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JP5344959B2 - 調剤装置のシート押し出し機構 - Google Patents

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JP5344959B2 JP2009060338A JP2009060338A JP5344959B2 JP 5344959 B2 JP5344959 B2 JP 5344959B2 JP 2009060338 A JP2009060338 A JP 2009060338A JP 2009060338 A JP2009060338 A JP 2009060338A JP 5344959 B2 JP5344959 B2 JP 5344959B2
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Description

本発明は、調剤装置のシート押し出し機構に関し、特にPTP(プレス スルー パッケージ)錠剤シートと呼ばれる包装形式の錠剤を、錠剤カセットに入れて自動的に払い出す調剤装置の該錠剤カセットに備えられるシート押し出し機構に関するものである。
従来、病院等の薬局における調剤作業は薬剤師が医師の処方箋に従って行っているが、特に診療分野が広い総合病院等にあっては、常時取り出し可能にしておく錠剤の種類が多くなり、保管場所を必要とするばかりか、処方箋に基づいて調剤する作業は非常に精神的、肉体的に負担を強いられるものであった。
そこで、予め設定したプログラムに基づいて所定の錠剤の所定個数分を、PTP錠剤シートの端数分を含めて自動的に払い出す調剤装置が開発された(例えば特許文献1,2,3参照)。なお、PTP錠剤シートとは、錠剤側を押圧することで底のアルミシート部分を破ることにより錠剤を取り出すようにした包装形式であり、一般には錠剤の10個以上を1枚のシート状にして供給されるものである。
特許文献1〜3の従来の調剤装置では、複数枚のPTP錠剤シートを上下方向に重ねて錠剤カセット内に収納しておき、最下位置のPTP錠剤シートをチャック装置で1枚ずつチャッキングして払い出すように構成されていた。このうち、特許文献1,2の従来の調剤装置では、錠剤カセットの本体にPTP錠剤シートの積載部(薬品ストック部)が一体となった状態で多段のカセット棚に固定されていたので、上方のカセット棚などが邪魔になって、その錠剤カセットにPTP錠剤シートを充填しにくいものであった。そこで、特許文献3の従来の調剤装置では、錠剤カセットにPTP錠剤シートを充填する際には、錠剤カセットの薬品ストック部を払い出し方向とは反対方向に引き出すようにして、その薬品ストック部へPTP錠剤シートの充填作業性を大幅に改善している。
特許文献3の従来の調剤装置では、特許文献1,2の従来の調剤装置と同様に、PTP錠剤シートをチャック装置で1枚ずつチャッキングして払い出すため、錠剤カセット側にはPTP錠剤シートの頭出しをするだけのストロークの短い押出機構を設けているにすぎない。このため、その押出機構を薬品ストック部とともにスライドさせるようになっている。
ここで、チャック装置によるPTP錠剤シートのチャッキングをやめて、押出機構だけで錠剤シートの払い出しを図るべく、ストロークの長い押出機構を採用したとすると、それを薬品ストック部とともにスライドさせることは困難となる。このため、その押出機構をカセット基部に設けたものとすると、錠剤カセットの薬品ストック部を払い出し方向とは反対方向に引き出したときに、その押出機構の押出部材が薬品ストック部に突出したままになり、PTP錠剤シートが、錠剤カセットから誤って払い出されてしまう。これでは、薬品ストック部に収納された錠剤シートが完全になくなってからでないと、錠剤シートを充填することができなくなる。
しかしながら、初期のシート充填時を除き、錠剤カセットに錠剤シートが残存した状態で、錠剤カセットの薬品ストック部を払い出し方向とは反対方向に引き出して、該薬品ストック部内に錠剤シートを補充するのが通常である。特に錠剤カセットから錠剤シートの大量払出しを行うときに、その払い出しが中断される事態を避けるために、事前にその錠剤カセットに錠剤シートを補充しておく必要があるためである。錠剤カセット内の錠剤シートが完全になくなるまでまって、その錠剤カセット内に新たな錠剤シートを補充しなければならないのは不便であり、特に錠剤カセットから錠剤シートの大量払出しを行うときに問題となりうる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、錠剤カセット内に錠剤シートが残存した状態であっても、その錠剤カセット内に新たな錠剤シートを補充することができる調剤装置のシート押し出し機構を提供することを目的とする。
本発明は、錠剤シートを収納するための薬品ストック部を、カセット基部の前後方向にスライド自在に支持する錠剤カセットにおける、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを、前記薬品ストック部の基準面に最も近いものから順に外部に押し出すように構成した調剤装置のシート押し出し機構であって、前記薬品ストック部の基準面から突出するようにして前記カセット基部側に設けられ、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを押し出す押出部材と、前記押出部材の押し出し動作時には、該押出部材を前記カセット基部内から前記薬品ストック部内に突出させるように弾性付勢する弾性部材と、前記押出部材の待機時には、該押出部材を前記カセット基部の後端部で前記弾性付勢力に抗して押え付けることにより、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させる押付部材とを備え、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させた状態を維持しながら、前記薬品ストック部を前記カセット基部の後方にスライドさせるように構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、前記薬品ストック部の基準面から突出するようにして前記カセット基部側に設けられ、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを押し出す押出部材と、前記押出部材の押し出し動作時には、該押出部材を前記カセット基部内から前記薬品ストック部内に突出させるように弾性付勢する弾性部材と、前記押出部材の待機時には、該押出部材を前記カセット基部の後端部で前記弾性付勢力に抗して押え付けることにより、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させる押付部材とを備え、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させた状態を維持しながら、前記薬品ストック部を前記カセット基部の後方にスライドさせるように構成したので、錠剤カセットの薬品ストック部を払い出し方向とは反対方向に引き出したときにも、錠剤シートが錠剤カセットから払い出されるおそれがない。
したがって、錠剤シートが薬品ストック部に残留した状態であっても、錠剤カセットに新たな錠剤シートを補充できるようになり、特に錠剤カセットから錠剤シートの大量払出しを行うときに事前にその錠剤カセットに錠剤シートを補充しておくことができるので、その払い出しが中断されるおそれをできるだけ少なくすることができる。
請求項記載の発明のように、前記押付部材は、前記押出部材の後側が潜り込むことにより、該押出部材が押圧されるような、前上りの傾斜面を備えていることが好ましい。
請求項記載の発明によれば、前記押付部材は、前記押出部材の後側が潜り込むことにより、該押出部材が押圧されるような、前上りの傾斜面を備えているので、押出部材を確実に退避させることができるようになる。
本発明によれば、前記薬品ストック部の基準面から突出するようにして前記カセット基部側に設けられ、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを押し出す押出部材と、前記押出部材の押し出し動作時には、該押出部材を前記カセット基部内から前記薬品ストック部内に突出させるように弾性付勢する弾性部材と、前記押出部材の待機時には、該押出部材を前記カセット基部の後端部で前記弾性付勢力に抗して押え付けることにより、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させる押付部材とを備え、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させた状態を維持しながら、前記薬品ストック部を前記カセット基部の後方にスライドさせるように構成したので、錠剤カセットの薬品ストック部を払い出し方向とは反対方向に引き出したときにも、錠剤シートが錠剤カセットから払い出されるおそれがない。
したがって、錠剤シートが薬品ストック部に残留した状態であっても、錠剤カセットに新たな錠剤シートを補充できるようになり、特に錠剤カセットから錠剤シートの大量払出しを行うときに事前にその錠剤カセットに錠剤シートを補充しておくことができるので、その払い出しが中断されるおそれをできるだけ少なくすることができる。
本発明の一実施形態に係る調剤装置の主たる構成要素を示す分解斜視図である。 錠剤カセットの構成を示す正面図である。 錠剤カセットの構成を示す側面図(本体上部をカセット基部上に収容した状態)である。 錠剤カセットの構成を示す側面図(本体上部をカセット基部の後方にスライドさせた状態)である。 錠剤カセットの本体下部の構成を示す模式図である。 錠剤カセットの本体下部の部分拡大図であって、(a)は押出部材の押出開始状態を示す側面拡大図、(b)は押出部材の待機状態を示す側面拡大図である。 取り出しユニットの構成を示す平面図である。 錠剤カセット内に積載されたPTP錠剤シートを模式的に示す図であって、(a)はPTP錠剤シートを充填したときの状態を示す側断面図、(b)は(a)のPTP錠剤シートを押し出すときの状態を示す側断面図である。
図1は本発明の一実施形態に係る調剤装置1の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
図1に示すように、この調剤装置1は、箱状の装置本体100の奥側左右に2台設けられたYキャリッジ200,200と、これらのYキャリッジ200,200にそれぞれ支持されたXキャリッジ300,300と、これらのXキャリッジ300,300にそれぞれ支持された取り出しユニット400,400と、前記装置本体100の手前側左右に2台設けられ、複数の錠剤カセット500,500,・・・を左右方向に並べて搭載可能なカセット棚600,600と、左右のカセット棚600,600の下方に、両カセット棚600,600の左右両端間に亘って配置された1台の搬送コンベアユニット800とを備えている。
以下、複数存在する構成要素については、その代表的なものについて説明する。Yキャリッジ200は、サーボモータ210と、このサーボモータ210で駆動される縦軸方向(図1中のY方向)のボールネジ220と、ボールネジ220の左右にそれぞれ配置された縦ガイド230,230と、ボールネジ220の回転により上下動するナット240とを備えており、Xキャリッジ300は、縦ガイド230,230に案内されつつ、ボールネジ220の回転によりナット240とともに上下動するキャリッジ本体310と、このキャリッジ本体310上に、サーボモータ410と、このサーボモータ410で駆動される横軸方向(図1中のX方向)のボールネジ415と、図示しないナットとを備えている。
図2は錠剤カセット500の構成を示す正面図、図3は図2の側面図(本体上部530をカセット基部510上に収容した状態)、図4は図2の側面図(本体上部530をカセット基部510の後方にスライドさせた状態)、図5は錠剤カセット500の本体下部540の構成を示す模式図、図6は錠剤カセット500の本体下部540の部分拡大図であって、(a)は押出部材5515の押出開始状態を示す側面拡大図、(b)は押出部材5515の待機状態を示す側面拡大図である。なお、各図中では、特にことわらない限り、錠剤カセット500の取り出しユニット400に対向する正面側を前側、その背面側を後側といい、左側と右側とは前側から後側を見たときのものを示している。図2では、錠剤カセット500におけるカセット棚600の棚板602への取り付け部分の表示を省略している。
本実施形態における錠剤カセット500は、積載される各種PTP錠剤シート(錠剤シートに相当する。)900よりも若干幅広に形成されている。したがって、錠剤カセット500としては、各種PTP錠剤シート900の有する幅に応じて、幅寸法のみが異なるものが複数用意される。それらの具体的な構成は、いずれも図2及び図3に示すように、断面凹状をなす長尺のカセット基部510と、このカセット基部510の長手方向から着脱自在に嵌合されるカセット本体520とからなっている。
カセット基部510の底板511の裏面側には、図3に示すように、側面視L字状の突起512,512が前後(及び左右)にそれぞれ形成され、その底板511の後端は上方に屈曲されて弾性を有する舌片513が形成されている。そして、この突起512,512がカセット棚600の棚板602の前側と後側とでそれぞれ係合され、かつ、舌片513が棚板602の後端に備えたクランプ604で押圧されることで、錠剤カセット500がカセット棚600の棚板602上に着脱自在に固定されるようになっている。これにより、幅寸法の異なる錠剤カセット500であっても、その幅方向で任意の位置に配置することができるようになる。
カセット本体520は、さらに複数のPTP錠剤シート900,900,・・・を横向きにして積載可能な本体上部(薬品ストック部に相当する。)530と、この本体上部530の下部に形成されたスライド部530aと、カセット基部510内の上部に形成され、このスライド部530aをスライド自在に支持するレール部510aと、このレール部510aの下部にあって、前記カセット基部510内に取り付けられた本体下部540とからなっている。
本体下部540は、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、該カセット基部510の左右下部側壁516,517内に埋没して配置されるものであるが、その単体で見ると、図2及び図3に示すように、断面凹状の長尺形状をなした筐体内に前記本体上部530の一番下とその直ぐ上にセットで積載されたPTP錠剤シート900,900を順次に取り出すための押出機構(シート押し出し機構に相当する。)550を備えている。
この押出機構550は、図3及び図5に示すように、前記本体下部540の右壁541の上段部分において前後方向に向けてスライド自在に取り付けられた第一スライド部材5501と、左壁542の下段部分において前後方向に向けて固定された固定部材5502と、左右両壁541,542間において前後方向に向けてスライド自在に設けられた第二スライド部材5503と、第二スライド部材5503の右側に固定され第二スライド部材5503とともにスライドする第三スライド部材5504とが備えらえており、第一スライド部材5501の下面に形成されたラック5505に噛合される第一ピニオン5506と、第三スライド部材5504の上面に形成されたラック5507に噛合される第二ピニオン5508とが同軸に固定されている。なお、第三スライド部材5504は、第一バネ5504aを介して本体下部540に係止されている。
そして、第一スライド部材5501が後向き(図5中のA方向)に押圧されると、そのラック5505に噛合される第一ピニオン5506が横軸回り(図5中のB方向)に回転されるとともに、第二ピニオン5508が同方向に回転され、この第二ピニオン5508に噛合されるラック5507を有する第三スライド部材5504が第一バネ5504aによる弾性付勢力に抗して前向き(図5中のC方向)にスライドされるようになっている。このときのスライド速度は、第一、第二ピニオン5506,5508間の歯数比で増速される。
また、第二スライド部材5503の前後には、それぞれ外歯が形成された前ローラ5509と後ローラ5510とがともに縦軸回りに回転自在に取り付けられている。両ローラ5509,5510間には、内歯が形成されたゴムベルト5511が無限軌道状に巻き掛けられており、両ローラ5509,5510にそれぞれ噛合した状態となっている。ゴムベルト5511の中間部分には、縦向きの中間部材5512の下端部分が当接してゴムベルト5511とともに前後方向に移動されるようになっている。後ローラ5510と同軸に第三ピニオン5513が取り付けられており、第三ピニオン5513が固定部材5502の側面に形成されたラック5514に噛合されている。
そして、第二スライド部材5503が前記C方向にスライドされると、固定部材5502のラック5514に噛合される第三ピニオン5513が縦軸回り(図5中のD方向)に回転されるとともに、後ローラ5510が同方向に回転され、さらにゴムベルト5511を介して前ローラ5509が同方向に回転されると、ゴムベルト5511に固定された中間部材5512が前向き(図5中のE方向)にスライドされるようになっている。
また、中間部材5512の上端部分には、前記一番下に積載されたPTP錠剤シート900を押し出すための押出部材5515が第二バネ5516により弾性付勢されて前後方向に起伏可能に立設されており、前記中間部材5512とともに前記E方向にスライドされるようになっている。このときのスライド速度は、第三ピニオン5513と後ローラ5510との歯数比でもって、さらに増速される。
その結果、前記取り出しユニット400のプッシャ440で第一スライド部材5501が本体下部540内に押し込まれると、その押し込み速度の2〜3倍の速度でもって移動する押出部材5515でPTP錠剤シート900が本体下部540の前端付近にまで押し出されるようになっている。
さらに詳述すると、押出部材5515は、図6(a)(b)に示すように、中間部材5512の上端側に形成された第四スライド部材5512aの前端付近の横軸5512b回りに起伏自在に軸支されており、この第四スライド部材5512aが第二スライド部材5503の上側の前後方向に形成された図示しない溝部にスライド自在に嵌め込まれている。押出部材5515の下部は前記横軸5512bよりもやや下方に延設されており、この押出部材5515の下部と第二スライド部材5503との間に第二バネ(弾性部材に相当する。)5516が緊張状態で係止されている。
この第二バネ5516の弾性付勢力により、押出部材5515は起立状態を維持しながら最後部(図6(a)を参照。)から最前部へと移動するようになり、これにより、押出部材5515はPTP錠剤シート900,900を錠剤カセット500の本体上部530から前方に押し出すようになっている。
そして、取り出しユニット400の払出板430,430がプッシャ440,440とともにこの押し出されたPTP錠剤シート900,900を受けて元の位置に復帰する。これに伴い、第三スライド部材5504の第一バネ5504aの存在により第二スライド部材5503は弾性復帰し、押出部材5515も元の最後部へと復帰する。この復帰時には、押出部材5515は次のPTP錠剤シート900,900のセットの下方を通って引き戻されて待機状態となる(図6(b)を参照)。
ところで、前記押付部材5518は、押出部材5515の後側5515aが潜り込むことにより、該押出部材5515が押圧されるような、前上りの傾斜面5518aを備えている。
したがって、このときには、前記押出部材5515は、前記押付部材5518の傾斜面5518aで案内される際の押圧力により、前記第二バネ5516の弾性付勢力に抗して横軸5512bまわりに回転して倒伏状態となる。
なお、錠剤カセット500の本体上部530を、そのカセット基部510上でスライドさせるときには、前記押出部材5515は前記待機状態のままとなっていることから、前記押出部材5515の後側5515aと、前記押付部材5518の傾斜面5518aとが退避機構に相当するものとなる。
本体上部530は、図2及び図3に示すように、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、中間部から前部にかけてカセット基部510の左右下部側壁516,517の上方に突出して配置される側面視L字状をなしており、当該突出させた左右両側壁5311,5312が前端で互いに内側に屈曲されることにより、所定の間隙を介して対向配置されることで、前壁531を形成している。左右両側壁5311,5312の上端同士は補強板532で互いに連結されている。
前壁531には、上下方向の位置調整が可能な仕切部材5313を備えており、この仕切部材5313の位置調整により、本体上部530の底板(基準面に相当する。)5301上に積載されたPTP錠剤シート900,900,・・・の外部への取り出し枚数を、例えば2枚ずつのセットごとに規制することができるようになっている。
左右両側壁5311,5312の後端から前方に向けては、それぞれが先上がりとなるように部分的に切り欠いており、ここでは左側壁5311を右側壁5312より大きく切り欠いている。このため、錠剤カセット500の前後方向に本体上部530をスライドさせて後方に引き出した上、この本体上部530の左側壁5311の切り欠かれた部分からPTP錠剤シート900を搬入して左側壁5311で案内することで、そのPTP錠剤シート900を錠剤カセット500の本体上部530に充填等しやすくなっている。
また、錠剤カセット500の本体上部530を、前述したようにスライドさせて前方に戻したときに、その左右両側壁5311,5312の切り欠かかれた部分を覆うように、前記カセット基部510の左右下部側壁516,517が上方に延設されて左右上部側壁516a,517aが形成されている。これにより、PTP錠剤シート900を錠剤カセット500の本体上部530に充填した後に、その本体上部530をスライドさせて前方に戻したときに、左右上部側壁516a,517aでPTP錠剤シート900の姿勢を揃えるようになっている。
なお、前記本体上部530をスライドさせて前方の元の位置に戻ったことは、側面視がへの字状のバネ片5517を、本体上部530の底板5301の所定位置に設けられた係合穴5302に弾性変形して嵌め込まれることで確認できるようになっている。
本体上部530の後部には、棒状部材533が起伏可能に立設されており、PTP錠剤シート900,900,・・・の充填時に倒伏させて、前記前壁531間にPTP錠剤シート900,900,・・・を挟み込んだ状態で、この棒状部材533を起立させることで、各PTP錠剤シート900,900,・・・を整列させるようになっている。このときの状態は、前記図3に示したとおりである。
図7は取り出しユニット400の構成を示す平面図である。
取り出しユニット400は、図1及び図7に示すように、キャリッジ本体310から前方(図1中のZ方向)に延びるZキャリッジ411,411(図1中では手前側を図示省略している。)と、Zキャリッジ411,411間で進退自在かつ開閉自在に配置された払出板430,430と、払出板430,430の前記錠剤カセット500に対向する側に配置されたプッシャ440,440とを備えている。
そして、払出板430,430の進退動作は、サーボモータ420で図略のボールネジを回転駆動することにより行い、その開閉動作は、ステッピングモータ434で歯車列435を介して、回転軸437,437を互いに内向きに回転駆動することにより行うような構成となっている。払出板430,430の下部には、一次バケット450が設けられており、この一次バケット450の下方には、さらにシャッター470付きの二次バケット480が設けられている。
以下、本調剤装置1による錠剤カセット500からのPTP錠剤シート900,900,・・・の払出動作を概略説明する。図8は錠剤カセット500内に積載されたPTP錠剤シート900,900,・・・を模式的に示す図であって、(a)はPTP錠剤シート900,900,・・・を充填したときの状態を示す側断面図、(b)は(a)のPTP錠剤シート900,900,・・・を押し出すときの状態を示す側断面図である。
いま、図8(a)に示すように、錠剤カセット500内に各PTP錠剤シート900,900,・・・を、ポケット920,920,・・・が交互に上下となるように2枚ずつセット(市販の箱から取り出したままの状態であり、その上下のPTP錠剤シート900,900間で、耳部930,930が前後逆向きで、かつ、表裏逆向きとなっている。)にして積載しておき、押出部材5515は、起立して、この最下位置のPTP錠剤シート900の後端に当接するようになっているものとする。
このとき、取り出しユニット400は、錠剤カセット500の正面側に対向する位置にあって、その払出板430,430は、プッシャ440,440とともに水平姿勢となっているものとする。
ここでは、大量払出し作業を行うにあたり、その準備作業として、錠剤カセット500の本体上部530内にPTP錠剤シート900,900,・・・を充填又は補充をしておくものとする。
具体的には、図4に示すように、錠剤カセット500の本体上部530を、この本体上部530の下部に形成されたスライド部530aでもって、カセット基部510内の上部に形成されたレール部510a上をスライドさせて、前記カセット基部510の後方に突出させる。このときには、前記押出部材5515は、カセット基部510とともに元の位置にある本体下部540内に倒伏した待機状態のままであるので、いわば退避させた状態となっている。
このため、前記本体上部530内にPTP錠剤シート900,900,・・・が残っていたとしても、これらは、前記本体上部530の後方へのスライドにより、押出部材5515で前方に押し出されることなく、その押出部材5515の上部を通って、前記カセット基部510の後部に突出した本体上部530内に搭載されたままとなる。これにより、本体上部530への新たなPTP錠剤シート900,900,・・・の補充を簡単に行うことができる。
なお、前記本体上部530内にPTP錠剤シート900,900,・・・が残っていない場合は、前記押出部材5515が倒伏状態であるか否かにかかわらず、前記カセット基部510の後部に突出した本体上部530内にPTP錠剤シート900,900,・・・の充填を簡単に行うことができるのはいうまでもない。
そして、PTP錠剤シート900,900,・・・の補充等が終了した錠剤カセット500の本体上部530を、その下部に形成されたスライド部530aでもって、カセット基部510の上部に形成されたレール部510a上を前方にスライドさせて、カセット基部510上の元の位置に復帰させる。この本体上部530が元の位置に正確に戻ったことは、カセット基部510上のバネ片5517が、弾性復帰して、本体上部530の底板5301の所定位置に設けられた係合穴5302に嵌め込まれることで確認できる。
このときにも、前記押出部材5515は、カセット基部510とともに元の位置にある本体下部540内に倒伏した待機状態のままであり、引き続いて、この押出部材5515でもって、前記本体上部530内のPTP錠剤シート900,900,・・・を、その最下位置から順次に外部に押し出すことができるようになる。
以上の準備作業の後で、取り出しユニット400のサーボモータ420を駆動させることにより、払出板430,430を錠剤カセット500の正面側に向かって移動させる。やがて払出板430,430のプッシャ440,440の一方が、直接に錠剤カセット500の第一スライド部材5501を押圧するようになる。すると、前記押出機構550の働きでもって、図8(a)における押出部材5515が前向きに移動し、図8(b)における押出部材5515の状態となる。
すなわち、第一スライド部材5501が後向きに押圧されると、そのラック5505に噛合される第一ピニオン5506が横軸回りに回転されるとともに、第二ピニオン5508が同方向に回転され、この第二ピニオン5508に噛合されるラック5507を有する第三スライド部材5504が第一バネ5504aによる弾性付勢力に抗して前向きにスライドされる。
そして、第三スライド部材5504に固定された、第二スライド部材5503も前向きにスライドされる。固定部材5502のラック5514に噛合される第三ピニオン5513が縦軸回りに回転されるとともに、後ローラ5510が同方向に回転され、さらにゴムベルト5511を介して前ローラ5509が同方向に回転される。すると、ゴムベルト5511に固定された中間部材5512が前向きにスライドされる。
押出部材5515は、第二バネ5516により弾性付勢されて前後方向に起伏可能に立設された状態で、前記中間部材5512とともに前向きにスライドされ、この起立状態を維持しながら最後部から最前部へと移動する。このとき、押出部材5515は、PTP錠剤シート900,900を錠剤カセット500の本体上部530から前方に押し出す。
すると、取り出しユニット400の払出板430,430がプッシャ440,440とともにこの押し出されたPTP錠剤シート900,900を受けて元の位置に復帰するが、これに伴い、第三スライド部材5504の第一バネ5504aの存在により第二スライド部材5503は弾性復帰し、押出部材5515も元の最後部へと復帰する。この復帰時には、押出部材5515は次のPTP錠剤シート900,900のセットの下方を通って引き戻されて前記待機状態となる。
ところで、各PTP錠剤シート900,900,・・・は、シート幅方向に複数のポケット920,920,・・・が列設されており、前記セットとされる上下のPTP錠剤シート900,900間は前記ポケット同士920,920が当接している。したがって、前記最下位置のPTP錠剤シート900が押出部材5515により押し出されると、該最下位置のPTP錠剤シート900とセットとなる、直上のPTP錠剤シート900も同時に押し出される。
しかし、さらに上のPTP錠剤シート900は、錠剤カセット500の前壁531の仕切部材5313に当接して、その錠剤カセット500の本体上部530内にとどまることになるから、押出部材5515で押し出すのは、最下位置から2枚のPTP錠剤シート900,900のみとなる。
そして、押出部材5515で押し出された2枚のPTP錠剤シート900,900は、取り出しユニット400の払出板430,430上に重力落下することになる。このようにして、取り出しユニット400でこのPTP錠剤シート900,900を払い出して、錠剤カセット500から取り出すことができる。
ついで、ステッピングモータ434を駆動することにより、払出板430,430を回転軸437,437回りに互いに逆向きに回転させて下方に開くと、前記錠剤カセット500から取り出されたPTP錠剤シート900,900を一次バケット450内に落下させることができる。Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200とを用いてこの一次バケット450を二次バケット480上に移動させる。
そして、一次バケット450の図示しない底部シャッターを開口して、PTP錠剤シート900,900を二次バケット480内に落下させる。ついで、二次バケット480の底部シャッター470を開口して、PTP錠剤シート900,900を搬送コンベアユニット800上に落下させる。
搬送コンベアユニット800は、ローラ群等801と、このローラ群等801で前後・左右方向に移動される錠剤取出バケット802,802とを備えている。そして、前記二次バケット480からシャッター470を介して落下したPTP錠剤シート900,900は、ローラ群等801で前後・左右方向に移動され、錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下されるようになっている。
錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下したPTP錠剤シート900,900は、この錠剤取出バケット802,802内に収納された状態でさらに所定の部位に移動され、そこから外部に払い出されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態によれば、錠剤カセット500の本体上部530に収納されたPTP錠剤シート900,900,・・・を押し出すための押出部材5515を、該押出部材5515が前記本体上部530内に突出するようにして前記錠剤カセット500のカセット基部510側に設けるとともに、錠剤カセット500の本体上部530をカセット基部510の後方にスライドさせたときに、押出機構550の押出部材5515を前記本体上部530から退避させる退避機構を備えたので、錠剤カセット500の本体上部530を払い出し方向とは反対方向に引き出したときにも、PTP錠剤シート900,900,・・・が錠剤カセット500から誤って払い出されるおそれがない。
したがって、PTP錠剤シート900,900,・・・が本体上部530に残留した状態であっても、その錠剤カセット500に新たなPTP錠剤シート900,900,・・・を補充できるようになり、特に錠剤カセット500からPTP錠剤シート900,900,・・・の大量払出しを行うときに、事前にその錠剤カセット500にPTP錠剤シート900,900,・・・を補充しておくことができるので、その払い出しが中断される事態をできるだけ少なくすることができる。
なお、上記実施形態では、左右に2台のカセット棚600,600を配置しているが、前後に配置することとしてもよいし、1台、或いは3台以上のカセット棚を配置することとしてもよい。その場合には、各キャリッジ、取り出しユニット等の台数もこれに対応したものとするのが作業効率の点から好ましい。
また、2台以上のカセット棚を配置する場合には、その一部を従来の調剤装置のように、PTP錠剤シートを1枚ずつ錠剤カセットからチャックで取り出すように構成してもよい。その場合には、PTP錠剤シートをカッティングユニットで所定の錠剤数にカットして調剤する、いわゆる端数処理を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、複数の錠剤カセット500に、1台の取り出しユニット400を移動させて、当該錠剤カセット500からPTP錠剤シートを払い出すようにしているが、各錠剤カセットと取り出しユニットとを1対1で対応させて設けてもよい。その場合は、取り出しユニットの構成が簡単化できる。
また、上記実施形態では、錠剤カセット500から各PTP錠剤シート900,900,・・・を2枚ずつのセット単位で払い出しているが、このセットの倍数単位で払い出してもよい。これにより、処方の内容に応じて、最適なセット数のPTP錠剤シート900,900,・・・を錠剤カセット500から払い出すことができるようになり便利である。
また、上記実施形態では、退避機構としての前記押付部材5518は、押出部材5515の後側5515aが潜り込むことにより、該押出部材5515が押圧されるような、前上りの傾斜面5518aを備えているが、前記押出部材5515、押付部材5518は、同様の機能を有する限り、その他の形状としてもよいことはもちろんである。
また、上記実施形態では、錠剤カセット500に、横向き姿勢のPTP錠剤シート900,900,・・・を2枚ずつのセットにして、上下方向に重ねて収納したものを例示しているが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、錠剤カセットに、縦向き姿勢のPTP錠剤シート900,900,・・・を2枚ずつのセットにして前後方向に重ねて収納したものであってもよい。
また、上記実施形態では、PTP錠剤シート900,900,・・・は、それぞれが耳部930を備えた、いわゆる耳付きシートとしたが、その一部又は全部が耳部930の無い、いわゆる耳なしシートであってもよい。その場合でも、耳付きシートの場合とほぼ同様に、錠剤カセット500内にPTP錠剤シート900,900,・・・をほぼ隙間のなく詰め込むことができるから、錠剤カセット500の小型化を図ることができるとともに、取り出しユニット400でのPTP錠剤シート900,900,・・・のセット毎の取り出し時間がほぼ一定となるから、その取り出し作業が容易となり、PTP錠剤シート900,900,・・・の払出速度が速くなる。
また、上記実施形態では、各PTP錠剤カセット500,500,・・・は、カセット棚600の棚板602上に、該各PTP錠剤カセット500,500,・・・の幅方向に列設されているが、この棚板は静止した平板状のものに限定されず、例えば所定の軸心まわりに回転する円筒形状のものであってもよい。その場合には、取り出しユニット400を、この回転する棚板上に搭載された各PTP錠剤カセット500,500,・・・に対して相対移動させることで足りる。
1 調剤装置
100 装置本体
400 取り出しユニット
430 払出板
440 プッシャ
500 錠剤カセット
510 カセット基部
510a レール部
530 本体上部(薬剤ストック部に相当する。)
530a スライド部
5301 底板(基準面に相当する。)
540 本体下部
550 押出機構(シート押し出し機構に相当する。)
5501 第一スライド部材
5515 押出部材
5515a 後側(退避機構に相当する。)
5516 第二バネ(弾性部材に相当する。)
5518 押付部材
5518a 傾斜面(退避機構に相当する。)
800 搬送コンベアユニット
900 PTP錠剤シート(錠剤シートに相当する。)
特開平4−269960号公報 実開平5−054223号公報 特開2008−279241号公報

Claims (2)

  1. 錠剤シートを収納するための薬品ストック部を、カセット基部の前後方向にスライド自在に支持する錠剤カセットにおける、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを、前記薬品ストック部の基準面に最も近いものから順に外部に押し出すように構成した調剤装置のシート押し出し機構であって
    記薬品ストック部の基準面から突出するようにして前記カセット基部側に設けられ、前記薬品ストック部に収納された錠剤シートを押し出す押出部材と、
    前記押出部材の押し出し動作時には、該押出部材を前記カセット基部内から前記薬品ストック部内に突出させるように弾性付勢する弾性部材と、
    前記押出部材の待機時には、該押出部材を前記カセット基部の後端部で前記弾性付勢力に抗して押え付けることにより、前記押出部材を前記カセット基部内に没入させる押付部材とを備え、
    前記押出部材を前記カセット基部内に没入させた状態を維持しながら、前記薬品ストック部を前記カセット基部の後方にスライドさせるように構成したことを特徴とする調剤装置のシート押し出し機構。
  2. 前記押付部材は、前記押出部材の後側が潜り込むことにより、該押出部材が押圧されるような、前上りの傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1記載の調剤装置のシート押し出し機構。
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