JP5575439B2 - エレベータ - Google Patents
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Description
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態では、乗りかごの積載状態や乗りかごの位置とから振動系の固有振動数を演算し、振動系へ印加される外乱の周波数が固有振動数に接近した場合に、乗りかごの速度目標値を微調整して振動系への加振源の周波数を微小に変化させることで共振現象を回避して乗りかごの縦振動を抑制する事を特徴とする。
このエレベータは、2:1シングルラップによるローピングを用い、乗りかご3は、メインロープ9に巻き掛けられたかご上シーブ6,6aに吊り下げられる。メインロープ9は、かご上シーブ6,6a、メインシーブ2を介して、つり合いおもりシーブ8に巻き掛けられる。つり合いおもり7はつり合いおもりシーブ8に吊り下げられる。
また、このエレベータは、巻上機1の軸回転を検出して、その回転角度に比例した数のパルス信号を発生するパルス発生器14を備える。
ここでは、微小な偏心をもつメインシーブ2a、理想的なメインシーブ2b、メインシーブの中心20、メインシーブの回転中心21、偏心によって発生する加振振幅22、偏心によって発生する加振の変位23、偏心したメインシーブの回転により発生する加振周期24の関係について説明する。
この製造における誤差により、偏心したメインシーブがエレベータに設置されたとすると、偏心によって発生する加振振幅22が、巻上機1の回転に応じて当該偏心したメインシーブの回転により発生する加振周期24を有する、振動系への加振源となる。つまり、図1に示したメインシーブ2が偏心していると、このメインシーブ2が巻上機1の回転周波数に同期した周波数による、エレベータ振動系に対する定常的な加振源となる。本実施形態では、メインシーブ2が上述したように偏心している事を前提として以下の説明を行なう。
ω=√(k/m) …式(1)
式(1)のkは、ばね定数であり、mは質量である。
図3に示すように、同じ乗りかご積載量のもとでは、メインロープの長さ、ここでは乗りかご上部ヒッチ側および乗りかご上部巻上機側のメインロープの長さが長くなるほど、振動系の固有振動数は小さくなる。
また、前述した乗りかご上部ヒッチ側のメインロープの長さ及び乗りかご上部巻上機側のメインロープの長さが同じ長さである条件では、乗りかご積載量が大きくなるほど振動系の固有振動数は小さくなる。
ここでは、乗りかご3の運転開始から終了までの速度目標値の時間特性である速度パターン30、当該速度パターン30における乗りかご3の定常運転時の速度目標値である速度31、当該速度31を基準とする乗りかご3の速度の可変速の許容範囲32、乗りかご3の速度検出値の時間特性である速度フィードバック33、および縦振動波形34の関係について説明する。
言い換えると、乗りかご3の定常運転時の速度フィードバック33では、速度パターン30における乗りかご3の定常運転時の速度31と比較して、前述した定常加振による乗りかご3の縦振動波形34が生じていることになる。
図6に示すように、エレベータ制御装置13は、かご位置情報取得部13a、かご積載情報取得部13b、固有振動数演算部13c、回転数取得部13d、加振周波数演算部13e、判別処理部13f、速度制御部13g、記憶装置13hを有する。
エレベータ制御装置13のかご位置情報取得部13aは、パルス発生器14からの信号をもとに乗りかご3の現在位置を取得するかご位置検出手段である。かご積載情報取得部13bは、荷重検出装置15からの信号をもとに乗りかご3のかご室4の積載量を取得する。
図7は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータの乗りかごの縦振動の抑制のための処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、エレベータ制御装置13は、呼び登録にしたがって、定格速度時の速度が一定となるように運転時の速度パターンを生成して、この速度パターンにしたがって巻上機1を回転制御することで、乗りかご3の走行を開始させる(ステップS1)。乗りかご3の走行速度が走行行程に応じた定格速度に達して定常運転となった場合には(ステップS2のYES)、エレベータ制御装置13のかご位置情報取得部13aは、パルス発生器14からの信号をもとに乗りかご3の現在位置を取得する(ステップS3)。
具体的には、固有振動数演算部13cは、取得済みのかご位置をもとに前述した式(1)におけるばね定数kを演算し、取得済みのかご積載量を乗りかご3の自重およびつり合いおもり7の自重に加算することで前述した式(1)における質量mを演算する。乗りかご3の自重およびつり合いおもり7の自重の値はエレベータの設置段階で求めた上で記憶装置13hに予め記憶される。さらに、固有振動数演算部13cは、これら演算したばね定数kと質量mとを式(1)に代入することで固有角振動数を演算し、この固有角振動数を2πで除することで固有振動数を演算する。
図8に示すように、エレベータの振動系への外乱の加振周波数f1が振動系の固有振動数f0の前後から当該固有振動数f0に近づく程、乗りかご3の縦振動の加速度は大きくなる。
共振現象は、振動系への外乱の加振周波数が対象となる振動系の固有振動数に一致、ないしはごく近傍に接近すると振動の振幅や加速度が急激に増大する急峻な特性を有する現象であることから、固有振動数から外乱の加振周波数をわずかにずらすだけで振動系の振動を顕著に抑制することが可能である。
本実施形態では、速度制御部13gは、ステップS8の処理の結果、「YES」と判別された場合で、演算済みの加振周波数が振動系の固有振動数と一致するもしくは図8に示すように当該固有振動数より低い場合には、図8中の矢印Aのように、定常加振による加振周波数を演算済みの加振周波数に対して低くして振動系の固有振動数から離れるように速度目標値の微調整を行なう。また、速度制御部13gは、ステップS8の処理の結果、「YES」と判別された場合で、演算済みの加振周波数が振動系の固有振動数より高い場合には、図8中の矢印Bのように、定常加振による加振周波数を演算済みの加振周波数に対して高くして振動系の固有振動数から離れるように速度目標値の微調整を行なう。
本実施形態では、振動系の固有振動数を前述したような式(1)を用いて演算する代わりに、エレベータの乗りかごの最大積載量に対する所定の乗りかご積載量の割合、および、昇降路高さに対する所定の乗りかご位置と最下階の間の距離の割合の組み合わせにもとづいた、振動系の固有振動数を予め演算しておいてもよい。この場合、固有振動数の演算結果を図9に示すような表形式の情報としてエレベータ制御装置13の記憶装置13hに記憶しておき、固有振動数演算部13cは、現在の乗りかご積載量と現在の乗りかご位置とに対応する固有振動数を前述した表形式の情報から特定すればよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態におけるエレベータの構成のうち、図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したような固有振動数の演算を行なう代わりに、乗りかごの縦振動を直接検出して、この縦振動が、メインシーブ2の偏心に起因して振動系へ印加される外乱の周波数が振動系の固有振動数に接近した場合に発生する縦振動であると判別した場合に、乗りかごの速度目標値を微調整して加振源の周波数を微小に変化させることで共振現象を回避して乗りかごの縦振動を抑制する事を特徴とする。
図10に示すように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータでは、第1の実施形態と比較して、乗りかご3内の荷重検出装置15に代えて、乗りかご3の縦振動を検出するための振動検出装置16を備える。
図11に示すように、本実施形態におけるエレベータ制御装置13は、判別処理部13f、速度制御部13g、記憶装置13h、かご縦振動情報演算部13iを有する。
かご縦振動情報演算部13iは、振動検出装置16からの信号をもとに乗りかご3の縦振動の加速度や単位時間当たりの縦振動数、つまり縦振動の振動周波数をそれぞれ演算する。
まず、エレベータ制御装置13は、呼び登録にしたがって、定格速度時の速度が一定となるように運転時の速度パターンを生成して、この速度パターンにしたがって巻上機1を回転制御することで、乗りかご3の走行を開始させる(ステップS11)。乗りかご3の走行速度が走行行程に応じた定格速度に達して定常運転となった場合には(ステップS22のYES)、エレベータ制御装置13のかご縦振動情報演算部13iは、乗りかご3の振動検出装置16からの信号をもとに、乗りかご3の縦振動の加速度と縦振動の振動周波数とを演算する(ステップS23)。
Claims (4)
- 巻上機の回転軸に取り付けられたシーブに巻き掛けられたメインロープの各端部側に個別に乗りかごとつり合いおもりが吊下され、前記巻上機を回転駆動することにより前記乗りかごを昇降するエレベータにおいて、
前記乗りかごの積載荷重値を検出する荷重検出手段と、前記巻上機の軸回転から前記乗りかごの位置を検出するかご位置検出手段と、前記荷重検出手段により検出した積載荷重値及び前記かご位置検出手段により検出したかご位置をもとにエレベータ振動系の固有振動数を演算する振動数演算手段と、前記乗りかごの定常走行時、前記巻上機の回転速度をもとに前記シーブの偏心に起因して前記エレベータ振動系に定常的に印加される外乱の周波数を演算する周波数演算手段と、前記周波数演算手段の演算により得られた外乱の周波数が前記振動数演算手段の演算により得られた前記エレベータ振動系の固有振動数に接近することによる共振現象を回避するために前記巻上機の回転速度を制御することで前記外乱の周波数を前記固有振動数から離すように制御する速度制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ。 - 前記乗りかごの縦振動を検出する振動検出手段をさらに備え、
前記速度制御手段は、前記振動検出手段により検出した縦振動が前記エレベータ振動系の共振現象で発生する縦振動に相当する所定の条件を満たす場合に、前記検出した縦振動が前記条件を満たさなくなるように前記巻上機の回転速度を制御することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。 - 前記振動検出手段は、前記シーブの偏心に起因する外乱で生じうる加振周波数以外の周波数の振動をフィルタリングして前記縦振動を検出することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
- 前記速度制御手段は、前記振動検出手段により検出した縦振動が前記エレベータ振動系の共振現象で発生する縦振動に相当する所定の条件を所定時間にわたって満たす場合に、前記振動検出手段により検出した縦振動が前記条件を満たさなくなるように前記巻上機の回転速度を制御することを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
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