JP2013032533A - 粘着フィルムの製造方法および粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成する。基材層に対する粘着剤の密着性が向上するので、糊残りの問題が発生しにくくなる。また、基材層および粘着剤の厚さを自由に設定しても製造上の問題が生じないので、基材層の厚さを薄くすることができる。
【選択図】なし
Description
本発明の製造方法において、前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物からなることが好ましい。前記樹脂層Aは、硬化後に粘着剤層となる少なくとも2層の樹脂層で多層コーティングすることができる。前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、セパレーター上に多層コーティングすることができる。
また、本発明は、上述の製造方法により得られることを特徴とする、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを提供する。
本発明の粘着フィルムにおいて、前記基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。
(1)基材層と粘着剤の層間に化学結合が形成しやすくなることや基材層に対する粘着剤層の投錨効果により密着性が向上するので、ガラスや金属板など粘着力が強くなる被着体に貼付した場合でも、糊残りの問題が発生しにくくなる。
(2)基材層および粘着剤の厚さを自由に設定することができ、基材層の厚さを薄くしても製造上の問題が生じない。よって、従来よりも薄型の粘着フィルムを製造することができる。
(3)製造工程中、基材層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、基材層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた粘着フィルムを製造することができる。
本発明の粘着フィルムの製造方法は、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することを特徴とする。
加熱により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
粘着剤層形成用の樹脂組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のガラス転移点が20℃以下となるように調整することが好ましい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
また、粘度を高くするためにオリゴマー樹脂へ上記アクリレートモノマーを添加する配合もある。オリゴマーの具体例としては、ポリエステル系やポリカーボネート系などのウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等などが挙げられる。これらのオリゴマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化に用いるエネルギー線としては、加熱や、活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)が挙げられる。
加熱により硬化を図る場合には、予め基材層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め基材層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
基材層形成用のエネルギー線硬化性組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のガラス転移点が20℃を超えるように調整することが好ましい。
これにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することができる。このように製造される粘着フィルムは、基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。これにより、常温で粘着性を発現する粘着剤層と、常温で粘着性を発現しない基材層とを有する粘着フィルムを得ることができる。
エネルギー線照射処理を行なう雰囲気中の酸素濃度を出来るだけ下げた状態で活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)照射を行い、樹脂を硬化させる製造方法(1)と、活性エネルギー線照射処理を行なう雰囲気中には高濃度の酸素が存在する場合でも、エネルギー硬化性樹脂に酸素が接触しないようにしておき、活性エネルギー線照射を行う製造方法(2)が考えられる。
重合阻害があっても硬化させるためには、高価な重合開始剤を多量に添加することが既知であるが、不純物として光重合開始剤の分解物が残ってしまい粘着力が変ってしまったり、糊が残ったり分解物が転写するなど、不具合の原因となることや、活性エネルギー線の総照射量が多くなり加工速度が落ちるなどの問題のため、実際の生産では有効ではない。このため、窒素などでのガス置換を行うことが必要となる。
活性エネルギー線照射後の工程や製品としてセパレーター(2)が不必要な場合は、エネルギー線照射後にセパレーター(2)を剥がして製品とする。
そのため、粘度が低い基材層形成用の樹脂層(B)の場合には、若干硬化させて粘度を上げた状態でセパレーター(2)を貼合するなどの手順の工夫が必要となるため、セパレーター(1)/粘着剤層形成用の樹脂層(A)/基材層形成用の樹脂層(B)の層構成の状態で若干硬化させた後、セパレーター(2)を貼合してから再度活性エネルギー線照射を行い完全硬化させるなど、製造方法(1)や製造方法(2)のオンラインやオフラインでの組み合わせも実際の生産では有効になると考えられる。
また、加熱による硬化など、酸素ラジカルなどの重合阻害が少ない場合には、製造方法(1)又は製造方法(2)のどちらを選択しても構わない。
さらに、セパレーター(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/粘着剤層(a)/セパレーター(2)のような、基材層(b)の両面に粘着剤層(a)を有する両面粘着フィルムの構成も、上記製造方法(1)と製造方法(2)のいずれか一方の製造方法、又は両方の製造方法の組み合わせで作製できる。
また、本発明によれば、基材層および粘着剤の厚さを自由に設定することができ、製造上の問題が生じない。よって基材層厚さを薄くすることができ、従来よりも薄型の粘着フィルムを製造することができる。
製造工程中、基材層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、基材層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた粘着フィルムを製造することができる。
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
また、粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ブチルアクリレート−酢酸ビニル(重量比で65:35)共重合体170部に、ブチルアクリレート15部、酢酸ビニル5部、アクリル酸10部およびベンゾインイソブチルエーテル(光重合開始剤)2部よりなる粘度11500cps/20℃の樹脂液を準備した。さらに、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸(重量比で70:20:10)共重合体160部に、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート10部、アクリル酸10部およびベンゾインイソブチルエーテル(光重合開始剤)3部よりなる粘度5500cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度30cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ハードセグメントとしてベンゼン環を有し、繰り返し単位にアルキル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー50部に2−エチルヘキシルアクリレート50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度550cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸(重量比で70:20:10)共重合体160部に、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート10部、アクリル酸10部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度5500cps/20℃の樹脂液を準備した。また、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、メタクリル酸メチルに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約105℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ビスフェノールA エポキシアクリレート50部に2−エチルヘキシルアクリレート100部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度70cps/20℃の樹脂液を準備した。また、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、メタクリル酸メチルに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−30℃付近に現れ、Tgは−30℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約105℃であった。
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
また、粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度30cps/20℃の樹脂液を準備した。さらに、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部を、あらかじめ窒素パージ下で撹拌しながら紫外線照射することにより粘度を上げ、酸素を添加することにより反応を止めた状態よりなる粘度900cps/20℃の樹脂組成物の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
剥離フィルム(1)、(2)、(3)、(4)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)、基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例1で準備したものを用いた。
同様に、剥離フィルム(3)に、上記のUV硬化性樹脂(B)をコートした後、剥離フィルム(4)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cm2の条件で紫外線照射を行うことにより、剥離フィルム(3)/基材層(b)/剥離フィルム(4)の層構成を有する積層体を製造した。
粘着剤層(a)については剥離フィルム(1)を、また基材層(b)については剥離フィルム(4)を剥がし、剥がした面同士をロールプレス機にて貼合した。これにより、剥離フィルム(2)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(3)の層構成を有する粘着フィルムが得られた。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例3で準備したものを用いた。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は比較例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例4で準備したものを用いた。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は比較例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
剥離フィルム(1)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸(重量比で95:5)共重合体100部にポリイソシアネート硬化剤を3部添加し、トルエン溶媒を加えて粘度500cpsに調整した。基材(b)にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡:E5000)を用いた。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−60℃付近に現れ、Tgは−60℃であると考えられる。また、基材(b)のTgは約70℃であった。
剥離フィルム(1)、(2)、(3)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例3で準備したものを用いた。
比較例4,5の粘着フィルムは、粘着剤層(a)/基材(b)の界面を断面顕微鏡で観察したときに明確な界面が観察され、また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はでき、この時点では白化は認められなかったものの、再度ガラスから剥がそうとすると、粘着剤層(a)/基材(b)の界面および、粘着剤層(a)の凝集破壊がおこり、白化することがあった。これらの結果から、貼合性は「〇」、基材密着性は「△」、総合評価は「×」と評価することができる。比較例4の粘着フィルムの製造方法は、トルエン溶媒の乾燥工程を有するので、「VOC発生あり」と評価することができる。
Claims (7)
- エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成する製造方法であって、
前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物からなり、
前記樹脂層Aを硬化させてなる粘着剤層が、ソフトセグメントを与える樹脂モノマーからなる樹脂モノマー群から選択された1つ以上の樹脂モノマーと、ハードセグメントを与える樹脂モノマー及び/又は官能基含有の樹脂モノマーからなる樹脂モノマー群から選択した1つ以上の樹脂モノマーとを共重合して得られるアクリル系共重合体からなり、
前記ソフトセグメントを与える樹脂モノマーが、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートとからなる樹脂モノマー群からなり、
前記ハードセグメントを与える樹脂モノマーが、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレートと、酢酸ビニルとからなる樹脂モノマー群からなり、
前記粘着剤層のアクリル系共重合体に用いられる前記官能基含有の樹脂モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレートと、ビスフェノールA エポキシアクリレートとからなる樹脂モノマー群からなり、
前記樹脂層Bを硬化させてなる基材層が、硬化後にタック性のないアクリル系のUV硬化性樹脂からなることを特徴とする粘着フィルムの製造方法。 - 前記樹脂層Bを硬化させてなる基材層が、アルキル(メタ)アクリレート、多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドからなる樹脂モノマー群中から選択された1種を用いた、アクリル系のUV硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルムの製造方法。
- 第1のセパレーター/粘着剤層形成用の樹脂層A/基材層形成用の樹脂層B/第2のセパレーターからなる層構成として粘着フィルムを製造することを特徴とする請求項1または2に記載の粘着フィルムの製造方法。
- 前記樹脂層Aは、硬化後に粘着剤層となる少なくとも2層の樹脂層で多層コーティングすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着フィルムの製造方法。
- 前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、セパレーター上に多層コーティングすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着フィルムの製造方法。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法により得られることを特徴とする、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルム。
- 前記基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の粘着フィルム。
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