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JP5444732B2 - 電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体に関し、特に、繰り返し使用した際に残像などの異常画像の発生や干渉縞の発生を抑制し、かつ、優れた環境安定性と電気特性が長期的に安定して得られる電子写真感光体、及び、この電子写真感光体を用いる画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等に応用されている電子写真感光体を用いた電子写真方式とは、例えばコロナ放電等によって電子写真感光体(以後、感光体ともいう)表面を暗所で帯電させ、次いで画像露光して感光体上に静電潜像を形成し、現像部において、その静電潜像を現像剤にて可視化させ、その可視像を転写材へ転写、定着して画像を形成する。そして、転写後に感光体上に残存した現像剤は、種々のクリーニング工程を経て感光体上から除去され、再び感光体上に静電潜像が形成されるというプロセスよりなるものである。
従来、電子写真方式に用いられる電子写真感光体の光導電体として、種々の無機及び有機光導電体が知られているが、一般に、有機の光導電体を用いた有機感光体はセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を持つため、現在では有機感光体が主流となっている。
近年、電子写真感光体の高耐久化に対する期待が高まる中、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性を備えていることは勿論、耐久性に優れ、高品質な画像を長期にわたって維持することが重要な技術課題となっている。更には、低温低湿から高温高湿に至る、いかなる環境においてもその特性が充分に発揮され、画像の欠陥が発生しない環境特性を有していることもまた重要な要素である。
有機感光体は、導電性支持体とその上に形成された有機感光層から構成される。そして、この有機感光層は電荷発生層と電荷輸送層とからなる機能分離型のものが多い。導電性支持体の形状は、シート状や円筒状等用いられる電子写真装置の構成により選ばれるが、寸法精度や形状安定性はもとより、その製造方法により製造コストは異なってくる。
例えば、円筒状支持体の例を挙げると、押出・引き抜き加工を施すED菅や、押し出し後に外表面にしごき加工を施すEI菅、しぼり・しごき加工を施すことにより製作されるDI管等、各種のものが用いられており、いずれも表面切削を要しないために量産性に優れ、コストダウンが図れる。
しかしながら、このような押出しや引き抜き加工を経て製造された支持体には、その加工方向に数〜10μm程度の筋状の欠陥が無数に存在する。このような支持体上には均一な感光層が形成されず、凹凸部が電気的なリークまたは絶縁部となり、画像上に黒点や白点等の欠陥がみられるという問題があった。このような課題に対して、支持体表面の微小な凹凸部を機械的に除去する種々の方法が考案されている。
ダイヤモンドバイトを用いた旋盤により切削加工して振れを抑え、かつ外径精度を出す切削加工は、支持体表面の微小突起を完全に取り去る方法として有効ではあるが、バイトの送り量を少なくしなければならず、加工時間が長くなり、また高価なダイヤモンドバイトが必要であるために生産性が低い。さらには、例えば薄肉の支持体のように形状の寸法精度を悪化させるような素材に対して、高精度化の要求に応えるのは困難である。
ところで近年、露光光源として、低コストかつ扱いが容易な半導体レーザーを用いる方式が主流となっているが、一般的に、導電性支持体上に感光層を形成した電子写真感光体を、レーザービームをライン走査する方式の電子写真装置に適用した場合、得られる画像に干渉縞模様が現れることがある。この種の干渉縞の発生は、感光層内で吸収されなかった透過光が、導電性支持体を含む感光層内でレーザービームの多重反射を起こし、感光層表面の入射光との間で干渉を生じることに起因するものと考えられている。
そこで、上述した支持体表面の微小突起を除去すると同時に、干渉縞の発生を防止するために、例えば湿式(液体)ホーニング処理、乾式ホーニング処理が考案されている。
湿式(液体)ホーニング処理は、水等の液体に粉末状の粒状研磨材(砥粒)を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、表面粗さは吹き付け圧力、速度、砥粒の量、濃度、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができる。同様に、乾式ホーニング処理は、砥粒をエアーにより、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。これら湿式または乾式ホーニング処理に用いる砥粒としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ、プラスチックショット等の粒子が挙げられる。
このように砥粒を処理すべき支持体表面に衝突させることによって粗面を形成するため、粗さのコントロールが難しい。さらには砥粒が支持体表面へ突き刺さり、残存してしまうために、円筒状支持体外内面を洗浄してこれらを除去する工程を経てたとしても支持体表面の研磨剤を完全に除去することは困難である。また、そのような支持体上に直接感光層を形成した場合、支持体表面の汚れ、形状の不均一性はそのまま感光層の成膜ムラとなって現れ、反転現像系における白画像上の黒ポチ、正転現像系における黒画像上の白抜けが発生してしまう。
したがって、電子写真感光体を形成する場合、導電性支持体上に直接感光層を形成するよりも、支持体上の欠点の被覆、支持体の保護、感光層の塗布性の向上に加えて、感光層の電気的破壊の保護、感光層への電荷注入性改良等のために、導電性支持体上に下引き層を設けることが有効である。感光体の繰り返し安定性や環境安定性に関しては、感光層のみならず下引き層に依存する部分が極めて大きい。
そこで、従来、電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に、感光層の塗布性を向上し、導電性支持体からの電荷注入を防止し、帯電性を安定させ、且つ、残留電位を蓄積しないことを目的として、下引き層が形成されている。
このような下引き層を形成する材料として、セルロース系樹脂、ナイロン系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂等から形成される下引き層が提案されているが、これらの材料の中には、有機樹脂中のイオン性不純物に起因すると考えられている環境変動の影響を受けやすく、高温高湿下や低温低湿下で特性劣化を生じ、特に低温低湿下では下引き層の抵抗が高くなることにより、残留電位の上昇を引き起こすものもある。そこで、架橋性の樹脂を下引き層に用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、繰り返し使用の際に残留電位が上昇してしまうといった問題があり、電気特性の耐久性に関しては十分なものではなかった。
これを解消するものとして、下引き層を有機金属化合物とシランカップリング剤との反応生成物からなる硬化膜で構成することや、その好ましい硬化度を最適化すること等の技術が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。この無機系の硬化膜は、高温高湿、低温低湿などの環境においても電気特性が安定し、抵抗値も残留電位を大幅に上昇させないという利点がある。しかしながら、これらの技術は厚膜化が困難であるために、支持体表面に存在する微小な凹凸部の影響を受けやすく、更に、従来のコロナ放電による非接触帯電方式では発生しなかった新たな画像欠陥の問題が起こっている。
また、下引き層中に、シランカップリング剤で処理された有機金属化合物を含有させる(例えば、特許文献4参照)、アクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を含有させる(例えば、特許文献5参照)ことも提案されている。しかしながら、これらの技術は金属酸化物と未反応のアクセプター性化合物が残存すると、上層の塗布による形成時に溶出し、均質な下引き層を形成することができないために、充分な電子輸送性能が得られず、画像品質が低下したり、下引き層と上層との接着性が悪くなる等の不具合がみられる。
更に、最近では、コロトロン等の非接触帯電方式の帯電装置に代わり、オゾン、NOxガスの発生量の低減、高圧電源の不要による低コスト化、帯電器の小型化等のためにローラを接触又は近接配置させて帯電させる帯電方式が検討され、製品化されるようになっている。このようなローラによる接触又は近接帯電方式では、ローラが常時、電子写真感光体表面に接触又は近接し、帯電するが故に、オゾン、NOx等のガスの発生は防止できるものの、感光層の塗膜欠陥や、電子写真装置の作動中において、該装置を構成する部材から発生する異物、キャリア粉等の導電性の異物が感光体に接触または貫入することによって絶縁破壊が発生するようになってきている。これは、導電性を有する異物によって、接触帯電装置と感光体支持体との導電路が形成されているものと考えられており、残留電位の上昇を抑制するために薄膜化された下引き層を形成した感光体ではその傾向はより顕著となる。
これに対して、接触又は近接帯電方式を用いた装置に用いられる電子写真感光体において、導電性支持体の欠陥を隠蔽しつつ、残留電位の上昇等を改善して安定な電気特性を得るために、種々の検討が行われている。
例えば、金属酸化物粒子(導電性粒子)を結着樹脂中に分散させたものがあり、このような下引き層は、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含む塗布液を支持体上に塗布し、乾燥させることにより形成される(例えば、特許文献6参照)。このように導電性粒子を分散させた下引き層は、電子写真感光体の静電的特性を向上させるために、すなわち残留電位の上昇を抑えるために、樹脂量を少なくする必要がある。しかし、下引き層中の樹脂が少なくなると支持体との接着性が悪くなり、繰り返し使用によって、特に装置の小型化が期待できる小径ドラムを用いた場合には、支持体と下引き層との間での剥れが生じやすくなる。
その他、残留電位の上昇を抑制するためには、薄膜化も有効な手段ではあるが、上述した接触帯電手段を有する画像形成装置では、放電破壊が発生しやすい状況を招く可能性がある。
一方、帯電電位の低下等によって地汚れが発生する場合があるが、この地汚れを抑制するためには、導電性粒子の含有量を低減させることが効果的である。しかし、電気抵抗が高くなるために繰り返し使用による影響は著しく、残留電位の増加が画像品質を低下させてしまう。地汚れとは、本来、画像を印字しない白地領域に無数の黒点が発生する現象であり、導電性支持体からの電荷注入が主な原因とされている。
以上のように、干渉縞の防止機能に加えて、電荷注入を制御する機能と、導電性粒子の含有による抵抗調整機能とを下引き層1層に持たせる方法では残留電位の上昇を防止し、地汚れ効果が良好で、さらに環境安定性に優れた下引き層は得られていないのが現状である。
これに対して、下引き層を積層化する技術が提案されている。
即ち、アルミニウム等の導電性支持体上に導電性粒子を含有させた層を形成し、さらにこの導電性粒子を含有させた層上に、導電性支持体からの電荷注入を防止する機能を有する樹脂層を形成した2層構造の下引き層を有するというものである(例えば、特許文献7参照)。この方法によると、導電性微粉末を含有させた層に導電性支持体層の表面の凹凸や汚れ等の欠陥の隠蔽とともに電気抵抗の調整機能を持たせ、その上に形成する樹脂層に電荷注入制御機能を持たせている。
また別の方法としては、アルミニウム等の導電性支持体上に陽極酸化皮膜を形成し、更にこの陽極酸化皮膜上に、電荷注入を防止する機能を有する樹脂層を形成するというものである(例えば、特許文献8参照)。陽極酸化被膜は、一般に5〜6μmの膜厚に形成され、この膜厚では支持体表面の欠陥部分全体が絶縁体化されることが知られているが、この方法は、電源設備投資や電気エネルギーが多く必要となること、陽極酸化膜は多孔質の膜であるために封孔処理を必要とすること、処理時間が長いこと、面処理費用が多大であるという問題に加えて、環境の影響による電気特性の不安定さに起因する画像劣化の問題は避けられない。
更に、別の方法としては、2層の下引き層の少なくとも1層に空孔を有する有機樹脂粒子を含有させるものである(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、この方法は依然として、感光体中に電荷キャリアが滞留するために引き起こされる諸問題を解決するには至らず、露光部電位の上昇や感度低下、ゴースト画像への根本的な解決にはならない。
加えて、積層型の下引き層に対して、単層型の下引き層は感光体の製造プロセスを簡略化することができ、更に製造コストの低減が図れるが、抵抗制御の機能と電荷注入制御の機能を両有させる必要があり、材料設計上の大きな制約を有していた。
一方、接触又は近接帯電方式を用いた画像形成装置において、感光体の欠陥部位の存在や、またはキャリア粉等の導電性の異物が感光体に接触または感光体中に貫入した場合に発生しやすい放電破壊を防止するために、下引き層を厚膜化する技術が提案されている(例えば、特許文献10参照)。
この厚膜化は、放電破壊を防止するためには有効な手段であるが、抵抗値の増大による残留電位の上昇が懸念されるために、厚膜化する場合には良好な電気特性を得るため抵抗を低減する必要があるが、導電性支持体からの電荷注入に対するブロッキング性が弱くなり、地汚れの発生を増加させていた。
更に、高速化の要求に加えて、省スペース化の観点から、画像形成装置の小型化への要求が強まりつつある。通常、電子写真感光体を用いた画像形成装置は、電子写真感光体の周囲に帯電手段、像露光手段、現像手段、定着手段、クリーニング手段などの画像形成手段が配置されており、そのために、画像形成装置の大きさは使用される電子写真感光体の径に依存するところが大きく、画像形成装置の小型化には、電子写真感光体の占有容積を小さくする必要がある。
したがって、小径の電子写真感光体を高線速で用いる方式へとシフトする傾向にあるなかで、電子写真感光体の高感度化が必要不可欠になってきている。
電子写真感光体の高感度化に対しては、量子効率の大きな電荷発生材料を用いることが有効である。ここでいう量子効率とは、感光体を露光するため入射した光量子1個に対して、その光で励起され発生したキャリアが移動して中和した感光体表面電荷の個数の比で表わされるものであり、赤外領域に高い感度を有する電荷発生物質としては、オキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料が知られている。
しかしながら、露光に対する電荷発生量が著しく向上したために、正孔が電荷輸送層中に注入した後の電子が電荷発生層中に滞留しやすく、帯電時における表面電位の立ち上がりの遅れや、ゴースト画像(残像)の問題が生じる。
ここで、ゴースト画像とは、電子写真感光体上の露光部と非露光部が次サイクルで、電気特性の差を生じることから出現するものであり、前回転時に光照射された部分のみの濃度が濃くなるポジゴースト画像や、逆に前回転時に光照射された部分のみの濃度が薄くなるネガゴースト画像がある。
具体的には、電子写真方式の画像形成装置において、明暗のはっきりした画像を出力した後にハーフトーン画像を出力すると、本来なら均一な画像となるべき画像中に、ハーフトーン画像の前に出力した画像パターンが浮き出てしまう現象のことである。
このように、高感度な電荷発生材料を用いた場合、連続使用において感光層中に電荷キャリアが滞留しやすく、高速機への搭載を困難なものにしていた。
また、有機電子写真感光体は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層からなり、この感光層上に高耐久化のための表面層(保護層)を設けた構造のものが多いが、表面層を設けた場合、電荷発生層上に層と層との界面が新しく形成されるため、電荷のトラップサイトが増え電荷が蓄積されてしまい残像、残留電位、露光後電位の上昇などの問題が生じてしまい良好な電気特性、画像特性が得られにくくなる。更にそれだけではなく、電荷発生層で発生された電荷は、界面を通過するたびにエネルギー障壁を越えるため電荷発生層から発生した電荷に分布が生じてしまうため界面にトラップされやすくなり、残像などの異常画像がより強く発生してしまうという問題がある。
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものである。
本発明の第一の目的は、連続使用した場合であっても安定した高画質画像が得られ、小型化および高速機への搭載に対応し得る電子写真感光体を提供することにある。
本発明の第二の目的は、長期にわたり優れた環境安定性と電気特性を維持し、接触又は近接帯電方式や二成分現像方式において、キャリア付着等による感光体の放電破壊を防止する電子写真感光体を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、このような電子写真感光体を具備した画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するべく検討を重ねた結果、以下の構成をもって、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)導電性支持体上に、下引き層および感光層を順次積層してなる電子写真感光体であって、該下引き層が内表面に電子輸送性化合物を坦持した多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
(2)前記多孔質粒子が、複数の細孔を有する殻を備えた多孔質中空粒子であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体。
(3)前記多孔質粒子が、チタン、ケイ素、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む無機多孔質粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記多孔質粒子が、架橋樹脂粒子であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体。
(5)前記電子輸送性化合物が、下記構造式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)で表される電子輸送性化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
Figure 0005444732
(6)前記金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、および酸化インジウムからなる群より選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記下引き層が、平均粒径の異なる2種以上の金属酸化物粒子を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記結着樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9)前記下引き層の膜厚が10μm以上40μm以下であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(10)前記下引き層が、直径10mm以上200mm以下の導電性円筒状支持体上に形成されていることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11)少なくとも前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
(12)前記帯電手段が、接触または近接配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする前記(11)に記載の画像形成装置。
(13)画像形成装置本体に着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段の中から選ばれた少なくとも1つの手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(14)前記帯電手段が、接触または近接配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする前記(13)に記載のプロセスカートリッジ。
本発明によれば、特定の電子写真感光体により、連続使用した場合であっても感光層中への電荷キャリアの滞留によるゴースト画像の発生を効果的に抑制できる、安定した高画質画像が得られ、小型化および高速機への搭載に対応し得る画像形成装置を提供できる。
また、本発明によれば、レーザー光などの散乱による干渉縞の発生や残留電位の上昇を抑制すると同時に、導電性支持体からの電荷注入を防止し、地汚れ抑制効果を高めることができる。更に、接触帯電方式や二成分現像方式を用いる画像形成装置においても、キャリア付着等による異常画像を発生することなく、優れた画像を継続して形成し得る画像形成装置を提供できる。
本発明に係る電子写真感光体の1例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の1例を示す概略図である。 本発明に係る画像形成装置の別の例を示す概略図である。 本発明に係る画像形成装置の更に別の例を示す概略図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す。 残像(ゴースト)の評価に用いた画像パターンの一例である。
以下に、本発明の実施形態について説明するが、説明の都合上、本発明における最良の形態の例を、主に積層型感光体について説明する。ただし、本発明は積層型感光体に限定されるものではない。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、下引き層および感光層が順次積層され、該下引き層が内表面に電子輸送性化合物を坦持した多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有することを特徴とするものである。
以下、本発明の電子写真感光体を図面に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を示す断面図であり、導電性支持体(21)上に、少なくとも多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有する下引き層(22)と、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層(26)が順次形成されているものである。
図2は、別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、少なくとも多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有する下引き層(22)と、中間層(23)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(24)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(25)が順次形成されているものである。
図3は、更に別の構成を示す断面図であり、導電性支持体上(21)上に、少なくとも多孔質粒子と、金属酸化物粒子及び結着樹脂とを含有する下引き層(22)と、少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層(23)と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層(24)が順次形成されており、更にその上に保護層(27)が形成されているものである。
本発明に用いられる電子写真感光体の構成は、導電性支持体上に、少なくとも多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有する下引き層と、感光層とが順次形成されていれば、上記に示す層等が任意に組み合わされていても構わない。
<導電性支持体>
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などの表面処理した管などを使用することができる。アルミ素管についてはJIS3003系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金を、EI法、ED法、DI法、II法など一般的な方法により管状に成形を行なったもの、さらにはダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等を行なったものを用いることができる。
また、フレキシブルにレイアウトできることから装置の小型化が図れるエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等を導電性支持体(21)として有効に用いることができる。
前述したように導電性支持体のコストダウンのために無切削アルミニウム管が用いられることがある。このための無切削アルミニウム管としては、特開平3−192265号公報に記載されているように、アルミニウム円板を深絞り加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたDI管、アルミニウム円板をインパクト加工してカップ状とした後、外表面をしごき加工によって仕上げたII管、アルミニウム押出管の外表面をしごき加工によって仕上げたEI管、押出加工後冷間引抜き加工したED管が知られている。その表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が0.05〜1.0μm、かつ最大高さ(Ry)が0.5〜1.5μmの範囲であることが好ましい。これらの無切削アルミニウム管は、モアレ等の異常画像が発生しやすいものであるが、本発明に用いられる感光体構成によれば、後記する実施例からも明らかなように、無切削アルミニウム管を使用してもモアレ等の異常画像が発生せず、低コストでかつ長期にわたって高品位の画像を維持できる。
この他、さらに近年ではプラスチックを加工した支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(21)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、2−ブタノン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(21)として良好に用いることができる。
<下引き層>
本発明に用いられる感光体おいて、下引き層(22)は、導電性支持体(21)と感光層(26)との間に設けられる、少なくとも、内表面に電子輸送性化合物を坦持した多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有する層である。
〔多孔質粒子〕
本発明の下引き層(22)に含有される多孔質粒子は様々な形態を取り得るが、特に球状のものが好ましく用いられる。また、粒子径が異なる2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、多孔質粒子とは粒子の内外部に微細な細孔を有する粒子であり、好ましくは、多孔質中空粒子である。ここで、中空多孔質粒子とは、複数の細孔を有する殻を備えた中空粒子を意味し、一般には、同程度の粒子径を有する粒子に比べ、比表面積が大きいことが特徴である。
多孔質粒子を構成する成分としては、特に、無機材料、有機材料、または有機及び無機材料の複合体の限定はなく、単独もしくは2種類以上を混合して用いることも可能である。無機材料の例としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、塩基性炭酸銅などの金属塩、酸化チタン、シリカ(無水珪酸)、酸化亜鉛、アルミナ、酸化銅、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの金属酸化物、チタン酸バリウムなどを好適に用いることができる。有機材料の例としては、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェノール樹脂、架橋ポリスチレン−ポリアクリレート樹脂などを好適に用いることができる。
また、多孔質粒子が無機材料、有機及び無機材料の複合体から成る場合、多孔質粒子はチタン、ケイ素、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む金属酸化物を含んでいることが好ましい。多孔質粒子がこれらの金属酸化物を含有することにより、適当な抵抗値を有する導電性顔料である例えば酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物や結着樹脂との分散性が良好である理由から下引き層中に均一に分散され、その結果、多孔質粒子に担持される電子輸送性化合物も凝集することなく下引き層中に均一に存在することになり、ゴースト画像の発生や残留電位の上昇を低減でき、所望の画像が継続的に得られるという効果が認められる。
この場合、多孔質粒子に占める金属酸化物の量は、0.01〜100重量%であり、好ましくは30〜100重量%である。
さらに、本発明に用いられる多孔質粒子は、架橋樹脂粒子であってもよい。架橋樹脂の好ましい例としては、架橋型スチレン−アクリル中空粒子を挙げることができる。
本発明に用いられる多孔質粒子の粒径は、形成する下引き層の膜厚によって適宜、選択されるものであるが、0.01〜10μmの範囲が適当であり、好ましくは、0.05〜3μm程度の粒子である。10μmより大きいと膜の平滑性が失われるために、画像ムラが生じ、また、0.01μmより小さいと十分な中空率を確保できず、生産上の問題からコストが高くなってしまう。
ここでいう粒径とは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所社製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径 (Median径)として算出されたものである。
また、本発明でいう中空率とは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型顕微鏡(SEM)による 撮影画像において、下式(1)で定義される比率Pである。
Figure 0005444732
上記式(1)において、Raiは特定の粒子iの画像を構成する2つの輪郭のうち、内側輪郭(中空部輪郭を示す)の円相当換算直径を表し、Rbiは特定の粒子iの画像を構成する2つの輪郭のうち、外側輪郭(粒子外形を示す)の円相当換算直径を表し、nは測定粒子個数を表し、n≧100である。
また、本発明に用いられる多孔質粒子及び多孔質中空粒子からなる群より選択される粒子の中空率(体積%)は10%〜90%の範囲であり、より好ましくは25%〜80%である。中空率が20%に満たないと十分な電子輸送性化合物を担持する効果や光散乱性等の機能を付与できず、90%を超えると、場合により液調製や塗工の際に粒子が破壊されて、所望の特性を得られない可能性がある。
本発明の多孔質粒子、多孔質中空粒子は、複数の細孔を有する殻を備えており、この細孔径は、IUPACが定義している直径2〜50nmのメソ細孔領域のものが好ましく、特に5〜30nmが好ましい。
更に、細孔径の分布が単一の極大値を有し、総数の60%以上の細孔が、平均細孔径の±1nmの範囲内に存在していることが好ましい。広い細孔分布を有する場合には、電子輸送性化合物の吸着量が不均一になり、機械的強度も不足して、中空部の破壊を招くことがある。
メソ細孔の平均細孔径及び細孔径の分布の程度は、窒素吸着測定を行い、窒素吸着等温線からBerret−Joyner−Halenda(BJH)法により算出した値である。また、透過型電子顕微鏡による撮影画像における観察を併せて行った。
また、下引き層における多孔質粒子及び/又は多孔質中空粒子の含有比率は、金属酸化物粒子に対して0.1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%程度の範囲が好ましい。0.1重量%未満であると十分な電子輸送性化合物を担持する効果や光散乱性等の機能を付与できず、70重量%を超えるときは結着力が不足して導電性支持体からの剥離が生じるおそれがある。
前記の多孔質粒子又は多孔質中空粒子は、公知の製造法で得ることができる。その幾つかを示せば次のとおりである。
(多孔質粒子製造例1)
多孔質アルミナ粒子:
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド30gにイソプロパノール150 mlを添加して得られたイソプロパノール溶液にアセチルアセトンを14.6 ml添加した。25℃に保ち3時間攪拌した後、更に水を11 mlと6N−硝酸1 mlを加えた。相対湿度60%の雰囲気で24時間静置し、次いで徐々に相対湿度を30%、昇温速度:0.1℃/minの条件で90℃まで昇温し、1時間保持してバルク状乾燥ゲル体を得た。
このゲル体を400℃まで0.1℃/minの速度で昇温し、更に400℃で2時間保持した後、昇温速度:1℃/minの条件で1000℃まで昇温した後、5時間保持してアルミナ多孔質粒子(粒径:0.09μm、細孔径:10nm)を得た。
(多孔質粒子製造例2)
多孔質ジルコニア粒子:
ジルコニルクロリドオクタハイドレート(0.1mol/L水溶液)100mlに、界面活性剤:セチルトリメチルアンモニウムクロリド(0.1mol/L水溶液)86 mlを添加し、攪拌した溶液に対して、アンモニア水溶液(濃度0.88g/ml)をpHが11.5になるまで攪拌しながら添加し、ゲル状固体の沈殿生成物を得た。この沈殿成分を含む混合液を密閉容器に移し、100℃で72時間攪拌した。その後、沈殿生成物を含む混合溶液を室温になるまで放冷し、吸引ろ過しながら純水で、界面活性剤が溶出しなくなるまで洗浄した後、60℃で24時間乾燥させた。
得られた粉末を、400℃で6時間焼成し、界面活性剤を除去することにより、多孔質ジルコニア粒子(粒径:0.1μm、細孔径:10nm)を得た。
(多孔質粒子製造例3)
多孔質チタニア中空粒子:
トルエン100ml、蒸留水1.5ml、オクチルトリクロロシラン24mmol、ソリビタン酸モノステアレート0.24mmol、チタンテトライソプロポキシド1mmolを混合し、超音波攪拌することにより、油中水エマルションを調製した。
生成したエマルションにメチルトリクロロシランを24mmol添加し、空気中で攪拌、ろ過、洗浄、乾燥、焼成することにより、多孔質チタニア中空粒子(中空率:58%、平均粒径:1.2μm、内孔径:1.0μm、細孔径:8nm)を得た。
(多孔質粒子製造例4)
多孔質ポリイミド粒子:
2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの重合により得られたポリアミド酸を、N−メチルピロリドンに1.5質量%の濃度で溶解した。これに、ポリビニルアルコールを、ポリアミド酸に対し、20質量%となるように添加して溶液を調整した。この溶液0.1mlを、室温下、1500r.p.mの撹拌条件下で、マイクロシリンジを用いて、中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.1質量%含有する10mlのシクロヘキサンに注入して、粒子表面に空孔が形成されたポリアミド酸微粒子の分散液を得ることができた。
こうして得られた各孔質性ポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液0.1mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、孔質性ポリアミド酸微粒子の孔質性を保った孔質性ポリイミド微粒子(粒径:0.1μm、細孔径:5nm)を得た。
(多孔質粒子製造例5)
中空ポリマー粒子:
1 リットルの反応容器に、予め、媒体として水、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、重合開始剤として過硫酸ナトリウムを投入した。一方で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、乳化剤、水を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。このモノマー混合物を前記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら75℃で6時間重合反応を行って、粒子径200 nmのポリマー粒子(1)の水性分散体を得た。
得られたポリマー粒子(1)を水、重合開始剤として過硫酸ナトリウムとともに反応容器に投入した。その一方で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、ジビニルベンゼン、乳化剤、水とを混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製し、80℃で反応容器内の液を約6時間攪拌して、粒子径400nmのポリマー粒子(2)の水性分散体を得た。
次いで、上記ポリマー粒子(2)の水性分散体を、水、メタクリル酸メチル、重合開始剤として過硫酸ナトリウムとともに反応容器に投入した。その一方で、スチレン、乳化剤、水を混合攪拌してモノマーの水性分散体を調製した。反応容器内の液を攪拌しながら80℃を保持した状態で、メタクリル酸メチルの重合を行って、ポリマー粒子(2)にポリメタクリル酸メチルが複合したポリマー粒子(3)を得た。
続けて、この反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持して、上記モノマーの水性分散体を反応容器に投入し、ポリマー粒子(3)の表層にスチレンを重合・積層させた。この際、アクリル酸を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させ、すべてのモノマーの投入終了後、約6時間攪拌を行ない、粒子径:1.5 μmのポリマー粒子(4)の水性分散体を得た。
次いで、得られたポリマー粒子(4)の水性分散体を、水酸化アンモニウムを用いてpH10に調整し、攪拌しながら80℃の条件で3時間加熱処理を行って、粒子径:1.8μm、内径:1.4μm、中空率47%の単一の空孔を有する球状の中空ポリマー粒子を得た。
(多孔質粒子製造例6)
多孔質アクリル粒子;
1リットルの反応容器にトルエンを投入し、100℃を保持した状態で、予め調整したメタクリル酸t−ブチル、AIBN(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))からなる混合物を添加し、約4時間反応させることによって、樹脂重合体(E)を得た。それぞれの重量比は、トルエン/メタクリル酸t−ブチル/AIBN=90/90/1であった。
懸濁重合に用いる分散剤水溶液として、ポリビニルアルコール(クラレ社製:ポバールPVA−105)、重合開始剤として、ジt−ブチルパーオキサイドを用いた。
アクリル樹脂粒子組成として、メタクリル酸メチル/トリメチロールプロパントリメタクリレート/樹脂重合体(E)/重合開始剤=30/20/5/1からなるモノマー混合物を用いた。
反応容器に、上記分散剤水溶液を投入し、25℃、1000rpmで撹拌しながら、モノマー混合物を添加した。15分間撹拌した後に、徐々に昇温して50℃で30分間保持した後に、更に63℃に昇温し、4時間攪拌した。その後、室温近くまで冷却して反応を終了した。
この反応物を水で洗浄した後、80℃で2時間乾燥して多孔質アクリル粒子(粒径:0.15μm、細孔径:15nm)を得た。
(多孔質粒子製造例7)
多孔質シリカ中空粒子:
水ガラス500mlにポリオキシエチレンラウリルエーテル2%酢酸エチル溶液100mlを加えて、高速攪拌し、水中油滴型(O/W型)乳濁液を調整する。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル3%酢酸エチル溶液2000ml中に加え、高速攪拌して油中水中油敵型(O/W/O型)乳濁液を作製した。このO/W/O型乳濁液を、1モル/Lの硫酸アンモニウム3000mlを加えて攪拌、反応させ、2時間静置した後、濾過分離した。得られた粒子は、無機多孔質のシリカ微粒子であり、最後に粒子内の酢酸エチルを蒸発させることによって、多孔質シリカ中空粒子(中空率:54%、平均粒径:0.8μm、内孔径:0.65μm、細孔径:10nm)を得た。
(多孔質粒子製造例8)
多孔質アルミナ中空粒子:
トルエン100ml、蒸留水1.5ml、オクチルトリクロロシラン24mmol、ソリビタン酸モノステアレート0.24mmol、アルミニウムトリイソプロポキシド1mmolを混合し、超音波攪拌することにより、油中水エマルションを調製した。
次いで、生成したエマルションにメチルトリクロロシランを24mmol添加し、空気中で攪拌、ろ過、洗浄、乾燥、焼成することにより、多孔質アルミナ中空粒子(中空率:42%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.225μm、細孔径:5nm)を得た。
〔金属酸化物粒子〕
本発明の下引き層(22)に含有される金属酸化物粒子としては、可視光および近赤外光に殆ど吸収のない、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、および酸化インジウムからなる群より選択される粒子が望ましく、支持体表面の欠陥部の被覆、モアレ画像の防止、感光層のキャリア注入性の改良等を目的としている。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛は、適当な導電性を有しており、支持体からの正孔注入を効率的にブロックする。
本発明で用いられる金属酸化物粒子は、通常工業生産に使用されているような製法に準じて得られるものを用いることができる。
例えば、酸化チタンは、鉱石を硫酸と反応させ硫酸塩溶液を作り、溶液の清澄、加水分解による含水酸化チタンの沈殿、含水酸化チタンの洗浄、焼成、粉砕・表面処理する工程よりなる硫酸法をはじめとして、塩素法、弗酸法、塩化チタンカリウム法、四塩化チタン水溶液法等の製法に準じて得られるが、中でも高純度の酸化チタンを得るには塩素法の方が好ましい。塩素法は原料のチタンスラグを塩素により塩素化し四塩化チタンとし、これを分離・凝縮・精製後酸化し、生成した酸化チタンを粉砕・分級、必要に応じ表面処理し、濾過・洗浄・乾燥後、粉砕することで酸化チタンを製造する製造法である。
また、酸化亜鉛は、酸化亜鉛粉末に活性化剤としてアルミニウム、ガリウム、インジウム又は錫等の酸化物を添加混合し、還元性雰囲気下で600〜1200℃の温度において加熱焼成する方法、固体炭素の存在下で酸化亜鉛粉末と活性化剤との混合物を加熱焼成する方法等の乾式製造法、水溶性亜鉛化合物と活性化剤として前記金属の水溶性化合物との混合液を水酸化アルカリ又は炭酸アルカリの水溶液等で中和して生成する共沈析出物を洗浄、乾燥又は予備焼成後に窒素雰囲気中又は還元性雰囲気中で500〜1000℃において加熱焼成する湿式製造法等により製造される。
一般に、金属酸化物粒子には、NaO、KO等の吸湿性物質およびイオン性物質等の不純物が含有されており、この純度低下が電子写真特性に影響する場合があることから、本発明に用いられる金属酸化物粒子としては、純度95%以上のものが望ましい。
さらに、分散性向上等の諸特性を改善するために、表面被覆処理を施したもの等を適宜用いることができ、均一な表面処理を行なうために、金属酸化物粒子の表面に複数回の表面処理を施すことや、適切な比抵抗を得るために、必要に応じて導電性被覆層を設けたものを用いることも有効である。
また、下引き層を形成する金属酸化物粒子は、異なる平均粒径を有する2種の粒子の混合物であることが好ましく、小粒径の金属酸化物粒子を用いることにより、支持体表面の微小な凹凸部の間隙を埋めて、密着性を著しく向上させることができる。したがって、剥離やクラックの発生させることなく、形状の曲率が高い小径の円筒状支持体上にも形成することができる。
金属酸化物粒子の平均粒径は、0.01〜1.0μm、好ましくは0.02〜0.8μmである。平均粒径が0.01μmより小さくなると干渉縞模様に対する効果が小さくなり、さらに塗布液の分散安定性が低下するために、黒ポチ等の画像欠陥に対する効果も小さくなる。一方、平均粒径が1.0μmより大きくなると下引き層表面の平滑性が低下し、次に積層される感光層の塗工性が低下し、さらにハーフトーン画像の均一性が低下する。
平均粒径の異なる2種以上の金属酸化物粒子を混合させる場合、最も大きな平均粒径を有する金属酸化物粒子の平均粒径をD、最も小さな平均一次粒径を有する金属酸化物粒子の平均粒径をDとしたとき、0.02<(D/D)≦0.5の関係を満たすことが好ましい。
本発明における金属酸化物粒子の平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径を示し、次の方法にて測定したものである。
金属酸化物粒子10gを水100mL中に添加、分散剤添加、pHを10.5に調整後、ジルコニアビーズ(φ0.5mm)を200g投入し、ペイントシェーカーにて2時間分散した。得られた金属酸化物分散液数滴をpH10.5に調整した水300mL中に滴下した後、更に1分間超音波分散をして、粒度分布測定用の測定液を調整した。この測定液を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910、堀場製作所社製)にて測定、粒度分布を得るとともに、装置保有の解析モードにより平均粒径値を得た。
また、平均粒径の異なる2種以上の金属酸化物粒子を混合させる場合、最も大きな平均粒径を有する金属酸化物粒子の重量をT、最も小さな平均粒径を有する金属酸化物粒子の重量をTとした場合、これらの金属酸化物の混合比は、0.05≦T/(T+T)≦0.95が適当であり、更に好ましくは0.2≦T/(T+T)≦0.8である。
混合比:T/(T+T)が0.05より小さくなると、下引き層に分散されている金属酸化物が結着樹脂で被覆されずに、導電性が高まるために電荷リークポイントを形成してしまう場合がある。また、0.95を超えると、塗布液の粘度調整が困難となり、均一な塗膜形成が困難となる。
下引き層における金属酸化物粒子の量は、30〜95重量%が好ましく、より好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは50〜80重量%の範囲で用いる。30重量%より少ないと繰り返し使用した場合に、下引き層中に電荷が蓄積されて残留電位の上昇が著しく、95重量%より多いと下引き層用塗布液の保存安定性が悪くなり、金属酸化物粒子が沈殿するために、均一な下引き層を形成することができず、更に地汚れが発生し易くなる傾向がある。
〔結着樹脂〕
下引き層(22)を構成する結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、硬化性樹脂(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性等)も挙げられる。なかでも、硬化性樹脂が好ましく用いられる。一般に、樹脂の電気特性は、温湿度の影響を著しく受けるものであるため、黒点欠陥等の画像欠陥の発生を抑制するための手段が必要である。本発明では、硬化性樹脂を用いることによって三次元網目構造が形成され、この構造が塗膜内部への水分子等の取り込みを防止し、かつ成膜性が改善された状態の下引き層を得ることができるために、高温高湿下における抵抗の急激な低下がなくなる。
この効果は、本発明による平均粒径が異なる2種以上の金属酸化物粒子と組み合わせることによって更に向上し、構造的に緻密でかつ吸湿性の低い下引き層を得ることができる。
硬化性樹脂のうち熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基を有するため、適当な硬化剤を含有させることによって、架橋、硬化させることができる。
硬化剤としては、メラミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノール樹脂等、公知の硬化剤を用いることができる。
本発明における結着樹脂には、電気抵抗や金属酸化物粒子の分散性の面から、アルキッド−メラミン樹脂またはフェノール樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂の市販品であっても特に制限なく使用することができ、単独、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
アルキッド樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「ベッコゾール」シリーズ、「スーパーベッコゾール」シリーズなどが挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂である「スーパーベッカミン」シリーズ、三井サイテック社製の「サイメル」シリーズ、住友化学社製の「スミマール」シリーズ、三和ケミカル社製の「ニカラック」シリーズなどが挙げられる。
フェノール樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「プライオーフェン」シリーズが挙げられる。
本発明の下引き層(22)における結着樹脂の量は、5〜70重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましいが、金属酸化物粒子と結着樹脂との重量比(金属酸化物粒子/結着樹脂)が、2/1〜8/1であることがさらに好ましい。2/1未満であると、下引き層中のキャリア輸送性能が低下するために残留電位の蓄積が生じたり、光応答性が低下するようになる。一方、8/1を超えると、下引き層中の空隙が増大し、下引き層上に中間層を形成した場合に気泡が生じるようになる。
(電子輸送性化合物)
本発明の下引き層(22)には、電子輸送性化合物が含有されているのが好ましい。
本発明に用いられる電子輸送性化合物としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどのフルオレノン化合物、ピロメリットイミド、ナフチルイミドなどのイミド化合物、ベンゾキノン、ジフェノキノン、ジイミノキノン、ナフトキノン、スチルベンキノン、アントラキノンなどのキノン化合物、フルオレニリデンアニリン、フルオレニリデンマロノニトリルなどのフルオレニリデン化合物、フタル酸無水物などのカルボン酸無水物、チオピランジオキシドなどの環状スルホン化合物、オキサジアゾール化合物、トリアゾール化合物などの電子吸引性物質や、これら電子吸引性物質を高分子化したものや、アゾ顔料、ペリレン顔料、キノン顔料等の顔料が挙げられるが、本発明で用いる化合物はこれに限定されるわけではない。
電子輸送性化合物の含有量は、所望の電気特性が得られる範囲であれば任意に選択できるが、下引き層(21)に対して0.001〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%含有される。含有量が0.001質量%以下では、繰り返し使用により残留電位の上昇やゴースト画像の発生を引き起こし、10質量%以上では地汚れが発生する傾向にある。
(下引き層(22)の形成)
下引き層(22)の形成の際には、本発明の内表面に電子輸送性化合物を坦持した多孔質粒子、金属酸化物粒子および結着樹脂と、必要に応じてその他の添加剤(例えば、電子輸送性化合物、金属酸化物粒子など)を適当な溶剤に混合・分散させた下引き層用塗工液が用いられる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、エチルセロソルブ、メチルセルソルブ等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の下引き層(22)に含有される多孔質粒子と、電子輸送性化合物とを固着(コーティング)させる方法としては、乾式固着法および湿式固着法が挙げられるが、湿式固着法がより好ましく用いられる。
まず、容器に、本発明の多孔質粒子と、多孔質中空粒子とからなる群より選択される少なくとも1種の粒子と、電子輸送性化合物と、溶剤と、メディアとを投入する。必要に応じて、下引き層に含有される金属酸化物粒子や消泡剤や顔料分散剤も添加できる。次いで、容器内部の温度を一定に保ちながら攪拌して容器内を均一にする。その後、粒子の内表面に電子輸送性化合物が衝突して埋まり込むように、少しずつ攪拌速度を上げる。
十分に攪拌した後、攪拌を止め、吸引ろ過にてデカンテーションを複数回行って、多孔質粒子粒子に電子輸送性化合物が固着した粒子を得る。デカンテーションの際に使用する洗浄液は上記溶剤と同じものを使用する。
また、固着処理後に、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。加熱処理工程は、30℃〜200℃、好ましくは40℃〜150℃の範囲で5分〜5時間、好ましくは30分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。
上記湿式固着法においては、電子輸送性化合物の固着量は、容器内の多孔質粒子、電子輸送性化合物、メディアの各濃度、混合時の攪拌速度および攪拌時間に依存するので、これらを所望の電気特性が得られる範囲で適宜選択する。
また、電子輸送性化合物の固着方法は、上記方法に限定されるものでなく、所望の電気特性が得られる範囲内であれば、いかなる方法も選択することができる。
下引き層(22)の塗膜の熱硬化は、下引き層塗布後直ちに行ってもよいが、下引き層上に形成される感光層(26)を形成する際の過熱によって行ってもよい。
乾燥温度は、10℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で5分〜5時間、好ましくは10分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。
下引き層の膜厚は、3μm以上が好ましく、更に好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
下引き層(22)の膜厚は、渦電流式膜厚計フィッシャースコープMMS(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて行なった。
<下引き層と接触帯電方式との関連>
近年、主流となっている接触帯電方式では、感光体に存在する局所的な劣化部に対して、接触帯電時に局所的な高電場が加わる場合や、電子写真装置内から発生した導電性の異物が感光体中に接触又は感光体中に貫入して接触帯電装置と支持体との導電路を形成してしまうために引き起こされる絶縁破壊の問題がある。
加えて、広く実用化されている磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を用いる現像方式は、現像剤磁気ブラシが感光体表面を摺擦しながら現像を行なう接触二成分現像方法と、現像剤磁気ブラシが感光体と接触しない非接触二成分現像方法に分類されるが、特に高精細画像が要求されるフルカラー複写機等では、優れた細線再現性と十分な画像濃度が得られる接触二成分系現像が好適に用いられている。
更に、トナーの粒径を小さくして高画質化を実現しようという要求の高まりからキャリアの小粒径化も必然となってきている。小粒径キャリアは、単位体積当りの表面積が広いため、個々のトナーに充分な摩擦帯電を与えることができ、低帯電量トナー、逆帯電トナーの発生が少なく、また、現像スリーブと感光体との間隙(現像ニップ)において形成される磁気ブラシの穂が緻密になり、感光体と十分な接触確率を得ることができるために画質向上の効果が期待できるものである。
しかしながら、キャリアの小粒径化は、現像ローラの中の磁石によって生じる磁場から受ける磁気的拘束力の弱まりを生じ、粒子が飛散して感光体へのキャリア付着の問題を引き起こし、結果として感光体の絶縁破壊による異常画像を生じる。
この絶縁破壊を抑制する手段として、下引き層の厚膜化は非常に有効であるが、従来の構成では、長期にわたって導電性支持体からの電荷注入の制御と、低い残留電位を維持できる抵抗制御の機能とを両立させるためには大きな制約を有していた。
例えば、支持体から電荷が注入されると、帯電性の低下や、反転現像方式の場合には、画像を印字しない白地領域に無数の黒点が発生する現象を引き起こし、一方、電気的抵抗が高すぎると感光層で発生した電荷(電子)が下引き層を経由して支持体に移動することが困難になるために、感光層内部に滞留し、その結果として残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動の原因になっている。
更に、小径の電子写真感光体を高線速で用いる傾向が進むなかで、高い感度を有する電荷発生材料を用いることが有効であるが、露光によって発生する電荷量が多くなるために、正孔が電荷輸送層中に注入した後の電子が電荷発生層中に滞留しやすく、帯電時における表面電位の立ち上がりの遅れや、ゴースト画像の問題が生じる。
したがって、この問題を解決するためには、感光層から支持体への電子の注入性向上が必須である。そのため下引き層に電子輸送性化合物を含有する方法が有効であるが、従来の方法で電子輸送性化合物を用いても、下引き層の上に感光層を塗布によって形成する際には、塗布形成時に電子輸送性化合物が溶出し、十分な電子輸送性が保持できないなどの問題があった。
本発明の下引き層(22)の構成により、従来の技術では成し得なかった上記課題を解決するに至った理由については、次のように考えている。
本発明における下引き層への、多孔質粒子を含有することによる第1の効果は、単位体積当りの比表面積の増大が結着樹脂との接着面積を高めることにより、導電性支持体からの電荷注入を有効にブロックし、抵抗調整機能を飛躍的に高め、更に、接触帯電方式や二成分現像方式を用いる画像形成装置においても、キャリア付着等による絶縁破壊の抑制に十分な膜厚を有する厚膜の下引き層の形成が可能になることにある。
例えば、電気抵抗を低減させる目的で、例えば酸化錫をコートした金属酸化物粒子や、粒子間での良好な電気伝導性を得るために、下引き層中に形成されていた空隙を充填するような小粒径の金属酸化物を用いた場合でも、導電性支持体からの電荷注入を引き起こすことがなく、抵抗調整の機能と支持体からの電荷をブロッキングする機能との両立が可能である。
本発明の下引き層の構成は、多孔質粒子がその表面に結着樹脂を保持し、下引き層を構成する粒子と結着樹脂との接触頻度のバランスがとれるために、均一な膜抵抗が得られる。
更に、接触または近接帯電方式や二成分現像方式を用いる画像形成装置において、感光体表面に導電性の異物が付着または貫入した場合でも、本発明は、適当な抵抗値を有した厚膜の下引き層の形成を可能にするので、局所的な高電場が印加されることによって生じる感光層の絶縁破壊の発生が低減されるものと考えている。
また、中空および多孔質粒子自体が有する弾性力(クッション性)が成膜時における体積収縮の局所的な応力集中を緩和するため、成膜時のみならず、例えば、クリーニングや帯電等の画像形成部材等、画像形成時の外部応力を吸収する緩衝層としての機能をも担い、下引き層の機能を飛躍的に高めることができる。
第2の効果は、多孔質粒子が、機能物質としての電子輸送性化合物を担持して、感光層から導電性支持体への電子注入性を向上させることにある。
すなわち、マイクロカプセルの技術を適用するものであり、特には、中空状の多孔質粒子が好適である。これは、中空状の多孔質粒子の方が電子輸送性化合物をより多く内包できるためである。
本発明では、電子輸送性化合物を担持した多孔質粒子を下引き層に含有しているために、残留電位を上昇させる要因となっている電子が電荷発生層との界面や下引き層中に滞留することなく、速やかに導電性支持体側に移動する。
また、電荷発生物質により発生した電子が支持体側に移動せずに、電荷発生層中で正孔と再結合することによって生じる帯電電位の低下を引き起こすことなく、下引き層と電荷発生層との界面における電子の移動が円滑に行われるために、光応答性が著しく向上する。
更に、ゴースト画像の抑制効果が向上する。ゴースト画像とは、既に説明したように電子写真方式の画像形成装置において、明暗のはっきりした画像を出力した後にハーフトーン画像を出力すると、本来なら均一な画像となるべき画像中に、ハーフトーン画像の前に出力した画像パターンが浮き出てしまう現象のことであるが、像露光によって感光層中で発生した電荷のうち、支持体側に流出すべき電子が滞留することなく、その移動が円滑に行われるために、前回転時に光が照射された部分の履歴が残らない。
第3の効果は、多孔質粒子が、機能物質としての電子輸送性化合物を担持して、有機溶剤に対する電子輸送性化合物の溶解性を問わず、感光層から導電性支持体への電子注入性を向上させることにある。
電子輸送性化合物を含有した下引き層用塗工液を導電性支持体上に塗工した後、続いて、その上に感光層を塗布する際にも、電子輸送性化合物の溶出を防ぎ、下引き層中に偏析することなく、十分な電子輸送機能を持たせることができる。また、下引き層中で凝集や結晶化を引き起こすことが無いので、感光体設計の自由度が高く、低いコストで目的とする効果が得られる。
この第3の効果も上述したようなマイクロカプセルの技術を適用するものであり、特には、中空状の多孔質粒子が好適である。これは、中空状の多孔質粒子の方が電子輸送性化合物をより多く内包できるためである。
第4の効果は、多孔質粒子は、結着樹脂とともに有機溶剤中に分散させたときに、塗布液中において沈降し難く、分散安定性が向上するために、均一な塗膜形成が可能となることである。
下引き層の特性は、分散性に依存するところが大きく、低温低湿から高温高湿下での全環境に対して常に安定した、最適の抵抗値が得られる望ましい分散状態を選択することが必要不可欠であり、本発明の下引き層の構成によると、分散性の悪さが引き起こす局所的な膜抵抗の偏りによる地汚れや、残留電位の上昇を発生させることなく、塗膜均一性が良好で、繰り返し使用において安定した電位特性、及び画像特性を有する感光体を製造することができる。
第5の効果は、多孔質粒子が中空粒子であることにより、より効果的に光散乱性等の機能を向上させることができることである。すなわち、中空粒子を用いることにより、例えば架橋重合体粒子の場合、有機外殻を形成するポリマー部と内部の空間との光の屈折率が異なるため、光を散乱、遮蔽する効果を発揮する。したがって、このような架橋重合体粒子は光散乱材の光散乱成分として効果的に使用することができる。
像露光手段に半導体レーザーを用いた画像形成装置においては、像露光時の入射光が、感光層を透過し導電性支持体より反射された反射光と干渉し、画像形成時に干渉縞による画像の濃度むらを起こす不具合を生じやすい。この干渉縞対策として、導電性支持体や下引き層表面に粗面化処理を施する方法では、製造工程が複雑になるため製造コストが上昇する等の欠点を有していたが、本発明では、光散乱性の機能を有する粒子を、金属酸化物や、適当な結着樹脂とともに分散させて、浸漬塗工法にて導電性支持体を被覆する方法をとるために生産性の向上が図れる。
また、本発明の下引き層により、導電性支持体の選択の自由度が大きくなる。その形状は、シート状や円筒状等、用いられる画像形成装置の構成により選ばれるが、最も代表的な円筒状支持体を例に挙げると、表面切削を要しない無切削管と、切削管に大別される。量産性に優れ、コストダウンが図れるという点では無切削管が好ましいが、一方で、これまで支持体表面に存在する欠陥部が、画像上に悪影響を及ぼしていた課題を厚膜化された下引き層によって完全に被覆することが可能になる。
<中間層>
本発明の感光体においては、必要に応じて、下引き層(22)と感光層(26)との間に中間層(23)を設けることができる。中間層(23)はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い構成であるが望ましい。
このため、中間層(23)は高温高湿、低温低湿などの環境においても電気特性に影響を受けず、繰り返し使用においても電位安定性に優れていることから、ジルコニウム、チタニウム、シリコン等を含有する有機金属化合物を含有する硬化膜により形成されていることが好ましい。
ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムトリ−n−ブトキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、ジルコニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、ジルコニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、ジルコニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、ジルコニウムラクテート、メタクリレートジルコニウムブトキサイド、ステアリレートジルコニウムブトキサイド、イソステアレートジルコニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものでなく、これらを単独もしくは2種以上組み合わせて用いてもよい。
チタニウム化合物の例としては、チタニウムトリ−n−ブトキサイドペンタンジオネート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムトリイソプロポキサイドペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムトリn−ブトキサイドエチルアセトアセテート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビスエチルアセトアセテート)、チタニウムトリn−ブトキサイドメチルアセトアセテート、チタニウムジ−n−ブトキサイド(ビスメチルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5,−ヘプタンジオネート)、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジ−n−ブトキサイド、チタニウムラクテート、メタクリレートチタニウムブトキサイド、ステアリレートチタニウムブトキサイド、イソステアレートチタニウムブトキサイド等が挙げられるがこれらに限定されるものでなく、これらを単独もしくは2種以上組み合わせて用いてもよい。
中間層(23)の形成には、上記金属有機化合物の外にも、シランカップリング剤を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤を使用する場合、有機金属化合物とシランカップリング剤との混合割合は、必要に応じて適宜設定することができるが、電子写真特性上、塗膜形成後の体積抵抗率が1010〜1013Ω・cmになるように混合比を設定するのが好ましい。中間層のバルク抵抗は、通常の方法で測定される。例えば、電極上に中間層を形成し後、対向電極を蒸着法などにより形成し、サンドイッチセルのようなサンプルを形成する。これを用い、暗状態において、電圧−電流特性を評価することにより、バルク抵抗が測定できる。この際、対向電極として、導電性ゴムや金属箔を圧着して測定することも可能である。
中間層の形成の際には、有機金属化合物を適当な溶剤に混合した中間層用塗工液が用いられる。この中間層用塗工液に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶剤が上げられ、これらは単独、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
中間層(23)を形成する塗工法としては、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工等が挙げられ、乾燥温度は10℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で5分〜6時間、好ましくは10分〜2時間の送風乾燥または静止乾燥により行なうことができる。なお、中間層(23)の塗膜の熱硬化は、中間層塗布後直ちに行なってもよいが、下引き層(22)あるいは中間層上の感光層(26)(積層構成の場合には、電荷発生層(24))を形成する際の過熱によって行ってもよい。
中間層の膜厚は、残留電位の上昇や感度低下を引き起こすことなく、電気的なブロッッキング機能を有する3μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.05〜1.0μm程度が適当である。
<感光層>
次に、感光層(26)について説明する。本発明における感光層(26)は積層構成でも単層構成でもよいが、ここでは、説明の都合上、まず、積層構成について述べる。
はじめに電荷発生層(24)について説明する。
電荷発生層(24)は、画像露光により潜像電荷を発生分離させることを目的とし、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファスセレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコン等が挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系染料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層(24)に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷発生層(24)のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いることができる。
高分子電荷輸送物質として、以下のような公知の材料が使用できる。
たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開平8−269183号公報、特開平9−151248号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号、特開平9−328539号公報、特開平9−272735号公報、特開平9−241369号公報、特開平11−29634号公報、特開平11−5836号公報、特開平11−71453号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開2000−38442号公報に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、電荷発生層(24)には低分子電荷輸送物質を含有させることができる。電荷発生層(24)に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
電荷発生層(24)を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とに大別できる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂とともに、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶剤を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート法、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層(24)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
次に、電荷輸送層(25)について説明する。
電荷輸送層(25)は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層(24)で発生した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的と達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層(24)上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(24)で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質を用いることができる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、単独でも2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。
また、電荷輸送層(25)には、結着樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、前記電荷発生層(24)で記載したような公知の材料を用いることができるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
電荷輸送層(25)には必要に応じて、レベリング剤や可塑剤等を添加することが可能である。
併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
また、併用できる可塑剤としては、例えばハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等やポリエステル等の重合体および共重合体などが挙げられ、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶剤の使用は望ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、およびそれらの誘導体が良好に用いられる。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。塗工の際に、塗工液が下層の感光層を溶解してしまうような場合は、下層と塗工液の接触時間、下層と塗工液中の溶媒との接触量を制御し易い、スプレー塗工法、リングコート法などを用いるのが良い。
電荷輸送層(25)の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
更に、電荷輸送層(25)が感光体の最表層となる場合、無機粒子および有機粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有させることも有効である。
一般に、有機感光体は、耐久性が低いことが大きな欠点となっている。
感光体表面の摩耗や傷などの機械的負荷に対する耐久性と繰り返し使用による残留電位の蓄積や帯電性低下などの静電特性上の耐久性に大別されるが、機械的耐久性に劣ることも感光体の寿命を決定する要因となっている。また、これらの耐久性以外に、感光体表層は、コロナ帯電時に生ずるオゾンによって生成する低抵抗物質の付着、あるいはトナーのクリーニング不良によるフィルミング、融着といった画像劣化を引き起こす要因を持っている。そのため、機械的耐久性とともに感光体寿命を左右する感光体表面への各種付着物に対する離型性も求められる。
これらの要求を満たすために、感光体の最表層への無機や有機粒子の含有はきわめて有効である。無機粒子材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられ、有機粒子材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。また、これらの材料の他に、公知の材料の使用も可能であり、上述した無機や有機粒子は単独もしくは2種類以上を混合して用いることも可能である。
更にこれらの粒子は、分散性向上、表面性改質等の理由から少なくとも1種の無機物、有機物で表面処理させることが好ましい。
粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、上述した粒子の絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理が粒子分散性において好ましい。シランカップリング剤による処理は、やや抵抗が下がるものの、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いる粒子の平均一次粒径によって異なるが、3〜30重量%が適しており、5〜20重量%がより好ましい。
分散溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用される。分散手段としてはボールミル、サンドミル、振動ミルなど公知の分散手段が使用可能である。
電荷輸送層(25)が最表層の場合、含有される無機粒子、有機粒子の含有量は全固形分に対して0.1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜30重量%である。含有量が0.1重量%未満であると、耐摩耗性の点で好ましくない。また、40重量%を超えると膜の不透明化による解像度の低下、感度低下による画像濃度低下など画像劣化が発生する。
また、無機粒子または有機粒子の体積平均粒径は0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmに粉砕、分散するのが好ましい。粒径が0.05μmより小さいと均一な分散が行ないにくく、粒径が1.0μmより大きいと粒子が感光体表面に頭出し、クリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生する場合がある。
次に、感光層(26)が単層構成の場合について述べる。
これまで、感光層が積層の場合について述べたが、本発明においては、感光層(26)が単層構成でも構わない。単層構成の感光層(26)は、前述した電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを本発明の下引き層(21)上に塗布、乾燥することにより形成できる。結着樹脂としては、電荷発生層(24)や電荷輸送層(25)の説明で挙げた材料を用いることができる。さらに、前述した高分子電荷輸送物質も結着樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、良好に使用される。
また、先の電荷輸送層(25)の説明に記載した無機、有機粒子も良好に使用できる。
感光層(26)は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。
また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。
感光層(26)の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
<保護層>
本発明の感光体には、感光層保護の目的で、保護層(27)が感光層(26)(積層構成の場合には、電荷輸送層(25))の上に設けられることもある。
これに使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン/ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層(27)にはその他、耐摩耗性を向上する目的で、電荷輸送層(25)の説明に記載した無機粒子および有機粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を添加することもできる。
保護層(27)の形成法としては、通常の塗布法が採用される。
なお、保護層(27)の厚さは、0.5〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作製法にて形成したi−C、a−SiCなど公知の材料も保護層として用いることができる。また、必要により、前述の電荷輸送物質、酸化防止剤、可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよく、公知の酸化防止剤をすべて使用することが可能である。
また、2種以上の酸化防止剤を混合して添加することにより効果が顕著に高まることがあり、有効である。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(パラフェニレンジアミン類)
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(有機硫黄化合物類)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0〜10重量%である。
<画像形成方法・画像形成装置>
次に、図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
本発明は、上記電子写真感光体を提供すると共に、本発明の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段を用いることを特徴とする画像形成方法、本発明の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段を有することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
まず、本発明における画像形勢装置の一例を、図4を使用して説明する。
同図において、本発明の感光体(1)には帯電装置(2)が対向配置される。
図4に示す画像形成装置における帯電装置(2)は、ローラ式の帯電装置を用いる接触帯電方式であるが、本発明では帯電装置(2)にはコロナ帯電装置、接触帯電装置、近接帯電装置(非接触帯電装置)などのいずれの帯電装置も用いることができる。近接帯電法とは、帯電部材と感光体間を数十μm離して帯電する手段である。
しかしながら、本発明においては、オゾン発生の低減や消費電力の低減の観点から、感光体(1)に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用される。
本発明の効果は前述したように接触もしくは近接配置した帯電手段を用いた場合に顕著となる。転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
接触帯電もしくは近接帯電法では、帯電部材に直流電圧若しくは交流電圧を重畳した直流電圧が印加される。接触帯電、非接触帯電共に、パッシェンの法則に従った帯電が行われ、帯電開始電圧Vthは接触帯電の時が最も低く、Gapが大きくなるにつれ、開始電圧Vthは高くなる。感光体(1)の帯電電圧を−400〜−800Vにするためには−1000V〜−2000Vの直流電圧を印加するか、−450〜−900Vの直流電圧に、700V〜2000V/800〜4500Hzの交流電圧(正弦波、三角波)を重畳して印加する。交流電圧を重畳するのは、感光体と帯電部材間に隙間があった場合に、帯電が不均一に成り、画像ムラを防止するためであり、画像形成に必要な帯電電圧と同等、あるいは少し高めの直流電圧に、帯電開始電圧Vthの2倍以上のPeak to Peak電圧の交流電圧を重畳した直流電圧に設定する。
ローラ方式の帯電部材は、φ5〜φ15(mm)のSUS製丸棒を芯金として、弾性部材が被覆される。感光体を帯電する弾性部材には、エピクロルヒドリンゴム単体、若しくはウレタンゴムやエピクロルヒドリンゴムに、導電性カーボン、炭素繊維粉末、イオン導電剤などの抵抗制御材を添加し、必要に応じてフッ素系樹脂などの撥水剤を添加して、比抵抗を10〜1014(Ω・cm)に調整したものが使用される。具体的には、接触帯電部材と非接触帯電部材で感光体に対向する面の電気抵抗が、帯電方式によって変えられる。
帯電装置(2)により一様に帯電された感光体(1)は、次に画像露光装置(3)により出力されたLD素子やLED素子アレイを光源とする光のドットパターンの画像情報が照射される。これにより、感光体(1)には明暗電位差の静電潜像が形成される。明暗電位差は少なくとも250V以上あることが望ましく、通常は350〜600(V)であることが好ましい。
このようにして形成された静電潜像は、現像装置(4)によりトナー像として可視化される。現像剤担持体である現像スリーブ上に供給されたトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる二成分現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ(41)に、感光体(1)の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
キャリアは、鉄、フェライト、ニッケルの様な磁性を有する粉体(磁性紛)に帯電性及び帯電安定性、耐久性等向上させるために、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂等で被覆されたものが用いられ、キャリアの平均粒径は30〜80μm程度である。
トナーは機械的粉砕製法による粉砕トナーと、化学的に製造される重合トナーがある。
粉砕トナーは、形状が不定形(平均円形度は0.9前後)でとがったところがあるためにクリーニングには有利であるとされている。しかし、形状や粒径が不揃いなため、転写効率や、現像忠実性には少し劣り、また、微小粒径のトナーが含まれる等、画像品質の低下が起こりやすい傾向がある。
一方、重合トナーを製造する手段として懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、マイクロカプセル重合法、スプレードライ等がある。例えば、懸濁重合法の場合、バインダー樹脂に着色剤や帯電制御剤等の添加剤を均一化処理し、分散媒、分散剤を添加し重合して製造される。重合法は工程が簡素化されているため、粉砕法に比べ製造コストが安い。また、粒径が比較的良く揃っており、殆どがほぼ球形(平均円形度0.95〜0.995)であり、粒径もほぼ揃っている。
したがって、帯電を均一に揃えやすく、潜像にほぼ忠実に現像され、また転写効率が高くなるため、シャープ性、高解像度に優れた画像が再現可能である。使用されるトナーの平均粒径は4〜8μm程度である。しかしその反面、形状が球形、又は球形に近く、粉砕トナーに比べ、クリーニング性能が劣るという欠点があるため、球形トナーを使用する場合にはクリーニング性が重要になってくる。
トナーとキャリアはトナー濃度で3〜8重量%になるように混合される。
現像されて顕像化されたトナー像は、転写手段(5)により、被転写体(コピー用紙)(9)にトナー像が転写される。このとき転写手段(5)には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、被転写体(9)は、分離装置(6)で感光体(1)より分離された後、定着装置(8)を経て出力画像として排出される。
また、潜像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング手段(7)にて回収され、回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
クリーニング手段(7)は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。図4では、クリーニング装置(7)はクリーニングブレード(7-1)のみを配設した形式であるが、クリーニングブラシを併設したクリーニング装置も使用可能である。
クリーニングブラシはクリーニングブレード(7-1)の補助的役目を果たすもので、感光体(1)上にトナー量が多い場合に有効である。クリーニングブラシにはループブラシとカットパイルブラシが知られており、システム条件によって使い分けることが望ましい。
また、転写効率およびクリーニング効率を向上するため、感光体の表面エネルギーを低減させるべく潤滑剤、例えば脂肪酸金属塩を感光体表面へ供給し、画像形成を行なう方法も有効である。感光体表面への低表面エネルギー化剤の供給手段については、現像剤中に脂肪酸金属塩を含有させる方法、またはステアリン酸亜鉛等の固形素材を、クリーニング手段を兼ねたブラシロールを介して供給する方法、およびその他公知の方法が用いられる。
従来、フルカラー方式の画像形成装置は、1つの感光体にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)から成る4色の現像装置を配置した画像形成装置であり、3〜6(ppm)のコピースピードであったが、近年では図5に見られるような1つの画像形成装置の中に、図4に示す複写システムを4系統組み込んだ4連タンデム方式の画像形成装置が多く使用されるようになっている。
図5に図示する4連タンデムの画像形成装置は、フルカラーの原稿をG(グリーン)、R(レッド)、B(ブルー)に相当する光に色分解し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色の現像剤で感光体に形成された静電潜像を現像し、中間転写ベルトに4色のトナーを重ね転写した後、被転写体(コピー用紙)に一括転写して熱定着し、ハードコピーとする。複写スピードは従来のフルカラー画像形成装置の4倍である。
フルカラーの画像形成装置では色の再現性が特に重要である。したがって、感光層の摩耗や、混色により色の再現性が低下しないように、トナーのクリーニング性の低下や、クリーニングブレードによる摩耗促進を抑制する必要がある。したがって、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗の増大に伴うブレードの振動、ブレードエッジの歪み、クリーニングブレード下へのトナーやキャリアの潜り込みは十分に阻止しなければならない。
また、高品質なカラー画像を得るためには、例えば、ステアリン酸亜鉛等の固形潤滑剤を、クリーニング手段を兼ねたブラシロールを介して供給する方法等、その他公知の方法によって感光体表面へ供給し、転写効率およびクリーニング効率を向上させる必要がある。
図4および5においては、感光体(1)は、ドラム状の形状を示しているが、シート状であってもよく、図6に示すようにエンドレスベルト状のものであってもよい。
感光体(1)には、本発明の感光体が用いられている。感光体(1)は、駆動手段(1C)により駆動され、帯電手段(2)による帯電、露光手段(3)による像露光、現像(図示せず)、転写手段(6)による転写、クリーニング前露光手段(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング手段(7)によるクリーニング、除電手段(1A)による除電が繰返し行なわれる。図6においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図6において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
これまでに説明した画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でこれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、転写手段、およびクリーニング手段のうち、少なくとも一つの手段を含んだ一つの装置(部品)である。
これらの部材を一体構成とし、画像形成装置に着雑可能なプロセスカートリッジとすることにより、これらの部材に関連した異常が生じた場合に、プロセスカートリッジを交換することにより、直ちに故障を回復させることができる。またメンテナンスを行う場合には、時間の節約ができ、コスト的に有利となる。
図7は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。感光体(1)および現像手段(4)には、上記本発明の感光体が用いられている。プロセスカートリッジの形態等には、多数のものが挙げられるが、図7に示すものは、接触帯電手段を用いた一般的な形態のプロセスカートリッジの例である。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わす。また以下に示す実施例のうち、「実施例9〜11、28〜30、39、50〜52」はいずれも“参考例”としてのものである。
(感光体作製例1)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ500部、前記多孔質粒子製造例2の多孔質ジルコニア粒子50部、下記構造式で表される電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を得た。
Figure 0005444732
導電性円筒状支持体として、直径60mm、長さ352mmの3003系アルミニウム合金からなるED管を用意した。このED管上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液、保護層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、本発明の感光体1を得た。
〔下引き層用塗工液〕
下記組成からなる混合物を、硬質ガラスポット(直径:15cm)、φ5mmアルミナボール2500gを用いて、回転数:78r,p.mにて72時間分散して下引き層用塗工液として作製し、アルミニウム支持体上に浸漬塗布した後、130℃で25分間、加熱硬化乾燥し、20μmの下引き層を形成した。
・酸化チタン 400部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(スーパーベッカミン G−821−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・前記多孔質粒子製造例5の架橋型スチレン−アクリル中空粒子 30部
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子 30部
・メチルエチルケトン 600部
〔電荷発生層用塗工液〕
硬質ガラスポット(直径:15cm)に、その容積の1/2量になるように、φ5mmのジルコニアボール4500gと、電荷発生物質、ポリビニルブチラールおよび溶剤を投入し、回転数85r.p.m.にて7日間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作製した。この塗工液を上記下引き層上に浸漬塗工し、120℃で20分間加熱乾燥して電荷発生層を形成した。
・下記構造式で表わされる電荷発生物質 36.7部
Figure 0005444732
・ポリビニルブチラール 7.34部
(エスレック BM−1、積水化学工業社製)
・シクロヘキサノン 1805部
・メチルエチルケトン 773部
なお、電荷発生層の膜厚は、655nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津製作所社製:UV−3100)にて、655nmの透過率を評価した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で25分間加熱乾燥して、30μmの電荷輸送層を形成した。
・下記構造式で表わされる電荷輸送物質(D−1) 70部
Figure 0005444732
・ビスフェノールZポリカーボネート 100部
(パンライト TS−2050、帝人化成社製)
・1%シリコーンオイルテトラヒドロフラン溶液 0.02部
(KF−50100CS、信越化学工業社製)
・テトラヒドロフラン 730部
〔保護層用塗工液〕
φ2mmジルコニアボールを用いて2時間の振動ミル分散を施し、下記組成のフィラー分散電荷輸送層用塗工液を調製した。こうして得られたフィラー分散電荷輸送層用塗工液を電荷輸送層上にスプレー塗工法によって塗工し、その後150℃で20分間乾燥して5μmのフィラー分散電荷輸送層を形成した。
・α−アルミナ粒子(平均一次粒径:0.3μm) 2部
(スミコランダム AA−03、住友化学社製)
・ポリカルボン酸化合物 0.02部
(SYK−P104:ビックケミー・ジャパン社製)
・ビスフェノールZポリカーボネート 4部
(パンライト TS−2050、帝人化成社製)
・電荷輸送物質(D−1) 3部
・シクロヘキサノン 60部
・テトラヒドロフラン 200部
作製した感光体の断面観察を行ない、マイクロスコープまたはSEMを用いて、下引き層に分散されている中空粒子および多孔質粒子が液調整や塗工の際に破壊されること無く、均一に分散されており、且つ電子輸送性化合物が均一に担持されていることを確認した。
(感光体作製例2)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例1の多孔質アルミナ粒子50部、下記構造式で表される電子輸送性化合物(A−2)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−2)を担持した多孔質アルミナ粒子を得た。
Figure 0005444732
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体2を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 500部
(TTO−5(A) 平均粒径:0.04μm、石原産業社社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(スーパーベッカミン G−821−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・前記多孔質粒子製造例5の架橋型スチレン−アクリル中空粒子 30部
・前記電子輸送性化合物(A−2)を担持した多孔質アルミナ粒子 30部
・メチルエチルケトン 680部
(感光体作製例3)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例1の多孔質アルミナ粒子50部、下記構造式で表される電子輸送性化合物(A−3)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−3)を担持した多孔質アルミナ粒子を得た。
Figure 0005444732
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体3を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 436部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 180部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 120部
(バーノック B3−867 固形分:70%、大日本インキ化学工業社製)
・前記多孔質粒子製造例5の架橋型スチレン−アクリル中空粒子 25部
・前記電子輸送性化合物(A−3)を担持した多孔質アルミナ粒子 35部
・メチルエチルケトン 650部
(感光体作製例4)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部,前記多孔質粒子製造例2の多孔質ジルコニア粒子50部と、下記構造式で表される電子輸送性化合物(A−4)0.5部、トルエン200部とを投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ジルコニア粒子を得た。
Figure 0005444732
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、10μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体4を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 210部
(ET−300W 平均粒径:0.05μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 70部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・架橋型スチレン−アクリル中空粒子 30部
(SX8782(P) 空隙率:54%、平均粒径:1.1μm、内孔径:0.9μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ジルコニア粒子 30部
・メタノール 1000部
・1−プロパノール 430部
(感光体作製例5)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例4の多孔質ポリイミド粒子50部と、電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体5を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60、固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・架橋型スチレン−アクリル中空粒子 30部
(SX866(A) 空隙率:30%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.2μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子 30部
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例6)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例4の多孔質ポリイミド粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−4)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ポリイミド粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体6を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 140部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛 70部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・架橋型スチレン−アクリル中空粒子 25部
(SX866(A) 空隙率:30%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.2μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ポリイミド粒子 40部
・メチルエチルケトン 350部
(感光体作製例7)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例7の多孔質チタニア中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質チタニア中空粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、20μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体7を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(スーパーベッカミン G−821−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質チタニア中空粒子 40部
・メチルエチルケトン 600部
(感光体作製例8)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例3の多孔質チタニア中空粒子50部と、前記電子輸送性化合物(A−1)1.0部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質チタニア中空粒子を得た。
この多孔質チタニア中空粒子を含む下引き層用塗工液を用いた以外は、感光体作製例7と同様にして感光体8を作製した。
(感光体作製例9)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例7の多孔質シリカ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質シリカ中空粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体9を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 436部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 180部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 120部
(バーノック B3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質シリカ中空粒子 25部
・メチルエチルケトン 650部
(感光体作製例10)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体10を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 600部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノック B7−887−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子 40部
・メチルエチルケトン 550部
(感光体作製例11)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)1.25部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体11を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 140部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛 70部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質チアルミナ中空粒子 40部
・メチルエチルケトン 310部
(感光体作製例12)
感光体作製例1における電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を用い、感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体12を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子 40部
・メチルエチルケトン 550部
(感光体作製例13)
感光体作製例5における電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子を用い、感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体13を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 210部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子 20部
・メチルエチルケトン 350部
(感光体作製例14)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、多孔質シリカ粒子(ゴッドボール E−2C、平均粒径:1.1μm、細孔径:15nm、鈴木油脂工業社製)50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質シリカ粒子を得た。
感光体作製例1における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、20μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体14を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(スーパーベッカミン G−821−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質シリカ粒子 30部
・メチルエチルケトン 530部
(感光体作製例15)
感光体作製例7において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例7と同様にして感光体15を作製した。
(感光体作製例16)
感光体作製例11において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例11と同様にして感光体16を作製した。
(感光体作製例17)
感光体作製例4において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例4と同様にして感光体17を作製した。
(感光体作製例18)
感光体作製例10において、下引き層の厚さを15μmから3.5μmに変更した以外は、感光体作製例10と同様にして感光体18を作製した。
(感光体作製例19)
感光体作製例10おける電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を用い、下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、3.5μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体19を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ粒子 30部
・メチルエチルケトン 413部
(感光体作製例20)
感光体作製例1おける電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を用い、下引き層用塗工液を下記組成のものに変更して1.2μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体20を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 210部
(TTO−5(A)、平均粒径:0.04μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 70部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子 30部
・メタノール 700部
・1−プロパノール 300部
(感光体作製例21)
感光体作製例12において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例12と同様にして感光体21を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL、平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 4部
・メチルエチルケトン 480部
(感光体作製例22)
感光体作製例3において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子および電子輸送性化合物(A−3)を担持した多孔質アルミナ粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例3と同様にして感光体22を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 436部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 180部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 120部
(バーノックB3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−3) 4.5部
・メチルエチルケトン 650部
(感光体作製例23)
感光体作製例19において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例19と同様にして感光体23を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 6部
・メチルエチルケトン 500部
(感光体作製例24)
感光体作製例20において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を含有しない以外は、感光体作製例20と同様にして感光体24を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 210部
(TTO−5(A)、平均粒径:0.04μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 70部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 2.1部
・メタノール 600部
・1−プロパノール 257部
(感光体作製例25)
感光体作製例6において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子(SX866(A) 空隙率:30%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.2μm、JSR社製)、および電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ポリイミド粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例6と同様にして感光体25を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 140部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛 70部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−4) 4.2部
・メチルエチルケトン 300部
(感光体作製例26)
感光体作製例4において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子(SX8782(P) 空隙率:54%、平均粒径:1.1μm、内孔径:0.9μm、JSR社製)、および電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ジルコニア粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例4と同様にして感光体26を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 50部
(ET−500W 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 50部
(ET−300W 平均粒径:0.05μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 33部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・前記電子輸送性化合物(A−4) 1部
・メタノール 800部
・1−プロパノール 343部
(感光体作製例27)
感光体作製例1において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子および電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を、中実粒子であるシリコーン樹脂粒子(トスパール120、平均粒径:2.0μm、GE東芝シリコーン社製)に変更した下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例1と同様にして感光体27を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(スーパーベッカミン G−821−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業社製)
・シリコーン樹脂粒子 30部
(トスパール120 平均粒径:2.0μm、GE東芝シリコーン社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 4部
・メチルエチルケトン 520部
(感光体作製例28)
感光体作製例3において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子および電子輸送性化合物(A−3)を担持した多孔質アルミナ粒子を、中実粒子であるシリコーン樹脂粒子(トスパール120、平均粒径:2.0μm、GE東芝シリコーン社製)に変更した下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例3と同様にして感光体28を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 436部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 180部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 120部
(バーノックB3−867 固形分:70%、大日本インキ化学工業社製)
・シリコーン樹脂粒子 44部
(トスパール120 平均粒径:2.0μm、GE東芝シリコーン社製)
・前記電子輸送性化合物(A−3) 4.4部
・メチルエチルケトン 650部
(感光体作製例29)
感光体作製例19において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例19と同様にして感光体29を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 400部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・メチルエチルケトン 413部
(感光体作製例30)
感光体作製例5において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子および電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例5と同様にして感光体30を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・メチルエチルケトン 523部
以上のように作製した感光体No.1〜30を表1に示す。
Figure 0005444732
次に現像剤の製造例を以下に示す。
(芯材粒子製造例)
マンガン及び鉄の酸化物を混合し、ボールミルを用い、水中で48時間湿式粉砕・分散した後乾燥して、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で850℃、1時間の仮焼を行なった。
湿式粉砕は、粉砕メディアとしては10mmφのジルコニアボールをボールミルポット容積の30vol%充填し、固形分を25%となるように調整した酸化物スラリーをボールミルポット容積の20vol%充填して行なった。
続いて、得られた仮焼物を、再度同様の条件で、ボールミルを用い水中で24時間湿式粉砕・分散し、マンガン鉄複合酸化物のスラリーを得た。
このスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール及び分散剤を加え、スプレードライヤーを用いて造粒・乾燥し、超音波振動篩を用いて分級し、造粒粒子を作成した。
得られた造粒粒子を、電熱式の雰囲気焼成炉にて、弱還元雰囲気下で1200℃、4時間の本焼成して、マンガンフェライト粒子を得た。
更に、得られたマンガンフェライト粒子を、超音波振動篩を用いて分級し、芯材粒子を得た。
[キャリア作製例]
シリコーン樹脂(SR2411、東レ・ダウコーニンウ・シリコーン社製)100部、アクリル樹脂50部の割合で含むトルエン希釈混合物(固形分:20wt%)に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SH 6020P 東レ・ダウコーニンウ・シリコーン社製)を2.0部添加し、さらにトルエンを150部添加してキャリア被覆層塗布液1を得た。
次に、上記芯材粒子に対して、上記キャリア被覆層塗布液1を流動床型コーティング装置を用いて、80℃の雰囲気下で、50g/minの割合で塗布した。更に、200℃で2時間加熱して、重量平均粒径:35.5μm、キャリア被覆層膜厚:0.6μmのキャリアを得た。
キャリア被覆層の膜厚の調整はコート液量により行い、膜厚の測定は、キャリアを破砕し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めた。
次に一例として、シアントナーの製造例を以下に示す。
(添加用ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧において230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行ないイソシアネート基含有プレポリマー(Mw:35000)を得た。
(ケチミン化合物の製造例)
攪拌棒および温度計のついた反応槽中に、イソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応し、ケチミン化合物を得た。
[トナー作製例]
ビーカー内に上記のプレポリマー14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーを用いて12000r.p.m.で20分攪拌した後、ビーズミルで40分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液とする。
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、この水分散液に上記トナー材料油性分散液及びケチミン化合物2.7部を加え、攪拌を続けながらウレアー反応させた。
反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50℃以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子(1)を得た。
次に、得られた母体粒子100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行ない、合計の処理時間を10分間とした。
更に、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.7部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行なった。
以上のようにして、シアントナーを得た。この顔料系着色材平均分散粒径は5μm、トナーの円形度は0.960であった。
上記のキャリアおよびトナーを用いて、トナー濃度7wt%の状態に調整した現像剤を各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)作製した。
<トナー粒径>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」;ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定した。これらの結果から(重量平均粒径(D4)/個数平均粒径(Dn))を算出した。
<平均円形度>
トナー製造例で得られたトナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度を評価した。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測することができ、具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加え、試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
以上の感光体作製1、3、4、6〜9、11、12、14〜16、18、19、21〜28、30に示される感光体を図8に示すようなプロセス用カートリッジに装着し、現像剤製造例で得たキャリアおよびトナーを用いて現像剤を調整し、反転現像方式のimagio MP C7500(露光光源:655nmの半導体レーザー)(リコー社製)の改造機に搭載し、常温常湿(23℃、55%RH)、高温高湿(30゜C/90%RH))、低温低湿(10゜C/15%RH)の環境下で、A4版、画素密度が600dpi×600dpiで画像面積率が6%となる原稿を用いて、連続5枚ずつ印刷する条件で、リコー社製TYPE6000に複写印刷する通算50万枚の耐久性試験を行った。
帯電手段は感光体に接触配置された帯電ローラを用いた。 帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−750Vとなるようなバイアスを設定し、これらの条件は試験終了に至るまで変更せずに試験を行った。尚、この装置において、除電手段は設けていない。
設定条件は次のとおりである。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.35mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.5mm
・感光体線速度:352mm/sec
・帯電電位(Vd):−750V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC−550V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
・転写電流:30μA
評価方法としては、試験開始時と試験終了時の感光体電位と画像評価を行なった。結果を以下の表2〜4に記す。
[電気特性の評価]
初期の暗部電位(VD)、露光部電位(VL)を測定した。なお、露光部電位については、図4の装置の現像部に電位計プローブを装着し、帯電、像露光後、現像部位まで移動した際の感光体表面電位を測定した。帯電電位(暗部電位:VD)を−750V、VLを−100(V)になるように初期設定を行なった。ΔVD、ΔVLは、それぞれ、初期時と50万枚通紙試験後の暗部電位、露光部電位の変化量の絶対値を表わす。
ΔVD=|(初期時における暗部電位:−750V)−(50万枚通紙後における暗部電位)|
ΔVL=|(初期時における露光部電位:−100V)−(50万枚通紙後における露光部電位)|
また、半減露光量E1/2(μJ/cm)は、感光体の帯電電位から半減させるのに要した露光エネルギーを示すものであり、E1/2の値が小さいほど感度特性が優れている。
[残像(ゴースト)画像の評価]
評価用の画像パターンとして、図8に示す残像用パターンを用意した。図8中、(701)の部分は白部、(702)の部分は黒ベタ部、(703)の部分はハーフトーン部、(704)の部分は、黒ベタ部(702)に起因する残像が出現する部分である。
・残像評価方法
残像評価用パターンを10枚出力し、10枚目を評価した。残像の評価は、X−Rite社製分光濃度計X−Rite508を用いた。出力画像において、残像が出現し得る部分(704)の濃度からハーフトーンの部分(703)の濃度を差し引いた濃度を測定し、5点の平均値ΔIDを求めた。ΔIDが0.02以上であるものは、本発明の効果が十分に得られていないと判断した。
[地肌汚れの評価]
段階見本との比較によって以下の基準で5段階に分けて判定した。
5:地肌汚れが全く観察されず、画像品質が優れていた
4:地汚れが極めて僅かに観察される
3:地肌汚れが僅かに観察されるが、実用上問題ないレベル
2:画像品質を低下させるが、実用上問題ないレベル
1:画像全面に地肌汚れが発生
[干渉縞の評価]
ハーフトーン画像を出力して干渉縞発生の度合いを目視評価した。評価は以下基準で3段階に分けて判定した。
○:全く見えない
△:極僅かに観察されるレベル
×:はっきり観察され、実使用上に問題あり
[絶縁破壊の評価]
50万枚の耐久試験を行った感光体について、絶縁破壊の有無を下記の基準で判定した。
○;電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生しなかった
×;極僅かでも、電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生
[ドット再現性評価]
上記の画像形成装置により、1ドット画像評価(独立ドットを書き込んだ画像を出力)を実施した。1ドット画像を光学顕微鏡で観察し、ドット輪郭の明確さをランク評価した。評価は以下基準で3段階に分けて判定した。
○:画像上に異常なく、鮮明な画像
△:画像上に若干のドットの乱れがみられるが実使用上問題ないレベル
×:画像上にドットの乱れが発生し、不鮮明な画像
[画像評価]
50万枚の耐久性試験終了後のフルカラー出力画像について、総合的に評価を行った。
Figure 0005444732
Figure 0005444732
Figure 0005444732
<評価結果>
表2、3、4の結果より、下引き層に多孔質粒子を含有させることによって、環境特性、静電特性、ゴースト画像(残像)に対して極めて良好な特性を示すことがわかる。
また、表4の実施例と比較例22、25との比較により、多孔質粒子を含有していない下引き層を用いた場合、成膜時における局所的な応力のためにクラックの発生が確認された。
更に、本発明の多孔質粒子と共に電子輸送性化合物を含有させることにより、あらゆる環境下において電荷保持性に優れ、繰返し使用においても残留電位が上昇することなく、且つ半減露光量の結果より、良好な感度特性を有する。
なかでも、複数の細孔を有する殻を備え、かつ中空形状を有する粒子は、干渉縞の発生を抑制できる他に、電子輸送性化合物を上層に溶出することなく下引き層中に均質に分散させることができるために、感光体中の電荷キャリアの移動が円滑に行われ、高感度感光体の高速機への搭載を可能にする。
(感光体作製例31)
導電性円筒状支持体として、直径100mm、長さ368mmの3003系アルミニウム合金からなるED管を用意した。このED管上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、感光体31を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
感光体作製例1における電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を含む、下記組成からなる混合物を、硬質ガラスポット(直径:15cm)、φ5mmアルミナボール2500gを用いて、回転数:78r.p.m.にて72時間分散して下引き層用塗工液として作製し、アルミニウム支持体上に浸漬塗布した後、130℃で25分間、加熱硬化乾燥し、20μmの下引き層を形成した。
・酸化チタン 200部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 90部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 60部
(バーノックB3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記多孔質粒子製造例5の架橋型スチレン−アクリル中空粒子 15部
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子 15部
・メチルエチルケトン 300部
〔電荷発生層用塗工液〕
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ0.5mmのジルコニアボール300g、電荷発生物質(チタニルフタロシアニン)、ポリビニルブチラールおよび溶剤を投入し、回転数1500r.p.m.にて30分間分散を行ない、電荷発生層用塗工液を作製した。この塗工液を上記下引き層上に浸漬塗工し、95℃で10分間加熱乾燥して電荷発生層を形成した。
・チタニルフタロシアニン 15部
・ポリビニルブチラール 10部
(エスレックBM−1、積水化学工業社製)
・メチルエチルケトン 280部
なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が25%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、前記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津製作所社製:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で25分間加熱乾燥して、38μmの電荷輸送層を形成した。
・前記感光体作成例1で用いた電荷輸送物質(D−1) 70部
・ビスフェノールZポリカーボネート 100部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・1%シリコーンオイルテトラヒドロフラン溶液 0.02部
(KF−50100CS、信越化学工業社製)
・テトラヒドロフラン 730部
(感光体作製例32)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例6の多孔質アクリル粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−2)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.mにて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−2)を担持した多孔質アクリル粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体32を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 400部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60、固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・架橋型スチレン−アクリル中空粒子 25部
(SX8782(P) 空隙率:54%、平均粒径:1.1μm、内孔径:0.9μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−2)を担持した多孔質アクリル粒子 40部
・メチルエチルケトン 350部
(感光体作製例33)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例4の多孔質ポリイミド粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−3)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.mにて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−3)を担持した多孔質ポリイミド粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体33を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業製)
・架橋スチレン−アクリル中空粒子 30部
(SX866(A) 中空率:30%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.2μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ポリイミド粒子 30部
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例34)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例4の多孔質ポリイミド粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−4)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.mにて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ポリイミド粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体34を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 140部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛 70部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・架橋型スチレン−アクリル中空粒子 15部
(SX866(A) 中空率:30%、平均粒径:0.3μm、内孔径:0.2μm、JSR社製)
・前記電子輸送性化合物(A−4)を担持した多孔質ポリイミド粒子 10部
・メチルエチルケトン 350部
(感光体作製例35)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.5部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、20μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体35を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 200部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 90部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 60部
(バーノックB3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子 15部
・メチルエチルケトン 300部
(感光体作製例36)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)0.75部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.mにて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、20μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体36を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 400部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子 40部
・メチルエチルケトン 450部
(感光体作製例37)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)1部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.mにて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体37を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子 41部
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例38)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例8の多孔質アルミナ中空粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)1.25部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、25μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体38を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 140部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛 70部
(MZ−305S 平均粒径:0.07μm、テイカ社製)
・アルキッド樹脂 81.7部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45.4部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子 21部
・メチルエチルケトン 250部
(感光体作製例39)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例1の多孔質アルミナ粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)1.25部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、15μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体39を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 122.5部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 68部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ粒子 30部
・メチルエチルケトン 500部
(感光体作製例40)
硬質ガラスポット(直径:9cm、300ml)に、その容積の1/2量になるように、φ1mmのジルコニアビーズ550部、前記多孔質粒子製造例6の多孔質アクリル粒子50部、前記電子輸送性化合物(A−1)1.25部、トルエン200部を投入し、回転数:50r.p.m.にて3時間の分散を行って、分散液を得た。次いで、この液を濾過した後、140℃の条件で減圧乾燥を行って、内表面に電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アクリル粒子を得た。
感光体作製例31における下引き層用塗工液を下記組成のものに変更し、10μmの下引き層を形成した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体39を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 50部
(ET−500W 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 50部
(ET−300W 平均粒径:0.05μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 33部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アクリル粒子 30部
・メタノール 800部
・1−プロパノール 343部
(感光体作製例41)
感光体作製例35において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例35と同様にして感光体41を作製した。
(感光体作製例42)
感光体作製例39において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例39と同様にして感光体42を作製した。
(感光体作製例43)
感光体作製例32において、電子輸送性化合物を含有しない以外は、感光体作製例32と同様にして感光体43を作製した。
(感光体作製例44)
感光体作製例37において、引き層の厚さを15μmから3.5μmに変更した以外は、感光体作製例37と同様にして感光体44を作製した。
(感光体作製例45)
感光体作製例40において、引き層の厚さを10μmから1.2μmに変更した以外は、感光体作製例40と同様にして感光体45を作製した。
(感光体作製例46)
感光体作製例34において、引き層の厚さを25μmから3.5μmに変更した以外は、感光体作製例34と同様にして感光体46を作製した。
(感光体作製例47)
感光体作製例37において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例37と同様にして感光体47を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 8.2部
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例48)
感光体作製例44において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例44と同様にして感光体48を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50、固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 4部
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例49)
感光体作製例36において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例36と同様にして感光体49を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 400部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 6部
・メチルエチルケトン 450部
(感光体作製例50)
感光体作製例35において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例35と同様にして感光体50を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 200部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 90部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 60部
(バーノックB3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 2部
・メチルエチルケトン 300部
(感光体作製例51)
感光体作製例40において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アクリル粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例40と同様にして感光体51を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 50部
(ET−500W 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 50部
(ET−300W 平均粒径:0.05μm、石原産業社製)
・ポリアミド樹脂 33部
(AMILAN CM8000、東レ社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 1部
・メタノール 800部
・1−プロパノール 343部
(感光体作製例52)
感光体作製例31において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子および電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質ジルコニア粒子を、中実粒子であるシリコーン樹脂粒子(トスパール120 平均粒径:2.0μm、GE東芝シリコーン社製)に変更した下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例31と同様にして感光体52を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 200部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 90部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・ブロックイソシアネート樹脂 60部
(バーノックB3−867 固形分:70%、 大日本インキ化学工業社製)
・シリコーン樹脂粒子 15部
(トスパール120 平均粒径:2.0μm GE東芝シリコーン社製)
・前記電子輸送性化合物(A−1) 2部
・メチルエチルケトン 300部
(感光体作製例53)
感光体作製例32において、架橋型スチレン−アクリル中空粒子(SX8782(P) 中空率:54%、平均粒径:1.1μm、内孔径:0.9μm、JSR社製)および電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アクリル粒子を、中実粒子であるシリコーン樹脂粒子(トスパール120 平均粒径:2.0μm GE東芝シリコーン社製)に変更した下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例32と同様にして感光体53を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 400部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・シリコーン樹脂粒子 40部
(トスパール120 平均粒径:2.0μm GE東芝シリコーン社製)
・前記電子輸送性化合物(A−2) 12部
・メチルエチルケトン 350部
(感光体作製例54)
感光体作製例44において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例44と同様にして感光体54を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化チタン 292部
(CR−EL 平均粒径:0.25μm、石原産業社製)
・酸化チタン 117部
(PT−401M 平均粒径:0.07μm、石原産業社製)
・アルキッド樹脂 82部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 45部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、大日本インキ化学工業製)
・メチルエチルケトン 523部
(感光体作製例55)
感光体作製例36において、電子輸送性化合物(A−1)を担持した多孔質アルミナ中空粒子を含有しない下記組成の下引き層用塗工液に変更した以外は、感光体作製例36と同様にして感光体55を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・酸化亜鉛 400部
(Zincox Super F−1 平均粒径:0.1μm、ハクスイテック社製)
・アルキッド樹脂 120部
(ベッコライト M6401−50 固形分:50%、大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 66.7部
(バーノックB7−887−60 固形分:60%、 大日本インキ化学工業社製)
・メチルエチルケトン 400部
以上のように感光体作製例31〜55で得られた感光体No.31〜55を表5に示す。
Figure 0005444732
上記の感光体No.31〜55を図8に示すようなプロセス用カートリッジに装着し、現像剤製造例で得たキャリアおよびトナーを用いて現像剤を調整し、反転現像方式のimagio MP 1100(露光光源:780nmの半導体レーザー)(リコー社製)に搭載し、常温常湿(23℃、55%RH)、高温高湿(30゜C/90%RH))、低温低湿(10゜C/15%RH)の環境下で、A4版、画素密度が600dpi×600dpiで画像面積率が6%となる原稿を用いて、連続5枚ずつ印刷する条件で、リコー社製TYPE6000に複写印刷する通算150万枚の耐久性試験を行った。
評価方法としては、試験開始時と試験終了時の感光体電位の変化量、試験経時での残像画像、耐久性試験後の出力画像を総合的に評価した。結果を表6に示す。なお、前述した基準に基づいて試験開始時と試験終了時の感光体電位、残像の評価も併せて行ない、更に試験終了時の画像評価を総合的に行なった。この結果も表6に示す。
帯電手段は感光体に近接配置された帯電ローラを用いた。
帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.5kV、周波数0.9kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−750Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。
条件は次のとおりである。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.35mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.5mm
・感光体線速度:200mm/sec
・帯電電位(Vd):−750V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC−500V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
・転写電流:120μA
Figure 0005444732
<評価結果>
表2、3、4と表6との比較により、電荷発生物質が異なる高感度感光体においても、下引き層に多孔質粒子を含有させることによって、環境特性、静電特性、ゴースト画像(残像)に対して極めて良好な特性を示すことがわかる。
更に、実施例44と比較例25との比較より、複数の細孔を有する殻を備え、且つ中空形状を有する粒子は、より効果的に光散乱性等の機能を向上させ、干渉縞の発生を抑制できる。
また、実施例49と実施例54、および実施例43と実施例55との比較より、本発明の多孔質粒子を含有する下引き層の膜厚が10μm以上40μm以下の範囲において、絶縁破壊に起因する画像欠陥を引起すことなく、繰返し使用において特に良好な特性を維持できる。
また、実施例41と比較例28より、多孔質粒子の代わりに中実粒子を含有した感光体では、電子輸送性化合物の添加量を増加させた場合でも、粒子へ電子輸送性化合物を担持させることができずに下引き層中への偏析や、上層への溶出を引起すために電気特性の劣化は著しい。
したがって、下引き層に電子輸送性化合物を担持し得る多孔質粒子を含有する本発明の構成により、電位安定性が高く、高感度設計の場合にも残像(ゴースト)の発生しない、画像形成装置用感光体として極めて良好な特性を示すことがわかる。
1 電子写真感光体
2 帯電手段
3 露光手段
4 現像手段
5 転写手段
6 分離手段
7 クリーニング手段
7−1 クリーニングブレード
8 定着手段
9 受像媒体
21 導電性支持体
22 下引き層
23 電荷発生層
24 電荷輸送層
25 感光層
26 保護層
1A 除電手段
1B クリーニング前露光手段
1C 駆動手段
特開昭63−167372号公報 特開平02−189559号公報 特開平03−73962号公報 特開2006−30697号公報 特開2006−30700号公報 特開2008−8921号公報 特開昭60−07363号公報 特開平1−312553号公報 特開2008−256843号公報 特開2004−233563号公報

Claims (14)

  1. 導電性支持体上に、下引き層および感光層を順次積層してなる電子写真感光体であって、該下引き層が内表面に電子輸送性化合物を坦持した多孔質粒子と、金属酸化物粒子と、結着樹脂とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記多孔質粒子が、複数の細孔を有する殻を備えた多孔質中空粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記多孔質粒子が、チタン、ケイ素、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む無機多孔質粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記多孔質粒子が、架橋樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 前記電子輸送性化合物が、下記構造式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)で表される電子輸送性化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
    Figure 0005444732
  6. 前記金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、および酸化インジウムからなる群より選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記下引き層が、平均粒径の異なる2種以上の金属酸化物粒子を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記結着樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記下引き層の膜厚が10μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記下引き層が、直径10mm以上200mm以下の導電性円筒状支持体上に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 少なくとも請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記帯電手段が、接触または近接配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 画像形成装置本体に着脱自在に装着し得るプロセスカートリッジであって、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段の中から選ばれた少なくとも1つの手段とをカートリッジ容器に組み込んで構成したものであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  14. 前記帯電手段が、接触または近接配置された帯電部材により帯電を行なう帯電手段であることを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
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