JP4485294B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
これらの感光体は、電荷発生材および/または電荷輸送材を結着剤樹脂と共に、溶剤中に溶解乃至分散させ、形成される塗工液を、アルミニウム等の導電性支持体上または導電性支持体上に形成された中間層上に、浸漬、スプレー、ブレードコーター方式等により塗布し、乾燥することにより製造されている。塗布層の乾燥には、熱風式乾燥装置等により100℃から150℃前後の加熱乾燥が用いられている。
塗工液は、電荷発生材等の顔料を分散させる工程や塗工液の循環工程を経て形成される。そのため、塗工液中に空気を抱き込む機会が増える。塗工液中に抱き込まれた空気は時間と共に合体して、塗工液面から消泡していくが、細かい気泡の全ては消泡されずに塗工液中に残留する。特に塗工液の粘度が比較的高い場合(50〜400mPa・s)、塗布後の乾燥時に気泡の脱泡が十分に行われない。
また、感光層用塗工液として使用される溶剤としては、比較的低沸点の溶剤が使用されており、一方乾燥のための加熱は、溶剤の沸点よりも高い温度で行われるので、感光層中では溶剤の突沸による泡の発生が生じる。特に環境対応のため環状エーテル系化合物、ケトン系化合物、芳香族系炭化水素化合物等の非ハロゲン溶剤を使用した塗工液は、使用する溶剤の沸点がハロゲン系溶剤の沸点よりも高いため、乾燥初期での残留溶媒量が多くなり、乾燥中に溶剤の突沸による気泡の発生が生じ易くなる。
このような顔料分散層では、膜厚が厚くなればなるほど表面の凹凸が激しく、その結果その上に感光層を塗布した場合、中間層との界面に気泡が残り、乾燥中に気泡の発生が生じ易くなる。
このように接触帯電方式の場合、感光層中の気泡の発生を抑えなければならない。
更に放電破壊を防止する方法として、中間層を厚くし導電性支持体表面の傷や凹凸などの欠陥を十分に隠蔽することや、感光層の膜厚を厚くし、電子写真感光体にかかる電界を小さくすることも有効な方法である。中間層や感光層を厚くすることは、上記接触帯電方式での放電破壊を防止するだけでなく、反転現像に使用される感光体の場合、繰り返し使用による黒ポチ、地肌汚れの発生を防止し、信頼性の高い感光体となる。
しかし中間層を厚くすると、それに伴い中間層表面の凹凸が激しくなり、その結果その上に塗工した感光層との界面に気泡が残留しやすくなる。
また感光層を厚くすることにより、感光層中の残留溶媒量が多くなり、乾燥中に気泡が発生しやすくなる。
その結果、生成画像中に黒点や白点が発生して、画質が低下し、更に感光体のクリーニング不良を生じやすく、更には接触帯電方式では、放電破壊を発生してしまう。
しかし、どの技術においても、中間層がない場合または樹脂のみの中間層の場合で効果はあるものの、無機顔料分散中間層を設け、環境対応のため環状エーテル系化合物、ケトン系化合物、芳香族系炭化水素化合物等の非ハロゲン溶剤を使用した感光層用塗工液を用いた場合では、気泡の発生を完全に抑えることは出来ない。
したがって本発明の目的は、感光層中の気泡の発生を抑制し、感光層中にフクレやクラック等の塗膜欠陥がなく、その結果黒点や白点のない高品質な画像を形成することができる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
この構成によれば、感光層中に気泡によるフクレや気泡の破裂によるクラック等の塗膜欠陥がなく、黒点や白点のない高品質な画像を形成することができる電子写真感光体の製造方法を提供できる。
前述したように、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物、芳香族系炭化水素化合物等の非ハロゲン溶剤を使用した感光層用塗工液は、使用する溶剤の沸点が低く、感光層中に残留しやすく、乾燥工程にて気泡に成長しやすい。また中間層が無機顔料分散膜の場合、中間層と感光層との界面に気泡の細かな核が発生しやすい。更に、感光層中にも塗工液の状態から細かな気泡の核が存在する。これらの気泡の核も、乾燥工程にて気泡に成長しやすい。そこで本発明では、乾燥工程を2工程以上とし、感光層の塗布形成直後の第一乾燥工程の条件を前記のように規定することで、最終乾燥工程での気泡の発生を抑えることができた。すなわち、感光層の塗布形成直後の第一乾燥工程の条件を前記のように規定することで、気泡の核の成長よりもその周りの感光層の乾燥固化を促すことができその後の気泡の核の成長を抑える。また、非ハロゲン溶剤が感光層中に多く残留する場合、一般的に乾燥工程で気泡の核の成長が促されるが、本発明の製造方法を採用することで、気泡の発生を抑えることができる。
この構成によれば、気泡によるフクレや気泡の破裂によるクラック等の塗膜欠陥の発生が一層抑制され、黒点や白点のない高品質な画像を形成することができる。更に繰り返し使用による感度劣化や残留電位上昇を抑制することができる。第一乾燥工程での最終到達温度を20℃以上80℃以下とすることで、更に気泡の核の成長よりもその周りの感光層の乾燥固化を促すことができ、その後の気泡の核の成長を抑える。また、最終乾燥工程での導電性支持体最終到達温度を120℃以上とすることで、残留溶媒による感度劣化や残留電位上昇を抑制することができる。また、最終乾燥工程での導電性支持体最終到達温度を160℃以下とすることで、感光層の熱劣化による感度劣化や残留電位上昇を抑制することができる。
本発明で使用する導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属;カーボン等の導電性顔料を分散したプラスチック;絶縁性支持体(プラスチックまたはプラスチックフィルムのごときもの)上に金属を蒸着したまたは導電性塗料を塗工したもの等が例示できる。
中間層に用いる無機顔料は、一般に用いられている顔料でよいが、可視光および近赤外光に吸収のほとんど無い白色またはそれに近いものが感光体の高感度化を考えた時に望ましい。例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫酸亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や酸化アルミ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料等があげられる。
このなかでも酸化チタンは他の白色顔料に比較して屈折率が大きく、化学的にも物理的にも安定であり、隠蔽力が大きく、白色度も大きいため好ましい。
また、本発明に用いる中間層用結着剤樹脂としては、適宜のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
中間層用塗工液の作成方法は、上記結着剤樹脂を溶剤で溶解し無機顔料と共に、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライターなどで分散させる。この分散液をブレード塗工、ナイフ塗工、スプレー塗工、浸漬塗工等の塗工方法を用いて導電性支持体上に塗工、乾燥することによって、中間層が形成される。
中間層における結着剤樹脂/無機顔料の質量比範囲は1/15〜2/1の範囲が好ましい。
中間層の厚さは、0.5μm以上20.0μm以下が好ましいが、繰り返し使用による地肌よごれが発生しにくい高耐久感光体とするには、中間層の膜厚が厚いほど有利となるため、5.0μm以上の中間層とすることが望ましい。また、帯電手段が接触帯電手段である場合、放電破壊を防止するためにも5.0μm以上の中間層とすることがより望ましい。
更に感光層の膜厚は、繰り返し使用しても異常画像を発生させないためには、28μm以上とすることが望ましい。好ましくは、28〜50μmである。
感光体は、繰り返し使用により接触部材により摩耗し膜厚が減少する。その結果感光体にかかる電界強度が大きくなり、導電性支持体からの電荷注入により地肌汚れ等の異常画像が発生する。そこで、感光層の膜厚を厚くしておくほうが、繰り返し使用しても高品質な画像を提供しつづけることができる。
ここでいう感光層の膜厚とは、感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層から構成されている場合、電荷発生層と電荷輸送層との合計の膜厚であり、また感光層が単層の場合は、その感光層そのものの膜厚である。
前述のように、感光層用塗工液に使用する溶剤は、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物、芳香族系炭化水素化合物から選ばれた溶剤を使用する。
環状エーテル系化合物としては、テトラヒドロフラン、1、3−ジオキソラン、1、4−ジオキサン等を例示することができる。
ケトン系化合物としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等を例示することができる。
また、芳香族系炭化水素化合物としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等を例示することができる。
電荷発生層は、電荷発生材料を主成分とする層である。電荷発生材料には、無機および有機材料が用いられ、その代表としてモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素合金、アモルファス・シリコン等が挙げられ用いられる。電荷発生材料は、単独で或いは2種類以上混合して用いられる。
電荷発生層は、電荷発生材料を適宜バインダー樹脂とともに、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物、および/または芳香族系炭化水素化合物を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を塗布することにより形成する。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。適宜用いられるバインダー樹脂としては、前記有機溶剤に溶解可能なポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、ポリアクリルアミドなどが挙げられ用いられる。電荷発生層の膜厚は0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。電荷発生材料の量はバインダー樹脂100質量部に対し、10〜10000質量部、好ましくは20〜5000質量部が適当である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質があげられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサール誘導体、オキサジアール誘導体、イミダール誘導体、モノアールアミン誘導体、ジアールアミン誘導体、トリアールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラ ジン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、その他ポリマー化された正孔輸送物質等公知の材料があげられる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、特開平5−158250号公報、特開平6−51544号公報記載の各種ポリカーボネート共重合体等の熱可塑性または熱硬化性樹脂があげられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。正孔輸送物質の量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。
本発明においては電荷輸送層にレベリング剤、酸化防止剤を添加しても良い。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用でき、その使用量は結着剤樹脂100質量部に対して0〜1質量部が適当である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、硫黄系化合物、燐系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、モルホリン誘導体等の酸化防止剤を使用でき、その使用量は結着剤樹脂100質量部に対して0〜5質量部程度が適当である。
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの樹脂に酸化チタン、アルミナ、シリカ、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。無機材料の中でも金属酸化物が有効に使用される。特に酸化チタン、アルミナ、シリカは有効に使用される。また、保護層に電荷輸送物質を併用することは有効な手段である。電荷輸送物資としては、低分子電荷輸送物質および高分子電荷輸送物質を使用することができ、電荷輸送層の説明に記載された材料が有効に使用できる。保護層の形成法としては通常の塗布法(スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等)が採用される。保護層の厚さは0.1〜10[μm]程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
乾燥器としては、熱風乾燥器、蒸気乾燥器、赤外線乾燥器および遠赤外線乾燥器等を用いることができる。
本発明で使用する乾燥器は、2工程以上必要なため、上記乾燥器を各工程ごとに用意したり、または一つの乾燥機を使用し順次必要な乾燥条件に変更していく方法をとることができる。
導電性支持体の昇温速度や最終到達温度は、使用する乾燥機内の風速や設定温度を変更することで容易に可能となる。
重大な欠陥となる気泡の発生を抑制しつつ、必要且つ充分な乾燥を行なうには、乾燥工程を2工程以上にし、塗布形成直後の感光層を乾燥する第一乾燥工程での導電性支持体の最大昇温速度を5℃/sec以下、かつ平均昇温速度を0.05℃/sec以下とすればよい。そうすることで、感光層中に気泡によるフクレや気泡の破裂によるクラック等の塗膜欠陥がなく、黒点や白点のない高品質な画像を形成することができる電子写真感光体の製造方法を提供できる。
また、第一乾燥工程での導電性支持体の最終到達温度が20℃以上80℃以下、最終乾燥工程での導電性支持体最終到達温度が120℃以上160℃以下とする条件も加えることで、更に感光層中に気泡の発生を抑えるだけでなく、感光層中の残留溶媒量を減らすことができるので、繰り返し使用による感光体感度の劣化や残留電位上昇を抑制することができる。
なお、第一乾燥工程での乾燥時間は、1分〜1時間、最終乾燥工程での乾燥時間は、5分〜1時間が適当である。また、乾燥工程は、2工程以上、好ましくは2〜5工程であり、第一乾燥工程と最終乾燥工程との間に別の乾燥工程が含まれる場合は、最終乾燥工程の最大温度(160℃)を超えないのがよい。
本発明の電子写真装置は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、反転現像手段、転写手段、クリーニング手段および電子写真感光体からなるものであり、前記電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも、無機顔料を分散した中間層と、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物および芳香族系炭化水素化合物から選ばれた1種類以上の溶剤を含む感光層用塗工液を用いて塗布形成した感光層とを有し、上記乾燥方法を適用して乾燥したことを特徴としている。
回転するドラム状の感光体の外周面は、帯電手段により正または負の所定電圧に帯電される。帯電手段には正または負の直流電圧がかけられている。帯電手段に印加する直流電圧は−2000V〜+2000Vが好ましい。最近電子写真装置の帯電法として、一般的なコロナ帯電に替わって接触帯電を用いた装置が実用化されてきている。この方法は装置の簡略化やコロナ放電で生成するオゾンを軽減する等のメリットがある。
接触帯電手段は、感光体表面に接触配置され、外部からの電圧を感光体に直接、均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させる。このような接触帯電手段としては、アルミニウム、鉄、銅、などの金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料、カーボンブラック、金属などの導電性粒子をポリカーボネート、ポリエチレンなどの絶縁樹脂に分散して導電処理したゴムや人工繊維、または絶縁樹脂の表面を導電性物質によってコートしたもの、などを用いることができる。また、これらの形状としてはローラー、ブラシ、ブレード、ベルトなどのいずれの形状をとってもよい。
接触帯電手段への印加電圧は、直流、交流または直流+交流いずれを用いてもよい。また、印加方法も瞬時に印加してもよいし、段階的に印加電圧を上げていってもよい。
帯電した感光体は、次いで画像露光手段により光像露光(スリット露光あるいはレーザービーム走査露光など)を受ける。この露光走査時に原稿面の非画像部に対しては露光を中断し、露光によって低電位となった画像部に対して、表面電位よりやや低い現像バイアスを印加して反転現像を行い、それによって前述の非画像部部分を含めて原稿像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
その静電潜像は、次いで現像手段でトナー現像され、そのトナー現像像が転写手段により給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期取りされて給送される記録材の面に順次転写されていく。像転写を受けた記録材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着を受けて複写物(コピー)として機外ヘ出力される。
トナーのクリーニング精度を上げるために、感光体表面に気泡による凹凸がないほうが良い。気泡によるフクレや気泡の破裂によるクラックが発生するとクリーニング不良が発生し、異常画像となる。しかし、本発明の製造方法で製造した感光体は、気泡が発生しないためブレードによるクリーニング手段を有した電子写真装置は、クリーニング不良が発生せず、繰り返し使用しても黒スジの発生や地肌汚れランクの低下のない良好な画像を提供しつづける電子写真装置となる。
しかし、本発明の電子写真装置では、搭載する電子写真感光体の感度および残留電位が繰り返し使用されても変動せず、その結果露光部電位が経時に渡って一定となり、画像濃度が均一で高品質な画像となる。
接触帯電方式は感光体の放電破壊を起こしやすくその結果、反転現像プロセスでは大きな黒ポチとなり異常画像となる。
しかし本発明の感光体は中間層および/または電荷輸送層を厚膜化しても、感光層に気泡によるフクレや気泡の破裂によるクラック等の塗膜欠陥がなく、その結果接触帯電手段を用いた電子写真装置に搭載しても、放電破壊を発生せず、また繰り返し使用しても画像濃度が経時に渡って均一で高品質な画像を提供しつづける電子写真装置となる。
反転現像プロセスでは、感光体に気泡の破裂によるクラックが存在すると黒ポチとなり非常に目だつ異常画像となる。出力される画像濃度は、露光電位に大きく依存する。露光電位は搭載される電子写真感光体の感度および残留電位に大きく依存する。そのため電子写真感光体の感度および残留電位が繰り返し使用により大きく変動する電子写真感光体を用いた反転現像プロセスでは、露光電位が経時で異なるため、画像濃度変動が生じてしまう。
しかし、本発明の電子写真プロセスでは、搭載する電子写真感光体に気泡の破裂によるクラックが存在しないので、気泡による異常画像の発生はなく、繰り返し使用されても感度および残留電位が変動しないため、露光電位も経時に渡って均一となり、常に画像濃度が均一で高品質な画像を提供できる。
さらに、反転現像プロセスでは暗部電位と明部電位の電位差を十分にとったほうが環境等の変動による電位変動に対して余裕が有り、良好な画像を提供できる。その一つの手段として感光体の帯電電位を高くする方法があるが、反対に放電破壊は感光体表面の帯電電位が高ければ高いほど発生率は高くなる。しかし本発明のプロセスを用いれば、帯電電位を絶対値で600V以上帯電させても何ら問題はなく繰り返し使用しても常に良好な画像を提供することができる。すなわち感光体表面に暗部電位が絶対値で600V以上の静電潜像を形成し、形成された静電潜像を反転現像する電子写真プロセスで常に良好な画像を提供することができる。
アルキド樹脂ベッコゾール1307-60EL(固形分60質量%)(大日本インキ化学製)80質量部、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂スーパーベッカミンTD-126(固形分60質量%)(大日本インキ化学製)55質量部をメチルエチルケトン350質量部に溶解し、これに酸化チタン粉末CR-EL(石原産業製)350質量部をアルミナボールを使用して48時間ボールミル分散し、中間層用塗工液を作成した。
これを、φ100mm×L360mmのアルミニウムドラムに浸漬塗布し、130℃で20分乾燥し、厚さ3.5μmの中間層を形成した。
次にチタニルフタロシアニン顔料20質量部をφ2mmのジルコニアビーズとともにガラスポットに入れ、更にテトラヒドロフラン350質量部を加えて、25℃の室温で20時間ボールミリングを行った。その後、ポリビニルブチラール樹脂エスレックBX-1(積水化学製)10質量部を600質量部のメチルエチルケトンに溶解させた樹脂溶液を添加して、さらに2時間ボールミリングを行うことによって電荷発生層用塗工液を作成した。このようにして得られた電荷発生層用塗工液を前記中間層上に浸漬塗布し、65℃、20分乾燥し膜厚0.1μmの電荷発生層を形成した。
次に下記構造式(1)の電荷輸送物質70質量部、ポリカーボネート樹脂ユーピロンZ-200(三菱瓦斯化学製)100質量部、シリコンオイルKF-50(信越化学工業製)0.002質量部を770質量部のテトラヒドロフランに溶解した。このようにして得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、熱風乾燥器を使用して下記乾燥方法で乾燥させ、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
実施例1において、電子写真感光体の乾燥条件を下記のように変えた以外は、実施例1を繰り返した。乾燥条件の変更は、熱風乾燥器の風量および設定温度を変更することで行った。
実施例1において電荷輸送層用塗工液を作成するときに用いる溶剤を1,3−ジオキソランとした以外は、実施例1を繰り返した。
実施例1において電荷輸送層用塗工液を作成するときに用いる溶剤をキシレンとした以外は、実施例1を繰り返した。
実施例1において電荷輸送層用塗工液を作成するときに用いる溶剤をトルエンとした以外は、実施例1を繰り返した。
実施例1において、電荷輸送層用塗工液を作成するときに用いる溶剤をジクロロメタンに変えた以外は、全く同様にして感光体を作成した。
実施例1において、アルミニウムドラムをφ60mm×L334mmに変え、中間層用塗工液を下記のようにして作成した。
メトキシメチル化ナイロンファインレジンFR−102(メトキシメチル化率 30%)((株)鉛市製)30質量部とブチル化メラミン樹脂スーパーベッカミンG−821−60(不揮発分60%)(大日本インキ化学(株)製)50質量部を200質量部のメタノール、50質量部のn−ブタノール、250質量部のメチルエチルケトンの混合溶媒に溶解し、これにCR−60(石原産業(株)製)300質量部を加え、ボールミルで100時間分散した。その後、メタノールに溶解させた次亜燐酸(固形分10%)を30.0質量部添加して中間層用塗工液を作成した。
中間層の膜厚、電荷輸送層の膜厚、乾燥条件を下記のように変更した以外は、実施例1と全く同様にして、感光体を作成した。
実施例1において、アルミニウムドラムをφ30mm×L340mmに替え、中間層用塗工液を下記のようにして作成した。
アルキド樹脂ベッコゾール1307-60EL(固形分60質量%)(大日本インキ化学製)150質量部、メラミン樹脂スーパーベッカミンG-821-60(固形分60質量%)(大日本インキ化学製)100質量部をメチルエチルケトン500質量部に溶解した。これに酸化チタンTA−300(富士チタン工業(株)製)500質量部を加え、アルミナボールをメディアとしたボールミルで35時間分散し、中間層用塗工液を作成した。
また、電荷発生層を下記のように変更した。
下記構造式(2)のアゾ顔料60.0質量部をメチルエチルケトン330質量部中、ボールミルにて200時間分散を行った。分散終了後、ポリビニルブチラール(エスレックBL−1:積水化学社製)10質量部をメチルエチルケトン400質量部、シクロヘキサノン1850質量部に溶解した樹脂液を添加し、5時間分散を行い、電荷発生用塗工液を作成した。
また比較例5,6,7,8に関しては、電荷輸送層用塗工液を作成するときに用いる溶剤をジクロロメタンに変えた以外は、前記と全く同様にして感光体を作成した。
Claims (2)
- 導電性支持体上に少なくとも、無機顔料を分散した厚さ3.0〜5.0μmの中間層と、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物および芳香族系炭化水素化合物から選ばれた1種類以上の溶剤を含む電荷発生層用塗工液を用いて塗布形成した電荷発生層と、環状エーテル系化合物、ケトン系化合物および芳香族系炭化水素化合物から選ばれた1種類以上の溶剤を含む電荷輸送層用塗工液を用いて塗布形成した厚さ20〜30μmの電荷輸送層とをこの順で有する電子写真感光体の製造方法において、前記塗布形成した電荷輸送層を乾燥する乾燥工程が2工程以上あり、塗布形成直後の電荷輸送層を乾燥する第一乾燥工程での導電性支持体の最大昇温速度が1℃/sec〜5℃/secであり、かつ平均昇温速度が0.005℃/sec〜0.05℃/secであることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記第一乾燥工程での導電性支持体の最終到達温度が20℃以上80℃以下であり、かつ最終乾燥工程での導電性支持体の最終到達温度が120℃以上160℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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