図1、図2のユニット建物1は、基礎10に最下階建物ユニット20を支持し、最下階建物ユニット20の上に順に上階建物ユニット30、40を搭載して構築されたものである。
即ち、ユニット建物1は、複数の建物ユニット20、30、40を水平方向と鉛直方向に隣接設置して構築されるものである。建物ユニット20(建物ユニット30、40も同じ)は、図3に示す如く、角鋼管製管柱21と、形鋼製床梁22と、形鋼製天井梁23を箱形に接合した骨組構造体である。建物ユニット20は、管柱21の下端部にジョイントピース22Jを介して床梁22を溶接し、管柱21の上端部にジョイントピース23Jを介して天井梁23を溶接して構成される。建物ユニット20は、床梁22を省略できる。
ユニット建物1は、複数の建物ユニット20を鉛直方向に積層して3階建等の中高層階ユニット建物を構成することができる。また、ユニット建物1は、建物ユニット20の少なくとも1個のコーナー部を柱省略コーナー部としてなる柱省略建物ユニットの複数個を隣接して接合し、各柱省略建物ユニットの柱省略コーナー部を互いに突き合せて柱省略接合部を形成してなる柱省略ユニット建物を構成することもできる。
基礎10は、図4、図5に示す如く、コンクリート製ベタ基礎11にアンカーボルト12を用いて鋼製基礎構造体13を固定し、この基礎構造体13の上部に最下階建物ユニット20を支持する。
最下階建物ユニット20は、床梁22を省略したものであり、4本の角鋼管製柱21の上端部間に形鋼製天井梁23を架け渡し、天井梁23の端部を柱21の上端部に剛接合して構成したラーメン構造体である。柱21の上端部にジョイント金物23J(図7)を溶接し、ジョイント金物23Jに天井梁23の端部が溶接される。尚、最下階建物ユニット20は、柱21の下端部間に架け渡される形鋼製床梁22を更に有し、床梁23の端部を柱21の下端部に剛接合するものでも良い。
上階建物ユニット30(40も同じ)は、4本の角鋼管製柱31(41)の上端部間に形鋼製天井梁33(43)を架け渡し、天井梁33の端部を柱31の上端部に剛接合するとともに、柱31の下端部間に形鋼製床梁32(42)を架け渡し、床梁32の端部を柱31の下端部に剛接合して構成したラーメン構造体である。柱31の上端部と下端部にジョイント金物33J(不図示)、32J(図7)を溶接し、ジョイント金物33J、32Jのそれぞれに天井梁33、床梁32の端部が溶接される。
ユニット建物1にあっては、最下階建物ユニット20と上階建物ユニット30の間で、最下階建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32が上下に重ね配置され、上階建物ユニット30と上階建物ユニット40の間で、上階建物ユニット30の天井梁33と上階建物ユニット40の床梁42が上下に重ね配置される。
しかるに、ユニット建物1は、構法I、II、III、IV、Vのそれぞれが適用されて剛性強化される。
構法Iは基礎−柱剛接合構造、
構法IIは上下梁接合構造、
構法IIIは隣接柱接合構造、
構法IVは斜材補強構造、
構法Vは柱省略補強構造である。
(構法I:基礎−柱剛接合構造)(図4、図5)
構法Iは、基礎10と最下階建物ユニット20の間にて適用され(図1、図2)、最下階建物ユニット20の柱21の柱脚21Fが基礎10に略ずれないように接合される(図4)。
基礎10は、図5に示す如く、基礎構造体13の上端部に取付金物14を溶接にて固定してあり、最下階建物ユニット20の柱脚21Fに溶接にて固定した取付金具24が高力ボルト15によってその取付金物14に略ずれないように接合される。
構法Iによれば、ユニット建物1において、最下階建物ユニット20の柱脚21Fを基礎10に略ずれないように接合したことにより、基礎10に対する柱脚21Fの回転が抑えられ、建物ユニット20の水平剛性を向上できる。建物ユニット20の水平剛性を上げるために、柱21の断面を強化する必要がないし、中柱や水平ブレースを付加する必要もなく、建物ユニット20のプランの自由度を増し、コスト低減できる。
(構法II:上下梁接合構造)(図6〜図9)
構法IIは、最下階建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の間、及び/又は上階建物ユニット30の天井梁33と上階建物ユニット40の床梁42の間で適用される(図1、図2)。以下、最下階建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の間への適用について説明する。
最下階建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の鉛直荷重(床荷重)に対する梁の剛性強化のために、天井梁23と床梁32の両端部同士を剛接合部R1、R2にて略ずれないように接合する(図6)。
また、最下階建物ユニット20と上階建物ユニット30の水平荷重に対するフレームの剛性強化のために、上述の剛接合部R1、R2に加え、天上梁23と床梁32の長手方向の中間部(本実施例では中央部)同士を剛接合部R3にて略ずれないように接合する(図6)。
剛接合部R1〜R3は、図6に模式的に示した如く、4本の線材にて構成しても良いが、図7に示すプレート50を用いることができる。プレート50は、天井梁23のウエブwと床梁32のウエブwに添設され、2本の高力ボルト51、51で天井梁23のウエブwに、2本の高力ボルト52、52で床梁32のウエブwに締結される。図7のプレート50は左右に相隣る最下階建物ユニット20、20の天井梁23、22、及び上階建物ユニット30、30の床梁32、33により両側から挟まれるものを示したが、プレート50は各1個の建物ユニット20、30の天井梁23、床梁32に片側だけを添設するものでも良い。プレート50は溶接接合されるものでも良い。
尚、プレート50は、天井梁23のフランジfと床梁32のフランジfに添設し、高力ボルト又は溶接接合でそれらのフランジf、fに締結され、天井梁23と床梁32を略ずれないように接合するものでも良い。
構法IIによれば、ユニット建物1において、上階建物ユニット30の床梁32と下階建物ユニット20の天井梁23である、上下に重ねた2本の梁23、32の両端部同士を剛接合部R1、R2によって略ずれないように接合したことにより、2本の梁23、32が鉛直荷重の作用下で湾曲変形するとき、2本の梁23、32の両端部の位相差が抑えられる(図8(A))。これにより、2本の梁23、32は、各梁23、32の断面性能I1、I2の和(I1+I2)よりも大きな断面性能α(I1+I2)を発現して剛性を強化され、鉛直荷重に対する耐力を向上できる。尚、構法IIによるこの梁剛性強化メリットのためには、剛接合部R3を具備することを必要としない。
2本の梁23、32だけからなる梁単体モデル(図8(B))では、本発明が適用されない通常モデルに対し、約2.6倍の耐力を示す。2本の梁23、32の両端部に柱21、31が剛接合されたラーメン構造体モデル(図8(C))では、通常モデルに対し、1.3〜1.4倍の耐力を示す。尚、図8(B)、(C)において、天井梁23、床梁32の中央部の間に設けられているSは、天井梁23と床梁32の隙間を埋めるスペーサであり、床梁32に作用した床荷重を天井梁23に伝達可能にするものである。
また、構法IIでは、ユニット建物1において、上階建物ユニット30の床梁32と下階建物ユニット20の天井梁23である、2つのラーメン構造体の上下に重ね配置された2本の梁23、32の両端部同士を剛接合部R1、R2によって略ずれないように接合し、かつ中間部同士を剛接合部R3によって略ずれないように接合したことにより、一方の建物ユニット30の柱31に作用する水平荷重Pによって2本の梁23、32がS字変形するとき、2本の梁23、32の両端部と中間部の位相差が抑えられる(図9(A))。これにより、建物ユニット20、30のフレーム強度が拡大し、水平荷重に対する耐力を向上できる。
本発明による建物ユニット20、30のフレーム剛性は、本発明が適用されない通常モデルに対し、約1.3倍になる(図9(B))。
構法IIにおいて、上階建物ユニット30の床梁32と下階建物ユニット20の天井梁23を略ずれないように接合する構造は、それらの床梁32のウエブwと天井梁23のウエブwに添うプレート50、又はそれらの床梁32のフランジfと天井梁23のフランジfに添うプレート50を用いて簡易に実施できる。プレート50をウエブwに添設するものの方が、建物ユニット20、30のフレーム強度を向上できる。
(構法III:隣接柱接合構造)(図10〜図16)
構法IIIは、最下階建物ユニット20、20の相並ぶ柱21、21同士の間、上階建物ユニット30、30の相並ぶ柱31、31の間、上階建物ユニット40、40の相並ぶ柱41、41の間で適用される(図1、図2)。
しかるに、本実施例では、中高層階ユニット建物や柱省略ユニット建物等を構成するユニット建物1において、ユニット建物1の水平剛性を上げるため、ユニット建物1内の一部で図10に示す如くに相隣る建物ユニット20、20の隙間を隔てて相並ぶ管柱21、21同士を以下の如くにボルト接合する。
相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21同士は、図11に示す如く、それらの上端部、下端部及び中間部の3位置のそれぞれにおいて、下記(1)〜(3)の如くにボルト接合される。
(1)相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21の相対する側壁21A、21Aのそれぞれにボルト挿通孔61A、61Aを同軸的に設けるとともに、一方の管柱21のボルト挿通孔61Aを設けた側壁21Aの背面側の側壁21Bにボルト取付操作孔61Bを設け、他方の管柱21のボルト挿通孔61Aを設けた側壁21Aの背面側の側壁21Bにナット取付操作孔61Cを設ける。ボルト挿通孔61A、61Aは互いに同一径をなし、ボルト取付操作孔61B、ナット取付操作孔61Cも互いに同一径をなす。
(2)相隣る建物ユニット20、20を建築現場の基礎上に据付け、相並ぶ管柱21、21の相対する側壁21A、21Aに設けたボルト挿通孔61A、61Aに同軸配置される孔開きスペーサ60を、それらの側壁21A、21Aに挟まれる隙間に設ける。
(3)一方の管柱21の側壁21Bに設けたボルト取付操作孔61Bから挿入したボルト61を両管柱21、21のボルト挿通孔61A、61A、及び両管柱21、21の相対する側壁21A、21Aの間の隙間に設けた孔あきスペーサ60のボルト挿通孔60Aに挿通する。他方の管柱21の側壁21Bに設けたナット取付操作孔61Cから挿入したナット62を上記ボルト61に螺着する。ボルト61は、高力ボルト、本実施例ではトルシア形の高力ボルトし、トルシア工具をナット取付操作孔61Cから挿入してナット62をボルト61に締結操作する。
尚、ボルト61として、高力六角ボルトを用いることができるし、他のボルトを用いることもできる。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21同士をボルト接合することにより合成し、両建物ユニット20、20からなるユニット建物1の水平剛性を合理的に上げることができる。従って、3階建等の中高層階ユニット建物1を強化し、又は柱省略ユニット建物1を強化できる。
(b)建物ユニット20の工場生産段階では、相隣る一方の建物ユニット20の管柱21にボルト挿通孔61Aとボルト取付操作孔61Bを設け、他方の建物ユニット20の管柱21にボルト挿通孔61Aとナット取付操作孔61Cを設けるだけであり、生産性が良く、建物ユニット20の輸送保管段階での取扱性も良い。
(c)建築現場では、一方の建物ユニット20に対し他方の建物ユニット20を近づけて据付け、それらのスペーサ60は建物ユニット20の相並ぶ管柱21の側壁21A、21Aの間に単に差し込むことにて組付けでき、建物ユニット20の据付性、スペーサ60の組付性が良い。
(d)ボルト61及び/又はナット62の据付工具は、管柱21に設けたボルト取付操作孔61B又はナット取付操作孔61Cを用いて操作され、操作性が良い。
(e)高力ボルト61を用いることにより、相隣る建物ユニット20の相並ぶ管柱21同士を強固に合成し、ユニット建物1の水平剛性を向上できる。
(f)トルシア形の高力ボルト61を用いることにより、ボルト61とナット62の締結操作をトルシア工具により簡易に実施できる。
(g)相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21同士を、それらの上端部、下端部及び中間部の複数位置でボルト接合することにより、それら管柱21同士の合成の強化を図り、ユニット建物1の水平剛性を一層向上できる。
図12(B)〜(D)の本発明によるユニット建物1の水平剛性、換言すれば建物ユニット20の柱頭に対する許容水平荷重Pは、本発明が適用されない通常モデル(図12(A))の許容水平荷重Paに対し1.2〜1.9倍になる。図12(B)は管柱21、21同士を上端部と下端部でボルト接合した例でP=1.2Pa、図12(C)は管柱21、21同士を上端部と下端部と中間部の1箇所でボルト接合した例でP=1.7Pa、図12(D)は管柱21、21同士を上端部と下端部と中間部の3位置でボルト接合した例でP=1.9Paである。
図13は、相隣る4個の建物ユニット20のコーナー部を互いに突き合せ配置し、各建物ユニット20の上に上階建物ユニット30を搭載したユニット建物1において、十字状孔あきスペーサ70を用い、構法IIIを適用した例である。このとき、4個の建物ユニット20の管柱21同士が十字状の隙間を隔てて相並び、4個の上階建物ユニット30の柱31同士も十字状の隙間を隔てて相並ぶ。また、上下に相対応する建物ユニット20と上階建物ユニット30の間で、建物ユニット20の相隣る柱21の上端部に剛接合されてそれらの間に架け渡される天井梁23と、上階建物ユニット30の相隣る柱31の下端部に剛接合されてそれらの間に架け渡される床梁32が上下に重ね配置される。
孔あきスペーサ70は、図14に示す如く、桁方向に沿って配置される桁方向板71と、桁方向板71の桁方向に沿う中央部の下半部に直交配置される妻方向板72とからなる。
孔あきスペーサ70の桁方向板71の下半部は、妻方向にて相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ柱21、21の相対する側壁21A、21Aに挟まれる隙間に設けられ、一方の柱21の側壁21Aに設けたボルト取付操作孔61Bから挿入したボルト61を両管柱21、21のボルト挿通孔61A、61A、及び両管柱21、21の側壁21A、21Aの間の隙間に設けた桁方向板71の下半部のボルト挿通孔71Aに挿通し、他方の管柱21の側壁21Bに設けたナット取付操作孔61Cから挿入したナット62を上記ボルト61に螺着する。また、孔あきスペーサ70の妻方向板72は、桁方向にて相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21の相対する側壁21A、21Aに挟まれる隙間に設けられ、一方の管柱21の側壁21Bに設けたボルト取付操作孔61Bから挿入したボルト61を両管柱21、21のボルト挿通孔61A、61A、及び両管柱21、21の側壁21A、21Aの間の隙間に設けた妻方向板72のボルト挿通孔72Aに挿通し、他方の管柱21の側壁21Bに設けたナット取付操作孔61Cから挿入したナット62を上記ボルト61に螺着する。これにより、相隣る4個の建物ユニット20の相並ぶ管柱21同士をボルト接合して合成し、図10〜図12の実施例におけると同様に、それら建物ユニット20を含むユニット建物1の水平剛性を合理的に上げることができる。
孔あきスペーサ70の桁方向板71の上半部は、桁方向板71の下半部から上に延長され、妻方向にて相隣る上階建物ユニット30、30の相並ぶ管柱31、31の相対する側壁31A、31Aに挟まれる隙間に設けられ、一方の管柱31の側壁31Bに設けたボルト取付操作孔61Bから挿入したボルト61を両管柱31、31のボルト挿通孔61A、61A、及び両管柱31、31の側壁31A、31Aの間の隙間に設けた桁方向板71の上半部のボルト挿通孔71Bに挿通し、他方の管柱31の側壁31Bに設けたナット取付操作孔61Cから挿入したナット62を上記ボルト61に螺着する。これにより、相隣る4個の上階建物ユニット30の相並ぶ管柱31同士をボルト接合して合成し、図10〜図12の実施例における同様に、それら上階建物ユニット30を含むユニット建物1の水平剛性を合理的に上げることができる。
更に、ユニット建物1において、上下に重ね配置される建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の一端部同士が、それらの管柱21、31、及び孔あきスペーサ70の桁方向板71を介して上述の如くに接合されるから、天井梁23と床梁32の他端部同士の前述の構法IIの如くに略ずれないように接合することができる。2本の梁23、32が鉛直荷重の作用下で湾曲変形するとき、2本の梁23、32の両端部の位相差が抑えられる。これにより、2本の梁23、32は、各梁23、32の断面性能の和よりも大きな断面性能を発現して剛性を強化され、鉛直荷重に対する耐力を向上できる。また、一方の建物ユニット30の柱31に作用する水平荷重によって2本の梁23、32がS字変形するとき、2本の梁23、32の両端部と中間部の位相差が抑えられる。これにより、建物ユニット20、30のフレーム強度が拡大し、水平荷重に対する耐力を向上できる。ユニット建物1において、構法IIと構法IIIがともに適用され、ユニット建物1の水平剛性と上下剛性を併せ強化できる。
尚、図13において、4個の建物ユニット20のうち、桁方向片側の2個の建物ユニット20の上部にだけ上階建物ユニット30を搭載し、他の2個の建物ユニット20の上部は上階建物ユニット30が搭載されない下屋とするユニット建物1にあっては、孔あきスペーサ70の桁方向板71を図13(B)に2点鎖線で示す如くに上半部の桁方向片側部分を切除する。
図15は、図13の変形例であり、相隣る2個の建物ユニット20のコーナー部を互いに突き合せ配置し、各建物ユニット20の上に上階建物ユニット30を搭載したユニット建物1において、平板状孔あきスペーサ80を用い、構法IIIを適用した例である。
相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21の相対する側壁21A、21Aに挟まれる隙間に孔あきスペーサ80の下半部を設け、図13の実施例と同様に、それら相並ぶ管柱21、21同士をボルト61によりボルト接合し、構法IIIを構築する。
また、相隣る上階建物ユニット30、30の相並ぶ管柱31、31の相対する側壁31A、31Aに挟まれる隙間に孔あきスペーサ80の上半部を設け、図13の実施例と同様に、それら相並ぶ管柱31、31同士をボルト61によりボルト接合し、構法IIIを構築する。
更に、相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21の相対するジョイントピース23J、23Jに挟まれる隙間に孔あきスペーサ80の下半部の突出部81を設け、それら相対するジョイントピース23J、23J同士をボルト61によりボルト接合する。これにより、ユニット建物1において、上下に重ね配置される建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の一端部同士が、それらの柱21、31、及び孔開きスペーサ80を介して接合されるから、天井梁23と床梁32の他端部同士も略ずれないように接合することにより、構法IIも構築できる。
図16は、図13の変形例であり、相隣る3個の建物ユニット20のコーナー部を互いに突き合せ配置し、各建物ユニット20の上に上階建物ユニット30を搭載したユニット建物1において、L字状孔あきスペーサ90を用い、構法IIIを適用した例である。
孔あきスペーサ90は、桁方向に沿って配置される桁方向板91と、桁方向板91の一方の縦縁に直交配置される妻方向板92とからなる。
妻方向と桁方向のそれぞれにおいて、相隣る建物ユニット20、20の相並ぶ管柱21、21の相対する側壁21A、21Aに挟まれる隙間に孔あきスペーサ90の桁方向板91、妻方向板92の下半部を設け、図13の実施例と同様に、それら相並ぶ管柱21、21同士をボルト61によりボルト接合し、構法IIIを構築する。
また、妻方向と桁方向のそれぞれにおいて、相隣る上階建物ユニット30、30の相並ぶ管柱31、31の相対する側壁31A、31Aに挟まれる隙間に孔あきスペーサ90の桁方向板91、妻方向板92の上半部を設け、図13の実施例と同様に、それら相並ぶ管柱31、31同士をボルト61によりボルト接合し、構法IIIを構築する。
ユニット建物1にあっては、上下に重ね配置される建物ユニット20の天井梁23と上階建物ユニット30の床梁32の一端部同士が、それらの管柱21、31、及び孔あきスペーサ90の桁方向板91又は妻方向板92を介して接合されるから、天井梁23と床梁32の他端部同士も略ずれないように接合することにより、構法IIも構築できる。
尚、図16において、3個の建物ユニット20のうち、妻方向片側の建物ユニット20の上部にだけ上階建物ユニット30を搭載し、他の建物ユニット20の上部は上階建物ユニット30が搭載されない下屋とするユニット建物1にあっては、孔あきスペーサ90の妻方向板92の上半部を図16(B)に2点鎖線で示す如くに切除する。
(構法IV:斜材補強構造)(図17〜図19)
構法IVは、最下階建物ユニット20の柱21の柱脚21Fと天井梁23の中間部の間、上階建物ユニット30(40も同じ)の柱31の柱脚31Fと天井梁33の中間部の間、又は上階建物ユニット30(40も同じ)の柱31の柱頭31Hと床梁32の中間部の間で適用される(図1、図2)。
図17(A)は、最下階建物ユニット20の柱21の柱脚21Fと天井梁23の中間部の間に、斜材101を設けたものである。斜材101は、柱21の柱脚21Fと天井梁23の中間部のそれぞれにピン接合される(剛接合でも可)。
図17(B)は、上階建物ユニット30の柱31の柱脚31Fと天井梁33の中間部の間に、斜材102を設けたものである。斜材102は、柱31の柱脚31Fと天井梁33の中間部のそれぞれにピン接合される(剛接合でも可)。尚、上階建物ユニット30は床梁32を有しているから、柱31の柱頭31Hと床梁32の中間部の間に上述の斜材102を設けるものでも良い。
構法IVによれば、ユニット建物1において、最下階建物ユニット20の柱脚21Fと天井梁23の中間部の間に斜材101を設けたことにより、ラーメン構造体のフレームの1隅である柱21と天井梁23の一部が斜材101とともに形成する直角三角形を不変形体(不変形トラス)とする。これにより、建物ユニット20における天井梁23の見かけ長さL2(天井梁23の全長Lから不変形トラス部分L1を除いた変形部分長さL2)を短くしてそのフレーム剛性を強化し、水平荷重Pに対する耐力を向上できる(図18)。
また、上階建物ユニット30(40も同じ)の柱脚31Fと天井梁33の中間部の間(又は柱頭31Hと床梁32の中間部の間)に斜材102を設けたことにより、ラーメン構造体のフレームの1隅である柱31と天井梁33の一部が斜材102とともに形成する直角三角形を不変形体(不変形トラス)とする。これにより、建物ユニット30における天井梁33の見かけ長さL2(天井梁33の全長Lから不変形トラス部分L1を除いた変形部分長さL2)を短くしてそのフレーム剛性を強化し、水平荷重Pに対する耐力を向上できる。
ラーメン構造体の柱21と梁23のフレーム、柱31と梁32、33のフレームを生かしながら、斜材101、102を付加するだけの簡易な構成により、上述の不変形体(不変形トラス)を形成でき、簡易に上述のフレーム剛性の強化を実現できる。
斜材101、102を柱21、31と梁23、33(32)のそれぞれにピン接合することにより、ラーメン構造体のフレームの1隅に前述の不変形体(不変形トラス)を簡易に形成でき、斜材101、102の取付仕口を簡素化できる。
斜材101、102のみによるフレーム剛性補強であるから、建物ユニット20、30等のラーメン構造体における開口の形成などに、あまり邪魔にならず、比較的大きな開口の形成ができる。
本発明による建物ユニット20、30(40も同じ)のフレーム剛性は、本発明が適用されない通常モデルに対し、1.3〜2.0倍になる。建物ユニット20及び建物ユニット30(40も同じ)において、斜材101、102を建物ユニット20の天井梁23、建物ユニット30の天井梁33に接合する位置、換言すれば不変形トラス部分L1の長さを450mm、900mmに設定したとき、建物ユニット20、30の許容水平荷重Paは、図19に示す如く、斜材101、102を用いない通常モデルの許容水平荷重Pa(1300kg、900kg)に対して、建物ユニット20では1550kg、1700kgに拡大し、建物ユニット30では1200kg、1400kgに拡大する。
尚、図19に示す如く、最下階建物ユニット20において、左右の柱21の柱脚21Fと天井梁23の左右の中間部のそれぞれとの間に左右の斜め材101、101を設けても良い。また、上階建物ユニット30(40も同じ)においても、左右の柱31の柱脚31F(又は柱頭31H)と天井梁33(又は床梁32)の左右の中間部のそれぞれとの間に左右の斜材102、102を設けても良い。これによれば、左右の斜め材101、101、102、102を最下階建物ユニット20の天井梁23、上階建物ユニット30の天井梁33に接合して形成される不変形トラス部分L1の長さが、例えば450mmの如くに短くても、建物ユニット20、30の許容水平荷重Paを2050kg、1800kgの如くに大きく拡大できる。
図20〜図22は、構法IVにおける斜材101(102も同じ)の具体的取付例である。建物ユニット20(30、40も同じ)は、床梁22を備えた例であり、床梁22と天井梁23の間に、斜材101を含む補強フレーム25を嵌め込んでいる。
補強フレーム25は、柱21に添設される補強柱26と、間柱27を有し、補強柱26の下端部から水平に延ばした取付板26Aに斜材101の下端部を溶接等により接合するとともに、間柱27の上端側の側面に斜材101の上端部を溶接等により接合し、斜材101の下端側中間部と間柱27の下端側中間部につなぎ梁28を架け渡し、斜材101の上端側中間部と補強柱26の上端側中間部につなぎ梁29を架け渡して構成される。
補強フレーム25は、補強柱26及び斜材101の下端部を構成する取付板26Aを、柱21の柱脚21Fに接合したジョイントピース22Jにボルト接合し、補強柱26の上端部から水平に延ばした取付板26Bを柱21の柱頭21Hに接合したジョイントピース23Jにボルト接合する。このとき、ジョイントピース22Jに抱着される床梁22の上フランジとウエブの内面にはL字断面の床梁補強金物103が溶接され、斜材101の取付板26Aはジョイントピース22Jに着座し、床梁補強金物103、床梁22、ジョイントピース22J、取付板26Aに挿通されるボルト104、ナット104Aにより接合される。
補強フレーム25は、間柱27の下端部を床梁22の上フランジにボルト接合し、間柱27の上端部を天井梁23の下フランジにボルト接合する。このとき、間柱27の上端部がボルト接合される天井梁23の上下のフランジ間にはC字断面の天井梁補強金物105が溶接される。
尚、本実施例において、「略ずれないように接合」は、「接合部が矩形を維持するように接合する」、「上下の梁の重なり部分がずれないように接合する」等を意味し、剛接合を含むが、剛接合より弱い接合も含む。また、梁の端部同士の接合は、端部の近傍における接合も含む。
(構法V:柱省略補強構造)(図23〜図34)
構法Vは、建物ユニット20(30、40も同じ)の柱省略コーナー部で適用される(図1、図2)。
(実施例1)(図23〜図26)
図23のユニット建物1Aは、図1、図2のユニット建物1の一部であり、複数の建物ユニット20を左右上下に隣接設置して構築されるものであるが、その一部を構成する4個の柱省略建物ユニット120により柱省略した広い連続空間を形成するものである。
建物ユニット20は、標準的には、図3に示した如く、4本の角鋼管製柱21と、4本の形鋼製床梁22と、4本の形鋼製天井梁23とを箱形に接合した骨組構造体である。建物ユニット20は、4個のコーナー部で、相交差する床梁22をジョイントピース22Jにより柱21の下端部に接続し、相交差する天井梁23をジョイントピース23Jにより柱22の上端部に接合して構成される。
柱省略建物ユニット120は、図24、図25に示す如く、標準建物ユニット20の4本の柱21のうちの1本の柱21を省略したものである。柱省略建物ユニット120は、床梁22については、柱省略コーナー部以外の3個のコーナー部で、相交差する床梁22をジョイントピース22Jにより柱21の下端部に接合し、柱省略コーナー部で、相交差する床梁22をジョイントピース22Kにより互いに接合している。柱省略建物ユニット120は、天井梁23については、柱省略コーナー部に交差配置される天井梁23のうち、妻方向に沿う天井梁23を継ぎ天井梁121とし、他の天井梁23を標準天井梁23とし、標準天井梁23と柱21の上端部とはジョイントピース23Jにより接合し、継ぎ天井梁121と柱21の上端部とはジョイントピース23Kにより接合し、継ぎ天井梁121と天井梁23とはジョイントピース23Lにより接合している。
柱省略建物ユニット120は、継ぎ天井梁121の断面強度を他の標準天井梁23の断面強度より高くしている。継ぎ天井梁121は、リップ付C形鋼からなり、柱省略コーナー部の側の端部にエンドプレート122を溶接し、この端部に溶接されるジョイントピース23Lはエンドプレート122を覆うことのないように、ジョイントピース23Lの側部の一部をエンドプレート122の周辺に沿って切欠部123の如くに切欠いてある。柱省略建物ユニット120にあっては、継ぎ天井梁121の長手方向において、ジョイントピース23Kにより接合されている柱21を基準位置とする、エンドプレート122の表面位置の寸法精度を確保してある。
柱省略建物ユニット120は、柱省略コーナー部に仮柱124を着脱自在としている。仮柱124は、ボルト、ピン等の着脱手段により、上述した床梁22のジョイントピース22Kと、天井梁23、121のジョイントピース23Lに着脱自在に結合される。
ユニット建物1Aにあっては、図23(A)に示す如く、下階部分の一部にて、4個の柱省略建物ユニット120(120A〜120D)のそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部2にて互いに突き合せ配置する。
相対応する柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、両者の柱省略接合部2を含む同一面内でそれらの柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁23を前述の継ぎ天井梁121とする(図24、図25)。このようにして両建物ユニット120A、120Bの柱省略接合部2にて相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122は一定の隙間を介して互いに平行をなす。そこで、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122の間に、その隙間に適応するように選択された板厚のスペーサ110をその隙間の上方又は側方から挟み込む。本実施例では、エンドプレート122の上下に2枚のスペーサ110を挟み込む。そして、相対する継ぎ天井梁21のエンドプレート122同士を、スペーサ110とともに、高力ボルト111で剛接合する(図26)。高力ボルト111は、相対するエンドプレート122のボルト挿通孔122Aとスペーサ110のボルト挿通孔110Aに挿通され、その挿通端にナット112を締結される。本実施例では、1枚のスペーサ110について、左右2本の高力ボルト111を用いる。このため、継ぎ天井梁121の長手方向に剛接合されるとともにこれと水平方向で直交する方向にも剛接合され、全体として略完全な剛接合となる。高力ボルト111としては、トルシア形、六角ボルト形等を採用できる。
相対応する柱省略建物ユニット120Cと柱省略建物ユニット120Dの間でも、上述の建物ユニット120Aと建物ユニット120Bの間におけると同様に、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を、スペーサ110とともに、高力ボルト111で剛接合する。
相対応する建物ユニット120Aと建物ユニット120B、建物ユニット120Cと建物ユニット120Dの間で、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士が接合されるとき、各建物ユニット120の柱省略コーナー部には仮柱124が設置される。そして、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士が接合された後、仮柱124が取外される。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)相隣る建物ユニット120のそれぞれにおいて柱省略コーナー部に交差する継ぎ天井梁121同士を接合することにて、それらの継ぎ天井梁121を両建物ユニット120に渡って連続する長尺梁の如くに一本化した。従って、建物ユニット120とは別個の長尺梁を用いることなく、柱省略したユニット建物1Aを補強でき、材料の管理性、施工性が良い。
(b)建物ユニット120を構成している天井梁23の一部である継ぎ天井梁121そのものにより、ユニット建物1Aを補強でき、建物ユニット120の周辺に別個の補強部材を添設する必要がない。建物ユニット120の側傍に他の建物ユニット20を設置する場合にも、他の建物ユニット20の間に補強部材のための設置間隙の如くを設ける必要がない。
(c)ユニット建物1Aの柱省略接合部に交差して該ユニット建物1Aを補強する継ぎ天井梁121は、柱省略による強度低下を補うに足る程度に断面強度を高くし、他の天井梁23の断面強度は標準レベルに設定することにより、建物ユニット120の全ての天井梁23の断面強度をそれぞれに必要十分なものとし、構造強度の経済を図ることができる。
(d)相隣る建物ユニット120の継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を、スペーサ110を介して、高力ボルト111で剛接合することにより、継ぎ天井梁121同士を簡易に接合できるし、ユニット建物1Aの寸法精度を向上できる。
(e)建物ユニット120の柱省略コーナー部に設けた仮柱124は、該建物ユニット120の工場製造段階、輸送保管段階を経た現地据付け後、継ぎ天井梁121の接続完了まで取外されない。従って、継ぎ天井梁121の接続時の建物ユニット120の強度を低下せしめることがなく、施工段階の建物強度も十分に確保でき、施工性は良い。
(実施例2)(図27)
図27のユニット建物1Bは、その一部を構成する2個の下階建物ユニット120がそれらの上に搭載される上階建物ユニット30とともに、大吹抜け空間を形成するものである。
実施例2で用いられる柱省略建物ユニット120が実施例1の柱省略建物ユニット120と異なる点は、標準建物ユニット20の4本の柱21のうちの桁方向にて相隣る2本の柱21を省略し、妻方向に沿う2本の天井梁23をともに継ぎ天井梁121とし、継ぎ天井梁121に交差する桁方向の天井梁23を仮梁125とし、仮梁125をボルト、ピン等の着脱手段により継ぎ天井梁121の自由端部に着脱自在に結合し、切除可能にしたことにある。
ユニット建物1Bにあっては、図27(A)に示す如く、下階部分の一部にて、2個の柱省略建物ユニット120(120A、120B)のそれぞれに定めた各2個の柱省略コーナー部を柱省略接合部2、3にて互いに突き合せ配置する。
柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、図27(B)に示す如く、実施例1におけると同様に、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を接合した後、仮柱124を取外し、仮梁125を切除する(単に取外す)。
そして、柱省略建物ユニット120の上部に、上階部分を構成する建物ユニット30を搭載する。上階建物ユニット30は、下階建物ユニット120の上部に吹抜け空間を形成するため、下階建物ユニット120の仮梁125に対応する部分の床梁22を当初から設けず、又は搭載後に切除される。
ユニット建物1Bにあっては、継ぎ天井梁121により構造強度を確保しながら、下階建物ユニット120から上階建物ユニット30に渡る大吹抜け空間を形成できる。
(実施例3)(図28)
図28のユニット建物1Cは、その一部を構成する2個の下階建物ユニット120がそれらの上に搭載される上階建物ユニット30とともに、階段空間を形成するものである。
実施例3で用いられる柱省略建物ユニット10が実施例1の柱省略建物ユニット120と異なる点は、継ぎ天井梁121に交差する桁方向の天井梁23を、該継ぎ天井梁121との交差部側の一部である仮梁126Aと、その残部の部分梁126Bとからなるものにしたことにある。仮梁126Aは継ぎ天井梁121の自由端部と部分梁126Bの端部とに、ボルト、ピン等の着脱手段により結合され、切除可能にされる。部分梁126Bの仮梁126Aに結合される端部は中柱127(不図示)に支持される。
ユニット建物1Cにあっては、図28(A)に示す如く、下階部分の一部にて、2個の柱省略建物ユニット120(120A、120B)のそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部2にて互いに突き合せ配置する。
柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、図28(B)に示す如く、実施例1におけると同様に、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を接合した後、仮柱124を取外し、仮梁126Aを切除する(単に取外す)。
そして、柱省略建物ユニット120の上部に、上階部分を構成する建物ユニット30を搭載する。上階建物ユニット30は、下階建物ユニット120の仮梁126A、部分梁126Bに対応する床梁22のうち、仮梁126Aに対応する一部を当初から設けず、又は搭載後に切除される。
ユニット建物1Cにあっては、継ぎ天井梁121により構造強度を確保しながら、下階建物ユニット120から上階建物ユニット30に渡る階段空間を形成できる。
(実施例4)(図29、図30)
図29、図30のユニット建物1Dは、ユニット建物1Aにおけると同様に下階の4個の柱省略建物ユニット120により柱省略した広い連続空間を形成することに加え、各柱省略建物ユニット120の上に上階柱省略建物ユニット130を搭載し、上階の4個の柱省略建物ユニット130によっても柱省略した広い連続空間を形成するようにしたものである。
従って、ユニット建物1Dでは、下階の柱省略接合部2の一方側の柱省略建物ユニット120Aの継ぎ天井梁121と、他方側の柱省略建物ユニット120Bの継ぎ天井梁121とが相対するとともに、上階の柱省略接合部2の一方側の柱省略建物ユニット130Aの継ぎ床梁131と、他方側の柱省略建物ユニット130Bの継ぎ床梁131とが相対し、更に下階の柱省略建物ユニット120A(120B)の継ぎ天井梁121と上階の柱省略建物ユニット130A(130B)の継ぎ床梁131が重ね配置される。
そこで、上下階の柱省略接合部2の一方側の柱省略建物ユニット120A、130Aの継ぎ天井梁121、継ぎ床梁131と、他方側の柱省略建物ユニット120B、130Bの継ぎ天井梁121、継ぎ床梁131は以下の如くに接合される。
(1)柱省略建物ユニット120Aの継ぎ天井梁121の下フランジの側から、柱省略建物ユニット120Bの継ぎ天井梁121の下フランジの側に平板状の継ぎ材141と、V字断面状の継ぎ材142を延在する。継ぎ材141は両継ぎ天井梁121の下フランジの内面に添設される。継ぎ材142は両継ぎ天井梁121の下フランジとウエブ下部と下リップの外面に添設される。
継ぎ材141、142の一端側で、2本の高力ボルト143を継ぎ材141、142、継ぎ天井梁121の下フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト143の挿通端にナット143Aを締め付ける。継ぎ材141、142の他端側でも、2本の高力ボルト143を継ぎ材141、142、継ぎ天井梁121の下フランジのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト143の挿通端にナット143Aを締め付ける。これにより、継ぎ材141、142の一端側を柱省略建物ユニット120Aの継ぎ天井梁121に剛接合し、継ぎ材141、142の他端側を柱省略建物ユニット120Bの継ぎ天井梁121に剛接合する。
(2)柱省略建物ユニット120Aの継ぎ天井梁121の上フランジの側から、柱省略建物ユニット120Bの継ぎ天井梁121の上フランジの側に平板状の継ぎ材151と、U字断面状の継ぎ材152を延在する。継ぎ材151は両継ぎ天井梁121の上フランジの内面に添設される。継ぎ材152は両継ぎ天井梁121の上フランジとウエブ上部と上リップの外面に添設される。
継ぎ材151、152の一端側で、2本の高力ボルト153を継ぎ材151、152、継ぎ天井梁121の上フランジ、柱省略建物ユニット130Aの継ぎ床梁131の下フランジ及びそのジョイントピース131J(継ぎ床梁131の柱省略端に短柱131Cを接続するためのジョイントピース)、角座金131Aのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト153の挿通端にナット153Aを締め付ける。継ぎ材151、152の他端側でも、2本の高力ボルト153を継ぎ材151、152、継ぎ天井梁121の上フランジ、柱省略建物ユニット130Bの継ぎ床梁131の下フランジ及びそのジョイントピース131J(継ぎ床梁131の柱省略端に短柱131Cを接続するためのジョイントピース)、角座金131Aのそれぞれに設けたボルト挿通孔に挿通し、高力ボルト153の挿通端にナット153Aを締め付ける。これにより、継ぎ材151、152の一端側を柱省略建物ユニット120A、130Aの継ぎ天井梁121、継ぎ床梁131に剛接合し、継ぎ材151、152の他端側を柱省略建物ユニット120B、130Bの継ぎ天井梁131、継ぎ床梁131に剛接合する。
尚、ユニット建物1Dにあっては、上階の柱省略接合部2の一方側の柱省略建物ユニット130Aの継ぎ天井梁132と、他方側の柱省略建物ユニット130Bの継ぎ天井梁132とを、上述(1)、(2)の継ぎ材141、142、151、152と同様の継ぎ材にて接合する。
本実施例によれば、相隣る建物ユニット120A、130Aと建物ユニット120B、130Bの継ぎ天井梁121、121同士、継ぎ床梁131、131同士を、継ぎ材141、142、151、152を介して、高力ボルト143、153で剛接合することにより、継ぎ天井梁121同士、継ぎ床梁131同士を簡易に接合できるし、ユニット建物1Dの寸法精度を向上できる。
(実施例5)(図31〜図34)
図31のユニット建物1Eは、複数の建物ユニット20を左右上下に隣接設置して構築されるものであるが、その一部を構成する4個の柱省略建物ユニット120により柱省略した広い連続空間を形成するものである。
柱省略建物ユニット120は、図32に示す如く、標準建物ユニット20の4本の柱21のうちの1本の柱21を省略したものである。柱省略建物ユニット120は、柱省略コーナー部以外の3個のコーナー部では、相交差する床梁22をジョイントピース22Jにより柱21の下端部に接合し、相交差する天井梁23をジョイントピース23Jにより柱21の上端部に接合するとともに、柱省略コーナー部では、相交差する床梁22をジョイントピース22Kにより互いに接合し、相交差する天井梁23をジョイントピース23Kにより互いに接合して構成される。
柱省略建物ユニット120は、柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁23のうち、妻方向に沿う天井梁23を、他の標準天井梁23より断面強度の低い補助天井梁161としている。柱省略建物ユニット120は、柱省略コーナー部と妻方向にて相隣るコーナー部における柱21の上端部に設けたジョイントピース23Jに短尺の形鋼製受梁162を接合し、受梁162の先端部に矩形板状の受部163を溶接し、この受部163の梁受面163Aの下縁と側縁に補助天井梁161の一端部を溶接している。補助天井梁161は、受部163の梁受面163Aの下縁と側縁のそれぞれに沿うL形断面梁からなる。尚、柱21に接合した受梁162に設けた受部163における梁受面163Aは、上向きに拡開するテーパ状をなす。
柱省略建物ユニット120は、柱省略コーナー部に仮柱164を着脱自在としている。仮柱164は、ボルト、ピン等の着脱手段により、上述した床梁22のジョイントピース22Kと、天井梁23、161のジョイントピース23Kに着脱自在に結合される。
ユニット建物1Eにあっては、図31(A)に示す如く、下階部分の一部にて、4個の柱省略建物ユニット120(120A〜120D)のそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部2にて互いに突き合せ配置する。
相対応する柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、両者の柱省略接合部2を含む同一面内でそれらの柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁23を前述の補助天井梁161とする(図32)。図31(B)、(C)に示す如く、一方側の柱省略建物ユニット120Aの補助天井梁161の側から、他方側の柱省略建物ユニット120Bの補助天井梁161の側に延在し、それらの補助天井梁161に添設される渡し梁170を設ける。渡し梁30の一端部を一方側の柱省略建物ユニット120Aの柱21に接合した受梁162の受部163に接合し、渡し梁170の他端部を他方側の柱省略建物ユニット120Bの柱21に接合した受梁162の受部163に接合する。
相対応する柱省略建物ユニット120Cと柱省略建物ユニット120Dの間でも、両者の柱省略接合部2を含む同一面内でそれらの柱省略コーナー部に交差配置されている天井梁23を前述の補助天井梁161とする(図32)。図31(B)、(C)に示す如く、一方側の柱省略建物ユニット120Cの補助天井梁161の側から、他方側の柱省略建物ユニット120Dの補助天井梁161の側に延在し、それらの補助天井梁161に添設される渡し梁30を設ける。渡し梁170の一端部を一方側の柱省略建物ユニット120Cの柱21に接合した受梁162の受部163に接合し、渡し梁170の他端部を他方側の柱省略建物ユニット120Dの柱21に接合した受梁162の受部163に接合する。
このとき、渡し梁170は、図32〜図34に示す如く、長尺形孔からなり、その両端部にエンドプレート171、171が溶接され、長手方向の中央部にスチフナ172が溶接される。渡し梁170は、補助天井梁161の上方から投入され、補助天井梁161の下フランジ161Aとウエブ161Bが構成するL形断面内に添設される。
柱21に接合した受梁162の受部163における梁受面163Aは、前述した如くに上向きに拡開するテーパ状をなしており、渡し梁170のエンドプレート171の接合面171Aが上記受部163のテーパ状梁受面163Aに同一テーパ角をなして嵌合するテーパ状をなす。
渡し梁170のエンドプレート171は、柱21に接合した受梁162の受部163にトルシア形等の高力ボルト173で剛接合される。渡し梁170のスチフナ172が設けられた中央部の両側リップ部は、補助天井梁161にジョイントピース23Kを介して接合されている桁方向の天井梁23のエンドプレート23Eに、高力六角ボルト174で剛接合される。
渡し梁170が上述の如くに相対応する柱省略建物120Aと柱省略建物ユニット120B、柱省略建物ユニット120Cと柱省略建物ユニット120Dの間で、柱21に接合した受梁162の受部163に接合されるとき、各柱省略建物ユニット120の柱省略コーナー部には仮柱164が設置されている。そして、渡し梁170を受梁162の受部163に接合完了した後、仮柱164は取外される。
尚、柱省略建物ユニット120の相対する天井梁23には、野縁23Aを介して天井面材23Bが設けられる。
また、柱省略建物ユニット120の上部には、上階部分を構成する建物ユニット30が搭載され、上階建物ユニット30の相対する床梁32には床面材37が設けられる。渡し梁170の中央部に搭載される上階建物ユニット30の柱31の柱脚は、渡し梁170のスチフナ172が設けられた中央部の両側の上フランジに高力六角ボルト175で剛接合される。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)建物ユニット20の天井梁23のうち、渡し梁170が添設される補助天井梁161の断面強度を、該建物ユニット120の輸送に耐える程度にし、他の天井梁23の断面強度より低強度にした。ユニット建物1Eの水平強度と風圧力に対する耐力は、渡し梁170により確保され、渡し梁170が添設された補助天井梁161による負担は小さいから、柱省略した建物ユニット120を十分に補強しながら、構造強度の経済を図ることができる。
(b)両建物ユニット120の柱省略接合部2を含む同一面内で柱省略コーナー部に交差配置されている補助天井梁161に渡し梁170を添設するに際し、渡し梁170を補助天井梁161のL形断面内に上方から投入して添設するものであり、両建物ユニット120の周辺に渡し梁170の設置スペースを余分に必要としない。両建物ユニット120の側傍に他の建物ユニット20を設置する場合にも、他の建物ユニット20との間に渡し梁170のための設置間隙の如くを設ける必要がない。
(c)渡し梁170の端部を建物ユニット120の柱21の受部163に接合するに際し、渡し梁170の端部の接合面171Aを受部163の梁受面163Aに同一テーパ角をなして嵌合せしめるようにしたから、相隣る建物ユニット120の相対応する柱21の受部163に対する渡し梁170の挿入性が良くなる。渡し梁170の両端部は、相対応する柱21の受部163の梁受面163Aに隙間なく嵌合して延在するものになり、ユニット建物1Eの寸法精度を向上できる。
(d)渡し梁170の端部を建物ユニット20の柱21の受部163に高力ボルト173で接合するようにしたから、渡し梁170の接合強度を高め、ユニット建物1Eの構造強度をより強化できる。
(e)建物ユニット120の柱省略コーナー部に設けた仮柱164は、該建物ユニット120の工場製造段階、輸送保管段階を経た現地据付け後、渡し梁170の接続完了まで取外されない。従って、渡し梁170の接続時の建物ユニット120の強度を低下せしめることがなく、施工段階の建物強度も十分に確保でき、施工性は良い。
(実施例6)(図35〜図37)
図35のユニット建物1Fは、その一部を構成する上下各2個の建物ユニット20、30により、大吹抜け空間を形成するものである。
実施例6で用いられる柱省略建物ユニット120が実施例5の柱省略建物ユニット120と異なる点は、標準建物ユニット20の4本の柱21のうちの桁方向にて相隣る2本の柱21を省略し、妻方向に沿う2本の天井梁23をともに補助天井梁161とし、補助天井梁161に交差する桁方向の天井梁23を仮梁165とし、仮梁165をボルト、ピン等の着脱手段により補助天井梁161の自由端部に着脱自在に結合し、切除可能にしたことにある。
ユニット建物1Fにあっては、図35(A)に示す如く、下階部分の一部にて、2個の柱省略建物ユニット120(120A、120B)のそれぞれに定めた各2個の柱省略コーナー部を柱省略接合部2、3にて互いに突き合せ配置する。
柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、図35(B)、図36に示す如く、実施例5におけると同様に渡し梁170を設け、渡し梁170を柱省略建物ユニット120A、120Bの柱21に接合した受梁162の受部163に接合完了した後、仮柱164を取外し、仮梁165を切除する(単に取外す)。
そして、柱省略建物ユニット120の上部に、図37に示す如く、上階部分を構成する建物ユニット30を搭載する。上階建物ユニット30は、下階建物ユニット20の上部に吹抜け空間を形成するため、下階建物ユニット20の仮梁165に対応する部分の床梁32を当初から設けず、又は搭載後に切除される。
ユニット建物1Fにあっては、渡し梁170により構造強度を確保しながら、下階建物ユニット20から上階建物ユニット30に渡る大吹抜け空間を形成できる。
(実施例7)(図38〜図40)
図38のユニット建物1Gは、その一部を構成する上下各2個の建物ユニット20、30により、階段空間を形成するものである。
実施例7で用いられる柱省略建物ユニット120が実施例1の柱省略建物ユニット120と異なる点は、補助天井梁161に交差する桁方向の天井梁23を、該補助天井梁161との交差部側の一部である仮梁166Aと、その残部の部分梁166Bとからなるものにしたことにある。仮梁166Aは補助天井梁161の自由端部と部分梁166Bの端部とに、ボルト、ピン等の着脱手段により結合され、切除可能にされる。部分梁166Bの仮梁166Aに結合される端部は中柱167に支持される。
ユニット建物1Gにあっては、図38(A)に示す如く、下階部分の一部にて、2個の柱省略建物ユニット120(120A、120B)のそれぞれに定めた柱省略コーナー部を柱省略接合部2にて互いに突き合せ配置する。
柱省略建物ユニット120Aと柱省略建物ユニット120Bの間で、図38(B)、図39に示す如く、実施例5におけると同様に渡し梁170を設け、渡し梁170を柱省略建物ユニット120A、120Bの柱21に接合した受梁162の受部163に接合完了した後、仮柱164を取外し、仮梁166Aを切除する(単に取外す)。
そして、柱省略建物ユニット120の上部に、図40に示す如く、上階部分を構成する建物ユニット30を搭載する。上階建物ユニット30は、下階建物ユニット120の仮梁166A、部分梁166Bに対応する床梁22のうち、仮梁166Aに対応する一部を当初から設けず、又は搭載後に切除される。
ユニット建物1Gにあっては、渡し梁170により構造強度を確保しながら、下階建物ユニット20から上階建物ユニット30に渡る階段空間を形成できる。
本発明の補助天井梁は建物ユニットの柱の受部における梁受面の下縁に沿う平板、又は側縁に沿う平板からなるもの等であっても良い。
図41〜図44は、構法Vにおいて、例えばユニット建物1Aにおいて相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を接合するのに好適なガイドカラー200とアタッチメント210を示すものである。ガイドカラー200とアタッチメント210は、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122に設けたボルト挿通孔122A(スペーサ110のボルト挿通孔110Aも同じ)同士が位置ずれしているとき、以下の如くに位置合せして高力ボルト111を挿通可能にする。
尚、ガイドカラー200は、図41に示す如く、高力ボルト111のねじ長さより短尺をなし、エンドプレート122のボルト挿通孔122A、スペーサ110のボルト挿通孔110Aより小径の外径を備え、その基端側に六角ヘッド201を備え、その先端側に先細りテーパ202を備え、高力ボルト111に螺着する貫通ねじ部を備える。アタッチメント210は、図42に示す如く、高力ボルト111の頭部111Aより小径で高力ボルト111のねじ部は通すスリット211を備えるとともに、高力ボルト111のねじ部をスリット211に通した状態で、高力ボルト111に螺着されているガイドカラー200における六角ヘッド201の外面に係合してガイドカラー200を回り止めする回り止め部212を備える。
(1)高力ボルト111の先端を除く外周にガイドカラー200を螺着する(図43(A))。
(2)高力ボルト111の先端を相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122に設けてあるボルト挿通孔122Aに通す(図43(B))。このとき、両エンドプレート122のボルト挿通孔122Aやスペーサ110のボルト挿通孔110Aが位置ずれしていると、ガイドカラー200は1枚目のエンドプレート122のボルト挿通孔122Aに入るのみとなる。
(3)エンドプレート122のボルト挿通孔122Aから突出する高力ボルト111の先端にナット112を締め込み、高力ボルト111及びガイドカラー200を2枚のエンドプレート122のボルト挿通孔122A及びスペーサ110のボルト挿通孔110Aに引き込んで、それらボルト挿通孔122A、110Aを互いに同軸上に位置合せする(図43(C)〜(E))。
(4)高力ボルト111からナット112を外す(図43(F))。
(5)ガイドカラー200から高力ボルト111をゆるめ、高力ボルト111の頭部111Aと1枚目のエンドプレート122の表面の間にアタッチメント210を介装する。アタッチメント210の回り止め部212にガイドカラー200の六角ヘッド201の外面を係合し、ガイドカラー200を回り止めする(図44(A)、(B))。
(6)アタッチメント210に対して高力ボルト111を締め込み、アタッチメント210を反力支点として、ガイドカラーをエンドプレート122のボルト挿通孔122A及びスペーサ110のボルト挿通孔110Aから引き出す(図44(C)、(D))。
(7)ガイドカラー200及びアタッチメント210を高力ボルト111とともにエンドプレート122のボルト挿通孔122Aから取外す(図44(E))。
(8)両エンドプレート122の位置合せ済のボルト挿通孔122A及びスペーサ110のボルト挿通孔110Aに高力ボルト111(ガイドカラー200から取外した高力ボルト111でも可)を挿通し、その挿通端にナット112を本締めし、相対する継ぎ天井梁121のエンドプレート122同士を接合する。
エンドプレート122(スペーサ110)の3位置以上にボルト挿通孔122A(110A)が穿設されている場合には、少なくとも2位置、好適には対角線上の2位置にあるボルト挿通孔122A(110A)において、ガイドカラー200及びアタッチメント210を用いて上述(1)〜(7)の位置合せ作業を行なえば、全部のボルト挿通孔122A(110A)について位置合せされ得る。
尚、ガイドカラー200及びアタッチメント210を用いる複数個の相対応する孔についての位置合せ作業は、構法Vに限らず、構法IIにおいて相対する2本の梁(プレートを含んでも可)のそれぞれに設けるボルト挿通孔の位置合せ、構法IIIにおいて相並ぶ管柱の相対する側壁のそれぞれに設けるボルト挿通孔の位置合せにおいても採用できる。
本実施例によれば、ガイドカラー200及びアタッチメント210を用いることにより、相対する継ぎ天井梁121のボルト挿通孔122Aの位置ずれを矯正し、それらボルト挿通孔122Aを容易に位置合せし、高力ボルト111のそれらボルト挿通孔122Aへの挿入を容易化し、それらの継ぎ天井梁121を簡易に接合できる。
また、相対する継ぎ天井梁121の間にスペーサ110を挟む場合にも、それら継ぎ天井梁121とスペーサ110のそれぞれに設けたボルト挿通孔122A、110Aを容易に位置合せできる。
本発明の建物ユニットは、3個以上の柱省略建物ユニットの柱省略コーナー部を柱省略接合部にて互いに突き合せ接合するものでも良い。
次に、構法Iの変形例について説明する。
ユニット建物1は、図45、図46に示す如く、複数の工場生産された建物ユニット20を、建築現場に設けてある基礎10の上で互いに水平方向に隣接設置するように、基礎10の上に据付けて構築される。
建物ユニット20は、図46に示す如く、4本の角鋼管製柱21の柱脚21Fに形鋼製床梁22を架け渡すように溶接し、柱21の柱頭に形鋼製天井梁23を架け渡すように溶接した、直方体状の骨組構造体からなる。
建物ユニット20は、図47、図48に示す如く、柱21の柱脚21Fの外側面に断面コの字状の接続具22Jの一端を溶接し、この接続具22Jのコの字状断面内に床梁22の端部を抱き込んだ状態にして該床梁22を接続具22Jに溶接保持する。このとき、柱21の柱脚21Fの下端開口には柱蓋が設けられず、床梁22は柱21の柱脚21Fにピン接合されるものになる。但し、柱脚21Fの下端開口に、建物ユニット20の製造輸送段階で用いられる仮蓋21Cを設けることはできる。尚、柱21の柱頭の上端開口には柱蓋が設けられており、天井梁23は柱21の柱頭に剛接合される。
(変形例1)
建物ユニット20の変形例1の基礎接合構造にあっては、図46、図48に示す如く、柱21の柱脚21Fを基礎10に剛接合して固定される。具体的には、基礎10のコンクリート製べた基礎221にアンカーボルト222を用いて鋼製基礎構造体223を固定し、基礎構造体223の基板223Aに溶接されるとともに斜材223Bで補強された角鋼管製支持部224に鋼製中子225の下端部を挿入して溶接し、中子225を上方に向けて立設する。鋼管製支持部224の横断面の外径寸法は、本実施形態において、柱脚21Fの外径寸法と同一をなす。そして、基礎10への建物ユニット20の据付時に、基礎10の中子225を建物ユニット20の柱21の柱脚21Fの中空部に挿入し、柱脚21F及び中子225を貫通する上下2本の高力ボルト231、座金232、ナット233により、柱脚21Fと中子225を接合する。中子225は、高力ボルト231の軸方向に沿う建物ユニット20の桁方向では柱脚21Fの内面に隙間なく密着し、建物ユニット20の妻方向では柱脚21Aの内面との間に隙間を介する(図48)。
尚、各ユニット建物20の柱21において、桁方向で相隣る建物ユニット20の柱21がないものにあっては、単一の柱21の柱脚21F及び中子225を単一の高力ボルト231で接合する(図48(B))。他方、桁方向で相隣る2組の建物ユニット20の柱21にあっては、両柱脚21Fの間にスペーサ234を挟み、単一の高力ボルト231でそれら2組の柱脚21F及び中子225を接合する(図49)。
建物ユニット20の上述した基礎接合構造において、柱脚21Fの内面幅をd、上下の高力ボルト231のスパンをeとするとき、建物ユニット20の桁方向では、図50(A)に示す如く、鉛直方向力f1、水平方向力f2、曲げモーメントMaの間で、d×f1+e×f2>Maが成立する。また、建物ユニット20の妻方向では、図50(B)に示す如く、水平方向力f、曲げモーメントMbの間で、e×f>Mbが成立する。即ち、建物ユニット20の桁方向で柱脚21Fの内面に密着する中子225を上下2本の高力ボルト231で締結することにより、柱脚21Fと中子225を桁方向及び妻方向の両方で剛接合できる。
建物ユニット20の上述した基礎接合構造において、床梁22のための接続具22Jは、柱21の柱脚21Fにおける中子225が挿入される中空部の外側面に溶接されており、本発明の補強金物を構成する。
建物ユニット20の上述した基礎接合構造によれば以下の作用を奏する。
(a)建物ユニット20の柱脚21Fを基礎10に剛接合したことにより、基礎10に対する柱脚21Fの回転が抑えられ、建物の水平剛性を向上できる。建物の水平剛性を上げるために、柱21の断面を強化する必要がないし、中柱や水平ブレースを付加する必要もなく、建物のプランの自由度を増し、コスト低減できる。
(b)基礎10に設けた中子225を柱脚21Fの中空部に挿入し、柱脚21F及び中子225を貫通する高力ボルト231により柱脚21Fと中子225を密着させて接合した。これにより、柱脚21Fと中子225が密着する桁方向と、柱脚21Fと中子225が隙間を介する妻方向の両方向で、柱脚21Fと中子225を剛接合できる。従って、柱脚21Fを基礎10に対し簡易に剛接合できる。
(c)柱脚21Fの中子225が挿入される中空部の外面に補強金物22Jを接合した。これにより、補強金物22Jが柱脚21Fの剛性低下を抑制してその局部変形を防止する。
(d)柱脚21Fに設けた床梁22のための接続具22Jを、上述(c)の補強金物22Jとして利用することができる。
(e)床梁22を柱脚21Fにピン接合することにより、建物ユニット20の骨組の簡素を図りながら、前述(a)により建物の水平剛性を確保できる。
尚、建物ユニット20の上述した基礎接合構造により、建物の水平剛性は、従来例(柱脚21Fを基礎10にピン接合したもの)に比し1.65倍になることを認めた。
(変形例2)
図51はピロティ(車庫等を含む)を構成する建物ユニット20のための変形例2の基礎接合構造であり、建物ユニット20は骨組構造体の少なくとも一側面に床梁22を有さない。基礎10のコンクリート製べた基礎221に、鋼管製支持体241の下端部を植設し、この鋼管製支持体241に鋼製中子225の下端部を挿入して溶接し、中子225を上方に向けて立設する。尚、鋼管製支持体241は、建物ユニット20における床梁22を有さない側面の内側に図47の基板223A、斜材223Bの如くを伴なわないから、べた基礎221への植設部に係止突起241Aを備えたり、横断面の外径寸法を柱脚21Fの外径寸法より大きくする等にて強化されている。そして、基礎10への建物ユニット20の据付時に、基礎10の中子225を建物ユニット20の柱21の柱脚21Fの中空部に挿入し、柱脚21F及び中子225を貫通する上下2本の高力ボルト231、座金232、ナット233により、柱脚21Fと中子225を接合する。中子225は、高力ボルト231の軸方向に沿う建物ユニット20の桁方向では柱脚21Fの内面に隙間なく密着し、建物ユニット20の妻方向では柱脚21Fの内面との間に隙間を介する(図48)。
建物ユニット20の上述した基礎接合構造においては、柱脚21Fの中子225が挿入される中空部の外側面に、前述した接続具兼補強金物22Jに類似する、短尺で、建物ユニット20の内側への張り出し寸法の小なる補強金物を接合することができる。柱脚21Fの剛性低下を抑制してその局部変形を防止する。
図52は基礎10の前述した鋼管製支持部224(又は鋼管製支持体241)に設ける中子51の変形使用例である。中子251は、図53に示す如く、2枚の鋼製添え板252A、252Bの間に、2個の鋼製厚板253A、253Bを挟んで溶接したものであり、2枚の添え板252A、252Bにはボルト挿通孔を、2個の厚板253A、253Bの間にはボルト挿通間隙を形成してある。基礎10の鋼管製支持部224(又は鋼管製支持体241)に中子251の下端部を挿入し、鋼管製支持部224及び中子251を貫通する上下2本の高力ボルト254、座金、ナットにより鋼管製支持部224と中子251を接合するとともに、中子251を建物ユニット20の柱21の柱脚21Fの中空部に挿入し、柱脚21F及び中子251を貫通する上下2本の高力ボルト255、座金、ナットにより柱脚21Fと中子251を接合する。中子251は、高力ボルト254、255の軸方向に沿う建物ユニット20の桁方向では鋼管製支持部224、柱脚21Fの内面に隙間なく密着し、建物ユニット20の妻方向では鋼管製支持部224、柱脚21Fの内面との間に隙間を介する(図52)。
(変形例3)
図54、図55は、変形例3の建物ユニット20の基礎接合部を示すものであり、ユニット建物1の外周コーナー部に位置する建物ユニット20の1本の柱21の柱脚21Fを基礎260に剛接合して固定するものである。
基礎260は、図55に示す如く、コンクリート製べた基礎261の埋込みプレート261Aに固着したアンカーボルト262を用いて鋼製基礎構造体263を固定する。基礎構造体263は、図56に示す如く、平面視でL字状をなす本体部263AのL字状底部の3位置のそれぞれに設けたボルト固定プレート263Bを、べた基礎261上にてアンカーボルト262により固体される。基礎構造体263は、本体部263Aの上部に複数個(例えば4個)のスリーブ状の鋼製取付金物264を溶接にて固定し、各取付金物264に取付孔264Aを設ける。他方、建物ユニット20の柱21の柱脚21Fの中空下端部内の複数ヵ所(例えば4ヵ所)のそれぞれは、被取付金具265が溶接にて固定され、各被取付金具265にねじ孔265Aが設けられる。従って、基礎260への建物ユニット20の据付時に、基礎260の取付金物264の取付孔264Aに、柱脚21Fの被取付金具265のねじ孔265Aを位置合せし、取付金物264の取付孔264Aに挿通した高力ボルト266を被取付金具265のねじ孔265Aに螺着することにより、柱脚21Fを基礎260の取付金物264に剛接合する。
図57は、建物ユニット20の基礎接合部の変形例を示すものであり、ユニット建物10の相隣る2個の建物ユニット20の2本の柱21の柱脚21Fを基礎260に剛接合して固定するものである。図57の基礎260が図54の基礎260と異なる点は、基礎構造体263として、図58に示す如く、平面視でT字状をなす本体部263AのT字状底部におけるT字の交差部を含む4位置のそれぞれに設けたボルト固定プレート263Bを、べた基礎261上にてアンカーボルト262により固定することにある。
図59は、建物ユニット20の基礎接合部の変形例を示すものであり、ユニット建物10の相隣る3個の建物ユニット20の3本の柱21の柱脚21Fを基礎260に剛接合して固定するものである。図59の基礎260が図54の基礎260と異なる点は、基礎構造体263として、図60に示す如く、平面視で変形十字状をなす本体部263Aの変形十字状底部における変形十字の交差部を含む5位置のそれぞれに設けたボルト固定プレート263Bを、べた基礎261上にてアンカーボルト262により固定することにある。
図61は、建物ユニット20の基礎接合部の変形例を示すものであり、ユニット建物1の相隣る4個の建物ユニット20の4本の柱21の柱脚21Fを基礎260に剛接合して固定するものである。図61の基礎260が図54の基礎260と異なる点は、基礎構造体263として、図62に示す如く、平面視で十字状をなす本体部263Aの十字状底部における十字の交差部を含む5位置のそれぞれに設けたボルト固定プレート263Bを、べた基礎261上にてアンカーボルト262により固定することにある。
ここで、柱脚21Fの被取付金具265のねじ孔265Aを、基礎260の取付金物264の取付孔264Aに対して位置合せする手段として、ガイドピン270を用いる。ガイドピン270は、図63に示す如く、柱脚21Fの被取付金具265のねじ孔265Aに螺着されるおねじ部271と、おねじ部に不完全ねじ部272を介して連続する支軸273と、支軸273の外周に装填されるカラー状ガイド部274を有する。ガイドピン270は、支軸273の先端の鍛造成形される大径抜け止め部275と不完全ねじ部272の間に、カラー状ガイド部274を抜け止め支持する。カラー状ガイド部274の最大外径はおねじ部271、不完全ねじ部272の外径より僅かに大径とされ、カラー状ガイド部274の先端外周〜支軸273の先端外周はテーパ状に連続する先細り部276を形成して取付孔264Aへの挿入性を良好にする。カラー状ガイド部274の内周には潤滑用オイル溝274Aが形成されるとともに、カラー状ガイド部274の内周と支軸273の外周の間にはクリアランスが形成され、カラー状ガイド部274を支軸273に対し円滑に回転自在にする。支軸273の先端面には六角孔等の工具係合孔273Aが設けられ、工具係合孔273Aに係合させた工具に加える回転操作により、おねじ部271を取付金具265のねじ孔265Aに着脱可能にする。
従って、基礎260への柱脚21Fの接合手順は以下の如くなされる。
(1)建物ユニット20の基礎260への据付直前に、図64に示す如く、ガイドピン270の工具係合孔273Aに係合させた工具を用いて、ガイドピン270のおねじ部271を柱21の柱脚21Aに設けた被取付金具65のねじ孔65Aに螺着する。
(2)柱脚21Fのねじ孔265Aに螺着したガイドピン270のカラー状ガイド部274を、図64に示す如く、基礎260の取付金物264の取付孔264Aに挿入し、ねじ孔265Aを取付孔264Aに対して位置合せする。
(3)ガイドピン270の工具係合孔273Aに係合させた工具を用いて、柱脚21Fのねじ孔265Aに螺着してあるガイドピン270をねじ孔265A及び取付孔264Aから取外し、この取外し後の取付孔264Aに挿通した高力ボルト266を柱脚21Fのねじ孔265Aに仮止めする。
(4)基礎260の取付金物264の全ての取付孔264Aに挿通した高力ボルト266を、柱脚21Fのねじ孔265Aに本締めする。
図65のガイドピン270Aは、図63のガイドピン270の変形例であり、ガイドピン270の大径抜け止め部275を撤去し、支軸273の軸方向の概ね全域に連続する真直状外周の先端側に環状溝275Aを設け、この環状溝275Aに止め輪275Bを係着した。ガイドピン270Aは、支軸273に設けた止め輪275Bと不完全ねじ部272の間で、カラー状ガイド部274を抜け止め支持する。
建物ユニット20の上述した基礎接合構造によれば、基礎260に設けた取付金物264の取付孔264Aに、柱脚21Fに設けた被取付金具265のねじ孔265Aを位置合せし、高力ボルト266により被取付金具265を取付金物264に接合した。従って、柱脚21Fを基礎260に対し簡易に剛接合できる。
また、ガイドピン270を用いることにより、基礎260に設けた取付金物264の取付孔264Aと、柱脚21Fに設けた被取付金具265のねじ孔265Aの位置ずれを矯正し、被取付金具265のねじ孔265Aを取付金物264の取付孔264Aに容易に位置合せし、高力ボルト266の取付孔264Aへの挿入、及びねじ孔265Aへの螺着の容易を図ることができる。
(変形例4)
図66はピロティ(車庫等を含む)を構成する建物ユニット20のための変形例4の基礎接合構造であり、建物ユニット20は変形例2におけると同様に、骨組構造体の少なくとも一側面に床梁22を有さない。基礎260におけるべた基礎261の埋込みプレート261Aに固着したアンカーボルト262に、鋼製基礎構造体280を固定する。基礎構造体280は、べた基礎261上でアンカーボルト262に固定された本体部281の上部に板状の鋼製取付金物282を溶接にて固定し、取付金物282に複数個(例えば4個)の取付孔282Aを設ける。他方、建物ユニット20の柱21の柱脚21Fの中空下端部内の複数ヵ所(例えば4ヵ所)のそれぞれには、変形例3におけると同様に、被取付金具265が溶接にて固定され、各被取付金具265にねじ孔265Aが設けられる。従って、基礎260への建物ユニット20の据付時に、変形例3のガイドピン270を用いる等により、基礎260の取付金物282の取付孔282Aに、柱脚21Fの被取付金具265のねじ孔265Aを位置合せし、取付金物282の取付孔282Aに挿通した高力ボルト266を被取付金具265のねじ孔265Aに螺着することにより、柱脚21Fを基礎260の取付金物282に剛接合する。
尚、基礎構造体280は、本体部281を基礎260におけるべた基礎261の埋込みプレート261Aに固着したアンカーボルト262に固定するものに限らず、本体部281をべた基礎261に植設し、本体部281のべた基礎261への植設部に、変形例2において支持体241に設けた係止突起241Aと同様の係止突起を備えるものとしても良い。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、建物ユニットの床梁は柱脚に剛接合してなるものでも良い。また、建物ユニットは、軸組構造体に限らず、壁式構造体であっても良い。また、建物ユニットの床枠組、天井枠組は、四辺形であるものに限定されない。
また、本発明が適用されるユニット建物1において、構法I(基礎−柱剛接合構造)は1階建物ユニットの水平剛性を向上し、構法II(上下梁接合構造)は隣接する建物ユニットの水平剛性と、上階建物ユニットの床梁鉛直剛性を向上し、構法III(隣接柱接合構造)は隣接する建物ユニットの水平剛性を向上し、構法IV(斜材補強構造)は建物ユニットの水平剛性を向上する。ユニット建物1に構法I〜IVを選択して採用するとき、各構法の費用対効果、プラン障害等を考慮し、ユニット建物1のタイプ毎(ユニット建物1の平面視で、複数の建物ユニットを桁方向又は妻方向に一列に配置するだけの一列配置タイプと、複数の建物ユニットを桁方向又は妻方向に二列以上配置する複数列配置タイプの2タイプ)に、構法I〜IVの選択優先順位を定めれば、図67に示す如くである。
即ち、一列配置タイプのユニット建物1において、外壁側では、構法IVによる壁面プラン障害の影響は少ないから構法IVを優先して採用し、剛性不足の場合に構法Iを追加採用する。
また、一列配置タイプのユニット建物1において、室内側では、構法IVによる壁面プラン障害の影響が大きいから、構法IIを優先して採用し、剛性不足の場合に構法I、更には構法IVを追加採用する。
また、複数列配置タイプのユニット建物1において、外壁側では、構法IIIが安価でプラン障害がないからこれを優先して採用し、剛性不足の場合に構法IV、更には構法Iを追加採用する。
また、複数列配置タイプのユニット建物1において、室内側では、全ての構法I〜IVを採用でき、構法II、構法III、構法I、構法IVの順に採用できる。