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JP5065871B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱装置を用いた定着装置に関し、詳細には、電磁誘導加熱方式の加熱装置を用いた定着装置及び画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、印刷機、これらの複合装置などの画像形成装置においては、潜像担持体に担持したトナー像などの可視像を記録シートなどの記録材に転写することで画像出力を得る。トナー像は、定着装置を通過する際に熱と圧力とによる融解、浸透作用によって記録材上に定着させる。このように、定着装置に採用される加熱方式には、発熱源としてハロゲンランプなどを用いた加熱ローラとこれに対向当接する加圧ローラとを備えて定着ニップ部を構成可能な熱ローラ定着方式、ローラ自体よりも熱容量が小さくてすむフィルムを加熱部材として用いたフィルム定着方式があるが、近年、加熱方式に電磁誘導加熱方式を用いた定着装置が注目されている。
電磁誘導加熱方式を用いた定着方式においては、例えば、加熱ローラ又は定着ローラの内部においてボビンに巻いた誘導加熱コイルを設け、誘導加熱コイルに電流を印加することにより加熱ローラに渦電流を発生させ、それによって加熱ローラを発熱させる構成が備えられている。
この構成においては、フィルムを直接加熱でき、熱ローラ定着方式のような余熱を必要とせず、瞬時に所定の温度まで立ち上げることができるという利点がある。
電磁誘導加熱方式を用いた定着方式に関しては、高周波電源により高周波電圧が印加される誘導加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置が報告されているが、近年、省エネルギーの要求から低熱容量の定着装置に高周波誘導加熱を導入することで、電源ONから使用可能となるまでの時間の短い、クイックスタートアップが達成されている。
しかし、低熱容量の定着装置においては、有効加熱幅よりも幅の小さい小サイズを連続通紙した場合に、通紙部は転写紙に熱量が奪われるが非通紙部は熱量が奪われないために、非通紙部になる定着装置の端部の表面温度が上昇(以下、端部温度上昇)し、画像不良や高温状態になることにより寿命悪化を発生させていた。
このため、励磁コイル上に励磁コイルからの磁束をキャンセルする消磁コイルを設けることにより、誘導加熱幅を制御することで問題を回避する技術がすでに公開されている(例えば、特許文献1)。
特開2001−060490号公報、特に、図1を参照。
しかし、特許文献1に開示の技術では、対応できる定型サイズには限りがあり、ハガキサイズに消磁コイル形状を最適化したとき、それよりも大きいB5型縦送りの大きさの用紙を通紙した際、非通紙部最大温度を所望の温度以下に制御するため消磁量を制御すると、用紙端部位置も消磁されることで用紙端部の温度低下が発生し定着不良を発生させていた。または、定着表面温度偏差による、光沢度の不均一性が発生し、不快感を与える画像となっていた。これは低熱容量の定着装置では熱伝導断面積が減少するため、回転体の回転軸方向の熱伝導量も小さくなるため均熱作用が小さく、更に顕著となり大きな課題である。
さらに、端部温度が高くなり、定着装置の加熱ローラ等における弾性部材、保護膜等が損傷することがある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、消磁コイルによる温度制御性を向上させるとともに、省スペース、発熱均一性を可能とし、長期にわたって損傷を抑える定着装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明では、誘導磁束による加熱幅を消磁コイルにより制御する加熱装置において、消磁コイルを複数配置することで、加熱幅の制御性を向上させる。その際、複数配置することで励磁コイル構成が複雑化し、有効加熱幅全幅を均一発熱させる際の誘導磁束分布を悪化させないことを可能とする。並びに複数配置することにまつわる、励磁コイルユニットの巨大化を防ぎ、省スペースかつ加熱幅の制御性に優れている。
本発明の定着装置は、トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、定着ローラと、複数の励磁コイルにより磁束を発生させ、磁束によって前記定着ローラが有する発熱層を誘導発熱させる加熱装置とを備える定着装置において、前記加熱装置は、前記複数の励磁コイルを2組有し、前記2組の励磁コイルは、前記定着ローラの回転軸方向中心を対称軸として、回転軸方向に略対称に各々配置され、前記加熱装置は、前記2組の励磁コイルの各々の一部を周回するように、複数の消磁コイルを2組を備え、前記複数の消磁コイルは、消磁コイルの形成する内部のループ空間と、他の消磁コイルとは概ね重ならないように配置され、かつ、前記2組の消磁コイルの各々は、消磁コイルの一部を互いに重ね合わせて互い違いに2段で配置され、前記2組の消磁コイルの1段目同士及び2段目同士は、励磁コイルの巻き面から鉛直方向の略同一距離に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の定着装置は、さらに、消磁コイルの形成するループ空間には、磁性体からなるセンターコアが配置されていることを特徴とする。
また、本発明の定着装置は、さらに、複数の消磁コイルは、形成する内部ループ空間の大きさが異なることを特徴とする。
また、本発明の定着装置は、さらに、対称に配置された消磁コイルは、互いに接続されていることを特徴とする。
また、本発明の定着装置は、さらに、消磁コイルは、通電量をコントロールする制御手段により、発熱量を制御することを特徴とする。
また、本発明の定着装置は、さらに、消磁コイルは、スイッチ手段の切り替えにより、発熱量を制御することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、帯電した像担持体の表面に画像データに静電潜像を書き込む露光装置と、像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、可視像化する現像装置と、像担持体表面の可視像を記録部材に転写する転写装置と、像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、トナーを記録部材に定着する定着装置とを備える画像形成装置において、前記定着装置が、上述のいずれかの定着装置であることを特徴とする。
上記解決する手段によって、本発明の定着装置は、誘導磁束による加熱幅を消磁コイルにより制御し、消磁コイルを複数配置することで、加熱幅の制御性を向上させる。その際、複数配置することで励磁コイル構成が複雑化し、有効加熱幅全幅を均一発熱させる際の誘導磁束分布を悪化させないことを可能とする。並びに複数配置することにまつわる、励磁コイルユニットの巨大化を防ぎ、省スペースかつ加熱幅の制御性に優れている。
また、本発明の画像形成装置では、限られた定型サイズの用紙に対して消磁コイルの導通/非導通を切り替えることにより加熱幅を制御し特定の用紙サイズに対応することができた。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の定着装置の概念的構成を示す断面図である。図1において、磁束発生部で励磁コイル14、発熱回転体である定着ローラ16等、さらに、加圧回転体である加圧ローラ17を備える定着装置(A8)を示している。なお、図示の例の定着装置A8は、磁束発生部が備えるコイルを誘導加熱回路であるインバータ(図示せず)により高周波駆動することによって高周波磁界を発生させ、この磁界により、定着ローラ16の発熱層163に渦電流が流れるようにしてローラ温度を上昇させているものである。その他にサイドコア13、センターコア12、アーチコア11があり、励磁コイル14はアーチコア11と定着ローラ16の間に位置している。
定着ローラ16は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金と、耐熱性を有するシリコンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金を被覆した弾性部材とからなる。そして、加圧ローラ17からの押圧力でこの加圧ローラ17と定着ローラ16との間に所定幅の接触部を形成するために外径を40mm程度としている。弾性部材はその肉厚を0.5〜30mm程度、硬度を20〜80°(JIS K 6301硬度)程度としている。この構成により、熱容量は小さくなるので、定着ローラ16が急速に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
加圧ローラ17は、例えば、図示しないが、銅またはアルミニウム等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金と、この芯金の表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材とから構成されている。芯金には上記金属以外にSUSを使用しても良い。本実施の形態では、加圧ローラ17の硬度を定着ローラ16に比べて硬くすることによって、加圧ローラ17が定着ローラ16へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録媒体は加圧ローラ17表面の円周形状に沿うため、記録媒体が表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ17の外径は定着ローラ16と同じ40mm程度であるが、肉厚は0.3〜20mm程度で定着ローラ16より薄く、また硬度は10〜70°(JIS6301硬度)程度で前述したとおり定着ローラ16より硬く構成されている。
電磁誘導により定着ローラ16を加熱する誘導加熱装置10は、磁界発生手段である励磁コイル14と、この励磁コイル14が巻き回されたアーチコア11とを有している。アーチコア11は定着ローラ16の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル14は長い一本の励磁コイル線材をこのアーチコア11に沿って定着ローラ16の軸方向に交互に巻き付けたものである。
なお、励磁コイル14は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル14の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状のセンターコア12が、アーチコア11に固定されて励磁コイル14に近接配置されている。なお、本実施の形態において、コアは比透磁率が2500のものを使用している。
励磁コイル14には駆動電源から10kHz〜1MHzの高周波交流電流、好ましくは20kHz〜800kHzの高周波交流電流が給電され、これにより交番磁界を発生する。そして、定着ローラ16との接触領域およびその近傍部においてこの交番磁界が、発熱層163に作用し、これらの内部では交番磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。この渦電流が発熱層163の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として定着ローラ16接触領域およびその近傍部において電磁誘導加熱される。
ここでは、定着ローラ16は、直径が例えば40mmで、最も内側に芯金を備え、その外側に空気(スポンジ)による断熱層、基材層161、酸化防止層162、発熱層163、酸化防止層164、弾性層165、そして表層である離型層166から構成してある。芯金には、例えば鉄またはその合金であるSUS、空気による断熱層は例えば9mm程度の間隙とする。基材層161には、SUS(例えば厚さ50μm)、酸化防止層162、164にはニッケルストライクメッキ(例えば厚さ1μm以下)、発熱層163にはCuメッキ(例えば厚さ15μm)、弾性層165にはシリコンゴム(例えば厚さ150μm)、そして離型層166にはPFA(厚さ30μm)が用いられる。ただし、これらはすべて一例である。
図2は、従来の誘導加熱方式の定着装置を用いたときの定着ローラの軸方向の温度分布を示すグラフである。図2では、点線はアーチコア11を示している(以下、同じ)。
この低熱容量の定着装置A8においては、有効加熱幅よりも幅の小さい小サイズを連続通紙の場合に、通紙部は転写紙に熱量が奪われるが非通紙部は熱量が奪われないために、非通紙部になる定着装置A8の端部の表面温度が上昇(以下、端部温度上昇)し、画像不良や高温状態になることにより寿命を悪化させていた。
ここでは、定着装置A8の有効加熱幅がA3用紙を縦送りできる長さを有している。ここに、多数のB5用紙を縦送りした後に、定着ローラのスラスト方向における温度を計測した。グラフに示しているように、通紙前は、約160℃で平坦になっているが、通紙後は、中央から60〜70mm付近で最低温度になっていて、約130℃になっている。この温度では、トナーは定着不良になるか、カラー画像において光沢の少ない低品位の画像にしかならない。さらに、B5用紙から外れた外側の定着ローラ16では、逆に、温度が高くなり、ここでは、180〜200℃になっている。通紙枚数等が多くなっている場合には、定着ローラの端部温度が300℃になることもあり、シリコンゴム等の弾性層165、離型層166等が剥離して定着ローラ16を損傷することがある。したがって、光沢のある高品位の画像を得るためだけではなく、機械寿命の点からも細かい温度制御が必要になる。
図3は、本発明の加熱装置の構成を示す概略図である。励磁コイル14上に配置された消磁コイル15をオープンないしはショートさせた時の、消磁コイル15による消磁効果を示した。定着ローラ16の断面図であり、太目の実線の大きい矢印は励磁コイル14からの誘導磁束、実線の小さい矢印は発熱層163の渦電流を示している。
(a)に示すように、励磁コイル14で誘導磁束を発生させる。この誘導磁束によって定着ローラ16の発熱層163に渦電流が生じ、この渦電流によって発熱する。このときに、消磁コイル15のスイッチはオープンにしてあり、磁束を発生させていない。
次に、(b)に示すように、消磁コイル15をショートさせた際に、破線で示すように、励磁コイル14と逆向きの磁束が発生する。この励磁磁束を打ち消すように消磁コイル15に誘導電流が流れることで発熱層163の渦電流が抑制される。この切り替えを行うことで、発熱層163の発熱量をコントロールすることができる。
4は、本発明の第1の実施形態を示す概略図である。図中、励磁コイル14、励磁コイル14の上に配置されるループは消磁コイル15を模式的に示している。図中最も上の図は励磁コイル14と消磁コイル15のZ方向への重ね合わせの図を示し、ここでは、アーチコア11等のコアは割愛している。その下は励磁コイル14と消磁コイル15との重ね合わせの上面図となっている。尚、上面図でアーチコア11は点線で記載した。
図示したように励磁コイル14上に加熱幅に応じて消磁コイル15を複数配置して2段以上になっていて、しかも、消磁コイル15の一部分が互いに重なり合っている。逆には、消磁コイル15の形成する内部ループ空間15aと、他の消磁コイル15とは概ね重ならないように配置されている。これは、消磁コイル15の内部のループ空間に、他の消磁コイル15が入ると、発生した消磁磁束のスムーズな流れが阻害されて、発熱層163に達せず温度を制御する効果が低下する。これによって、所望の消磁コイル15により消磁することで、それぞれの用紙サイズに応じて、定着ローラ16のスラスト方向に対する、より精度の高い発熱幅制御が可能となる。
一例として、消磁コイル15は各々、励磁コイル14の巻き数と同等かそれ以下で設計される。この方式では、励磁コイル14のループ内に配置される磁性体センターコア12は、励磁コイル14と消磁コイル15のループの導体が鎖交する部分で抜けることとなるが、端部で重ね合わせることで端部でのセンターコア12の抜け量を極小化している。このループ空間15aには、センターコア12が配置されている。センターコア12は磁性体で、消磁磁束の流れをスムーズにして、発熱層163に消磁磁束を到達させることができる。これによって、定着ローラ16のスラスト方向における細かい温度制御を可能にする。
なお、「概ね重ならないように配置」とは、重ならないようにするのが主眼であるが、それぞれの消磁コイル15は、コイルの太さが同じではない。図4に示すように、用紙サイズによって、幅の差が異なっており、これに合わせて温度制御するためにコイルの太さが異なり、実際には完全に重ねることができないことを示している。
図4に示すように、2段以上の消磁コイル15を重ねて配置することで、制御する用紙等のサイズに合わせて、定着ローラ15の温度制御を可能にしている。
一方、図5は、本発明の第2の実施形態を示す概略図である。第2の実施形態では、複数の消磁コイル15は、消磁コイル15の形成する内部のループ空間15aと、他の消磁コイルとは概ね重ならないように配置されている。そのために、消磁コイル15を用紙サイズの差に合わせて小さくして、消磁コイル15の導体部分を重ね合わせて配置した。この場合、消磁コイル15のコイル巻き面に対して鉛直方向のコイルユニットの巨大化はないが、図5中の最も上の図に示したように、センターコア12が消磁コイル15の導体と励磁コイル14が鎖交する部分で大きく抜けることとなり、センターコア12の配置が困難で十分なコアボリュームが確保できない。従って磁束密度分布が大きく悪化し定着不良を発生させる。
また、消磁コイル15のループ空間には磁性体のセンターコア12を配置することで、励磁磁束をより効率良く消磁することが可能になるため有効である。これら消磁コイル15は大きさを所望の形状にすることで、発熱分布を最適化できる。
図6は、本発明の第3の実施形態を示す概略図である。第1、2の実施形態の図中にも記載しているが、励磁コイル14の1段の厚みをLとした時、第1、2の実施形態の方式では、消磁コイル15の配置数に応じて、無限にコイルユニットは高さ方向に巨大化する。図4、5では、消磁コイル15は4段になっている。高さ方向に高くなると、その分、加熱装置10が大きくなり、そのまま、定着装置A8が大きくなり、機械設計上不利になる。よって、第3の実施形態では、消磁コイル15は励磁コイル14の巻き面に対し互いに励磁コイル14とのループの鎖交部分の導体が重ね合わせられるとともに、消磁コイル15の形成する内部ループ空間15aは、他の消磁コイル15の他方の導体と重ならないように重ね合わせ配置し、消磁コイル15はコイル巻き面から鉛直方向に略同一距離に互い違いに配置している。すなわち、少なくとも3つ以上の重ね合わせで形成され、そのうち少なくとも2つ以上は、消磁コイル15の巻き面から鉛直方向に、略同一距離に配置されるようにする。図6では、消磁コイル15を2段に重ねて配置している。これにより、加熱装置10の巨大化を防ぐとともに、磁性体のセンターコア12は消磁コイル15と励磁コイル14が鎖交する部分で抜けることとなるが、消磁コイル15の導体部分を重ね合わせることで、センターコア12の抜け量を極小化している。
また、消磁コイル15は、定着ローラ16等の回転体の回転軸方向中心を対称軸として、回転軸方向に略対称に配置され、対称配置された各々は電源から誘起される消磁電流の位相、ないしは半導体スイッチによる電流量コントロール、機械式スイッチの開閉比率により励磁磁束の消磁量を制御する。対称配置された各々は電気的に接続され、1回路の消磁量制御により対称位置の両方が消磁できることを可能としている。より具体的には用紙の幅に応じて、複数の消磁コイル15の内消磁制御するものを選択する場合や、回転軸方向の消磁コイル15の位置に温度センサを設け温度帰還で制御する場合があるが、本発明はそれにより限定されるものではない。これら消磁方法は複数の消磁コイル15に対して、各々別手段をとっても良く、1つの手段で各々を制御しても良い。発熱層163を定着ローラ16等の回転体として用いた場合の実施例としては、等速印字時230mm/sec相当の線速で回転させ、回転動作時、励磁コイル14による温度制御中に消磁制御を行う。消磁制御を行うタイミングは本発明で限定されるものではない。
また、この定着装置A8は、これまで、発熱層163を有する定着ローラ16に用いる実施形態に関して説明した。しかし、定着装置A8は、定着ベルト方式にも用いることができる。この定着ベルトとしては、定着ベルトに発熱層を有する場合と、発熱層を有する加熱ローラと定着回転体として支持ローラとの間で定着ベルトを張架する場合であってもよい。
図7は、本発明の画像形成装置の全体構成を示している概略図である。
胴内排紙型画像形成装置の略中央に画像形成部Aが配置され、この画像形成部Aのすぐ下方に給紙部Bが配置されている。必要に応じ別の給紙装置を下部に増設することができる。画像形成部Aの上方には、排紙収納部Dを隔てて原稿を読み取る、読み取り部Cが配設されている。排紙収納部Dには画像形成された記録媒体(以下、用紙と言う)が排紙収納される。図1内の矢印は用紙の通紙経路を示している。
画像形成部Aでは、ドラム状をした感光体A1の周囲に、感光体A1の表面に帯電処理を行う帯電装置A2、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置A10、感光体A1の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置A3、複数の感光体A1上でそれぞれ現像されたトナー像を重ね合わせる中間転写ベルトA4、用紙に転写する転写部材A5、転写後感光体表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置A6、感光体A1等の像担持体表面の摩擦係数を下げるための潤滑剤塗布装置A7、トナー像を得た用紙上のトナーを定着処理する定着装置A8が用紙の搬送経路での下流に配置されている。メンテナンスを容易にするため、感光体A1、帯電装置A2、現像装置A3、クリーニング装置A6等をプロセスカートリッジPCとして1つのユニットに組み込み本体装置に対して着脱可能とした。また、同様の理由からクリーニング装置A6と潤滑剤塗布装置A7とを一つのユニット内に収容し、中間転写ベルトA4に対して着脱可能とした。さらに、クリーニング装置A6と潤滑剤塗布装置A7と転写部材A5とを一体的に収容し、本体装置に対して着脱可能とした。定着装置を通過した用紙は排紙ローラA9を経て排紙収納部Dに排紙収納される。
給紙部Bにおいては、未使用の用紙が収容されており、給紙ローラB1の回転により、最上紙は給紙カセットから送り出され、レジストローラA11へと搬送される。レジストローラA11は用紙の搬送を一時止め、感光体表面のトナー像と用紙の先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転が開始するよう制御される。読み取り部Cでは、コンタクトガラスC2上に載置される原稿不図示の読み取り走査を行うために、原稿照明用光源とミラーよりなる読み取り走行体C1が往復移動する。この読み取り走行体C1により走査された画像情報は、レンズC3の後方に設置されているCCDC4に画像信号として読み込まれる。この読み込まれた画像信号は、デジタル化され画像処理される。画像処理された信号に基づいて、露光装置A10のレーザダイオード不図示の発光により感光体A1の表面に静電潜像が形成される。レーザダイオードからの光信号は、公知ポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至る。
帯電装置A2は主に帯電部材とそれを感光体A1に所定の圧力で加圧する付勢部材からなる。帯電部材は、導電性のシャフトの周りに導電性弾性層を有する。電圧印加装置(不図示)により導電性シャフトを介して導電性弾性層と感光体A1との空隙に所定の電圧を印加し、感光体表面に電荷を付与する。現像装置A3では、撹拌スクリュにより現像剤を十分撹拌し、現像ローラに磁気的に付着させる。付着した現像剤は現像ドクタにより現像ローラ上に薄層化される。薄層化された現像剤により感光体A1上の静電潜像を顕像化する。顕像化されたトナー像は転写バイアスローラにより電気的に中間転写ベルトA4上に付着する。中間転写ベルトA4上に転写されなかった残留トナーはクリーニング装置A6により感光体A1から除去される。潤滑剤塗布部材は金属シャフトにブラシを巻きつけローラ状に形成されている。固形潤滑剤は自重により潤滑剤塗布部材に付勢されており、潤滑剤塗布部材を回転させることで固形潤滑剤を微粉状に削り取り、感光体A1の表面に潤滑剤を塗布する。このときに、潤滑剤が塗布される潤滑剤塗布領域は、感光体A1の略全面であり、下記に示す有効クリーニング領域より広くする。これは、有効クリーニング領域は、クリーニング性等によって決定されるが、潤滑剤はクリーニングブレードに接触している全体に塗布することが必要になる。
潤滑剤塗布装置A7とクリーニング装置A6が一体的に筐体内に具備され転写カートリッジを形成している。固形潤滑剤は、付勢部材によりブラシローラからなる潤滑剤塗布部材へ所定の圧力で付勢されている。潤滑剤塗布部材の回転により固形潤滑剤が削り取られ中間転写ベルトA4の表面へ塗布される。その上流にはクリーニング装置A6が設置されており、クリーニング用ブラシローラと、クリーニングブレードからなる。ブラシローラは転写ベルトA4の回転方向に対して同方向に回転し、表面の異物を拡散する。クリーニングブレードは、中間転写ベルトA4に対して所定の角度・圧力で当接されており、中間転写ベルトA4上の残留トナーを除去する。
クリーニング装置A6と転写部材A5とが一体的に筐体内に具備され転写カートリッジを形成している。図のようにクリーニング装置A6が設置されており、転写部材A5上の残留トナーを除去する。
上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸基を持つものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、や、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウムを用いてもよい。他にも、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウム等の脂肪酸、脂肪酸の金属塩なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
上記の構成においてフルカラー画像を形成する動作について説明する。
本実施の形態では画像形成装置の構成から中間転写ベルトA4に担持させた画像を用紙Pに、転写する場合は記録するべきデータが複数の頁になるケースでも、排紙スタック部上で頁が揃うように画像が用紙Pの下面に形成される。
画像形成装置を稼動させると、中間転写ベルトA4に接触している画像形成部Aにおける感光体A1が回動する。まず、画像形成部Aによる画像形成から開始される。レーザとポリゴンミラー駆動の露光装置A10の作動により、イエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置A2により一様帯電された感光体A1の表面に照射されて静電潜像が形成される。静電潜像は現像装置A3により現像され、可視像となり、転写部材A5の転写作用により感光体A1と同期して移動する中間転写ベルトA4上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が順次同様に行われる。この結果、中間転写ベルトA4上には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色トナー画像が、順次重なり合ったフルカラートナー画像として担持され、中間転写ベルトA4とともに矢印の方向に移動される。同時に給紙部Bのの給紙カセットから、記録に使われる用紙Pが繰り出され搬送される。用紙Pの先端がタイミングをとって用紙Pを転写領域に搬送する。中間転写ベルトA4上のこのフルカラートナー画像は、中間転写ベルトA4と同期して搬送される用紙Pの上面に、転写される。その後、中間転写ベルトA4の表面が、ベルトクリーニング装置A6によりクリーニングされる。中間転写ベルトA4に重ねられて担持されていたトナー画像が転写された用紙Pは、定着装置A8に向け移送される。用紙P上に重ねられていた各色のトナーが定着装置A8の熱による定着作用を受け、溶融、混色されて完全にカラー画像となる。
このときに、定着装置A8は、急速な加熱が可能で、画像形成の生産性を高めることができる。また、多数枚を連続してプリントしても、高品位のカラー画像を得ることができる。さらに、用紙の大きさを変えても、ホットオフセット、定着不良のない画像を得ることができる。制御手段で画像に応じて定着装置A8の使用する電力を最適に制御する場合もある。定着されたトナーも用紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等にこすられ、画像が欠落したり、乱れたりすることがあるので定着後の搬送にも注意が必要である。その後、排紙ローラA9により排紙スタック部に、画像面が下向きとなって排紙される。排紙スタック部では後の頁の記録物が順次上に重ねられるようにスタックされるので、頁順が揃う。
本発明の定着装置の概念的構成を示す断面図である。 従来の誘導加熱方式の定着装置を用いたときの定着ローラの軸方向の温度分布を示すグラフである。 本発明の加熱装置の構成を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態を示す概略図である。 本発明の第3の実施形態を示す概略図である。 本発明の画像形成装置の全体構成を示している概略図である。
符号の説明
A 画像形成
1 感光
2 帯電装
3 現像装
4 中間転写ベルト
5 転写部材
6 クリーニング装
7 潤滑剤塗布装
8 定着装
9 排紙ロー
10 露光装
11 レジストロー
給紙
1 給紙ロー
読み取り
1 読み取り走行
2 コンタクトガラ
3 レン
4 CCD
10 加熱装置
11 アーチコア
12 センターコア
13 サイドコア
14 励磁コイル
15 消磁コイル
15a 内部ループ空間
16 定着ローラ
17 加圧ロー

Claims (7)

  1. トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
    定着ローラと、
    複数の励磁コイルにより磁束を発生させ、磁束によって前記定着ローラが有する発熱層を誘導発熱させる加熱装置とを備える定着装置において、
    前記加熱装置は、前記複数の励磁コイルを2組有し、前記2組の励磁コイルは、前記定着ローラの回転軸方向中心を対称軸として、回転軸方向に略対称に各々配置され、
    前記加熱装置は、前記2組の励磁コイルの各々の一部を周回するように、複数の消磁コイルを2組を備え、
    前記複数の消磁コイルは、消磁コイルの形成する内部のループ空間と、他の消磁コイルとは概ね重ならないように配置され、かつ、
    前記2組の消磁コイルの各々は、消磁コイルの一部を互いに重ね合わせて互い違いに2段で配置され、前記2組の消磁コイルの1段目同士及び2段目同士は、励磁コイルの巻き面から鉛直方向の略同一距離に配置されている
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1に記載の定着装置において、
    前記消磁コイルの形成するループ空間には、磁性体からなるセンターコアが配置されている
    ことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1又は2に記載の定着装置において、
    前記複数の消磁コイルは、形成する内部ループ空間の大きさが異なる
    ことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置において、
    対称に配置された消磁コイルは、互いに接続されている
    ことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置において、
    前記消磁コイルは、通電量をコントロールする制御手段により、発熱量を制御する
    ことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置において、
    前記消磁コイルは、スイッチ手段の切り替えにより、発熱量を制御する
    ことを特徴とする定着装置。
  7. 潜像を担持する像担持体と、像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、帯電した像担持体の表面に画像データに静電潜像を書き込む露光装置と、像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、可視像化する現像装置と、像担持体表面の可視像を記録部材に転写する転写装置と、像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置と、トナーを記録部材に定着する定着装置とを備える画像形成装置において、
    前記定着装置が、請求項1ないし6のいずれかに記載の定着装置である
    ことを特徴とする画像形成装置。
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