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JP5079297B2 - 化合物半導体レーザの作製方法 - Google Patents

化合物半導体レーザの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、ストライプ状のリッジ部位を有する化合物半導体レーザの作製方法に関する。
リッジストライプ型の導波路構造を設けた化合物半導体レーザは、化合物半導体からなる積層構造の上層部に形成されたリッジ部位と、この積層構造の上面に形成され、前記リッジ部位の上面部に相当する部分に開口部が設けられている絶縁性保護層と、当該絶縁性保護層の上面に前記開口部を埋める形で形成された電極と、を備えてなることが一般的である。この場合、絶縁性保護層に設ける開口部は、正確にリッジ部位の上面部に設けられる必要があり、そのためのさまざまな手法が提案されている。その一例を、図5に示す(例えば特許文献1参照)。図5(a)〜(i)は、従来の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製工程フローを示す図である。
まず、図5(a)に示すように、サファイア基板1上にGaNバッファ層2を形成し、このGaNバッファ層2上にGaN系半導体層(例えばGaN層)3を形成する。
次に、図5(b)に示すようにGaN系半導体層3上にSiO2からなる第一のマスク層4をCVD法、電子ビーム蒸着法、スパッタ蒸着法等の方法により堆積する。さらに、ZrO2からなる第二のマスク層5を電子ビーム蒸着法やスパッタ蒸着法等の方法により堆積する。その後、酸素雰囲気下で300℃以上800℃以下の温度で熱処理を行う。この熱処理により、第二のマスク層5は後述の通り、フッ化アンモニウム溶液にエッチングされないようになる。
次に、第二のマスク層5上にレジストを塗布し、光リソグラフィーにより図5(c)のようにストライプ状のパターンを有するレジストマスク6を形成する。さらに、図5(d)に示すようにレジストマスク6をマスクとして反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により第二のマスク層5をエッチングし、レジストマスク6のストライプ状のパターンが転写されることで第二のマスク部5aを得る。続けて、同様にレジストマスク6をマスクとして第一のマスク層4をエッチングし、第一のマスク部4aが得られる。その後、レジストマスク6を除去し、図5(e)のような第二のマスク部5aと第一のマスク部4aよりなる積層マスク部8が形成される。
次に、この積層マスク部8をマスクとして、塩素ガスを含むエッチングガスを用いたドライエッチングによりGaN系半導体層3をエッチングしリッジ部位3aが形成される(図5(f)参照)。ここでドライエッチングの手法としては電子サイクロトロン共鳴反応性イオンエッチング(ECR−RIBE:Electron Cyclotron Resonance−Reactive Ion Beam Etching)や誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE:Inductively Coupled Plasma−Reactive Ion Etching)を用いることができる。
次に、第一のマスク部4aの側壁部をフッ化アンモニウム溶液によるエッチングによって後退させて、図5(g)のように第二のマスク部と5aとリッジ部位3aとの間に窪み部(以後、ネック部位と記述する)85が形成される。上述したように、第二のマスク部5a(ZrO2)は酸素雰囲気下で熱処理を施してあり、その効果によりフッ化アンモニウム溶液に対してエッチングされず、第一のマスク部4aのみが選択的にエッチングされる。
次に、図5(h)に示すように、ZrO2からなる絶縁層7a、7bを電子ビーム蒸着法やスパッタ蒸着法等により堆積する。この時、ネック部位85にはZrO2は堆積されない。これは、以下の理由による。先ず、電子ビーム蒸着法やスパッタ蒸着法などは、一般的に、堆積対象である試料の略垂直上方に蒸着源(堆積物のもととなるもの)が設置され、当該ターゲットから堆積物がチャンバ内に飛散され、試料に到達する堆積物は、ターゲットから前記試料へ方向性を持って飛散してきたものだけが堆積される。すなわち飛散した堆積物は、拡散性を持たないため、蒸着源方向から試料を観察したときに隠れている表面域には到達(堆積)しないという特徴を持つためである。したがって、第二のマスク部5a上面と側面とに絶縁層7bが、GaN系半導体層3のリッジ部位3aの側面および、リッジ部位3aの上面を除いたGaN系半導体層3の上面に絶縁層7aがそれぞれ形成されることになる。
次に、図5(i)に示すように、フッ化アンモニウム溶液に浸けることにより、積層マスク部8と、当該積層マスク部8の上面と側面に形成された絶縁層7bと、が一緒に除去(リフトオフ)され、リッジ部位3aの上面が露出した形状が得られる。
以上のような作製方法を用いれば、化合物半導体の積層構造のリッジ部位の上面に絶縁性保護層の開口部が設けられた構造を得ることが可能となる。
特開2004−119772号公報
しかしながら、このような作製方法では、以下に示す問題点があった。それは、図5(h)に示すようにZrO2からなる絶縁層7a、7bを電子ビーム蒸着法やスパッタ蒸着法等により堆積する際に、巨視的には、ネック部位85にはZrO2は堆積されないが、微視的には、粒状のZrO2が、リッジ部位3aの上面における第一のマスク部4aに被覆されていない領域に付着してしまう点である。リッジ部位3aの上面は、後の工程を経て、電流注入領域となる。しかし上述のように粒状のZrO2によって被覆された領域は、本来のリッジ部位3aの上面の面積を減少させ、結果的に電流注入領域の実効的な面積が減少することとなる。また粒状のZrO2の付着は、量的にも、場所的にも制御が困難であるために、電流注入量域の実効的な面積のばらつきを生じさせることとなる。これらのことが半導体レーザの駆動電流と駆動電圧が上昇したり、ばらつきが発生したりする原因となってきた。
しかも、現在では、半導体レーザの高出力化に伴い、リッジ部位の設計線幅は、1.2ミクロン程度まで細くなる傾向があり、リッジ部位の上面の付着物が与える影響は更に大きくなっている。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、電流注入領域の実効的な面積の減少やばらつきが生じない化合物半導体レーザの作製方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によるストライプ状のリッジ部位を有する化合物半導体レーザの作製方法は、複数の化合物半導体層が積層して形成される積層基板の上面全域に、第一のマスク層と、第二のマスク層と、第三のマスク層と、を順に設ける第1の工程と、第三のマスク層の上面に、ストライプ状のパターンを有するレジストマスクを設ける第2の工程と、そのレジストマスクをマスクとして、第三のマスク層、第二のマスク層、第一のマスク層を順にエッチングして、積層基板の上面に前記パターンを有する第一のマスク部、第二のマスク部、第三のマスク部からなる積層マスク部を形成する第3の工程と、積層マスク部をマスクとして積層基板を所定深さまでエッチングして、積層基板に前記パターンを有するリッジ部位を形成する第4の工程と、積層マスク部のうちの第二のマスク部を選択的に側面から所定の深さまでエッチングして、第一のマスク部と第三のマスク部の間に窪み部を形成する第5の工程と、積層基板の上面と、リッジ部位の側面と、第三のマスク部の上面及び側面と、第一のマスク部の側面と、に絶縁層を形成する第6の工程と、積層マスク部を除去することで、積層基板の上面とリッジ部位の側面と第一のマスク部の側面以外に形成された絶縁層を離脱させて、リッジ部位の上面に絶縁層の開口部を形成する第7の工程と、当該開口部に電極を設ける第8の工程と、を含む。
このような方法によると、リッジ部位の上面に絶縁物が付着する(乗る)ことがないため、上述の電流注入領域の実効的な面積の減少やばらつきが生じない。
また、前記第3の工程と前記第5の工程におけるエッチングがドライエッチングであっても良い。その場合、その第5の工程において、ドライエッチングによって積層マスク部の側面、及び、積層基板のリッジ部位の側面と、に付着した反応性生物を除去する工程を含む事が望ましい。
このような方法によると、ドライエッチングはウェットエッチングに比べて異方性が高く、所定の設計線幅を有したリッジ部位の作製が可能となる。また、ここでのドライエッチングによって形成された反応性生物を除去することで、その後の工程の正確性を向上させることができる。
また、前記第一のマスク層の層厚が、50〜500オングストロームであることが望ましい。
このような構成によると、第一のマスク層の堆積時にピンホール(貫通孔)が生じる事は無く、マスク層としての機能を十分に果たすことが可能となる。また後述するように、第一のマスク層に隣接して形成される余分な絶縁層の突起を小さくすることが可能となる。
また、前記第一のマスク層と前記第三のマスク層の材質が、前記第二のマスク層の材質と異なることが望ましい。
このような構成によると、それぞれのマスク層に対するエッチャント(ドライエッチングの場合はエッチングガス、ウェットエッチングの場合はエッチング溶液)が異なり、したがって、それぞれのマスク層を選択的にエッチングすることが可能となる。
また、前記第一のマスク層と前記第三のマスク層がSiO2又はSi34であって、前記第二のマスク層がAlであっても良い。
このような構成によると、第一のマスク層及び第三のマスク層のエッチャントがCF4やCHF3といったフッ素系エッチングガスとすることが可能となり、第二のマスク層のエッチャントはCl2やSiCl4といった塩素系ガスとすることが可能となる。したがって、第一のマスク層及び第三のマスク層と、第二のマスク層とを、それぞれ選択的にエッチングすることが可能となる。
本発明のストライプ状のリッジ部位を有する化合物半導体レーザの作製方法によれば、リッジ部位の上面に、絶縁物を堆積させないことが可能となり、レーザ素子の駆動電流や駆動電圧にばらつきや損失が生じない。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述する。先ず、本発明の第1実施形態である化合物半導体レーザについて説明する。図1は本発明の第1実施形態であるアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)系化合物半導体レーザの作製工程フローの各工程毎における断面図である。
先ず、AlGaInP系半導体レーザはn型GaAs基板上(図示せず)に、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシャル成長(MBE)法などの結晶成長法により、n型GaAsバッファ層、n型AlXGaYIn1-X-YP(0<X<1、0<Y<1、X+Y<1、以下、AlGaInPと略称する)クラッド層、AlGaInP障壁層とGaInP井戸層とによって構成される多重量子井戸活性層、p型AlGaInPクラッド層、p型GaAsコンタクト層を順次形成した化合物半導体の積層構造(以下、積層基板と記述することもある)10を形成する。
次に、図1(a)に示す様に、この積層基板10の上面全域に厚さ200オングストロームのSiO2よりなる第一のマスク層11を、次に厚さ3000オングストロームのAlよりなる第二のマスク層21を、更に、厚さ2000オングストロームのSiO2よりなる第三のマスク層31を、電子ビーム蒸着法により形成する。
次に第三のマスク層31の上面全域にレジストマスク層を設け、そのレジストマスク層をフォトリソグラフィによりパターニングし、ストライプ状のパターンを有するレジストマスク71が形成される。(図1(b)参照)
次に、形成したレジストマスク71をマスクとして、反応性イオンエッチング法により、第三のマスク層31、第二のマスク層21、第一のマスク層11を順次エッチングして第三のマスク部31a、第二のマスク部21a、第一のマスク部11a、が形成される。ここでのエッチングによって、ストライプ状にエッチングされた領域の積層基板10の表面が露出される。また、この第一、第二、第三のマスク部11a、21a、31aを合わせて積層マスク部41と呼ぶことにする。次にレジストマスク71を除去し、図1(c)に示した構造が得られる。ここで第一及び第三のマスク層11、31であるSiO2のエッチングにはCF4やCHF3などのフッ素系エッチングガスを、また、第二のマスク層21であるAlのエッチングには、Cl2やSiCl4などの塩素系エッチングガスを、それぞれ用いる。また、レジストマスク71の除去には、アセトンなどの有機溶剤を用いて溶解する。
次に、上記の積層マスク部41をマスクとして、積層基板10をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングし、図1(d)に示したようなリッジ部位10aが形成される。この場合のエッチングガスとしては、例えばCl2、SiCl4、BCl3などの塩素系ガスを用いる。本実施形態の如く、ドライエッチングによりストライプ状のパターンを有するリッジ部位10aを形成する場合、積層基板10、積層マスク部41、及びエッチングガスのそれぞれの構成元素が、エッチング中に相互に反応して、図1(d)に示すように反応生成物91がエッチング側面であるリッジ部位10aの側面及び積層マスク部41の側面に付着して残る事が多い。この反応生成物91が積層マスク部41の側面に残った状態では、次に説明する第二のマスク部21aのウェットエッチング工程において、正常なエッチングがなされない危険性がある。そのため、この積層マスク部41の側面に残った反応性生物91を除去する必要がある。この場合では、50wt%のフッ化水素酸と40wt%のフッ化アンモニウム水溶液を、重量比率で1:50の割合で混合して液温15℃に保持した溶液中で10秒間エッチングする事により、反応生成物91を完全に除去する事ができる。
次に、液温40℃の85%リン酸中に60秒浸ける事により、第二のマスク部21のみを選択的にエッチングし、図1(e)に示したように、積層マスク部41の側壁部、すなわち、第一、第二、及び、第三のマスク部の側面からなる面に、第二のマスク部の側面部分を凹部とした窪み部(以後、ネック部位と記述する)81を有する形状が得られる。この場合、先述の反応生成物91が残った状態であると、第二マスク部21aのエッチング速度に場所によるばらつきが生じ、ネック部位81の形状再現性が得られない。
次に、図1(f)に示すように、試料の略垂直上方から層厚3500オングストロームのZrO2よりなる絶縁層61を、電子ビーム蒸着法により堆積する。この場合、上述のように、ネック部位81には、蒸着源より飛んできたZrO2が到達しにくいため、第二のマスク部21aの側面部位を中心に、絶縁層61が形成されない部分が生じる。ただし、第一のマスク部11aの上部などにも、多少のZrO2微粒子61a等が付着するのは実質的に不可避である。もしも第一のマスク部11aがない作製方法を用いた場合、ZrO2微粒子61a等がリッジ部位10aの上面に付着してしまい、完成した半導体レーザ素子に電流を注入する際の障害となってしまう。第一のマスク部11aは、この現象を回避するためにリッジ部位10aの上面を保護する機能を有している。
引き続き、液温20℃の10%フッ酸中に60秒浸ける事により、積層マスク部41と、その積層マスク部41の表面に形成された絶縁層61cと、が一緒に除去(リフトオフ)され、図1(g)に示したように、リッジ部位10aの表面が露出した構造が得られる。従って、第一のマスク部11aの上部に付着したZrO2微粒子61aも、第一のマスク部11aが溶出される際、同時に取り除かれる。ただし、この際、リッジ部位10aの上面の両端に、第一のマスク部11aの厚みに相当する高さを有する絶縁層61の突起61bが残留する。この突起61bは、その後の工程の途中で折れて破片がリッジ部位10aの上面に付着する事がある。このため、できるだけ突起61bの高さを低くし、その危険性が実用上問題ない範囲に抑える必要がある。即ち、突起61bの高さを決める第一のマスク部11aの厚みが薄い方が望ましい。より具体的には、500オングストローム以下とする事が望ましい。ただし、50オングストロームを下回ると、成膜方法や成膜条件によっては、膜中に生じる微小なピンホール(貫通孔)により上述のリッジ部位10aの上面を保護する機能が損なわれるため、望ましくない。
次に、絶縁層61と、リッジ部位10aの表面にp側電極51を形成して、図1(h)の構造が得られる。以降、積層基板10の裏面を研削・研磨してウエハの厚みを100ミクロン程度に薄く加工し、裏面にn側電極を形成した後、ウエハを分割して、AlGaInP系化合物半導体レーザが得られる。
以上のような作製方法により、第一のマスク部11aがZrO2からなる絶縁層のリッジ部位10a上面への堆積を防ぐことができるため、上述した、電流注入領域の実行面積のばらつきや減少を防ぐことが可能となる。その結果、レーザとしての出力信頼性が向上することとなる。
なお、以上の作製方法において反応生成物91は、積層基板10をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングする際に生じたものであるが、第二のマスク層21または第一のマスク層11を反応性イオンエッチング法によりエッチングする際にも、エッチング条件によっては、反応生成物が被エッチング物の側面に形成される場合がある。この場合においても同様に、50wt%のフッ化水素酸と40wt%のフッ化アンモニウム水溶液を、重量比率で1:50の割合で混合した溶液で処理する事により、除去する事が可能である。
また、以上の作製方法においては、積層マスク部41を形成した後、レジストマスク71を除去しているが、レジストマスク71の除去は、別のタイミングで行なっても構わない。例えば、第三のマスク層31をエッチングした直後であったり、第二のマスク層21をエッチングした直後であったり、積層基板10をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングした直後であっても良い。ただし、第二のマスク層21をエッチングした直後にレジストマスク71を除去する場合、第一のマスク層11をエッチングする際に、第一のマスク層11と同じSiO2よりなる、第三のマスク層31も同時にエッチングされる事となる点に注意が必要である。この場合は、本実施の形態のごとく、第一のマスク層11の厚みが、第三のマスク層31のそれに比べて例えば1/10程度と十分薄い場合にのみ可能である。また、除去工程を特に設けず、液温20℃の10%フッ酸中に60秒浸ける事により、積層マスク部41と、絶縁層61cとを除去(リフトオフ)する際に、一緒に除去する形としても特に問題はない。
また、以上の作製方法においては、積層マスク部41をマスクとして、積層基板10をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングした後に、ネック部位81を形成したが、この工程は、順番が逆になっても構わない。
以上、説明した図1(a)〜(h)に示す本発明の第一の実施形態においては、化合物半導体からなる積層基板10をエッチングすることでリッジ部位10aを形成し、その後に、第二のマスク部21をエッチングしてネック部位81が形成された。しかし、これらの工程の順序を入れ替える事により、第1実施形態と同様の効果を保ちつつも、より少ない工程数で化合物半導体レーザ素子を作製する事ができる。これを次の第2実施形態で説明する。
次に、本発明の第2実施形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第2実施形態による、アルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)系化合物半導体レーザの作製工程フローの各工程毎における断面図である。まずAlGaInP系化合物半導体レーザは、n型GaAs基板上(図示せず)に、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシャル成長(MBE)法などの結晶成長法により、n型GaAsバッファ層、n型AlXGaYIn1-X-YP(0<X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1、以下、AlGaInPと略称する)クラッド層、AlGaInP障壁層とGaInP井戸層とによって構成される多重量子井戸活性層、p型AlGaInPクラッド層、p型GaAsコンタクト層を順次形成した化合物半導体の積層構造(以下、積層基板と記述することもある)20を形成する。
次に、図2(a)に示す様に、この積層基板20の表面に厚さ200オングストロームのSiO2よりなる第一のマスク層12を、次に厚さ3000オングストロームのAlよりなる第二のマスク層22を、更に、厚さ2000オングストロームのSiO2よりなる第三のマスク層32を、電子ビーム蒸着法により形成する。
次に第三のマスク層32の上面全域にレジストマスク層を設け、そのレジストマスク層をフォトリソグラフィによりパターニングし、ストライプ状のパターンを有するレジストマスク72が形成される。(図2(a)参照)
次に、形成したレジストマスク72をマスクとして、CF4やCHF3などのフッ素系エッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法により、第三のマスク層32を、第二のマスク層22が露出するまでエッチングして、第三のマスク部32aが形成され、図2(b)の形状が得られる。
次に、液温40℃の85%リン酸中に60秒浸ける事により、第二のマスク層22をエッチングして第一のマスク層12が露出されるが、このようなウェットエッチングは、ドライエッチング法と異なり等方性が強いため、第二のマスク層22の第三のマスク部32aの直下の部分までエッチングが進行し、第二のマスク部22aが形成されると同時に、窪み部(以後、ネック部位と記述する)82が形成される(図2(c)参照)。
次に、再びCF4やCHF3などのフッ素系エッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法により、第一のマスク層12をエッチングして積層基板20の表面を露出させ、第一のマスク部12aが得られる。その後、レジストマスク72を除去し、図2(d)に示した構造が得られる。また、この第一〜第三のマスク部12a、22a、32aを合わせて積層マスク部42と呼ぶことにする。この場合、反応性イオンエッチング法の異方性を利用する事で、図2(d)の如く第三のマスク部32aと同じ幅で第一のマスク部12aを残す事が可能である。ただしこのエッチングの際に、エッチング条件によっては反応生成物がネック部位82に付着する事がある。完全にネック部位82が反応生成物で埋まってしまうと、あとの工程でリッジ部位20a上の絶縁層62を積層マスク部42と一緒に除去する(リフトオフする)際に問題となる。しかし、第1実施形態で示したように、第一のマスク層32の厚みをたかだか500オングストロームとすると、ネック部位82が埋まる十分前に、前記ドライエッチングを終了する事ができるため、問題はない。
次に、積層マスク部42をマスクとして、積層基板20を、p型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングし、図2(e)に示したようなリッジ部位20aが形成される。更にそのエッチングによってエッチング側面に生成した反応生成物92を除去して図2(f)の構造が得られた後に、図2(g)に示すように図2(f)の構造の上面全域に、層厚3500オングストロームのZrO2よりなる絶縁層62を、電子ビーム蒸着法により形成する。その後p側電極を形成する工程は、第1実施形態の場合と同じであるため、説明および図示は省略する。
以上の作製方法によれば、第二のマスク層22をパターニングし第二のマスク部22aが得られる工程と、ネック部位82を設ける工程と、を同時に行う事ができるため、第1実施形態の場合と比べ、より少ない工程数で製造が可能となる。
また、第1実施形態のプロセスでは、第一のマスク層11のエッチングを、フッ素系エッチングガスを用いた反応性イオンエッチング法により行なっているが、その際、第二のマスク部21aの側面がフッ化アルミニウムに改質される事がある。このフッ化アルミニウム層は、通常、リッジ部位10aを形成する際のドライエッチングで生じた反応生成物91を除去する際に同時に除去されるが、例えばリッジ部位10aの高さが1.5ミクロンを超える高さなどの場合は、そのドライエッチング中に、イオン衝突や紫外線照射などによって、試料表面の温度が高くなった場合、前記フッ化アルミニウムの完全な除去が困難となる事がある。その場合は、第二のマスク層21をリン酸溶液で処理してネック部位81を設けようとしても、ほとんどエッチングが進行しない。このような場合には、本実施形態の如く、第二のマスク層22をパターニングする工程とネック部位82を設ける工程とを同時に処理する事で、この問題を回避する事が可能である。
また、このように、ネック部位82を設けた後にリッジ部位20aを塩素系ガスを用いたドライエッチング法により形成する場合、更に積層基板20が本実施形態のようにInを含む場合は、特に、後の工程で第一のマスク部12aとなる第一のマスク層12の存在が重要である。というのは、第一のマスク部12aが積層基板20の表面を保護していない場合、リッジ部位20aの上面にInのハロゲン化物を含む反応生成物92が乗ってしまう現象が顕著となり、しかも、Inのハロゲン化物は沸点が高く、脱離が困難であるためである。
また、以上の作製方法において反応生成物92は、積層基板20をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングする際に生じたものであるが、第一のマスク層12を反応性イオンエッチング法によりエッチングする際にも、エッチング条件によっては、反応生成物が被エッチング物の側面に形成される場合がある。この場合においても同様に、50wt%のフッ化水素酸と40wt%のフッ化アンモニウム水溶液を、重量比率で1:50の割合で混合した溶液で処理する事により、除去する事が可能である。
また、以上の作製方法においては、積層マスク部42を形成した後、レジストマスク72を除去しているが、レジストマスク72の除去は、別のタイミングで行なっても構わない。例えば、第三のマスク層32をエッチングした直後であったり、第二のマスク層22をエッチングした直後であったり、積層基板20をp型AlGaInPクラッド層の途中までエッチングした直後であっても良い。ただし、第二のマスク層22をエッチングした直後にレジストマスク72を除去する場合、第一のマスク層12をエッチングする際に、第一のマスク層12と同じSiO2よりなる、第三のマスク層32も同時にエッチングされる事となる点に注意が必要である。この場合は、本実施の形態のごとく、第一のマスク層12の厚みが、第三のマスク層32のそれに比べて例えば1/10程度と十分薄い場合にのみ可能である。また、除去工程を特に設けず、積層マスク部42と、絶縁層62とを除去(リフトオフ)する際に、一緒に除去する形としても特に問題はない。
以上説明した本発明の第1及び第2実施形態では、積層基板にストライプ状のリッジ部位を形成し、続いて絶縁層を被せた後に、p側電極を形成している。この場合、基板上に化合物半導体からなる積層構造(積層基板)を形成した後、一旦、その表面が第一のマスク層で被覆される事となる。しかしながら、第一のマスク層が形成される際の前記表面に与える物理的ダメージや、除去される際に発生する界面準位(未結合手や原子欠陥などによる電気的トラップ)の影響で、コンタクト抵抗が上昇し、レーザ素子の駆動電圧の上昇を招く場合がある。このような懸念がある場合、化合物半導体からなる積層構造(積層基板)を形成した後に、まずp側コンタクト電極を形成することで、このような懸念を払拭する事も可能である。次にその場合の実施形態を説明する。
図3は、本発明の第3実施形態による、窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製工程フローの各工程毎における断面図である。先ず、n型GaN基板上(図示せず)に、低温成長によるアンドープGaNバッファ層、n型GaNコンタクト層、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、n型GaN光ガイド、In0.05Ga0.95N障壁層とIn0.15Ga0.85N井戸層とを3周期重ねた量子井戸構造の活性層、p型Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層、p型GaN光ガイド層、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、及びp型GaNコンタクト層を順次積層して得られた窒化ガリウム系化合物半導体積層構造(以下、積層基板と呼ぶこともある)30の表面に、電子ビーム蒸着法により厚さ150オングストロームのPdよりなるp側コンタクト電極層43を形成する。更にその上部に、厚さ200オングストロームのSi34よりなる第一のマスク層13を、次に厚さ3000オングストロームのAlよりなる第二のマスク層23を、更に、厚さ2000オングストロームのSi34よりなる第三のマスク層33を、電子ビーム蒸着法により形成して、図3(a)の形状が得られる。
次に第三のマスク層33の上面全域にレジストマスク層を設け、そのレジストマスク層をフォトリソグラフィによりパターニングし、ストライプ状のパターンを有するレジストマスク73が形成される(図3(b)参照)。
次に、形成したレジストマスク73をマスクとして、反応性イオンエッチング法により、第三のマスク層33、第二のマスク層23、第一のマスク層13、p側コンタクト電極層43を順次エッチングして、第三のマスク部33a、第二のマスク部23a、第一のマスク部13a、p側コンタクト電極部43aが形成される。前記エッチングによって当該エッチングされた領域の積層基板30の表面が露出される。また、この第一〜第三のマスク部13a、23a、33a、を合わせて積層マスク部53と呼ぶことにする。次に、レジストマスク73を除去し、図3(c)に示した構造が得られる。ここで、第一及び第三のマスク層であるSi34のエッチングにはCF4やCHF3などのフッ素系エッチングガスを、また、第二のマスク層であるAlのエッチングには、Cl2、SiCl4またBCl3などの塩素系エッチングガスを用いる。また、p側コンタクト電極層43であるPdのエッチングにはArを用いてスパッタリングする。また、レジストマスク73の除去には、アセトンなどの有機溶剤を用いて溶解する。
レジストマスク73の除去に引き続き、積層マスク部53をマスクとしてやはり反応性イオンエッチング法により、積層基板30を、上部クラッド層の途中までエッチングし、図3(d)に示すようにリッジ部位30aが形成される。この場合のプロセスガスは、Cl2、SiCl4、BCl3などの塩素系ガスを使用する。
次に、液温10℃の60%塩酸中に20秒浸ける事により、第二のマスク部23aのみを選択的にエッチングし、図3(e)に示したように、積層マスク部53中に窪み部(以後、ネック部位と記述する)83を有する形状が得られる。
次に、図3(f)に示したように、上面全域に層厚3500オングストロームのZrO2よりなる絶縁層63が、電子ビーム蒸着法により形成される。
引き続き、50wt%のフッ化水素酸と40wt%のフッ化アンモニウム水溶液を、重量比率で1:50の割合で混合して液温20℃に保持した溶液中に60秒浸ける事により、積層マスク部53と、当該積層マスク部53の表面と側面に形成された絶縁層63と、が一緒に除去され、図3(g)に示すように、p側コンタクト電極部43aの表面が露出した構造が得られる。第一のマスク部13aの上に乗り上げた絶縁膜63も、第一のマスク部13aが溶出される際、同時に取り除かれる。その後p側電極を形成する工程以降は、上述の第1実施形態の場合と同じであるため、説明及び図示は省略する。
本実施形態の作製方法によれば、p側コンタクト電極層43を形成する前には、何ら、窒化ガリウム系化合物半導体積層構造(積層基板)30を被覆する工程が含まれておらず、リッジ部位30aの上面(p側コンタクト電極部43aとの界面)に損傷を与える工程が少ない。よって、第1実施形態の製造方法により作製した窒化ガリウム系化合物半導体レーザ素子よりもコンタクト抵抗を抑えることが可能となり、動作電流50mAでの室温連続発振動作において、約0.5ボルト程度低い電圧を実現できた。
なお、ドライエッチングの反応生成物(本実施形態では図示しない)が被エッチング対象物のエッチング側面に形成されることやその反応性生物が除去可能なこと、及び、レジストマスクを除去するタイミングが、本実施形態の作成方法に記載しているタイミングに限らないことについては、いずれも本発明の第1及び第2実施形態と同様であるのは言うまでもない。
ここまで説明してきた、本発明の第1、第2、及び第3実施形態においては、リッジ部位のみを残して、積層基板をドライエッチング法によりエッチングしたが、リッジ部位以外を全てエッチングする必要はなく、リッジ部位の近傍のみをエッチングしても良い。
リッジ部位のみを残してエッチングした場合、表面から突出しているリッジ部位が、後の工程で破損する危険性がある。他方、リッジ部位の近傍のみエッチングした場合は、リッジ部のみが突出するわけではないので、後の工程での破損の危険性を、大幅に減じることが可能となり、信頼性の向上にもつながる。そこで次に、リッジ部位の近傍のみエッチングした場合について説明する。
図4は、本発明の第4実施形態による、窒化ガリウム系化合物半導体レーザの作製工程フローを示す各工程毎における断面図である。n型GaN基板上に、低温成長によるアンドープGaNバッファ層、n型GaNコンタクト層、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、n型GaN光ガイド、In0.05Ga0.95N障壁層とIn0.15Ga0.85N井戸層とを3周期重ねた量子井戸構造の活性層、p型Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層、p型GaN光ガイド層、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層、及びp型GaNコンタクト層を順次積層して得られた窒化ガリウム系化合物半導体積層構造(以下、積層基板と記述することもある)40の表面に、電子ビーム蒸着法により厚さ150オングストロームのPdよりなるp側コンタクト電極層44を形成する。この際、p側コンタクト電極層44は、本発明の第3実施形態で紹介したように積層基板40の上面全域に形成するのではなく、図4(a)に示したように、後にリッジ部位40aを形成する領域とその近傍にのみ形成する。例えば、リッジ部位が1.5ミクロン幅であれば、p側コンタクト電極層44はリッジ部位40a形成位置を中心に、全幅10〜20ミクロン程度で形成する。一旦、厚さ150オングストロームのPdを積層基板40の上面全域に形成したのち、p側コンタクト電極層44の設計線幅を有するレジストマスクをフォトグラフィにより形成し、そのレジストマスクに被覆された領域以外の領域を、硝酸と塩酸と水の混合溶液にてエッチングすることで、そのレジストマスクのパターンが転写され、所望の幅を有したp側コンタクト電極層44が形成される。その後、レジストマスクを有機溶剤で除去する。
次に、上面全域(p側コンタクト電極層44の上面と当該p側コンタクト電極層44によって被覆されていない積層基板40の上面)に、厚さ200オングストロームのSi34よりなる第一のマスク層14を、次に厚さ3000オングストロームのAlよりなる第二のマスク層24を、更に、厚さ2000オングストロームのSi34よりなる第三のマスク層34を、電子ビーム蒸着法により形成して、図4(b)の形状が得られる。
次に図4(c)に示した通り、第三のマスク層34の上に、リッジ部位40aを形成するためのストライプ状のレジストマスク74aを、上面視においてp側コンタクト電極層44形成領域内に位置するように形成する。また、同時にレジストマスク74aの両側に、当該レジストマスク74aから所定の間隔を有し、且つ、上面視において、p側コンタクト電極層44形成領域外に位置するようにレジストマスク74bを形成する。この場合の各レジストマスク74a、74bの形成方法は上記と同様にフォトリソグラフィによって形成される。
次に、形成したレジストマスク74a、74bをマスクとして、反応性イオンエッチング法により、第三のマスク層34、第二のマスク層24、第一のマスク層14、p側コンタクト電極層44を順次エッチングして、第三のマスク部34a、34b、第二のマスク部24a、24b、第一のマスク部14a、14b、p側コンタクト電極部44aが形成される。このときエッチングされた領域の積層基板40の表面は露出することになる。また、このp側コンタクト電極部44aの上に位置するの第一、第二及び第三のマスク部14a、24a、34aを合わせて積層マスク部54aと呼ぶことにする。同様に、積層マスク部54aを除いた第一、第二及び第三のマスク部14b、24b、34bを合わせて積層マスク部54bと呼ぶことにする。次にレジストマスク74a、74bを除去し、図4(d)に示した構造が得られる。ここで、第一及び第三のマスク層であるSi34のエッチングにはCF4やCHF3などのフッ素系エッチングガスを、また、第二のマスク層であるAlのエッチングには、Cl2やSiCl4などの塩素系エッチングガスを、用いる。また、p側コンタクト電極層44であるPdのエッチングにはArを用いたスパッタリングを行う。また、レジストマスク74a、74bの除去には、アセトンなどの有機溶剤を用いて溶解する。
レジストマスク74a、74bの除去に引き続き、やはり反応性イオンエッチング法により、積層マスク部54a、54bをマスクとして、積層基板40を、上部クラッド層の途中までエッチングし、図4(e)に示したようにリッジ部位40aが形成される。この場合のエッチングガスは、Cl2、SiCl4、BCl3などの塩素系ガスを使用する。上述の第3実施形態の場合と異なり、積層マスク部54bが存在するため、積層基板40がエッチングされるのは、リッジ部位40aの両脇の部分のみとなる。
次に、リッジ部位40a及びその直上にある積層マスク部54aを完全に覆うよう、リッジ部位保護用レジストマスク75を、図4(f)に示したように形成する。次に、リッジ部位保護用レジストマスク75によって保護されていない領域に形成されている積層マスク部54bを、50wt%のフッ化水素酸と40wt%のフッ化アンモニウム水溶液を、重量比率で1:50の割合で混合して20℃に保持した溶液中に90秒間浸ける事で、完全に除去し、その後、リッジ部位保護用レジストマスク75を有機溶剤で除去する事で、図4(g)に示した形状が得られる。
次に、液温40℃の85%リン酸中に60秒浸ける事により、第二のマスク層24のみを選択的にエッチングし、図4(h)に示したように、積層マスク部54a中にネック部位84を有する形状が得られる。
その後、本実施形態の上面全域に、層厚3500オングストロームのZrO2よりなる絶縁層を形成し、リッジ部位40aの上の積層マスク部54aと絶縁層を除去し、更に上部にp側電極を形成し、基板裏面を研削、研磨してn側電極を形成した後に分割するが、これらの工程は、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、説明及び図示を省略する。
本実施形態の作製方法によれば、積層基板40の上面における凸部がリッジ部位40a以外にも存在することとなるため、リッジ部位40のみが凸部として存在する場合に比べて、当該リッジ部位40aが破損しにくくなり、歩留りや信頼性の向上につながる。
なお、ドライエッチングの反応生成物(本実施形態では図示しない)が被エッチング対象物のエッチング側面に形成されることやその反応性生物が除去可能なこと、及び、レジストマスクを除去するタイミングが、本実施形態の作成方法に記載しているタイミングに限らないことについては、いずれも本発明の第1及び第2実施形態と同様であるのは言うまでもない。
以上述べた、本発明の第4実施形態においては、第3実施形態を踏襲して、積層基板を形成後、最初にコンタクト電極を形成したが、第1実施形態、第2実施形態と同様、絶縁層を形成した後にp側電極を形成する製造方法でも、同様に、リッジ部位の両脇のみが掘り込まれた構造を作製できるのは言うまでもない。また、第2実施形態のように、第二のマスク層のエッチングをウェットエッチングで行い、ネック部位を同時に形成する作製方法も適用可能である事も自明である。
以上、本発明を、実施形態に基づき詳述してきたが、本発明の内容は、ここに挙げた実施の形態に書かれた内容に限定されるものではない。次に、本願発明の技術的思想に基づく、変形を例示する。
本発明における化合物半導体からなる積層構造(積層基板)は、AlGaInP系半導体ないし、窒化ガリウム系半導体であったが、例えばZn-Se系などのII−VI族半導体や、InP系半導体、GaAs系半導体においても同様に適用可能である。
また、本願の第3及び第4実施形態で使用したp側コンタクト電極層43、44は、層厚500オングストロームのPdであったが、Ni、Tiなどでも良い。また、これらの上に、Au,Moなど、別の金属が積層された構造であっても良い。また、厚みが正確に本実施形態の通りでなくとも良い。
また、第一のマスク層、第二のマスク層、第三のマスク層及び絶縁層と、それらをそれぞれ選択的にエッチングして退行させるためのエッチャント(以下、「第二のマスク層のエッチャント」などとそれぞれ呼称する。)と、及び絶縁層を形成した後にウェットエッチング法により積層マスク部を除去する(リフトオフする)際に使用するエッチャント(以下、「リフトオフする際のエッチャント」などと呼称する。)と、の組み合わせは、本願の実施形態で使用したもの以外でも、以下の条件1)〜6)を同時に満たす組み合わせであれば、同様に適用可能である。以下にその条件1)〜6)を示す。
1)第一のマスク層は、第二のマスク層のエッチャントには、実質的にエッチングされない。
2)第二のマスク層は、第一、及び第三のマスク層に十分な密着性があり、第二のマスク層のエッチャントによりエッチングされる。
3)第三のマスク層は、第二のマスク層のエッチャントには、実質的にエッチングされず、かつ、積層マスク部を除去する(リフトオフする)際のエッチャントには容易にエッチングされる。
4)絶縁層は、積層基板に対して十分な密着性を有する絶縁物であって、マスク層を除去する際のエッチャントには、実質的にエッチングされない。
5)第二のマスク層のエッチャントは、積層基板、第一のマスク層、及び第三のマスク層を実質的にエッチングせず、第二のマスク層のみを選択的にエッチングできる。
6)リフトオフする際のエッチャントは、第一のマスク層を容易にエッチングでき、同時に、積層基板、及び絶縁層を実質的にエッチングしない。
これら条件1)〜6)を満たす材料の具体的な組み合わせの例を図6にまとめる。
また、第一のマスク層、第二のマスク層、第三のマスク層、および絶縁層の厚みは、実施形態の記述中に例示した厚みに限定されるものではない。また、その形成方法についても、実施形態の記述中に例示した電子ビーム蒸着法によらずとも、スパッタリング法、プラズマCVD法などによるものでも良い。
また、本発明の実施形態で使用したドライエッチング法は、反応性イオンエッチング法であったが、反応性イオンビームエッチング法や、誘導結合プラズマエッチング法、ECRプラズマエッチング法などでも、同様のプロセスガスの使用により、本願の実施形態に示したものと同様なエッチングが可能である。
本発明の第1実施形態の作製工程フローを示す断面図である。 本発明の第2実施形態の作製工程フローを示す断面図である。 本発明の第3実施形態の作製工程フローを示す断面図である。 本発明の第4実施形態の作製工程フローを示す断面図である。 従来の化合物半導体レーザの作製工程フローを示す断面図である。 マスク層及び絶縁層の材料とエッチャント溶液の組み合わせ例をまとめた図である。
符号の説明
1 サファイア基板
2 GaNバッファ層
3 GaN系半導体層
3a リッジ部位
4 第一のマスク層
4a 第一のマスク部
5 第二のマスク層
5a 第二のマスク部
6 レジストマスク
7a 絶縁層
7b 絶縁層
8 積層マスク部
85 ネック部位
10 積層基板
10a リッジ部位
11 第一のマスク層
11a 第一のマスク部
21 第二のマスク層
21a 第二のマスク部
31 第三のマスク層
31a 第三のマスク部
41 積層マスク部
51 p側電極
61 絶縁層
61a ZrO2微粒子
61b 突起
61c 絶縁層
71 レジストマスク
81 ネック部位
91 反応生成物

Claims (9)

  1. ストライプ状のリッジ部位を有する化合物半導体レーザの作製方法において、
    複数の化合物半導体層が積層して形成される積層基板の上面全域に、コンタクト電極層を設ける第1の工程と、
    前記コンタクト電極層の上面全域に、第一のマスク層と、第二のマスク層と、第三のマスク層と、を順に設ける第2の工程と、
    前記第三のマスク層の上面に、ストライプ状のパターンを有するレジストマスクを設ける第3の工程と、
    第三のマスク層、第二のマスク層、第一のマスク層、を順にエッチングして、前記積層基板の上面に、前記パターンを有する、第一のマスク部と第二のマスク部と第三のマスク部と、からなる積層マスク部を形成する第4の工程と、
    コンタクト電極層をエッチングして、前記パターンを有するコンタクト電極部を形成する第5の工程と、
    前記積層マスク部をマスクとして積層基板を所定の深さまでエッチングし、積層基板に、前記パターンを有するリッジ部位を形成する第6の工程と、
    前記積層マスク部のうち、第二のマスク部を選択的に側面から所定の深さまでエッチングして、第一のマスク部と第三のマスク部の間に窪み部を形成する第7の工程と、
    前記積層基板の上面と、前記リッジ部位の側面と、第三のマスク部の上面と、前記第三のマスク部の側面と、第一のマスク部の側面と、コンタクト電極部の側面と、に絶縁層を形成する第8の工程と、
    前記積層マスク部を除去することで、前記積層基板の上面と前記リッジ部位の側面とコンタクト電極部の側面と前記第一のマスク部の側面以外に形成された絶縁層を離脱させて、前記コンタクト電極部の上面に前記絶縁層の開口部を形成する第9の工程と、
    を含む事を特徴とする化合物半導体レーザの作製方法。
  2. 前記第4の工程と前記第5の工程と前記6の工程のうち、少なくとも1つの工程におけるエッチングがドライエッチングであって、
    当該ドライエッチングによってエッチング側面に付着した反応生成物を、除去する工程を有することを特徴とする請求項に記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  3. 前記第6の工程におけるエッチングがドライエッチングであって、前記積層基板は、前記ドライエッチングされる深さまでに存在する化合物半導体層のうちの少なくとも一層がInを含んでなることを特徴とする請求項またはに記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  4. ストライプ状のリッジ部位を有する化合物半導体レーザの作製方法において、
    複数の化合物半導体層が積層して形成される積層基板の上面全域に、コンタクト電極層を設ける第1の工程と、
    前記コンタクト電極層の上面全域に、第一のマスク層と、第二のマスク層と、第三のマスク層と、を順に設ける第2の工程と、
    前記第三のマスク層の上面に、ストライプ状のパターンを有するレジストマスクを設ける第3の工程と、
    前記レジストマスクをマスクとして、前記第三のマスク層をエッチングし、前記パターンを有する第三のマスク部を形成する第4の工程と、
    前記第三のマスク部をマスクとして、第二のマスク層を、選択的に等方性エッチングし、前記第三のマスク部の幅より狭い幅の第二のマスク部を形成する第5の工程と、
    第一のマスク層をエッチングし、前記積層基板の上面に、第一のマスク部、第二のマスク部、第三のマスク部からなる積層マスク部を形成する第6の工程と、
    コンタクト電極層をエッチングし、前記パターンを有するコンタクト電極部を形成する第7の工程と、
    前記積層マスク部をマスクとして積層基板を所定の深さまでエッチングし、積層基板に前記パターンを有するリッジ部位を形成する第8の工程と、
    前記積層基板の上面と、前記リッジ部位の側面と、第三のマスク部の上面と、前記第三のマスク部の側面と、第一のマスク部の側面と、コンタクト電極部の側面と、に絶縁層を形成する第9の工程と、
    前記積層マスク部を除去することで、前記積層基板の上面とリッジ部位の側面とコンタクト電極部の側面と前記第一のマスク部の側面以外に形成された絶縁層を離脱させて、前記コンタクト電極部の上面に前記絶縁層の開口部を形成する第10の工程と、
    を含むことを特徴とする化合物半導体レーザの作製方法。
  5. 前記第4の工程と前記第6の工程と前記第7の工程と前記第8の工程のうち、少なくとも1つの工程におけるエッチングがドライエッチングであって、
    当該ドライエッチングによってエッチング側面に付着した反応生成物を、除去する工程を有することを特徴とする請求項に記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  6. 前記第8の工程におけるエッチングがドライエッチングであって、前記積層基板は、前記ドライエッチングされる深さまでに存在する化合物半導体層のうちの少なくとも一層がInを含んでなることを特徴とする請求項またはに記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  7. 前記第一のマスク層の層厚が、50〜500オングストロームである事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  8. 前記第一のマスク層と前記第三のマスク層の材質が、前記第二のマスク層の材質と異なる事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体レーザの作製方法。
  9. 前記第一のマスク層と前記第三のマスク層がSiO2又はSi34であって、
    前記第二のマスク層がAlである事を特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体レーザの作製方法。
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