JP5886886B2 - 粘着フィルム - Google Patents
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Description
例えば、PDPにおいては、電磁波のシールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、ディスプレイ前面に貼り付けられている。これらのフィルムをディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより画像の映り具合の改善が図られている。
また、PDPでも、軽量化と薄型化、及び視認性の向上を図るため、PDPパネルに直接光学フィルター用のフィルムを貼合することがダイレクトカラーフィルター方式として検討がされている。
また、ディスプレイ表示装置の出荷前に行なわれるディスプレイの性能試験では、オーブンを使用して行われる高温・高湿度での環境条件下における耐久試験に合格する必要がある。オーブンから取り出した後、粘着剤層が白濁してしまい、ディスプレイの商品価値を損なうという問題があった。
具体的には、アルキル基の炭素数が7〜18のアルキル(メタ)アクリレートと水酸基含有モノマーとの重量比率が100:0.01〜5で含有するポリマー及び水酸基と反応する官能基を2つ以上有する化合物を含有する組成物の架橋物により形成された粘着剤層である。この粘着剤層を用いた光学フィルムをガラスに貼り合せた後、50℃×0.05MPa雰囲気下に5分間放置し、粘着剤層での微小気泡の発生の有無を目視にて確認する方法により気泡の有無を検査しているが、微小気泡の発生が防止できているとしている。
吸湿試験として、樹脂シートを60℃、90%RHの高温高湿試験槽に50時間入れることで行い、目視観察で評価を行なう方法で確認した結果、この樹脂組成物であれば発泡が少なく透明性に優れているとしている。
吸湿試験として、樹脂フィルムに積層した粘着剤層介してガラス板に貼り合せた積層体を60℃、90%RHの環境下に120時間放置した後、常温(25℃)下で30分間放置した後、ヘイズ値を測定して積層体の透明性を判定している。この粘着剤組成物によれば、高温高湿下で放置された後でも、発泡が少なくて高い透明性を維持できるとしている。
ところで、特許文献3に関しては、供試用の粘着剤層を60℃、90%RHの環境下のオーブンにて試験し、およびそこから取り出した後、常温(25℃)下で30分間放置するという試験方法を採用している。つまり、特許文献3の試験方法は、粘着剤層の白濁はオーブンから取り出した直後から数分の間に白濁が始まり、30分後には目立たなくなる場合にも合格と判定される可能性がある。実際、特許文献2に関しては、吸湿試験後も白濁を維持した実施例19と違い、作製直後は若干の濁りが観察されたという実施例18もA(吸湿試験で白濁は認められない)と評価され、作製直後の濁りは考慮されていない。
この場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの薄い樹脂フィルムを片側もしくは両面に貼合する場合はあまり目立たない現象であるが、アクリル板とガラス、ガラス同士などガスバリア性の高い材料を貼合した場合、60℃、90%RHの環境下にあるオーブンから取り出した直後から数分の間に白濁が始まり、その白濁が数時間以上に渡って残ってしまうという現象が生じ、この粘着剤層を使用する環境によっては大きな問題となる。
また、近年、ディスプレイの用途が拡大していることに伴い、従来の環境試験条件に比較して、更に厳しい環境条件下での耐久性能が求められている。例えば、車載用のディスプレイに使用される光学フィルムを貼り合せる粘着テープでは、85℃、95%RHの環境条件下においても粘着層の白濁が生じない粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着テープが必要とされている。
従って、過酷な高温高湿の環境条件下では、粘着層が厚い視認性向上用粘着テープとして使用すると、水分に起因する白濁を防止できないという問題があった。
また特許文献3の場合も特許文献2と同様に85℃、95%RHの環境条件下においても粘着層の白濁が生じない粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着テープであることは明言されておらず、アクリル酸エステルを過剰に導入しているため、実施例のように紫外線硬化時に可能な限り弱い紫外線を長時間照射する必要がある。また、60℃、90%RHの環境条件下においても粘着層の白濁が生じない粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着テープであると明言されているが、弱い紫外線を長時間照射する必要があるため生産性が悪い。
そこで、本発明では、上記問題点を解決するために、主剤となるウレタンアクリレートの少なくとも1種類と、アクリル系モノマーの少なくとも1種類とが溶解され、前記アクリル系モノマーの一部又は全部が親水基を有する(メタ)アクリレートであり、好ましくはさらに光重合開始剤を加えて粘着剤塗布液(粘着剤層の前駆体となる粘着剤用原料組成物)を調製し、この塗布液を基材に塗布・光照射して、水分子の凝集防止に関与する親水基を含有する粘着剤組成物を得る。これにより、親水基を有するアクリル系ポリマーを効率良く作製し、かつ均一に混ざりにくいポリマー同士を問題なく混合することができ、光学特性に優れた粘着剤組成物を得る。さらに、あらかじめ重合させておいた主剤となるウレタンアクリレートに対する親水基含有モノマーの添加量を従来技術と比較して少なくできるため、生産性の高い粘着テープを提供できる。
また、粘着剤塗布液の流動性を適切に調整することによって基材への塗布厚みを厚くすることが可能であり、厚みのある粘着剤テープを形成して緩衝性を高めることができる。
本発明の粘着剤用原料組成物は、一部又は全部が親水基を有する(メタ)アクリレートである少なくとも1種類のアクリル系モノマー(添加モノマー)とその添加モノマーを重合させるための重合開始剤を、主剤となるウレタンアクリレートに混合したものである。この粘着剤用原料組成物は、エネルギー線により重合する光重合性化合物として、少なくとも1種類の親水基含有の(メタ)アクリレートを含有する。(メタ)アクリレートのモノマーは、光重合開始剤とラジカル重合可能なビニル基である(メタ)アクリル基を有する重合性化合物であって、例えば、300nm〜400nmの範囲内の紫外線に対して硬化性を有する紫外線硬化性樹脂材料である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
ウレタンアクリレートはアクリル系であることから添加モノマーが分散しやすい。また、本発明の粘着剤用原料組成物は光学用途に使用されることから透明性を有することが必要であり、かつ粘着力の強弱を制御することが簡便であることからも、ウレタンアクリレートが主剤とされている。
添加モノマーとしては、主としてアクリル系モノマーが好ましい。アクリル系モノマーは、一部または全部が親水基を含有したアクリル系モノマーであることが好ましい。ここで、アクリル系モノマーの一部が親水基を有する(メタ)アクリレートである場合には、それ以外のアクリル系モノマーとして、アルキル(メタ)アクリレート等、親水基を含有しないアクリル系モノマーを用いることができる。また、アクリル系モノマーの全部が親水基を有する(メタ)アクリレートである場合であっても、他に添加モノマーとして、非アクリル系モノマーを加えることもあり得る。
基材を有する両面粘着テープは、基材の両面に粘着剤層が形成され、それぞれの粘着剤層の粘着面がセパレーターで保護された構造を有する。
本発明における、高温・高湿度での環境条件下における白濁の発生を防止できる改善効果については、トランスファーテープの形態で貼り合せるガラス(無機ガラス)やアクリル樹脂(アクリルガラス)などの水分の透過性が悪いものの場合に、特に著しい効果が得られる。これは次の理由による。
水分子の透過性の良い樹脂フィルムを貼合する場合は、粘着テープ層に分散している水分子が樹脂フィルムの場合は簡単に透過して通り抜けることができるため、水分子の凝集する確率が減ることと、仮に水分子が凝集したとしてもすぐに樹脂フィルムを通して抜けていくため、白濁している時間が短いことになる。しかし、水分子の透過性の悪い材料を貼合する場合は、水分子が凝集し白濁してしまうと、粘着テープの周辺端に水分子が拡散した後に抜けるため、長時間に渡り白濁が続くことになるからである。
また、1分子中2個以上のNCO基を有する化合物としては、ジイソシナネート等のポリイソシアネート化合物とジオール等のポリオール化合物とを反応させて得られる分子量が500〜50000程度のオリゴマーが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートや、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
ポリオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上のポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリエーテル型ジオール;上記ジオールとフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸とを反応して得られるポリエステル型のジオール等が挙げられる。
また、カルボキシル基を含有するアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリロイルエチル琥珀酸などが挙げられる。
また、アルコキシシリル基を含有するアクリル系モノマーとしては、例えば、γ−トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、γ−メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、γ−トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、アミノ基を含有するアクリル系モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を含有する(メタ)アクリレートのほか、(メタ)アクリル酸アミド、イタコン酸アミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
なお、これらのアルキル基R2は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
また、アルコキシシリル基を含有する非アクリル系モノマーとしては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
本発明の粘着剤用原料組成物は、無溶剤型とすることができる。例えばトルエンや酢酸エチルなどの揮発性有機溶剤を配合することもできるが、その場合は、セパレーター貼合前に塗布膜の乾燥工程を行なう。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシル2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシル2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシルベンゾフェノン、ヒドロキシルプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等が挙げられる。
また、主剤となるウレタンアクリレート100重量部に対して、添加モノマーとなるアクリル系モノマー(2種類以上用いる場合は合計量)は10〜50重量部であることが好ましく、その場合、ウレタンアクリレート100重量部を基準とした光重合開始剤の含有量は、0.01〜1.0重量部が好ましい。
添加モノマーとなるアクリル系モノマーのうち、親水基を有する(メタ)アクリレートが占める割合は、40〜100重量%が好ましい。
特に前記基材のうち、耐熱性、紫外線透過性、及び価格の面から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
なお、基材の厚みは16μm〜200μmを有することが好ましく、50μm〜188μmを有することが更に好ましい。基材の厚みが薄過ぎるとハンドリング性が悪く、また、基材の厚みが厚過ぎると、コスト面、ハンドリング性で不利である。
塗布装置により、基材の片面に粘着剤用原料組成物の薄膜層(塗布膜)が形成される。塗布装置で塗布した直後の粘着剤用原料組成物は、未硬化でかつ液状であり、塗布に適した流動性を有する。
塗布膜が薄すぎると、粘着剤層の厚さも薄くなるので、衝撃吸収性能が悪くなる。また、塗布膜が厚過ぎるとコストが上昇する点で不利である。
ニップロールは、貼合のための加圧手段を備えることが好ましく、また、フィルムに対して均一な圧力をかけ易いよう、少なくとも一方のロールがゴム製であることが好ましい。
塗布膜は、塗布膜中の重合性化合物が適度な光照射により重合することで、凝集力を高め、粘着性を発現する。
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
ウレタンアクリレートとしてダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL(登録商標)270(Tg:−27℃、分子量1500、粘度3000mPa・s(60℃))を100部、親水性基を保有するモノマーとして4−ヒドロキシルブチルアクリレート(4HBA)を10部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:Irgacure(登録商標)184、チバスペシャリティーケミカルス製)1部よりなる無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物を準備した。
剥離フィルム(1)に、その高粘度粘着性樹脂組成物をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量400mJ/cm2の条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。粘着層の厚みは200μmとなるように調整した。
親水性基を保有するモノマーとしてヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)を10部にする以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例3)
親水性基を保有するモノマーとしてヒドロキシルプロピルアクリレート(HPA)を10部にする以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
親水性基を保有するモノマーとして4HBAを20部とする以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例5)
親水性基を保有するモノマーとしてHEAを20部とする以外は実施例2と同様に実施した。
(実施例6)
親水性基を保有するモノマーとしてHPAを20部とする以外は実施例3と同様に実施した。
(実施例7)
ウレタンアクリレートとしてダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL(登録商標)230(Tg:−55℃、分子量5000、粘度40000mPa・s(25℃))を使用する以外は実施例1と同様に実施した。
ウレタンアクリレートとしてダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL(登録商標)230を100部、親水性基を保有するモノマーとしてアクリル酸(AA)20部、光重合開始剤(商品名:Irgacure(登録商標)184、チバスペシャリティーケミカルス製)1部よりなる無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物を準備した。
剥離フィルム(1)に、その高粘度粘着性樹脂組成物をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量400mJ/cm2の条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。粘着層の厚みは200μmとなるように調整した。
実施例8の無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物の塗料安定性(相溶性)を上げるために、さらに2−エチルへキシルアクリレート(2EHA)を20部添加し無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物を準備した。
剥離フィルム(1)に、その高粘度粘着性樹脂組成物をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量400mJ/cm2の条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。粘着層の厚みは200μmとなるように調整した。
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
ウレタンアクリレートとしてダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL(登録商標)270を100部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:Irgacure(登録商標)184、チバスペシャリティーケミカルス製)1部よりなる無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物を準備した。
剥離フィルム(1)に、その高粘度粘着性樹脂組成物をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量400mJ/cm2の条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。粘着層の厚みは200μmとなるように調整した。
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
ウレタンアクリレートとしてダイセル・サイテック株式会社製EBECRYL(登録商標)230を100部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:Irgacure(登録商標)184、チバスペシャリティーケミカルス製)1部よりなる無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物を準備した。
剥離フィルム(1)に、その高粘度粘着性樹脂組成物をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量400mJ/cm2の条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。粘着層の厚みは200μmとなるように調整した。
表1に示すように、上記の実施例または比較例により得られた粘着テープを、耐熱耐湿環境試験条件として、(1)60℃×90%RH、(2)85℃×95%RHの2種類の条件に、それぞれ調整したオーブンへ投入して、12時間保持後に耐熱耐湿環境から取り出し、23℃50%RHの環境下に置き、供試したサンプルの変化を目視にて確認する。
観察は耐熱耐湿環境から取り出した直後から開始し、1時間経過までに目視による白濁が認められないサンプルの試験結果を(○)、白濁が認められたサンプルの試験結果を(×)として、表2に示した。分かりにくい場合は比較として、耐熱耐湿環境試験に投入していない粘着テープと比較し、その白濁度合いに変化が無いことを確認する。
また、ウレタンアクリレートの種類は、それぞれ上記の製造方法中に挙げる製品名を用いて示した。EBECRYL(登録商標)270はTg:−27℃、分子量1500、粘度3000mPa・s(60℃)であり、EBECRYL(登録商標)230はTg:−55℃、分子量5000、粘度40000mPa・s(25℃)である。
樹脂との密着性や粘着力を向上させるためにアクリル酸などの極性の高い材料をウレタンアクリレートへ添加する場合があるが、ウレタンアクリレートとアクリル酸では相溶性の悪い場合が考えられる。ウレタンアクリレートの疎水性が高い場合、親水性のモノマー(アクリル酸など)が攪拌直後は相溶しているように見えるが、数時間経過すると分離してしまうことがある。実施例9のように2EHAなどのアクリル酸エステルモノマーを添加することで、ウレタンアクリレートとアクリル酸の相溶性を向上させ塗料の安定性を向上させることが可能となるので、生産性も考えるとより有効であると考えられる。
Claims (3)
- (A)2個以上の(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート100重量部と、
(B)一部又は全部が親水基含有の(メタ)アクリレートであるアクリル系モノマーの少なくとも1種類:10〜50重量部と、
(C)光重合開始剤:0.01〜1.0重量部と、
を含有し、
前記光重合開始剤が、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシル2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシル2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタールからなる群から選択した1種類または2種類以上であるベンゾイン系光重合開始剤であり、
前記親水基含有のアクリル系モノマーが、ヒドロキシル基を含有するアクリル系モノマーである粘着剤用原料組成物が、重合してなる粘着剤層を有し、第1の剥離フィルム/粘着剤層/第2の剥離フィルムの層構成からなることを特徴とする粘着フィルム。 - 前記ヒドロキシル基を含有するアクリル系モノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選択した1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
- ディスプレイに部材を貼り合わせる用途の粘着テープである請求項1または2に記載の
粘着フィルム。
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