JP5307353B2 - 多光子励起レーザ走査型顕微鏡および多光子励起蛍光画像取得方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の多光子励起型の顕微鏡装置においては、試料において多光子励起により発生した蛍光を複数のミラーやレンズなどの光学素子を経由させることによる損失によって、光検出器により検出される蛍光が微弱なものとなってしまう不都合を防止するために、対物レンズとダイクロイックミラーのみを透過した位置に光検出器を配置している。このようにすることで、蛍光の損失を低減し、明るい多光子励起蛍光画像を取得することができる。
本発明は、超短パルスレーザ光を出射する多光子励起用レーザ光源と、該多光子励起用レーザ光源から出射された超短パルスレーザ光を2次元的に走査する光走査部と、該光走査部により走査された超短パルスレーザ光を試料に集光する対物レンズと、前記試料を挟んで前記対物レンズと対向する位置に配置され、前記試料において多光子励起により発生する蛍光を集光する集光レンズと、該集光レンズにより集光された蛍光を検出する光検出器とを備え、前記集光レンズの開口数および視野数が、前記対物レンズの開口数および視野数より大きい多光子励起レーザ走査型顕微鏡を提供する。
このようにすることで、高い感度で、微弱な蛍光まで漏れなく検出することができる。
このようにすることで、複数の蛍光色素により多重染色した場合等において、試料から発生する複数の波長の蛍光をそれぞれ検出して同時観察を行うことができる。
このようにすることで、励起光カットフィルタにより、試料を透過してくる超短パルスレーザ光が光検出器に入射されないように遮断することができる。1枚の励起光カットフィルタによって遮断されることなく漏れた超短パルスレーザ光を、間隔をあけて配置されている他の励起光カットフィルタによって遮断することができる。
このようにすることで、2枚の励起光カットフィルタの間に配置された吸収フィルタによって、2枚の励起光カットフィルタの間で発生する繰り返し反射を減衰させ、光検出器への超短パルスレーザ光の漏洩をより効果的に低減することができる。
このようにすることで、瞳リレー光学系により集光レンズの瞳面を光検出器に投影させることができ、試料において超短パルスレーザ光を走査させても、光検出器においては常に同じ位置で蛍光を受光することができる。その結果、光検出器の受光面の感度ムラによる検出光量の変動を防止し、明るさムラのない多光子励起蛍光画像を取得することができる。
このようにすることで、集光レンズを多光子励起観察用の光検出器に対して最適な位置に調節された状態に維持することができる。
このようにすることで、集光レンズの焦点位置調整を行う都度に、集光レンズと光検出器との位置調整を行う必要がなく、観察時にかかる手間を省くことができる。
このようにすることで、集光レンズの光軸位置調整を行う都度に、集光レンズと光検出器との位置調整を行う必要がなく、観察時にかかる手間を省くことができる。
このようにすることで、落射照明光源からの落射照明光を試料に照射する際には、検出光量低減手段を作動させて、光検出器による検出光量を低減させ、強い落射照明光を受光してしまうことによる光検出器の劣化を防止することができる。検出光量低減手段としては、集光レンズと光検出器との間の光路を開閉するシャッタや、光検出器への印加電圧を低減する電圧調整部や、光検出器への光路から他の光路へ切り替える切替ミラーを採用することができる。
このようにすることで、試料と集光レンズとの間に満たされたオイルによって集光レンズ側におけるより高い開口数を達成することができる。
このようにすることで、折り返しミラーのように損失を発生する不要な光学素子を排除し、シンプルな構成によって効率よく蛍光を集めることができる。
このようにすることで、高開口数かつ高視野数の集光レンズによって集められた蛍光を大きな光束のままで広い範囲に配列された光検出部により検出することができる。したがって、光検出器を集光レンズに近接して配置することができ、集光レンズ側のコンパクト化を図ることができるとともに、瞳リレーレンズ等のレンズを排除して、損失を低減し、より明るい多光子励起蛍光画像を取得することができる。
本発明は、多光子励起用レーザ光源から出射された超短パルスレーザ光を2次元的に走査しながら試料の内部に対物レンズにより集光させ、この集光位置において多光子励起により発生する蛍光を、前記試料を挟んで前記対物レンズと対向する位置に配置した集光レンズにより集光して光検出器により検出し画像取得する多光子励起蛍光画像取得方法であって、前記集光レンズの開口数および視野数が、前記対物レンズの開口数および視野数より大きいことを特徴とする多光子励起蛍光画像取得方法を提供する。
上記発明においては、前記対物レンズを介して試料に落射照明光を照射して落射照明観察を行う場合に、前記光検出器による検出光量を低減することができる。
上記発明においては、前記試料のパッチクランプ実験に用いる針を前記対物レンズと同じ側から試料に刺すようにすることができる。
本実施形態に係る多光子励起レーザ走査型顕微鏡1は、図1に示されるように、2種類の多光子励起蛍光観察、共焦点蛍光観察および透過照明観察を行うことができる顕微鏡であって、試料Aを載置するステージ2の上方に、超短パルスレーザ光および連続レーザ光を出射するレーザ光源3と、該レーザ光源3から出射されるレーザ光を2次元的に走査するスキャナ(光走査部)4と、走査されたレーザ光を集光する瞳投影レンズ5および結像レンズ6と、結像レンズ6により集光されたレーザ光を集光して試料Aに照射する対物レンズ7とを備えている。
また、前記多光子用透過検出ユニット22は、集光レンズ21により集光された蛍光を90°折り返すミラー25と、結像レンズ26と、励起光カットフィルタ27および吸収フィルタ28と、シャッタ29と、蛍光を波長毎に分岐するダイクロイックミラー30と、集光レンズ31と、2つの光検出器32とを備えている。
また、前記光検出器32は、いずれもサイドオンタイプの光電子増倍管であり、高い感度で蛍光を検出することができるようになっている。
本実施形態に係る多光子励起レーザ走査型顕微鏡1を用いて多光子励起蛍光観察を行うには、レーザ光源3から出射された超短パルスレーザ光をスキャナ4によって2次元的に走査し、瞳投影レンズ5、結像レンズ6および対物レンズ7を介して試料Aに集光させる。試料Aにおいては、超短パルスレーザ光の集光位置において蛍光が発生する。
すなわち、多光子励起蛍光観察の場合、超短パルスレーザ光を集光させる各走査位置および深さを精度よく達成するために、対物レンズ7には精密な光学性能が要求されるが、発生した蛍光の検出においては、精密な光学性能は必ずしも必要ではなく、むしろ可能な限り多くの光量を検出することが要求される。
また、励起光カットフィルタ27を間隔をあけて2枚設け、その間に吸収フィルタ28を配置したので、比較的大きな光量の超短パルスレーザ光が入射される透過側の光路においても、超短パルスレーザ光を効果的に遮断して、光検出器32に入射するのを防止することができる。
また、図3に示されるように、多光子用透過検出ユニット22と集光レンズ21を一体化し、集光レンズ21の光軸方向(Z方向)および該光軸方向に直交する2方向(X,Y方向)にそれぞれ移動可能とすることにより、集光レンズ21と光検出器32との配置を最適な状態に維持したまま、集光レンズ21の焦点位置調整および光軸調整を行うことができる。
1 光子励起レーザ走査型顕微鏡
3 レーザ光源(多光子励起用レーザ光源:落射照明光源)
4 スキャナ(光走査部)
7 対物レンズ
18 透過照明光源
21 集光レンズ
25 ミラー
26 結像レンズ(瞳リレー光学系)
27 励起光カットフィルタ
28 吸収フィルタ
29 シャッタ(検出光量低減手段)
30 ダイクロイックミラー(光路分割素子)
31 集光レンズ(瞳リレー光学系)
32,32′ 光検出器
32a 光検出部
Claims (17)
- 超短パルスレーザ光を出射する多光子励起用レーザ光源と、
該多光子励起用レーザ光源から出射された超短パルスレーザ光を2次元的に走査する光走査部と、
該光走査部により走査された超短パルスレーザ光を試料に集光する対物レンズと、
前記試料を挟んで前記対物レンズと対向する位置に配置され、前記試料において多光子励起により発生する蛍光を集光する集光レンズと、
該集光レンズにより集光された蛍光を検出する光検出器とを備え、
前記集光レンズの開口数および視野数が、前記対物レンズの開口数および視野数より大きい多光子励起レーザ走査型顕微鏡。 - 前記光検出器がサイドオンタイプの光電子増倍管である請求項1に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記集光レンズにより集光された蛍光を波長毎に分離する光路分割素子を備え、
前記光検出器が、前記光路分割素子により分割された異なる波長の蛍光をそれぞれ検出するように複数備えられている請求項1または請求項2に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。 - 前記集光レンズと前記光検出器との間に、2以上の励起光カットフィルタが光軸方向に間隔をあけて配置されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記励起光カットフィルタの間に吸収フィルタが配置されている請求項4に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記集光レンズを介して試料に照射する透過照明光を発生する透過照明光源を備え、
前記集光レンズと光検出器との間の光路に、前記集光レンズから光検出器への光路と、前記透過照明光源から集光レンズへの光路とを切り替えるミラーが挿脱可能に設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。 - 前記集光レンズと前記光検出器との間に、該光検出器を前記集光レンズの瞳位置と共役な位置関係にする瞳リレー光学系を備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記集光レンズと前記光検出器とが一体的に移動可能に設けられている請求項1に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記集光レンズおよび光検出器が、前記対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられている請求項8に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記集光レンズおよび光検出器が、前記対物レンズの光軸に直交する方向に移動可能に設けられている請求項8に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記対物レンズを介して試料に照射する落射照明光を発生する落射照明光源を備え、
該落射照明光源からの落射照明光を試料に照射する際に、前記光検出器による検出光量を低減する検出光量低減手段とを備える請求項1から請求項10のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。 - 前記集光レンズが、試料との間をオイルで満たすことが可能な液浸タイプである請求項1から請求項11のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記光検出器が、前記集光レンズの光軸の延長線上に配置されている請求項1から請求項12のいずれかに記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 前記光検出器が2次元的なアレイ状に配列された複数の光検出部を備える請求項13に記載の多光子励起レーザ走査型顕微鏡。
- 多光子励起用レーザ光源から出射された超短パルスレーザ光を2次元的に走査しながら試料の内部に対物レンズにより集光させ、
この集光位置において多光子励起により発生する蛍光を、前記試料を挟んで前記対物レンズと対向する位置に配置した集光レンズにより集光して光検出器により検出し画像取得する多光子励起蛍光画像取得方法であって、
前記集光レンズの開口数および視野数が、前記対物レンズの開口数および視野数より大きいことを特徴とする多光子励起蛍光画像取得方法。 - 前記対物レンズを介して試料に落射照明光を照射して落射照明観察を行う場合に、前記光検出器による検出光量を低減する請求項15に記載の多光子励起蛍光画像取得方法。
- 前記試料のパッチクランプ実験に用いる針を前記対物レンズと同じ側から試料に刺すようにした請求項15に記載の多光子励起蛍光画像取得方法。
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