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JP5333194B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置及び該定着装置を備える電子写真方式、静電記録方式等を利用したFAX、プリンタ、複写機またはそれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
電磁誘導加熱方式(IH加熱方式)を採用した定着装置は、例えば励磁コイル(IHコイルともいう)に高周波数の電流を流すことにより磁束を発生させ、発熱部材を誘導加熱するよう構成されている。この構成によれば、発熱部材を直接発熱させるため、熱ローラ定着方式のような予熱を必要とせず、定着部材を瞬時に所定の温度まで立ち上げることができ、ウォームアップタイムの短縮化及び省エネルギ化が達成できるという利点がある。
しかし、その一方で、定着装置は熱容量が小さくなるように設計されており、特に定着ローラ(定着回転体)の外部から加熱するIH加熱方式の場合、定着ローラ周方向の温度偏差(定点(ニップ部)における周期的な温度変動、温度リップルの変動幅ともいう)が生じやすい。通紙時には記録媒体が熱を奪うため、その温度偏差が低減されるが、所定の待機状態のときに非通紙状態で加熱回転させた場合には温度偏差が非常に大きくなり、その状態で通紙を開始すると、画像内での光沢ムラやホットオフセットが発生する。
この問題に対して、特許文献1,2では、温度センサ位置をIHコイルよりも回転方向上流側に配置して、回転速度と制御応答速度の関係から、温度検知位置と加熱位置が一致するように制御する手法が提案されている。
しかしながら、高生産性の画像形成装置においては、定着ローラの回転速度が高速になるため、制御応答速度が追いつかない場合がある。一般的にIH加熱方式の制御応答速度は演算処理等により200msec程度を要するが、回転速度が2rps以上になると、200msecの間に140°以上回転することになる。このとき、レイアウト設計上、温度センサとIHコイルを140°以上離して配置することは難しく、前述した定着ローラにおける温度偏差の問題を解決することが困難である。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、電磁誘導加熱方式の定着装置において、非通紙状態で定着回転体を加熱回転させながら所定の温度に維持する待機時に、定着回転体上の温度リップルの変動幅を抑制して安定した温度維持制御が可能な定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 発熱層を有する定着回転体(定着スリーブ22)と、前記定着回転体と当接しニップ部を形成するとともに自らが駆動回転して該定着回転体を回転させる加圧回転体(加圧ローラ23)と、前記定着回転体の温度を検出する温度センサ(定着サーモパイル35)と、前記定着回転体の近傍に配置され、前記温度センサの検出結果に基づいて前記発熱層を誘導加熱する励磁コイル(励磁コイル31)と、を備え、前記定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に(S102)、前記定着回転体の外周上で目標温度に対して所定の値以上の変動幅を有する周期的な温度ムラが生じたとき(S103)、該定着回転体の回転速度を変更する(S104)ことを特徴とする定着装置(定着装置20、図1,図6,図10)。
〔2〕 回転する前記定着回転体に対してある定点で該定着回転体の温度を定期的にまたは連続して測定して、前記定着回転体の外周上の周期的な温度ムラを検出することを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置(図8,図9)。
〔3〕 前記定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記温度センサによる前記定着回転体の検出温度をT、前記定着回転体の目標温度をTref、所定の差分値を△Tとしたとき、検出温度Tが目標温度Trefに到達後に、下記式(1)の関係を満たす回数が所定回数以上となったとき、前記定着回転体の回転速度を変更することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の定着装置(図6)。
|T−Tref| ≧ △T ・・・(1)
〔4〕 前記定着回転体の回転速度の変更は、該定着回転体の回転周期をS(sec)、前記定着回転体の加熱制御の応答速度をL(sec)としたとき、下記式(2)の関係を満たすように変更するものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の定着装置。
S > L×4 ・・・(2)
〔5〕 前記定着回転体の回転速度は、最大の回転速度Vmax、最小の回転速度Vmin、VmaxとVminの間に少なくとも1つ設けられる中間の回転速度Vnが予め制御可能な回転速度として設定されており、前記定着回転体の回転速度の変更は、変更前の前記定着回転体の回転速度が最小の回転速度Vminである場合には、中間の回転速度Vnまたは最大の回転速度Vmaxに変更するものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の定着装置。
〔6〕 前記定着回転体の回転速度は、最大の回転速度Vmax、最小の回転速度Vmin、VmaxとVminの間に少なくとも1つ設けられる中間の回転速度Vnが予め制御可能な回転速度として設定されており、前記定着回転体の回転速度の変更は、変更前の前記定着回転体の回転速度が最大の回転速度Vmaxである場合には、中間の回転速度Vnまたは最小の回転速度Vminに変更するものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の定着装置。
〔7〕 前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置1、図1)。
本発明の定着装置によれば、非通紙状態で定着回転体を加熱回転させながら所定の温度に維持する待機時に、定着回転体の外周上で温度リップルの変動幅が所定の値以上となる周期的な温度ムラを検知し、定着回転体の回転速度を変更して該定着回転体の外周に対する加熱のタイミングを変更するので、定着回転体上の温度リップルの変動幅を抑制することができ、安定した温度維持制御が可能となる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備え、所定の待機時に該定着装置における定着回転体をその外周上で温度ムラの少ない状態で保温するので、直後の画像形成処理においても画像内での光沢ムラやホットオフセットを発生させることなく、良好な画像を得ることができる。
本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面概略図である。 本発明に係る定着装置の構成を示す概略図である。 図2の定着装置に用いる定着スリーブ及び定着ローラの構成を示す断面図である。 定着スリーブの外周上における定着サーモパイルと励磁コイルの配置位置と、定着サーモパイルの検知温度と励磁コイルへの入力電力の関係を示す図である。 従来の定着装置における非通紙待機モード時の定着スリーブの周方向の温度偏差の発散状態を示す図である。 本発明の定着装置における非通紙待機モード時の制御フローである。 本発明の定着装置における非通紙待機モード時の定着スリーブの周方向の温度偏差の発散抑制の状態を示す図である。 本発明の定着装置における励磁コイルと定着サーモパイルとニップ部の位置関係の例(1)と、定着スリーブの回転速度と温度リップルの変動幅の関係を示す図である。 本発明の定着装置における励磁コイルと定着サーモパイルとニップ部の位置関係の例(2)と、定着スリーブの回転速度と温度リップルの変動幅の関係を示す図である。 本発明に係る定着装置の他の構成を示す断面図である。
以下に、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について説明する。
まず、図1にて、本発明に係る画像形成装置全体の構成及び動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は主として給紙部11、12の記録媒体Pとは異なるサイズの記録媒体Pを搬送する際に用いる手差し給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部3(書込部)から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。まず、画像形成装置1の複数の給紙部11、12のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする)。なお、複数の給紙部11、12には、それぞれ、異なるサイズの記録媒体Pや、搬送方向の異なる同一サイズの記録媒体Pが、収納されている。
そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着スリーブ22と加圧ローラ23との間に送入されて、定着スリーブ22から受ける熱と加圧ローラ23から受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、定着スリーブ22と加圧ローラ23との間から送出された後に、出力画像として画像形成装置1の本体から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。本画像形成装置1は単色の印刷用であるが、プロセスカートリッジ4をKCMYの4色を設置して像を形成することで、フルカラーの印刷が可能となる。
次に、図2,図3を参照して、画像形成装置1に設置される、本発明に係る定着装置20の構成・動作について詳述する。
定着装置20は、磁束発生手段としての誘導加熱部30、発熱部材としての定着スリーブ22、保持部材としての定着ローラ21、加圧ローラ23、等で構成される(図2)。
ここで、発熱部材としての定着スリーブ22は、厚さが30〜50μmの金属材料からなる基材22a上に耐熱弾性層22b、離型層22cを順次形成したものであって、外径が40mmになっている(図3)。
定着スリーブ22において、基材22aを形成する材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、又は、これらの合金、等の磁性金属材料を用いることができる。
耐熱弾性層22bは、シリコーンゴム等の弾性材料からなり、その厚さは150μmになっている。これにより、熱容量がそれ程大きくなく、定着ムラのない良好な定着画像を得ることができる。
離型層22cは、PFA等のフッ素化合物をチューブ状に被覆したものであって、その厚さは50μmになっている。離型層は、トナー像(トナー)Tが直接的に接する定着スリーブ22表面のトナー離型性を高めるためのものである。
また、保持部材としての定着ローラ21は、ステンレス鋼等の金属材料からなる円筒状のローラ芯金21a上に、シリコーン発泡体からなる弾性層21bが形成されたものであって、外径が約40mmになっている(図3)。このうち、弾性層21bは、肉厚が9mmで、軸上におけるアスカー硬度が30〜50度となるように形成されている。また、定着ローラ21は、定着スリーブ22の内周面に当接して、薄肉の定着スリーブ22をローラ状に保持している。
加圧ローラ23は、アルミニウム、銅等の高熱伝導性金属材料からなるローラ芯金23a上に、シリコーンゴム等の耐熱弾性層23b、離型層(不図示である)が順次形成されたものであって、外径が40mmになっている(図2)。ここで、耐熱弾性層23bは、肉厚が2mmとなるように形成されている。また、離型層は、PFAチューブを被覆したものであって、厚さが50μmになるように形成されている。加圧ローラ23は、定着スリーブ22を介して定着ローラ21に圧接していて、その圧接部にニップ部を形成している。そして、このニップ部に、記録媒体Pが搬送されることになる。
磁束発生手段としての誘導加熱部30は、励磁コイル31、消磁コイル部34、コア部32、コイルガイド33(コイルハウジング)、等で構成される(図2)。
ここで、励磁コイル31は、定着スリーブ22の外周の一部を覆うように配設されたコイルガイド33上に細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である)に延設したものである。
消磁コイル部34は、記録媒体幅方向に相当する位置関係で対称に配置され、励磁コイル31上に重なって配置されている。対称の位置にある消磁コイル部34同士の端は導線で連結され、一つの電流路を構成している。消磁コイル部34の両端は定着装置20外の不図示のリレーに接続されて閉回路を構成する。このとき、リレーは制御回路により開閉制御され、消磁コイル部34への通電をON/OFFする。
また、コイルガイド33は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、励磁コイル31、消磁コイル部34を保持する。
コア部32は、フェライト等の強磁性体(比透磁率が2500程度である)からなり、定着スリーブ22に向けて効率のよい磁束を形成するためにサイドコア32a、センターコア32b、アーチコア32cが設けられている。また、コア部32は、幅方向に延設された励磁コイル31に対向するように設置されている。
誘導加熱部30は、定着スリーブ22の周方向の一定領域を誘導加熱可能に配置されている。図2では、誘導加熱部30は、定着スリーブ22の加圧ローラ23当接するニップ部とは反対側の約半周分を覆うように配置されている。
また、加圧ローラ23のローラ表面に接触して加圧ローラ23の温度を検知する第1温度検知手段としての加圧サーミスタ36が設けられている。この加圧サーミスタ36は、加圧ローラ23の表面温度を測定することにより、定着装置20の蓄熱状態を検知することが可能である。
また、定着スリーブ22の周方向の所定位置には、該定着スリーブ22の温度を非接触で検知する第2温度検知手段である定着サーモパイル35が設けられている。この定着サーモパイル35は、誘導加熱部30による定着スリーブ22の加熱状態を検知することが可能であり、例えば、定着スリーブ22の誘導加熱部30で加熱される領域内の所定位置(図2では加熱される領域の周方向中央部)に、定着サーモパイル35を配置するとよい。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
加圧ローラ用の駆動モータ23mによって、加圧ローラ23が図2の反時計方向に回転駆動されると、定着スリーブ22も時計方向に回転する。このとき、定着スリーブ22を保持する定着ローラ21は、積極的に回転駆動されないことになる。そして、発熱部材及び定着部材としての定着スリーブ22は、誘導加熱部30との対向位置で、誘導加熱部30から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル31に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル31に対向する定着スリーブ22の近傍に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、定着スリーブ22の基材22a(発熱層)に渦電流が生じて、基材22aはその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、定着スリーブ22は、自身の基材22aの誘導加熱によって加熱される。
誘導加熱部30によって加熱された定着スリーブ22の表面は、加圧ローラ23とのニップ部に達する。そして、搬送される記録媒体P上の、未定着トナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板24に案内されながら定着スリーブ22と加圧ローラ23との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である)。そして、定着スリーブ22から受ける熱と加圧ローラ23から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着され、分離板25によって定着スリーブ22から分離されながら、記録媒体Pはニップ部から送出される。ニップ部を通過した定着スリーブ22表面は、その後に回転して再び誘導加熱部30との対向位置に達する。
なお、小サイズ紙が連続通紙された場合には、消磁コイル部34は、リレーが短絡(ON)され、励磁コイル31とは逆向きの磁場が発生し、消磁コイル部34が配置された領域の磁場が減少し、非通紙領域での定着スリーブ22でのジュール熱の発生が抑制される。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
また、定着装置20は、定着装置20における種々の動作を制御する定着制御装置40を備える(図2)。例えば、定着制御装置40内に設けられた定着制御部43は、定着装置20における加圧ローラ23及び定着スリーブ22が所定の回転速度あるいは記録媒体Pの搬送速度が所定の速度となるように、加圧ローラ23用の駆動モータ23mの駆動を制御可能に構成されている。
また、定着制御装置40における加熱制御に関する構成としては、誘電加熱部30への電力供給が定着制御装置40により制御可能に構成されており、例えば誘導加熱部30に接続するIH制御部41が設けられ、また該IH制御部41にはインバータ回路42が備えられ、制御手段である定着制御部43が接続されている。また、定着制御部43には、加圧ローラ23の温度を検知する加圧サーミスタ36と、定着スリーブ22の温度を検知する定着サーモパイル35が接続されている。さらに、IH制御部41及び定着制御部43は、商用電源90(例えば100V、15A)に接続されている。
ここで、定着制御部43は、誘導加熱部30の励磁コイル31に電力供給するIH制御部41の制御モードとして、電力制御モードと、温度制御モードとを有している。このうち、電力制御モードは、定着装置20がある程度冷えた状態から定着処理が可能な状態にするまでのウォームアップ時などのときに適用され、所定電力(例えば当該定着装置20に投入される最大電力)で励磁コイル31への通電を行うことが好ましい。また、温度制御モードは、画像形成処理時(定着処理時)や保温待機時などのときに適用され、定着サーモパイル35で検知される定着部材(定着スリーブ22)の温度と該定着スリーブ22の目標温度との差分に応じて決定される励磁コイル31への投入電力で、該励磁コイル31への通電を行うPIDフィードバック制御(PI制御及びPD制御を含むPID(Proportional Integral Derivative)制御)であることが好ましい。
また、定着制御部43は、電力制御モード、温度制御モードの制御モードを切り替えて励磁コイル31への通電制御を行う機能を有する。すなわち、定着制御部43は、誘導加熱部30の励磁コイル31への通電開始の信号を受信した時、定着サーモパイル35により検知される定着部材(定着スリーブ22)の温度が閾値温度以下のときには所定の一定電力を連続して励磁コイル31に投入する電力制御モードを選択し、定着スリーブ22の温度が閾値温度より大のときには前記定着サーモパイル35で検知される定着スリーブ22の温度に基づいて決定される電力を励磁コイル31に投入する温度制御モードを選択し、この選択した制御モードに基づいてIH制御部41を制御して励磁コイル31への通電を行う。
なお、「励磁コイル31への通電開始の信号を受信した時」とは、ユーザの操作パネルの操作あるいはパソコンからの通信などにより画像形成装置1に印刷要求があり、これに基づいて定着装置20の定着制御装置40(定着制御部43)に通電開始の指示があった時である。
すなわち、定着制御装置40が画像形成装置1の電源ON、スリープ復帰、印刷ジョブ等の信号を受信すると、定着スリーブ22の温度を目標温度まで引き上げる、電力制御モードによる励磁コイル31への通電制御が行われる(ウォームアップ)。このときの加圧ローラ23及び定着スリーブ22は、駆動系の負荷軽減を図るために、できるだけ低速で回転される(最小の回転速度Vmin)。
ついで、定着スリーブ22の温度が目標温度に到達すると、「定着回転体(定着スリーブ22)を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時」となる。この場合における、定着スリーブ22の回転速度制御と、励磁コイル31への通電制御について説明する。
なお、「定着回転体(定着スリーブ22)を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時」とは、定着装置20としてウォームアップ(立ち上げ)は終了しており、記録媒体Pの非通紙時であって、定着スリーブ22が目標温度に維持されるように、励磁コイル31への通電制御及び加圧ローラ23,定着スリーブ22の駆動制御が行われているときである(非通紙待機モード)。これは、例えば(1)定着装置20の立ち上げ後の印刷ジョブ待ちのとき、(2)定着スリーブ22の温度(定着サーモパイル35の検知温度)は目標温度に到達したが、加圧ローラ23の温度(加圧サーミスタ36の検知温度)が所定の温度に到達しておらず、該加圧ローラ23の温度が所定の温度まで上がるのを待っているとき、(3)画像形成装置1におけるプロセスコントロールの制御中のとき、(4)印刷ジョブ中の長い間隔の紙間のとき、(5)印刷ジョブ終了直後のとき、などが当てはまる。
まず、図4を参照しながら、定着装置20における励磁コイル31への通電制御を説明する。図4(a)は、定着ローラ21(定着スリーブ22),励磁コイル31、定着サーモパイル35の配置関係を示す断面図であり、図4(b)は、定着サーモパイル35の検知温度と励磁コイル31への入力電力の関係図である。
定着装置20において定着スリーブ22の温度が目標温度に到達すると、温度制御モードによる励磁コイル31への通電制御が行われる。すなわち、定着サーモパイル35で定着スリーブ22の温度を定期的にまたは連続して測定し、定着サーモパイル35で検知される定着スリーブ22の温度と該定着スリーブ22の目標温度との差分に応じて励磁コイル31への入力電力を定着制御部43が算出し、算出された入力電力でIH制御部41から励磁コイル31への通電が行われる(PIDフィードバック制御)。
具体的には、つぎの処理が行われる。
(S11)定着サーモパイル35がある時点t1で定着ローラ21の外周上の定点(例えば、図4(a)におけるC点)で定着スリーブ22の最低温度T1を検知する。
(S12)定着制御部43は、最低温度T1に基づいて演算処理を行い、励磁コイル31への入力電力E1を算出し、電力E1の投入をIH制御部41に指示する。
(S13)IH制御部41から励磁コイル31に電力E1で通電され、ある時点t2で定着ローラ21の外周上の定点(図4(a)におけるC点)にある定着スリーブ22対して電力E1による誘導加熱が行われる。
あるいは、つぎの処理が行われる。
(S21)定着サーモパイル35がある時点t3で定着ローラ21の外周上の定点(例えば、図4(a)におけるC点)で定着スリーブ22の最高温度T2を検知する。
(S22)定着制御部43は、最高温度T2に基づいて演算処理を行い、励磁コイル31への入力電力E2を算出し、電力E2の投入をIH制御部41に指示する。
(S23)IH制御部41から励磁コイル31に電力E2で通電され、ある時点t3で定着ローラ21の外周上の定点(図4(a)におけるC点)にある定着スリーブ22に対して電力E2による誘導加熱が行われる。
ここで、例えば定着スリーブ22の回転速度が2rpsのとき、定着スリーブ22は500msecで1回転するが、例えばステップS11〜S13、S21〜S23に要する時間、すなわち一般的なIH加熱方式の制御応答速度は200msecであることから、定着制御装置40において温度検知をしてから演算処理を行い、励磁コイル31へ通電するまでに、定着スリーブ22は144°回転することになる。詳しくは、時点t1で図4(a)においてC点で検知した定着スリーブ22の最低温度に対応する電力E1の入力は、時点t1にD点とA点の間にあった定着スリーブ22の部分に対して行われ、最高温度位置の付近を加熱することになる(図4(b))。また同様に時点t3でC点で検知した定着スリーブ22の最高温度に対応する電力E2の入力は、時点t3にD点とA点の間にあった定着スリーブ22の部分に対して行われ、最低温度位置の付近を加熱することになる。
従来の定着装置では、このような通電制御が継続して行われることになり、その結果、図5に示すように、温度リップルの変動幅が30degまで発散し、そのまま記録媒体Pを通紙すると、画像内で光沢ムラやホットオフセットが発生する不具合となった。
本発明は、この不具合を解決するものである。すなわち、定着回転体(定着スリーブ22)を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記定着回転体の外周上で目標温度に対して所定の値以上の変動幅を有する周期的な温度ムラが生じたとき、該定着回転体の回転速度を変更することを特徴とするものである。
図6に、本発明に係る定着装置において、定着スリーブ22を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時における制御フローを示す。
(S101) 定着制御装置40が画像形成装置1の電源ON、スリープ復帰、印刷ジョブ等の信号を受信すると、前述のように、電力制御モードによる励磁コイル31への通電制御を行い、定着スリーブ22が目標温度(Tref)に到達する。
(S102) その後、非通紙待機モードになると、定着制御装置40が定着スリーブ22を所定の回転速度(V1)で回転させつつ温度制御モードによる励磁コイル31への通電制御を行い、定着スリーブ22の温度が目標温度に温度維持されるように加熱制御が行われる。
(S103) 同時に、定着制御装置40は、定着サーモパイル35により回転する定着スリーブ22に対してある定点(定着サーモパイル35の測定点)で定着スリーブ22の温度Tを定期的にまたは連続して所定時間測定して、定着スリーブ22の周方向の周期的な温度ムラの変動幅(温度偏差)|T−Tref|を検出し、該温度偏差|T−Tref|の最大値が所定の差分値△T以上となる回数が前記所定時間内で所定回数以上となるか否かを判定する。すなわち、式(1)の関係を満たす回数が前記所定時間内で所定回数以上となるか否かを判定する。
|T−Tref| ≧ △T ・・・(1)
なお、温度偏差|T−Tref|の最大値とは、定着スリーブ22の最高温度Tmaxまたは最低温度Tminと目標温度Trefとの差分値である。また、所定の差分値△Tは10deg以下が好ましく、5deg以下であることがより好ましい。また、所定回数は、1回でもよいが、誤判定を防止するために2回またはそれ以上の回数とするとよい。
(S104) ステップS103でYesの場合、定着制御部43は駆動モータ23mの駆動を調整して、加圧ローラ23及び定着スリーブ22の回転速度を回転速度V1から別の回転速度V2に変更する。これにより、回転する定着スリーブ22において例えば前記ステップS11〜S13、S21〜S23によって誘導加熱が行われる位置が変更され、電力E1による誘導加熱が行われる位置が最高温度Tmaxの位置ではなくなり、電力E2による誘導加熱が行われる位置が最低温度Tminの位置ではなくなることから、定着スリーブ22における温度リップルの変動幅が抑制されるようになる。
加圧ローラ23及び定着スリーブ22の回転速度の変更が行われた後、定着処理が行われる通紙モードの指示があるか否かの確認が行われ(S105)、通紙モードの指示がない場合(S105のNo)、ステップS103に戻り、前述した制御が繰り返し行われる。また、通紙モードの指示があった場合(S105のYes)、図6に示す制御は終了し、定着処理に必要な制御モードに移行する。
また、ステップS103でYesの場合、加圧ローラ23及び定着スリーブ22の回転速度の変更が行われることなく、定着処理が行われる通紙モードの指示があるか否かの確認が行われ(S105)、通紙モードの指示がない場合(S105のNo)、ステップS103に戻り、前述した制御が繰り返し行われる。また、通紙モードの指示があった場合(S105のYes)、図6に示す制御は終了し、定着処理に必要な制御モードに移行する。
ここで、前記加圧ローラ23及び定着スリーブ22の回転速度の変更は、変更前の回転速度V1よりも減少させる(遅くする)ことと、変更前の回転速度よりも増加させる(速くする)ことのいずれを行ってもよい。
なおこのとき、変更前の回転速度V1が定着処理時の回転速度である場合に該変更前の回転速度V1よりも増加させる(速くする)ように変更することは、定着装置20の駆動系の性能を向上させる必要があるため好ましくない。
したがって、定着スリーブ22の温度リップルの変動幅を小さくするためには、基本的に定着スリーブ22の回転を遅くする(回転速度を小さくする)ように定着スリーブ22の回転周期を調整するとよい。しかしながら一方で、非通紙待機モードでは通紙開始時の温度落ち込みを小さくしすぐに定着処理が可能なように加圧ローラ23側の蓄熱も考慮すべきであり、そのためには定着スリーブ22及び加圧ローラ23の回転を速くして(回転速度を大きくして)定着スリーブ22から加圧ローラ23にある程度熱が伝わるようにする必要がある。本発明では、定着スリーブ22の回転速度の変更は、定着スリーブ22の温度リップルの変動幅を抑制することを満たしつつ、加圧ローラ23側の蓄熱が可能な回転速度とすることが好適である。
また、加圧ローラ23及び定着スリーブ22の回転速度の変更は、一度に目標の回転速度に変更してもよいし、所定時間をかけて目標の回転速度に徐々に変更してもよい。
このような定着スリーブ22の回転速度の変更は、例えば、定着スリーブ22の回転周期をS(sec)、定着スリーブ22の加熱制御の応答速度(前記ステップS11〜S13、S21〜S23に要する時間)をL(sec)としたとき、下記式(2)の関係を満たすように変更するものであることが好ましい。これにより、加熱制御の応答速度Lの4倍よりも定着スリーブ22の回転周期が長くなるので、定着サーモパイル35の温度検知位置0°に対して、定着スリーブ22の周方向の回転角度+90°以内の近い位置を加熱することになり、温度リップルの変動幅を減衰させることが可能となる。
S > L×4 ・・・(2)
あるいは、定着装置20において予め制御可能な回転速度として設定されている複数の回転速度の中から適宜選択し、該選択された回転速度に前記定着スリーブ22の回転速度を変更するようにしてもよい。これにより、すでに設定されている別の回転速度に変更するだけであるので、駆動系における回転速度制御システムを大幅に追加修正することなく、定着スリーブ22における温度リップルの変動幅を抑制することができるようになる。
具体的には、まず定着装置20において、定着スリーブ22の回転速度として、ウォームアップ時の回転速度が最小の回転速度Vminとして設定され、定着処理時の回転速度が記録媒体Pの紙厚、紙種に対応して最大の回転速度Vmaxと、VmaxとVminの間に少なくとも1つ設けられる中間の回転速度Vnからなる複数の回転速度が予め制御可能な回転速度として設定されている。より具体的には、最大の回転速度と、厚紙の記録媒体Pに対応する回転速度と、ウォームアップ時の回転速度とが、Vmax、1/2Vmax、1/4Vmaxの関係となるように設定されている。
ここで、定着スリーブ22の回転速度の変更は、例えば変更前の定着スリーブ22の回転速度V1が最小の回転速度Vminである場合には、変更後の回転速度V2を中間の回転速度Vnまたは最大の回転速度Vmaxに変更するものであることが好適である。すなわち、(1)定着装置20の立ち上げ後の印刷ジョブ待ちのとき、(2)定着スリーブ22の温度(定着サーモパイル35の検知温度)は目標温度に到達したが、加圧ローラ23の温度(加圧サーミスタ36の検知温度)が所定の温度に到達しておらず、該加圧ローラ23の温度が所定の温度まで上がるのを待っているとき、(3)画像形成装置1におけるプロセスコントロールの制御中のときなどには、まず定着スリーブ22はウォームアップ時の回転速度(1/4Vmax)で回転制御されているため、定着スリーブ22の回転速度をVmax、1/2Vmaxのいずれかに変更するとよい。
また、定着スリーブ22の回転速度の変更は、変更前の定着スリーブ22の回転速度V1が最大の回転速度Vmaxである場合には、変更後の回転速度V2を中間の回転速度Vnまたは最小の回転速度Vminに変更するものであることが好適である。すなわち、(2)定着スリーブ22の温度(定着サーモパイル35の検知温度)は目標温度に到達したが、加圧ローラ23の温度(加圧サーミスタ36の検知温度)が所定の温度に到達しておらず、該加圧ローラ23の温度が所定の温度まで上がるのを待っているとき、(3)画像形成装置1におけるプロセスコントロールの制御中のとき、(4)印刷ジョブ中の長い間隔の紙間のとき、(5)印刷ジョブ終了直後のときなどには、まず定着スリーブ22は定着処理時の回転速度(例えばVmax)で回転制御されているため、定着スリーブ22の回転速度を1/2Vmax、1/4Vmaxのいずれかに変更するとよい。
図7に、本発明の定着装置において非通紙待機モードのときに、前述した定着スリーブ22の回転速度の変更制御を行った場合の定着スリーブ22の温度変化を示す。
ここでは、図5のように定着スリーブ22の回転速度が2rpsのときに、定着スリーブ22の温度リップルが拡散する傾向を示した場合を前記ステップS103において式(1)(△T=5deg)の関係を満たす回数が前記所定時間内で2回以上となることを検出することで検知し、定着スリーブ22の回転速度を0.5rpsに変更することを行った。これにより、定着スリーブ22は2000msecで1回転するようになり、前記制御応答速度が200msecであるから、定着制御装置40において温度検知をしてから演算処理を行い、励磁コイル31へ通電するまでに、定着スリーブ22は36°回転することになる。したがって、時点t1で図4(a)においてC点で検知した定着スリーブ22の最低温度に対応する電力E1の入力は、時点t1にC点とD点の間にあった定着スリーブ22の部分に対して行われ、最低温度位置に近い領域を加熱することになる。また同様に時点t3でC点で検知した定着スリーブ22の最高温度に対応する電力E2の入力は、時点t3にC点とD点の間にあった定着スリーブ22の部分に対して行われ、最高温度位置に近い領域を加熱することになる。その結果、図7に示すように、定着スリーブ22の周方向の温度偏差の発散が抑制され、温度リップルの変動幅が5degに収めることができる。
なお、本発明は、定着ローラ21の外周上における誘導加熱部30(励磁コイル31)と定着サーモパイル35の位置関係に関係なく適用することが可能である。
ここで、まず図8を参照しながら、図2に示した定着装置20の構成を前提とした定着スリーブ22の回転速度の変更について考える。
図8(a)は、図2に示した定着装置20の構成における励磁コイル31と定着サーモパイル35とニップ部の位置関係を示す模式図である。この場合、励磁コイル31と定着サーモパイル35が定着ローラ21の外周上の同じ位置(B点)にある。なお、励磁コイル31は定着スリーブ22の周方向のある一定長さの領域を加熱するものであるが、ここではその領域の周方向のある一定長さの中心点に配置されているものと仮定する。
一般に、定着スリーブ22の周方向の温度分布は180°回転移動した位置(すなわち、図8(a)において対向する位置)で最高温度と最低温度が表れ、例えば図中B点で最低温度のとき、D点(ニップ部の位置)で最高温度となる。また逆にB点で最高温度のとき、D点で最低温度となる。
このような構成において、図中定着サーモパイル35がB点で定着スリーブ22の温度を検知してから加熱開始するまで180°回転する時間の遅れがあると、定着スリーブ22の周方向の温度偏差は発散して、定着スリーブ22における温度リップルの変動幅は最大となる。
このときの定着スリーブ22の回転速度をVとすると、該定着スリーブ22の回転速度をVよりも遅くするか、速くすることで温度リップルの変動幅を小さくすることができる(図8(b))。また、定着スリーブ22の回転速度を2Vに変更すると、定着スリーブ22における温度検知位置と加熱位置が一致することになり、温度リップルの変動幅は最小にすることができる。
つぎに、図9を参照しながら、図2に示した定着装置20とは異なる構成を前提とした定着スリーブ22の回転速度の変更について考える。
この場合の励磁コイル31と定着サーモパイル35とニップ部の位置関係として、図9(a)に示すように、定着ローラ21の外周上において励磁コイル31はD点(ニップ部)と対向する位置(B点)にあり、定着サーモパイル35は励磁コイル31(B点)とニップ部(D点)との中間の位置(C点)にある。
この場合も、定着スリーブ22の周方向の温度分布は180°回転移動した位置(すなわち、図9(a)において対向する位置)で最高温度と最低温度が表れることから、例えば図中C点で最低温度のとき、A点で最高温度となり、また逆にC点で最高温度のとき、A点で最低温度となる。
このような構成において、図中定着サーモパイル35がC点で定着スリーブ22の温度を検知してから加熱開始するまで90°回転する時間の遅れがあると、定着スリーブ22の周方向の温度偏差は発散して、定着スリーブ22における温度リップルの変動幅は最大となる。
このときの定着スリーブ22の回転速度をV/2とすると、該定着スリーブ22の回転速度をV/2よりも遅くするか、速くすることで温度リップルの変動幅を小さくすることができる(図9(b))。また、定着スリーブ22の回転速度を3V/2に変更すると、定着スリーブ22における温度検知位置と加熱位置が一致することになり、温度リップルの変動幅は最小にすることができる。
ところで、ここまで本発明として、「定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記定着回転体の外周上で目標温度に対して所定の値以上の変動幅を有する周期的な温度ムラが生じたとき、該定着回転体の回転速度を変更すること」について説明してきたが、「定着回転体の回転速度を変更すること」に替えて、「定着回転体の温度制御の応答速度を変更すること」としてもよい。すなわち、図2の定着装置20において定着回転体(定着スリーブ22)の回転速度に応じて、定着回転体の半回転周期と制御応答速度(前述したステップS11〜S13、S21〜S23に要する時間)が一致しないようにして、定着スリーブ22における温度リップルの変動幅を抑制するものである。
具体的には、図6の制御フローにおいて、ステップS103でYesの場合、前記ステップS104に替えて、定着スリーブ22の回転周期S(sec)は変更せず、下記式(3)の関係を満たすように制御応答速度L(sec)を遅らせることを行う。具体的には、ステップS12やS22において、定着制御部43が算出した電力の投入をIH制御部41に指示するタイミングを遅らせる。なお、L=2SやL=3Sも考えられるが、極端に加熱タイミングが遅くなるため好ましくない。
L=S・・・(3)
これにより、例えば制御応答速度L(sec)を遅らせて、定着スリーブ22における定着サーモパイル35の温度検知位置0°に対して、+360°の位置、つまり1周分遅れたタイミングで加熱すれば、温度検知位置と加熱位置を合わせることができ、効率的に温度リップルを減衰させることができる。
また、本発明の「定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記定着回転体の外周上で目標温度に対して所定の値以上の変動幅を有する周期的な温度ムラが生じたとき、該定着回転体の回転速度を変更すること」における「定着回転体の回転速度を変更すること」に替えて、「前記温度制御モードにおける通電制御をフィードバック制御からフィードフォアード制御に変更すること」としてもよい。すなわち、定着サーモパイル35の検知温度に対してPIDフィードバック制御を行うために制御応答速度が生じており、この通電制御をフィードフォアード制御に変更して制御遅れのない通電制御を行うものである。
具体的には、図6の制御フローにおいて、ステップS103でYesの場合、前記ステップS104に替えて、定着スリーブ22の回転周期S(sec)は変更せず、励磁コイル31への通電量を一定とし、フィードフォーワード制御を行う。例えば、図2の定着装置20において、定着スリーブ22を160℃に温度維持させたときの消費電力である300〜400Wの一定電力を入力し、定着ローラ21、定着スリーブ22、加圧ローラ23の熱拡散により、定着スリーブ22の周方向温度偏差を収束させる。あるいは、このままでは定着スリーブ22の温度が目標温度から少しずつずれてくるため、一定周期で定着サーモパイル35で検知される定着スリーブ22の温度に基づいて入力電力を修正するようにするとよい。
これにより、定着装置20の蓄熱速度や、通紙開始時の温度落ち込みの悪化を最小にしつつ、非通紙時における温度リップルを減衰させることができる。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、本発明の実施形態の説明では、定着ローラ21で支持された定着スリーブ22の外周に励磁コイル31が配置された構成について記載したが、定着スリーブ22の内周側からセラミックヒータで定着スリーブ22の所定位置を加熱する方式としてもよい。
あるいは、図10に示すように、発熱層を有し回転する無端状ベルトの定着スリーブ22と、定着スリーブ22の外周面と当接する駆動ローラである加圧ローラ23と、定着スリーブ22の内周側に配置され、該定着スリーブ22を介して加圧ローラ23と当接してニップ部を形成する弾性体からなる当接部材26と、定着スリーブ22の温度を検出する温度サーモパイル35と、定着スリーブ22の近傍に配置され、温度サーモパイル35の検出結果に基づいて前記発熱層を誘導加熱する励磁コイル31と、を備える構成も本発明の範囲に含まれる。
1 画像形成装置
3 露光部
4 プロセルカートリッジ
7 転写部
10 排紙トレイ
11,12 給紙部
13 レジストローラ
15 手差し給紙部
18 感光体ドラム
20 定着装置
21 定着ローラ
21a ローラ芯金
21b 弾性層
22 定着スリーブ
22a 基材
22b 耐熱弾性層
22c 離型層
23 加圧ローラ
23a ローラ芯金
23b 耐熱弾性層
23m 駆動モータ
24 ガイド板
25 分離板
26 当接部材
30 誘導加熱部
31 励磁コイル
32 コア部
32a サイドコア
32b センターコア
32c アーチコア
33 コイルガイド
34 消磁コイル部
35 定着サーモパイル
36 加圧サーミスタ
40 定着制御装置
41 IH制御部
42 インバータ回路
43 定着制御部
90 商用電源
K 搬送経路
L 露光光
P 記録媒体
T トナー
特開2006−259683号公報 特許第3949644号公報

Claims (7)

  1. 発熱層を有する定着回転体と、
    前記定着回転体と当接しニップ部を形成するとともに自らが駆動回転して該定着回転体を回転させる加圧回転体と、
    前記定着回転体の温度を検出する温度センサと、
    前記定着回転体の近傍に配置され、前記温度センサの検出結果に基づいて前記発熱層を誘導加熱する励磁コイルと、を備え、
    前記定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記定着回転体の外周上で目標温度に対して所定の値以上の変動幅を有する周期的な温度ムラが生じたとき、該定着回転体の回転速度を変更することを特徴とする定着装置。
  2. 回転する前記定着回転体に対してある定点で該定着回転体の温度を定期的にまたは連続して測定して、前記定着回転体の外周上の周期的な温度ムラを検出することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着回転体を回転させつつ目標温度に温度維持するように加熱制御を行っている待機時に、前記温度センサによる前記定着回転体の検出温度をT、前記定着回転体の目標温度をTref、所定の差分値を△Tとしたとき、検出温度Tが目標温度Trefに到達後に、下記式(1)の関係を満たす回数が所定回数以上となったとき、前記定着回転体の回転速度を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
    |T−Tref| ≧ △T ・・・(1)
  4. 前記定着回転体の回転速度の変更は、該定着回転体の回転周期をS(sec)、前記定着回転体の加熱制御の応答速度をL(sec)としたとき、下記式(2)の関係を満たすように変更するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置。
    S > L×4 ・・・(2)
  5. 前記定着回転体の回転速度は、最大の回転速度Vmax、最小の回転速度Vmin、VmaxとVminの間に少なくとも1つ設けられる中間の回転速度Vnが予め制御可能な回転速度として設定されており、
    前記定着回転体の回転速度の変更は、変更前の前記定着回転体の回転速度が最小の回転速度Vminである場合には、中間の回転速度Vnまたは最大の回転速度Vmaxに変更するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記定着回転体の回転速度は、最大の回転速度Vmax、最小の回転速度Vmin、VmaxとVminの間に少なくとも1つ設けられる中間の回転速度Vnが予め制御可能な回転速度として設定されており、
    前記定着回転体の回転速度の変更は、変更前の前記定着回転体の回転速度が最大の回転速度Vmaxである場合には、中間の回転速度Vnまたは最小の回転速度Vminに変更するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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