護粘着フィルムは、偏光板や各種光学フィルムなどの光学シートの製造工程で、表面を汚れや傷つきから防止するとともに、異物の混入や塵・ほこりを防ぐ目的で使用され、各種光学フィルムの製造工程から、物によっては流通工程まで光学シート用表面保護粘着フィルムが使用される。こうした各工程でハンドリングした際に浮かないものが要求される。このため、光学シート用表面保護粘着フィルムの粘着力としては、JIS Z−0237に準じた接着力測定方法で測定した180°引きはがし接着力が0.05N/インチ以上の粘着性能を有することが好ましい。また、光学シート用表面保護粘着フィルムを貼ったまま被着体の検査が出来るようにするためには、光学シート用表面保護粘着フィルム自体の透明性が必要で、全光線透過率90%以上、より好ましくは93%以上の光学シート用表面保護粘着フィルムが要求される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下「部」とあるのは重量部である。
(実施例1)
剥離フィルム(1)として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
また、粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ブチルアクリレート−酢酸ビニル(重量比で35:65)共重合体100部に、ブチルアクリレート3部、酢酸ビニル9部、アクリル酸18部およびベンゾインイソブチルエーテル(光重合開始剤)1.2部よりなる粘度600cps/20℃の樹脂液を準備した。さらに、非粘着層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート100部に光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を3部混合した混合液を準備した。
上記の剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)を厚さ20μmと非粘着層形成用のUV硬化性樹脂(B)を厚さ25μmになるよう2層コートし、窒素雰囲気下で出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/非粘着層(b)の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、非粘着層(b)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは3であった。
また、この光学シート用表面保護粘着フィルムをかみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし非粘着層/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
(実施例2)
実施例1のうち、非粘着層(b)の厚さを9μmにした以外は実施例1と同様にして光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、非粘着層(b)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは3であった。
また、実施例1と同様に非粘着層/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。
(実施例3)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート30部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート70部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度30cps/20℃の樹脂液を準備した。また、非粘着層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、メタクリル酸メチル100部に光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を3部混合した混合液を準備した。
実施例1と同じ剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用の粘着性樹脂組成物(A)を厚さ20μmと非粘着層形成用のUV硬化性樹脂(B)を厚さ25μmになるよう2層コートし、窒素雰囲気下で出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/非粘着層(b)の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、非粘着層(b)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは4であった。
また、この光学シート用表面保護粘着フィルムの非粘着層/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。
(実施例4)
実施例3のうち、非粘着層(b)の厚さを9μmにした以外は実施例3と同様にして光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、非粘着層(b)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは3であった。
また、実施例3と同様に非粘着層/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。
(実施例5)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ハードセグメントとしてベンゼン環を有し、繰り返し単位にアルキル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー100部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度11500cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/非粘着層(b)の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、非粘着層(b)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは3であった。
また、実施例3と同様に非粘着層/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。
(実施例6)
実施例1の非粘着層形成用のUV硬化性樹脂(B)の厚さ25μmの代わりに、厚さ24μmのUV硬化性樹脂(B)と乾燥後の厚さ1μmの紫外線硬化型帯電防止剤(日本ペルノックス株式会社製ペレクトロンXJC−0219)にし、さらに、樹脂塗工後100℃で30秒乾燥工程を入れた以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/非粘着層(b)/帯電防止層(c)の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムについて、JIS Z−0237に準じた傾斜式ボールタック測定方法(傾斜角度30度)でボールタックを測定したところ、帯電防止層(c)表面のボールタックは0で、粘着剤層(a)表面のボールタックは4であった。
また、非粘着層/粘着剤層界面、非粘着層と帯電防止剤層界面を顕微鏡観察したところ、それぞれ明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。
また、得られた光学シート用表面保護粘着フィルムの表面抵抗率をJIS K−6911に準じて測定したところ、表面抵抗率は3.20×1010Ω/□であった。
(比較例1)
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−2−ヒドロキシエチルアクリレート(重量比で97:3)共重合体100部にポリイソシアネート硬化剤を3部添加し、トルエン溶媒を加えて粘度500cpsに調整した。実施例1と同じ剥離フィルム(1)に、上記粘着性樹脂組成物(A)を乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、その後100℃の熱風循環式オーブンにて1分間乾燥して溶剤を除去後、粘着剤面に25μmPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製ダイヤホイルT−100)を貼合し、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/PET基材の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
実施例1と同様にPET基材/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面が観察できた。
(比較例2)
比較例1の25μmPETフィルムの代わりに9μmPETフィルム(東洋紡績株式会社製エステルE5000)を用いた以外は、比較例1と同様にして剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/PET基材の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
PET基材/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面が観察できた。
(比較例3)
25μmPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製ダイヤホイルT−100)に実施例1の粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)を厚さ20μmになるようコートし、窒素雰囲気下で出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。その後粘着剤層表面に実施例1と同じ剥離フィルムを貼合し、PET基材/粘着剤層(a)/剥離フィルム(1)の層構成を有する光学シート用表面保護粘着フィルムを得た。
この光学シート用表面保護粘着フィルムのPET基材/粘着剤層界面を顕微鏡観察したところ、明確な界面が観察できた。
以上の評価結果を表1にまとめて示す。
表1における各特性の評価方法は次の通りである。
(全光線透過率)
光学シート用表面保護粘着フィルムから剥離フィルムを剥がし取り、光学シート用表面保護粘着フィルム(非粘着層またはPET基材/粘着剤層)の全光線透過率を日本電色製ヘイズメーターにて測定する。
(外観)
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムの外観を目視にて観察する。
(粘着剤密着性)
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムの粘着剤面を指の爪で5回擦った際の、粘着剤の脱落状態を目視にて観察する。
(粘着力)
得られた光学シート用表面保護粘着フィルムを所定の条件で養生した後、JIS Z−0237に準じた接着力測定方法で、光学シート用表面保護粘着フィルム貼合1時間後の180度引きはがし接着力を測定する。
養生条件:光学シート用表面保護粘着フィルム加工直後、40℃×5日保温エージング後
Figure 0005694629
以上述べたように、実施例1〜6の光学シート用表面保護粘着フィルムは、粘着剤と非粘着層との界面を偏光顕微鏡で断面を観察したときに、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。粘着剤の非粘着層に対する密着性、及び光学シート用表面保護粘着フィルムの光学特性である全光線透過率が95%以上と高くて良好であり、かつ、粘着剤は粘着力が安定するまでの養生期間を必要としない。また、非粘着層を薄くすることも問題なくできる。
これに対して、比較例1〜3の光学シート用表面保護粘着フィルムは、粘着剤と非粘着層であるPET基材との界面を光学顕微鏡・偏光顕微鏡で断面を観察したときに、明確な界面が観察され、粘着剤密着性の評価においても粘着剤の脱落が観察された。
また、得られた光学シート用表面保護粘着フィルムの光学特性である全光線透過率も市販のPETフィルムを用いているため、本発明品に比べて劣っている。さらに粘着力は経時で変化し、安定した粘着力を得るためには養生期間が必要であり、生産性の観点からは好ましいとは言い難い。
本発明の光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法は、光学シート用表面保護粘着フィルム、特に偏光板等の光学シートの加工、実装工程で使用される光学シート用表面保護粘着フィルムの製造に利用することができる。

Claims (3)

  1. 剥離処理した剥離フィルムの片面に、エネルギー線硬化により常温で粘着性能を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性能を発現しないで固化する非粘着層形成用の樹脂層Bを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bを同時に硬化させることにより、非粘着層の一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成する光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法であり
    前記樹脂層A塗布厚が4〜25μmであり、かつ、前記樹脂層B塗布厚が5〜40μmであり、前記光学シート用表面保護粘着フィルムは、剥離フィルム/粘着剤層/非粘着層の層構成を有し、前記非粘着層と前記粘着剤層との明確な界面は観察できない、連続した傾斜層となっており、
    前記樹脂層Aが、次の(1)〜(3)から選択したいずれかの樹脂組成物からなり、
    (1)アクリル系共重合体と、ソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートからなるモノマー群から選択した1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
    (2)ソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートからなるモノマー群から選択した1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
    (3)ウレタンアクリレートオリゴマーと、重合開始剤と、からなる樹脂組成物、
    前記樹脂層Aの前記ソフトセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートとからなり、
    前記樹脂層Aの前記ハードセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレートと、酢酸ビニルとからなり、
    前記樹脂層Aの前記官能基含有モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなり、
    前記樹脂層Aの前記多官能の(メタ)アクリレートが、多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートからなり、
    前記樹脂層Aの前記アクリル系共重合体は、ソフトセグメントを与えるモノマーと、ハードセグメントを与えるモノマーとを共重合して得られるアクリル系共重合体からなり、
    前記アクリル系共重合体の前記ソフトセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートとからなり、
    前記アクリル系共重合体の前記ハードセグメントを与えるモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレートと、酢酸ビニルとからなり、
    前記樹脂層Bが、単官能の(メタ)アクリレート成分、多官能の(メタ)アクリレート成分、官能基含有モノマー成分からなるモノマー群から選択された1種以上のモノマー成分と、重合開始剤と、からなり、
    前記樹脂層Bの前記官能基含有モノマー成分が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドからなるモノマー群からなることを特徴とする光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法。
  2. 前記樹脂層Bの前記単官能の(メタ)アクリレート成分が、アルキルアクリレートと、アルキルメタクリレートとからなるモノマー群からなり、
    前記樹脂層Bの前記多官能の(メタ)アクリレート成分が、多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとからなるモノマー群からなことを特徴とする請求項に記載の光学シート用表面保護粘着フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により得られ、全光線透過率90%以上、JIS Z−0237に準じた接着力測定方法で測定した180度引きはがし接着力が0.05N/25.4mm以上の粘着性能を有することを特徴とする光学シート用表面保護粘着フィルム。
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