JP2011033642A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】定着装置に温度履歴による温度分布が残った状態で印字を行う場合に、そのような温度分布によりオフセットやしわを生じたり、温度分布が低減するまで待機する必要のゆえ効率的な印字ができないといった課題があった。
【解決手段】定着装置を、励磁手段と、発熱部材と、加圧手段と、温度検知手段とを備え、前記発熱部材は、常温では磁性を有するも所定の温度以上では磁性が無くなる整磁材料からなる透磁性導電層を有し、また前記温度検知手段は少なくとも2つ以上の温度検知部材が配設されており、それらの前記温度検知部材から温度制御に用いるものを各温度制御部材からの出力情報に基づき選択するものとする。これにより温度分布を軽減し、印字を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【選択図】図7
【解決手段】定着装置を、励磁手段と、発熱部材と、加圧手段と、温度検知手段とを備え、前記発熱部材は、常温では磁性を有するも所定の温度以上では磁性が無くなる整磁材料からなる透磁性導電層を有し、また前記温度検知手段は少なくとも2つ以上の温度検知部材が配設されており、それらの前記温度検知部材から温度制御に用いるものを各温度制御部材からの出力情報に基づき選択するものとする。これにより温度分布を軽減し、印字を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、電子写真方式又は静電記録方式の複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に用いられる定着装置、特に、トナーで形成されている未定着の画像を電磁誘導加熱方式によって紙その他の記録材に加熱定着する定着装置およびこの定着装置を用いた画像形成装置に関する。
近年、複写機、ファクシミリ、プリンタなどに用いられる加熱定着装置(単に定着装置とも呼ぶ)の、省エネルギーに関する取り組みが盛んに行われている。そしてその有力な構成として、電磁誘導加熱方式を採用することが盛んに行われている。電磁誘導加熱方式の定着装置においては、励磁コイルに交流電流が印加され、この励磁コイルの周囲に交番磁界が発生する。そして発生した交番磁界が導電体と鎖交することによって誘導電流が発生し、この誘導電流により導電体に生じた熱が未定着画像の記録材への定着に用いられる。
また、定着装置内において加熱はされるものの記録材は通過しない領域である非通紙領域が昇温の際に過昇温するいわゆる非通紙領域過昇温の課題に対して、キュリー温度が所定温度に設定された整磁金属を発熱体として用いて自己温度制御を行い、過昇温を防止する構成も提案されている。
図23はそのような提案の加熱定着装置におけるヒータと各紙サイズの記録材が通紙される領域との位置関係を示した図である。この加熱定着装置は、通紙可能な全てのサイズの記録材が通過する通紙域と、小サイズの記録材は通過しない非通紙領域とにそれぞれ設置した温度検知素子を備え、温度を立ち上げる(温度の低い状態にある発熱体を加熱定着のために発熱させる)際に各温度検知素子が検知した温度により温度立ち上げ用の発熱体を選択することで長手方向の温度差を防止するものである。(例えば特許文献1参照)。
図24は他の提案に係る画像加熱定着装置の要部正面模型図である。この画像加熱定着装置は、定着ローラの中央部温度を検知する第1のサーミスタと、端部温度を検知する第2のサーミスタとが配設されており、第1のサーミスタの検知温度に基づいて発熱部材の加熱を制御(温度制御)し、また第2のサーミスタの検知温度に基づいて、発熱部材の所定領域の温度を低下させる温度低下部材を温度低下有効位置と待避位置との間において移動させて、通紙範囲外が異常昇温することを防止するものである。(例えば特許文献2参照)。
また、図25はさらに他の提案に係る定着部の断面構成図である。この定着部は、定着ローラの最大発熱部近傍の温度を検知する第1の温度検知手段と、最大発熱部の回転方向下流側の温度を検知する第2の温度検知手段とを有し、温度制御手段は前記温度検知手段のうち少なくとも一つの温度検知手段で得られた温度情報に基づき発熱を制御(温度制御)して、異常昇温状態における安全性の確保と定着ニップ部で与える熱量の正確な制御を行えるようにしたものである。(例えば特許文献3参照)。
特開2000−235326号公報
特開2005−208624号公報
特開2005−55477号公報
しかしながら、2つの温度検知素子の検知した温度により温度立ち上げ時の発熱体を選択するだけの上述の従来の構成では、発熱を行う領域(便宜的に、発熱分布と呼ぶ)は各発熱体の幅に限られておりまたその発熱はその幅内においてほぼ一様(各部の温度にかかわらずほぼ一様に昇温する)なので記録材の幅によってはその幅における温度立ち上げ時の温度分布が均一にとりきれず、従って、幅の狭い記録紙を通過させた場合、記録紙の幅と発熱分布とが適合していないと温度が高い又は低いところができて、定着不良やオフセットや光沢ムラ、しわを生ずるといった課題があった。
2つのサーミスタにより定着ローラの温度を検知し、通紙範囲外での検知温度に基づき温度低下部材を有効位置と待避位置との間において移動させる従来の構成では、構成が複雑でコストアップを招き、また温度分布における差(便宜上、単に温度分布とも呼ぶ)がある(所定の発熱をする領域内において温度が均一になってはいない)状態での温度の立ち上げにおいて、特許文献2には記載されていないが、温度低下部材が待避位置にあるときではその温度分布が残り、一方有効位置にあるときではその温度低下部材による温度低下効果が却って効きすぎるとより温度分布を招くと推察され、そのような温度分布が低減するまでの待機時間を要するといった課題があった。
定着ローラの最大発熱部近傍の温度を検知する第1の温度検知手段と、最大発熱部の回転方向下流側の温度を検知する第2の温度検知手段とを有し、温度制御手段は前記温度検知手段のうち少なくとも一つの温度検知手段で得られた温度情報に基づいて発熱を制御(温度制御)する従来の構成では、定着ローラ周方向の温度差を検知しニップ部の熱量の制御や異常昇温状態の安全性が確保されるが、定着ローラ軸方向の温度分布は依然解消されないといった課題があった。
本発明は、これらのような従来の課題を解決するものであり、前回及びそれ以前の画像形成(印字とも呼ぶ)に際し為された発熱動作の経緯(昇温及び降温の経緯)である温度履歴による温度分布が発熱手段の幅方向に残った状態で印字(定着)指令が出された場合でも、温度履歴によるその温度分布を速やかに低減し、よって温度分布が小さくなるまで印字(定着)動作を待機させることなく、効率的な印字を可能とした定着装置およびこの定着器と用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る定着装置は、面上に色材で画像が形成された記録材を加熱加圧してその色材をその記録材上に定着する定着装置であって、当該装置における定着動作をその制御条件に基づいて制御する制御手段と、前記制御手段に操作されて磁界を形成する励磁手段と、少なくとも一部が、前記励磁手段によって形成された磁界内にあって、その磁界の磁力線を内部に浸透させて発熱する発熱手段と、前記記録材と前記発熱手段とを互いに接触させてそれらの間に圧力を与える加圧手段と、温度を検知する温度検知部材を具備しておりその温度検知部材で前記発熱手段の幅方向所定の位置の温度を検知して前記制御手段へ出力する温度検知手段とを含み備え、前記発熱手段は、常温では磁性を有するも所定の温度以上では磁性が無くなる整磁材料からなる透磁性導電層を有し、また、前記温度検知手段は前記幅方向の位置がそれぞれ異なる少なくとも2つ以上の前記温度検知部材を有し、また、前記制御手段は、前記温度検知手段から温度制御に用いる温度検知部材をそれぞれからの出力情報に基づき選択し、そして、前記励磁手段を操作して前記発熱手段での発熱を制御する温度制御をその選択した温度検知部材からの出力情報に基づき行う構成を採る。
上記の構成により、本発明に係る定着装置は、例えば、幅の狭い記録材が連続通過(接触)された際には、発熱手段において、記録材が通過する部分は温度検知手段にてその温度が検知される温度(発熱)制御がなれるので設定温度となるが、記録材幅外の温度は発熱部材のキュリー温度より僅かに低い温度まで上昇してその温度で安定する。
その後、発熱手段全体の温度が室温に低下する以前に再度印字(定着)を行う時点では、発熱手段はその熱伝導率の低さに起因して軸方向に温度分布が残っている。あるいは、幅の広い記録材を連続通紙させた後の時でも、発熱手段の端部の熱は軸受部を通して移動するが、中央部の熱は発熱部材の熱伝導率の低さに起因して端部へほとんど移動しないので、軸方向に温度差のある温度分布(軸方向の温度分布とも呼ぶ)が形成されている。そして、このように温度履歴による軸方向の温度分布が残っている状態で次の印字(定着)の準備のために発熱部材を設定温度まで再発熱させる時も、その温度は、一般には均一にならずに温度分布が残る。
しかし、本発明では、温度(発熱)制御を少なくとも2つの温度検知部材の検知温度の低い方の検知温度を基に行うので、温度の低かった部分は設定温度に昇温されて温調され、また、温度の高かった部分は、設定温度より高温に発熱するものの、整磁材からなる透磁性導電層の比透磁率が低下し、磁束密度が低下するので、発熱効率が低下し発熱量は低下して設定温度との差は低減される。すなわち、温度の低かった部分と温度の高かった部分との温度差つまり発熱手段の温度分布における差が抑えられる。したがってこのような発熱手段では温度分布における差が小さくなるまで印字(定着)動作を待機させる必要がなく効率的な印字が可能となり、エネルギーの消費量も低減できる。
そのような本発明によれば、連続通紙時の記録材幅外の過昇温の抑制と、温度履歴による温度分布が残った状態での印字(定着)準備時において、温度分布上の差が迅速に低減でき、印字(定着)動作開始までの待機時間を解消して効率的な印字が可能となり、待機時間における消費電力の低減を実現することができる。
本発明の実施の第1の形態は、面上に色材で画像が形成された記録材を加熱加圧してその色材をその記録材上に定着する定着装置であって、当該装置における定着動作をその制御条件に基づいて制御する制御手段と、前記制御手段に操作されて磁界を形成する励磁手段と、少なくとも一部が、前記励磁手段によって形成された磁界内にあって、その磁界の磁力線を内部に浸透させて発熱する発熱手段と、前記記録材と前記発熱手段とを互いに接触させてそれらの間に圧力を与える加圧手段と、温度を検知する温度検知部材を具備しておりその温度検知部材で前記発熱手段の幅方向(記録材が走行ものであるときにはその走行方向に直交した方向)所定の位置の温度を検知して前記制御手段へ出力する温度検知手段とを含み備える定着装置である。そして、前記発熱手段は、常温では磁性を有するも所定の温度以上では磁性が無くなる整磁材料からなる透磁性導電層を有する。また前記温度検知手段は前記幅方向の位置がそれぞれ異なる少なくとも2つ以上の前記温度検知部材を有し、また前記制御手段は、前記温度検知手段から前記発熱手段での発熱の制御(温度制御)に用いる温度検知部材をそれぞれからの出力情報(出力値、すなわち検知された温度)に基づき選択し、そして、前記励磁手段を操作してその温度制御をその選択した温度検知部材からの出力情報に基づき行うる構成となっている。
つまり、整磁材料からなる発熱手段の温度を検知する温度検知部材を少なくとも2つ以上配設させており、前回及びそれ以前の画像形成(印字とも呼ぶ)に際し為された発熱動作の経緯(昇温及び降温の経緯)である温度履歴による温度分布が残った状態で印字(定着)指令が出された場合、発熱の制御(温度制御)に用いるものを2以上の前記温度検知部材からそれぞれの出力情報に基づき特定して選択し、その選択された温度検知部材を用いてその温度制御を行う定着装置である。
このような定着装置は、熱容量が少ない。そしてキュリー温度以下の場合には、励磁手段からの磁力線が透磁性導電層の表面に付近に浸透して、急速に発熱する。一方、温度がキュリー温度を超えた場合にその領域では、励磁手段からの磁力線が透磁性導電層の厚み全体に浸透し肉厚全体に誘導電流が流れる。誘導電流の流れる部分の厚さが大きく変化すると、その結果抵抗値が変化し、一定電流で励磁されている元では、発熱量がその抵抗値に比例して変化するので、発熱量が低下し、過昇温が抑制されるという作用を有する。
また、前回の印字後発熱手段の温度が室温に戻る前に次の印字指令が出された場合、発熱手段には、印字した記録材や印字枚数や印字終了後の経過時間等により種々の温度履歴による温度分布が残っている。例えば、小さなサイズの記録材で印字した場合は、中央部より端部の方が高い温度分布を有し、本装置において使用可能な最大サイズの記録材(最大記録材とも呼ぶ)で印字した場合は、発熱体である発熱手段の整磁材料の熱伝導率の低さにより中央部が端部より高い温度分布を有する。
また、本形態の定着装置は、少なくとも2つ以上の温度検知部材の出力情報に基づいて温度分布の軽減に有効な温度検知部材を選択して温度制御することにより、温度分布の速やかな軽減が可能となり、温度分布軽減のために待機する必要がなく、効率的な印字および消費電力の低減が可能となる。
これらのように、本形態は、ウォームアップ時の迅速な立ち上げと、連続通紙時の記録材幅外の過昇温の抑制とを両立させて共に実現することができ、さらに、温度履歴による温度分布を速やかに低減し、効率的な印字と消費電力の低減も実現することができる。
本発明の実施の第2の形態は、上記第1の形態において、前記温度検知手段は、その温度検知部材の少なくとも1つはいずれ(当該定着装置にて定着可能な全ての記録材について)の幅の記録材もが接触(当該箇所に対して接して通過)する前記発熱手段の箇所の温度を検知し、他の少なくとも1つの温度検知部材は最大記録材の幅端部と接触(端部が当該箇所に対して接して通過)する前記発熱手段の箇所の温度を検知する定着装置である。
このような定着装置は、温度検知部材が、少なくとも、当該定着装置にて定着可能な記録材の最小幅に当たる位置と最大幅に当たる位置との2箇所に配設されているので、それらの温度検知部材での検知温度を基に、いずれの記録材で印字した後も発熱手段の温度分布をほぼ的確に得ることが可能であり、従って最適な制御条件を選択することで速やかな温度分布の低減が可能となる。
本発明の実施の第3形態は、上記第1の形態において、前記温度検知手段は、その温度検知部材の少なくとも1つはいずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知し、また、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差(出力値の差、すなわちすなわち検知された温度の差)が所定値以下ならば、いずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知する温度検知部材をその温度制御用に選択するように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度検知部材間の出力差が所定値以下、言い換えれば、発熱手段上の各箇所の温度差が小さいので、当該定着装置にて定着可能な全ての記録材が接触する前記発熱手段の箇所の温度を基に温度制御することで、記録材のいずれのサイズについても速やかな印字開始が可能であり、よって印字開始までの消費電力の低減が可能である。
本発明の実施の第4の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択するように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度検知部材間の出力差が所定値以上、言い換えれば、発熱手段上の各箇所の温度差が大きくても(大きな温度分布が残っていても)、検知された温度がより低い温度検知部材で温度制御を行うことになり、このとき一部箇所において温度が温度制御における目標温度を超えたとしてもその箇所では整磁材料における作用により過昇温は抑えられるので、発熱手段全体として結果的に速やかな温度分布の低減が可能である。
本発明の実施の第5の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材をそれぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき選択するように構成した定着装置である。
このような定着装置は、定着される記録材の幅をその情報によって特定でき、かつその幅における発熱手段の温度を速やかに所定の温度にする温度制御を行うための最適な温度検知部材を温度検知部材それぞれからの出力情報によって選択できるので、そのようにして選択した温度検知部材を用いて、記録材の通過する部分の温度を設定温度にすることが可能で速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第6の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を、それぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき、前記発熱手段のその記録材幅端部付近の温度を推定して、選択し、かつ所定の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、定着される記録材の幅をその情報によって特定でき、かつその幅における端部付近の温度を温度検知部材それぞれからの出力情報によって推定して、その幅における発熱手段の温度を速やかに所定の温度にする温度制御を行うための最適な温度検知部材を選択できるので、そのようにして選択した温度検知部材を用いて、記録材の通過する部分の温度をより設定温度に近づけることが可能で、速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第7の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を、それぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき、前記発熱手段のその記録材幅端部付近の温度を推定して、選択し、かつ所定の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行い、ここで、その所定の設定温度は印字準備中と印字中とでは異なる温度とするように構成した定着装置である。
このような定着装置は、定着される記録材の幅をその情報によって特定でき、かつその幅における端部付近の温度を温度検知部材それぞれからの出力情報によって推定して、その幅における発熱手段の温度を速やかに所定の温度にする温度制御を行うための最適な温度検知部材の選択及び目標温度の設定をするので、そのようにして選択し又は設定した温度検知部材及び目標温度での温度制御によって温度分布を迅速に低減することが可能で、速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第8の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ定着温度より低い第2の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を定着温度よりも僅かに低い温度(第2の設定温度)とすべく温度制御を行うことができ、その温度制御によって低温箇所は定着温度を超えることなく第2の設定温度(定着温度よりも僅かに低い温度)にまで速やかに昇温され、一方そのように昇温されたときでも発熱手段が整磁材料で成っているゆえ高温箇所でも過昇温がキュリー温度までに抑えられる。このように、最適な温度検知部材を用いて記録材の通過する部分の温度をより温度制御における本来の目標温度である定着温度に近づけることが可能で、速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第9の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度(例えば定着温度)より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を所定の設定温度(例えば定着温度)よりもさらに高い温度(第3の設定温度)とすべく温度制御を行うので、その温度制御によって低温箇所は第3の設定温度へ速やかに昇温されるが、このとき発熱手段に例えば大きな温度分布が残っていたことから局部的に過昇温があったとしても発熱手段が整磁材料で成っているゆえその過昇温はキュリー温度までに抑えられ、かつ高温箇所も同様に過昇温はキュリー温度までに抑えられている。そして、そのような状態になった後に温度制御の目標温度を所定の設定温度(定着温度)とすることで、発熱手段の全体をその温度(定着温度)にすることができる。このように、大きな温度分布が残った場合でも速やかな温度分布の低減が可能で速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第10の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度(例えば定着温度)より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして記録材を当該装置に所定数通した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を所定の設定温度(例えば定着温度)よりもさらに高い温度(第3の設定温度)とすべく温度制御を行うので、その温度制御によって低温箇所は第3の設定温度へ速やかに昇温されるが、このとき発熱手段に例えば大きな温度分布が残っていたことから局部的に過昇温があったとしても発熱手段が整磁材料で成っているゆえその過昇温はキュリー温度までに抑えられ、かつ高温箇所も同様に過昇温はキュリー温度までに抑えられている。そして、そのような状態で記録材を当該装置に所定数通すことで発熱手段の通紙された範囲(この範囲においては装置構造上一般的に発熱の効率が非通紙領域に比べ比較的良い)における温度が第3の設定温度からやや下がって所定の設定温度(定着温度)に近づくので、その後に温度制御の目標温度を所定の設定温度(定着温度)として温度制御したとき、発熱手段はそのような範囲における温度が速やかにその温度(定着温度)になる。このように、大きな温度分布が残った場合でも速やかな温度分布の低減が可能でより速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第11の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度(例えば定着温度)より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして前記発熱を抑制して所定時間経過後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を所定の設定温度(例えば定着温度)よりもさらに高い温度(第3の設定温度)とすべく温度制御を行うので、その温度制御によって低温箇所は第3の設定温度へ速やかに昇温されるが、このとき発熱手段に例えば大きな温度分布が残っていたことから局部的に過昇温があったとしても発熱手段が整磁材料で成っているゆえその過昇温はキュリー温度までに抑えられ、かつ高温箇所も同様に過昇温はキュリー温度までに抑えられている。そして、そのような状態で前記発熱を抑制して所定時間経過させることで発熱手段の温度が第3の設定温度からやや下がって所定の設定温度(定着温度)に近づくので、その後に温度制御の目標温度を所定の設定温度(定着温度)として温度制御したとき、発熱手段は温度が速やかにその温度(定着温度)になる。このように、大きな温度分布が残った場合でも速やかな温度分布の低減が可能で速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第12の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度(例えば定着温度)より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして前記発熱を抑制して温度が所定の設定温度まで低下した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を所定の設定温度(例えば定着温度)よりもさらに高い温度(第3の設定温度)とすべく温度制御を行うので、その温度制御によって低温箇所は第3の設定温度へ速やかに昇温されるが、このとき発熱手段に例えば大きな温度分布が残っていたことから局部的に過昇温があったとしても発熱手段が整磁材料で成っているゆえその過昇温はキュリー温度までに抑えられ、かつ高温箇所も同様に過昇温はキュリー温度までに抑えられている。そして、そのような状態で前記発熱を抑制して発熱手段の温度が所定の設定温度(定着温度)に低下するのを待って、その後に温度制御の目標温度を所定の設定温度(定着温度)として温度制御するので、発熱手段は温度が直ちにその温度(定着温度)にて安定する。このように、大きな温度分布が残った場合でも速やかな温度分布の低減が可能で速やかな印字開始が可能となる。
本発明の実施の第13の形態は、上記第1の形態において、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、その温度制御用にまずそれら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材を選択し、かつ、温度制御のための目標温度として所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、その後の印字中は、いずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知する位置に配置した温度検知部材を用いて、前記温度制御を行うように構成した定着装置である。
このような定着装置は、温度制御に用いる温度検知部材及び目標温度をそのように選択し又は設定することで、高温箇所に比べ所定以上に温度が低い低温箇所における温度を所定の設定温度(例えば定着温度)よりもさらに高い温度(第3の設定温度)とすべく温度制御を行うので、その温度制御によって低温箇所は第3の設定温度へ速やかに昇温されるが、このとき発熱手段に例えば大きな温度分布が残っていたことから局部的に過昇温があったとしても発熱手段が整磁材料で成っているゆえその過昇温はキュリー温度までに抑えられ、かつ高温箇所も同様に過昇温はキュリー温度までに抑えられている。そして、そのような状態でその後の印字中は、いずれの幅の記録材もが接触する発熱手段の箇所の温度を検知する位置に配置した温度検知部材を温度制御に用いるので、発熱手段は通紙されてもその領域の温度が適切に温度制御され安定に保たれる。このように、大きな温度分布が残った場合でも速やかな温度分布の低減と速やかな印字開始が可能となり、記録材通過部分の正確な温度制御が可能となる。
本発明の実施の第14の形態は、上記第9〜13の形態において、所定の設定温度より高い前記第3の設定温度をTh、前記透磁性導電層キュリー温度をTcとした場合、Tc−Th≧15℃の関係が成立するように構成した定着装置である。
このような定着装置は、第3の設定温度まで昇温するときに昇温速度が低下することなく、また励磁用電源における負荷変動動作が不安定になることがない。
本発明の実施の第15の形態は、上記第1の発明において、前記発熱手段は、前記透磁性導電層を挟んで前記励磁手段と対向した側に形成された非磁性導電層をさらに有する定着装置である。
このような定着装置は、発熱手段における熱に温度分布差があっても熱伝導率の高い非磁性導電層でその層が形成された領域全体へ伝熱されて均一化されるので記録材が通紙されない領域である記録材非接触部分(非通紙領域)の過昇温がより確実に抑制可能となり、温度分布の低減を一層効果的に行うことが可能である。
本発明の実施の第16の形態は、上記第1の形態において、前記発熱手段は、前記透磁性導電層を挟んで前記励磁手段と対向した側に形成された非磁性導電層をさらに有し、形成されたその非磁性導電層の幅が、最大記録材の幅より広く、かつ前記透磁性導電層の幅より狭い定着装置である。
このような定着装置は、発熱手段における熱に温度分布差があっても熱伝導率の高い非磁性導電層でその層が形成された領域全体へ伝熱されて均一化されるが、このとき非磁性導電層での熱伝導は透磁性導電層が形成されている加熱手段全体に及ぶことなく、すなわち記録材が通紙されない領域への伝熱(つまり放熱)がされることなく、最大記録材より僅かに広い範囲(記録材が通紙される範囲にほぼ等しい)における温度分布差を効率的に低減することが可能である。
本発明の実施の第17の形態は、上記第1から第16の形態の何れか一における定着装置を用いた画像形成装置である。
このような画像形成装置は、ウォームアップが速く、幅の狭い記録材を連続通紙させた場合の非通紙領域の過昇温を防止し、温度履歴による温度分布が残った状態で印字指令が出された場合に、迅速な温度分布の低減が可能で、速やかな印字開始が可能である。
以下に、本発明に係る加熱定着装置又は画像形成装置の実施例について図面を用いて詳細に説明する。なお、これらの実施例に本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1としての加熱定着装置を具備した画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1は、本発明の実施例1としての加熱定着装置を具備した画像形成装置の概略構成を示す図である。
同図に示すように、この画像形成装置の画像形成装置本体100には、電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という)101が回転自在に配設されている。
図1において、感光ドラム101は、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動されながら、その表面が帯電器102によってマイナスの所定の暗電位V0に一様に帯電される。
レーザービームスキャナ103は、図示しない画像読取装置又はコンピュータ等のホスト装置から画像情報の時系列電気デジタル画素信号を入力し、その信号に対応して変調させたレーザービーム104を出力する。
一様に帯電された感光ドラム101の表面は、レーザービーム104によって走査露光される。これにより、感光ドラム101の露光部分は電位絶対値が低下して明電位VLとなり、感光ドラム101の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、後述するように、現像器105のマイナスに帯電したトナーで反転現像され、顕像(トナー像)化される。
現像器105は、回転駆動される現像ローラ106を備えている。
現像器105内において、現像ローラ106は、感光ドラム101に対向して配置されており、その外周面上にトナーの薄層が形成される。そして、現像ローラ106には、その絶対値が感光ドラム101の暗電位V0よりも小さく、明電位VLよりも大きい現像バイアス電圧が印加されており、これにより、現像ローラ106の外周面上のトナーが、感光ドラム101表面上の明電位VLの部分(静電潜像が形成された部分)にのみ転写されて、静電潜像が顕像化され、感光ドラム101上に未定着トナー像(以下、「トナー像」という)111が形成される。
一方、給紙部107からは、記録材としての紙、フィルムその他の記録紙109が給送ローラ108によって一枚ずつ給送される。
給送された記録紙109は、一対のレジストローラ110によって、感光ドラム101と転写ローラ112とのニップに、感光ドラム101の回転と同期した適切なタイミングで送られる。ニップにおいて、感光ドラム101上のトナー像111が、転写バイアスが印加された転写ローラ112により、記録紙109上へ転写される。
このようにしてトナー像111が形成担持された記録紙109は、記録紙ガイド114により案内されて感光ドラム101から分離された後、加熱定着装置(以下、「定着装置」という)200の定着部位に向けて搬送される。そして、この定着部位に搬送された記録紙109に、定着装置200によってトナー像111が加熱定着される。
トナー像111が加熱定着された記録紙109は、定着装置200を通過した後、画像形成装置本体100の外部に配設された排紙トレイ115上に排出される。
記録紙109が分離された後の感光ドラム101は、その表面の転写残トナー等の残留物がクリーニング装置113によって除去され、繰り返し次の画像形成に供される。
図2および図3は本発明の実施例1に係る定着装置の構成を示す断面模型図である。これらの図で示すように、定着装置200は、発熱手段210、加圧手段220、温度検知手段230、および励磁手段240を有している。
発熱手段210は少なくとも発熱ローラ211を含んでおり、発熱ローラ211は、直径が例えば40mmの円筒形状のローラで、断熱ブッシュ212を介して軸受213に支持され、トナー像が形勢担持された記録紙109を矢印方向へ搬送するように、回転する。
図4は発熱ローラ211の表層部分を拡大した断面模型図である。その図4に示すように、発熱ローラ211は、その中心軸に近い方から順に、透磁性導電層214と保護層216と離型層217とが積層されて構成されている。
透磁性導電層214は、キュリー温度が所定の温度となるように設定された、整磁材料からなっており、例えば直径が40mm、肉厚が0.7mm、全長が385mmの中空円筒形状に成形されている。発熱ローラ211の熱容量を考慮すると、透磁性導電層214を薄くして熱容量を小さくし、発熱ローラ211の温度を速やかに上昇させるのが望ましい。しかし、キュリー温度以下において、透磁性導電層214の厚みが表皮深さより薄いと、磁力線は透磁性導電層214を貫通して、発熱効率が低下し好ましくない。このため、透磁性導電層214は、この層を形成する整磁金属の表皮深さよりも厚くしておくことが望ましい。具体的には、透磁性導電層214の肉厚は、0.2mmから1mmであることが好ましい。
透磁性導電層214を形成する整磁材料としては、例えば鉄とニッケルの合金または鉄とニッケルとクロムの合金などが用いられる。そして、これらの各金属の配合を調整することにより、整磁材料のキュリー温度を所定の温度に設定することができる。本実施例においては、透磁性導電層214を形成する整磁材料のキュリー温度を、トナーの定着温度(本実施例では180℃としている)に近い210℃に設定してあるものとする。したがって、透磁性導電層214は、温度が210℃以下では強磁性体としての特性を示すが、温度が210℃を超えると非磁性体としての特性を示す。この場合、整磁材料の固有抵抗は81.5×10-8Ωmであった。なお、キュリー温度は210℃に限らず、他の温度に設定してもよい。
発熱ローラ211は厚み約1mmの板材からなる整磁材料をロール状に曲げて溶接し、端部をカップ状に加工し、これをスピニング加工により薄肉化し、直径40mm、厚み0.7mm、長さ385mmのローラ形状としたものである。加工法としてはもちろんこれに限定されるものではなく、ロール状に曲げて溶接後しごきにより管材を薄肉化するアイアニング加工や、引抜加工によって一次仕上げ後、機械加工により外形を仕上げて薄肉円筒体にする方法などがある。なお、いずれにしても肉厚の薄い管材にする場合、整磁材料に塑性加工を施し、強い機械的ストレスを掛けることでその磁気特性が大きく変化してしまう。
図5はこのスピニング加工を施した直後の比透磁率の温度特性を示したものである。比透磁率の温度特性は45A/m、30kHz交流磁場の条件下での測定値を示す。比透磁率は、Tsで示す168℃近辺から低下を初めキュリー温度Tc=222℃でほぼ非磁性となる。なお、比透磁率が半減する温度(この温度を半減値と呼ぶ)Thは204℃であった。Tsは、整磁材料の比透磁率が低下し始める温度を意味する。次に、この加工直後の発熱ローラ210を窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下800℃で1時間保持した後200℃以下に徐冷するアニール処理を施したものが図6にその特性を示す本発明の発熱ローラ211である。図5と比較して解るようにアニール処理後は透磁率の変化が急峻になり半減値Thは205℃でアニール前とほぼ同じであるがキュリー温度Tcは210℃、比透磁率の低下し始める温度Tsは195℃となった。
なお、保護層216および離型層217は本アニール処理後に形成する。
以上のことから比透磁率の低下し始める温度Tsは、定着設定温度(単に設定温度とも呼ぶ)よりもできるだけ高い温度に設定することが望ましいが、これに合わせてキュリー温度を高く設定すると記録材幅外の過昇温が高くなり過ぎ好ましくない。キュリー温度としては定着装置200に用いられる耐熱性樹脂の耐熱温度を考慮して220℃以下のできるだけ低い温度であることが望ましい。
保護層216は、透磁性導電層214の外周面にめっき、メタライジング等により形成された、肉厚が例えば2μmのニッケル層である。保護層216は、透磁性導電層214の表面を覆うことにより、透磁性導電層214の酸化を防止し、耐久性を向上するとともに、離型層217の密着性が向上し剥離を防止する。保護層216としては、ニッケルの代わりに、クロムや亜鉛などを用いた肉厚が3μm程度の薄膜を形成してもよい。保護層216の肉厚が1μm以下となると、酸化防止層としての働きが不十分になる場合がある一方、10μmを超えると、熱容量が大きくなりウォームアップに時間がかかってしまい、また、記録材通過時に定着温度維持するための印加電力が増加し好ましくない。
離型層217は、例えばPTFE、PFA、またはFEPなどのフッ素樹脂からなっており、保護層216の外表面に本装置において使用可能な最大サイズの記録材(最大記録材という。本実施例ではA3判紙)の通紙幅(本装置にて通紙されるときに、その走行方向に直交した方向線上の、記録材が通る範囲の長さ[幅]。最大幅とも呼ぶ。なお、「最大記録材幅」は、最大記録材の通紙幅の意であり、本実施例では、A3判紙の短辺)より少し大きい320mmの範囲に亘って形成された、肉厚が例えば20μmの層である。
なお、保護層216と離型層217との間にシリコーンゴム層を設けて、発熱ローラ211に弾力性を持たせてもよい。
再度図2および図3において、加圧手段220は、加圧ローラ221を、両端を図示しない軸受にて回転可能に支持するとともに、図示しない付勢手段により発熱ローラ211に圧接して記録紙109が通過するニップを形成する。加圧ローラ221は、発熱ローラ211の回転に従動して、記録紙109を矢印方向へ搬送するように中心軸周りに回転(図では時計回り)する。ここでは、加圧ローラ221が発熱ローラ211の回転に従動するものとしたが、加圧ローラ221を回転させて発熱ローラ211を従動させてもよい。
また、加圧ローラ221は、例えば硬度JISA10度のシリコーンゴムなどの熱伝導性が小さい弾性層222と芯金223よりなっており、弾性層の外径は30mm、長さは315mmに成形されており、小さな付勢力で所定のニップが形成される構成となっている。
なお、弾性層222の材料としては、例えばフッ素ゴムおよびフッ素樹脂などの耐熱性樹脂や他のゴムあるいはスポンジなどの発泡性樹脂を単独あるいは積層して用いてもよい。また、耐摩耗性や離型性を高めるために、PTFE、PFA、またはFEPなどの樹脂やゴムを単独又は混合して弾性層222の外周面を被覆することが望ましい。
図7は励磁手段240と温度検知手段230との関係を示す模型図である。
図2、3および7において、励磁手段240は少なくとも発熱ローラ211の外部に配置された励磁コイルユニット241と、励磁用電源246とを含み、マイクロコンピュータで構成された制御手段247に励磁用電源246が操作されて交流電流が励磁コイルユニット241へ供給される。励磁コイルユニット241は絶縁性保持部材242とコイル243とコア部材244とを含んでおり、絶縁性保持部材242によりコイル243が発熱ローラ211と所定間隔を保って保持されている。コイル243は、発熱ローラ211の約半周にリッツ線を周回させて形成されており、励磁用電源246により交流電流が流れることにより、発熱ローラ211が含まれた周囲に磁界を発生させる。コア部材244は例えばフェライトやパーマロイなどの透磁率および固有抵抗が高い磁性材料によって形成され、コイル243を覆うように配置される。コア部材244はコイル243によって発生する磁力線のうち発熱ローラ211とは反対側に発生する磁力線の通路となる。
励磁コイルユニット241による磁界は最大記録材の幅より僅かに広い315mmの範囲に亘って発生可能に構成されている。
なお、本実施例に係る励磁コイルユニット241は発熱ローラ211の外部から発熱ローラ211を励磁するため、消耗品である発熱ローラ211などの部品の交換やメンテナンスの作業効率が良好である。
温度検知手段230は、図7に示すように、全てのサイズの記録材が通過する位置に配置された第1温度検知部材231と、最大記録材が通過する端部付近に配置された第2温度検知部材232とを少なくとも含んでおり、第1、2温度検知部材231、232は発熱ローラ211の外周面に当接して設けられ、発熱ローラ211の温度を検知する。本実施例1の定着装置には最も小さな記録材としてA5縦送り、最も大きな記録材としてA3縦送りまでの記録材が中央部を基準にして通紙可能となっており、第1温度検知部材231はその全ての記録材が通過する部分、例えば記録材の中央部に配置され、第2温度検知部材232は最も大きな記録材(A3)の端部が通過する部分、具体的には記録材の中央部から145mmの位置に配置されている。
温度検知手段230によって発熱ローラ211の温度が検知されると、例えば制御手段247によって給送ローラ108による記録紙109の給送開始が指示されたり、励磁用電源246から励磁コイルユニット241への交流電流の供給が制御されたりする。より具体的には、温度検知手段230によって発熱ローラ211の温度がトナー像111の定着に適した温度になったことが検知された場合は、制御手段247によって給送ローラ108の動作開始が指示され、印字が開始される。また、温度検知手段230によって発熱ローラ211の温度が所定の閾値よりも高くなったことが検知された場合は、励磁用電源246から励磁コイルユニット241への交流電流の供給が制御される。
次いで、上記のように構成された定着装置の動作について説明する。
図8は発熱ローラ内を流れる誘導電流を説明するための図であり、図中のハッチングで示した部分に誘導電流が流れることを示している。
まず、発熱ローラ211の温度がいま室温である場合について説明する。
画像形成装置100は、その電源切断時やスリープ状態時には、通常、定着装置200の発熱ローラ211の温度が、室温程度にまで低下し続け、本実施例のキュリー温度である210℃よりも大幅に低温となっている。
そして、画像形成装置100は、印字を行うために電源が投入されたりスリープ状態から復帰したりする際には、トナー像111の定着に適した温度にまで発熱ローラ211を昇温する。
すなわち、印字(定着)の指示が出されると、第1、第2温度検知部材231、232の検出温度が制御手段247にて比較される。このとき、発熱ローラ211は室温になっており、第1、2温度検知部材231、232の出力に差はない。この場合は第1温度検知部材231の検出温度に基づき、発熱ローラ211の温度が制御され、励磁用電源246から励磁コイルユニット241に電圧が印加され、交流電流が流れる。ここで、この交流電流の周波数は、20〜100kHzであることが望ましい。本実施例1においては、この周波数を20〜60kHzとした。そして、発熱ローラ211は、励磁コイルユニット241に交流電流が流れることにより発生した磁力線(磁束)が透磁性導電層214と鎖交し、表皮効果によって透磁性導電層214の外周面付近、図8(a)のハッチングで示した部分に誘導電流を誘導し、ジュール熱によって透磁性導電層214が発熱する。
やがて発熱ローラ211が昇温してトナー像111の定着に適した設定温度(定着温度)にまで発熱すると、第1温度検知部材231によって発熱ローラ211の温度が検知され、制御手段247によって昇温を停止し、その設定温度(定着温度)を保つように制御される。なお、本実施例では定着温度は180℃としており、設定温度を180℃に設定し、励磁コイルユニットに約1200Wの電力を投入することで最大記録材幅(A3判紙短辺)全幅を室温25℃から約24.5秒で定着温度まで昇温させることができた。
次に連続して記録材を通過させる場合の動作を説明する。
図9はサイズの異なる記録紙109を連続通紙させた時の発熱ローラ211の軸方向の温度分布を示した図である。なお、発熱ローラ211の温度は、前述のように、第1温度検知部材231の出力温度に基づき設定温度である定着温度に温度(発熱)制御されている。
A4用紙をその縦(長辺)方向に連続通紙させるとその時の温度分布は図9に実線で示したようになる。
すなわち、記録紙109の接触するA4縦幅内は180℃の一定温度に制御されるが、A4縦幅の外は記録紙109が接触することは無く熱を奪われない。ここで、励磁手段240による電力は記録材幅より僅かに広い範囲に投入されているので、その結果、発熱ローラ211は、A4縦幅の外側では急激に温度が上昇し、キュリー温度に近づいていく。
しかし、発熱ローラ211は、温度がキュリー温度に近づくとその部分の透磁率が急激に低下して磁性を無くし、その結果励磁コイルユニット241の発生する磁束は透磁性導電層214の表面付近から、その肉厚全体に広がる。図8(b)は、そのハッチングで示した部分が、この状態における、励磁コイルユニット241の発生する磁束により誘起される誘導電流の流れる部分であり、肉厚全体に誘導電流が流れることを示している。このように誘導電流の流れる部分の厚さが大きく変化すると、それだけ抵抗値が変化したことになり、一定電流で励磁されている元では、発熱量がその抵抗値に比例して変化するので、本実施例の場合、発熱量は約2分の1以下になり、その結果、温度は約205℃に抑えることができる。このことにより、定着装置は、記録材の通過する間隔を長くしたり、連続通過させる枚数を制限することなく連続出力が可能になった。
一方、最大記録材幅(本実施例ではA3判紙短辺)での通紙であるA4用紙をその横(短辺)方向に連続通過させた場合は図9に破線で示したようにA4横送りの両端の一部を除き、ほぼ均一に180℃に保たれる。これは、励磁手段240による電力が記録材幅より僅かに広い範囲に投入されているゆえ、記録材と接触しない記録材幅外の発熱範囲の温度は180℃より少し高くなるが、励磁手段240の電力投入範囲に対し、記録材と接触しない範囲の比率が小さいので、その範囲内における発熱量が少なくなっていることによる。そして、記録材幅外においても、A4用紙縦送りの場合よりその温度は低くなっている。
なお、本実施例1では A4用紙縦送りとA4用紙横送りについてのみ示したが、記録材のサイズはこれに限定されることはなくあらゆるサイズでこの原理(作用)は働き、自動的に記録材幅外の過昇温が抑えられることは言うまでもない。
また、記録材幅外の温度は記録材の連続通過の速度及び通過間隔、記録材の厚みにも影響される。これは励磁コイルユニット241全体に投入される電力がこれらの条件によって大きく左右されるからである。しかし、ほとんどの場合、キュリー温度以下に過昇温を抑制することが出来るので、ゴム材の寿命の低下や、軸受の損傷を発生することもなく、信頼性の高い定着器を実現できる。
つづいて、幅がA4横サイズの記録材を連続通過させた後、発熱ローラ211全体の温度が室温に低下する以前に再度印字(定着)指令が出された場合について説明する。
図10は印字(定着。定着のことを本明細書においては便宜上印字とも呼ぶ)終了後再度設定温度に立ち上げる場合の発熱ローラ211の軸方向温度分布を示す。ここで、細い実線は幅がA4横サイズの記録材を連続500枚印字後60秒経過時点での発熱ローラ211の軸方向温度分布を示す。印字終了後、励磁コイルユニット241には通電されておらず、発熱ローラ211は伝熱や放熱により全体的に温度が低下しており、中央部で約137℃、端部で約105℃となっており、連続通紙時には殆ど差のなかった中央部と記録材端部との温度差が大きくなっている。これは、発熱ローラ211はその端部付近では軸受を通して熱が伝達して温度が下がるが、透磁性導電層214を形成する整磁材料の熱伝導率が小さく、中央部の熱が端部へほとんど移動しないからと考えられる。このように、上記のような軸方向に温度分布が残る現象には、発熱ローラ211の透磁性導電層214を形成している整磁材料の熱伝導率が小さいことが大きく影響している。そのようなことから、電磁誘導加熱方式の定着装置に一般的に用いられている鉄を発熱ローラ211に用いた場合は、整磁材料を用いた場合より、軸方向の温度分布は小さくなるが、幅の狭い記録材で印字したときには記録材が通過しない部分の過昇温がさらに大きくなり、連続して印字を行うことができない。
そのような温度履歴の残っている状態で、印字(定着)指令を受けて励磁コイルユニット241に通電すると、発熱ローラ211自体は、その通紙域全体にほぼ均一な磁束が鎖交し、均一に発熱する。そして、このような発熱ローラ211に対して従来例のようにその中央部に配置した第1温度検知部材231の検出温度を基に発熱の制御(温度制御)した場合、発熱ローラ211の軸方向温度分布は、図の太い破線で示すように、中央部は約180℃の設定温度になるが、端部は約161℃と設定温度より低く、従って定着不良やオフセットや光沢ムラの発生が懸念される。
一方、本発明の実施例1としての構成であるところの、最大記録材が通過する端部付近に配置された第2温度検知部材232の検知温度を基に温度制御した場合には、発熱ローラ211の軸方向温度分布は、図10の太い実線で示すように、端部は約180℃、中央部は約190℃と全体的に高めになるが、第1温度制御部材231の検知温度を基に温度制御した場合より中央部と端部との温度差が小さくなっている。
これは、励磁コイルユニット241の磁束がほぼ均一に発生し、発熱ローラ211を均一に発熱させるところ、前述したとおり中央部が温度履歴により高い温度となった温度分布を有しているゆえ、まず中央部が設定温度に到達する。しかし、その時、端部に配置された第2温度検知部材232の検知温度は設定温度より低いので、制御手段247は励磁用電源246にそこから継続して電力を印加させる。その後、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度に到達すると、制御手段247は励磁用電源246からの電力を大幅に低下させ、設定温度を保持する。この時、発熱ローラ211の中央部は、透磁率が減少しており、誘導電流の発生する部分が発熱ローラ211の肉厚に近づいているので、発熱量が低下していることによる。なお、図5および図6に示した整磁材料の比透磁率の温度特性は45A/m、30kHzの交流磁場における測定値であるが、実際の印字準備のための立ち上げ時にはこの磁場より大きな磁場が作用しており、図6の比透磁率の温度特性より低い温度から比透磁率は変化を始めていると考えられる。
このように、発熱ローラ211は、温度履歴による中央部と端部との温度差を保ったまま全体的に温度が上昇するのではなく、所定の温度(Ts)に至って透磁率が変化点を始めた部分はそこでの発熱量が低下するので、温度差が徐々に減少しつつ全体的に一定の温度になるような温度上昇をし、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度である180℃になった時点においても中央部の温度は190℃に抑えられた。発熱ローラ211のこのような温度分布により、定着不良やオフセットや光沢ムラやしわを生ずることなく印字を行うことができた。
図10の細い破線は、本発明との比較のため、発熱ローラとして鉄ローラを用いた場合であって第2温度検知部材232の検知温度を基に温度制御したときの温度分布を示す。前述した温度履歴により第1温度検知部材231の検知温度の方が第2温度検知部材232の検知温度より高いが、第2温度検知部材232の検知温度を基に温度制御するので、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度になるまで、励磁コイルユニット241に電力が印可され、発熱ローラ211が昇温される。このような構成では、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度に到達した時の発熱ローラ211の軸方向の温度分布は図10に細い破線で示すように、中央部が約206℃、端部が約180℃と、端部より中央部が約26℃高くなっており、本発明に係る整磁材料からなる透磁性導電層を有した発熱手段の構成より中央部と端部との温度差が大きく、オフセットや光沢ムラやしわの発生が懸念される。
以上述べてきたとおり、本実施例1の定着器では、温度履歴による温度分布を有した状態で印字の準備として再度励磁コイルユニット241に通電を行う場合、少なくとも二つの温度検知部材の検知温度の内低い温度を検知した温度検知部材の検知温度を基に温度制御を行うことにより、迅速に軸方向温度分布を低減することが可能で、温度分布低減のために待機時間を設けることなく速やかに効率的な印字を行うことが可能となった。
なお、実施例1に記載したように、温度履歴を有した状態で検知温度の低い温度検知部材の温度を基に温度制御することにより、温度分布を軽減させることは、発熱ローラの透磁性導電層を整磁材料で形成したゆえに可能になったものである。すなわち、本実施例では、整磁材料を発熱ローラの透磁性導電層に用いたことによって、その磁気的特性から温度が高かった部分の透磁率が低下して磁束の浸透深さが深くなり、その結果抵抗が変化して発熱量が減少し、温度分布を軽減することを可能にした。因みに、発熱ローラを鉄で形成した場合にはこのような効果は望めず、温度分布が小さくなるまで待機することとなり、効率的な印字ができない。
(実施例2)
本発明の実施例2は、発熱ローラ211の内部に励磁コイルユニット241を配置し、キュリー温度を設定した整磁材料からなる透磁性導電層(後述する非磁性導電層との対比において高透磁性導電層とも呼ぶ)214の外周に非磁性(本発明において非磁性とは透磁率が透磁性導電層のそれとは明らかな差をもって低いことをいう)導電層215を形成した定着装置であり、このような構成によって、発熱ローラ211の非通紙部(非通紙領域)の過昇温をより一層確実に防止し、かつ温度履歴のある状態で立ち上げた場合の温度分布の低減を早期に実現するものである。
本発明の実施例2は、発熱ローラ211の内部に励磁コイルユニット241を配置し、キュリー温度を設定した整磁材料からなる透磁性導電層(後述する非磁性導電層との対比において高透磁性導電層とも呼ぶ)214の外周に非磁性(本発明において非磁性とは透磁率が透磁性導電層のそれとは明らかな差をもって低いことをいう)導電層215を形成した定着装置であり、このような構成によって、発熱ローラ211の非通紙部(非通紙領域)の過昇温をより一層確実に防止し、かつ温度履歴のある状態で立ち上げた場合の温度分布の低減を早期に実現するものである。
本実施例2に係る画像形成装置の概略構成は、実施例1(図1)と同様であるため、その説明を省略する。本実施例においては、定着装置の構成のみが実施例1と異なっている。
図11および図12は本実施例の定着装置の構成を示す断面模型図である。図13は発熱ローラ211の詳細な構成を示すに一部断面図である。
図11〜13において、発熱ローラ211は、少なくとも透磁性導電層214と非磁性導電層215と保護層216と離型層217とが積層されて構成されている。高透磁性導電層214は、実施例1と同様の整磁材料の中空円筒形状で肉厚が0.6mmに成形されている。非磁性導電層215は、例えば固有抵抗が1.68×10-8Ωmの銅などの非磁性材料からなっており、高透磁性導電層214の外周面にめっき、メタライジング等により、記録材の最大幅より少し大きい320mmの範囲に亘って加工が施された、肉厚が例えば0.015mmの層である。なお、非磁性導電層215の材料としては、固有抵抗が7×10-8Ωm以下のものが望ましく、銅の他には固有抵抗が2.7×10-8Ωmのアルミニウム、6.1×10-8Ωmの亜鉛、1.62×10-8Ωmの銀および2.3×10-8Ωm金などでも良い。非磁性導電層215の肉厚は、0.015mmから0.06mmに設定することが望ましい。0.015mm以下では記録材非通過(接触)部分の過昇温の防止効果が不十分となり、0.06mm以上では、熱容量が増加して立ち上げ時の昇温速度が遅くなる。
励磁コイルユニット241は絶縁性保持部材242にコイル243が螺旋状に捲回されて発熱ローラ211内部に所定間隔を保って保持されている。コイル243は細い線材を束ねたリッツ線が好適である。励磁コイルユニット241は、励磁用電源246から高周波電流が供給されることにより、発熱ローラ211を誘導加熱する(発熱させる)ものであり、非磁性導電層215より僅かに狭い315mmの範囲を加熱可能に構成されている。励磁コイルユニット241には絶縁性保持部材242の他に磁気回路の結合を高めるフェライト等よりなる図示しないコア部材を用いてもよい。また励磁コイルユニット241のように磁束が発熱ローラ211の全周に亘るものや、発熱ローラ211の内面に対向する状態でリッツ線を発熱ローラ211の一端から他端に向かって捲回される構成のもの、あるいは、発熱ローラ211の内面の約180度の範囲に亘って対向するように捲回される構成のものでもよい。
絶縁性保持部材242はコイル243を保持すると共に、絶縁性を確保するものであり、本実施例の場合は、中空の軸となっており、連続動作時に中空内部に空気の流れを生じさせて、コイル243の発熱を低減することが可能な構成となっている。絶縁性保持部材242の形状は、中空の軸に限らず、中実の軸あるいは円弧状等コイル243の形状に合わせた形状でもよい。
次いで、上述したように構成された定着装置の発熱の原理(作用)について説明する。
本実施例2においても発熱ローラ211の温度がキュリー温度以下である場合は、励磁手段240に交流電流が流れることにより、励磁コイルユニット241の周囲に磁束が発生する。発生した磁束は、高透磁性導電層214と鎖交し、表皮効果により高透磁性導電層214の内面に誘導電流を誘導し、ジュール熱によって高透磁性導電層213の内面を発熱させる。
一方、発熱ローラ211の温度が上昇し、キュリー温度に近づくと、高透磁性導電層214の比透磁率が激減し磁力線がこの層を貫通する。高透磁性導電層214を貫通した磁力線は、非磁性導電層215に浸透し、誘導電流を誘導し、この誘導電流が磁束を打ち消す方向に作用して反発磁界を発生させ、その結果、励磁コイルユニット241による磁束を大幅に減衰させ、磁束密度が低下する。さらに非磁性導電層215の固有抵抗は1.68×10-8Ω・mと高透磁性導電層214の固有抵抗81.5×10-8Ω・mより格段に小さいことも相まって、透磁率の変化点をこえた部分の発熱量が低下する。よって最大記録材幅より小さなサイズの記録材を通過させても、非通過部分が異常に高温になることはない。また、非磁性導電層215は最大記録材幅より僅かに広く形成され、誘導コイルユニット241による磁束発生幅は、最大記録材幅より広く、非磁性導電層215より僅かに狭く形成されており、非磁性導電層215の熱伝導率は大きいことから、発熱ローラ211は、最大記録材幅内の温度ムラが低減される一方、高透磁性導電層214である整磁材料の低熱伝導性により、端部への熱流出は僅かとなり、最大記録材幅より僅かに広い範囲を効率的に加熱できるので、定着装置における印加電力の更なる低減が可能な構成となっている。
次に、図14はA4横送り連続印字時の発熱ローラ211の軸方向温度分布であって、実線は非磁性導電層214の厚みを0.03mmとし、その長さを320mmとした場合、破線は非磁性導電層214をその厚みを0.03mmとして、高透磁性導電層214からなる発熱ローラ211の全長に亘って形成した場合の温度分布を示す。
図14から判るように、非磁性導電層214を発熱ローラ210の全長に亘って形成した場合、両端部の温度が低下しており、通過する最大記録材の幅より僅かに大きい320mmの範囲に非磁性導電層214を形成した場合は、記録材のほぼ全幅に亘って均一な温度分布を示している。
すなわち、発熱ローラ211は、キュリー温度が210℃に調整された整磁金属で構成されており、その熱伝導率は13W/m・Kと小さく、非磁性導電層215として形成した銅の熱伝導率は398W/m・Kと大きい。全長に亘って非磁性導電層215を形成した場合は、励磁コイルユニット241による発熱部分以外の、発熱ローラ211両端部へ向かって非磁性導電層215を通って熱が移動し、軸受213等を通じて熱が流出し、記録材幅内の両端部において温度ムラが発生している。非磁性導電層215を320mmの範囲に形成した場合は、非磁性導電層215の範囲外は、熱伝導率の小さい整磁材料を通じて熱が移動するのみであり、端部からの熱流出は極端に小さくなり、温度ムラは発生しなかった。
非磁性導電層215の幅を最大記録材の幅と等しく形成すると、記録材相当幅の端部において、記録材の通過位置の変動や、励磁コイルユニット241による磁界発生幅変動があった場合、非磁性導電層215により低減することができず、温度ムラが発生する場合があり、従って、非磁性導電層215の幅は、最大記録材より僅かに大きいことが望ましい。
発熱ローラ211の全幅に非磁性導電層215を形成した場合、温度ムラがないように励磁コイルユニット241の発生磁束分布を調整することは可能であるが、その場合は非磁性導電層215を最大記録材幅より僅かに大きく形成した場合に比べて、端部付近の温度低下を補正するために印加電力が増加する。
また、励磁コイルユニット241による発生磁界のバラツキによる温度ムラについても、熱伝導率の大きな非磁性導電層214を形成することにより低減可能である。
なお、非磁性導電層214について、銅を使用した場合についてこれまで説明したが、銅に限定されるものではなく、熱伝導率が237W/m・Kのアルミニウム、114.3W/m・Kの亜鉛、87.9W/m・Kのニッケル、294W/m・Kの金、418W/m・Kの銀等でも同様の効果は得られる。このとき、それぞれの金属において、固有抵抗、熱伝導率が異なり、前述の効果が得られる厚みは異なる。本発明者らの実験では、銅の場合は0.015mmから0.060mm、アルミニウムの場合は0.025mmから0.060mm、亜鉛の場合は0.055mmから0.060mの場合に、同様な効果が得られることが判った。
以上のように、キュリー温度を所定の温度に設定された整磁材料からなる高透磁性導電層214からなる発熱ローラ211に最大記録材より僅かに広い範囲に非磁性導電層215の薄膜を形成することにより、そのような発熱ローラ211を用いた定着装置は、迅速な立ち上がりが可能で、記録材幅外の過昇温を防止しつつ、温度ムラの防止ならびに端部への熱流出を防止し、印加電力が低減できるものになる。
また、励磁手段240が発熱ローラ211の内部に配置されており、発熱ローラ211表面に付着残留したトナーを除去するクリーニング手段や記録材の分離手段の配置が容易であり、小型化が可能な定着装置が実現できる。
つづいて、A4縦送りで連続印字した後、発熱ローラ211の温度が室温に低下する以前に次の印字指令が出された場合について説明する。
図15はA4縦方向送りでの連続500枚印字後、中央部の温度を設定温度に保つ温度制御を行った場合において、先の連続印字終了から所定時間経過した時の発熱ローラ211の軸方向温度分布を示す。
図15に示すように印字終了直後は記録材幅外の温度は高い(細い実線)が時間の経過とともに中央部と記録材非通過部分の温度差がなくなり、図15にて表示しないが約90秒後にはほぼ均一となり、それ以降は端部の温度が低くなる。これは発熱ローラ211からの熱はほぼ均一に放出されるが、非磁性導電層215により熱伝導は改善されているものの、非磁性導電層215は最大記録材より僅かに広い320mmの範囲にのみ形成されており、よって端部から軸受部にかけては熱伝導率の低い整磁材料なので熱伝導率が低く、従って主に軸受部付近の熱が軸受部を通じて図示しない支持体等へ伝熱により失われるからと考えられる。
また図16はA4縦方向送りでの連続500枚印字直後に励磁コイルユニットへの通電を断ったその60秒後の軸方向温度分布を示す。全体的に温度が低下しているが、端部付近が中央部より約14℃高い温度分布が残っている。
このような発熱ローラ211の温度変化について、種々の温度履歴の条件と、第1、2温度検知部材231、232で検知された温度の情報(温度情報と呼ぶ)と、主要な記録材の情報(記録材の端部に相当する位置[発熱ローラ211を基準としたその軸方向についての位置]の情報)とはこれらを関連付けることが可能なので、印字準備時に、第1、2温度検知部材231、232の何れかの検知温度を基に温度制御した場合の各種記録材の端部に相当する位置の温度が推定できるよう、それらをデータテーブル化して制御手段247にそのマイクロコンピュータが読み出し可能な状態で記憶している。具体的には、中央部−最大記録材端部(発熱ローラ端部。以下、最大記録材端部又は発熱ローラ端部のことを単に「端部」とも呼ぶ、言い換えれば、特に断りなく単に「端部」と呼んだときには最大記録材端部又は発熱ローラ端部を言っている)間の現時点の温度差、主な記録材サイズのその端部に相当する位置の現時点の温度、第1、第2温度検知部材231、232の検知温度を基に温度制御したときの中央部、最大記録材端部及び主な記録材の端部に相当する位置の各温度等をデータテーブルとして制御手段247に登録している。したがって、第1、2温度検知部材231、232の温度情報と印字する記録材の情報(記録材サイズ)とが判れば、そのデータテーブルを参照することで、第1、2どちらの温度検知部材の検知温度を基に温度制御した方が温度分布がより小さくなるかが判定可能なので、定着装置は、温度分布のより小さくなる温度検知部材の検知温度を基に温度制御することが可能となっている。これらのデータテーブルは主要な記録材で印字した場合についての全ての情報が記憶されている。図17はそのような温度制御条件を表したデータテーブルの例である。なお、図中の「制御温度」とは第1温度検知部材又は第2温度検知部材の検知温度がそれを基に温度制御して目標温度(定着温度)に至った時の各箇所における温度をいう。
ここで印字動作終了後、発熱ローラ211の温度が室温に戻る前に次の印字指令が出される場合の代表的なケースについて順に説明する。
まず、A4縦送り500枚印字終了後設定温度を維持した状態で、その3分後にA4横送り印字の指令が出された場合について説明する。
まず、第1、2温度検知部材231、232の温度が比較され、発熱ローラ211の中央部の温度(第1温度検知部材231の検知温度)を設定温度に維持する温度制御によって、その制御を開始して3分後、図15に太い破線で示すように、第1温度検知部材231の検知温度は約180℃となるが、第2温度検知部材232(中央部から145mmの位置)の検知温度は約156℃となっており、つまり第2温度検知部材の方が約24℃低い検知温度となっており、この温度状態のままで記録材がニップを通過すると定着不良を起こす懸念がある。そこで、第1温度検知部材231の検知温度を基に温度制御していた状態から変えて、次に発熱ローラ211の端部の温度(第2温度検知部材232の検知温度)を基に温度制御することにより、励磁コイルユニット241には第1温度検知部材231の検知温度を基に温度制御していたときより大きな電力が印可され(検知温度が第2温度検知部材の方が低いので)、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度になるまで昇温される。
図18は、そのように昇温されて第2温度検知部材232の検知温度が設定温度に到達した時の発熱ローラ211の軸方向の温度分布を示す。
図18に実線で示すように、発熱ローラ211は中央部が約190℃、端部が約180℃と、端部より中央部が約10℃高くなっているが、定着装置はオフセットや光沢ムラやしわを生ずることなく正常に印字を行うことができた。
このように、中央部と端部との温度差が、第1温度検知部材231の検知温度を基にした温度制御では約24℃あったものが、第2温度検知部材232の検知温度を基にした温度制御としたことで約10℃になり、大幅に低減できた。これは、励磁コイルユニット241の磁束はほぼ均一に発生し、発熱ローラ211を均一に発熱させるが、中央部が高い温度履歴を有しているため、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度に到達前に、中央部の温度は整磁材料の透磁率の変化点を過ぎて透磁率が減少し、磁束が高透磁性導電層を貫通して非磁性導電層に浸透し、非磁性導電層215においても誘導電流が流れ、この誘導電流により励磁コイルユニット241の磁束を打ち消す方向に反発磁界が発生し、磁束を大幅に減衰させる。非磁性導電層215の固有抵抗は1.68×10-8Ω・mと高透磁性導電層214の固有抵抗81.5×10-8Ω・mより格段に小さいことと相まって、透磁率の変化点をこえた部分の発熱が大幅に低減される。したがって中央部と端部の温度差を保ったまま全体的に温度が上昇するのではなく、透磁率の変化点を超えた部分の発熱量が低下し温度差が減少しつつ全体的に温度が上昇したからである。
このとき、第2温度検知部材232の検知温度に基づき温度制御する設定温度を温度制御における本来の目標温度(定着温度である180℃。便宜上、本来の設定温度とも呼ぶ)より僅かに低い第2の設定温度として、温度制御した場合は、図18に破線で示す軸方向の温度分布となる。具体的には第2の設定温度を176℃とした。この場合には、端部付近の温度が176℃になったとき、中央部の温度は約188℃となり、端部を本来の設定温度180℃で制御した場合より、一層本来の設定温度に近い温度分布が得られ、中央部と端部の温度差が低減できた。
つぎに、A4縦送り500枚印字終了後中央部の温度を維持した状態で、その1分後にA4縦送り印字の指令が出た場合について説明する。
まず、第1、2温度検知部材231、232の検知温度が比較され、発熱ローラ211の中央部の温度(第1温度検知部材231の検知温度)を設定温度に維持する温度制御によって、その制御を開始して1分後、図15に太い実線で示すように、第1温度検知部材231は180℃となるが、第2温度検知部材232(中央部から145mmの位置)は175℃と第2温度検知部材232の検知温度の方が5℃低い検知温度となった。図15に示すように、この時のA4縦送りの記録材端部相当位置の温度は約183℃であり、第1温度検知部材231の検知温度に基づいて制御手段247にて温度維持した状態のままで印字可能と判定され、記録材の通紙を開始することにより、問題なく定着動作が行われ、記録材非通過部分の温度も205℃を越えることなく印字を行うことができた。
つぎに、A4縦送り500枚印字終了直後にA4横送りの印字指令が出された場合について説明する。
まず、第1、2温度検知部材231、232の検知温度が比較される。図19において、破線はA4縦送り500枚印字直後の温度分布を示す。A4縦送り500枚印字終了直後は、図19に示すように、第1温度検知部材231は180℃、第2温度検知部材232(中央部から145mmの位置)は204℃であり、第2温度検知部材232の検知温度の方が約24℃高くなっており、この温度状態のままで記録材を通紙させるとオフセット光沢ムラやしわの発生が懸念される。
この場合には設定温度を少し高い第3の設定温度にして再立ち上げすることにより温度分布が軽減できる。図19において、太い実線は第1温度検知部材231の検知温度を基に、本来の設定温度より15℃高い第3の設定温度195℃で温度制御した場合の軸方向温度分布を示す。第1、2の温度検知部材231、232の検知温度は、第1温度検知部材が195℃、第2温度検知部材(中央部から145mmの位置)が204℃、端部付近の最も温度の高い部分で207℃となった。印字指令が出される前に温度の高かった端部は、印字準備開始直後から透磁率が低下し発熱量が激減しており、それゆえ発熱ローラの発熱動作によってもほとんど昇温せず、端部と中央部の温度差は最大で12℃に軽減できた。
図19の細い実線はその状態から設定温度を本来の設定温度180℃に戻して温度制御した場合の温度分布を示す。熱容量の小さな発熱ローラ211は速やかに温度が低下した。そして、中央部が設定温度180℃になった時の端部の最高温度は192℃であり、この時点で記録材の通紙(定着)を開始しても、オフセットや光沢ムラやしわを生ずることなく印字を行うことができた。
このように、中央部の温度より端部の温度の方が高い場合、第1温度検知部材231の設定温度を本来の設定温度より高い第3の設定温度にすることにより、温度分布が低減するまで待機する場合より短時間で印字準備を終了し印字を開始することができた。
図20は、発熱ローラとして鉄ローラ用いてA4縦送り50枚印字直後にA4横送り印字の指令が出された場合の温度分布を示す。
図20において、破線はA4縦送り50枚印字終了時点の温度分布を示す。この時、記録材が通過しない部分の温度は約220℃となっており、加圧ローラの耐熱温度の限界に近く、これ以上印字を続けることは困難である。
図20の実線はA4縦送り50枚印字が終了した直後に印字指令が出され、第1温度検知部材231の検知温度の方が第2温度検知部材232の検知温度より高く、かつその温度差も大きいため、第2温度検知部材232の検知温度を基に第3の設定温度195℃で温度制御し、第1温度検知部材232の検知温度が第3設定温度の195℃に到達した時の発熱ローラ211の軸方向の温度分布を示す。この時、中央部が約195℃、端部が約235℃と、印字終了時点より端部の温度が高くなっており、この状態で印字を開始することは困難であり、温度分布が低減されるまで、印字を受け付けることができず、待機時間が長くなる。
つづいて、A4横サイズ(最大記録材幅)の記録材を連続通過させた後、発熱ローラ211の温度が室温に低下する以前にA5縦送りの印字指令がきた場合について説明する。
図21において、破線はA4横サイズでの連続500枚印字終了後、60秒経過時点の発熱ローラ211の軸方向温度分布を示す。印字終了後、励磁コイルユニット241には通電されておらず、発熱ローラ211は伝熱や放熱により全体的に温度が低下しており、中央部で135℃、記録材(A4横サイズの記録材)端部(つまり最大記録材端部)で94℃となっており、連続通紙時には殆ど差のなかった中央部と記録材端部の温度差が大きくなっている。
そのような温度履歴の残っている状態で印字指令がきたとき、まず第1、第2温度検知部材の検出温度が制御手段247で比較される。この時、第1、2温度検知部材の温度差は41℃あり、A5縦送りの記録材端部相当位置との温度差は図から分かるように3℃である。これらの温度差ついて、制御手段247は、前述したデータテーブルから、端部温度は低いが、記録材端部相当位置の温度は第1温度検知部材231の検知温度を基に制御可能な(そのような制御が適当である)許容範囲内と判定し、第1温度検知部材231の検知温度を基に制御することとなる。そして、励磁コイルユニット241に通電されると、発熱ローラ211はその通紙域全体にほぼ均一な磁束が鎖交し、均一に発熱する。このとき制御手段247は、発熱ローラ211の中央部に配置された第1温度検知部材231の検出温度を基に温度制御しており、その中央部がやがて定着温度になる。その時、発熱ローラ211の端部は定着温度より低い153℃であったが、A5縦の端部相当位置は176.5℃となっており、この発熱ローラ211で正常に印字できた。
前述した温度履歴に対して第1温度検知部材231の検出温度を基にした温度制御をとったことより、第2温度検知部材232の検知温度を基に制御する場合より、その温度履歴があった分、中央部は早く定着温度に達し、速やかな印字動作が可能となった。また、印字開始時点の端部温度が低い分、非通紙部分が飽和温度に到達するまでの時間が遅くなった。さらに、この時、発熱ローラ211の最大記録材端部に相当する部分の温度は153℃と低く、従って、端部に配置した第2温度検知部材232の検知温度を用いて温度制御する場合に比較して、端部の温度を設定温度にまで昇温していないので、印字準備中(印字指令時から印字動作が可能になるまでの期間)の印加電力が低減できた。
つづいて、同様にA4横サイズの記録材を連続通過させた後、発熱ローラ211の温度が室温に低下する以前にB4縦送りの印字指令がきた場合について説明する。
図21において破線で示したとおり、A4横サイズでの連続500枚印字終了後、発熱ローラ211は中央部で135℃、端部で94℃となっている。また、B4縦送りの端部に相当する位置の温度は、111℃となっており、中央部との温度差が24℃とやや大きい。この場合も、前述したデータテーブルを参照することにより、印字指令が出された記録材のサイズと第1、2温度検知部材231、232の検知温度とそれらの温度差とによりその温度差のまま印字可能か否かが判定可能である。
具体的には、第1温度検知部材と、第2温度検知部材との温度差が41℃あり、一方、B4縦送りの記録材端部相当位置と中央部との温度差が24℃であり、データテーブルから、この温度差は、中央部温度は高いが、第2温度検知部材232の検知温度を基に制御可能(適当)な許容範囲内と判定されるので、第2温度検知部材232の検知温度を基に制御することとなる。そして、励磁コイルユニット241に通電されると、発熱ローラ211はその通紙域全体にほぼ均一な磁束が鎖交し、均一に発熱する。このとき制御手段247は、発熱ローラ211の端部に配置された第2温度検知部材232の検出温度を基に温度制御しており、図21に細い実線で示すように、その端部がやがて設定温度になる。その時、中央部は定着温度より高い190℃であったが、この発熱ローラ211でオフセットや光沢ムラやしわを生ずることなく印字することができた。
つぎに、印字終了後低電力モードに入りその後A4横送りの印字指令が出された場合について説明する。
図22において、太い破線は、A4横サイズを連続500枚印字後低電力モードに入って10分経過時点の発熱ローラ211の軸方向温度分布を示す。印字終了後、低電力モードとして第1温度検知部材231の検知温度を基に定着温度より低い150℃に温度制御されているが、発熱ローラ211は、伝熱や放熱により端部の温度が低下しており、中央部で150℃、端部で100℃となっている。つまり、連続通紙時には殆ど差のなかった中央部と記録材(A4横サイズの記録材)端部(つまり最大記録材端部)との温度差が大きくなっている。
そのような温度履歴の残っている状態で印字指令が出されると、まず第1、第2温度検知部材231、232の検知温度が制御手段247で比較される。この時、第1温度検知部材231の検知温度が150℃、第2温度検知部材232の検知温度が105℃である。よって、それらの検知部材での温度の差が45℃なので、制御手段247により、前述したデータテーブルが参照されて、第2温度検知部材232の検知温度を基に温度制御するものとし、さらにこのとき、その温度制御での立ち上げ時の設定温度を本来の設定温度より高い第3の設定温度(195℃)とすると判定され、そのような温度制御がされることになる。
そして、印字準備が開始され、励磁コイルユニット241に通電される(立ち上げられる)と、発熱ローラ211は、その通紙域全体にほぼ均一な磁束が鎖交し、均一に発熱する。このとき制御手段247は、発熱ローラ211の端部に配置された第2温度検知部材232の検出温度を基に温度制御しており、その第2温度検知部材232の検知温度がやがて本来の設定温度180℃になった時の温度分布は、図22に細い実線で示すとおり、中央部が本来の設定温度より高い202℃となっており、端部と中央部との温度差が22℃とやや大きくなっている。これは、端部が設定温度に到達する以前に中央部は透磁率の変化点に到達して透磁率が低下し、発熱量が減少するが、再度立ち上げる前の中央部と端部との温度差が大きく、その温度分布をこの間までには除ききれないことによるものである。このような発熱ローラ211では、オフセットや光沢ムラやしわを生ずる懸念がある。
しかし、本実施例では前述したとおり設定温度を本来の設定温度より15℃高い第3の設定温度195℃に設定しているので、励磁コイルユニット241への通電がさらに継続され、この結果、図22において太い実線で示すように、端部の温度が第3の設定温度195℃に到達した時には、中央部の温度は205℃であり、よって温度差は10℃となり、温度分布は大幅に軽減されている。
その後、設定温度を本来の設定温度180℃に戻すことにより、やがて、図22に細い破線で示すように、端部が180℃、中央部が190℃となった。これは、第2温度検知部材232の設定温度を高くしたことにより、励磁コイルユニット241への通電が引続き行われ、中央部は、その温度をさらに上昇させようとはするが、キュリー温度により近づき透磁率がより一層減少し、非磁性導電層に流れる誘導電流による反発磁界が一層増加して発熱量が激減し、その結果、端部との温度差が減少したからと推察される。そして、この発熱ローラ211を用いては、オフセットや光沢ムラやしわを生ずることなく印字することができた。
なお、第2温度検知部材232の検知温度が設定温度に到達後、さらに第1温度検知部材231にて本来の設定温度で制御した場合は、中央部が180℃、端部が170℃となり、この発熱ローラ211を用いても正常に印字ができた。
また、発熱ローラ211の温度が低下しやすい印字開始時は本来の設定温度(定着温度)より高い第3設定温度で温度制御して印字を開始し、そして、発熱ローラ211の温度が低下して本来の設定温度になった時点で、又は、所定枚数印字後に、若しくは、所定時間経過後に、温度制御における目標温度を本来の設定温度に変更してもよい。
また、記録材の肉厚が厚い場合は、温度制御における目標温度を本来の設定温度(定着温度)より高めにして温度制御し、その設定した温度に到達した時点で印字を開始し、そして、その高めの設定温度で温度制御を引続き行って印字を続けてもよい。
また、記録材が最大記録材の場合には、第2温度検知部材232の検知温度を基に温度制御して印字してもよい。
また、第3の設定温度について、本実施例2では設定温度より15℃高い195℃、つまり発熱ローラ211を形成する整磁材料のキュリー温度との差は15℃となっている。この第3の設定温度とキュリー温度との関係について、第3の設定温度があまりキュー温度に近すぎると、温度分布で温度の低かった部分が設定温度に到達する以前に透磁率変化の影響で発熱が減少して昇温が遅くなる。また発熱ローラ全体の透磁率が変化することとなり、励磁コイルユニット241との結合インピーダンスの変化が大きく、励磁用電源246の負荷変化が大きく電源の動作が不安定になるといった現象があらわれる。本発明者の研究では整磁材料のキュリー温度をTc、第3の設定温度をThとしたとき、Tc−Th≧15℃の関係が成立する場合、前述した昇温が遅くなる現象や励磁用電源の動作が不安定になる現象がなく、温度分布の低減が可能であった。
また、実施例2に記載したように、温度履歴を有した状態で少なくとも2つの温度検知部材の検知温度と記録材の情報とにより温度制御に用いる温度検知部材、及び設定温度を選択して温度制御することにより、温度分布を軽減させることは、発熱ローラの高透磁性導電層を整磁材料で形成したゆえに可能になったものである。すなわち、本実施例では、整磁材料を発熱ローラの透磁性導電層に用いたことによって、その磁気的特性から温度が高かった部分の透磁率が低下して磁束の浸透深さが深くなり、その結果非磁性導電層に磁束が浸透し、発生した反磁界により励磁コイルユニットの磁束が減少して発熱量が大幅に減少し、温度分布を軽減することを可能にした。因みに、発熱ローラを鉄で形成した場合には、このような効果は望めず、温度分布が小さくなるまで待機することが必要で効率的な印字ができない。
また、本実施例2では、二つの温度検知部材の例について記載したが、二つに拘ることなく三つ以上の温度検知部材を配置してより正確な温度分布の把握および低減を図ることも可能である。
また、発熱手段についても回転する円筒形のローラについての例示をしたが、この構成に拘ることなく、熱を移動させるベルトを用いた構成や同じくベルトを用いて励磁手段により励磁、発熱させられる発熱手段を固定した構成でも、本発明と同様の効果を得られることは明白である。
以上のように、本発明にかかる定着装置は、ウォームアップ時の迅速な立ち上がりと、連続通紙時の用紙幅外の過昇温の抑制が実現でき、温度履歴による温度分布が残った状態から迅速に温度分布を軽減して、速やかな印字を実行することが可能であり、電磁誘導加熱方式によって未定着画像を記録材に加熱定着する定着装置などに有用である。
200 定着装置
210 発熱手段
211 発熱ローラ
214 透磁性導電層
215 非磁性導電層
220 加圧手段
221 加圧ローラ
230 温度検知手段
231 第1温度検知部材
232 第2温度検知部材
240 励磁手段
241 励磁コイルユニット
246 励磁用電源
247 制御手段
210 発熱手段
211 発熱ローラ
214 透磁性導電層
215 非磁性導電層
220 加圧手段
221 加圧ローラ
230 温度検知手段
231 第1温度検知部材
232 第2温度検知部材
240 励磁手段
241 励磁コイルユニット
246 励磁用電源
247 制御手段
Claims (17)
- 面上に色材で画像が形成された記録材を加熱加圧してその色材をその記録材上に定着する定着装置であって、
当該装置における定着動作をその制御条件に基づいて制御する制御手段と、
前記制御手段に操作されて磁界を形成する励磁手段と、
少なくとも一部が、前記励磁手段によって形成された磁界内にあって、その磁界の磁力線を内部に浸透させて発熱する発熱手段と、
前記記録材と前記発熱手段とを互いに接触させてそれらの間に圧力を与える加圧手段と、
温度を検知する温度検知部材を具備しておりその温度検知部材で前記発熱手段の幅方向所定の位置の温度を検知して前記制御手段へ出力する温度検知手段と、
を含み備え、
前記発熱手段は、常温では磁性を有するも所定の温度以上では磁性が無くなる整磁材料からなる透磁性導電層を有し、
また、前記温度検知手段は前記幅方向の位置がそれぞれ異なる少なくとも2つ以上の前記温度検知部材を有し、
また、前記制御手段は、前記温度検知手段から温度制御に用いる温度検知部材をそれぞれからの出力情報に基づき選択し、そして、前記励磁手段を操作して前記発熱手段での発熱を制御する温度制御をその選択した温度検知部材からの出力情報に基づき行うことを特徴とする定着装置。 - 前記温度検知手段は、その温度検知部材の少なくとも1つはいずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知し、他の少なくとも1つの温度検知部材は最大記録材の幅端部と接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記温度検知手段は、その温度検知部材の少なくとも1つはいずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知し、
また、前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以下ならば、いずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知する前記温度検知部材をその温度制御用に選択することを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材をそれぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき選択することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を、それぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき、前記発熱手段のその記録材幅端部付近の温度を推定して、選択し、かつ所定の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を、それぞれからの出力情報と定着される前記記録材の幅が特定できる情報とに基づき、前記発熱手段のその記録材幅端部付近の温度を推定して、選択し、かつ所定の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行い、ここで、その所定の設定温度は印字準備中と印字中とでは異なる温度とすることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ定着温度より低い第2の設定温度をその温度制御のための目標温度として設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして記録材を当該装置に所定数通した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする、請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして前記発熱を抑制して所定時間経過後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする、請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、それら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材をその温度制御用に選択し、かつ、温度制御のための目標温度としてまず所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、そして前記発熱を抑制して温度が所定の設定温度まで低下した後に所定の設定温度を設定して、前記温度制御を行うことを特徴とする、請求項1記載の定着装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段から前記温度制御に用いる温度検知部材を選択するとき所定の部材間の出力差が所定値以上ならば、その温度制御用にまずそれら所定の部材のうち検知された温度がより低い温度検知部材を選択し、かつ、温度制御のための目標温度として所定の設定温度より高い第3の設定温度を設定していったん温度制御し、その後の印字中は、いずれの幅の記録材もが接触する前記発熱手段の箇所の温度を検知する温度検知部材を用いて、前記温度制御を行うことを特徴とする、請求項1記載の定着装置。
- 所定の設定温度より高い前記第3の設定温度をTh、前記透磁性導電層のキュリー温度をTcとして、Tc−Th≧15℃の関係が成立することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記発熱手段は、前記透磁性導電層を挟んで前記励磁手段と対向した側に形成された非磁性導電層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記発熱手段は、前記透磁性導電層を挟んで前記励磁手段と対向した側に形成された非磁性導電層をさらに有し、
形成されたその非磁性導電層の幅が、最大記録材の幅より広く、かつ前記透磁性導電層の幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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