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JP4913508B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向へ向かって延びる複数の溝によって形成される複数のブロックに、該溝よりも細いサイプが形成されている空気入りタイヤに関する。
従来、グリップ力(いわゆる、エッジ効果)を向上させて、氷雪路面での走行性能(例えば、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能)を向上させる空気入りタイヤ、いわゆる、スタッドレスタイヤについて、様々な提案がなされている。
例えば、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向へ向かって延びる複数の溝によって形成される複数のブロックに、溝よりも細いサイプが形成されている空気入りタイヤが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この空気入りタイヤでは、エッジ効果を向上させることができるのは勿論、接地面(トレッド踏面と路面との間)の水・雪等をサイプに逃がすことができる(水・雪等を貯水する)ため、氷雪路面での走行性能を確保することができる。
特開2001−191740号公報(第2頁−第3頁、第1図)
しかしながら、上述した従来の空気入りタイヤでは、ブロックにサイプが形成されていることによって、該ブロックがサイプにより分断されてしまうため、ブロックの剛性が低下してブロックが変形しやすくなってしまう。
このため、ブロックの変形に伴ってサイプが倒れ込んでしまって、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着してしまうため、サイプ内の水・雪等を貯水する空間を確保することが難しく、排水性能が低下してしまう。これにより、水・雪等をサイプに逃がすことができず、エッジ効果が低減してしまうため、走行性能、特に、操縦安定性や加速・制動性能が低下してしまう。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した状況を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴に係る発明は、トレッド踏面において、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向へ向かって延びる複数の溝によって形成される複数のブロックに、溝よりも細いサイプが形成されている空気入りタイヤであって、サイプの少なくとも一方の側壁面には、サイプの深さ方向における中間領域に設けられ、サイプの他方の側壁面側へ向かって突出する方向である突出方向が異なる突起が複数設けられていることを要旨とする。
かかる特徴によれば、サイプの少なくとも一方の側壁面側に突出方向が異なる突起が複数設けられていることによって、ブロックが変形した際に、サイプが倒れ込むことを突出方向が異なる突起が支えることができ、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着することを防止することができる。
また、サイプの少なくとも一方の側壁面における中間領域に突出方向が異なる突起が複数設けられていることによって、摩耗によりブロックのトレッド踏面側が削れてしまった場合であっても、ブロックの剛性低下を抑制することができるとともに、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着することを防止することができる。
さらに、サイプの少なくとも一方の側壁面における中間領域に突出方向が異なる突起が複数設けられていることによって、サイプの一方の側壁面における全領域に突起が設けられている場合と比べて、サイプ内の水・雪等を貯水する空間体積を増大させることができる。
このように、サイプ内の水・雪等を貯水する空間を増大させるとともに、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着することを防止することができることによって、エッジ効果を向上させることができ、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる。
本発明の第2の特徴に係る発明は、突起が、サイプの底面からサイプの深さに対して30〜70%の位置に設けられていることを要旨とする。
かかる特徴によれば、突起が、サイプの底面からサイプの深さに対して30〜70%の位置に設けられていることによって、摩耗によりブロックのトレッド踏面側が削れてしまった場合であっても、ブロックの剛性低下を抑制することができるとともに、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着することを防止することができる。
本発明の第3の特徴に係る発明は、サイプが、タイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延びていることを要旨とする。
かかる特徴によれば、サイプがタイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延びていることによって、氷雪路面でのグリップ力(いわゆる、エッジ効果)を向上させて、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができるとともに、接地面(トレッド踏面と路面との間)の水等をサイプに逃がすことができ、タイヤの浮き上がる現象であるハイドロプレーニングをも防止することができる。
本発明の第4の特徴に係る発明は、サイプが、タイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることを要旨とする。
かかる特徴によれば、サイプがタイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることによって、ブロックが変形した際に、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着してサイプの倒れ込みを抑制することができるため、ブロックの剛性低下をさらに抑制することができる。
また、サイプがタイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることによって、サイプがタイヤ径方向へ直線で延びている場合と比べて、サイプ内の水・雪等を貯水する空間体積を増大させることができる。
本発明の第5の特徴に係る発明は、サイプの各屈折部において、トレッド幅方向又はタイヤ径方向に向けて連なる連続部分が、タイヤ周方向に向けて振幅を持つジグザグ形状で形成されていることを要旨とする。
かかる特徴よれば、連続部分がタイヤ周方向に向けて振幅を持つジグザグ形状で形成されていること、いわゆる、3次元サイプ(以下、3Dサイプ)であることによって、ブロックが変形した際に、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着してサイプの倒れ込みを抑制することができるため、ブロックの剛性低下をさらに抑制することができる。
本発明の第6の特徴に係る発明は、突起が、サイプの一方の側壁面におけるトレッド幅方向に隣接する突起と突出方向が異なることを要旨とする。
かかる特徴によれば、突起が、サイプの一方の側壁面におけるトレッド幅方向に隣接する突起と突出方向が異なることによって、ブレーキやトラクション時による前後方向の入力のみではなく、コーナーリング時による横・斜め方向の入力に対しても、ブロックの剛性低下をさらに抑制することができるとともに、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる。
本発明の第7の特徴に係る発明は、サイプの他方の側壁面には、サイプの一方の側壁面に設けられる突起と対向する位置に、突起が設けられていることを要旨とする。
本発明によれば、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することができる。
次に、本発明に係る空気入りタイヤの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図であり、図2は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの斜視図であり、図3は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの一部分解斜視図であり、図4(a)は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの断面図(図3のA−A断面図)であり、図4(b)は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの断面図(図3のB−B断面図)であり、図5(a)は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するサイプの側壁面の一部分(1つのユニット)を示す展開図であり、図5(b)は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するサイプの側壁面のユニットを示す正面図であり、図6は、本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの正面図(図3のC矢視図)である。
なお、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、ビード部やカーカス層、ベルト層(不図示)を備える一般的なラジアルタイヤ(スタッドレスタイヤ)であるものとする。また、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、乗用車に装着されるものである。
図1及び図2に示すように、空気入りタイヤにおけるトレッド踏面1には、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向へ向かって延びる複数の溝によって形成される複数のブロックが配置されている。具体的には、トレッド踏面1には、タイヤ周方向へ向かって延びる複数の周方向溝3と、トレッド幅方向へ向かって延びる複数の幅方向溝5とによって形成される複数のブロック7に、溝(周方向溝3及び幅方向溝5)よりも細いサイプ9が形成されている。
このサイプ9は、トレッド幅方向と深さ方向とにおいて形状が変化する、いわゆる、3次元サイプ(以下、3Dサイプ)である。具体的には、図3に示すように、サイプ9は、タイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延び(すなわち、トレッド幅方向へ向けてジグザグ状であり)、かつ、タイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びている(すなわち、タイヤ径方向へ向けてジグザグ状である)。
このサイプ9の各屈折部9Aにおいて、トレッド幅方向又はタイヤ径方向に向けて連なる連続部分11は、タイヤ周方向に向けて振幅を持つジグザグ形状で形成されている。
これにより、サイプ9の一方の側壁面13と、サイプ9の他方の側壁面15とは、ひし形D1(図5(a)参照)を組み合わせた形状が複数設けられる。このサイプ9の一方の側壁面13と、サイプ9の他方の側壁面15との間隔は、一定となるように設けられている(図2及び図3参照)。したがって、サイプ9の一方の側壁面13と、サイプ9の他方の側壁面15とは、互いが平行に設けられている。
ここで、サイプ9の他方の側壁面15には、サイプ9の一方の側壁面13に設けられる突起21と対向する位置に、後述する突起21が設けられている。すなわち、サイプ9における他方の側壁面15では、図4(a)に示すように、後述する突起17が中間領域Mの上部側でサイプ9の一方の側壁面に設けられる突起17と対向しており、図4(b)に示すように、後述する突起17が中間領域Mの下部側でサイプ9の一方の側壁面に設けられる突起17と対向している。以下において、サイプ9の一方の側壁面13と、サイプ9の他方の側壁面15とが同一構成であるため、サイプ9の他方の側壁面15についての説明を省略する。
サイプ9の一方の側壁面13の1つのユニット17は、図5(a)に示すように、ひし形(一方の対角線L1が他方の対角線L2よりも僅かに長いひし形)D1の各面19を4つ組み合わせた形状に展開することができる。そして、図5(a)に示す各点線L3を山折りして、各辺L4、L5を互いに接合することにより、頂点P1が形成される。これにより、サイプ9の一方の側壁面13には、図5(b)に示すように、4つのひし形D1でサイプ9の側壁面13の1つのユニット(四角錐状の1つのユニット)17が複数設けられる。
このようなサイプ9の一方の側壁面13には、サイプ9の深さ方向における中間領域Mに設けられ,サイプ9の他方の側壁面15(図2乃至図4参照)側へ向かって突出する方向である突出方向が異なる突起21が複数設けられている。
各突起21は、図6に示すように、サイプ9の深さ方向における中間領域Mに設けられ、円柱状に形成されている。また、各突起21は、該突起21が形成されている各面19に対して直行する方向に突出している。各面19とは、上部領域Tや中間領域M、下部領域Bの上面側(トレッド踏面1側)において、面19A、面19Cと、面19Eと、面19Gとが平行に設けられ、面19Bと、面19Dと、面19Fと、面19Hとが平行に設けられている。また、各面19とは、上部領域Tや中間領域M、下部領域Bの下面側(サイプ9の底面9a側)において、面19I、面19Kと、面19Mと、面19Oとが平行に設けられ、面19Jと、面19Lと、面19Nと、面19Pとが平行に設けられている。
具体的には、突起21は、中間領域Mの上部側において、面19B、面19E、面19Hに設けられている。すなわち、突起21は、サイプ9の一方の側壁面13におけるトレッド幅方向に隣接する面に対して2面離れた位置に設けられる。したがって、突起21は、サイプ9の一方の側壁面13におけるトレッド幅方向に隣接する突起21と突出方向が異なっており、隣接する突起21とサイプの深さ方向に対して一定の高さに設けられている。
また、突起21は、中間領域Mの下部側では、面19K、面19Nに設けられている。すなわち、突起21は、サイプ9の一方の側壁面13におけるトレッド幅方向に隣接する面に対して2面離れた位置に設けられる。したがって、突起21は、サイプ9の一方の側壁面13におけるトレッド幅方向に隣接する突起21と突出方向が異なっており、隣接する突起21とサイプの深さ方向に対して一定の高さに設けられている。
この突起21は、サイプ9の底面9aからサイプの深さに対して30〜70%の位置に設けられていることが好ましい。
なお、突起21がサイプ9の底面9aからサイプの深さに対して30%よりも低い位置に設けられていると、トレッド踏面1側で、サイプの一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着することを防止すること困難となってしまうことがあり、排水性能を向上させることができない場合がある。
また、突起21がサイプ9の底面9aからサイプの深さに対して70%よりも高い位置に設けられていると、摩耗によりブロック7のトレッド踏面1側が削れてしまった場合であっても、サイプの一方の側壁面と他方の側壁面とが密着することを防止することが困難となってしまうことがあり、排水性能を向上させることができない場合がある。
(作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る空気入りタイヤによれば、サイプ9の少なくとも一方の側壁面13側に突出方向が異なる突起21が複数設けられていることによって、ブロック7が変形した際に、サイプ9が倒れ込むことを突出方向が異なる突起21が支えることができ、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着することを防止することができる。
また、サイプ9の少なくとも一方の側壁面13における中間領域Mに突出方向が異なる突起21が複数設けられていることによって、摩耗によりブロック7のトレッド踏面1側が削れてしまった場合であっても、ブロック7の剛性低下を抑制することができるとともに、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着することを防止することができる。
また、サイプ9の少なくとも一方の側壁面13における中間領域Mに突出方向が異なる突起21が複数設けられていることによって、サイプ9の一方の側壁面13における全領域(上部領域T、中間領域M及び下部領域B)に突起21が設けられている場合と比べて、サイプ内の水・雪等を貯水する空間体積を増大させることができる。
また、突起21が、サイプ9の底面9aからサイプ9の深さに対して30〜70%の位置に設けられていることによって、摩耗によりブロック7のトレッド踏面1側が削れてしまった場合であっても、ブロック7の剛性低下を抑制することができるとともに、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着することを防止することができる。
また、サイプ9がタイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延びていることによって、氷雪路面でのグリップ力(いわゆる、エッジ効果)を向上させて、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができるとともに、接地面(トレッド踏面1と路面との間)の水等をサイプ9に逃がすことができ、タイヤの浮き上がる現象であるハイドロプレーニングをも防止することができる。
また、サイプ9がタイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることによって、ブロック7が変形した際に、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着してサイプ9の倒れ込みを抑制することができるため、ブロックの剛性低下をさらに抑制することができる。
また、サイプ9がタイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることによって、サイプ9がタイヤ径方向へ直線で延びている場合と比べて、サイプ9内の水・雪等を貯水する空間体積を増大させることができる。
また、連続部分11がタイヤ周方向に向けて振幅を持つジグザグ形状で形成されていること、いわゆる、3Dサイプであることによって、ブロック7が変形した際に、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着してサイプ9の倒れ込みを抑制することができるため、ブロック7の剛性低下をさらに抑制することができる。
さらに、突起21が、サイプ9の一方の側壁面13におけるトレッド幅方向に隣接する突起21と突出方向が異なることによって、図7に示す隣接する突起21と突出方向が同一である場合と比べて、ブレーキやトラクション時による前後方向の入力のみではなく、コーナーリング時による横・斜め方向の入力に対しても、ブロック7の剛性低下をさらに抑制することができるとともに、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる。
このように、サイプ9内の水・雪等を貯水する空間を増大させるとともに、サイプ9の一方の側壁面13と他方の側壁面15とが密着することを防止することができることによって、エッジ効果を向上させることができ、氷雪路面での走行性能、特に、操縦安定性や加速性能、制動性能、排水性能を向上させることができる。
[その他の実施の形態]
上述したように、本発明の実施の形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
具体的には、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、ビード部やカーカス層、ベルト層(不図示)を備える一般的なラジアルタイヤであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ラジアルタイヤ以外のタイヤ(例えば、バイアスタイヤ)であってもよい。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、乗用車に装着されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、乗用車以外の車(例えば、バス・トラック)に装着されるものであってもよい。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、突起21が、円柱状に形成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、三角柱状や四角柱状に形成されていてもよい。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、突起21が、1つの面19に1つ設けられているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、1つの面19に複数設けられていてもよい。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、突起21が、サイプ9の一方の側壁面13と、サイプ9の他方の側壁面15とに設けられているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、サイプ9の少なくとも一方の側壁面13に設けられていてもよい。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、サイプ9が、3Dサイプであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図9(a)に示すように、トレッド踏面のみでジグザグ状に延びる、2次元サイプ(2Dサイプ)であってもよく、図9(b)に示すように、タイヤ径方向のみへジグザグ状に延びる2Dサイプであってもよい。この場合であっても、突起(不図示)は、サイプの深さ方向における中間領域に設けられ、サイプ9の他方の側壁面15側へ向かって突出方向が異なる。
さらに、本実施の形態に係る空気入りタイヤでは、サイプ9が、タイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延びている(すなわち、トレッド幅方向へ向けてジグザグ状である)ものとして説明したが、これに限定されるものではなく、トレッド幅方向へ向けて屈折しながらタイヤ周方向へ延びていてもよい(すなわち、タイヤ周方向へ向けてジグザグ状であってもよい)。
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、以下の比較例1,2及び実施例1に係る空気入りタイヤを用いて行った試験結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
・ タイヤサイズ : 195/65R15
・ ホイールサイズ : 15×6JJ
・ 内圧条件 : 200kPa
・ 車両条件 : FR車(排気量2500cc)
・ 荷重条件 : ドライバー1名+60kg(2名乗車相当)
まず、比較例1,2及び実施例1に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。なお、各空気入りタイヤは、以下で説明する突起以外については同一条件である。
比較例1に係る空気入りタイヤでは、上述した実施の形態と同一の突起21が配置されていない。比較例2に係る空気入りタイヤでは、図10(a)に示すように、上部領域Tや中間領域M、下部領域Bの全領域に、上述した実施の形態と同一の突起21(図10では黒丸)が配置されている。実施例1に係る空気入りタイヤでは、図3及び図10(b)に示すように、中間領域Mのみに、上述した実施の形態と同一の突起21(図10では黒丸)が配置されている。
この比較例1,2及び実施例1に係る空気入りタイヤの氷路面での加速性能、制動性能及び操縦安定性について、表1を参照しながら説明する。
Figure 0004913508
<氷路面での加速性能>
各空気入りタイヤを車両に装着し、氷路面のテストコースにおいて、比較例1に係る空気入りタイヤの速度0km/hから20km/hとなるまでの加速時間を“100”とし、その他の空気入りタイヤの加速時間を指数表示した。なお、指数が大きいほど、加速性能に優れている。
この結果、実施例1に係る空気入りタイヤは、比較例1,2に係る空気入りタイヤに比べ、氷路面での加速性能に優れていることが分かった。
<氷路面での制動性能>
各空気入りタイヤを車両に装着し、氷路面のテストコースにおいて、比較例1に係る空気入りタイヤを時速20km/hで走行して車輌のブレーキが掛けられてから0km/hとなるまでの停止距離を“100”とし、その他の空気入りタイヤの停止距離を指数表示した。なお、指数が大きいほど、制動性能に優れている。
この結果、実施例1に係る空気入りタイヤは、比較例1,2に係る空気入りタイヤに比べ、氷路面での制動性能に優れていることが分かった。
<氷路面での操縦安定性>
各空気入りタイヤを車両に装着し、氷路面のテストコースを一定の速度で走行し、比較例1に係る空気入りタイヤの操縦安定性を“100”とし、その他の空気入りタイヤの操縦安定性をプロドライバーにてフィーリング評価した。なお、指数が大きいほど、操縦安定性に優れている。
この結果、実施例1に係る空気入りタイヤは、比較例1,2に係る空気入りタイヤに比べ、氷路面における操縦安定性に優れていることが分かった。
本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの斜視図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの一部分解斜視図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの断面図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するサイプの側壁面の一部分(1つのユニット)を示す図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの正面図(図3のC矢視図)である。 作用・効果を説明するための空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの斜視図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの一部拡大斜視図である。 本実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するブロックの一部分解斜視図である。 比較例・実施例に係る空気入りタイヤのトレッド踏面を構成するサイプの側壁面の全体部分を示す図である。
符号の説明
1…トレッド踏面、3…周方向溝、5…幅方向溝、7…ブロック、9…サイプ、9A…屈折部、9a…底面、11…連続部分、13…一方の側壁面、15…他方の側壁面、17…ユニット、19(19A〜19P)…面、21…突起、T…上部領域、M…中間領域、B…下部領域

Claims (8)

  1. トレッド踏面において、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向へ向かって延びる複数の溝によって形成される複数のブロックに、前記溝よりも細いサイプが形成されている空気入りタイヤであって、
    前記サイプの少なくとも一方の側壁面には、前記サイプの深さ方向における中間領域に設けられ、前記サイプの他方の側壁面側へ向かって突出する方向である突出方向が異なる突起が複数設けられており、
    前記突起と前記サイプの他方の側壁面側との間に隙間が形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイプの他方の側壁面には、前記サイプの一方の側壁面に設けられる前記突起と対向する位置に突起が設けられており、
    前記サイプの一方の側壁面側に設けられた突起と、前記サイプの他方の側壁面側に設けられた突起との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記突起は、前記サイプの底面から前記サイプの深さに対して30〜70%の位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイプは、タイヤ周方向へ向けて屈折しながらトレッド幅方向へ延びていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイプは、タイヤ周方向に向けて屈折しながらタイヤ径方向へ延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記サイプの各屈折部において、トレッド幅方向又はタイヤ径方向に向けて連なる連続部分は、タイヤ周方向に向けて振幅を持つジグザグ形状で形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記突起は、前記トレッド幅方向に連続する面のうち、前記一方の側壁面と、前記一方の側壁面における前記トレッド幅方向に隣接する面に対して2面離れた位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記突起は、サイプの一方の側壁面におけるトレッド幅方向に隣接する前記突起と突出方向が異なることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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