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JP2012027257A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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JP2012027257A JP2010166103A JP2010166103A JP2012027257A JP 2012027257 A JP2012027257 A JP 2012027257A JP 2010166103 A JP2010166103 A JP 2010166103A JP 2010166103 A JP2010166103 A JP 2010166103A JP 2012027257 A JP2012027257 A JP 2012027257A
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Abstract

【課題】長期間の繰り返し使用に対しても、異常画像を発生しない、機械的および電気的に優れた耐久性を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、および表面保護層がこの順で形成されてなり、前記表面保護層が重量比55:45〜80:20のシリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分およびバインダ樹脂を含有し、かつ前記粒子成分の重量が前記表面保護層の1〜10重量%であることを特徴とする電子写真感光体により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる、優れた耐久性を有する電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている電子写真方式の画像形成装置(「電子写真装置」ともいう)では、次のような電子写真プロセスを経て画像が形成される。
まず、画像形成装置に備わる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)の感光層を、帯電手段の帯電器により所定の電位に一様に帯電させ、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザ光などの光により感光体を露光して静電潜像を形成する。
次いで、形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された粒子を付着させて静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。
次いで、形成されたトナー画像を、転写手段により感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し、さらに定着手段により定着させて、画像情報の画像を形成する。
上記の転写プロセスでは、感光体表面のトナーは、そのすべてが記録紙上に転写されず、その一部が感光体表面に残留し、また転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。
このような感光体表面の残留トナーおよび付着紙粉などの異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。
電子写真プロセスに用いられる感光体は、導電性基体(「導電性支持体」ともいう)上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されてなり、従来から無機系光導電性材料を用いた感光体(「無機系感光体」ともいう)が用いられてきた。
しかし、無機系感光体は多くの欠点を有することから、感光体に用いられる光導電性材料の開発が進み、従来から用いられている無機系光導電性材料に代えて、有機系光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor:OPC)が多用されるようになっている。
有機系光導電性材料を用いた感光体(「有機系感光体」ともいう)は、感度、耐久性および環境に対する安定性などに若干の問題を有するが、毒性、製造原価および材料設計の自由度などの点において、無機系感光体に比べて多くの利点を有する。
また、有機系感光体は、感光層を浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成することが可能であるという利点も有する。
近年の研究開発により有機系感光体の感度および耐久性はさらに向上し、現在では特別な場合を除いて、有機系感光体が用いられている。
有機系感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。
機能分離型感光体は、有機系感光体の有する前記の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
機能分離型感光体は、結着剤である結着樹脂(「バインダ樹脂」ともいう)中に電荷発生機能を担う電荷発生物質が分散された電荷発生層と結着樹脂中に電荷輸送機能を担う電荷輸送物質が分散された電荷輸送層とが積層された積層型感光層を備えた積層型感光体と、結着樹脂中に電荷発生物質と電荷輸送物質とが分散された単層型の感光層を備えた単層型感光体とに大別される。
画像形成装置では、感光体に対して、前記の帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電の動作が種々の環境下で繰返し実行されるので、感光体は、感度が高いことおよび光応答性に優れることに加えて、環境安定性、電気的安定性および機械的外力に対する耐久性(耐刷性)に優れることが要求される。具体的には、感光体の表面層が、クリーニング部材、トナー、キャリアなどによる摺擦により磨耗し難いことが要求される。
近年、モノクロ機からカラー機への転換が進む中で、用いられるトナーもそれに応じて変化してきている。例えば、カラートナーでは色の鮮やかさが重視され、溶融し易い低融点の樹脂が用いられる傾向にある。
また、高画質化が進む中で、トナーは不定形のものから、乳化重合法や懸濁重合法などで製造される球形トナーが用いられる傾向にある。
感光体表面の残留トナーは、一般にゴム製などのクリーニングブレードを感光体のカウンター方向に当接させて除去されるが、球形トナーは、クリーニングブレードと感光体との当接部に潜り込み、すり抜けるために、クリーニング不良となる場合が多い。
特に、高速複写機では熱が奪われ易く、定着オフセットが重大な問題点に挙げられ、これを解決するためにトナーのガラス転移点(Tg)を下げる傾向があり、それに伴いトナーの感光体ドラムへの融着(フィルミング)が早期に発生し易くなる。
上記の問題を解決する1つの手段として、感光体ドラムに対するクリーニング部材であるブレードの当接圧を高める方法がとられるが、当接圧の上昇によりブレードの摩耗、ブレードの反転めくれなどが発生し易くなり、ドラムの傷や削れ量が増大し、ブレード自体の寿命を低下させてしまう。
また、感光体ドラムの表面層を硬化させる方法(伊丹明彦、外3名,「超高耐久感光体(メガOPC)の開発」,Konica Technical Report,コニカミノルタホールディングス株式会社,2001年,第14巻,第43−46頁:非特許文献1)、潤滑剤を添加して摩擦係数を低減する方法などが提案されている。
潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有樹脂(「フッ素樹脂粒子」ともいう)(例えば、特開2002−196516号公報:特許文献1および特開2003−241408号公報:特許文献2)、球状のアクリル樹脂などの粉末、シリカ粒子(例えば、特開2008−165156号公報:特許文献3)やアルミナ粒子(納所伸二、外5名,「保護層積層型高耐久OPCの開発」,Ricoh Technical Report,株式会社リコー,2005年,第31巻,第32−38頁:非特許文献2)などの金属酸化物粉末などが知られている。特にフッ素原子を多量に含むフッ素樹脂粒子は、表面エネルギーが著しく小さいので潤滑材としての効果が大きい。このようなフッ素樹脂粒子は、結晶性の粒子として用いられ、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの結着樹脂に分散させた後に、感光体の表面層や保護層として成膜される。
フッ素樹脂粒子の添加量が少ないと、初期の感光体表面の摩擦係数は低減できても、繰り返し画像を出力すると徐々に摩擦係数が上昇するので、低摩擦係数を持続させるために、フッ素樹脂粒子の添加量を増加させる必要がある。しかしながら、フッ素樹脂粒子は、樹脂溶液中の凝集傾向が強いために、均一な分散が困難になるという問題がある。
そこで、フッ素樹脂粒子の分散性を向上させるために、別途分散剤を添加する方法が提案されている。
一方、フッ素樹脂粒子の添加量が多いと、バインダ樹脂との密着性が低いために、クリーニングブレードの当接圧を高くした場合に、表面層からフッ素樹脂粒子が脱落して塗布膜欠陥となるという問題がある。
シリカ粒子は、フッ素樹脂粒子のような分散不良や密着性の問題はないが、親水性が高いために、水分が吸着して感光体の表面抵抗が低下し、画像流れを引き起こし易いという問題がある。
また、フッ素樹脂粒子とシリカ粒子とを混合添加する方法も提案されている(例えば、特開平8−286408号公報:特許文献4、特開2005−43623号公報:特許文献5、特開平4−346358号公報:特許文献6および特開平11−202524号公報:特許文献7)が、十分な特性が得られていないのが現状である。
近年、全く異なる技術分野であるが、エアコンなどの熱交換器の表面コーティング組成物としてシリカ粒子とフッ素樹脂粒子を含む塗布膜が汚れ付着防止に効果を有するという技術が提案されている(例えば、特開2009−229040号公報:特許文献8および特開2009−235338号公報:特許文献9)。
しかしながら、熱交換器などは、感光体のように常にクリーニングブレードと接触し、キャリアやトナー、紙と擦れ合うという過酷な条件ではなく、常に水分に曝される使用条件であり、この技術をそのまま感光体に適合させることは困難である。
特開2002−196516号公報 特開2003−241408号公報 特開2008−165156号公報 特開平8−286408号公報 特開2005−43623号公報 特開平4−346358号公報 特開平11−202524号公報 特開2009−229040号公報 特開2009−235338号公報
伊丹明彦、外3名,「超高耐久感光体(メガOPC)の開発」,Konica Technical Report,コニカミノルタホールディングス株式会社,2001年,第14巻,第43−46頁 納所伸二、外5名,「保護層積層型高耐久OPCの開発」,Ricoh Technical Report,株式会社リコー,2005年,第31巻,第32−38頁
本発明は、長期間の繰り返し使用に対しても、異常画像を発生しない、機械的および電気的に優れた耐久性を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の諸問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、「特定の粒子」、つまり親水性のシリカ粒子と疎水性のフッ素樹脂粒子を「特定比率」で「特定量」配合した保護層を感光体に設けることにより、シリカ粒子でトナー外添剤などのフィルミングを防止し、疎水性のフッ素樹脂粒子で紙紛やホコリの付着を防止できることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、および表面保護層がこの順で形成されてなり、前記表面保護層が重量比55:45〜80:20のシリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分およびバインダ樹脂を含有し、かつ前記粒子成分の重量が前記表面保護層の1〜10重量%であることを特徴とする感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒材上に定着して画像を形成する定着手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、長期間の繰り返し使用に対しても、異常画像を発生しない、機械的および電気的に優れた耐久性を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。すなわち、本発明の構成を用いることにより、初期から耐久後を通じて全環境下においてクリーニング不良や画像乱れ等のない優れた耐刷性を有し、長期の使用にわたっても電気的安定性を保持し、画像上の劣化等が発生しない、安定した感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比が55:45〜65:35であり、かつ粒子成分の重量が表面保護層の5〜10重量%であることにより、シリカ粒子が0.05〜1.0μmの平均粒径を有し、かつフッ素樹脂粒子が0.1〜10μmの平均粒径を有することにより、上記の優れた効果がさらに発揮される。
また、シリカ粒子が無機物および/または有機物、特にシランカップリング剤または高級脂肪酸で表面処理された粒子であることにより、フッ素樹脂粒子がポリテトラフルオロエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフルオロアルキルビニルエーテル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフルオロジクロロエチレン、ポリジフルオロジクロロエチレン、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂またはこれらの共重合体から形成された粒子であることにより、上記の優れた効果がさらに発揮される。
表面保護層が1〜5μmの膜厚を有することにより、表面保護層が単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と同一または異なる電荷輸送物質をさらに含有することにより、上記の優れた効果がさらに発揮される。
また、導電性支持体と単層型感光層または積層型感光層との間に中間層を有することにより、単層型感光層または積層型感光層の電荷輸送層が、5〜30μmの膜厚を有することにより、上記の優れた効果がさらに発揮される。
さらに、本発明によれば、本発明の感光体および現像手段が、画像形成装置に対して着脱自在のプロセスカートリッジ構造を有する画像形成装置を提供することができる。
本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である(実施の形態1)。 本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である(実施の形態2)。 本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である(実施の形態3)。 本発明の画像形成装置の要部の構成を示す模式側面図である(実施の形態4)。
本発明の感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、および表面保護層がこの順で形成されてなり、前記表面保護層が重量比55:45〜80:20のシリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分およびバインダ樹脂を含有し、かつ前記粒子成分の重量が前記表面保護層の1〜10重量%であることを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施し得る。
まず、本発明の感光体の特徴である表面保護層について説明し、それを含む感光体の形態について説明する。
(表面保護層)
本発明の感光体は、その最外層(受光面側)に表面保護層を有し、その表面保護層が重量比55:45〜80:20のシリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分(「フィラー」ともいう)およびバインダ樹脂を含有し、かつ粒子成分の重量が表面保護層の1〜10重量%であることを特徴とする。
すなわち、本発明の感光体の表面保護層に含有する粒子成分は、親水性と疎水性のバランスが重要であり、シリカ粒子の露出面積(表面積)がフッ素樹脂粒子の露出面積よりも大きいことが好ましく、各粒子の表面状態、粒径などにより、それらの重量比および含有量を設定すればよい。
粒子成分、特にシリカ粒子は、分散性の向上、撥水性などの表面性改質などを目的として、無機物および/または有機物で表面処理された粒子であるのが好ましい。
無機物で表面処理された粒子としては、公知の方法により、アルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカなどの無機物で表面処理された粒子が挙げられる。
有機物で表面処理された粒子としては、公知の方法により、シランカップリング剤、フッ素系シランカップリング剤、高級脂肪酸などの有機物で表面処理された粒子が挙げられる。特に、ジメチルジクロロシラン処理されたシリカ粒子は、分散性の点で好ましい。
シリカ粒子としては、親水性を残しつつ一部を置換した疎水性シリカが特に好ましい。
フッ素樹脂粒子を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂:PTFE)、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデン樹脂)、ポリフッ化ビニル(フッ化ビニル樹脂)、ポリフルオロアルキルビニルエーテル、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化塩化エチレン樹脂)、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフルオロジクロロエチレン(フッ化二塩化エチレン樹脂)、ポリジフルオロジクロロエチレン、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂およびこれらの共重合体が挙げられ、これらの中でも、トナーのフィルミング防止性の点でポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂が特に好ましい。
粒子成分の平均一次粒径(「平均粒径」ともいう)は、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子とで異なるが、表面保護層の光透過性および耐摩耗性の観点から0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。
平均一次粒径が0.05μm未満であると、表面保護層の耐摩耗性が充分に得られず、感光体の寿命が短くなるおそれがある。一方、平均一次粒径が1.0μmを超えると、露光時に照射される光が表面保護層で散乱され易くなり、解像度が低下するおそれがある。
シリカ粒子の平均一次粒径は、大き過ぎると摩擦係数が上昇し、光の透過率が小さくなることがあり、逆に小さ過ぎると耐摩耗性が悪くなることがあるので、0.05〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
フッ素樹脂粒子の一次粒径はおよび二次粒子は大き過ぎても小さ過ぎても好ましくなく、一次粒径は0.1〜10μm、好ましくは0.05〜2.0μmが使用可能であり、必要に応じて後述の分散処理によって粒径調整も可能である。
フッ素樹脂粒子は、少なくとも有機溶剤と共に、アトライター、サンドミル、振動ミル、超音波などの公知の方法を用いて分散処理することができる。これらの中でも、外界からの不純物の混入が少ないボールミルおよび振動ミルによる分散処理が分散性の点からより好ましい。使用されるメディアの材質としては、公知のジルコニア、アルミナ、メノウなどのすべてのメディアが挙げられるが、フッ素樹脂粒子の分散性への効果の点からジルコニアが特に好ましい。場合によっては、これらの分散方法を組み合わせることで分散性がさらに高まることがある。
シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との比率は、親水性と疎水性のバランスが重要であると共に、シリカ粒子が少ないと耐摩耗性を向上せず、シリカ粒子が多すぎると低摩擦係数を維持できなくなる。すなわち、シリカ粒子の露出面積がフッ素樹脂粒子の露出面積よりも大きいのが好ましく、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比(シリカ粒子:フッ素樹脂粒子)は、55:45〜80:20が好ましく、55:45〜65:35が特に好ましい。
粒子成分の重量は、表面保護層の1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
バインダ樹脂は、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用できる。特に、膜強度の観点から、ポリカーボネートを主成分とする樹脂が好ましい。
ポリカーボネート以外の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂およびこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
表面保護層は、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分およびバインダ樹脂を有機溶剤に分散させて表面保護層用塗布液を調製し、これを感光体の最外層である単層型感光層上または積層型感光層の電荷輸送層上に、公知の方法で塗布することにより形成することができる。
有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。
表面保護層は、層内の電荷の移動を補助する目的で、後述する電荷輸送物質と同一または異なる電荷輸送物質をさらに含有していてもよい。
その含有量は、表面保護層の10〜50重量%程度である。
また、表面保護層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、安定性向上のために酸化防止剤、分散性の向上のために界面活性剤、光安定剤および可塑剤などをさらに含有していてもよい。これらの添加剤については後述する。
表面保護層用塗布液には、フッ素樹脂粒子の分散性を制御する目的で分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、フッ素系の界面活性剤、グラフトポリマー、ブロックポリマーおよびカップリング剤などが挙げられる。
その添加量は、フッ素樹脂粒子に対して1〜10重量%程度である。
塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法などが挙げられるが、表面保護層用塗布液の保存中に粒子同士の凝集が徐々に進行するため、大量に保管する必要がある浸漬塗布法よりも、少量で塗布が可能なスプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法が特に好ましい。
自然乾燥により塗膜中の溶剤を除去してもよいが、加熱により強制的に塗膜中の溶剤を除去してもよい。
加熱温度は、塗膜を構成する材料や溶剤、膜厚などにより適宜設定すればよく、通常50〜140℃が好ましく、80〜130℃が特に好ましい。この加熱温度は、後述する電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光層の形成においても共通する。
加熱温度約50℃未満では乾燥時間が長くなり、また加熱温度が140℃を超えると、繰返し使用時の電気的特性が悪くなり、感光体を使用して得られる画像が劣化するおそれがある。
表面保護層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは1〜5μmである。
表面保護層の膜厚が1μm未満では、所望の耐刷性(耐摩耗性)の向上が図れないことがある。一方、表面保護層の膜厚が20μmを超えると、表面保護層中の電荷輸送速度が遅くなり、これが律速段階となり感光体の感度が低下するおそれがある。
〔実施の形態1:積層型感光体〕
図1は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図であり、この感光体1は、導電性支持体11上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13と、表面保護層16とがこの順で積層された積層型感光体である。
電荷発生層12と電荷輸送層13とを合わせて感光層(積層型感光層)14という。
電荷発生層12と電荷輸送層13とは、導電性支持体11に対して逆順に積層されていてもよいが、図1の積層順が好ましい。
(導電性支持体(導電性基体)11)
導電性支持体は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、セルロース、ポリ乳酸などの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、カーボンブラックなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の形状としては、シート状、円筒状、円柱状、無端ベルト(シームレスベルト)状などが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザ光と感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
(電荷発生層12)
電荷発生層は、光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質を主成分とし、結着樹脂および必要に応じて公知の添加剤を含有する。ここで、主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。
電荷発生物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機光導電性材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
これらの電荷発生物質の中でも、下記一般式:
Figure 2012027257
(式中、X1、X2、X3およびX4は、同一または異なって、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、r、s、yおよびzは、同一または異なって0〜4の整数である)
で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、高い電荷発生効率と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質であり、光を吸収することにより多量の電荷を発生すると共に、発生した電荷をその内部に蓄積することなく、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質に効率よく注入し、感光層表面に円滑に輸送することができるので、特に好ましい。
上記一般式で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、例えばMoser, Frank HおよびArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法などの公知の製造方法によって製造することができる。
例えば、上記一般式で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物のうち、r、s、yおよびzが0であり、X1、X2、X3およびX4がすべて水素原子である無置換のオキソチタニウムフタロシアニンの場合は、o−フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα−クロロナフタレンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することによって得られる。
また、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造することができる。
結着樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用でき、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。
共重合体樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)〜100分の99(99/100)以下であることが好ましい。
比率W1/W2が10/100未満では、感光体の感度が低下することがある。
また、比率W1/W2が99/100を超えると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。
電荷発生層は、本発明の効果が阻害されない範囲で、増感染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤(表面改質剤)、可塑剤などの公知の添加剤を含んでいてもよい。
本発明において用いられる電荷発生物質は、他の増感染料と併用してもよい。
増感染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料;エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料;メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料;カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料;シアニン染料;スチリル染料;ピリリウム塩染料;チオピリリウム塩染料などが挙げられる。
増感染料は、電荷発生物質100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.5〜2.0重量部の割合で用いられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物、アミン系化合物などが挙げられ、これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体およびこれらの混合物が好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などが挙げられる。
レベリング剤および可塑剤は、成膜性、可撓性または表面平滑性を向上させる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイルのようなシリコーン系レベリング剤、フッ素樹脂系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ベンゾフェノン、o−ターフェニル、二塩基酸エステル(例えば、フタル酸エステル)、脂肪酸エステル、リン酸エステル、各種フルオロ炭化水素、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤等などが挙げられる。
また、電荷発生層は、感光体の感度の向上を図り、繰り返し使用による残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、電子受容物質および色素などの増感剤を1種または2種以上含んでいてもよい。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、ならびにジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料およびそれらを高分子化したものが挙げられる。
色素としては、例えば、キサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料および銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物が挙げられる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
電荷発生層は、公知の乾式法および湿式法により形成することができるが、後者が好ましい。
乾式法としては、例えば、電荷発生材料を導電性支持体の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質、結着樹脂および公知の添加剤を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上または後述する中間層を設ける場合には中間層上に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、テトラクロロプロパン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;アセトン、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤;ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
結着樹脂溶液中に電荷発生物質を分散される前に、予め粉砕機によって電荷発生物質を粉砕処理に付してもよい。
粉砕処理は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
結着樹脂溶液中への電荷発生物質の分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択するのが好ましい。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択すればよい。
これらの塗布方法の中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れている。したがって、浸漬塗布法は、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは0.05〜5μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下するおそれがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり感光体の感度が低下するおそれがある。
(電荷輸送層13)
電荷輸送層は、電荷発生層上に設けられ、電荷発生層に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質を主成分とし、結着樹脂および必要に応じて公知の添加剤を含有する。ここで、主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。
電荷輸送物質としては、当該技術分野で用いられるホール輸送物質および電子輸送物質を用いることができる。
ホール輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体およびベンジジン誘導体、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなど、およびポリシランなどが挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、キサントン誘導体、フェナントラキノン誘導体、無水フタル酸誘導体、ジフェノキノン誘導体などの有機化合物が挙げられる。
これらの電荷輸送物質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂としては、特に限定されず、当該分野で公知の樹脂をいずれも使用できる。特に、膜強度の観点から、ポリカーボネートを主成分とする樹脂が好ましい。
ポリカーボネート以外の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびこれらを構成する繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂およびこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電荷輸送物質の重量W3と結着樹脂の重量W4との比率W3/W4は、100分の30(30/100)以上100分の200(200/100)以下であることが好ましい。
比率W3/W4が200/100を超えると、膜強度が著しく低下し、画像欠陥が生じることがある。
また、比率W3/W4が30/100未満では、塗布液の粘度が増大して塗布速度が低下し、生産性が著しく悪くなるおそれがある。
電荷輸送層は、本発明の効果が阻害されない範囲で、電荷発生層の添加剤として例示した公知の添加剤を含んでいてもよい。
例えば、酸化防止剤の含有量は、電荷輸送物質100重量部当たり0.1〜50重量部であるのが好ましい。
酸化防止剤の含有量が0.1重量部未満では、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができないことがある。一方、酸化防止剤の含有量が50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
電荷輸送層13は、電荷発生層12と同様に、例えば適当な溶媒中に、電荷輸送物質、結着樹脂および公知の添加剤を有機溶剤に溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗布液を電荷発生層上に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することにより形成することができる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前記の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶媒をさらに加えて使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層は特に限定されないが、好ましくは5〜40μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
電荷輸送層の膜厚が5μm未満では、帯電保持能が低下することがある。一方、電荷輸送層の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下することがある。
〔実施の形態2:中間層付き積層型感光体〕
図2は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図であり、この感光体2は、導電性基体11上に、中間層15と、電荷発生物質を含有する電荷発生層12と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とがこの順で積層された感光層(積層型感光層)14と、表面保護層16とがこの順で積層されてなり、中間層以外は図1と同様である。
このように本発明の感光体は、前記導電性支持体と前記単層型感光層または前記積層型感光層との間に中間層を有するのが好ましい。
(中間層(下引き層)15)
下引き層は、導電性支持体から感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、導電性支持体の表面を被覆する下引き層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、感光層の成膜性を高め、導電性支持体と感光層との密着性(接着性)を向上させることができる。
したがって、下引き層を有することにより、さらに優れた本発明の効果を得ることができる。
下引き層は、例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
樹脂材料としては、電荷発生層に含まれるものと同様のバインダ樹脂、すなわちポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などに加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチルセルロースなどの天然高分子材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、アルコール可溶性ナイロン樹脂が特に好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた共重合ナイロン;N−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などが挙げられる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、水、各種有機溶剤およびこれらの混合溶剤が挙げられる。例えば、水、メタノール、エタノールおよびブタノールなどの単独溶剤、ならびに水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムおよびトリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類などの混合溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
また、下引き層用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節でき、積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられ、その平均粒子径は0.02〜0.5μmの範囲であることが好ましい。
下引き層用塗布液における樹脂材料と金属酸化物粒子との合計含有量をE、溶剤の含有量をFとするとき、両者の重量比率(E/F)は、1/99〜40/60が好ましく、2/98〜30/70が特に好ましい。
また、樹脂材料の含有量をG、金属酸化物粒子の含有量をHとするとき、両者の重量比率(G/H)は、1/99〜90/10が好ましく、5/95〜70/30が特に好ましい。
下引き層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは0.01〜20μmであり、より好ましくは0.05〜10μmである。
下引き層の膜厚が0.01μm未満では、下引き層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止することができなくなるおそれがあり、下引き層の膜厚が20μmを超えると、均一な下引き層を形成し難く、また感光体の感度も低下するおそれがある。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、下引き層とすることができる。
〔実施の形態3:単層型感光体〕
図3は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図であり、この感光体3は、導電性支持体11上に、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する感光層(単層型感光層)14’と、表面保護層16とがこの順で積層されてなり、感光層(単層型感光層)以外は図1と同様である。
単層型感光層は、上記のような電荷発生物質と電荷輸送物質と結着樹脂とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質および必要に応じて他の添加剤を適当な有機溶剤に溶解および/または分散して単層型感光層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体上に形成された下引き層の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することによって形成できる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
単層型感光層の膜厚は特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、15〜40μmが特に好ましい。
単層型感光層の膜厚が5μm未満では、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがある。また、単層型感光層の膜厚が50μmを超えると、生産性が低下するおそれがある。
〔実施の形態4:画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録媒材上に定着して画像を形成する定着手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置の構成およびその画像形成動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図4は、本発明の画像形成装置の要部の構成を示す模式側面図である。
画像形成装置であるレーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45およびクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。なお、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34およびミラー35は、露光手段49を構成する。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前記のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
上記のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42よびクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
また、コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。したがって、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される、記録媒体である転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、さらに回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナーおよび紙粉などの異物がクリーナ46のクリーニングブレードまたはブラシクリーナによって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電ランプによって除電された後、さらに回転され、前記の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
また、本発明によれば、感光体および現像手段が、画像形成装置に対して着脱自在のプロセスカートリッジ構造を有する画像形成装置が提供される。このような画像形成装置は、装置のメンテナンスが容易になり好ましい。
以下に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により、本発明が限定されるものではない。
実施例および比較例では次の各成分を使用した。以下の説明ではこれらの各成分を商品名で記載する。
〔酸化チタン〕
商品名:TTO−MI−1、石原産業株式会社製
Al23およびZrO2で表面処理された樹枝状ルチル型酸化チタン(チタン成分85%)
〔アルコール可溶性ナイロン樹脂〕
商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製
〔ブチラール樹脂〕
商品名:エスレック(S-LEC)BM−2、積水化学工業株式会社製
〔ポリカーボネート樹脂〕
商品名:Z−400、三菱瓦斯化学株式会社製
商品名:Z−800、三菱瓦斯化学株式会社製
〔酸化防止剤〕
商品名:スミライザーBHT、住友化学工業株式会社製
商品名:イルガノックス(Irganox)1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製
〔シリカ粒子〕
商品名:TS−610、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製
平均粒径17nm
商品名:R972、日本アエロジル株式会社製
平均粒径16nm
商品名:R974、日本アエロジル株式会社製
平均粒径12nm
〔フッ素樹脂粒子(ポリテトラフルオロエチレン)〕
商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業株式会社製
平均粒径280nm
商品名:KTL−500F、株式会社喜多村製
平均粒径300nm
〔アルミナ粒子〕
商品名:NanoTek Al23、シーアイ化成株式会社製
平均粒径31nm
(実施例1)
酸化チタン(TTO−MI−1)60g、アルコール可溶性ナイロン樹脂(CM−8000)60gおよびメタノール1200gを1,3−ジオキソラン800gに加え、ペイントシェイカにて10時間分散処理して中間層用塗布液を調製した。
得られた中間層用塗布液を、浸漬塗布法により、直径30mm、長さ340mmのアルミニウム製円筒状支持体上に塗布し、自然乾燥して膜厚0.9μmの中間層を形成した。
次いで、ブチラール樹脂(エスレックBM−2)10gおよび電荷発生物質として下記構造式で表されるチタニルフタロシアニン(式中、r、s、yおよびzは0である)15gを1,3−ジオキソラン1400gに加え、ボールミルにて72時間分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。
得られた電荷発生層用塗布液を、浸漬塗布法により、先に設けた中間層上に塗布し、自然乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2012027257
次いで、ポリカーボネート樹脂(Z−400)140gおよび電荷輸送物質として下記構造式で表されるブタジエン系化合物100gおよび酸化防止剤(スミライザーBHT)5gをテトラヒドロフラン1600gに溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。
得られた電荷輸送層用塗布液を、浸漬塗布法により、先に設けた電荷発生層上に塗布し、得られた塗膜を130℃で1時間乾燥させて膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2012027257
次いで、ポリカーボネート樹脂(Z800)2.1g、電荷輸送物質として上記構造式で表されるブタジエン系化合物1.5g、シリカ粒子(TS−610)0.22gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.18gをテトラヒドロフラン36gに加え、メディアとしてZrO2ビーズ(φ3mm)を用いるボールミルで5時間分散処理して表面保護層用塗布液を調製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量(表面保護層中の粒子成分の重量)は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45であった。
得られた表面保護層用塗布液を、スプレー塗布により、先に設けた電荷輸送層上に塗布し、乾燥膜厚が1μmになるように塗布し、室温で10分間放置し、130℃で20分間乾燥させて表面保護層を形成し、図1に示される実施例1の感光体を得た。
(実施例2)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)0.26gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.14gとすること以外は実施例1と同様にして、実施例2の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は65:35であった。
(実施例3)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)0.32gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.08gとすること以外は実施例1と同様にして、実施例3の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は80:20であった。
(実施例4)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)に代えてシリカ粒子(R972)を用いること以外は実施例1と同様にして、実施例4の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45であった。
(実施例5)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)に代えてシリカ粒子(R974)を用いること以外は実施例1と同様にして、実施例5の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45であった。
(実施例6)
表面保護層用塗布液の調製において、フッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)に代えてフッ素樹脂粒子(KTL−500F)を用いること以外は実施例1と同様にして、実施例6の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45であった。
(実施例7)
電荷輸送層の膜厚24μmを20μmとすること以外は実施例1と同様にして、実施例7の感光体を得た。
(実施例8)
表面保護層用塗布液の調製において、ポリカーボネート樹脂(Z800)2.22g、ブタジエン系化合物1.58g、シリカ粒子(TS−610)0.11gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.09gを用いること以外は実施例1と同様にして、実施例8の感光体を得た。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は5重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45であった。
(比較例1)
表面保護層用塗布液の調製において、粒子としてフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.4gのみを用いること以外は実施例1と同様にして、比較例1の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は0:100であった。
(比較例2)
表面保護層用塗布液の調製において、粒子としてシリカ粒子(TS−610)0.4gのみを用いること以外は実施例1と同様にして、比較例2の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は100:0であった。
(比較例3)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)0.2gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.2gを用いること以外は実施例1と同様にして、比較例3の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は50:50であった。
(比較例4)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子(TS−610)0.36gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.04gを用いること以外は実施例1と同様にして、比較例4の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は90:10であった。
(比較例5)
表面保護層用塗布液の調製において、ポリカーボネート樹脂(Z800)1.33g、ブタジエン系化合物1.87g、シリカ粒子(TS−610)0.44gおよびフッ素樹脂粒子(ルブロンL−2)0.36gを用いること以外は実施例1と同様にして、比較例5の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は20重量%、シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45あった。
(比較例6)
表面保護層用塗布液の調製において、シリカ粒子の代えてアルミナ粒子(NanoTek)を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例6の感光体を作製した。
表面保護層用塗布液中の粒子成分の固形分重量は10重量%、アルミナ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比は55:45あった。
実施例1〜8および比較例1〜6の感光体の各構成成分およびそれらの比率を表1に示す。
Figure 2012027257
(評価)
実施例1〜8および比較例1〜6で得られた各感光体について、以下のようにして電気特性、耐刷性および画像を評価し、それらの結果に基づいて総合評価をした。
[電気特性評価]
画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(トレック・ジャパン株式会社製、型番:MODEL344)の測定プローブを、現像器の代わりに現像部位に組み込んだ市販のデジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX−M450)に感光体を搭載した。
まず、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N)環境下において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−650Vに調整し、その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm2)を施した場合の感光体の表面電位を初期の露光電位VL(V)として測定した。次いで、帯電、露光および除電を10万回繰り返した後の後の露光電位VL(V)を測定した。ここで、VLの変化量が小さい程、電気特性が良好であると評価した。
帯電電位V0(-V)および残留電位VR(-V)についてもそれぞれ測定し、得られた結果を次の判定基準により分類した。
得られた結果を表2に示す。
<判定基準>
○:良好 ΔVL 60V未満
△:やや不良 ΔVL 60V以上80V未満
×:不良 ΔVL 80V以上
[耐刷性評価]
上記の市販のデジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX−M450)に感光体を搭載した。ウレタンゴム製のクリーニング器のクリーニングブレードにおける感光体に当接する圧力(当接圧、クリーニングブレード圧)を初期線圧で0.5N/cmに調整し、N/N環境下で所定のパターンのテスト画像(ISO 19752に規定された文字テストチャート)を記録紙10万枚形成した。
試験開始前と記録紙10万枚画像形成後における感光体の膜厚を、卓上膜厚測定システム(型式:F−20−EXR、フィルメトリクス株式会社製)を用いて測定し、それらの差から感光体ドラム10万回転あたりの削れ量(膜減り:μm)を求め、次の判定基準により分類した。ここで、削れ量が多い程、耐刷性が悪いと評価した。
得られた結果を表2に示す。
<判定基準>
○:削れ量d<0.8μm/100k回転
△:0.8μm/100k回転≦削れ量d<1.0μm/100k回転
×:1.0μm/100k回転≦削れ量d
[画像(欠陥)評価]
使用後、通常の現像条件で画像評価を行い、ハーフトーン画像における画像欠陥の有無を評価し、次の判定基準により分類した。
得られた結果を表2に示す。
<判定基準>
○:目視にてハーフトーン画像にキズ濃度ムラがなく、良好な画像
△:目視にてハーフトーン画像にキズ濃度ムラあるが、実使用上問題のないレベル
×:目視にてハーフトーン画像にキズ濃度ムラあり、実使用上問題となるレベル
[総合判定]
電気特性、耐刷性および画像欠陥の評価結果に基づいて、次の判定基準により分類した。
得られた結果を表2に示す。
<判定基準>
◎:3項目すべて○である
○:3項目が○あるいは△で、×がない
×:1つ以上×を有する
Figure 2012027257
表1の結果および評価試験により次のことがわかった。
(1)実施例1〜8の感光体では、繰り返し使用後も良好な画像特性を有する。
(2)比較例1および5の感光体では、繰り返し使用後に良好な画像特性を有さず、実際に黒点状の画像欠陥が発生した。これは、表面処理などで改良はされているものの元来樹脂との親和性が低いフッ素樹脂粒子の添加量が高い場合には、感光体のクリーニング時に高い当接圧により表面に露出したフッ素樹脂粒子が脱落して塗布欠陥となり、画像上で黒点となったものと考えられる。
(3)比較例2および4の感光体では、繰り返し使用後に良好な画像特性を有さず、実際に画像流れが発生した。これは、シリカ粒子に水分が吸着したことによるものと考えられる。
(4)比較例3の感光体では、繰り返し使用後に良好な画像特性を有さず、実際にフィルミングが発生した。
(5)比較例6の感光体では、初期から感度が悪く、繰り返し使用に耐えるものではなかった。
1、2、3 電子写真感光体
11 導電性支持体(導電性基体)
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14、14’ 感光層
15 中間層(下引き層)
16 表面保護層
30 画像形成装置(レーザプリンタ)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 記録媒体(転写紙)
49 露光手段

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、および表面保護層がこの順で形成されてなり、前記表面保護層が重量比55:45〜80:20のシリカ粒子とフッ素樹脂粒子とからなる粒子成分およびバインダ樹脂を含有し、かつ前記粒子成分の重量が前記表面保護層の1〜10重量%であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記シリカ粒子とフッ素樹脂粒子との重量比が55:45〜65:35であり、かつ前記粒子成分の重量が前記表面保護層の5〜10重量%である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記シリカ粒子が0.05〜1.0μmの平均粒径を有し、かつ前記フッ素樹脂粒子が0.1〜10μmの平均粒径を有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記シリカ粒子が、シランカップリング剤または高級脂肪酸で表面処理された粒子である請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフルオロアルキルビニルエーテル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフルオロジクロロエチレン、ポリジフルオロジクロロエチレン、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂またはこれらの共重合体から形成された粒子である請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面保護層が、1〜5μmの膜厚を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  7. 前記表面保護層が、前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と同一または異なる電荷輸送物質をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  8. 前記導電性支持体と前記単層型感光層または前記積層型感光層との間に中間層を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  9. 前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、5〜30μmの膜厚を有する請求項1〜8のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒材上に定着して画像を形成する定着手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 前記電子写真感光体および現像手段が、前記画像形成装置に対して着脱自在のプロセスカートリッジ構造を有する請求項10に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015060117A (ja) * 2013-09-19 2015-03-30 シャープ株式会社 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置
JP2018021961A (ja) * 2016-08-01 2018-02-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 単層型電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2018036376A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

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